特許第6246913号(P6246913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246913可動家具部材を移動させるための駆動機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246913
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】可動家具部材を移動させるための駆動機構
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/40 20170101AFI20171204BHJP
【FI】
   A47B88/04 E
   A47B88/04 Z
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-519327(P2016-519327)
(86)(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公表番号】特表2016-532464(P2016-532464A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】AT2014000181
(87)【国際公開番号】WO2015051386
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】A785/2013
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランメイヤー,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】フロガウス,アレクサンダー シモン
(72)【発明者】
【氏名】ヘミール,ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ブルム,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,クリストフ
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−526565(JP,A)
【文献】 特表2011−515129(JP,A)
【文献】 特表2014−530688(JP,A)
【文献】 特開2005−337006(JP,A)
【文献】 特表2012−531991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0117048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体(1)であって、
可動家具部材(3)を移動させるための第1の駆動装置(2)、及び、前記第1の駆動装置(2)を第2の駆動装置(7)と同期化させるための同期化装置(6)を備えており、
前記第1の駆動装置(2)は、閉位置(SS)から開位置(OS)へと前記可動家具部材(3)を延出させるためのロック可能な第1の延出装置(4)と、ロック位置(VS)で前記第1の延出装置(4)をロックさせるための第1のロック装置(5)とを有しており、前記第1の延出装置(4)は、前記閉位置(SS)を越える過圧位置(US)への前記可動家具部材(3)の過圧動作によって、前記ロック位置(VS)からロック解除されることができ、
前記同期化装置(6)は前記第1の駆動装置(2)によって可動である、構造体(1)において、
前記第1の駆動装置(2)は、前記可動家具部材(3)の前記過圧位置(US)への過圧動作の開始時に、前記第1の駆動装置(2)から前記同期化装置(6)への動作伝達を生じないように構成されており、
前記第1の駆動装置(2)は、前記可動家具部材(3)の開方向(OR)への動作時に、前記第1の駆動装置(2)から前記同期化装置(6)への動作伝達を許容し、その結果、前記同期化装置(6)は、前記第1の駆動装置(2)によって動かされる、ことを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記同期化装置(6)は、前記可動家具部材(3)とは別に提供されていることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1の延出装置(4)は、収容体(8)、該収容体(8)上で移動可能な延出スライダ(9)、該延出スライダ(9)に作用する延出力保存手段(10)、および前記延出スライダ(9)に対して可動に取り付けられた制御レバー(23)を有しており、
前記第1のロック装置(5)は前記制御レバー(23)に配置されたラッチ要素(11)と、前記ロック位置で前記ラッチ要素(11)が当接するロック要素(12)とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記ラッチ要素(11)が、過圧動作において前記ロック位置(VS)から過圧位置(U)へと移動可能であり、開動作で、延出位置(A)を通って前記延出力保存手段(10)によって移動可能であり、前記ロック要素(12)は、前記開方向(OR)において、前記延出位置(A)で移動される前記ラッチ要素(11)によって移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記第1の駆動装置(2)は、前記ラッチ要素(11)のためのカージオイド状スライド通路(13)を有しており、前記延出力保存手段(10)に応力を付加するために前記収容体(8)内には押圧位置(S)が提供されており、ロック位置(V)がさらに提供されており、前記ロック要素(12)も前記ロック位置(V)を形成しており、前記過圧位置(U)は、前記収容体(8)に提供されており、前記延出位置(A)も前記収容体(8)に提供されていることを特徴とする請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
