(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各羽根の前記負圧面(40)は、前記フィレットが設けられるところの前記ロータの前記流出端に隣接する領域において10度未満のピッチ角を有する、請求項5または6に記載のロータ。
前記羽根の前記端面(44)は、前記軸線に沿う各位置の半径が前記軸線に沿う同じ位置の前記羽根の最大直径に対応している前記軸線周りの理論的な回転固体面、の面積の少なくとも50%の総計領域を有する、請求項1に記載のロータ。
各羽根の前記流体力学的支持面は、前記ロータの前記流入端に隣接する前方流体力学的支持面(48)と前記ロータの前記流出端に隣接する後方流体力学的(50)支持面とを含み、
前記前方および後方流体力学的支持面は、前記回転面(46)の一部を画定する中間壁(58)によって相互に分離される、請求項16に記載のロータ。
動作の際に、前記ロータ(30)は、前記穴(112)の中に懸架され、前記流体力学的支持面(48、50)の作用によって前記ハウジングの前記内表面に対して非接触に保持される、請求項22に記載の血液ポンプ。
【背景技術】
【0003】
埋め込み型の血液ポンプは、人間の患者または人間でない対象動物の心臓患部の機能を援助するため、心室補助デバイス(ventricular assist devices)として採用されている。血液ポンプが左心室補助デバイスすなわち「LVAD」として採用される場合、ポンプの入口は、患者の心臓の左心室と連通し、その一方で、ポンプの出口は、大動脈弁の下流の大動脈と連通する。したがって、ポンプは、患者の左心室に応じて作動して、心室から大動脈に血液を推し進める。LVADとして典型的に人間を対象に使用するポンプは、対象の血圧に対応する圧力水頭に逆らって、例えば、毎分数リットル以上の、大量の血液の流れを提供できなければならない。例えば、1つの典型的な動作条件において、LVADは、圧力水頭75水銀柱mm、すなわち、入口での圧力よりも75水銀柱mm高いポンプ出口での圧力、で毎分5リットルの血液をポンプ送りすることができる。
【0004】
右心室補助デバイスとして、他の血液ポンプが適用される。この用途では、ポンプの入口は、対象の心臓の右心室に連結され、その一方で、ポンプの出口は、肺動脈に連結される。複式ポンプは、左右双方の心室を補助するために使用するかまたは正に人工心臓として使用することが可能である。
【0005】
埋め込み型の血液ポンプは、患者の体の中にポンプを取り付けるのを容易にするように小型化されねばならない。また、患者の体内での長期の、最も典型的には数年、または数十年にさえ及ぶ、使用において高い信頼性がなければならない。また、埋め込み型血液ポンプは、ポンプの動作に要する動力を最小化するように効率が良くなければならない。このことは、患者の体内または体上の携帯型バッテリまたは携帯型電源によってポンプに動力が供給される大部分の用途において特に重要である。さらに、ポンプは、患者の血液を害することが最小となるように設計されねばならない。血液成分を害することが最小となるように、例えば、150Pa以上の比較的高いせん断応力にさらされる血液の量を制限しなければならない。
【0006】
本譲受人にすべてが譲受された米国特許第7,699,508号、第7,972,122号、第8,007,254号、および、第8,419,609号には、血液ポンプの特に望ましい1つの形態が開示されている。これらの特許の開示については、参照により本明細書に組み込む。このタイプの血液ポンプは、一般に広幅羽根式の軸流血液ポンプ(wide−blade axial flow blood pump)と呼ばれる。ポンプは、穴とこの穴の中に配置されるロータとを有するハウジングを備える。ロータは、軸線に沿って延在するハブと、ハブから外方に突出する羽根とを有する。羽根は、軸線の周りで相互に離隔配置されており、隣接する羽根の間に延在するチャネルを協働して画定している。チャネルは、概ね螺旋状であり、軸線の周りを部分的に被いつつ軸線に沿って延在する。羽根の外部端は、軸線から離れた外方に向いている端面を有する。これらの端面は、かなりの領域を有する。端面は、流体力学的支持面(hydrodynamic bearing surfaces)を備える。典型的には、ロータは、磁性を有し、2以上の磁極を備える。ハウジングの周りには、電気的なコイルが配列される。これらのコイルには、電力源によって電圧が印加され、磁場が回転し、これによりロータが回転する。ロータが回転するので、軸線に沿って下流方向に血液がハウジング内を軸方向に推進される。流体力学的支持面は、支持面とハウジングの内壁との間に位置する血液の膜でロータを支持する。別言すれば、流体力学的支持により、ロータが穴と同軸に保持され、例えば、患者の動きによるポンプの傾斜時に生じ得る重力またはジャイロ力によって押し付けられる負荷などの、ロータ軸線を横切る向きの負荷に耐えられる。ロータとコイルによって付与される磁場との間の磁気的な相互作用により、ロータの軸方向の動きが耐えられる。他の変形例では、ハウジングに対するロータの軸方向の動きに耐えるために、追加の磁石や追加の流体力学的支持面などの追加の構成要素を設けることが可能である。
