(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1又は2記載のリング製造装置において、前記保持部材の内部にテーパー部が形成されるとともに、前記切断機構は、前記テーパー部に係合するスピンドルを有することを特徴とするリング製造装置。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリング製造装置において、前記姿勢変更手段は、前記保持部材の端部における開口近傍を押圧するテーパー形状部を備える挟持爪を有することを特徴とするリング製造装置。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリング製造装置において、前記回転テーブルに、前記保持部材の一部を挿入するための支持孔と、前記支持孔に連なり且つ該回転テーブルの側面で開口する通過孔とが形成されていることを特徴とするリング製造装置。
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリング製造装置において、前記リングが分離された前記保持部材に対して清掃を行うための清掃部をさらに有することを特徴とするリング製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の従来技術では、1個の保持部材を用いている。この場合、ドラムを、保持部材を介して切断装置に保持する間や、保持部材からリングを取り外している間、さらには、保持部材に対して清掃を行っている間は切断作業を行うことができない。このため、従来技術では、単位時間当たりのリングの生産効率を向上させることが容易ではない。
【0007】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、リングの生産効率を向上させることが可能であり、しかも、ドラムやリングの内周面に傷が生じることを回避し得るリング製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、金属製円筒形状体からなるドラムを、中空体からなる保持部材に保持した状態で切断することでリングを得るリング製造装置において、
高さ方向が鉛直方向に指向した起立姿勢である前記ドラムを、高さ方向が鉛直方向に指向した起立姿勢である前記保持部材の待機位置まで搬送する第1搬送手段と、
前記ドラムを把持して前記待機位置で該ドラムを前記保持部材に通すことでドラム付保持部材とする第1把持手段と、
前記待機位置に配設され、前記ドラム付保持部材、及び、切断によって得られた前記リングを保持したリング付保持部材を載置する回転テーブルを含む送り出し機構と、
前記回転テーブルから送り出された前記ドラム付保持部材を、高さ方向が水平方向に指向した横臥姿勢に変更するか、又は、前記リング付保持部材を、横臥姿勢から起立姿勢に変更する姿勢変更手段と、
横臥姿勢の前記ドラム付保持部材又は前記リング付保持部材を把持する第2把持手段と、
横臥姿勢の前記ドラム付保持部材の前記ドラムに対して切断を行い、前記リングを得る切断機構と、
前記第2把持手段によって搬送された後に前記姿勢変更手段によって起立姿勢に変更され、且つ前記回転テーブルで待機する前記リング付保持部材から前記リングを把持して前記保持部材から離脱させる第3把持手段と、
前記第3把持手段から前記リングを受領して搬送する第2搬送手段と、
を備え、
前記第1把持手段、前記第2把持手段及び前記第3把持手段は、それぞれ、第1昇降機構、第2昇降機構及び第3昇降機構の作用下に、個別に上昇又は下降することを特徴とする。
【0009】
以上のように構成される本発明においては、保持部材へのドラムの被せ、ドラムを保持した保持部材(ドラム付保持部材)の姿勢変更と切断機構への搬送、ドラムが切断されて得られたリングを保持したリング付保持部材の切断装置からの搬送と姿勢変更、リングと保持部材の分離、リングの搬出等を連続的に、しかも、自動的に実施することができる。すなわち、保持部材に対して何らかの作業を行う際、ドラム付保持部材のドラムの切断作業を同時に遂行することが可能である。
【0010】
このため、複数個の保持部材を用いることが可能である。すなわち、リングを作製している間、他の保持部材へのドラムの被せや搬送等を行うことができる。従って、リングを効率よく生産することができる。
【0011】
しかも、保持部材へのドラムの被せ、及びリングの保持部材からの離脱を、保持部材の高さ方向を鉛直方向とした起立姿勢で行うようにしている。起立姿勢では、例えば、レーザ光によるドラムの切断時に発生して保持部材に付着したスパッタが、リングの内周面に移動し難い。従って、リングの内周面に、スパッタに起因する傷が生じることを回避することができる。その結果、高品質のリングが得られる。
【0012】
保持部材は、高さ方向両端部にテーパー状縮径部を有するものであるとよい。この場合、回転テーブル上の保持部材をドラムに通すとき、テーパー状縮径部を直径方向内方に締め付けて保持部材を縮径させる第1縮径手段と、回転テーブル上のリング付保持部材からリングを離脱するとき、テーパー状縮径部を直径方向内方に締め付けて保持部材を縮径させる第2縮径手段とをさらに有することが好ましい。
【0013】
この構成により、保持部材の直径をドラムの内径よりも小さくすることが可能となる。従って、保持部材にドラムを通すときや、リング付保持部材をリングと保持部材に分離するとき、ドラム又はリングと保持部材の間にクリアランスが形成される。従って、これらの作業を行うことが容易となる。ドラム又はリングの内周面に保持部材の側壁が摺接することが回避されるからである。また、このために該内周面に傷が生じることを回避することができる。
