特許第6246918号(P6246918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6246918分子ふるいSSZ−96組成物及びその合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246918
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】分子ふるいSSZ−96組成物及びその合成
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   C01B39/48
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-521600(P2016-521600)
(86)(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公表番号】特表2016-532618(P2016-532618A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014038984
(87)【国際公開番号】WO2015053823
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】14/052,206
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/052,235
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エロマリ、サレー アリ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−042574(JP,A)
【文献】 特表2002−512583(JP,A)
【文献】 特表平11−502187(JP,A)
【文献】 特表2012−505146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/00 − 39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10の、(1)ケイ素酸化物(2)アルミニウム酸化物に対するモル比を有し、且つ、か焼形態で、下表に示すようなX線回折パターンを有する分子ふるい。
【表1】
【請求項2】
結晶化条件下で、(1)ケイ素酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)1種以上のアルミニウム酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;(5)1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオン;並びに(6)水を接触させることを含む分子ふるいの合成法であって、
前記分子ふるいが、そのか焼形態で、下表に示すようなX線回折パターンを有する方法。
【表2】
【請求項3】
前記分子ふるいが、モル比換算で、以下のものを含む反応混合物から調製される、請求項2に記載の方法:
【表3】

表中、
(1)Tは、Siであり
(2)Xは、Alであり
(3)nは、Xの原子価状態に等しく;
(4)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択され;そして
(5)Qは、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンである。
【請求項4】
前記分子ふるいが、モル比換算で、以下のものを含む反応混合物から調製される、請求項3に記載の方法。
【表4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、新規な結晶性分子ふるいSSZ−96、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンを構造規定剤(structure directing agent、“SDA”)として使用するSSZ−96の調製法、及びSSZ−96の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
それらの触媒特性のみならず、それらの独特なふるい特性に起因して、結晶性分子ふるい及びゼオライトは、炭化水素転化、気体乾燥、及び分離等の用途において特に有用である。多くの異なる結晶性分子ふるいが開示されているが、気体分離及び乾燥、炭化水素及び化学物質転化、並びに他の用途に対する望ましい特性を有する新規な分子ふるいについての必要性が、引き続き存在する。新規な分子ふるいは、新規な内部細孔構造を含み、これらのプロセスにおける高められた選択性を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、独特な特性を有する結晶性分子ふるいの一群を目的とし、本明細書では、「分子ふるいSSZ−96」又は単に「SSZ−96」と称する。
【0004】
一態様では、少なくとも10の、(1)少なくとも1種の4価元素の少なくとも1種の酸化物対(2)任意選択で、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物のモル比を有し、且つ、か焼形態で、表6のX線回折線を有する分子ふるいを提供する。「少なくとも10のモル比」のフレーズには、酸化物(2)が含まれない、即ち、酸化物(1)対酸化物(2)のモル比が無限大である場合が含まれることに留意すべきである。その場合、分子ふるいは、本質的に全てが1種以上の4価元素の酸化物から構成される。