【0007】
上記特許に係る好適な広幅羽根式の軸流血液ポンプは、非常に小型化することが可能である。例えば、左心室補助デバイスとして使用に適するポンプは、直径が0.379インチ(9.63mm)程度のモータと、軸方向範囲が約0.5インチ(12.7mm)の羽根を有する場合がある。羽根から上流および下流に突出するハブを含むロータの全長は、約0.86インチ(21.8mm)である。ハウジングは、ロータの直径よりも僅かながら大きい内径を有する。電気的なコイル、ハウジング、およびロータは、直径が約0.7インチ(18mm)で長さが1インチ(25mm)程度の外側シェルの中に収納することができる。1つの構成では、ハウジングの出口端すなわち下流端には、出口端を流出カニューレに連結するのに役立つボリュート(volute)が連結され、その一方で、ハウジングの入口すなわち上流は、心臓壁の小孔を介して患者の左心室に挿入される。さらに別の構成では、左心室の中にポンプ全体を位置付けることができ、ハウジングの出口端は、大動脈弁から突出する流出カニューレに連結することができる。その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20090203957A1号を参照のこと。
【0008】
上記特許および刊行物に係る広幅羽根式の軸流血液ポンプは、摩耗せずに動作する。動作中に、ポンプの唯一の可動部分であるロータは、流体力学的支持および磁場によって懸架され、ハウジングに接触することはない。そのようなポンプは、理論上、無限の寿命を持つ。さらに、上記特許に係る好適なポンプは、血栓の形成を伴うことなく多年にわたって動作することが可能である。
【0009】
本技術分野におけるかなりの進歩にもかかわらず、さらにいっそうの改善が望まれている。特に、広幅羽根式の軸流血液ポンプの利点を依然として保持しつつ、より高い効率、改善されたポンプ性能、および血液に対する低いせん断を提供することが望まれている。そのような改善は、工業技術への手強い挑戦を引き起こす。このタイプの広幅羽根式の軸流ポンプでは、ロータ羽根の端面は、効率的な流体力学的支持のための十分な領域を提供しなければならない。また、ロータの羽根は、ロータに十分な強度の磁極をもたせるために、必要な磁性材料を含むことが要求される容積を有しなければならない。これらの制約は、従来のロータの設計における受け入れ可能な改善を制限してきた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この開示に使用されているように、用語「概ね螺旋状」は、軸線に平行な方向に延在し、軸線に沿う方向の範囲の少なくとも50%を超えて軸線周りの周方向に湾曲する特徴部を指す。螺旋状の特徴部の湾曲およびピッチの程度は、均一であることを要しない。
【0014】
本発明の一実施形態に係るロータ30は、軸線34に沿って延在するハブ32を組み込む単一本体を備える。軸線34に沿う方向は、本明細書では「上流」方向および「下流」方向と呼ぶ。本明細書では、それらの方向は共に「軸」方向とも呼ぶ。下流方向は、
図1および
図2のそれぞれで矢印Dにより示され、上流方向は、その逆の方向である。
【0015】
複数の羽根36、この例では4つの羽根は、ハブから突出する。各羽根36は、軸線30に垂直である半径方向外向きすなわち「スパン」方向(spanwise direction)にハブから延出する。各羽根は、ハブ32の軸方向の範囲の一部にわたって長さ方向すなわち軸方向にも延在する。周方向すなわち軸線34周りの回転方向は、前方向F、後方向Rとして示される。各羽根は、前方向Fに向いている概ね螺旋状の面を画定する。面38は、本明細書では「正圧」面と呼ぶ。各羽根は、その反対すなわち後方向Rに面する面40も画定する。面40は、本明細書では「負圧」面と呼ぶ。羽根36は、軸方向に互いに同一の広がりを有する。したがって、
図3から良く分かるように、羽根は、共通の軸方向の範囲AXにわたって延在する。図示した特定の例では、羽根の軸方向範囲は、0.500インチ(12.7mm)であり、羽根の最も外側の末端を横切って測定したロータの最大直径D
MAXは、約0.379インチ(9.62mm)である。
【0016】
羽根は、周方向前方および後方において軸線周りに互いに均等に離間される。したがって、羽根は、羽根36の上流すなわち流入端37と下流すなわち流出端39との間に延在する複数のチャネル42を画定する。各チャネル42は、1つの羽根の、前方に面している正圧面38と、次の隣接する羽根の、後方に面している負圧面40と、によって境界付けられる。
