特許第6246916号(P6246916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246916
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】マスクとマトリックス基板の製作方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/70 20120101AFI20171204BHJP
   G03F 1/00 20120101ALI20171204BHJP
   G03F 1/80 20120101ALI20171204BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20171204BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20171204BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20171204BHJP
   H01L 51/50 20060101ALN20171204BHJP
【FI】
   G03F1/70
   G03F1/00 Z
   G03F1/80
   H05B33/02
   H05B33/06
   H05K3/06 E
   !H05B33/14 A
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520232(P2016-520232)
(86)(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-530547(P2016-530547A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】CN2013078589
(87)【国際公開番号】WO2014201730
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】201310248034.8
(32)【優先日】2013年6月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515204720
【氏名又は名称】深▲セン▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107847
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】鄭 華
【審査官】 新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−140397(JP,A)
【文献】 特開2008−047904(JP,A)
【文献】 特開2002−148780(JP,A)
【文献】 特開2001−125251(JP,A)
【文献】 特開平11−126824(JP,A)
【文献】 特開平04−115254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86
H05B 33/02
H05B 33/06
H05K 3/06
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス基板上の非有効表示区域内にファンアウト配線を製作することに用いられるマスクであって、該マスクはファンアウト配線パターンを含み、該ファンアウト配線パターンは複数本のファンアウト印刷線を含み、該複数本のファンアウト印刷線の有効長さは一致し、前記各ファンアウト印刷線は所定の幅を有しており、前記複数本のファンアウト印刷線において、少なくとも一部分のファンアウト印刷線は少なくとも1個の湾曲部分を具備し、該複数個の湾曲部分はS形に順番に配置され、1本のファンアウト印刷線において、前記湾曲部分の幅は前記ファンアウト印刷線の前記所定の幅より小さいマスク。
【請求項2】
前記各ファンアウト印刷線の所定の幅は一致する請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記ファンアウト配線パターンの中央部に位置するファンアウト印刷線の所定の幅は、前記ファンアウト配線パターンの辺縁部に位置するファンアウト印刷線の所定の幅より小さい請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記複数本のファンアウト印刷線の前記所定の幅は、前記ファンアウト配線パターンの中央部から辺縁部に向かって逓増する形状に設けられる請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
マトリックス基板上の非有効表示区域内にファンアウト配線を製作することに用いられるマスクであって、該マスクはファンアウト配線パターンを含み、該ファンアウト配線パターンは複数本のファンアウト印刷線を含み、前記各ファンアウト印刷線は所定の幅を有しており、前記複数本のファンアウト印刷線において、少なくとも一部分のファンアウト印刷線は少なくとも1個の湾曲部分を具備し、1本のファンアウト印刷線において、前記湾曲部分の幅は前記ファンアウト印刷線の前記所定の幅より小さいマスク。
【請求項6】