【0014】
なお、保持部材は、その内部にテーパー部が形成されたものであることが好ましい。この場合、前記切断機構に、前記テーパー部に係合するスピンドルを設けるとよい。この場合、スピンドルがテーパー部に係合することに伴って保持部材が拡径されるので、ドラムやリングが保持部材にしっかりと保持された状態が保たれる。
【0015】
また、前記姿勢変更手段は、中空体である保持部材の端部における開口近傍を押圧するテーパー形状部を備える挟持爪を有するものであるとよい。すなわち、この挟持爪により保持部材を把持し、ドラム付保持部材又はリング付保持部材の姿勢を変更すればよい。
【0016】
保持部材の姿勢は、起立姿勢から横臥姿勢に、又はその逆に変更される。この姿勢変更の際、保持部材に付着したスパッタが挟持爪の上に落下することが考えられる。しかしながら、上記の構成では、テーパー形状の挟持爪で開口を把持するので、保持部材と挟持爪との接触面積を最小にしつつ、保持部材を拡径することが可能となる。従って、スパッタがドラムに影響を及ぼすことを抑制し得るとともに、姿勢変更時のドラムの位置ズレを抑制することができる。
【0017】
また、姿勢変更の際、挟持爪のテーパー形状部は、スピンドルに係合させるための内部テーパー部に係合しない。このため、内部テーパー部に傷が生じる懸念がない。従って、切断機構にドラム付保持部材を保持するとき、内部テーパー部に対してスピンドルが精度よく係合する。このため、切断時のドラムや、得られるリングの寸法精度が良好となる。
【0018】
前記第2把持手段は、複数個の把持部を有するものであることが好ましい。これにより、複数個の保持部材(ないしドラム付保持部材、リング付保持部材)を同時に搬送することが可能となる。従って、例えば、1個の保持部材を切断機構に組み付ける間、別の1個の保持部材を送り出し機構に搬送することができる。このため、リングの生産効率が一層向上する。
【0019】
回転テーブルに保持部材を支持するには、保持部材の一部(例えば、テーパー状縮径部)を挿入するための支持孔を形成すればよい。ここで、保持部材は起立姿勢で支持されている。従って、支持孔に連なり且つ該回転テーブルの側面で開口する通過孔を形成することが好ましい。この場合、保持部材を、起立姿勢を保ちながら支持孔から離脱させるとき、該支持孔に挿入された保持部材の一部が通過孔を通過する。従って、起立姿勢を保ちながら支持孔から離脱させることが容易となる。
【0020】
ドラムの切断に関与した保持部材には、スパッタが付着していることがある。そこで、リング製造装置に、このスパッタを除去するための掃除部を設けることが好ましい。これにより、清浄な保持部材を送り出し機構に再供給することができる。すなわち、保持部材を循環使用することができるので、設備投資の低廉化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、種々の機構を具備するようにしてリング製造装置を構成するようにしている。このため、保持部材へのドラムの被せ、ドラム付保持部材の姿勢変更と切断機構への搬送、リング付保持部材の切断装置からの搬送と姿勢変更、リングと保持部材の分離、リングの搬出等の各作業を連続的に、しかも、自動的に実施することが可能である。
【0022】
この構成では、保持部材に対して何らかの作業を行うと同時に、ドラム付保持部材のドラムの切断作業を同時に遂行することが可能である。このため、リングの生産効率が向上する。
【0023】
しかも、保持部材へのドラムの被せ、及びリングの保持部材からの離脱を、保持部材の高さ方向を鉛直方向とした起立姿勢で行うようにしているので、リングの内周面に、スパッタに起因する傷が生じることを回避することができる。
【0024】
以上のような理由から、高品質のリングを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るリング製造装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以降では、金属リングを単に「リング」とも表記する。
【0027】
はじめに、
図1を参照してドラム10、リング12及び保持部材20につき説明する。先ず、ドラム10は、矩形状の金属製薄板の両端縁を溶接して得られた円筒形状体である。このドラム10がレーザ光L(
図8及び
図9参照)によって切断されることにより、リング12が得られる。
【0028】
一方、保持部材20は、切断機構である切断装置120(
図2参照)において、ドラム10をレーザ光Lにて切断するときに該ドラム10を保持するためのものである。
図1に示すように、保持部材20は、大径部22と、該大径部22から突出して該大径部22から離間するに従ってテーパー状に縮径する第1テーパー状縮径部24、第2テーパー状縮径部26とを有するとともに、その長手方向に沿って挿入孔28が貫通形成された中空体である。挿入孔28は、第1テーパー状縮径部24から第2テーパー状縮径部26に向かうに従って内径がテーパー状に縮径する第1内部テーパー部29aと、第2テーパー状縮径部26から第1テーパー状縮径部24に向かうに従って内径がテーパー状に縮径する第2内部テーパー部29bとを含む(
図5参照)。
【0029】
保持部材20には、該保持部材20を長手方向に沿って直線状に切り欠いた形状の複数本の第1直線溝30、第2直線溝32が放射状になるように形成されている。第1直線溝30、第2直線溝32はいずれも、挿入孔28及び側壁側で開口する。すなわち、第1直線溝30及び第2直線溝32は、底面が存在しない無底溝(貫通溝)である。