【0017】
各羽根36は、そのような羽根の正圧面38および負圧面40の間に延在する端面44を有する。各端面は、軸線34から離れて外方に面しており、羽根の最も外側の末端を画定する。各端面は、ランド面46を含む。ランド面46は、中心軸線34の周りの回転面の一部の形式を有する。図示した特定の実施形態では、回転面は円柱であり、したがって、軸線34からランド面46までの半径は、各ランド面46の全範囲にわたって一定であり、そのような半径は、羽根の最大直径D
MAXの2分の1である。各端面44は、上流の流体力学的支持面48と、下流の流体力学的支持面50と、をさらに含む。
【0018】
個々の流体力学的支持面は、羽根の正圧面38の周方向後方に延在する。
図1、
図2および
図17から良く分かるように、上流すなわち流入端の支持面48は、ランド領域46から半径方向に窪められる。この窪みは、支持面の前方縁部で最大であり、そこでは支持面が羽根の正圧面38と交わる。この窪みは、周方向後方に向かって漸次小さくされ、したがって、支持面は、支持面の後方縁部で円滑にランド領域46に合流する。各羽根の下流支持面50(
図1、
図2、
図3および
図14)は、同様の構造を有する。図示した特定の実施形態では、各支持面の前方縁部は、約0.0030〜0.0040インチすなわち0.076〜0.010mm、最適には、0.0035インチ(0.089mm)、の窪み寸法RD(
図17)だけランド領域に対して窪められる。
図14から良く分かるように、各端面のランド領域46は、その上流側の上流すなわち流入端の支持面46に隣接する流入端領域54と、その下流側の下流支持面50に隣接する下流すなわち流出端領域56と、上流および下流の支持面を互いに分離する分割壁領域58と、端面と羽根の負圧面40とのつなぎ目に沿って延在する後方縁部領域60と、を含む。図示した特定の実施形態では、端面のある種の特徴部の寸法はインチで、ロータの中心軸線34に垂直な平面に対するある種の特徴部の角度と共に、
図14に示されている。
【0019】
羽根の端面44は、中心軸線34の周りの前後方向の実質上周方向の範囲を有する。各端面44の周方向の範囲CET(
図16)は、羽根の最も外側の末端で測定した各チャネル42の周方向の範囲CECよりも大きいことが最適である。この端面およびチャネルの間の周方向範囲の関係は、好ましくは、羽根とチャネルの軸方向範囲のかなりの部分、より望ましくは、そのような軸方向範囲の大部分、すなわち羽根とチャネルの軸方向範囲の少なくとも約50%、にわたって、例えば、そのような軸方向範囲の少なくとも約30%として妥当する。別言すれば、端面の総計領域は、羽根の最も外側の末端で再測定したように、チャネルの総計領域よりも大きい。図示した特定の実施形態では、端面の総計領域(流体力学的支持面およびランド領域を含む)は、羽根の最大直径D
MAX(
図3)に等しい直径を有し、かつ羽根の軸方向範囲AXに等しい長さを有する理論的な円柱の面積の約57%である。端面の面積と、端面に対応する理論的な回転固体面の面積と、の間のこの比率は、少なくとも0.50であることが好ましく、少なくとも約0.55であることがより好ましい。この比較的に大きな端面により、ロータを懸架できる流体力学的支持面のための十分な領域が得られる。この開示に使用されているように、「ロータを懸架できる」流体力学的支持面とは、端面に近接して取り囲む管状ハウジングの中の血液中において、圧力水頭75mmで少なくとも5リットル/分の血液をポンプ送りするのに要する速度で、ロータをロータ軸線周りに回転させるときに、ロータをハウジングと同軸に保持することができ、したがって、ロータ軸線を横断する半径方向の動きまたはハウジングに対するロータ軸線の傾斜のためにロータがハウジングに接触する、ということがない流体力学的支持面である。
【0020】
ハブ32は、各チャネル42の中で床面(
図1、
図2、
図3および
図5)を画定する。床面は、ロータの中心軸線34から離れて半径方向外方に面する。
図6から良く分かるように、ハブ32は、羽根36の軸方向範囲の中、したがって、チャネル42の軸方向範囲の中で、その長さの少なくとも一部にわたって漸次増加する直径を有する。したがって、羽根の上流(流入)端37に隣接する各チャネルの軸方向長さの一部にわたって、ハブ32の外面によって画定される床面62は、下流方向に中心軸線34から離れて半径方向外方に傾斜する。羽根およびチャネルの軸方向範囲の中ではあるが、羽根の下流すなわち流出端39とチャネルの下流端に隣接する、ハブの別部分は、一定の直径を有する。したがって、この一定の直径の軸方向領域の中で、各チャネルの床面は、軸線34に対して傾斜しない。
