特許第6246904号(P6246904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246904
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20171204BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/26 A
   H01M2/34 B
   H01M2/06 A
   H01M10/04 W
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-512735(P2016-512735)
(86)(22)【出願日】2015年4月7日
(86)【国際出願番号】JP2015060801
(87)【国際公開番号】WO2015156270
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-80293(P2014-80293)
(32)【優先日】2014年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】浦野 和昭
(72)【発明者】
【氏名】澤田 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】綱木 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 正明
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−225500(JP,A)
【文献】 特開2013−164923(JP,A)
【文献】 特開2014−053175(JP,A)
【文献】 特開2012−038529(JP,A)
【文献】 特開2014−139906(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/080518(WO,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子と電池容器内の電極との間の電流経路を遮断する電流遮断機構を備えた二次電池であって、
前記電流遮断機構は、前記電極に接続された集電板と、該集電板の基部に接続され、前記電池容器内の圧力上昇によって変形して前記基部との接続が断たれるダイヤフラムと、該ダイヤフラムおよび前記集電板の基部を前記電池容器の内側に固定する絶縁部材と、を備え、
前記絶縁部材は、前記基部の厚さ方向に突出する突起部を有し、
前記基部は、前記突起部を前記厚さ方向に通す切り欠き部を有し、
前記突起部は、前記基部の前記絶縁部材と反対側の端面および前記厚さ方向に沿う側面に係合する係合部を有することを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記突起部は、熱可塑性の樹脂材料によって形成され、
前記係合部は、前記基部の前記端面と前記側面とに熱溶着されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記係合部は、前記基部の前記端面と前記側面との間の角部に熱溶着されていることを特徴とする請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記係合部は、前記突起部を径方向に拡大させて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極をセパレータと交互に積層して捲回軸周りに捲回した電極群を備え、
前記集電板は、前記電極群の前記捲回軸方向の端部に配置され、
前記基部は、前記捲回軸方向の内側と外側にそれぞれ前記切り欠き部を有することを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記集電板は、前記基部の前記捲回軸方向の外側の端部から延びて前記電極群の前記端部において前記電極に接続された端子部を有し、
前記捲回軸方向において、前記基部の前記外側の前記切り欠き部の深さは、前記内側の前記切り欠き部の深さよりも深いことを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記集電板は、前記基部の前記捲回軸方向の外側の端部から延びて前記電極群の前記端部において前記電極に接続された端子部を有し、
前記基部は、前記捲回軸方向の内側と外側にそれぞれ一対の切り欠き部を有し、
前記外側の一対の前記切り欠き部の間隔が、前記内側の一対の前記切り欠き部の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電極をセパレータと交互に積層して捲回軸周りに捲回した電極群を備え、
前記集電板は、前記電極群の前記捲回軸方向の端部に配置され、
前記基部は、前記捲回軸方向の内側に前記切り欠き部を有し、
前記絶縁部材は、前記捲回軸方向の外側に前記基部の前記端面および前記側面を支持固定する支持凸部を有し、
前記支持凸部は、前記捲回軸方向の内側が開放されて前記基部を係合させる係合溝を有することを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
【請求項9】
前記ダイヤフラムは、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって製作されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端子と電池容器内の電極との間の電流経路を遮断する電流遮断機構を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車両用のモータやその他の電子機器の電源として二次電池が広く用いられている。二次電池では、例えば、過充電、過昇温または外力による破損などによって電池内部のガス圧が上昇した場合に、電流を遮断して安全性を高める必要がある。このような二次電池として、ケースの内圧が上昇することに応じて変形し、集電体との機械的な接続を断つ変形部材によって、電流を遮断する二次電池が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1では、二次電池の電流を遮断する遮断機構に誤作動を生じさせる虞がある遮断機構に加わる振動を防止することを課題とし、その解決手段として、ケースの外側に突出し、変形部材と電気的に接続される電極端子と、絶縁性材料で形成され、ケースに固定された状態で集電体を支持するホルダとを有している。ホルダは、ボスを有しており、ボスは、集電体を貫通し、先端部が熱かしめ処理によって集電体の外面に沿って形成されている。特許文献1では、ボスに熱かしめ処理を施すことにより、集電体に対してボスを隙間なく接触させることができ、ホルダによって集電体を支持する部分にガタが発生するのを抑制でき、集電体の振動を抑制することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−225500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の二次電池では、正極集電体の台座に設けられた貫通孔に、集電体ホルダのボスを挿入して電池ケース底面へ向く方向に通し、ボスの先端を熱かしめ処理している。これにより、拡径されたボスの先端が、集電体の台座の電池ケース底面を向く面に密着し、集電体の台座を貫通するボスの軸方向において、集電体とボスの先端との隙間を減少させ、集電体の振動を抑制している。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の二次電池では、組立時に集電体の台座の貫通孔に集電体ホルダのボスを通すため、貫通孔とボスの寸法公差によって貫通孔の内周面とボスの外周面との間に径方向の隙間が生じる。この隙間をボスの熱かしめ処理によって埋めるのは困難であるため、熱かしめ処理後も貫通孔の内周面とボスの外周面との間に径方向の隙間が残存する。