【0030】
第1直線溝30は、第1テーパー状縮径部24の先端から第2テーパー状縮径部26の途中にわたって延在する。すなわち、第1テーパー状縮径部24側では開放端であり、第2テーパー状縮径部26側では閉塞端である。これとは逆に、第2直線溝32は、第2テーパー状縮径部26の先端から第1テーパー状縮径部24の途中にわたって延在しており、第1テーパー状縮径部24側では閉塞端、第2テーパー状縮径部26側では開放端である。
【0031】
第1直線溝30と第2直線溝32は互いに略等間隔で離間するとともに、交互に並列している。本実施の形態において、第1直線溝30、第2直線溝32の個数はそれぞれ8個である。すなわち、隣接する第1直線溝30と第2直線溝32の位相差は約22.5°である。
【0032】
保持部材20の側壁には、該側壁の周回方向に沿って延在し、互いに隣接する第1直線溝30と第2直線溝32を連通するように開口した周回溝34が複数本形成される。なお、
図1から諒解されるように、周回溝34は挿入孔28には到達していない。
【0033】
保持部材20は、側壁、挿入孔28の内周面、第1直線溝30、第2直線溝32の各側面、周回溝34の各側面及び各底面も含めた全体が被膜(図示せず)で覆われている。被膜の素材の好適な具体例としては銅又は銅合金が挙げられ、この場合、メッキ処理によって被膜を形成することが特に容易である。なお、上記した各溝の役割等については、特許文献1や特開2014−24094号公報等に詳述されていることから、その詳細な説明は省略する。
【0034】
次に、ドラム10からリング12を得るためのリング製造装置につき説明する。
図2は、本実施の形態に係るリング製造装置40の模式的平面図である。このリング製造装置40は、搬入出部42、送り出し部44、清掃部46、姿勢変更部48、移送部50、切断部52を有する。
【0035】
搬入出部42には、金属製の円筒形状体からなるドラム10を送り出し部44に搬送するための第1コンベアベルト56(第1搬送手段)と、ドラム10を切断して得られたリング12を前記送り出し部44から搬出するための第2コンベアベルト58(第2搬送手段)とが設けられる。第1コンベアベルト56と第2コンベアベルト58の長さは略同等である。これら第1コンベアベルト56、第2コンベアベルト58は、図示しない周回動作機構の作用下に、個別に周回する。
【0036】
勿論、第1コンベアベルト56は、送り出し部44に接近する方向に周回し、一方、第2コンベアベルト58は、送り出し部44から離間する方向に周回する。従って、第1コンベアベルト56の搬送始点は第2コンベアベルト58の搬送終点に対向し、逆に、第1コンベアベルト56の搬送終点は第2コンベアベルト58の搬送始点に対向する。
【0037】
図3に示すように、ドラム10は、高さ方向が鉛直方向に沿って延在する姿勢、すなわち、起立姿勢で、第1コンベアベルト56の作用下に送り出し部44に向かって搬送される。
【0038】
第1コンベアベルト56の搬送終点近傍には、
図3に示すように、第1把持手段としての第1チャック爪60a、60bが配設される。第1チャック爪60a、60bは、第1XYステージ62に設けられた図示しない第1開閉用シリンダのロッドに連結されており、互いに接近又は離間する方向に同期して変位する。ここで、前記第1XYステージ62は図示しない第1変位用シリンダ(第1昇降機構)、第2変位用シリンダを有する。第1チャック爪60a、60bは、第1変位用シリンダ、第2変位用シリンダの各々の作用下に、鉛直方向又は第1コンベアベルト56の長手方向に沿って変位することが可能である。
【0039】
第1チャック爪60a、60bは、第2変位用シリンダのロッドが伸張することに伴って、第1XYステージ62を構成するテーブルと一体的に送り出し部44まで変位する。また、前記ロッドが収縮したときには、第1チャック爪60a、60bは、第1コンベアベルト56の搬送終点近傍に変位する。
【0040】
一方、第2コンベアベルト58の搬送始点近傍には、
図3に示すように第1チャック爪60a、60bに準じて構成された第2チャック爪64a、64b(第3把持手段)が配設される。すなわち、第2チャック爪64a、64bは、第2XYステージ66に設けられた図示しない第2開閉用シリンダのロッドに連結されており、互いに接近又は離間する方向に同期して変位する。
【0041】
第2XYステージ66も第1XYステージ62と同様に構成されており、図示しない第3変位用シリンダ(第3昇降機構)、第4変位用シリンダを有する。従って、第2チャック爪64a、64bは、第3変位用シリンダ、第4変位用シリンダの各々の作用下に、鉛直方向又は第2コンベアベルト58の長手方向に沿って変位することが可能である。
【0042】
第2チャック爪64a、64bは、第4変位用シリンダのロッドが伸張したとき、第2XYステージ66と一体的に送り出し部44まで変位する。また、前記ロッドが収縮したときには、第2コンベアベルト58の搬送始点近傍に変位する。
【0043】
後述するように、第2チャック爪64a、64bは、送り出し部44において保持部材20からリング12を離脱させるとともに、第2コンベアベルト58まで搬送する役割を担う。
【0044】
図4に示すように、送り出し部44は回転テーブル68を有する。該回転テーブル68は、回転中心部70と、該回転中心部70から互いに略120°の位相で離間するように突出した第1突出先端部72、第2突出先端部74及び第3突出先端部76とを有する三叉形状体である。この中の回転中心部70に、図示しない回転用モータの回転軸77が連結される。従って、回転テーブル68は、回転軸77が回転することに追従して一体的に回転する。回転テーブル68及び前記回転用モータは、送り出し機構を構成する。なお、1回の回転における回転角度は約120°である。すなわち、本実施の形態では、インデックス回転がなされる。