【0021】
ハブはさらに、羽根の上流末端37を越えて上流すなわち流入方向に突出し、かつ小さい半径まで先細になる上流端コーン64を画定する。例えば、上流端コーンは、羽根の上流末端を越えて約4.6mm突出する場合がある。同様に、ハブは、羽根の下流末端39から下流に約0.180インチ(4.6mm)突出する下流端コーン66を含む。
【0022】
各羽根の正圧面38は、正圧面の下流末端を形成する流出コーナ面70を含む。流出コーナ面は、実質上螺旋角を有し、したがって、流出コーナ面70は、羽根の下流末端に向かって周方向後方に傾斜する。
【0023】
螺旋面に関連してこの開示に使用されているように、用語「ピッチ角」および「螺旋角」はそれぞれ、螺旋面の接線と中心軸線34の間の角度を意味する。ピッチ角すなわち螺旋角は、リード角、すなわち、その面の接線と軸線34に垂直な平面の間の角度、の余角である。特に、流出コーナ面70は、羽根の負圧面40まで延在してそれと交差する。理想的には、流出コーナ面は、鋭利な縁部72(
図2)で負圧面と交差する。実際には、縁部72は、少しでも壊れ易くしないために、僅かに不完全である、すなわち丸められる。しかしながら、そのように丸めても、流出コーナ面は、羽根の外端の近傍すなわち端面の近傍の少なくとも流出コーナ面の領域において、羽根の下流末端で負圧面の約0.4mm以内に延在することが望ましい。各羽根の流出コーナ面は、羽根のスパン方向すなわち半径方向の範囲の少なくとも主要な部分にわたって羽根の負圧面の約0.15mm以内に延在することがより好ましい。羽根の下流末端(縁部72)で羽根のスパン方向範囲に沿って様々の地点で測定したような流出コーナ面70のリード角は、羽根のスパン方向範囲に沿って様々である。これは
図7〜12に示されている。
図8〜
図12のそれぞれは、図を分かり易くするために羽根の最も外側の部分を取り除いてあるロータ30の側面図である。したがって、「0.0035−A」と表示された
図8は、図を分かり易くするために、
図7の「0.0035−A」と表示された円の外側に位置するその部分を取り除いてあるロータを示す。凡例「0.0035−A」は、取り除いた部分が、現実の有形の羽根の最も外側の範囲から0.0035インチ(0.09mm)の深さすなわち半径方向範囲を有する、すなわち、円0.0035−Aが、羽根の最大半径方向範囲よりも小さい半径0.0035インチで存在する、ということを示す。同様に、「0.0835−E」と表示された
図12は、図示の目的で取り除いた
図7の「0.0835−E」と表示された円の外側に位置する部分を持つロータを示す。この円は、実際の羽根の最大半径よりも小さい半径0.0835インチ(2.12mm)を有する。
図8〜
図12に示すように、流出コーナ面70のリード角は、軸線34から離れた半径方向外方すなわちスパン方向外方に減少する。したがって、
図12に示すように、リード角は、流出コーナ面70の内端の近くで約23.14度である。面70の外端の近くでリード角は、
図8に示すように約3.13度である。一般に、流出コーナ面のリード角は、そのスパン方向範囲の全体にわたって25度未満にすべきであり、そのリード角は、半径方向外方、すなわちスパン方向に減少すべきであり、したがって、リード角は、流出コーナ面の外端で、10度未満、好ましくは、5度未満である。
【0024】
図3から良く分かるように、流出コーナ面70は、外側湾曲部74に沿って羽根の端面44と交差すると共に、流出コーナ面の半径方向内側縁部に湾曲部76も画定する。湾曲部76は、湾曲部74から周方向前方F(
図3)に分岐する。したがって、流出コーナ面70から垂直に外方を指している理論上のベクトルV
70(
図2)は、軸線34から離れて半径方向外方と下流方向Dの、正の、ゼロでない、成分を有する。
【0025】
各羽根の正圧面38は、流出コーナ面70から上流に延在する主領域78(
図3)も含む。この主領域の中で、正圧面は、概ね螺旋状である。主領域は、羽根の上流すなわち流入末端37の丸めた縁部81まで延在する。縁部81は、スパン方向すなわち半径方向に延在する。フィレット80は、正圧面38およびチャネル床面62のつなぎ目に設けられる。このフィレットは、相対的に小さい半径を有する。このフィレットは、羽根およびチャネルの半径方向すなわちスパン方向の範囲の小さい部分のみを占有する。
【0026】
各羽根の負圧面40は、羽根の流出すなわち下流末端39に隣接する流出領域84を含む。流出領域84は、望ましくは約10度よりも小さい、より典型的には約0度の、小さいピッチ角を有する。流出領域84の中では、負圧面は、ロータの中心軸線34に平行または略平行な平面に存在する。