前記複数個の湾曲部分はS形に順番に配置される請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
前記各ファンアウト印刷線の所定の幅は一致する請求項5に記載のマスク。
【請求項8】
前記ファンアウト配線パターンの中央部に位置するファンアウト印刷線の所定の幅は、前記ファンアウト配線パターンの辺縁部に位置するファンアウト印刷線の所定の幅より小さい請求項5に記載のマスク。
【請求項9】
前記複数本のファンアウト印刷線の前記所定の幅は、前記ファンアウト配線パターンの中央部から辺縁部に向かって逓増する形状に設けられる請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記複数本のファンアウト印刷線の有効長さは一致する請求項5に記載のマスク。
【請求項11】
マトリックス基板の製作方法であって、該製作方法は、
ガラス基板を用意し、該ガラス基板上に金属層とフォトレジスト層を順番に形成するステップと、
マスクを用意し、該マスクを利用してガラス基板に対して露光を行うステップであって、前記湾曲部分に対応する前記フォトレジスト層の部分を露光させる速度は他の部分を露光させる速度より遅く、前記マスクはファンアウト配線パターンを含み、該ファンアウト配線パターンは複数本のファンアウト印刷線を含み、該各ファンアウト印刷線は所定の幅を有しており、前記複数本のファンアウト印刷線において、少なくとも一部分のファンアウト印刷線は少なくとも1個の湾曲部分を具備し、1本のファンアウト印刷線において、前記湾曲部分の幅は前記ファンアウト印刷線の前記所定の幅より小さいステップと、
前記ガラス基板に現象を行うことにより、前記フォトレジスト層上に前記ファンアウト配線パターンを形成するステップであって、前記湾曲部分に対応する前記フォトレジスト層の部分の現象速度が他の部分の現象速度より遅いステップと、
前記金属層をエッチングすることにより、前記ガラス基板上に前記ファンアウト配線を形成するステップであって、前記湾曲部分に対応する前記金属層の部分のエッチング速度が他の部分のエッチング速度より小さいことにより、前記湾曲部分に対応するファンアウト配線の幅を前記所定の幅より小さくするか或いは等しくするステップとを含むマトリックス基板の製作方法。
【請求項12】
前記フォトレジスト層はポジ型フォトレジストで形成され、前記ファンアウト配線パターンは非貫通形パターンである請求項11に記載の製作方法。
【請求項13】
前記フォトレジスト層はネガ型フォトレジストで形成され、前記ファンアウト配線パターンは貫通形パターンである請求項11に記載の製作方法。
【請求項14】
前記複数個の湾曲部分はS形に順番に配置される請求項11に記載の製作方法。
【請求項15】
前記各ファンアウト印刷線の所定の幅は一致する請求項11に記載の製作方法。
【請求項16】
前記ファンアウト配線パターンの中央部に位置するファンアウト印刷線の所定の幅は、前記ファンアウト配線パターンの辺縁部に位置するファンアウト印刷線の所定の幅より小さい請求項11に記載の製作方法。
【請求項17】
前記複数本のファンアウト印刷線の前記所定の幅は、前記ファンアウト配線パターンの中央部から辺縁部に向かって逓増する形状に設けられる請求項16に記載の製作方法。
【請求項18】
前記複数本のファンアウト印刷線の有効長さは一致する請求項11に記載の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製作技術に関し、特にマスクとマトリックス基板の製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置に用いられる表示パネルは、LCD(Liquid Crystal Display、液晶表示)パネルとOLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)パネルを含み、フォトエッチング工程によってこれらの上に回路を形成する。
【0003】
フォトエッチング工程は、主として、フォトレジストの塗布、露光、フォトレジストの現象及びエッチングが含まれる4つのステップを含む。ガラス基板上に金属層を形成した後、フォトレジストの塗布によって金属層上にフォトレジスト層を形成する。次に、フォトレジスト層に対して露光を行う。露光されたフォトレジスト層に対して現象を行うと、フォトレジスト層に所定の回路パターンが形成される。最後に、金属層をエッチングする。フォトレジストに覆われていない金属をエッチングするとき、残された金属によって回路が形成される。
【0004】
周知のとおり、表示パネルは有効表示区域(AA、Active Area)と有効表示区域の周囲に位置する非有効表示区域と含む。有効表示区域内には色々な信号ライン、例えば走査ラインとデータラインが設けられ、非有効表示区域内にはファンアウト配線が設けられる。これらのファンアウト配線の一端は前記信号ラインに接続され、他端は外部の駆動チップに接続される。図1は従来の技術の表示パネルの構造を示す図であり、図面のファンアウト配線は拡大されている。ファンアウト配線は所定の信号ラインに接続され、信号を伝送するとき、ファンアウト配線は信号伝送の負荷になる。すべてのファンアウト配線が直線である場合、周囲のファンアウト配線の有効長さは中央部のファンアウト配線の有効長さより長く、周囲のファンアウト配線の抵抗は中央部のファンアウト配線の抵抗より大きい。すなわち、異なる信号ラインが異なる負荷を有しており、信号の伝送に影響を与えるので、表示装置の画面の表示に不均一にされる。これを表示不均一(Fanout Mura)問題という。このような問題を解決するため、中央部のファンアウト配線を曲げることにより、すなわち中央部のファンアウト配線の有効長さを増加させることにより、周囲のファンアウト配線の間の抵抗差を減少させる。