【0045】
第1突出先端部72、第2突出先端部74、第3突出先端部76のそれぞれには、第1支持孔78、第2支持孔80、第3支持孔82が厚み方向(鉛直方向)に沿って貫通形成されている。保持部材20は、下方を向いた第1テーパー状縮径部24が第1支持孔78〜第3支持孔82のいずれかに挿入されることにより、起立姿勢で支持される。保持部材20は、この状態で回転テーブル68上に待機している。すなわち、送り出し部44は保持部材20の待機位置である。
【0046】
第1突出先端部72〜第3突出先端部76の側面には、第1支持孔78〜第3支持孔82の各々に連なる通過孔84が開口する。従って、保持部材20は、第1テーパー状縮径部24が第1支持孔78〜第3支持孔82のいずれかに挿入された状態であっても、水平方向に変位させて該第1支持孔78〜該第3支持孔82から離脱させることが可能である。このとき、第1テーパー状縮径部24が通過孔84を通過するからである。
【0047】
図2及び
図4では、第1突出先端部72が第1コンベアベルト56に臨み、第2突出先端部74、第3突出先端部76が姿勢変更部48、第2コンベアベルト58のそれぞれに臨んでいる状態を示している。図示は省略しているが、第3突出先端部76の近傍には、第3突出先端部76から清掃部46(
図2参照)に、又はその逆方向に保持部材20を移送する旋回保持手段が設けられる。
【0048】
具体的には、清掃部46を構成する前記旋回保持手段は、互いに略180°離間した第1払い出しアーム86と第2払い出しアーム87を具備する。これら第1払い出しアーム86と第2払い出しアーム87は回転軸88に連結されており、従って、該回転軸88が回転付勢されることに伴って回動する。第1払い出しアーム86が第2コンベアベルト58に臨むときには第2払い出しアーム87は清掃部46に臨み、逆に、第1払い出しアーム86が清掃部46に臨むときには第2払い出しアーム87は第2コンベアベルト58に臨む。
【0049】
図4及び
図5に示すように、回転テーブル68の下方及び上方には、第1下方ロッド89、第1上方ロッド90が配設される。第1下方ロッド89と第1上方ロッド90の間には、第1コンベアベルト56から所定の突出先端部(例えば、第1突出先端部72)に受け渡された保持部材20が位置する。同様に、所定の突出先端部(例えば、第2突出先端部74)から第1コンベアベルト56に受け渡される保持部材20の下方及び上方には、第2下方ロッド91、第2上方ロッド92が配設されている。これら第1下方ロッド89、第1上方ロッド90、第2下方ロッド91及び第2上方ロッド92は、図示しない油圧シリンダ又はボールネジ等の適宜の駆動手段の作用下に駆動する。
【0050】
第1下方ロッド89、第1上方ロッド90の先端には、第1縮径手段としての縮径用カップ98a、98bが設けられる。同様に、第2下方ロッド91、第2上方ロッド92の先端には、第2縮径手段としての縮径用カップ98c、98dが設けられる。これら縮径用カップ98a〜98dの開口近傍には、第1テーパー状縮径部24、第2テーパー状縮径部26のテーパー形状に対応するテーパー部99a〜99dが形成されている。
【0051】
ここで、姿勢変更部48、移送部50及び切断部52の要部概略側面を
図6に示す。先ず、姿勢変更部48は、図示しない第3開閉用シリンダによって開閉する挟持爪100a、100bを有する。この中、挟持爪100aのは略L字形状をなし、挟持爪100bは、挟持爪100aの長辺部に沿って変位することが可能である。すなわち、挟持爪100bは、前記第3開閉用シリンダを構成するロッドが伸縮することに伴い、挟持爪100aの短辺部に対して接近又は離間する方向に変位する。
【0052】
挟持爪100aは、回転テーブル68の第2支持孔80から突出した第1テーパー状縮径部24に対向する。一方の挟持爪100bは、第2テーパー状縮径部26に対向する。挟持爪100a、挟持爪100bの短辺部には、テーパー形状部としての係合突起102a、102bがそれぞれ設けられ、挟持爪100bが挟持爪100aの短辺部に接近するように変位したとき、各係合突起102a、102bが保持部材20の挿入孔28の両端開口に係合する。これにより、その側壁でドラム10を保持した保持部材20(ドラム付保持部材20a)が挟持爪100a、100bに挟持される。
【0053】
挟持爪100aの長辺部は、姿勢変更手段としての旋回アーム104に連結されている。旋回アーム104は、挟持爪100a、100bを水平方向から鉛直上方に、又はその逆方向に略90°旋回させることが可能である(
図7参照)。この旋回に伴い、ドラム付保持部材20aが、起立姿勢から、高さ方向が水平方向に指向する横臥姿勢に変更される。
【0054】
また、旋回アーム104は伸縮可能であり、収縮したときにドラム付保持部材20aを回転テーブル68から離脱させる。
【0055】
図6に示すように、移送部50は、ドラム付保持部材20aを挟持爪100a、100bから切断部52に移送するとともに、リング付保持部材20bを切断部52から挟持爪100a、100bに移送するためのものである。この移送部50は、案内レール106と、該案内レール106上を個別に変位する第1昇降アーム110、第2昇降アーム112(ともに第2把持手段)とを備える。これら第1昇降アーム110、第2昇降アーム112は、図示しない第1昇降用シリンダ、第2昇降用シリンダ(ともに第2昇降機構)の作用下に、鉛直方向に沿って変位、換言すれば、上昇又は下降する。