前記ロック要素(12)は、前記同期化装置(6)に接続されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項7】
前記ロック要素(12)は、可動に前記収容体(8)に取り付けられることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項8】
前記同期化装置(6)は、該同期化装置(6)を前記第1の駆動装置(2)に接続するための連結要素(16)と、該連結要素(16)に接続されている同期化バー(17)とを有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
前記可動家具部材(3)を移動させるためのロック可能な第2の駆動装置(7)を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項10】
前記第2の駆動装置(7)は、前記第1の駆動装置(2)に対して鏡像対称形態であることを特徴とする請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
前記第1又は第2の駆動装置(2;7)のうちの一方のみによる過圧動作が、
前記開方向(OR)における該駆動装置(2;7)の前記延出装置(4)の動作と、前記同期化装置(6)による他方の駆動装置(7;2)への動作伝達によるものであり、
その他方の駆動装置(7;2)の前記延出装置(4)は前記ロック位置(VS)からロック解除できないことを特徴とする請求項9または10に記載の構造体。
【請求項12】
家具筐体(19)と、該家具筐体(19)上で可動である可動家具部材(3)と、請求項1〜11のいずれか一項に記載の構造体(1)とを含んだ家具(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動家具部材を移動させるための第1の駆動装置を含んだ構造体に関し、第1の駆動装置は、閉位置から開位置へと可動家具部材を延出させるためのロック可能な第1の延出装置(first ejection device)と、ロック位置(VまたはVS)で第1の延出装置をロックさせるための第1のロック装置とを有しており、第1の延出装置は、閉位置を越える過圧位置への可動家具部材の過圧動作(overpressing movement)によって、ロック位置からロック解除されることができ、第1の駆動装置を第2の駆動装置と同期化させるための同期化装置をさらに含んでおり、同期化装置は第1の駆動装置によって可動である。さらに本発明は、そのような構造体を含んだ家具にも関する。
【背景技術】
【0002】
可動家具部材(引出し、家具扉、フラップ扉など)を移動または延出させるための駆動装置(いわゆるタッチラッチ機構)は長年にわたって家具産業において既に知られている。このような装置では、開動作は自動的に実施され、延出機構(エジェクト機構)を起動させるよう、ユーザは可動家具部材に圧力をかけるだけでよい。
【0003】
特に、幅広の引出しを扱うときは、任意の位置で引出しにかけられている圧力を確実に検知するため、2体の駆動装置が、引出し、または家具筐体の互いに対向する側部領域に提供されていることが多い。しかしながら、これらの2体の駆動装置の一方だけが、引出しにかけられるその圧力によって起動されると、引出しの傾き姿勢または詰まり、または引掛かりのような問題が発生することがある。
【0004】
これらの問題を解決するため、2体の駆動装置を同期化させるための同期化装置が関与している多様な方法が従来技術から既に知られている。これらのおかげで、2体の互いに離れた駆動装置の動作が連係し、換言すれば同期化される。これは、両側に同じ種類の動作のセットを提供することを意図している。
【0005】
同期化機能を備えたそのような駆動装置または延出装置の例は、特許文献1〜4に開示されている。これらの装置では、全体的なロック解除操作と、さらに延出操作の一部が同期化される。しかしながら、特に過圧動作では、両方の延出装置の延出力保存手段に対して圧力が常にかけられなければならないという欠点を有しており、よって相対的に動かしづらく、動きが遅いロック解除の印象を与える。もう1つの欠点は、両側でのロック解除を達成すべく多くの構成要素(構成部品)の間に大きな空間を必要とするため、比較的大きな前パネルの空間が必要となることである。
【0006】
他の同期化の例は、特許文献5に開示されており、これは特に、確実で問題のない閉動作を保証するため、両側で同時に発生するロック作用(ロック解除ではない)が関与している。
【0007】