【0005】
しかしながら、従来の技術によってフォトエッチング工程を行うとき、製作技術の不足によって曲げられたファンアウト配線の幅を所定の幅にすることができないので、抵抗差が更に増加する。図2は、従来の技術の表示パネル上にファンアウト配線が形成される前の状態と配線が形成された後の状態とを示す対比図である。(a)部分はファンアウト配線が形成される前の湾曲部分の所定の形状を示す図であり、湾曲部分の幅は他の部分の幅と一致する。(b)部分は、従来の技術のフォトエッチング工程によって形成されたファンアウト配線における湾曲部分の実際の形状を示す図であり、湾曲部分の幅は他の部分の幅より大きい。このような問題が発生した原因は下記のとおりである。露光を行うステップにおいて、光路をまっすぐにすることができないので、少量の側方向の光線が形成され、露光区域に略垂直の光線と横方向の光線とが同時照射される。(b)部分のA区域において、ファンアウト配線のパターンに光線が照射されず、A区域は三方向が覆われている。すなわち、A区域の三方向には横方向の光線が照射されず、他の露光区域には略垂直の光線と横方向の光線とが同時照射されるので、A区域の感光度は他の露光区域の感光度より弱く、フォトレジストの反応速度が遅い。したがって、後続の現象及びエッチングを行うとき、A区域の現象速度とエッチング速度は他の露光区域より遅くなり、最後に形成されたファンアウト配線の湾曲部分にA区域の部分が更に形成される。これにより、ファンアウト配線の湾曲部分の幅が増加し、この部分の抵抗が小さくなるので、抵抗差が更に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ファンアウト配線の抵抗差を減少させることができるマスクとマトリックス基板の製作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題を解決するため、本発明は下記のマスクを提供する。本発明のマスクは、マトリックス基板上の非有効表示区域内にファンアウト配線を製作することに用いられる。マスクはファンアウト配線パターンを含み、ファンアウト配線パターンは複数本のファンアウト印刷線を含む。複数本のファンアウト印刷線の有効長さは一致し、各ファンアウト印刷線は所定の幅を有している。複数本のファンアウト印刷線において、少なくとも一部分のファンアウト印刷線は少なくとも1個の湾曲部分を具備し、複数個の湾曲部分はS形に順番に配置される。1本のファンアウト印刷線において、湾曲部分の幅はファンアウト印刷線の前記所定の幅より小さい。
【0008】
前記マスクにおいて、各ファンアウト印刷線の所定の幅は一致する。
【0009】
前記マスクにおいて、ファンアウト配線パターンの中央部のファンアウト印刷線の所定の幅は、ファンアウト配線パターンの辺縁部のファンアウト印刷線の所定の幅より小さい。
【0010】
前記マスクにおいて、複数本のファンアウト印刷線の所定の幅は、ファンアウト配線パターンの中央部から辺縁部に向かって逓増する形状に設けられる。
【0011】
上述した問題を解決するため、本発明は下記のマスクを更に提供する。本発明のマスクは、マトリックス基板上の非有効表示区域内にファンアウト配線を製作することに用いられる。マスクはファンアウト配線パターンを含み、ファンアウト配線パターンは複数本のファンアウト印刷線を含む。各ファンアウト印刷線は所定の幅を有している。複数本のファンアウト印刷線において、少なくとも一部分のファンアウト印刷線は少なくとも1個の湾曲部分を具備する。1本のファンアウト印刷線において、湾曲部分の幅はファンアウト印刷線の所定の幅より小さい。
【0012】
前記マスクにおいて、複数個の湾曲部分はS形に順番に配置される。
【0013】
前記マスクにおいて、各ファンアウト印刷線の所定の幅は一致する。
【0014】
前記マスクにおいて、ファンアウト配線パターンの中央部のファンアウト印刷線の所定の幅は、ファンアウト配線パターンの辺縁部のファンアウト印刷線の所定の幅より小さい。
【0015】
前記マスクにおいて、複数本のファンアウト印刷線の所定の幅は、ファンアウト配線パターンの中央部から辺縁部に向かって逓増する形状に設けられる。
【0016】
前記マスクにおいて、複数本のファンアウト印刷線の有効長さは一致する。
【0017】
上述した問題を解決するため、本発明は下記のマトリックス基板の製作方法を更に提供する。該製作方法は、ガラス基板を用意し、該ガラス基板上に金属層とフォトレジスト層を順番に形成するステップと、いずれか一種のマスクを用意し、該マスクを利用してガラス基板に対して露光を行うステップであって、湾曲部分に対応するフォトレジスト層の部分の露光速度は他の部分の露光速度より遅いステップと、ガラス基板に現象を行うことにより、フォトレジスト層上にファンアウト配線パターンを形成するステップであって、湾曲部分に対応するフォトレジスト層の部分の現象速度が他の部分の現象速度より遅いステップと、金属層をエッチングすることにより、ガラス基板上にファンアウト配線を形成するステップであって、湾曲部分に対応する金属層の部分のエッチング速度が他の部分のエッチング速度より小さいことにより、湾曲部分に対応するファンアウト配線の幅を所定の幅より小さくするか或いは等しくするステップとを含む。