そのため、集電体の台座がボスの径方向に振動し、遮断機構に振動が加わって、遮断機構の誤作動が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電流遮断機構に加わる振動をより確実に抑制することができる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明の二次電池は、外部端子と電池容器内の電極との間の電流経路を遮断する電流遮断機構を備えた二次電池であって、前記電流遮断機構は、前記電極に接続された集電板と、該集電板の基部に接続され、前記電池容器内の圧力上昇によって変形して前記基部との接続が断たれるダイヤフラムと、該ダイヤフラムおよび前記集電板の基部を前記電池容器の内側に固定する絶縁部材と、を備え、前記絶縁部材は、前記基部の厚さ方向に突出する複数の突起部を有し、前記基部は、前記突起部を前記厚さ方向に通す複数の切り欠き部を有し、前記突起部は、前記基部の前記絶縁部材と反対側の端面および前記厚さ方向に沿う側面に係合する係合部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二次電池では、電池容器の内側に集電板の基部を固定する絶縁部材から集電板の基部を貫通する方向に延びた突起部が、集電板の基部に設けられた切り欠き部を通って該切り欠き部に沿って配置される。そして、該突起部は、集電板の基部の絶縁部材と反対側の端面および基部の厚さ方向に沿う側面とに係合する係合部を有している。これにより、絶縁部材と係合部との間に集電板の基部が保持されて集電板が基部の厚さ方向に振動することが防止されるだけでなく、集電板の基部の側面が係合部によって支持固定され、集電板が突起部の径方向に振動することが防止される。したがって、集電板から電流遮断機構に加わる振動をより確実に抑制することができ、電流遮断機構の誤作動をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る二次電池の外観を示す斜視図。
図2図1に示す二次電池の分解斜視図。
図3図1に示す二次電池の電極群の分解斜視図。
図4図1に示す二次電池の電流遮断機構周辺の拡大断面図。
図5図1に示す二次電池の電流遮断機構周辺の分解斜視図。
図6図5に示す電流遮断機構周辺の各部材を組み立てた状態を示す斜視図。
図7図6に示す絶縁部材の突起部を集電板の基部に熱溶着した状態を示す斜視図。
図8A図7に示す突起部の拡大側面図。
図8B図7に示す突起部の拡大斜視図。
図9A】集電板の基部の切り欠き部の例を示す拡大平面図。
図9B】集電板の基部の切り欠き部の例を示す拡大平面図。
図9C】集電板の基部の切り欠き部の例を示す拡大平面図。
図9D】集電板の基部の切り欠き部の例を示す拡大平面図。
図10図6に相当する本発明の実施形態2に係る二次電池の斜視図。
図11A】集電板の基部の切り欠き部の配置例を示す平面図。
図11B】集電板の基部の切り欠き部の配置例を示す平面図。
図12A】従来の二次電池での絶縁部材に対する集電板の固定を説明する拡大断面図。
図12B】従来の二次電池での絶縁部材に対する集電板の固定を説明する拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、図面を参照して本発明の二次電池の実施形態1を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の二次電池100の斜視図である。
【0013】
本実施形態の二次電池100は、例えば、長方形板状の電池蓋11と有底角筒状の電池缶12によって構成される扁平箱形の電池容器10を備えた角形二次電池である。電池容器10は、例えばアルミニウム合金等の金属材料によって製作されている。
【0014】
電池容器10の幅方向すなわち電池蓋11の長手方向の両端には、電池容器10の外側で電池蓋11の上面に、正極および負極の外部端子20A,20Bが設けられている。外部端子20A,20Bと電池蓋11との間には、絶縁部材2が配置され、外部端子20A,20Bが電池蓋11に対して電気的に絶縁されている。正極の外部端子20Aは、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金によって製作され、負極の外部端子20Bは、例えば銅または銅合金によって製作されている。
【0015】
電池蓋11の正極および負極の外部端子20A,20Bの間には、ガス排出弁13と注液口14とが設けられている。ガス排出弁13は、例えば電池蓋11を薄肉化して溝部13aを形成することによって設けられ、電池容器10の内部の圧力が所定値を超えて上昇した時に開裂して内部のガスを放出することで、電池容器10の内部の圧力を低下させる。注液口14は、電池容器10の内部に電解液を注入するのに用いられ、例えばレーザ溶接によって注液栓15が溶接されて封止されている。
【0016】
図2は、図1に示す二次電池100の分解斜視図である。
【0017】
電池蓋11の長手方向の両端で、電池容器10の内側となる電池蓋11の下面には、絶縁部材3A,3Bを介して正極および負極の集電板30A,30Bが固定されている。集電板30A,30Bは、それぞれ、電池蓋11の下面に略平行に設けられて絶縁部材3A,3Bに固定された基部31と、基部31から電池缶12の底面12cに向けて延びる端子部32と、を有している。正極の集電板30Aは、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって製作され、負極の集電板30Bは、例えば、銅または銅合金によって製作される。
【0018】
二次電池100は、正極の外部端子20Aと電池容器10内の電極との間の電流経路を遮断する電流遮断機構50を備えている。電流遮断機構50は、主な構成要素として、正極側の集電板30Aと、ダイヤフラム5と、該ダイヤフラム5および集電板30Aの基部31を電池容器10の内側となる電池蓋11の下面に固定する絶縁部材3Aとを含んでいる。
【0019】
ダイヤフラム5は、集電板30Aの基部31に接続され、外部端子20Aと電池容器10内の電極群40が備える後述の正電極41(図3参照)との間の電流経路の一部を構成している。詳細は後述するが、ダイヤフラム5は、電池容器10内の圧力上昇によって電池容器10の外方に向けて変形して、集電板30Aの基部31との接続を断つように構成されている。
【0020】
正極および負極の集電板30A,30Bのそれぞれの端子部32は、電池容器10の厚さ方向における基部31の両側から、電池缶12の最大面積の広側面12bに沿って電池缶12の底面12cに向けて延びる板状に形成されている。集電板30A,30Bのそれぞれの端子部32は、後述する電極群40の捲回軸D方向において、基部31の外側の端部から延びて電極群40の端部の集電板接合部41d,42dにそれぞれ接合されている。
【0021】
これにより、正極の集電板30Aが捲回軸D方向の一方の端部に配置されて電極群40の正電極41に電気的に接続され、負極の集電板30Bが捲回軸D方向の他方の端部に配置されて電極群の負電極42(図3参照)に電気的に接続されている。また、電極群40は、端子部32に接合されることで、集電板30A,30Bおよび絶縁部材3A,3Bを介して電池蓋11に固定されている。また、外部端子20A,20B、絶縁部材2、絶縁部材3A,3B、集電板30A,30B、電流遮断機構50、および電極群40が電池蓋11に組み付けられることで、蓋組立体60が構成されている。
【0022】
二次電池100の製造時に、蓋組立体60は、電極群40と電池缶12との間に不図示の絶縁シートを配置してこれらの間を電気的に絶縁した状態で、電極群40の下方側の湾曲部40bから電池缶12の開口部12aに挿入される。電極群40は、捲回軸D方向の両側に電池缶12の狭側面12d,12dが位置し、捲回軸D方向が電池缶12の底面12cおよび広側面12bに略平行に沿うように電池缶12内に収容される。
【0023】