さらに、前述の文献とは異なり、同期化要素のごとき延出装置の独立した部品を有していない、特許文献6も存在する。むしろこの場合では、ロック解除されたばかりのラッチ装具の力が引出しを介して他方のラッチ装具に伝達されることで、両方の延出力保存手段が他方のラッチ装具のロック解除作用を提供するので、引出し自体が同期化要素をいわば形成している。ここでの欠点は、特に他方のラッチ装具のロック解除操作において非常に大きな力が作用することである。さらに、引出し自体による同期化作用のおかげで、この構造には大きなすき間が関与するので、他方のラッチ装具のロック解除において、大きく傾斜した姿勢が既に関与していることである。さらに、特に他方のラッチ装具のための起動通路(trigger travel)が長い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第2429339号
【特許文献2】国際公開第2009/114884号
【特許文献3】欧州特許第1314842号
【特許文献4】オーストリア実用新案登録第008882号
【特許文献5】国際公開第2013/059847号
【特許文献6】独国実用新案登録第202009005255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来技術よりも改良された構造体を提供することである。特に本発明では、ロック解除が円滑で障害なく自由に可能であり、すき間が少なく、起動通路が短いことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは、請求項1に記載の特徴を有する構造体によって達成される。したがって、本発明によれば、過圧動作は、第1の駆動装置と同期化装置との間の動作伝達に制約を受けずに開始し、同期化装置は、第1の駆動装置による開方向での可動家具部材の動作で動くことができる。換言すれば、過圧動作は第1の駆動装置から同期化装置への動作の伝達なしで開始する。再び換言すれば、駆動装置から同期化装置への動作の伝達は、ロック解除後にのみ発生する。したがって、ロック解除の実行においては、延出力保存手段の両方共を押し込む必要がない。ロック解除過程において(前述の従来技術とは対照的に)どのような設計形態であろうと、同期化装置への動作伝達は存在しないという事実によって、同期化装置の領域の許容差は問題にはならず、起動通路は短いままである。この結果、引出し前方パネルと家具筐体との間のパネル間隙も小さいままである。したがって、好適な一実施態様では、パネル間隙は最大3mmであり、特に好適には最大2.5mmである。理想的には、パネル間隙は最大2mmである。
【0011】
原理として、同期化装置への動作伝達を、ロック解除後直ちに(したがってまだ過圧動作中に)既に発生させることも可能である。しかし、好適には、同期化装置は第1の駆動装置によって、開方向での可動家具部材の動作によってのみ可動である。さらには、過圧位置での延出動作の始まりは、同期化装置への動作伝達にも制約されない。駆動装置の延出装置が閉位置に対応する位置に開方向で再び到達したときにだけ、同期化装置への動作伝達が始まる。
【0012】
さらに、同期化装置を可動家具部材とは別に提供することが好ましい。換言すれば、第1の駆動装置の動作を、可動家具部材とは独立して、同期化装置によって伝達され得る。
【0013】
請求項1によれば、1体の駆動装置と同期化装置だけが、その保護範囲に包含されている。このことは、本発明による利点がこれら2体の部品だけによって解説できるという事実による。しかしながら好適には、この構造体は可動家具部材を移動させるためのロック可能な第2の駆動装置も有している。この目的のため、第2の駆動装置は第1の駆動装置に対して鏡面対称の形態であることが望ましい。この第2の駆動装置によって、過圧動作において、その一つの駆動装置のみによって開方向での該駆動装置における延出装置の動作と、同期化装置による他方の駆動装置への動作伝達がなされ、他方の駆動装置の延出装置はロック位置からロック解除できない。換言すれば、好適には、可動家具部材の第1の駆動装置によって始動される開方向の過圧位置からの動作において、第2の駆動装置は、第1の駆動装置によって動かされる同期化装置によってロック解除できない。
【0014】
以降で詳説される好適な実施態様は、実際の詳細な説明では、第1の駆動装置とその部品を基礎としてのみ解説されているが、両方の駆動装置に関連して常に解釈されるべきである。したがって、解説されている全ての部品も第2の駆動装置に対応して適用される。
【0015】
本発明の好適な実施態様での実際の表現において、第1の延出装置は、収容体、収容体上で移動可能な延出スライダ、延出スライダに作用する延出力保存手段、および延出スライダに対して可動に、好適には回転可能に取り付けられた制御レバーを有しており、第1のロック装置は制御レバーに配置されたラッチ要素と、ロック位置でラッチ要素が当接するロック要素とを有している。
【0016】
好適には、ラッチ要素が、過圧動作においてロック位置から過圧位置へと移動可能であり、開動作では、延出位置を通って延出力保存手段によって移動可能であり、ロック要素は、開方向において、延出位置で移動されるラッチ要素によって移動可能である。換言すれば、ラッチ要素がもはやロック位置に存在しないとき、ラッチ要素はロック要素を移動させることができる。
【0017】