【0018】
前記製作方法において、フォトレジスト層はポジ型フォトレジストで形成され、ファンアウト配線パターンは非貫通形パターンである。
【0019】
前記製作方法において、フォトレジスト層はネガ型フォトレジストで形成され、ファンアウト配線パターンは貫通形パターンである。
【発明の効果】
【0020】
上述したとおり、本発明のマスクとマスクとマトリックス基板の製作方法により、ファンアウト印刷線の湾曲部分の幅をファンアウト印刷線の所定の幅より小さくし、湾曲部分に対応するフォトレジスト層の区域の感光度を他の区域の感光度より弱くすることができる。したがって、現象及びエッチングを行うとき、湾曲部分に対応するファンアウト配線の幅を所定の幅より小さくするか或いは等しくすることができるので、ファンアウト配線の間の抵抗差を減少させ、表示が不均一である問題を解決することができる。
【0021】
上述したことは、本発明の技術事項を説明するための概要である。本発明の技術手段をより詳細に理解するため、本明細書の実施例によって本発明を実施することができる。また、本発明の前記特徴及び発明の効果をより詳細に説明するため、以下、本発明の好適な実施例とその図面により本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の技術の表示パネルの構造を示す図であり、図面のファンアウト配線は拡大されている。
図2】従来の技術の表示パネル上にファンアウト配線が形成される前の効果と配線が形成された後の効果とを示す対比図である。
図3】本発明の一実施例に係るマスクの構造を示す図である。
図4図3に示されたマスクの一本のファンアウト印刷線を示す拡大図である。
図5】本発明の一実施例に係るマトリックス基板の製作方法を示す流れ図である。
図6図5の製作方法において、ガラス基板上のフォトレジスト層に露光と現象を行うときの効果を示す対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の図面により本発明の実施例に係る技術事項を詳細に説明する。下記実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明のすべての実施例を代表するものでない。そのため、本発明の技術分野の技術者が本発明の実施例に基づいて本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等をしても、本発明の特許請求の範囲に含まれることは勿論である。
【0024】
図3図4を一緒に参照する。図3は本発明の一実施例に係るマスクの構造を示す図であり、図4図3に示されたマスクの一本のファンアウト印刷線を示す拡大図である。
【0025】
マスク30は、マトリックス基板上の非有効表示区域内にファンアウト配線を製作することに用いられる。マスク30はファンアウト配線パターン31を含み、該ファンアウト配線パターン31は非有効表示区域内のファンアウト配線に対応する。すなわち、マスク30を介して露光をするとき、ファンアウト配線パターン31によってファンアウト配線のパターンが形成される。ファンアウト配線パターン31が扇形であるので、形成されたファンアウト配線も扇形にされる。
【0026】
ファンアウト配線パターン31は複数本のファンアウト印刷線310を含み、各ファンアウト印刷線310は所定の幅L1を有している。所定の幅L1は設計値に合う線の幅を意味する。複数本のファンアウト印刷線310において、少なくとも一部分のファンアウト印刷線310は少なくとも1個の湾曲部分311を具備する。ファンアウト印刷線310がファンアウト配線に対応するので、ファンアウト印刷線310の長さによってファンアウト配線の長さが決められる。各ファンアウト印刷線310の有効長さが異なる場合、各ファンアウト配線の有効長さが異なり、この結果ファンアウト配線の間の抵抗差も増加する。湾曲部分311によってファンアウト印刷線310の有効長さを増加させることができる。本実施例において、複数本のファンアウト印刷線310の有効長さが一致する。
【0027】
1本のファンアウト印刷線310において、湾曲部分311の幅L2はファンアウト印刷線310の所定の幅L1より小さい。湾曲部分311を具備していないファンアウト印刷線310において、各位置の幅はいずれも所定の幅L1と一致する。複数個の湾曲部分311を具備するファンアウト印刷線310において、複数個の湾曲部分311はS形に順番に配置される。
【0028】