これにより、電極群40は、一方の湾曲部40bが電池蓋11に対向し、もう一方の湾曲部40bが電池缶12の底面12cに対向し、平面部40aが広側面12bに対向した状態になる。そして、電池蓋11によって電池缶12の開口部12aを閉塞した状態で、例えば、レーザ溶接によって電池蓋11の全周を電池缶12の開口部12aに接合することで、電池蓋11と電池缶12からなる電池容器10が形成される。
【0024】
その後、電池蓋11の注液口14を介して電池容器10の内部に非水電解液を注入し、例えば、レーザ溶接によって注液栓15を注液口14に接合して封止することで、電池容器10が密閉されている。電池容器10の内部に注入する非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
【0025】
図3は、図2に示す電極群40の一部を展開した分解斜視図である。
【0026】
電極群40は、セパレータ43,44を介在させて積層させた正負の電極41,42を捲回軸Dに平行な軸心の周りに捲回して扁平形状に成形した捲回電極群である。電極群40は、電池缶12の広側面12bに対向して配置される平坦な一対の平面部40aと、電池蓋11および電池缶12の底面12cに対向して配置される半円筒状の一対の湾曲部40bを有している。セパレータ43,44は、正電極41と負電極42との間を絶縁すると共に、最外周に捲回された負電極42の外側にもセパレータ44が捲回されている。
【0027】
正電極41は、正極集電体である正極箔41aと、正極箔41aの両面に塗布された正極活物質合剤からなる正極合剤層41bとを有している。正電極41の幅方向の一側は、正極合剤層41bが形成されず、正極箔41aが露出した箔露出部41cとされている。正電極41は、箔露出部41cが負電極42の箔露出部42cと捲回軸D方向の反対側に配置されて、捲回軸Dの周りに捲回されている。
【0028】
正電極41は、例えば、正極活物質に導電材、結着剤および分散溶媒を添加して混練した正極活物質合剤を、幅方向の一側を除いて正極箔41aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。正極箔41aとしては、例えば、厚さ約20μmのアルミニウム箔を用いることができる。正極箔41aの厚みを含まない正極合剤層41bの厚さは、例えば、約90μmである。
【0029】
正極活物質合剤の材料としては、例えば、正極活物質として100重量部のマンガン酸リチウム(化学式LiMn)を、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛を、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を、分散溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を、それぞれ用いることができる。正極活物質は、前記したマンガン酸リチウムに限定されず、例えば、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム、一部を金属元素で置換またはドープしたリチウムマンガン複合酸化物を用いてもよい。また、正極活物質として、層状結晶構造を有するコバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、およびこれらの一部を金属元素で置換またはドープしたリチウム−金属複合酸化物を用いてもよい。
【0030】
負電極42は、負極集電体である負極箔42aと、負極箔42aの両面に塗布された負極活物質合剤からなる負極合剤層42bとを有している。負電極42の幅方向の一側は、負極合剤層42bが形成されず、負極箔42aが露出した箔露出部42cとされている。負電極42は、その箔露出部42cが正電極41の箔露出部41cと捲回軸D方向の反対側に配置されて、捲回軸D周りに捲回されている。
【0031】
負電極42は、例えば、負極活物質に結着剤および分散溶媒を添加して混練した負極活物質合剤を、幅方向の一側を除く負極箔42aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。負極箔42aとしては、例えば、厚さ約10μmの銅箔を用いることができる。負極箔42aの厚みを含まない負極合剤層42bの厚さは、例えば、約70μmである。
【0032】
負極活物質合剤の材料としては、例えば、負極活物質として100重量部の非晶質炭素粉末を、結着剤として10重量部のPVDFを、分散溶媒としてNMPをそれぞれ用いることができる。負極活物質は、前記した非晶質炭素に限定されず、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi等)、またはそれらの複合材料を用いてもよい。負極活物質の粒子形状についても特に限定されず、鱗片状、球状、繊維状または塊状等の粒子形状を適宜選択することができる。
【0033】
なお、前記した正極および負極の合剤層41b,42bに用いる結着材は、PVDFに限定されない。前記した結着材として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いてもよい。
【0034】
また、セパレータ43,44を介在させて正電極41および負電極42を重ねて捲回する際の軸芯は、例えば、正極箔41a、負極箔42a、セパレータ43,44のいずれよりも曲げ剛性の高い樹脂シートを捲回したものを用いることができる。
【0035】
電極群40の捲回軸D方向において、負電極42の負極合剤層42bの幅は、正電極41の正極合剤層41bの幅よりも広くなっている。また、電極群40の最内周と最外周には負電極42が捲回されている。これにより、正極合剤層41bは、電極群40の最内周から最外周まで負極合剤層42bの間に挟まれている。
【0036】
正電極41および負電極42の箔露出部41c,42cはそれぞれ電極群40の平面部40aで束ねられて前記した集電板接合部41d,42d(図2参照)が形成される。正電極41および負電極42のそれぞれの集電板接合部41d,42dは、例えば超音波溶接等によって、正極および負極の集電板30A,30Bのそれぞれの端子部32に接合される。これにより、正極側および負極側において、外部端子20A,20Bが、それぞれ集電板30A,30Bを介して、電極群40を構成する正負の電極41,42とそれぞれ電気的に接続される。
【0037】
なお、電極群40の捲回軸D方向において、セパレータ43,44の幅は負極合剤層42bの幅よりも広いが、正電極41および負電極42の箔露出部41c,42cは、それぞれセパレータ43,44の幅方向端部よりも幅方向外側に突出している。したがって、セパレータ43,44は、箔露出部41c,42cを束ねて溶接する際の支障にはならない。
【0038】
図4は、図1に示す二次電池100の幅方向すなわち電極群40の捲回軸D方向に沿う電流遮断機構50周辺の拡大断面図である。図5は、図4に示す電流遮断機構50周辺の各部材の分解斜視図である。なお、図5では、電極群40の図示を省略し、絶縁部材3Aの突起部3dに係合部3fが形成される前の状態を表している。
【0039】
電池容器10内に収容された電流遮断機構50は、構成要素として、正電極41に接続された集電板30Aと、集電板30Aの基部31に接続されたダイヤフラム5と、該ダイヤフラム5および集電板30Aの基部31を電池容器10の内側に固定する絶縁部材3Aとを含み、外部端子20Aと電池容器10内の正電極41との間の電流経路の一部を構成している。
【0040】
外部端子20Aは、電池容器10外側の絶縁部材2とガスケット4を介して電池容器10の外側で電池蓋11の上面に固定されている。ダイヤフラム5は、絶縁部材3Aと導電板6とを介して電池容器10の内側で電池蓋11の下面に固定されている。集電板30Aは、基部31が、絶縁部材3Aを介して電池蓋11の下面に固定されている。集電板30Aの基部31と、絶縁部材3Aとの間の空間には、ダイヤフラム5と導電板6が配置されている。
【0041】