【0056】
第1昇降アーム110は第1ハンド114を有し、第2昇降アーム112は第2ハンド116を有する。第1ハンド114、第2ハンド116は、ドラム付保持部材20a、又は、リング付保持部材20bのいずれかを個別に保持する把持部である。
【0057】
切断部52は、ドラム10に対して切断を行う切断装置120を含んで構成される。前記切断装置120は、ドラム付保持部材20a又はリング付保持部材20bが載置される載置盤122を有する。また、載置盤122を間に挟む位置に、切断装置120を構成する第1スピンドル124、第2スピンドル126が配設される。載置盤122及び第2スピンドル126は、第1スピンドル124に対して接近又は離間する方向に個別に変位可能である。第1スピンドル124は駆動回転し、第2スピンドル126は従動回転する。
【0058】
切断装置120は、さらに、レーザ光照射部128(
図8参照)を有する。このレーザ光照射部128から、第1スピンドル124及び第2スピンドル126に保持されて第1スピンドル124の作用下に回転する保持部材20に保持されたドラム10に対し、レーザ光Lが照射される。このレーザ光Lにより、ドラム10が切断される。
【0059】
切断装置120のその他の構成は、特許文献1や特開2014−24094号公報等に詳述されていることから、その詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施の形態に係るリング製造装置40は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、ドラム10からリング12を得るまでの過程における動作との関係で説明する。
【0061】
図2に示すように、周回する第1コンベアベルト56によって複数個のドラム10が順次搬入される。この際、ドラム10は起立姿勢である。また、保持部材20は、その第1テーパー状縮径部24が、回転テーブル68の第1突出先端部72に形成された第1支持孔78に挿入された状態、すなわち、起立姿勢で送り出し部44にて待機している。
【0062】
図3に示すようにドラム10が第1コンベアベルト56の搬送終点に到達すると、前記第1変位用シリンダの作用下に第1チャック爪60a、60bが下降する。第1チャック爪60a、60bは、ドラム10を囲繞した後、第1開閉用シリンダの作用下に互いに接近するように同期して変位する。この変位により第1チャック爪60a、60bが閉状態となり、ドラム10が第1チャック爪60a、60bに把持される。
【0063】
次に、第1チャック爪60a、60bは、前記第1変位用シリンダの作用下に上昇する。その後、前記第2変位用シリンダを構成するロッドが伸張することにより、第1チャック爪60a、60bが回転テーブル68の第1突出先端部72に指向して変位する。勿論、これに伴ってドラム10も第1チャック爪60a、60bと一体的に上昇及び変位する。
【0064】
第2変位用シリンダのロッドが伸張することにより、第1チャック爪60a、60b及びドラム10が第1突出先端部72の直上に位置する。その後、第1下方ロッド89が第1テーパー状縮径部24に接近するとともに、第1上方ロッド90が第2テーパー状縮径部26に接近する。これにより、
図5に示すように、縮径用カップ98a内に第1テーパー状縮径部24が進入するとともに、縮径用カップ98b内に第2テーパー状縮径部26が進入する。
【0065】
この進入に伴い、縮径用カップ98a内のテーパー部99aと第1テーパー状縮径部24が係合し、且つ縮径用カップ98b内のテーパー部99bと第2テーパー状縮径部26が係合する。従って、第1テーパー状縮径部24、第2テーパー状縮径部26が直径方向内方に締め付けられる。その結果、保持部材20が若干縮径する。保持部材20は、第1直線溝30、第2直線溝32及び周回溝34が形成され、且つ内孔として挿入孔28が形成された中空体であることから、容易に縮径(弾性変形)する。
【0066】
この状態で、前記第1変位用シリンダの作用下に第1チャック爪60a、60bが再下降する。これに伴って保持部材20にドラム10が通される。すなわち、保持部材20がドラム10で覆われたドラム付保持部材20aが形成される。
【0067】
上記したように保持部材20が縮径されているため、該保持部材20の大径部22は、ドラム10の内径に比して若干小径である。このため、ドラム10に保持部材20を通す際、保持部材20の側壁がドラム10の内周面に摺接することが回避される。従って、ドラム10の内周面に傷が生じることが回避される。
【0068】
次に、第1下方ロッド89、第1上方ロッド90がドラム付保持部材20aから離間する方向に後退する。これにより、第1テーパー状縮径部24及び第2テーパー状縮径部26が、縮径用カップ98a、98bによる拘束からそれぞれ解放される。従って、これまで縮径されていた保持部材20が弾性作用によって拡径する。
【0069】
保持部材20の大径部22の外径は、外力が付加されない状況下ではドラム10の内径よりも大きくなるように設定されている。従って、拘束から解放された保持部材20が拡径すると、これに伴ってドラム10が保持部材20に仮保持される。
【0070】
以上の作業がシーケンス制御によって行われている間、第3突出先端部76では、リング12と保持部材20の分離作業、リング12が分離された保持部材20の清掃部46への移送作業(及び、清掃された保持部材20の回転テーブル68への移送作業)が逐次的に行われる。この点については後述する。
【0071】
