特許第6246937号(P6246937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246937
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】呼吸分析およびトレーニングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/083 20060101AFI20171204BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A61B5/08 100
   G01N21/27 Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-538890(P2016-538890)
(86)(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公表番号】特表2016-532512(P2016-532512A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】SE2014050945
(87)【国際公開番号】WO2015030648
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】61/870,858
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517063271
【氏名又は名称】シーブレス・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】SEEBREATH AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲデオン,アンドラス
(72)【発明者】
【氏名】クリル,ポール
【審査官】 田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0150746(US,A1)
【文献】 特開2006−279744(JP,A)
【文献】 特開2004−304517(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0123287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/22
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの呼吸気体の二酸化炭素(CO2)濃度を検出するように適合される呼吸分析およびトレーニングアセンブリ、ならびに撮像手段、ディスプレイおよび処理手段を含む携帯型ユニットであって、
前記アセンブリは、
CO2にさらされると、CO2の濃度とともに迅速にかつ可逆的に色を変化させるように適合される検出器表面が設けられた選択的比色CO2検出器と、アダプターとを備え、
前記アダプターは、
・前記携帯型ユニットを収容し、取付けるためのドッキング部を含み、前記ドッキング部は、前記撮像手段が前記検出器表面の画像を取り込むように適合されるように、前記撮像手段を前記比色検出器に対して固定された関係に位置決めするように構成され、前記ディスプレイの少なくも一部は、撮像中に前記検出器表面を照らすように配置され、さらに、
・前記比色検出器を収容し、かつ前記検出器を取付けるように適合される検出器保持部と、
・呼吸気体の少なくとも一部が前記検出器表面を通過するように、前記ユーザにかつ前記ユーザから呼吸気体を誘導するための呼吸導管とを含み、
前記処理手段は、測定セッションを行なうように適合されるアプリケーションプログラムを実行するように適合され、前記測定セッションは、前記撮像手段によって取り込まれた前記検出器表面の光学的特徴の変化を識別することにより呼吸気体中のCO2濃度変化を測定することを含む測定ステップを含み、
前記アダプターは、測定が行なわれない時に周囲の空気から前記表面を気密に保護するように適合される検出器表面保護手段を含み、
前記検出器表面保護手段は、前記検出器表面が測定に利用可能となるように、前記携帯型ユニットが前記ドッキング部によって収容されると非保護位置に移動されるように適合される、アセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項2】
前記携帯型ユニットはスマートフォンである、請求項1に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項3】
前記撮像手段はカメラユニットである、請求項1または2に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項4】
照明の色は、CO2がない状態での前記検出器表面の光学的特徴に関連して選択される、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項5】