外部端子20Aは、電池容器10の幅方向すなわち捲回軸D方向に沿って延びる板状部21と、該板状部21の捲回軸D方向の外側の端部に設けられた円柱状の接続部22と、板状部21および接続部22を貫通する貫通孔23と、ボルト24とを有している。ボルト24は、板状部21の捲回軸D方向の内側の端部に設けられた貫通孔21aに板状部21の下面側から上面側へ向けて挿通されている。板状部21は、捲回軸D方向における中央部に、捲回軸D方向に交差する方向、例えば電池容器10の厚さ方向に沿って溝部21bが形成されることで、部分的に厚さが薄くされている。
【0042】
外部端子20Aの接続部22は、板状部21から電池蓋11を貫通する軸方向の先端に向けて、直径が拡大された拡径部22aと、直径が縮小された縮径部22bと、該縮径部22bの先端を塑性変形させて拡径したかしめ部22cと、を有している。外部端子20Aの貫通孔23は、接続部22の軸方向に沿って外部端子20Aを貫通し、板状部21の上面とかしめ部22cの中央部に開口している。
【0043】
電池容器10外側の絶縁部材2は、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、外部端子20Aの板状部21の周側面を覆う縁部2aと、板状部21の底面および電池蓋11の上面に密着する底部2bと、を有している。絶縁部材2の縁部2aは、板状部21の周側面を覆うことで、板状部21と電池蓋11またはその他の部材との短絡を防止している。絶縁部材2の底部2bは、外部端子20Aの板状部21と電池蓋11との間に配置され、これらを電気的に絶縁している。絶縁部材2の底部2bには、電池蓋11の上面に設けられた凹部11aに係合する凸部2cと、外部端子20Aの接続部22を挿通させる開口部2dとが設けられている。凸部2cの内側には、ボルト24の頭部が収容されている。
【0044】
ガスケット4は、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、円筒状の筒状部4aと、筒状部4aの軸方向において電池容器10外方側の端部に設けられたフランジ部4bとを有している。ガスケット4の筒状部4aは、内側に外部端子20Aの接続部22を挿通させた状態で、電池蓋11の貫通孔11bに挿通され、外部端子20Aの接続部22と電池蓋11の貫通孔11bの内周面との間に配置され、接続部22と電池蓋11とを電気的に絶縁している。ガスケット4のフランジ部4bは、絶縁部材2の開口部2d内に配置され、電池蓋11の貫通孔11bの周囲に設けられた凹状の段差部11cに係合し、該段差部11cと外部端子20Aの板状部21の底面との間で圧縮されている。これにより、ガスケット4は、凹状の段差部11cと板状部21の底面に密着し、電池蓋11の貫通孔11bを封止している。
【0045】
電池容器10内側の絶縁部材3Aは、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、電池容器10の幅方向すなわち電極群40の捲回軸D方向に延在する本体部3aと、本体部3aの延在方向中央部に設けられた貫通孔3bと、を有している。絶縁部材3Aの本体部3aは、導電板6およびダイヤフラム5を配置するための凹部3cと、集電板30Aの基部31を固定するための複数の突起部3dと、を有している。絶縁部材3Aの凹部3cの電池容器10の内方を向く面には、導電板6の平面形状に対応する平面形状に形成されて導電板6を係合させる係合凹部3eが設けられている。
【0046】
絶縁部材3Aの複数の突起部3dは、集電板30Aの基部31を貫通する方向、すなわち基部31の厚さ方向に突出している。突起部3dは、集電板30Aの基部31に設けられた切り欠き部33に対応する位置に設けられ、切り欠き部33の平面形状に沿う断面形状を有し、切り欠き部33に通されて、切り欠き部33の内周面に沿って配置されている。本実施形態の突起部3dは、円形の断面形状を有する円柱状に形成されている。
【0047】
突起部3dは、径方向の一部が切り欠き部33の深さ方向、すなわち捲回軸D方向に入り込み、切り欠き部33の内側に配置され、切り欠き部33の内周面に係合している。本実施形態において、突起部3dは、径方向の半分すなわち断面視で半円の部分が、切り欠き部33の深さ方向に入り込んで切り欠き部33に係合している。突起部3dは、集電板30Aの基部31の絶縁部材3Aと反対側の端面である下端面31aおよび基部31の厚さ方向に沿う側面31bに係合する係合部3fを有している。
【0048】
本実施形態において、突起部3dを含む絶縁部材3Aは、熱可塑性の樹脂材料によって形成され、係合部3fは、集電板30Aの基部31の下端面31aと側面31bとに熱溶着されている。係合部3fは、例えば、突起部3dの先端が熱溶着によって可塑化して拡径されることで形成され、集電板30Aの基部31の下端面31aと側面31bに密着している。
【0049】
導電板6は、平面形状が円形の板状の部材である。なお、導電板6の平面形状は、電池容器10の幅方向を長手方向とする長円形または楕円形に形成してもよい。導電板6は、外部端子20Aの接続部22を挿通させる貫通孔6aと、ダイヤフラム5の周縁部5aを係合させる環状溝6bを有している。導電板6の環状溝6bには、ダイヤフラム5の周縁部5aが、例えばレーザ溶接によって接合されている。導電板6は、電池容器10内側の絶縁部材3Aの係合凹部3eに係合し、貫通孔6aに外部端子20Aの接続部22が挿通されている。導電板6は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等、正極の外部端子20Aおよび集電板30Aと同一の材料によって製作することができる。
【0050】
導電板6の貫通孔6aを貫通した接続部22は、先端が導電板6の電池容器10内方を向く面6cで拡径され、先端にかしめ部22cが形成されている。これにより、導電板6が絶縁部材3Aを介して電池蓋11に固定され、外部端子20Aとダイヤフラム5との間に配置されてこれらを電気的に接続している。なお、導電板6の電池容器10内方を向く面6cは、リブや凸部を有さない平坦な面であることが好ましい。導電板6の電池容器10内方を向く面6cが平坦であれば、かしめ部22cがリブや凸部に干渉することが防止されるので、かしめ部22cの直径を確保して外部端子20Aの接続部22によるかしめ固定の強度を確保することができるからである。
【0051】
なお、本実施形態の二次電池100では、負極の外部端子20Bと集電板30Bとの間に電流遮断機構50は設けられていない。そのため、負極の外部端子20Bは、貫通孔23を有していないが、正極の外部端子20Aの接続部22と同様の接続部を有している。負極の外部端子20Bの接続部は、集電板30Bの基部31を貫通し、先端が基部31の電池容器10内方を向く面で拡径され、先端に正極の接続部22のかしめ部22cと同様のかしめ部が設けられている。これにより、負極の外部端子20Bが集電板30Bの基部31に電気的に接続されると共に、絶縁部材3Bを介して集電板30Bの基部31が電池蓋11に固定されている。
【0052】
このように、外部端子20A,20B、電池容器10外側の絶縁部材2、ガスケット4、電池容器10内側の絶縁部材3A,3Bおよび導電板6は、電池蓋11に一体的にかしめ固定されている。すなわち、正極の外部端子20Aは、板状部21が電池容器10の外側で電池蓋11の上面に配置され、接続部22が電池容器10外側の絶縁部材2の開口部2dと、ガスケット4の筒状部4aと、電池蓋11の貫通孔11bと、電池容器10内側の絶縁部材3Aの貫通孔3bと、導電板6の貫通孔6aとを貫通してかしめ部22cが形成されることで、これらの部材を一体的に固定している。また、各部材を貫通した外部端子20Aの接続部22に設けられた貫通孔23によって、電池容器10の外部空間と、導電板6とダイヤフラム5との間の空間とが連通している。
【0053】
負極側の構成は、外部端子20Bが貫通孔23を有さず、絶縁部材3Bの構成が正極側の絶縁部材3Aと異なり、導電板6およびダイヤフラム5を有さず、外部端子20Bの接続部が集電板30Bの基部31を貫通してかしめ部が形成されている以外は、前記の正極側の構成と同様である。