その後、第1チャック爪60a、60bが第1開閉用シリンダの作用下に互いに離間する方向に変位して開状態となる。すなわち、ドラム10を解放する。第1チャック爪60a、60bは、第1変位用シリンダのロッドが収縮することによって上昇し、ドラム付保持部材20aから離間する。
【0072】
次に、回転テーブル68が回転中心部70を中心として時計回りに約120°、インデックス回転する。これにより、ドラム付保持部材20aを保持した第1突出先端部72が第1コンベアベルト56から離間し、姿勢変更部48の挟持爪100a、100bに臨む。同時に、第1コンベアベルト56に対し、清掃済の新たな保持部材20を支持した第3突出先端部76が近接する。また、リング付保持部材20bを支持した第2突出先端部74が第2コンベアベルト58に近接する。
【0073】
次に、姿勢変更部48を構成する前記旋回アーム104が伸張し、
図6に示すように、挟持爪100a、100bで第1突出先端部72上のドラム付保持部材20aを囲繞する位置となる。このとき、挟持爪100aの係合突起102aが保持部材20の挿入孔28の第1テーパー状縮径部24側開口に係合する。
【0074】
この時点で、第1昇降アーム110の第1ハンド114は、既にドラム10の切断が終了したリング付保持部材20bを保持し、一方、第2昇降アーム112の第2ハンド116は、挟持爪100a、100bに囲繞されたドラム付保持部材20aに先んじて切断されるドラム付保持部材20aを保持している。また、第1昇降アーム110及び第2昇降アーム112は上昇しており、載置盤122及び第2スピンドル126は第1スピンドル124から離間している。以降、特段の説明は省略するが、第1昇降アーム110は前記第1昇降用シリンダの作用下に上昇ないし下降し、第2昇降アーム112は前記第2昇降用シリンダの作用下に上昇ないし下降する。
【0075】
そして、第3開閉用シリンダが付勢され、挟持爪100bが挟持爪100aの短辺部に向かって変位する。その結果、挟持爪100bの係合突起102bが保持部材20の挿入孔28の第2テーパー状縮径部26側開口に係合してドラム付保持部材20aが挟持爪100a、100bに保持される。なお、係合突起102a、102bは、第1内部テーパー部29a、第2内部テーパー部29b(
図5参照)には係合しない。
【0076】
この間、第1昇降アーム110及び第2昇降アーム112は、第2昇降アーム112が下降したときに第2ハンド116が載置盤122に到達する位置となるように(
図7参照)、案内レール106上を変位する。
【0077】
次に、旋回アーム104が若干収縮する。すなわち、回転テーブル68から離間する方向に後退する。この際、第1テーパー状縮径部24は、第1支持孔78に連なる通過孔84を通過する。従って、ドラム付保持部材20aが第1支持孔78から容易に離脱する。
【0078】
次に、
図7に示すように、旋回アーム104が水平方向から鉛直上方に向かうように略90°旋回する。これに追従し、挟持爪100a、100bも一体的に旋回する。従って、ドラム付保持部材20aが、それまでの起立姿勢から横臥姿勢に変更される。この間、第2昇降アーム112が下降し、第2ハンド116から載置盤122にドラム付保持部材20aが受け渡される。従って、第2ハンド116が空となる。第2昇降アーム112は、その後、載置盤122から後退するように上昇する。
【0079】
次に、載置盤122及び第2スピンドル126が第1スピンドル124に接近する方向に変位する(
図8参照)。これにより、載置盤122上のドラム付保持部材20aが第1スピンドル124に接近する。また、保持部材20の挿入孔28の両端開口に第1スピンドル124、第2スピンドル126の先端が進入する。
【0080】
この際、第1スピンドル124の先端が第1内部テーパー部29aに係合するとともに、第2スピンドル126の先端が第2内部テーパー部29bに係合する。この係合により、ドラム付保持部材20aが切断装置120に保持される。また、保持部材20が、挿入孔28内に進入した第1スピンドル124、第2スピンドル126によって内方から押圧されて拡径する。
【0081】
上記したように、ドラム付保持部材20aの姿勢変更を行う際、係合突起102a、102bは第1内部テーパー部29a、第2内部テーパー部29bに係合していない。このため、第1内部テーパー部29a、第2内部テーパー部29bに傷が生じる懸念がない。従って、第1スピンドル124、第2スピンドル126が、第1内部テーパー部29a、第2内部テーパー部29bに対して精度よく係合する。しかも、第1内部テーパー部29a、第2内部テーパー部29bが保持部材20の高さ方向に沿って設けられているので、ドラム10が保持部材20の高さ方向にわたってしっかりと保持される。
【0082】
これと同時に、第1昇降アーム110及び第2昇降アーム112が案内レール106上を変位する。その結果、空となった第2ハンド116が、旋回済の挟持爪100a、100bに対向する位置となる。
【0083】
次に、
図8に示すように第2昇降アーム112が下降し、その結果、挟持爪100a、100bから第2ハンド116にドラム付保持部材20aが受け渡される。すなわち、第2ハンド116がドラム付保持部材20aを保持する。その後、挟持爪100a、100bが若干開き、これによりドラム付保持部材20aが拘束力から解放される。さらに、第2昇降アーム112は、挟持爪100a、100bから後退するように上昇する。従って、ドラム付保持部材20aが挟持爪100a、100bから離脱するとともに、挟持爪100a、100bが空となる。
【0084】