図3に関連して良く理解されるように、負圧面の流出領域84は、軸方向において、チャネルの反対壁を形成している次の隣接する羽根の正圧面の流出コーナ領域70と整合する。羽根の下流すなわち流出末端39に隣接するこの領域では、羽根によって境界付けられたチャネルは、下流方向に急速に増加する幅すなわち周方向の範囲を有し、したがって、チャネルの断面積も急速に増加する。負圧面40は、流出領域84の螺旋角より大きい螺旋角を持つ主領域も有する。
【0027】
各羽根の負圧面40は、羽根の上流末端まで延在する流入端領域88(
図1、
図3)をさらに含む。
図3に関連して良く分かるように、各羽根の流入端領域88は、漸次増加する螺旋角(漸次減少するリード角)を有する。流入端領域の面は、羽根の上流末端37に近づくにつれて、軸線34に垂直な平面に略平行になる。負圧面の流入端領域の軸方向範囲の中の各軸方向位置では、負圧面の流入端領域の螺旋角は、正圧面の螺旋角よりも大きい。この軸方向範囲の中で、負圧面(流入端領域88)は、次の隣接する羽根の正圧面38から分岐する。したがって、各チャネルの幅または周方向範囲は、流入端領域88の軸方向範囲の全体にわたって上流方向に増加する。流入端領域88は、羽根の上流末端の位置89(
図14)で終結し、そこでは、螺旋角は90度に達し、したがってリード角は0度に達する。この位置89は、正圧面の丸めた縁部81の近くに存在する。図示した特定の実施形態では、端面44の傍の羽根の外端で測定した、位置89と丸めた縁部81の頂点との間の距離は、0.037インチすなわち0.94mmである。したがって、羽根は、その負圧面の上流端(流入端領域88の上流端)と丸み部81との間において、唯一の極めて小さい平坦な面92を提供し、そこでは、負圧面が正圧面と接続する。
【0028】
フィレット96は、各羽根の負圧面40および隣接するチャネル床面62のつなぎ目に設けられる。負圧面の主領域86および流入端領域88では、フィレット96は、比較的小さい実質上一定の半径を有する。しかしながら、負圧面の流出端領域84では、フィレット96の半径は、下流方向に漸次増加する。したがって、
図15から分かるように、各羽根の下流すなわち流出末端39のフィレット96の半径R
96は、羽根のスパン方向すなわち半径方向範囲の実質的な部分であり、また、チャネルの周方向幅の実質的な部分でもある。好ましくは、羽根の下流端のフィレットの半径R
96は、羽根のスパン方向すなわち半径方向範囲(チャネル床面62から羽根の端面44までの半径方向距離)の約25%あるいはそれ以上であり、同様に、チャネルの幅または周方向範囲の約25%あるいはそれ以上である。
図15に示した特定の例では、フィレットの半径R
96は、チャネル42の床面62の周方向範囲の約3分の1を占有する。この漸次広がるフィレット96は、チャネルの下流端にスクープの形を付与し、したがって、本明細書中では「流出スクープフィレット」と呼ぶ。
【0029】
ロータ30は、磁極を含むことが望ましい。したがって、ロータは、生体適合性のある強磁性合金、例えば、白金コバルト合金の固体塊から形成することができる。ロータは、ロータに2つの反対の磁極を付与するように従来の技術を用いて磁化することができる。あるいは、ロータは、1つまたは複数の磁石を内部に埋め込んだ非磁性材料から本来的に形成することができる。
【0030】
上述した構成により、チャネルを持つロータが提供され、これらのチャネルは、流入端で比較的大きい領域を有し、ロータの軸方向長さの中央に隣接する小さめの断面領域まで漸次狭くなり、ロータの流出端に隣接するとても大きい断面領域まで成長する。
図18の曲線100は、上述したロータの特定の例のチャネルの総計断面積を示す。
図18には、ロータの軸方向長さに沿った様々なポイントにおけるチャネルの断面積を示す。下記表1には、軸方向位置に対する総計断面積も示す。
図18および表1では、軸方向位置ゼロは、羽根の上流すなわち流入末端37の丸めた縁部81であり、他の軸方向位置は、軸方向位置ゼロから測定される。
【0032】
図18の曲線100で言及した本発明の上記実施形態に係るロータは、軸方向位置ゼロで36.5821mm
2の流入領域(チャネルの総計領域)を有する。ロータの最大直径(9.6266mm)と同じ直径を有する中実の円の面積は、72.78mm
2である。したがって、特定の流入領域(ロータの羽根の最大直径と同じ直径を有する理論的に中実な円の面積に対するチャネルの総計流入領域の比率)は、およそ0.503である。望ましいことに、チャネルは、少なくとも0.44、好ましくは0.48、より好ましくは少なくとも0.5、の特定流入領域を提供する。流出領域(表1の軸方向位置11.684におけるチャネルの総計断面積)は、46.0128mm