各ファンアウト印刷線310の所定の幅L1として、同一の数値を採るか或いは異なる数値を採ることができる。本実施例において、各ファンアウト印刷線310の所定の幅L1は同一に形成されている。他の実施例において、ファンアウト配線パターン31の中央部に位置するファンアウト印刷線310の所定の幅L1を、ファンアウト配線パターン31の辺縁部に位置するファンアウト印刷線310の所定の幅L1より小さくすることができる。特に、複数本のファンアウト印刷線310の所定の幅L1を、ファンアウト配線パターン31の中央部から辺縁部に向かって逓増する形状にすることができる。ファンアウト配線パターン31の中央部に位置するファンアウト印刷線310の有効長さがファンアウト配線パターン31の辺縁部に位置するファンアウト印刷線310の有効長さより小さい場合、ファンアウト配線パターン31の中央部に位置するファンアウト印刷線310の所定の幅L1がファンアウト配線パターン31の辺縁部に位置するファンアウト印刷線310の所定の幅L1より小さいとき、中央部に位置するファンアウト配線の単位長さの抵抗は辺縁部に位置するファンアウト配線の単位長さの抵抗より大きく、ファンアウト配線の間の抵抗差を減少させることができる。
【0029】
図5は、本発明の一実施例に係るマトリックス基板の製作方法を示す流れ図である。該製作方法は下記のステップ含む。
【0030】
ステップS51において、ガラス基板を用意し、該ガラス基板上に金属層とフォトレジスト層を順番に形成する。
【0031】
金属層は蒸着などの方法で形成し、フォトレジスト層は塗布などの方法で形成することができる。
【0032】
ステップS52において、マスクを用意し、該マスクを利用してガラス基板に対して露光を行う。フォトレジスト層において、湾曲部分311に対応する部分の露光速度は他の部分の露光速度より遅い。
【0033】
マスクは前記実施例で説明したマスク30である。本実施例において、フォトレジスト層はポジ型フォトレジストで形成され、ファンアウト配線パターン31は非貫通形パターンである。すなわち、ファンアウト配線を形成するため設けたフォトレジストに光線を照射する必要がない。
【0034】
ファンアウト印刷線310の湾曲部分311の幅L2が所定の幅L1より小さいので、湾曲部分311に対応するフォトレジスト層の感光度が弱いとき、湾曲部分311の内側の一部分のフォトレジストの化学反応性が弱い。この例として、図6を参照することができる。図6は、図5の製作方法において、ガラス基板上のフォトレジスト層に露光と現象を行うときの効果を示す対比図である。図6の(a)部分はフォトレジスト層に露光を行うときの効果を示す図である。マスク30を介して露光を行うとき、湾曲部分311に対応するフォトレジスト層の位置、すなわちB区域が三方向をフォトレジストに覆われており、側方向の光線に照射されないので、感光度が弱い。したがって、B区域のフォトレジストの化学反応速度は遅く、現象速度も他の区域の現象速度より遅い。
【0035】
ステップS53において、ガラス基板に現象を行うことにより、フォトレジスト層上にファンアウト配線パターンを形成する。このとき、湾曲部分に対応するフォトレジスト層の区域の現象速度は他の区域の現象速度より遅い。
【0036】
現象が行われたフォトレジストは図6の(b)部分に示されるとおりである。(b)部分はフォトレジスト層に現象を行うときの効果を示す図である。(a)部分のB区域のフォトレジストの反応速度が随分遅いので、この区域の化学性質がほとんど変化しない。現象を行うとき現象速度も随分遅いので、現象液に洗浄されず、この区域のフォトレジストを残すことができる。したがって、湾曲部分311に対応する(b)部分のフォトレジストの幅が増加される。
【0037】
ステップS53において、金属層をエッチングすることにより、ガラス基板上にファンアウト配線を形成する。湾曲部分に対応する金属層の区域のエッチング速度が他の区域のエッチング速度より小さいので、湾曲部分に対応するファンアウト配線の幅は所定の幅より小さいか或いは等しい。
【0038】
金属層上に残されたフォトレジストのパターンはファンアウト配線パターン31と一致する。エッチングをするとき、B区域に保護された金属のエッチングの速度が随分遅いことにより、残されたフォトレジストのパターンとファンアウト配線パターン31とは同一にされ、湾曲部分311に対応するファンアウト配線の幅は所定の幅L1より小さくなる。したがって、ファンアウト配線の間の抵抗差を低減し、表示が不均一である問題を解決することができる。
【0039】
他の実施例において、フォトレジスト層はネガ型フォトレジストで形成され、ファンアウト配線パターン31は貫通形パターンであることができる。ポジ型フォトレジストで形成されるか或いはネガ型フォトレジストで形成されても、B区域のフォトレジストが残されるので、マスクとマトリックス基板上のファンアウト配線の各部分の幅が同一にされ、湾曲部分311に対応するファンアウト配線の幅は所定の幅より小さくなる。
【0040】
上述した方法により、本発明のマスクとマトリックス基板の製作方法は、ファンアウト印刷線の湾曲部分の幅をファンアウト印刷線の所定の幅より小さくし、湾曲部分に対応するフォトレジスト層の区域の感光度を他の区域の感光度より弱くすることができる。したがって、現象及びエッチングを行うとき、湾曲部分に対応するファンアウト配線の幅を所定の幅より小さくするか或いは等しくすることができるので、ファンアウト配線の間の抵抗差を低減し、表示が不均一である問題を解決することができる。
【0041】
以上、これらの発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
30 マスク
31 ファンアウト配線パターン
310 ファンアウト印刷線
311 湾曲部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6