【0054】
ダイヤフラム5は、集電板30Aの基部31よりも電池容器10の外方側に配置されて電池容器10の内方を向く凸形状を有している。ダイヤフラム5は、導電板6の平面形状に対応した円形、楕円形または長円形の平面形状を有し、電池蓋11に垂直な電池容器10の高さ方向に深さを有する椀状の形状に形成されている。ダイヤフラム5は、電池容器10の外方側から内方側へ、電池蓋11から電池缶12の底面に向く方向に、順次、周縁部5a、側壁部5b、底壁部5c、および突起部5dを有している。ダイヤフラム5は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等、正極の外部端子20Aおよび集電板30Aと同一の材料によって製作することができる。
【0055】
ダイヤフラム5の周縁部5aは、電池蓋11に平行な方向に沿うように曲折され、導電板6の電池容器10内方を向く面に形成された環状溝6bに係合し、環状溝6bの底部に当接して、例えば、レーザ溶接によって導電板6に接合されている。これにより、ダイヤフラム5の電池容器10外方側の空間は、電池容器10の内部空間から隔絶されて、外部端子20Aの貫通孔23によって電池容器10の外部空間と連通している。
【0056】
ダイヤフラム5の側壁部5bは、周縁部5aから電池蓋11と垂直な方向に沿って電池缶12の底面12cに向けて伸長し、電池蓋11と垂直な方向に対する角度が電池蓋11と平行な方向に対する角度よりも小さくされている。ダイヤフラム5の底壁部5cは、側壁部5bの端部から電池蓋11と平行な方向に沿ってダイヤフラム5の中央部に向けて伸展し、電池蓋11と垂直な方向に対する角度が電池蓋11と平行な方向に対する角度よりも大きくされている。また、底壁部5cの電池容器10の内方を向く面は、凸曲面とされている。
【0057】
ダイヤフラム5の突起部5dは、平面視でダイヤフラム5の平面形状と相似する形状に形成され、底壁部5cの中央部において電池容器10内方に向けて突出するように形成されている。ダイヤフラム5の突起部5dは、例えば、レーザ溶接、抵抗溶接または超音波溶接によって、集電板30Aの凹部31d内で脆弱部31fの内側の接合部31gに接合されている。これにより、ダイヤフラム5は、集電板30Aおよび導電板6を介して正電極41および外部端子20Aに電気的に接続され、正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の一部を構成している。
【0058】
正極の集電板30Aは、前記したように、絶縁部材3Aに固定される基部31と、電極群40の正電極41の集電板接合部41dに接合される端子部32とを有している。集電板30Aの基部31は、絶縁部材3Aの突起部3dを基部31の厚さ方向に通す複数の切り欠き部33を有している。本実施形態では、切り欠き部33は、電極群40の捲回軸D方向において、集電板30Aの基部31の外側と内側にそれぞれ形成されている。
【0059】
電極群40の捲回軸D方向において、集電板30Aの端子部32は、基部31の外側の端部から延びて電極群40の一方の端部において正電極41の集電板接合部41dに接合されている。この電極群40の捲回軸D方向において、図5に示すように、集電板30Aの基部31の外側の切り欠き部33の深さd1は、内側の切り欠き部33の深さd2よりも深いことが好ましい。
【0060】
また、本実施形態では、電極群40の捲回軸D方向において、図5に示すように、集電板30Aの基部31の外側と内側に、それぞれ一対の切り欠き部33が設けられ、外側の一対の切り欠き部33の間隔w1が、内側の一対の切り欠き部33の間隔w2よりも狭くなっている。
【0061】
集電板30Aの基部31の電池容器10外方側を向き、ダイヤフラムと対向する上端面には、凹部31dが形成され、該凹部31dの底部の薄肉部31eにダイヤフラム5の突起部5dが接合されている。集電板30Aの基部31に設けられた凹部31dは、ダイヤフラム5の凸形状に沿う傾斜面と、ダイヤフラム5が電池容器10の外方に向けて変形する際に破断する脆弱部31fと、を有している。凹部31dは、平面視でダイヤフラム5の平面形状に対応する平面形状を有し、例えば円形の平面形状に形成されている。凹部31dの形成方法は、特に限定されないが、例えば、集電板30Aの基部31にプレス加工によって形成することができる。
【0062】
集電板30Aの基部31に設けられた凹部31dは、傾斜面を有することで、周縁部から中央部に向けて、漸次、底壁の肉厚が薄くなり、傾斜面によって囲まれた中央部に薄肉部31eが設けられている。薄肉部31eは、平面視で円形に形成され、ダイヤフラム5の突起部5dの底面全体と接触する面積を有している。薄肉部31eの中央部には円環状の脆弱部31fが設けられ、脆弱部31fによって囲まれた部分がダイヤフラム5に接合される接合部31gとされている。脆弱部31fは、薄肉部31eに形成された溝によって設けられ、薄肉部31eよりも肉厚が薄くなっている。脆弱部31fの外側の薄肉部31eには、ダイヤフラム5の突起部5dの底面が当接しているが、接合はされていない。
【0063】
次に、集電板30Aの基部31の切り欠き部33に絶縁部材3Aの突起部3dを通し、突起部3dに係合部3fを形成する手順について説明する。
【0064】
図6は、集電板30Aの基部31の切り欠き部33に絶縁部材3Aの突起部3dを通した状態を示す斜視図である。図7は、集電板30Aの基部31の切り欠き部33に通した突起部3dに係合部3fを形成した状態を示す斜視図である。図8Aは、係合部3fが形成された突起部3dの拡大側面図であり、図8Bは、係合部3fが形成された突起部3dの拡大斜視図である。
【0065】
まず、図4に示すように、外部端子20Aの接続部22を、電池容器10外側の絶縁部材2の開口部2d、ガスケット4の筒状部4a、電池容器10内側の絶縁部材3Aの貫通孔3bおよび導電板6の貫通孔6aに通す。そして、接続部22の先端にかしめ部22cを形成し、外部端子20A、絶縁部材2、ガスケット4、絶縁部材3Aおよび導電板6を電池蓋11に一体的にかしめ固定して、導電板6の環状溝6bにダイヤフラム5の周縁部5aを接合する。
【0066】
次に、図6に示すように、集電板30Aの基部31の切り欠き部33に、絶縁部材3Aの突起部3dを基部31の厚さ方向に通す。そして、突起部3dの先端部に、例えば加熱用治具を押し当て、先端部を可塑化させて拡径すると共に集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bに密着させる。その後、突起部3dの先端部を固化させることで、図7および図8に示すように、集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bに係合し、下端面31aおよび側面31bに熱溶着された係合部3fが形成される。
【0067】
これにより、係合部3fは、下端面31aと側面31bとの境界に形成される角部31Cに熱溶着されると共に、角部31Cに隣接する下端面31aと側面31bに熱溶着される。また、係合部3fは、下端面31aと側面31bとに密着して、下端面31aと側面31bとに当接した状態となる。
【0068】
以下、本実施形態の二次電池100の作用について説明する。
【0069】
前記したように、本実施形態の二次電池100は、外部端子20Aと電池容器10内の正電極41との間の電流経路に設けられた電流遮断機構50が、電池容器10内に収容され、外部端子20Aに接続されたダイヤフラム5と正電極41に接続された集電板30Aとを備えている。また、ダイヤフラム5の電池容器10内方側の面は、電池容器10の内部空間に面し、ダイヤフラム5の電池容器10外方側の空間は、電池容器10の外部空間に連通している。
【0070】
このような構成に基づき、本実施形態の二次電池100は、平常時において、外部端子20A,20Bを介して供給された電力を、電流遮断機構50を含む電流経路を流れる電流によって電極群40に蓄積する。また、二次電池100は、電極群40に蓄積した電力を、電流遮断機構50を含む電流経路を流れる電流によって外部端子20A,20Bを介して外部機器に供給する。