2である。したがって、特定の流出領域(上述した理論円の面積に対するチャネルの総計流出領域の比率)は、0.632である。望ましいことに、チャネルは、少なくとも0.47、好ましくは少なくとも0.55、より好ましくは少なくとも0.6、の特定の流出領域を提供する。総計領域が最小である位置(軸方向位置6.604mm)におけるチャネルの総計領域に対する総計流出領域の比率は、2.253であり、以下、本明細書中で「流出/最小の比率」(outflow/min ratio)と呼ぶ。
【0033】
図19および
図20は、従来技術に係る類似のロータを示す。
図19および
図20は、それぞれ
図1および
図2と同様である。従来技術に係るロータは、上述したような負圧面まで延在する流出コーナ面を有さず、したがって、軸線に本質的に垂直に配設された実質上平坦な領域201を有する、ということに留意されたい。
図19および
図20に係る従来技術のロータは、本技術分野で以前、合理的なせん断を備え、かつロータを所定位置に保持するための十分な流体力学的支持面領域を備えて、ポンプ性能の最良の実行可能な組合せを提供するものであるとされた。上記表1と同じ軸方向位置での従来技術のロータのチャネルの総計領域は、
図18の曲線102で示し、また、下記表2に示す。
【0035】
図19および
図20の従来技術のロータのための特定の流入領域は、およそ0.411であり、従来技術のロータのための類似の特定の流出領域は、およそ0.446である。流出/最小の比率(総計領域が最小である位置(軸方向位置6.604mm)におけるチャネルの総計領域に対する総計流出領域の比率)は、2.100である。上述した本発明の実施形態に係るロータにより、実質上増加した流入領域および流出領域と、より大きな流出/最小の比率が提供される。特に、ロータの動作を支持する流体力学的支持を提供するために端面上に適切な領域が依然として保持されつつ、増加した流入領域および流出領域と概ね増加したチャネル断面積とが提供される。さらに、上述したような適切な磁気の相互作用を提供するために材料の質量が適切に保持されつつ、上述した本発明に係る実施形態の有利なチャネル構成および面積も提供される。
【0036】
本発明の一実施形態に係るポンプは、内部穴112(
図5、
図6)を画定するハウジング110と共に、
図1〜
図17に関連して上述したようなロータ30を含む。内部穴は、ロータの端面を密接に取り囲む。例えば、内部穴の直径は、ロータの最大直径D
MAXよりも大きい約0.089mmから約0.121mmにすることができ、これにより、ハウジングは、端面のランド領域から概ね0.05mmの半径方向隙間を提供する。114で図解的に示されたセットのコイルは、ハウジングの外部周りに配列される。コイル114は、従来の構成から形成できる。単なる一例として、コイルは、3セットのハウジング周囲に均等な間隔で配置された直径方向に対向するコイルを備えることができる。コイルは、一般に鉄ステータ(図示せず)と呼ばれる従来の強磁性構成要素と関係する。コイル、鉄ステータおよびハウジングは、シェル116によって囲まれる。ロータ自体が極めて小さいので、シェルも、例えば、21mm以下、好ましくは18mm以下の小さい直径にすることができる。
【0037】
動作中に、人間または他の動物の対象の体の中に埋め込んだポンプにより、また、例えば、心室補助デバイス用の従来形式の循環システムに接続されたハウジングにより、コイル114が作動して、ロータの中心軸線34を横切る向きの磁場が形成され、この磁場が軸線周りに急速回転される。磁化されたロータは、回転する磁場と共に回転する。磁場の回転方向は、ロータが周方向前方F(
図1)に回転するように選択される。回転するロータによって、血液が
図6に示す下流方向Dにポンプ送りされる。回転するロータによって、ロータの中心軸線34周りの血液には、角運動量も付与される。任意選択的に、ハウジングは、上記の特許および出版物に記載されているように、この角運動量を追加の圧力に変換するための、67で図解的に示す、追加の構成要素を含むことができる。後述するポンプ送り性能は、そのような構成要素を有するポンプにおいて決定される。そのような構成要素は、ロータの下流のハウジング内に実装された不動のベーンを含むことができ、また、軸線34を横切る平面に配向された概ね螺旋状を有するボリュートも含むことができ、そのようなボリュートは、図示の管状ハウジングの下流端に連結される。例えば、不動のベーンを使用する場合、概ね螺旋状にすることができ、また、羽根のピッチ方向とは反対のピッチ方向にすることができる。
【0038】
典型的には、ロータは、毎分回転数(「RPM」)数千の程度、例えば、1万RPMを超えるような回転速度で回転する。これらの条件下で、ロータ(
図1、
図2)の流体力学的支持面48および50の間に血液が閉じ込められており、壁を画定するハウジングの穴112は、ハウジングの穴と実質上同軸にロータを保持すると共に、穴壁と接触しないようにロータを保持する。
【0039】
