【実施例1】
【0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
自動車などの車両における、車室内に装飾のための照明を設ける。この場合、装飾用照明構造は、
図1の斜視図、または
図2の平面図に示すように、車室内における、運転席と助手席との間に設けられたセンターコンソール部1の前側に設置されるトレイ部2に対して設けられる。但し、装飾用照明構造を設けることができるのは、トレイ部2に限るものではない。例えば、ドアパネルや天井パネルや、その他のパネル類などに対して装飾用照明構造を設けることができる。
【0012】
このトレイ部2は、
図3、
図4に示すような断面構造と、
図5に示すような分解構造とを有するものとされる。即ち、一番下側に、トレイ部2の基本的な形状を備えると共に、光の遮蔽部材となる浅い皿状のベース部3を有する。このベース部3の上に、浅い皿状の導光部材4と装飾材5とが順次載置される。更に、これらの上側から、周縁部を縁取る化粧枠部材6が取付けられる。ベース部3には、
図5に示すように、複数のLED7などの発光ダイオードを有する棒状の光源部8が、導光部材4に臨むように取付けられる。そして、導光部材4の表面側に配置される装飾材5には、
図6に示すように、ドット状に点灯する複数の点灯部9が設けられる。
【0013】
ここで、ベース部3は、硬質で白色などの明色系の遮光性樹脂材料などによって形成される。導光部材4は、透明な樹脂材料によって形成される。導光部材4の底面側には、光源部8からの光を装飾材5へ向けて反射させる反射部4a(
図7参照)が適宜形成される。この反射部4aは、細かいシボ模様や、細かい反射面などとすることができる。但し、反射部4aは、光を導光部材4と面直な平行光として反射させる反射面を有するものであることが望ましい。装飾材5には、例えば、エラストマーなどの柔軟なゴム系の樹脂材料などが使用される。光源部8は、トレイ部2の前後の辺に沿って一対設けられている。点灯部9は、装飾材5のほぼ全面に対して細かい碁盤目状などとなるように設けられる。
【0014】
そして、以上のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えるようにしている。
【0015】
(1)
図7に示すように、上記導光部材4と装飾材5との間に、レンズ層11を配設する。
このレンズ層11が、上記各点灯部9と対応する複数の凸レンズ部12を有するものとされる。
そして、この凸レンズ部12が、上記導光部材4側の面に、上記導光部材4の側へ向けて湾曲突出し、上記点灯部9の近傍に光を集光させる凸レンズ面を有する。
【0016】
ここで、レンズ層11は、透明な樹脂材料によって形成される。凸レンズ部12は、下向きの凸レンズ面を有するもの(下レンズ)とされ、レンズ層11と一体に形成される。
この場合、凸レンズ部12は、各点灯部9と一対一に対応するものとされている。但し、凸レンズ部12は、
図8に示すように、複数(例えば、縦横3個×3個)の点灯部9に対して1個で対応させるようにしても良い(複数対応型レンズ12a)。または、各凸レンズ部12を、一つの焦点に集光するようにした複数のマイクロレンズで形成しても良い。なお、上記した各凸レンズ12は、対応する点灯部9の真下ではなく、反射部4aによる光の反射方向に応じて点灯部9からオフセットさせて配置するようにしても良い。
更に、
図9に示すように、凸レンズ12の間には、シボ等の乱反射面13を形成するようにしても良い。これにより、導光部材4から乱反射面に入光した光を拡散光にして点灯部9まで導くことができるようになり、高輝度化を図ることが可能となる。
【0017】
(2)上記レンズ層11の上記装飾材5側の面に、上記点灯部9と一対一に対応する複数の上レンズ部21を設ける。
【0018】
ここで、上レンズ部21は、装飾材5の側へ向けて湾曲突出する凸レンズとされる。上レンズ部21は、上記した凸レンズ部12と同様に、平坦面とされたレンズ層11の上面から上方へ突出するようなものとしても良い。但し、この場合には、型抜き勾配などを考慮して、全体に凹凸部を有するレンズ層11の上面に設けるようにしている。具体的には、山形状を連ねた凹凸面の頂点の位置に上レンズ部21を設けるようにしている。なお、上レンズ部21については、必要に応じて設けるようにすれば良い。
【0019】
(3)上記凸レンズ部12(下レンズ)の焦点31が、上記レンズ層11の内部に設定されるようにする。
【0020】
この場合、焦点31は、上レンズ部21(のレンズ面)よりも僅かに下側の位置に設定されている。但し、焦点31の位置は、上レンズ部21よりも僅かに下側の位置に限
るものではない。
【0021】
(4)上記点灯部9が、光を透過可能な薄肉部41を有するものとされる。
【0022】
ここで、薄肉部41は、例えば、直径0.5mm、厚さ0.25mm程度の平面視がほぼ円形状をしたものなどとされる。各薄肉部41間の間隔は、2.5mmなどとされる。但し、薄肉部41に関する各寸法は、これに限るものではない。