【0071】
例えば、二次電池100の過充電、過昇温または外力による破損などによって電池容器10内部のガス圧が上昇すると、ダイヤフラム5の電池容器10内方側の面に作用する圧力が、電池容器10外方側の面に作用する圧力よりも大きくなる。そして、電池容器10内部のガス圧が設定された圧力に達すると、ダイヤフラム5が電池容器10外方に向けて座屈するように塑性変形し、ダイヤフラム5の突起部5dに接合された集電板30Aの接合部31gに電池容器10外方を向く力が作用して脆弱部31fが破断する。これにより、ダイヤフラム5と集電板30Aの基部31との接続が断たれ、外部端子20Aと電池容器10内の正電極41との間の電流経路が遮断される。
【0072】
図12に示すように、従来の二次電池においては、集電体の台座901の貫通孔901aに、集電体ホルダ902のボス903を通すため、貫通孔901aの径がボス903の径よりも一回り大きくされ、貫通孔901aの内周面とボス903の外周面との間に径方向の隙間Gが生じる。このような隙間Gを、図12Aに示すような加熱用治具Jを用いたボス903の熱かしめ処理によって埋めるのは困難である。そのため、熱かしめ処理後も、図12Bに示すように、貫通孔901aの内周面とボス903の外周面との間に径方向の隙間Gが残存する。そのため、集電体の台座901がボス903の径R方向に振動し、遮断機構に振動が加わって、遮断機構の誤作動が生じる虞がある。
【0073】
これに対し、本実施形態の二次電池100は、電池容器10内の絶縁部材3Aが集電板30Aの基部31の厚さ方向に突出する突起部3dを有し、集電板30Aの基部31が厚さ方向に突起部3dを通す切り欠き部33を有している。そして、突起部3dは、集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bに係合する係合部3fを有している。
【0074】
これにより、絶縁部材3Aと係合部3fとの間に集電板30Aの基部31が保持されて、集電板30Aが基部31の厚さ方向に振動することが防止されるだけでなく、集電板30Aの基部31の側面31bが係合部3fによって支持固定され、集電板30Aが突起部3dの径方向に振動することが防止される。したがって、集電板30Aから電流遮断機構50に加わる振動をより確実に抑制することができ、例えば、集電板30Aの振動による脆弱部31fの破断などに起因する、電流遮断機構50の誤作動をより確実に防止することができる。
【0075】
また、絶縁部材3Aの突起部3dは、熱可塑性の樹脂材料によって形成されている。そして、突起部3dの係合部3fは、集電板30Aの基部31の下端面31aと側面31bとに熱溶着されている。これにより、係合部3fを集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bに密着させて隙間をなくすことができるだけでなく、係合部3fによって集電板30Aの基部31を支持固定することができ、集電板30Aの振動を抑制することができる。
【0076】
また、係合部3fは、集電板30Aの基部31の下端面31aと側面31との角部31Cに熱溶着されている。そのため、係合部3fによって基部31の角部31Cを強固に支持固定することができる。また、係合部3fによって基部31の角部31Cを跨いで下端面31aおよび側面31を強固に支持固定することができ、集電板30Aの振動を効果的に抑制することができる。
【0077】
また、突起部3dの係合部3fは、突起部3dの先端を拡径させて形成されている。これにより、係合部3fの径を突起部3dの径と等しいか突起部3dの径よりも縮径させる場合と比較して、突起部3dに作用する軸方向の力に対する突起部3dの強度を向上させることができる。また、係合部3fと集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bとの接触面積を増加させ、集電板30Aをより強固に支持固定することができ、集電板30Aの振動をより効果的に抑制することができる。
【0078】
また、二次電池100は、正電極41と負電極42をセパレータ43,44と交互に積層して捲回軸D周りに捲回した電極群40を備えている。そして、集電板30A,30Bは、電極群40の捲回軸D方向の端部に配置されている。
【0079】
このような構成により、電極群40は、電池容器10内で集電板30A,30Bによって支持され、平面部40aに垂直な厚さ方向に略隙間がない状態で、セパレータ44および絶縁シートを介して電池容器10の広側面12bに対向している。一方、電極群40は、捲回軸D方向において、電池容器10の狭側面12dとの間に一定の空間を有している。そのため、例えば、二次電池100に慣性力や振動が作用すると、電極群40は、厚さ方向よりも捲回軸D方向に振動しやすい。
【0080】
ここで、本実施形態の二次電池100では、集電板30Aの基部31の切り欠き部33は、捲回軸D方向において、基部31の外側と内側にそれぞれ形成されている。そのため、仮に、切り欠き部33の内周面と突起部3dの外周面との間に隙間が生じても、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の外側と内側の側面31bを、該側面31bに密着した係合部3fによって支持固定することができる。したがって、電極群40が比較的振動しやすい捲回軸D方向において、集電板30Aの基部31を強固に支持固定し、集電板30Aの振動をより効果的に抑制することができる。
【0081】
また、集電板30Aは、基部31の捲回軸D方向の外側の端部から延びて電極群40の捲回軸D方向の端部において正電極41に接続された端子部32を有している。そのため、二次電池100に慣性力や振動が作用すると、電極群40からの荷重が、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の内側よりも外側により多く作用する。
【0082】
ここで、本実施形態の二次電池100では、捲回軸D方向において、集電板30Aの基部31の外側の切り欠き部33の深さd1は、内側の切り欠き部33の深さd2よりも深くなっている。これにより、突起部3dの係合部3fと集電板30Aの基部31の下端面31aとの接触面積を増加させ、突起部3dの軸方向において基部31をより強固に支持固定し、集電板30Aの振動をより効果的に抑制することができる。
【0083】
この切り欠き部33の深さd1,d2と、突起部3dの係合部3fと集電板30Aの基部31の下端面31aとの接触面積および基部31の側面31bとの接触長さとの関係について、図9を用いて説明する。
【0084】
図9は、集電板30Aの下端面31aに垂直な方向から見た切り欠き部33の拡大平面図である。
【0085】
図9に示す例では、切り欠き部33の平面形状は円弧であり、突起部3dおよび係合部3fの平面形状は円形である。図9Aに示すように、係合部3fと集電板30Aの基部31の下端面31aとの接触面積CAは、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径よりも浅い場合と比較して、図9Bに示すように、切り欠き部33の深さdと突起部3dの半径とが等しい場合の方が大きくなる。
【0086】
また、図9Bに示す例よりも、図9Cに示すように、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径よりも深い場合の方が、係合部3fと基部31の下端面31aとの接触面積CAは大きくなる。さらに、図9Cに示す例よりも、図9Dに示すように、切り欠き部33の深さdが突起部3dの直径以上である場合の方が、係合部3fと基部31の下端面31aとの接触面積CAは大きくなる。
【0087】