原理的には、ロック(locking)自体は知られているタッチラッチ機構によって実行できる。しかしながら好適には、第1の駆動装置はラッチ要素のためのカージオイド状スライド通路を有しており、延出力保存手段に力を付加するために収容体内に提供された押圧位置と、ロック位置と、その内部でロック要素がロック位置を形成するための過圧位置と、延出位置とを備えている。
【0018】
好適にはさらに、ロック要素が同期化装置に接続されている。数少ない部品を備えた特に単純な構造は、ロック要素が同期化装置内に一体的に形成されているか、または同期化装置の少なくとも一部と共に形成されている場合に提供される。ここではロック要素を可動に、好適には回転可能に収容体に取り付けることもできる。
【0019】
この単純構造の特に有利な点は、特に、ロック要素が、ラッチ要素をロック位置で当接させるロック面と、開方向にて延出位置を通る動作中にラッチ要素を当接させる同期化面とを有する場合に享受される。この場合には、ロック面は、ロック要素の回転方向に対して実質的に接線方向に配向されており、同期化面は、ロック要素の回転軸に対して実質的に放射状に配向されている。換言すれば、ロック面に及ぼされる力では、ロック要素を回転できない(よって同期化できない)。同期化面に及ぼされる力によってのみ、回転動作、よって同期化動作を発生させることができる。
【0020】
好適には、さらに、同期化装置は、同期化装置を第1の駆動装置に接続するための連結要素と、連結要素に好適にはヒンジ式に接続されている同期化バーとを有している。好適には、ロック要素が連結要素の一部である。特に好適には、ロック要素が同期化装置の連結要素と一体的である。
【0021】
しかしながら、駆動装置は延出装置だけでなく、可動家具部材を開位置から閉位置に引き込むための引込装置を有することもできる。この引き込み動作も制動装置によって制動することができる。
【0022】
前述の解説によれば、ロック解除は、可動家具部材を、閉位置を越えた過圧位置に押し込むことによって実行される。しかしながら、引っ張りによる開動作も可能である。しかしながら、この場合にはロック解除は(例えば特許文献6で解説されるように)実行されないが、可動家具部材は、ロック作用を解き放つことなく単純に開方向に移動できる。この点においては例示として、先行公開物ではない、出願番号A 296/2013号の本件出願人のオーストリア特許出願が存在することを記しておく。
【0023】
特許保護は、家具筐体、好適には延伸ガイドによって、家具筐体上で移動可能な家具部材、および本発明による構造体を含んだ家具にも請求される。原理的に、この場合には、駆動装置を家具筐体に固定でき、可動家具部材に配置された引込み部材(entrainment menber)と係合できる。しかしながら、好適には(同期化装置でもあるような)駆動装置を好適には引出しの下側の可動家具部材に配置し、家具筐体に対して固定された引込み部材に係合させる。
【0024】
本発明のさらなる詳細および利点については、図面に図解された実施例を参照にした詳細な説明によって以降で詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、駆動装置および同期化装置と共に、可動家具部材を有する家具の一部切欠き斜視図である。
図2図2は、駆動装置の分解図である。
図3図3は、組み立てられた状態の駆動装置の斜視図である。
図4図4は、同期化装置の部品を示している。
図5図5は、2体の駆動装置と同期化装置とを備えた構造体の部分的分解図である。
図6図6は、組み立てられた状態の構造体を示している。
図7図7は、他の実施形態である同期化装置を示している。
図8図8は、構造体の動作を表わす平面図である。
図9図9は、構造体の動作を表わす平面図である。
図10図10は、構造体の動作を表わす平面図である。
図11図11は、構造体の動作を表わす平面図である。
図12図12は、構造体の動作を表わす平面図である。
図13図13は、構造体の動作を表わす平面図である。
図14図14は、構造体の動作を表わす平面図である。
図15図15は、構造体の動作を表わす平面図である。
図16図16は、構造体の動作を表わす平面図である。
図17図17は、構造体の動作を表わす平面図である。
図18図18は、構造体の動作を表わす平面図である。
図19図19は、他の実施形態である構造体の形態の分解図である。
図20図20は、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図20a図20aは、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図21図21は、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図21a図21aから図23aは、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図22図22から図23aは、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図22a図22aから図23aは、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図23図23は、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