流体力学的支持によって、ロータの軸方向位置は、制御されない。むしろ、ロータは、コイル114と関係する鉄ステータとの磁気的な相互作用により軸線に沿った所定位置に保持される。したがって、ロータは、ハウジング内で浮揚して、通常動作中にどの固体面にも接触しない。ハウジングは、軸方向の動きに対してロータを拘束するために安全ストッパ(図示せず)を備えることができる。しかしながら、これらの安全ストッパは、通常動作中にロータに接触しない。
【0040】
図21は、上述した本発明の実施形態に係るロータを有するポンプのポンプ送り性能と、
図19および
図20に示す従来技術のロータを有する同一のポンプとの1つの比較を示す。曲線150は、数値流体力学によって決定されるような15,000RPMで動作する本発明のロータを組み込むポンプの容積対水頭の関係を示す。曲線152は、数値流体力学によって同様に決定されるような18,000RPMで動作する
図19および
図20の従来技術のロータを有する別の同一のポンプの同じ関係を示す。本発明に係るロータを組み込むポンプにより、実質上低い速度で作動するにもかかわらず、良好な性能が得られる。本発明に係るポンプおよびロータの高品質の性能は、
図23によってさらに示される。
図23に「オリジナル」と表示した実線の曲線は、各曲線に示した速度での
図19および
図20の従来技術のロータを有するポンプの性能を代表する。「修正」と表示した点線の曲線は、上述した本発明の実施形態に係るロータを有する同一ポンプの性能を代表する。任意の所与の圧力水頭に関して、本発明に係るポンプおよびロータにより、同じ速度で動作するときに流れが良くなり、あるいは、より低い速度で動作するときに同じ流れが得られる、ということに留意されたい。
図23の曲線は、血液をシミュレートするために2.7cP(センチポアズ)の粘度を有する摂氏37度の水/グリセリン溶液を用いて獲得した実際の流れの測定値を代表する。
【0041】
この開示に使用されているように、用語「特定血液流量」(specific blood flow rate)は、(i)2.7cP(センチポアズ)の粘度を有する血液または流体の流量の、(ii)ロータの最大直径に等しい直径を有する円の面積に対する、比率を指す。望ましいことに、本発明に係るポンプおよびロータは、少なくとも50,000mm/分、より好ましくは、少なくとも55,000mm/分または少なくとも60,000mm/分、最も好ましくは、圧力水頭75水銀柱mmおよび毎分15,000回転の回転速度で少なくとも68,000mm/分、の特定血液流量を有することができる。
【0042】
特に、所与の流量および所与の圧力水頭に関して、本発明に係るポンプおよびロータは、高いせん断条件に血液をさらすことを実質上少なくしつつ作動する。これは、
図22に示されている。縦軸は、150Pa以上のせん断応力にさらされるロータの中または周りの血液(ロータとハウジングの間の血液を含む)の量を示す。このパラメータは、本明細書中において「V
150」と呼ぶ。曲線160は、18,000毎分回転数で動作中の
図19および
図20の従来技術のロータを有するポンプのV
150を示す。曲線162は、従来技術のポンプと同じ流量で同じかまたはそれより大きな圧力差を配送するために15,000毎分回転数で動作する本発明の上記実施形態に係るロータを有するポンプのV
150を示す。
【0043】
さらに、本発明に係るポンプは、所与の流量を提供するのに出力がより少なくて済む。例えば、本発明の上記実施形態に係るポンプは、各リットル/分の流量について0.96ワットの電力を用いて、75水銀柱mmの圧力差に抗して血液をポンプ送りすることができる。従来技術のロータを用いる同一のポンプは、類似条件の下で1.18W/L/分を消費する。
【0044】
本発明の実施形態は、様々に変化させることが可能である。例えば、ロータは、異なった直径、異なった長さ、異なった数の羽根およびチャネルなどを備えて作ることが可能である。また、ロータおよびハウジングは、円筒状であることを要しない。例えば、ハウジングの穴は円錐状にでき、羽根の端面も円錐状にできる。また、上述したロータおよびポンプの個々の物理的な特徴は、省略または変更されてもよい。
【0045】
本発明は、動作の理論(theory of operation)のどれによっても限定されないが、本発明に係るある種のロータが達成する改善された性能は、一般に「速度三角形」と呼ばれる理論に関連して理解することが可能である。
図24は、ロータが円筒状ではなくて平面的な場合に見えるであろうような展開した図で一対のロータ羽根336を図解的に示す。ロータの回転速度は、矢印ωで示しており、軸線から第1の半径に配置されたロータの上流すなわち流入端のポイント301は、ベクトルU
1で示す速度で移動し、軸線から第2の半径のロータの下流すなわち流出端のポイント303は、速度ベクトルU