同時に、レーザ光照射部128からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lがドラム10に入射することに伴い、該ドラム10が切断されてリング12が形成される。レーザ光Lの照射位置は、周回溝34の位置に略対応する。
【0085】
レーザ光照射部128が第1スピンドル124側に順次変位することで、ドラム10に対する切断が繰り返され、複数個のリング12が得られる。すなわち、保持部材20がリング12を保持したリング付保持部材20bが形成される。第1内部テーパー部29a、第2内部テーパー部29bに対して精度よく係合した状態で切断が行われているので、切断時のドラム10や、得られるリング12の寸法精度が良好となる。
【0086】
この間、第1昇降アーム110及び第2昇降アーム112が案内レール106上を変位する。その結果、
図9に示すように、第1ハンド114が、空となった挟持爪100a、100bに対向する位置となる。第1昇降アーム110が下降することで、第1ハンド114に既に保持済であるリング付保持部材20bが挟持爪100a、100bに囲繞される位置となる。
【0087】
その後、挟持爪100bが変位することで挟持爪100a、100bが閉状態となる。これに伴ってリング付保持部材20bが挟持爪100a、100bに挟持される。挟持爪100a、100bの係合突起102a、102bは、上記と同様に保持部材20の両端開口に係合する。結局、リング付保持部材20bが第1ハンド114から挟持爪100a、100bに受け渡され、第1ハンド114が空となる。受け渡しが終了した後、第1昇降アーム110は上昇し、挟持爪100a、100bから離間する。
【0088】
この間、第2スピンドル126が載置盤122から離間し、その後、載置盤122が第1スピンドル124から離間する。リング12が得られた直後のリング付保持部材20bは、載置盤122と一体的に変位して第1スピンドル124から離間する。
【0089】
次に、
図10に示すように、旋回アーム104が鉛直上方から水平方向に向かうように略90°旋回する。これに追従して挟持爪100a、100bがリング付保持部材20bごと一体的に旋回し、その結果、リング付保持部材20bが、それまでの横臥姿勢から起立姿勢に変更される。この間、第1昇降アーム110及び第2昇降アーム112は、空となった第1ハンド114が載置盤122に対向する位置となるように、案内レール106上を変位する。
【0090】
次に、旋回アーム104が若干伸張する。その結果、リング付保持部材20bが挟持爪100a、100bに保持された状態で第1突出先端部72に接近し、第1テーパー状縮径部24が第1支持孔78に挿入される。この際、第1テーパー状縮径部24が通過孔84を通過するので、リング付保持部材20bを第1支持孔78に容易に支持することができる。
【0091】
次に、挟持爪100bが挟持爪100aの短辺部から離間する方向に変位する。すなわち、挟持爪100a、100bが開状態となり、リング付保持部材20bが拘束力から解放される。
【0092】
次に、回転テーブル68が時計回りに約120°インデックス回転される。この間、
図11に示すように第1昇降アーム110が下降し、載置盤122上の、リング12が得られた直後のリング付保持部材20bを第1ハンド114で保持する。その後、第1昇降アーム110が上昇することに伴い、リング付保持部材20bが横臥姿勢のまま第1ハンド114と一体的に上昇する。
【0093】
上記のインデックス回転により、挟持爪100a、100bに対して第2突出先端部74が近接する。第2突出先端部74の第2支持孔80には、ドラム10で覆われた保持部材20、すなわち、ドラム付保持部材20aが既に支持されている。このドラム付保持部材20aが上記と同様にして得られたものであることは勿論である。
【0094】
このドラム付保持部材20aも、上記と同様にして挟持爪100a、100bに挟持される。この際、第1昇降アーム110及び第2昇降アーム112は、第1突出先端部72から既に受け渡され、第2ハンド116で保持されているドラム付保持部材20aが載置盤122に対向する位置となるように、案内レール106上を変位する。
【0095】
そして、旋回アーム104が若干収縮(後退)した後に水平方向から鉛直上方に向かって約90°旋回する。同時に、第2昇降アーム112が下降し、第2ハンド116に保持されていたドラム付保持部材20aが載置盤122に受け渡される。すなわち、
図7と同一状態となる。以降は、このサイクルが繰り返される。
【0096】
ここで、第1突出先端部72に支持されたリング付保持部材20bは、上記のインデックス回転に伴って第2コンベアベルト58に近接する位置となる。そして、第2チャック爪64a、64bが第3変位用シリンダの作用下に下降する。第2チャック爪64a、64bは、リング付保持部材20bを囲繞した後、第2開閉用シリンダの作用下に互いに接近するように同期して変位する。この変位により、リング12が第2チャック爪64a、64bに把持される。
【0097】
次に、第2下方ロッド91が第1テーパー状縮径部24に接近するとともに、第2上方ロッド92が第2テーパー状縮径部26に接近する。その結果、
図5に示すように、縮径用カップ98c、98d内に第1テーパー状縮径部24、第2テーパー状縮径部26がそれぞれ進入するとともに、テーパー部99c、99dと第1テーパー状縮径部24、第2テーパー状縮径部26が係合する。これにより、第1テーパー状縮径部24、第2テーパー状縮径部26が直径方向内方に締め付けられる。
【0098】