【0005】
別の態様では、結晶化条件下で、(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択で、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;並びに(5)1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンを接触させることにより、結晶性分子ふるいを調製する方法を提供する。
【0006】
さらに別の態様では、(a)(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択で、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;(5)1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオン;及び(6)水を含有する反応混合物を調製すること、並びに(b)前記反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件下に維持することにより、か焼形態で、表6のX線回折線を有する結晶性分子ふるいを調製する方法を提供する。
【0007】
本開示は、更に、合成したままで且つ無水状態にて、モル比換算で以下のような組成を有するSSZ−96分子ふるいを提供する:
【表1】

表中、(1)Tは、周期表の4〜14族からの4価元素、及びそれらの混合物からなる群から選択され;(2)Xは、周期表の3〜13族からの3価元素及び5価元素、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;(3)化学量論的変数nは、組成変数Xの原子価状態に等しく(例えば、Xが3価のとき、n=3であり;Xが5価のとき、n=5である。);(4)Qは、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンであり;そして(5)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、例2で調製された、合成したままの分子ふるいの粉末X線回折(XRD)パターンである。
【0009】
図2図2は、例3で調製された、か焼された分子ふるいの粉末X線回折(XRD)パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
序論
以下の用語を、明細書を通じて使用し、特に断りのない限り、以下の意味を有するものとする。
【0011】
用語「活性供給源」(“active source”)は、反応することができ且つ分子ふるい構造に組込まれ得る形態の少なくとも1種の元素を供給することが可能な試薬又は前駆体材料を意味する。用語「供給源」(“source”)及び「活性供給源」(“active source”)は、本明細書中で互換的に使用される場合がある。
【0012】
用語「周期表」は、IUPAC元素周期表の2007年6月22日付けの版を指し、周期表の族の番号付け体系は、Chem.Eng.News、63(5)巻、26〜27頁(1985年)に記載されている通りである。
【0013】
SSZ−96の調製に際し、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンが構造規定剤(「SDA」)として使用されるが、これは結晶化テンプレートとしても知られる。SSZ−96を作製するのに有用なSDAは、以下の構造(1)により表される。
【化1】
【0014】
SDAカチオンは、SSZ−96の形成に有害ではない任意のアニオンであり得るアニオンと結びつく。代表的なアニオンには、周期表の17族からの元素のアニオン(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩等が含まれる。
【0015】
反応混合物
一般に、SSZ−96は、(a)(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択で、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;(5)1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオン;及び(6)水を含有する反応混合物を調製すること;並びに(b)前記反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件下に維持することによって調製される。
【0016】
分子ふるいが形成される反応混合物の組成は、モル比換算で以下の表1に記載され、ここで、組成変数T、X、M、及びQ並びに化学量論的変数nについては、本明細書中に上記した通りである。
【表2】
【0017】
サブの一実施態様では、SSZ−96が形成される反応混合物の組成は、モル比換算で以下の表2に記載され、ここで、組成変数M及びQについては、本明細書中に上記した通りである。
【表3】
【0018】