2を有する。U
1およびU
2の双方は、ロータの回転軸線に垂直に導かれる。速度Qでロータに流入する流体は、本明細書中で「絶対」流入速度と呼ぶポンプのハウジングに対する速度ベクトルC
1を有する。ロータ羽根のポイント301に対して流入する流体の速度は、ベクトルW
1で示し、本明細書中で「相対」流入速度と呼ぶ。相対流入速度W
1と回転軸線に垂直な平面305との間の角度β
1は、本明細書中で「流入角」と呼ぶ。同様に、ロータから流出する流体は、本明細書中で「絶対」流出速度と呼ぶポンプのハウジングに対する速度ベクトルC
2を有する。ロータ羽根のポイント303に対して流出する流体の速度は、ベクトルW
2で示し、本明細書中で「相対」流出速度と呼ぶ。相対流出速度W
2と回転軸線に垂直な平面307との間の角度β
2は、本明細書中で「流出角」と呼ぶ。理論上、ポンプが生み出す水頭Hは、
H=(u
22−u
12+w
12−w
22+c
22−c
12)/2g
で与えられ、ここで、u
1、u
2、w
1、w
2、c
1およびc
2は、上述したような対応するベクトルの大きさであり、gは、重力加速度である。
【0046】
ロータの設計における様々な要素は、ベクトル、したがって、理論水頭(theoretical head)に影響を及ぼす場合がある。再言すると、本発明は、動作の理論のどれにも限定されないが、本発明に係る好適なロータが達成する改善された性能は、ロータが達成する流出角β
2の減少に関係すると思われる。したがって、望ましいことには、本発明に係る好適なロータは、30度未満、好ましくは約25度、の平均流出角β
2を提供する。比較すると、
図19および
図20に示す従来技術のロータは、約45度の平均流出角を提供する。望ましいことに、本発明に係る好適なロータは、同じ従来技術のロータにおける約45度の平均流入角と対照的に、30度未満、好ましくは約25度以下の平均流入角β
1を提供する。
【0047】
特定の実施形態に関連して本発明を記載したが、これらの実施形態が本発明の原理および用途を単に説明しているだけであると理解すべきである。したがって、説明した実施形態について多数の修正が可能であり、他の構成が使用可能であると理解すべきである。
【0048】
例えば、
図1〜17のロータは、多数の特徴を含み、そのそれぞれが、ロータが達成し、またロータを組み込むポンプが達成する改善された性能に貢献する。これらの特徴の1つまたは複数を削除することができる。単なる一例として、流出コーナ面70(
図1)は、流出スクープフィレット96(
図4、15)なしに使用されてもよく、その逆でもよい。これらの特徴のいずれかまたは双方について、負圧面の流入端領域88(
図1)なしに使用されてもよく、その逆でもよい。
[0049]
以下の段落では、本発明のある種の特徴をさらに説明する。
[0050]
軸流血液ポンプ用のロータであって、
ロータは、上流および下流の軸方向に延在する軸線と、ロータの流入端からロータの流出端まで延在する複数の概ね螺旋状の羽根と、を有し、
羽根は、スパン方向に軸線から離れて外方に突出し、
羽根は、軸方向に同一の広がりを有し、隣接する羽根の間に概ね螺旋状のチャネルを画定するように軸線周りの周方向に互いに離間され、
各羽根は、周方向前方に面する正圧面と、周方向後方に面する負圧面と、羽根の正圧面および負圧面の間に延在する端面とを有し、
各チャネルは、羽根のうちの1つの正圧側と羽根のうちの次に隣接する1つの負圧側とによって境界付けられ、
羽根の端面は、ロータを懸架し得る流体力学的支持領域を画定し、
ロータは、
(a)V150が25mm3未満で、圧力水頭75水銀柱mmで少なくとも5リットルの血液の流れ、
(b)圧力水頭75水銀柱mmおよび毎分15,000回転の回転速度で少なくとも50,000mm/分の特定血液流量、
(c)30度未満の平均流出角、
のうちの少なくとも1つを提供するように適合されている、軸流血液ポンプ用のロータ。
[0051]
30度未満の平均流入角を有する、段落[0050]に記載のロータ。
[0052]
ロータは、V150が25mm3未満で、圧力水頭75水銀柱mmで5リットルの血液の流れを提供するように適合される、段落[0050]に記載のロータ。
[0053]
羽根の端面を横断する最大直径が13mm未満である、段落[0050]に記載のロータ。
[0054]
羽根の端面を横断する最大直径が10mm未満である、直前の段落に記載のロータ。
[0055]
羽根の端面とチャネルは、周方向の幅寸法を有し、
端面の総計幅寸法は、羽根およびチャネルの軸方向範囲の少なくとも大部分にわたって、チャネルの総計幅寸法よりも大きい、段落[0050]に記載のロータ。
[0056]
チャネルは、少なくとも0.47の特定の流出領域と少なくとも0.44の特定の流入領域とを提供する、段落[0050]に記載のロータ。