上記した係合により、保持部材20が若干縮径する。なお、リング12は、第2チャック爪64a、64bに把持されているので、保持部材20が縮径する前の直径を略維持する。従って、保持部材20の側壁がリング12の内周面から離間する。すなわち、リング12が保持部材20から解放される。その後、前記第1下方ロッド89及び第1上方ロッド90は、リング付保持部材20bから離間する方向に後退する。
【0099】
次に、第2チャック爪64a、64bは、前記第3変位用シリンダの作用下に上昇する。これにより、リング12が保持部材20から離脱する。換言すれば、リング12と保持部材20が分離される。保持部材20の側壁がリング12の内周面から既に離間しているので、この際も、リング12の内周面に傷が生じることが回避される。
【0100】
この分離の最中、リング付保持部材20bは起立姿勢である。従って、保持部材20の各溝内に、レーザ光L照射によって溶融したドラム10の固化物であるスパッタが付着していたとしても、リング12の内周面までスパッタが移動することは困難である。従って、スパッタに起因してリング12の品質が低下することが防止される。また、仮に、ドラム10にスパッタが付着していたとしても、このスパッタが保持部材20に移動することも困難である。
【0101】
その後、第4変位用シリンダを構成するロッドが伸張することにより、第2チャック爪64a、64bが第2コンベアベルト58に指向して変位する。勿論、これに伴ってリング12も第2チャック爪64a、64bと一体的に上昇及び変位する。
【0102】
第2チャック爪64a、64bが第3変位用シリンダの作用下に再下降し、その結果、第2チャック爪64a、64b及びリング12が第2コンベアベルト58上に位置する。その後、第2開閉用シリンダの作用下に第2チャック爪64a、64bが互いに離間するように同期して変位することで、第2チャック爪64a、64bが開状態となる。その結果、リング12が解放される。リング12は、第2コンベアベルト58の周回によって順次搬出される。
【0103】
その一方で、リング12が分離された保持部材20が第1突出先端部72に残留する。この保持部材20の上記溝には、レーザ光Lによるドラム10の切断に伴って発生したスパッタが付着している。使用済の保持部材20は、このスパッタを除去するべく、清掃部46に移送される。
【0104】
すなわち、回転軸88が回転付勢され、第1払い出しアーム86が第1突出先端部72に支持された保持部材20を保持するとともに、第2払い出しアーム87が清掃部46で清掃された新たな保持部材20を保持した状態とする。回転軸88がさらに回転すると、第1払い出しアーム86に保持された保持部材20が清掃部46に移送されるとともに、第2払い出しアーム87に保持された新たな保持部材20が第1突出先端部72に移送される。上記したように第1払い出しアーム86と第2払い出しアーム87が互いに略180°離間しているので、これらの移送は同時に行われる。
【0105】
第1突出先端部72に支持された保持部材20が第1払い出しアーム86で清掃部46に払い出しされるとき、第1テーパー状縮径部24は通過孔84を通過する。同様に、清掃済の新たな保持部材20が第1突出先端部72に払い出されるとき、該新たな保持部材20の第1テーパー状縮径部24も通過孔84を通過する。
【0106】
清掃部46に移送された保持部材20に対しては、所定の清掃作業がなされる。そして、以上の作業が行われている間、回転テーブル68が約120°時計回りにインデックス回転し、第1突出先端部72が第1コンベアベルト56に近接する位置となる。次に、第1突出先端部72に支持されて第1コンベアベルト56に近接した新たな保持部材20に対し、上記と同様にしてドラム10が被せられる。すなわち、新たなドラム付保持部材20aが形成される。
【0107】
清掃済の保持部材20にスパッタが残留していたとしても、ドラム10を被せる工程は保持部材20を起立姿勢にして行われる。このため、スパッタがドラム10の内周面に移動することは困難である。従って、ナット94a、94bによる上記の拡径の際にスパッタが保持部材20の側壁とドラム10の内周面の間に噛み込むことや、これに起因して圧痕が生じることを回避することができる。
【0108】
また、第2突出先端部74に支持されたドラム付保持部材20aが第2昇降アーム112の第2ハンド116に保持される。さらに、第3突出先端部76に支持されたリング付保持部材20bにつき、上記に準拠してリング12が保持部材20から取り外される。
【0109】
以上のように、本実施の形態によれば、複数個の保持部材20を用いて、ドラム10の保持(ドラム付保持部材20aの形成)、ドラム付保持部材20aの姿勢変更、切断装置120への搬送、ドラム10が切断されて得られたリング12を保持したリング付保持部材20bの切断装置120からの搬送、リング付保持部材20bの姿勢変更、リング12と保持部材20との分離、リング12の搬出、保持部材20の清掃部46への移送を連続的に実施することができる。すなわち、何らかの作業を行う際に切断作業を同時に遂行することが可能である。
【0110】
このため、リング12を効率よく作製することができる。換言すれば、リング12の生産効率を向上させることが可能である。
【0111】
しかも、得られたリング12は、内周面に傷が生じることが抑制されているために高品質である。すなわち、ドラム10の被せやリング12の離脱を起立姿勢とすることにより、高品質のリング12を歩留まりよく得ることができる。
【0112】
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0113】
例えば、移送部50を構成する昇降アームは1個であってもよい。