上記のように、本明細書中に記載された各実施態様について、Tは、周期表の4〜14族からの4価元素からなる群から選択される。サブの一実施態様では、Tは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。サブの別の実施態様では、Tは、Si、Ge、及びそれらの混合物からなる群から選択される。サブの一実施態様では、TはSiである。組成変数Tのために選択される元素の供給源には、Tのために選択される元素(単数種又は複数種)の酸化物、水酸化物、酢酸塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩及び硫酸塩が含まれる。サブの一実施態様では、組成変数Tのために選択される元素(単数種又は複数種)の各供給源(単数種又は複数種)は酸化物である。TがSiである場合、Siに有用な供給源には、ヒュームドシリカ、沈降ケイ酸塩、シリカヒドロゲル、ケイ酸、コロイドシリカ、オルトケイ酸テトラアルキル(例えば、オルトケイ酸テトラエチル)、及びシリカ水酸化物(silica hydroxides)が含まれる。Geのための本明細書における有用な供給源には、酸化ゲルマニウム及びゲルマニウムエトキシドが含まれる。
【0019】
本明細書に記載された各実施態様について、Xは、周期表の3〜13族からの元素からなる群から選択される。サブの一実施態様では、Xは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、鉄(Fe)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。サブの別の実施態様では、Xは、B、Al、Ga、In、及びそれらの混合物からなる群から選択される。サブの一実施態様では、XはAlである。任意選択の組成変数Xのために選択される元素の供給源には、Xのために選択される元素(単数種又は複数種)の酸化物、水酸化物、酢酸塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩及び硫酸塩が含まれる。XがAlである場合、Alに有用な供給源には、アルミン酸塩、アルミナ、並びにAlCl、Al(SO、Al(OH)、カオリンクレイ、及び他のゼオライト等のアルミニウム化合物が含まれる。酸化アルミニウムの供給源の例としては、LZ−210ゼオライト(Yゼオライトの一種)がある。ホウ素、ガリウム、及び鉄は、それらのアルミニウム及びケイ素の対応物に相当する形態で添加することができる。
【0020】
上記のように、本明細書に記載された各実施態様について、反応混合物は、周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源を使用して形成され得る(本明細書中でMと称する。)。サブの一実施態様では、反応混合物は、周期表の1族からの元素の供給源を使用して形成される。サブの別の実施態様では、反応混合物は、ナトリウム(Na)の供給源を使用して形成される。結晶化プロセスに有害ではない任意のM含有化合物が適している。このような1族及び2族の元素のための供給源には、それらの酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩が含まれる。
【0021】
本明細書に記載された各実施態様について、分子ふるい反応混合物は、複数の供給源によって供給されることができる。また、2種以上の反応成分が、1つの供給源によって提供され得る。
【0022】
反応混合物は、バッチ式又は連続的のいずれかで調製され得る。本明細書に記載された分子ふるいの結晶サイズ、形態及び結晶化時間は、反応混合物の性質及び結晶化条件に応じて変えることができる。
【0023】
結晶化及び合成後の処理
実際には、分子ふるいは、(a)本明細書に上記したような反応混合物を調製し;そして(b)前記反応混合物を、分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件下に維持することにより調製される。
【0024】
反応混合物は、分子ふるいの結晶が形成されるまで高められた温度に維持される。水熱結晶化は、通常加圧下で、そして通常、反応混合物が自原性の圧力を受けるようにオートクレーブ中で、125℃と200℃の間の温度で行われる。
【0025】
反応混合物を、結晶化段階の間、穏やかに攪拌する又はかき混ぜることができる。本明細書に記載の分子ふるいには、非晶質材料のような不純物、分子ふるいとは一致しない骨格トポロジーを有する単位セル、及び/又は他の不純物(例えば、有機炭化水素)が含有される場合があることは、当業者に理解されるであろう。
【0026】
水熱結晶化段階の間に、分子ふるい結晶は、反応混合物から自然に核形成することができる。種材料として分子ふるいの結晶を使用すると、完全な結晶化が起こるのに必要な時間を減少させる点で有利であり得る。加えて、播種(seeding)により、望ましくない相よりも、分子ふるいの核形成及び/又は形成を促進することによって、得られる生成物の純度を高めることができる。種(seeds)として使用する場合、種結晶は、反応混合物中で使用される組成変数Tについて供給源の重量の1%と10%の間の量で添加される。
【0027】
分子ふるい結晶が形成された後、ろ過等の標準的な機械的分離技術により、反応混合物からその固体生成物が分離される。結晶は、水洗され、そしてその後、乾燥されて、合成したままの分子ふるい結晶が得られる。乾燥段階は、大気圧又は減圧下で行うことができる。
【0028】
分子ふるいは、合成したまま使用され得るが、典型的には熱的に処理(か焼)される。用語「合成したまま」(“as−synthesized”)は、結晶化後でSDAカチオン除去前の形態の分子ふるいを指す。SDAは、熱処理(例えば、か焼)により除去され得るが、好ましくは酸化性雰囲気(例えば、空気、0kPaより高い酸素分圧を有するガス)中で、分子ふるいからSDAを除去するのに十分な、当業者により容易に決定できる温度にて行われる。また、SDAは、米国特許第6,960,327号に記載されるような光分解法(例えば、分子ふるいから有機化合物を選択的に除去するのに十分な条件下で可視光よりも短い波長を有する光又は電磁放射線にSDA含有分子ふるい生成物を曝すこと)によっても除去され得る。