測定ステップ中に、前記検出器表面の少なくとも一部の前記撮像手段によって、所定数の連続画像、毎秒少なくとも4〜5個の画像が取られ、前記測定ステップは、0.1〜15秒の範囲の所定持続時間を有する、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項6】
前記処理手段は、カプノグラフを算出し、前記ディスプレイに表示するように適合される、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項7】
前記処理手段は、呼気終末CO2値および呼吸速度を算出し、前記ディスプレイに表示するように適合される、請求項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項8】
前記処理手段は、前記カプノグラフ、呼気終末CO2濃度値および/または呼吸速度に関連する所定パラメータの平均値および/または傾向を算出するように適合される、請求項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項9】
前記処理手段は、色または反射率などの前記検出器表面の少なくとも1つの特徴的な光学的特性を記憶するように適合される、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項10】
前記処理手段は、前記検出器表面の前記特徴的な光学的特性と対応するCO2の濃度との間の少なくとも1つの関係を記憶するように適合される、請求項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項11】
前記携帯型ユニットはオーディオユニットを含み、測定セッション中に前記オーディオユニットを介して前記ユーザに命令し誘導するために聴覚指示が生成される、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項12】
前記測定セッションは、検出器品質のチェックを含む、請求項1〜11のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項13】
前記検出器品質は、前記検出器表面の画像の異なる部分を同時に比較することによってチェックされる、請求項12に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項14】
前記検出器品質は、CO2がない状態で前記検出器の光学的特徴を基準と比較することによってチェックされる、請求項12に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項15】
前記CO2検出器は、相間移動剤およびpH感受性色指示薬をその細孔に含む多孔性材料を含む、請求項1〜14のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項16】
前記相間移動剤はテトラオクチルアミニウム・ヒドロキシド(tetraoctyammoniumhydroxide)であり、前記pH感受性色指示薬はチモールブルーである、請求項15に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【請求項17】
前記測定セッションは、前記ドッキング部によって収容される前記携帯型ユニットを用いて実行される、請求項1〜16のうちいずれか1項に記載のアセンブリならびに携帯型ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、人の呼吸を分析しトレーニングするのに好適な、吐き出された二酸化炭素(CO2)濃度を測定するための呼吸分析およびトレーニングアセンブリに関する。より特定的には、本発明は、低価格で使いやすく、有利に家庭で簡単に用いられ得るアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
赤外線吸収(IR)は、吐き出された二酸化炭素(CO2)濃度を測定するための現状の方法であり、30年間以上臨床使用されている。レスポンスが速く、選択的で、かつ安定性があり、手術室および術後処置においてモニターによって慣例的に使用される。吐き出されたCO2濃度曲線(カプノグラフと呼ばれる)は、人工呼吸器治療と共に、かつたとえば肺機能のより高度な診断にも使用されている。カプノグラフは、呼気流に関する情報と共に、肺から出たCO2の量を算出するために用いることができ、この情報により、代謝および心肺の状態の評価が可能となる。
【0003】
IR技術は、高度な光学および電子部品により本質的に複雑かつ扱いにくいが、最近では、携帯可能でありかつ緊急事態にも使用することができる小型モデルが開発されている。
【0004】