図23a図23aは、図19に示す構造体の動作を表わす平面図と斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、家具筐体(家具カーカス)19と、これに対して可動な引出しの形態の家具部材3とを含んだ家具18を、一部に切欠きを入れた斜視図として示している。引出しは延出ガイド36によって家具筐体19に可動に取り付けられている。可動家具部材3の下側には、引出し底部63と引出しレール64にそれぞれ横方向で固定されている2体の駆動装置2、7(図5参照)と、同期化装置6とを有する構造体1とが取り付けられている。
【0027】
図2は、必須の構成要素として構造体1と共に用いられる第1の駆動装置2の分解図である。第1の駆動装置2は、収容体8を介して可動家具部材3に取り付けられている。引張バネの形態の延出力保存手段10は、一方が収容体8に、他方が延出スライダ9に保持されている。延出スライダ9は、収容体8内でガイド通路(guide track)32に沿って移動可能である。収容体8、延出力保存手段10、延出スライダ9および制御レバー23は共に第1の延出装置4の必須の構成要素として形成される。しかしながら、加えて、伝達要素20も第1の延出装置と協働し得る。伝達要素20は、制御レバー23上の係止部(abutment)33に伝達係止部(transmission abutment)25を介して当接している。伝達要素20は収容体8内で制御通路24に沿って移動可能である。制御通路24は曲げ端部34を有している。伝達要素20にヒンジ式に接続されている捕捉レバー22が曲げ端部34へ移動すると直ちに捕捉レバー22が旋回することによって駆動装置2が家具筐体に対して固定された引込み部材21から解放される。逆に捕捉レバー22が曲げ端部34を離れると、引込み部材21が捕捉レバー22と伝達要素20との間で捕捉または保持される。さらに、同期化装置6の連結要素16が、収容体8上の回転軸Dの周囲で回転可能に取り付けられている。さらに、連結要素16と一体的に提供されているのは、制御レバー23に配置されたラッチ要素11と共同で、第1の延出装置4のためのロック装置5を形成しているロック要素12である。さらにこの図では、収容体8内に提供されており、押圧位置Sと、押圧通過位置DRと、ロック位置Vと、過圧位置Uと、延出位置Aとを有するカージオイド状スライド通路13(ハート形状のスライド通路)を示している。ロック位置Vは追加的にロック要素12によっても形成される。
【0028】
図3は、組み立てられた状態の構造体1を示している。延出力保存手段10は応力を受けており、ラッチ要素11はロック位置V内に配置されており、よって第1の延出装置4はロック位置VSにある。引込み部材21が捕捉レバー22によって捕捉されるとき、可動家具部材3は閉位置SSにある。
【0029】
同期化装置6の部品の一例を図4に示す。この場合には、歯型ラック27と歯型ギヤ28が基部プレート26に移動可能に取り付けられている。
【0030】
図5は、同期化バー17による接続がまだ形成されていないため、全体的な組み立てが完了していない状態の構造体1の個別部品を示している。
【0031】
しかしながら、これは図6に示されており、同期化バー17は一方が連結要素16に、他方がラック27にそれぞれ回転ヒンジ式に接続されている。
【0032】
図7は、図6の別例である同期化装置6の形態を示しており、同期化バー17はスロット接続によって互いに対して直線状に積極ガイドされる。
【0033】
図8は、第1の駆動装置2と、第2の駆動装置7と、同期化装置6とを有する構造体1の平面図である。左右に示す詳細部分から、それぞれの場合にラッチ要素11はカージオイド状スライド通路13のロック位置Vにあることが示されている。この状況では、ラッチ要素11はロック要素12のロック面14に当接する。ロック面14は、回転軸Dの回転方向に対して接線方向に配向されている。したがって、ラッチ要素11に作用している延出力保存装置10の力が連結要素16の回転動作を始動できないので、延出装置4はそれらのロック位置VSにそれぞれ残る。可動家具部材3は閉位置に配置される。
【0034】
図8から開始して、圧力が一方側で閉方向SRに、可動家具部材3の左側領域にかけられ、収容体8が制御レバー23、伝達要素20および引込み部材21(図9)に対して閉方向に移動するとき、第1の駆動装置2のラッチ要素11が、過圧位置Uに移動される。この場合には、ラッチ要素11は、傾斜偏向部分35によって、ロック位置Vから過圧位置Uに移動される。この過圧動作は、第1の駆動装置2と同期化装置6との間の動作伝達には影響されずに開始する。よって、第2の駆動装置7は、左側のその過圧動作によっては影響を受けないままである。この結果、過圧動作は、延出装置4の延出力保存手段10の力に対抗してのみ実行される。これで可動家具部材は、少なくとも片側では、過圧位置USに配置される。
【0035】
可動家具部材3が解放されると直ちに、第1の延出装置4の延出力保存手段10が応力から解放できる。この結果、収容体8とこれに固定されている可動家具部材3が開方向OR(図10参照)に引込み部材21に対して延出され、それによってラッチ要素11もまたカージオイド状スライド通路13の延出位置Aへと移動する。したがって、第1の延出装置4が家具筐体19に対して、特には引込み部材21に対して、積極的に押し付ける。それまでは、同期化装置6への動作伝達は発生していない。しかしながら、図10に示すように、ラッチ要素11はロック要素12の同期化面15に既に当接している。この同期化面15は、連結要素16の回転軸Dに対して放射状に配向されている。