【0029】
続いて、分子ふるいは、約200℃から約800℃の温度範囲のスチーム、空気又は不活性ガス中で、1から48時間又はそれより長い時間範囲の期間、か焼され得る。通常は、イオン交換によって骨格外カチオン(例えば、Na)を除去し、そしてそれを水素、アンモニウム、又は任意の所望の金属イオンと置換えることが望ましい。
【0030】
形成された分子ふるいが中間的な分子ふるいである場合、目的の分子ふるいは、ヘテロ原子格子置換技術等の合成後の技術を使用して得ることができる。また、目的の分子ふるい(例えば、ケイ酸塩SSZ−96)は、酸浸出等の既知の技術により、格子からヘテロ原子を除去することによっても得ることができる。
【0031】
本明細書に開示された方法により作製された分子ふるいは、多種多様な物理的形状に形成され得る。概して、分子ふるいは、粉末、顆粒、又は2メッシュ(タイラー)スクリーンを通過し且つ400メッシュ(タイラー)スクリーン上に保持されるのに十分な粒子サイズを有する押出成形物等の成形品の形態であってよい。有機バインダーを用いて押出し等により、触媒を成形する場合、分子ふるいは、乾燥前に押出すことができ、又は乾燥後(若しくは部分的に乾燥後)に押出すことができる。
【0032】
分子ふるいは、有機転化プロセスに用いられる温度及び他の条件に耐性のある他の材料と複合化することができる。このようなマトリックス材料には、活性及び不活性材料並びに合成又は天然に生じるゼオライト、並びに粘土、シリカ及び金属酸化物等の無機材料が含まれる。このような材料及びそれらを使用することができる方法の例は、米国特許第4,910,006号、及び米国特許第5,316,753号に開示されている。
【0033】
SSZ−96は、水素化分解、脱ろう、オレフィン異性化、芳香族化合物のアルキル化等の様々な炭化水素転化反応の触媒に有用である。SSZ−96はまた、分離のための吸着剤としても有用である。
【0034】
分子ふるいの特徴付け
本明細書に開示された方法により作製された分子ふるいは、合成したままで且つ無水状態にて、表3に(モル比換算で)記載されたような組成を有し、表中、組成変数T、X、Q及びM、並びに化学量論的変数nは、本明細書に上記した通りである。
【表4】
【0035】
サブの一実施態様では、本明細書に開示された方法により作製された分子ふるいは、合成したままで且つ無水状態にて、表4に(モル比換算で)記載されたような組成を有し、表中、組成変数Q及びMは、本明細書に上記した通りである。
【表5】
【0036】
本明細書に開示された方法により合成された分子ふるいは、それらのXRDパターンによって特徴付けられる。表5の粉末XRD線は、本明細書に開示された方法に従って作製された合成したままのSSZ−96を表す。回折パターンにおける小さな変動は、格子定数が変化するために特定のサンプルの骨格種のモル比が変化することから生じ得る。加えて、十分に小さい結晶は、ピークの形や強度に影響し、かなり広がったピークになるであろう。また、回折パターンにおける小さな変動は、調製の際に使用される有機化合物の変化にも起因し得る。か焼(calcination)は、X線回折パターンにおける小さなシフトをも引き起こし得る。これらの小さな変動にもかかわらず、基本的な結晶格子構造は変わらず維持される。
【表6】
【0037】
表6のX線回折パターン線は、本明細書に記載された方法に従って作製された、か焼済みのSSZ−96を表している。
【表7】
【0038】
本明細書に提示された粉末X線回折パターンを、標準的な技術によって収集した。放射線はCuKα線であった。ピーク高さと位置を、θがブラッグ角のとき2θの関数として、ピークの相対強度から読取り(バックグラウンドについて調整し)、そしてd、つまり記録された線に対応する面間隔を算出することができる。
【実施例】
【0039】
以下の例示としての諸例は、非限定的であることを意図する。
【0040】
例1
1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンの合成
1−メチル−オクタヒドロインドールの合成
600ミリリットルのオートクレーブ中の絶対エタノール中の100gの1−メチルインドールの溶液に、5gのPtO及び10ミリリットルのHSOを添加した。この混合物を封止し、そして水素を用いて1500psigに加圧した。反応混合物を、約400rpmで攪拌しながら、100℃にて一晩加熱した。反応混合物を、再び1500psigに加圧し、そして100℃にて更に数時間加熱した。反応混合物を冷却し、そしてろ過して、触媒を除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して、エタノールを除去した。残留物を、水酸化ナトリウム溶液を用いて中和し、そして室温で約30分間攪拌した。その溶液を、分液漏斗に移し、そしてジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を、無水MgSOで乾燥し、ろ過し、そして低下された圧力にてロータリーエバポレーターで濃縮して、93.0gの生成物である1−メチル−オクタヒドロインドールを黄色油として得た。生成物をNMRにより確認した。
【0041】