CO2を検出する異なる方法は、CO2の濃度とともに色を変化させる、耐久性があり、迅速であり、かつ可逆的な比色検出器に基づく。当該方法は、A Gedeon, P KrillおよびC Mebius: A new colorimetric breath indicator (Colibri), Anaesthesia 1994(49) 798に提示されている。
【0005】
これは、本質的にはそれほど複雑でない技術であるが、それにもかかわらず光学電気系がセンサ表面の色を表す信号を生成することが必要とされる。この技術はIRシステムほど正確でなく、臨床用途のための現代のモニターの要件を十分には満たしていない。
【0006】
しかしながら、近年、喘息および異なる心配性障害などの神経症の分布呼吸パターンに関連付けられるいくつかの共通の疾病に苦しむ人々の生活の質を向上させるために、カプノグラフィが家庭環境において重要な役割を果たし得ることが示されている。これは、たとえば以下の出版物において論じられている。
【0007】
T Ritz, A E Meuret, FH Wilhem, WT Roth: Changes in pCO2, Symptoms and Lung Function of Asthma Patients During Capnometry-assisted Breathing Training. Appl Psychophysiol Biofeedback 2009 (34) 1
A E Meuret, F H Wilhem, T Ritz, W T Roth: Feedback of end-tidal pCO2 as a therapeutic approach for panic disorder. Journal of Psychiatric Research 2008 (42) 560。
【0008】
家庭使用が実現可能であるためには、カプノグラフシステム全体が小型で、使用が非常に簡単であり、かつ少なくとも、今日利用可能な最も低価格のIR系ユニットほど高価ではない大きさでなければならない。さらに、当該システムは、得られた結果についてフィードバックをユーザに継続的に与え、呼吸運動中に取るべき適切な動作について命令を与え、ユーザの状態をさらに向上させることができなければならない。離れた位置における外部関係者への容易な伝達のために結果を記憶することができることも望ましい特徴である。
【0009】
本発明者は、標準的ないわゆるスマートフォンにおいていくつかの重要な機能性が潜在的に利用可能であることを認めた。代謝データを取得して様々な病状における栄養療法を調整するのに役立つ手段としてスマートフォンが提案されており、これは、吐き出された酸素および二酸化炭素を測定して、体重および/または健康管理のための方法を実施するための代謝分析器に関する米国特許出願公開2013/0150746号明細書に記載されている。代謝分析器の一実施形態において、携帯電話の内蔵カメラを用いて、酸素および二酸化炭素レベルを測定するために呼吸流が通過する時の検知材料の色変化を検出する。具体的には、検知材料は、多孔質膜センサを形成するナノ粒子の集まりの形状である。
【0010】
本発明は、カプノグラフィの家庭利用の上記の要件をすべてに対処する。特に、本発明の目的は、たとえば上掲の医学公報に記載されているようにいわゆるカプノグラフィで支援される呼吸トレーニングを行なうための最も好都合で、単純で、かつ低価格な方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
上述した目的は、独立請求項に係る本発明によって実現される。
【0012】
本発明は、比色CO2検知の十分確立されている技術に基づく。より具体的には、化学薬品の滑らかな連続したコーティングが薄膜に設けられ、膜がたとえば室内空気では青く、約5%のCO2では黄色であれば、典型的な吐き出し中に青から帯黄色に変化し、次いで吸気中に当初の青い色に戻ることになることを意味する、速く可逆的なやり方でその表面がCO2に対して選択的に色が変化する。したがって、呼吸中に青と帯黄色との間を循環することになる。
【0013】
したがって、本発明に係るアセンブリは、携帯型ユニット、たとえば標準的なスマートフォンを、容易に交換可能な比色検出器に接続することに備える。適所にスマートフォンを維持することができると同時に、携帯型ユニット(たとえばスマートフォン)の撮像手段(たとえばカメラ)に対して固定された好適な位置に比色検出器表面を保持することができるように、アダプターが設けられる。また、アダプターは、制御されていない外部照明および周囲の空気から検出器表面を遮蔽し、患者との間を行き来する呼吸気体のための導管をもたらすため、この気体の少なくともある程度の部分が検知表面上を通過する。
【0014】
アセンブリの対話的使用を可能にする携帯型ユニットによって実行されるアプリケーションプログラムがさらに設けられる。携帯型ユニットは、たとえば、測定セッション中にいつ呼吸すべきかをユーザに指示する可聴ユーザ指示を提供し得る。さらに、測定の結果はスマートフォンのディスプレイ上に提示され得る。