このように、係合部3fと基部31の下端面31aとの接触面積CAをより大きくすることで、突起部3dの軸方向において基部31をより強固に支持固定し、集電板30Aの振動をより効果的に抑制することができる。なお、図9Cおよび図9Dに示す例において、集電板30Aの基部31の領域Xの部分を切り欠かずに残存させることで、係合部3fと基部31の下端面31aとの接触面積CAをさらに大きくしてもよい。ただし、この場合には、突起部3dを軸方向に切り欠き部33に挿入する必要があり、突起部3dを径方向に切り欠き部33に係合させる場合と比較して、寸法公差を大きくする必要がある。
【0088】
また、突起部3dの径方向の振動を抑制する観点から、係合部3fと集電板30Aの基部31の側面31bとの係合長さLは、より長い方が好ましい。図9Aに示すように、係合部3fと集電板30Aの基部31の側面31bとの係合長さLは、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径よりも浅い場合と比較して、図9Bに示すように、切り欠き部33の深さdと突起部3dの半径とが等しい場合の方が長くなる。
【0089】
しかし、図9Bに示す例よりも、図9Cに示すように、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径よりも深い場合の方が、係合部3fと基部31の側面31bとの係合長さLは短くなる。さらに、図9Cに示す例よりも、図9Dに示すように、切り欠き部33の深さdが、突起部3dの直径以上である場合の方が、係合部3fと基部31の側面31bとの係合長さLは短くなる。
【0090】
したがって、突起部3dの係合部3fと集電板30Aの基部31の下端面31aとの接触面積CAを十分に確保しつつ、係合部3fと基部31の側面31bの係合長さLを長くする観点から、切り欠き部33の深さdは、突起部3dの半径と等しいことが好ましい。なお、図9Cおよび図9Dに示す例において、集電板30Aの基部31の領域Xの部分を切り欠かずに残存させることで、係合部3fと基部31の下端面31aとの係合長さL1を長くしてもよい。
【0091】
また、図9Aおよび図9Bに示すように、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径以下である場合には、突起部3dを切り欠き部33の深さd方向に容易に係合させることができる。そのため、寸法公差を小さくして突起部3dの外周面と切り欠き部33の内周面との間の隙間を小さくすることができる。また、突起部3dを径方向に移動させて切り欠き部33に係合させることができるので、二次電池100の組立を容易にすることができる。
【0092】
なお、図9Cおよび図9Dに示すように、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径以上である場合であっても、例えば領域Xの部分を切り欠くことで、切り欠き部33が集電板30Aの基部31の側面31bに突起部3dの直径以上の開口幅を有していれば、切り欠き部33の深さdが突起部3dの半径以下である場合と同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、本実施形態の二次電池100では、図5に示すように、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の外側と内側に、それぞれ一対の切り欠き部33が設けられ、外側の一対の切り欠き部33の間隔w1が、内側の一対の切り欠き部33の間隔w2よりも狭くなっている。そのため、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の外側に設けられた端子部32と切り欠き部33に係合する突起部3dとの間にクリアランスを設けることができ、係合部3fを形成して基部31の下端面31aと側面31bに熱溶着するのが容易になる。
【0094】
また、ダイヤフラム5が椀形の凸形状を有することで、ダイヤフラム5が平板状の場合と比較して、電池容器10の内部のガス圧が所定の圧力に達するまでの機械的強度を向上させ、ダイヤフラム5の誤作動を防止することができる。また、ダイヤフラム5の表面積を大きくすることができ、電池容器10の内部のガス圧が所定の圧力に達したときに、ダイヤフラム5が反転するように変形させ、圧力に対する変形の応答性を向上させることができる。
【0095】
また、外部端子20Aは、ダイヤフラム5の電池容器10の外方側の空間と電池容器10の外部空間とを連通する貫通孔23を有している。これにより、電池容器10の内部のガス圧の上昇時に、ダイヤフラム5の電池容器10内方側の面に作用する圧力と電池容器10の外方側の面に作用する圧力との間に圧力差を生じさせることができる。したがって、ダイヤフラム5を電池容器10外方に向けて容易かつ確実に変形させ、正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の遮断をより容易かつ確実に行うことが可能になる。
【0096】
また、本実施形態の二次電池100は、外部端子20Aとダイヤフラム5との間に、該ダイヤフラム5の周縁部5aが接合される導電板6を備えている。そして、外部端子20Aは、電池容器10と導電板6を貫通する接続部22を有している。さらに、接続部22は、導電板6の電池容器10の内方を向く面6cで拡径されたかしめ部22cと、導電板6とダイヤフラム5との間の空間に連通する貫通孔23とを有している。これにより、ダイヤフラム5を電池容器10の内部に配置して外部端子20Aと電気的に接続し、ダイヤフラム5の電池容器10の内方側の面が電池容器10の内部空間に面し、ダイヤフラム5の電池容器10外方側の導電板6との間の空間が電池容器10の外部空間と連通する。したがって、ダイヤフラム5を電池容器10外方に向けて容易かつ確実に変形させ、正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の遮断をより容易かつ確実に行うことが可能になる。
【0097】
また、ダイヤフラム5は、正極の外部端子20Aと集電板30Aとの間に配置され、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって構成されている。そのため、負極の外部端子20Bと集電板30Bとの間に、銅または銅合金によって構成したダイヤフラムを配置する場合と比較して、ダイヤフラム5の材料の機械的強度を低下させ、ダイヤフラム5の変形を容易にすることができる。したがって、正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の遮断をより容易かつ確実に行うことが可能になる。なお、電流遮断機構50は、負極側に設けることも可能である。
【0098】
また、ダイヤフラム5が変形して電流遮断機構50によって正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路を遮断した後に、さらに電池容器10内部のガス圧が上昇すると、ガス排出弁13が開裂して電池容器10内部のガスを外部に放出する。これにより、二次電池100の安全性を確保することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態の二次電池100によれば、絶縁部材3Aの突起部3dが集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bに係合する係合部3fを有することで、電流遮断機構50に加わる振動をより確実に抑制することができる。
【0100】
[実施形態2]
次に、本発明の二次電池の実施形態2について図1から図9を援用し、図10を用いて説明する。
【0101】
図10は、本実施形態の二次電池の集電板30Aの基部31の切り欠き部33に絶縁部材3Aの突起部3dを通した状態を示す、実施形態1の図6に相当する斜視図である。
【0102】