なお、装飾材5は、必ずしも点灯部9に部分的な薄肉部41を設ける必要はない。例えば、装飾材5は、全体を点灯部9にとって最適となる均一の肉厚としても良い。このように、装飾材5から部分的な薄肉部41をなくすことで、装飾材5における点灯部9周辺の光透過率が向上するので、その分、点灯部9の輝度を上げることが可能となる。
【0023】
(5)上記点灯部9の表面側に、上記薄肉部41へ向かって窪む窪み部51が形成される。
この窪み部51は、凸レンズ部12によって集光された光が、集光後に拡散する拡散形状と同じか、それよりも広がった円錐形状を有するものとされる。
【0024】
ここで、窪み部51は、例えば、表面から底部の薄肉部41までの深さが0.25mm程度で、面直方向(図中上方)に対してほぼ60度の角度で広がる円錐形状のものなどとされる。但し、窪み部51に関する各寸法は、これに限るものではない。光の拡散形状には、上記した上レンズ部21によるものも含むことができる。
【0025】
(6)そして、上記レンズ層11が上記装飾材5に対し、二色成形によって一体化されるようにする。
【0026】
ここで、上記したレンズ層11は、二色成形の一層目として成形される。また、上記した装飾材5は、二色成形の二層目(装飾層)としてレンズ層11の表面側に成形される。そして、これら装飾材5とレンズ層11とによって、一体の装飾照明部品61が製造される。
【0027】
なお、凸レンズ部12は、少なくとも、薄肉部41よりも大きな径を有するものとされる。好ましくは、点灯部9よりも大きな径とされる。このように、凸レンズ部12の径を大きくすることにより、導光部材4からの光をより効率的に利用することが可能となる。
【0028】
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
光源部8を点灯すると、光源部8からの光は、導光部材4およびレンズ層11を介して装飾材5に設けられた点灯部9を光らせる。これにより、トレイ部2の照明が行われる。
【0029】
(1)そして、導光部材4と装飾材5との間に、複数の凸レンズ部12(下レンズ)を有するレンズ層11を設けた。これにより、導光部材4からの光(平行光)は、レンズ層11に設けられた各凸レンズ部12によって装飾材5の点灯部9の近傍で集光される。この光は、集光後に拡散されると共に、点灯部9を透過される。そのため、点灯部9を透過した光は、集光し拡散されたものとなるので、点灯部9における光の発光輝度を上げたり発光範囲を広げたりすることができる。以って、導光部材4からの光を効率良く利用できるようになる。
【0030】
(2)レンズ層11の装飾材5側の面に上レンズ部21(凸レンズ)を設けた。これにより、レンズ層11を出る時に、光を拡散させることができる。そして、凸レンズ部12と上レンズ部21とを二重に設けることによって、光の拡散倍率を大きくすることができる。
【0031】
(3)凸レンズ部12の焦点31をレンズ層11の内部に設定した。これにより、光をレンズ層11内部の焦点31の位置で、集光し拡散してレンズ層11の外部へ取り出すことができる。即ち、点灯部9よりも奥側の位置で光の集光・拡散を行わせることができるので、光を拡散させる上で有利である。しかも、上レンズ部21を設けている場合には、レンズ層11内部の焦点31で集光し拡散された光は、レンズ層11を出る時に、上レンズ部21によって更に拡散されることになるので、光の拡散効果をより高くすることができる。
【0032】
(4)点灯部9を、薄肉部41によって構成した。これにより、点灯部9は、薄肉部41を透過した光によって照明されるものとなり、高級感のある照明効果を得ることができる。また、点灯部9を、薄肉部41とすることにより、例えば、点灯部9を小孔にした場合などのように、ゴミ詰まりなどによって照明が見えなくなってしまうような不具合や、小孔部が不用意に裂けてしまうような不具合などを、起こし難くすることができる。
【0033】
(5)点灯部9の表面側に薄肉部41へ向かって窪む円錐形状の窪み部51を形成した。これにより、窪み部51が、光の拡散形状に沿ったものまたは拡散形状よりも若干広がったものとなる。そのため、窪み部51が光の拡散を妨げないようにすることができると共に、様々な位置や角度から光を見ることができるようになる。即ち、照明の視認可能範囲を広げることが可能となる。また、窪み部51の周囲の部分については、装飾材5が厚肉化されることになるので、装飾材5や薄肉部41を傷付き難いものにすることができる。更に、多数の窪み部51によって、装飾材5に独特の素材感を与えることができる。
【0034】
(6)レンズ層11を、二色成形によって装飾材5と一体化した。これにより、レンズ層11と装飾材5とを、一度に成形することができるようになると共に、部品点数の削減によるコスト低下を図ることができる。しかも、レンズ層11と装飾材5とを一体化することにより、全ての点灯部9と上レンズ部21との位置関係が正確に規定されるので、一層効率良く点灯部9を発光させることが可能となる。
【0035】
以上、この実施例を図面により詳述してきたが、実施例は例示にしか過ぎないものである。よって、実施例の構成にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。