【0015】
添付の図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】アセンブリの概略断面図である。
図2】異なる典型的なグラフを例示する図である。
図3a】異なるカラーリファレンススケールおよびそれらの用途を例示する図である。
図3b】異なるカラーリファレンススケールおよびそれらの用途を例示する図である。
図4】アセンブリの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明
まず図1を参照して、本発明についてここで詳細に説明する。このように、本発明は、ユーザの呼吸気体の二酸化炭素(CO2)濃度を検知するように適合させた呼吸分析およびトレーニングアセンブリ2に関する。アセンブリ2は、CO2にさらされると、CO2の濃度とともに迅速にかつ可逆的に色を変化させるように適合される検出器表面6が設けられた選択的比色CO2検出器4と、アダプター8とを備える。
【0018】
アダプター8は、以下のものを備える。
・撮像手段14および処理手段18を含む携帯型ユニット12を収容するためのドッキング部10。有利に、アセンブリ2は、たとえば上記携帯型ユニット上に配置されたディスプレイ16を含む。携帯型ユニットは、測定セッションが終了されると、収容され、取付けられ、次いで解放され得る。ドッキング部10は、撮像手段14が上記検出器表面6の画像を取り込むように適合されるように、撮像手段14を比色検出器4に対して固定された関係に位置決めするように構成される。
・比色検出器4を収容し、かつ検出器を取付けるように適合される検出器保持部20。加えて、検出器保持部20は、検出器が容易に交換され得ることを可能にする。アダプター8または検出器保持部20は、好ましくは、測定が行なわれない時に周囲の空気から表面6を気密に保護するように適合される検出器表面保護手段22を含む。
・呼吸気体の少なくとも一部が検出器表面を通過するように、上記ユーザにかつ上記ユーザから呼吸気体を誘導するための呼吸導管24。
【0019】
処理手段は、高度な処理能力、大きな記憶容量、通信能力などが備えられた、たとえばいわゆるスマートフォンのいくつかまたはすべての能力を有する、1つまたは多くの回路として広く解釈されるべきである。
【0020】
処理手段18は、アプリケーションプログラムを実行して測定セッションを行なうように適合され、測定セッションは、上記撮像手段14によって取り込まれた検出器表面6の画像の色変化を識別することにより呼吸気体中のCO2濃度変化を測定することを含む測定ステップを含む。
【0021】
ドッキング部10は、携帯型ユニットの関連部分に本質的に対応する形状を有し、たとえば携帯型ユニットの断面のように形作られるアダプターの筐体シェルにおける開口部である。たとえば図4参照。携帯型ユニットは、好ましくは摩擦嵌合によって適所に保持されるが、特定の取付け手段も、たとえばストラップなどの形態で当然配置され得る。
【0022】
呼吸導管は、好ましくは管として具体化される。アダプターに接近して、管は本質的に固いが、ユーザが呼吸するマウスピースが配置される端部ではより柔軟とされる。
【0023】
有利に、検出器表面保護手段22は、上記検出器表面が測定に利用可能となるように、非保護位置に移動されるように適合される。これは、検出器表面6が撮像に利用可能とされることと、検出器表面に呼吸気体が到達し得ることとの両方について重要である。
【0024】
また、より有利に、検出器表面保護手段22は、上記検出器表面が測定に利用可能となるように携帯型ユニットがドッキング部によって収容されると、非保護位置に自動的に移動されるように適合される。
【0025】
検出器表面保護手段は、リンク配置によって非保護位置に自動的に押し進められるヒンジ蓋の形状を有し得る。リンク配置は、アダプターの外側の単純なボタンまたはレバーによって手作業でも起動され得る。蓋は、測定が行なわれない時は保護位置に押し戻されるようにばね始動され得る。
【0026】
好ましい実施形態において、携帯型ユニットはスマートフォンである。この実施形態は、図4の概略的な斜視図によって例示される。
【0027】
携帯型ユニットは、いわゆるスマートカメラ、タブレットコンピュータ、または同様の能力を有する任意の他の装置によっても具体化され得る。
【0028】
一実施形態において、撮像手段は、たとえばスマートフォンで通常利用可能な種類のカメラユニットである。
【0029】
アセンブリは、測定中に検出器表面を照らすように適合される照明手段17も含む。一実施形態によれば、照明手段は、少なくともディスプレイの一部によって具体化される。
【0030】
なお、検出器表面を照らすために用いられる光源17は、白色光または、測定の精度および再現性を最適化するために有利に選択されることができる1つ以上の別個の色を有する光を発し得る。光源は、スマートフォンのフラッシュまたは実際のディスプレイのためのランプなどの携帯型ユニット(たとえばスマートフォン)の一部であり得る。この後者の配置は図4に示される。