本実施形態の二次電池は、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の内側の側面31bのみに切り欠き部33を有し、絶縁部材3Aは、捲回軸D方向の外側に集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bを支持固定する支持凸部3gを有する点で、前述の実施形態1の二次電池100と異なっている。本実施形態の二次電池のその他の点は、前述の実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0103】
本実施形態の二次電池の絶縁部材3Aは、電極群40の捲回軸D方向の内側に一対の突起部3dを有し、捲回軸D方向の外側に一対の支持凸部3gを有している。支持凸部3gは、電池蓋11に垂直で捲回軸D方向に沿う断面形状がL字形に形成され、捲回軸D方向の内側および電極群40の厚さ方向が開放された係合溝3hを有している。
【0104】
集電板30Aを絶縁部材3Aに固定する際には、まず、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の外側の端部を支持凸部3gの係合溝3hに近付け、基部31を電池蓋11に対して傾けた状態で係合溝3hに差し込んで奥に突き当てるように係合させる。次に、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の内側の端部を絶縁部材3Aに近づけるように倒し、突起部3dを切り欠き部33に沿わせるように係合させ、基部31を電池蓋11と略平行になるように絶縁部材3A上に配置する。その後、前述の実施形態1と同様に突起部3dに係合部3fを形成することで、集電板30Aが絶縁部材3Aに固定される。
【0105】
本実施形態の二次電池によれば、実施形態1の二次電池100と同様の効果が得られるだけでなく、突起部3dの先端に係合部3fを形成する工程を削減して生産性を向上させることができる。また、絶縁部材3Aに予め支持凸部3gを形成しておくことができるので、集電板30Aの基部31に支持凸部3gを熱溶着する必要がなく、支持凸部3gの断面積および基部31との接触面積等の設計自由度が向上する。したがって、集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bを支持凸部3gによって強固に支持固定することが可能になり、集電板30Aの振動を効果的に抑制することができる。
【0106】
また、本実施形態の二次電池の集電板30Aの基部31は、捲回軸D方向の内側の側面31bに切り欠き部33を有し、絶縁部材3Aは、電極群40の捲回軸D方向の内側に突起部3dを有し、捲回軸D方向の外側に支持凸部3gを有している。そして、支持凸部3gは、捲回軸D方向の内側が開放された係合溝3hを有している。
【0107】
そのため、前記したように集電板30Aの基部31係合溝3hに差し込んで奥に突き当てるように係合させ、その後、突起部3dを切り欠き部33に沿わせるように係合させることで、集電板30Aの基部31と支持凸部3gとの間に生じる支持凸部3gの径方向の隙間をなくすことができる。さらに、この状態で突起部3dに係合部3fを形成することで、係合部3fが集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の内側の側面31bに隙間なく係合し、基部31の捲回軸D方向の移動が規制される。
【0108】
したがって、本実施形態の二次電池によれば、集電板30Aの基部31の下端面31aおよび側面31bを支持凸部3gおよび突起部3dによって強固に支持固定することが可能になり、集電板30Aの振動を抑制することができる。
【0109】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0110】
例えば、前述の実施形態1では、集電板30Aの基部31が捲回軸D方向の内側と外側にそれぞれ一対の切り欠き部33を有する構成について説明したが、切り欠き部33の配置はこの配置に限定されない。図11Aおよび図11Bに、切り欠き部33の配置の他の例を示す。
【0111】
例えば、電極群40の平面部40aが電池缶12の広側面12bにセパレータ44および絶縁シートを介して密着し、電極群40が厚さ方向に振動しない場合には、図11Aに示すように、切り欠き部33および突起部3dを、集電板30Aの基部31の捲回軸d方向の内側と外側に一つずつ設けてもよい。また、集電板30Aの基部31の捲回軸D方向の内側と外側に一つずつ切り欠き部33を設ける場合でも、図11Bに示すように、基部31の電極群40の厚さ方向の一側にさらに切り欠き部33を設けることができる。
【0112】
この場合、集電板30Aの基部31に、電極群40の厚さ方向の切り欠き部33が形成されていない側面31bから反対の切り欠き部33が形成された側面31bを向く力をかけ、捲回軸D方向の両側の切り欠き部33の内周面に突起部3dの外周面を押し当てて隙間をなくす。この状態で、各突起部3dに係合部3fを形成することで、捲回軸D方向の基部31の振動が捲回軸D方向の両側の係合部3fによって規制されるだけでなく、電極群40の厚さ方向の基部31の振動が、電極群40の厚さ方向の係合部3fと、捲回軸D方向の両側の突起部3dとによって規制される。
【0113】
また、前述の実施形態では突起部および切り欠き部がそれぞれ複数設けられている場合について説明したが、例えば、絶縁部材に前述の支持凸部を設ける場合には、突起部および切り欠き部をそれぞれ1つずつ設けてもよい。
【0114】
また、前述の実施形態では、突起部が円柱状であり、切り欠き部の平面形状が円弧状である場合について説明した。しかし、突起部の断面形状は、円形に限られず、楕円形、長円形、円弧と直線を有するトラックフィールド形状、または多角形などであってもよい。この場合、切り欠き部の平面形状は突起部の断面形状に対応する形状にすることができる。また、突起部は柱状のみならず、円錐、多角錐など、先端と基端の径が異なるものであってもよい。
【0115】
また、前述の実施形態では、突起部の先端を拡径させて係合部を形成したが、係合部は、集電板の基部の絶縁部材と反対側の端面および厚さ方向に沿う側面に係合していれば、突起部の他の部分と同じ径か、または突起部の他の部分よりも縮径されていてもよい。例えば、突起部の基端部よりも先端部を縮径させ、集電板の基部に突起部の先端部のみを通す切り欠き部を設け、突起部の先端部を集電板の基部の切り欠き部に通した後に変形させて係合部を形成することで、突起部の先端を他の部分よりも拡径させることなく係合部を形成することができる。
【0116】
また、前述の実施形態では、突起部が熱可塑性の樹脂材料によって形成され、係合部が集電板の基部の端面と側面とに熱溶着されている構成について説明した。しかし、本発明の二次電池は、突起部を切り欠き部に通した後に先端を変形させて集電板の基部の端面と側面とに係合する係合部を形成することができれば、係合部は集電板の基部の端面と側面とに熱溶着されていなくてもよい。例えば、突起部を金属材料によって形成して絶縁部材に固定し、突起部の先端を塑性変形させてかしめることによって係合部を形成してもよい。
【0117】
また、集電板の基部の切り欠き部は、電極群が比較的動きやすい方向である捲回軸方向の内側と外側の少なくとも一方の端縁に設けることが好ましいが、電池蓋に平行で捲回軸方向に交差する電極群の厚さ方向のみに設けてもよい。また、電流遮断機構は、負極側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0118】
3A…絶縁部材、3d…突起部、3f…係合部、3g…支持凸部、3h…係合溝、5…ダイヤフラム、10…電池容器、11…電池蓋(電池容器)、12…電池缶(電池容器)、20A,20B…外部端子、30A,30B…集電板、31…基部、31a…下端面(端面)、31b…側面、32…端子部、33…切り欠き部、40…電極群、41…正電極(電極)、42…負電極(電極)、43,44…セパレータ、50…電流遮断機構、100…二次電池、d1,d2…深さ、D…捲回軸、w1,w2…間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図12A
図12B