1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムヒドロキシドの合成
20g(0.14mmol)の1−メチル−オクタヒドロインドールを300ミリリットルのメタノール中の53g(0.29mmol)の1−ヨードブタンと混合した。反応混合物を72時間加熱還流した。その後、0.5モル当量の1−ヨードブタンを更に添加し、そして、その反応混合物を、更に12時間加熱した。反応混合物を冷却し、そして溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、オフホワイト(off−white)の粉末を得、それを更に精製することなく使用した。四級化により39.4g(収率86%)の1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムヨージドを得た。得られた1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムヨージド(18.15g)を、56gの脱イオン水に溶解した。この溶液に、70gのBIO−RAD AG(登録商標)1−X8イオン交換樹脂を添加し、そして、そのスラリーを室温にて一晩穏やかに攪拌した。この溶液をろ過し、そして、少量のアリコートについて希HClを用いて滴定することにより、ろ液の水酸化物含量を分析した。このイオン交換により、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムヒドロキシドを87%の収率で得た。
【0042】
以下のスキーム1はSDAの合成を表す。
【化2】
【0043】
例2
SSZ−96の合成
23ミリリットルのテフロン(登録商標)ライナーに、4.9gの1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムヒドロキシド溶液(3mmolのカチオン及び3mmolの水酸化物)、0.75gの1NのNaOH溶液、0.75gのCAB−O−SIL(登録商標)M−5フュームドシリカ(Cabot社)、0.25gのLZ−210ゼオライト及び2gの脱イオン水を入れた。得られたゲル混合物を、均一な溶液が得られるまで十分に攪拌した。得られたゲル混合物を含有するテフロンライナーを封じ、そしてステンレススチールParrオートクレーブに入れた。そのオートクレーブを、170℃のオーブン中の43rpmで回転するスピットに付けた。ゲル混合物を6時間加熱し、その後、反応が完了し、沈降した粉末と透明な溶液を得た。反応混合物をろ過し、そして脱イオン水で十分に洗浄した。固体を空気中で一晩乾燥し、そしてその後、オーブン中で120℃にて2時間、乾燥した。得られた固体(0.9g)を粉末XRDにより分析した。得られた生成物の粉末XRDパターンを図1に示すが、この図示は当該材料が独特であったことを意味する。
【0044】
例3
SSZ−96のか焼
例2における合成したままの生成物を、室温から120℃まで1℃/分の昇温速度でマッフル炉内にて空気中でか焼し、そして120℃で2時間保持した。その後、温度を1℃/分の昇温速度で540℃まで上昇させ、そして540℃で5時間保持した。その後、温度を同じ昇温速度(1℃/分)で595℃に上げ、595℃で5時間保持した。か焼された分子ふるいの粉末XRDパターンを図2に示すが、この図示は当該材料が有機SDAを除去するためにか焼された後も安定なままであることを意味する。
【0045】
その後、か焼SSZ−96の微細孔容積及び外表面積を、BET法を使用して窒素物理吸着により測定した。測定した微細孔容積は0.13cm/gであり、外表面積は59.7m/gであり、そしてBET表面積は330.7m/gであった。
【0046】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的について、特に断りがない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される量、百分率又は比率、及び他の数値を表す全ての数は、全ての場合に「約」の用語により修飾されているものとして理解されるべきである。従って、特に断りがない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるような単数形「a」、「an」及び「the」には、明白且つ明確に1つの対象に限定されない限り、複数の対象が含まれることが留意される。本明細書で使用されるような用語「含む(include)」及びその文法的変形は、リスト内の項目の列記によって、リスト内の項目に置換又は追加可能な他の類似項目が排除されないように、非限定的であることを意図している。本明細書で使用されるような用語「を含んでいる(comprising)」は、その用語に続いて記載される要素又は工程を含むことを意味するが、そのような要素又は工程は網羅的ではなく、ある実施態様に、他の要素又は工程を含ませることができる。
【0047】
特に明記しない限り、個々の成分又は成分の混合物を選択することができる要素、材料又は他の成分の属の列挙により、リストした成分及びそれらの混合物の全ての可能な下位の属の組合せを含むことを意図する。
【0048】