【0036】
同期化面15のこの配向性のおかげで、最終的には、延出力保存手段10が、図11に示す位置にまで、開方向に延出位置Aを越えて移動するとき、第1の駆動装置2から同期化装置6へ、そしてさらに第2の駆動装置7への動作伝達が発生する。この同期化作用のおかげで、第2の駆動装置7のロック要素12が旋回し、これによってラッチ要素11はそのロック面14でもはやロックされない。このようにして、そのラッチ要素11がロック位置Vから延出位置Aへと直接的に移動する。したがって、第2の延出装置4の延出力保存手段10もまた応力から解放され、可動家具部材3が両方の延出装置4によって開位置OSへ同時的に延出される。
【0037】
図12に示す位置への、2体の連結装置16のさらなる回転の後、ラッチ要素11とロック要素12はもはや互いに当接しない。両方の延出装置4の延出力保存手段10はさらに応力から解放されることができる。図10との比較で、連結要素16が回転軸Dの周囲を約50°回転していることが明確に示されている。好適には、この回転動作は一方で、収容体8に当接するロック要素12と、他方で、これも収容体8に対して当接する少々弾性的なバネ要素30によって制限される。一般的に、それぞれの設計形態に応じて、その回転範囲は30°と90°の間でよい。相対的に幅広い回転動作の範囲は、特に同期化装置6の総合的なすき間が同期化作用にほとんど影響しないという利点を提供する。
【0038】
最後に、図13に示すように、両方の延出力保存手段10は完全に応力から解放され、延出作用は終結する。
【0039】
その後、惰性によって、または可動家具部材3を積極的に引っ張ることにより、駆動装置2と7が図14に示す位置に移動する。この状況では、制御レバー23と伝達要素20はもはや接触していない。しかしながら、捕捉レバー22は制御通路24の曲げ端部34に存在し、引込み部材21は解放される。可動家具部材3はこのようにして自由に移動できる。
【0040】
可動家具部材3の閉じ過程は図15から示すとおりである。ここでは引込み部材21は再び捕捉され、伝達要素20によって制御レバー23がそしてそれと共にラッチ要素11は押圧位置Sに存在し、延出力保存手段10は閉動作時に人手で応力付加される。
【0041】
この閉動作と応力付加動作では、図16に示すように両方のラッチ要素11もまた連結要素16の戻りレバー29と突当たり関係になる。このようにして、図17に示すようにロック要素12もまたロック位置Vの方向にさらに接近するよう、連結要素16は回転軸の周囲で回転する。
【0042】
図18では、ロック要素12のロック面14がラッチ要素11のロックのために再び作用するよう、最終的に連結要素16は、再びそれらの始動位置にある。連結要素16の少々弾性的な要素30は、ロック要素12もラッチ凹部またはロック位置Vを形成するよう、ロック要素12を正確に配置(中立位置)させる。延出装置4のロック位置VSには応力付加状態の延出力保存手段10で再び到達する。可動家具部材3は閉位置SSに再び存在する。連結要素16が(ラッチ要素11が戻りレバー29にもはや当接しなくなった後で、ラッチ要素11がロック要素12に再び当接する前に)その位置に残ることを保証するため、小型のラッチ突出部を収容体8に提供でき、その突出部は好適にはそのロック要素12と共に連結要素16と協調する。
【0043】
図19は、同期化装置6の他の実施例の分解図である。これによれば、連結要素16には歯型ラック27が直接的に提供されている。収容体8には、同期化バー17がその端部にて歯型ギヤ28と回転可能に取り付けられているホルダ31が固定されている。連結要素16の回転動作が同期化バー17の回転動作に伝達されるように、およびその逆となるように、ギヤ28がラック27と噛合う。図19に示す構造体1の残りの部品は第1の実施例と同一である。
【0044】
図20図23aでは、駆動装置2、7のそれぞれの動きと、同期装置6の動きとを含む最も重要な位置が再び示されている。同期化バー17の回転動作は図23aにおいて最も明確に示されている。
【0045】
本発明の重要な利点は、
・ 一方側で起動された側に関する延出過程によってのみ同期化が生じる、
・ 一方側での起動時の延出力が、中央での起動の半分の大きさである、
・ 起動通路が同期化装置によって増加されない、
・ 起動通路が同期化装置の許容差には依存していない、
・ 引っ張りによる作動が駆動装置と同期化装置に一切影響しない、
・ 前方パネル間隙が小さくできる、
ことである。
図1
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図21
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図22
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図23
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