特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。このような他の例が特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構成要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの文言と僅かな相違を有する等価な構成要素を含む場合、そのような他の例は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。本明細書と矛盾しない程度に、本明細書で言及する全ての引用文献は、参照により本明細書に援用される。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
少なくとも10の、(1)少なくとも1種の4価元素の少なくとも1種の酸化物対(2)任意選択で、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の酸化物のモル比を有し、且つ、か焼形態で、実質的に下表に示すようなX線回折パターンを有する分子ふるい。
[表1]

[態様2]
前記分子ふるいが、少なくとも10の、(1)酸化ケイ素対(2)酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、及びそれらの混合物から選択される酸化物のモル比を有する、上記態様1に記載の分子ふるい。
[態様3]
前記分子ふるいが、合成したままで且つ無水状態にて、モル比換算で、以下のような組成を有する、上記態様1に記載の分子ふるい:
[表2]

表中、
(1)Tは、周期表の4〜14族からの4価元素、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
(2)Xは、周期表の3〜13族からの3価元素及び5価元素、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;
(3)nは、Xの原子価状態に等しく;
(4)Qは、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンであり;そして
(5)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択される。
[態様4]
Tが、Si、Ge、及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記態様3に記載の分子ふるい。
[態様5]
TがSiである、上記態様4に記載の分子ふるい。
[態様6]
Xが、B、Al、Ga、In、Fe、及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記態様3に記載の分子ふるい。
[態様7]
Xが、B、Al、Ga、In、及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記態様6に記載の分子ふるい。
[態様8]
Tが、Siであり、そしてXがAlである、上記態様3に記載の分子ふるい。
[態様9]
結晶化条件下で、(1)少なくとも1種の4価元素の酸化物の少なくとも1種の供給源;(2)任意選択で、3価元素、5価元素、及びそれらの混合物の酸化物からなる群から選択される1種以上の酸化物の1種以上の供給源;(3)周期表の1族及び2族から選択される元素の少なくとも1種の供給源;(4)水酸化物イオン;並びに(5)1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンを接触させることを含む分子ふるいの合成法であって、
前記分子ふるいが、そのか焼形態で、実質的に下表に示すようなX線回折パターンを有する方法。
[表3]

[態様10]
前記分子ふるいが、モル比換算で、以下のものを含む反応混合物から調製される、上記態様9に記載の方法:
[表4]

表中、
(1)Tは、周期表の4〜14族からの4価元素、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
(2)Xは、周期表の3〜13族からの3価元素及び5価元素、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;
(3)nは、Xの原子価状態に等しく;
(4)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択され;そして
(5)Qは、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンである。
[態様11]
Tが、Si、Ge及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記態様9に記載の方法。
[態様12]
Xが、B、Al、Ga、In、及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記態様9に記載の方法。
[態様13]
Tiが、Siであり、そしてXが、Alである、上記態様9に記載の方法。
[態様14]
前記分子ふるいが、モル比換算で、以下のものを含む反応混合物から調製される、上記態様10に記載の方法。
[表5]

[態様15]
前記分子ふるいが、合成したままで且つ無水状態にて、モル比換算で、以下のような組成を有する、上記態様9に記載の方法:
[表6]

表中、
(1)Tは、周期表の4〜14族からの4価元素、及びそれらの混合物からなる群から選択され;
(2)Xは、周期表の3〜13族からの3価元素及び5価元素、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;
(3)nは、Xの原子価状態に等しく;
(4)Qは、1−ブチル−1−メチル−オクタヒドロインドリウムカチオンであり;そして
(5)Mは、周期表の1族及び2族からの元素からなる群から選択される。

図1
図2