【0031】
しかしながら、アダプターは、スマートフォンが取付けられると手作業でまたは自動的に起動され得る(たとえば、標準的な白色LED照明または1つ以上の別個の色を有するLEDを用いる)単純な電池式照明手段に嵌合されることもできる。このように、電話の電池時間を節約する、センサ表面の外部照明が実現される。
【0032】
1回の測定ステップ中に、撮像手段、たとえば検出器表面の少なくとも一部の携帯型ユニット(スマートフォン)のカメラユニットによって、所定数の連続画像、好ましくは毎秒少なくとも4〜5個の画像が取られるか、または映像が生成され、上記測定ステップは、少なくとも1回の呼吸を記録するために、好ましくは0.1〜15秒の範囲の所定持続時間を有する。
【0033】
処理手段は、次いで撮像情報に基づいてカプノグラフを算出し、好ましくは、算出されたカプノグラフおよび/またはetCO2値(吸入が開始する前の最後のCO2濃度値)を示すように適合される。
【0034】
撮像情報を読み取るために、処理手段は、色または反射率といった検出器表面の少なくとも1つの特徴的な光学的特性を用いるように適合される。特徴的な光学的特性は、処理手段に記憶される。加えて、処理手段は、検出器表面の特徴的な光学的特性と対応するCO2の濃度との間の少なくとも1つの関係を記憶するように適合される。
【0035】
画像または映像からの選択フレームごとに、処理手段は、色(または任意の他の特定の特徴的な光学的特性)を符号化し、次いでこれを、符号化された色(または特徴)をCO2濃度割合に変換するリファレンスカラースケールと比較する。予め印刷されたリファレンスカラースケールがCO2濃度にどのように変換するかは、たとえば較正されたCO2ガス濃度を用いることによって、比色検出器のための工場において確立される。画像ごとにこのように得られた濃度は、ある時点、すなわち画像が取られた時に対応し、画像はしたがって一緒にカプノグラフを描く。これは、図2において頂部のグラフによって例示される。特定の画像からの値が点によって例示される。曲線の吸気部分および呼気部分が、この場合4.5%である呼気終末CO2濃度(etCO2)とともに示される。
【0036】
色表面画像を濃度に変換するために必要とされるカラーリファレンススケールを確立するためのいくつかの代替的なやり方がある。最も単純な方法は、1組の色、一例として青と黄色との間の30階調を判定することである。1組の色は、0.2%のCO2濃度ステップ、(青から黄色のカラースケールにおいて)0〜5.8%に対応する。
【0037】
これはグレースケールで図3aに示される。ここで縦列はパーセント値を示し、横列は小数パーセント値を示す。センサ表面画像の色はこれらの所定の色ステップと比較されて、ベストマッチ、したがって目下のCO2濃度を見つける。
【0038】
別の方法は、示しているセンサ表面に隣接したリファレンスカラースケールを印刷し、同じ画像中の示している表面を有するリファレンススケールをカメラが常に含むことを可能にすることである。次いで、検出器の色と印刷されたリファレンススケールとの最良の対応を見つけるために各画像において比較を行い、これにより、問題のCO2濃度を判定する。図3bは、リファレンススケールを表す一連のカラーストライプが指示薬の上に配置される場合に何が起こるかを示す。カメラ画像は、指示薬の色がどこで最良にカラースケールと一致するかをいかなる時も示し、処理手段は、図示の場合は約1.9%である対応するCO2濃度を判定する。
【0039】
第3の代替案は、記憶前にパッケージングされ周囲から密封されると、ある既知のCO2濃度の大気において検出器表面を包囲することを含む。この密封は、光を通す材料からなり、手作業で容易に除去することができる。検出器をアダプターに搭載すると、撮像手段、たとえばカメラは、密封された検出器表面の色を画像化し、選択された濃度でユニットを較正することになる。この後、ユーザは密封を除去し、周囲の空気が無視できる量のCO2を含んでいるため、検出器表面は、周囲の色、たとえば青に変わる。このように、検出器表面のゼロ濃度色を用いてアセンブリを較正することもできる。次いで、2つの較正点をつなぐ既知の色/濃度関係から残りの値が算出される。
【0040】
使用の開始時に基準と比較することにより、検出器の状態の判定が可能となる。検出器の経時劣化によるゼロ濃度について予期される色からのわずかな偏差は、所定のやり方でリファレンススケールを調整することによって補償することができる一方、より大きな偏差では、検出器の置換を推奨することになり得る。
【0041】
したがって、一実施形態によれば、測定セッションは、検出器品質の確認を含む。この検出器品質チェックは、検出器表面の画像の異なる部分を同時に比較することによって行なわれ得る。これらの異なる部分は、好ましくは、一方の部分は検出器表面の中心に近い、つまり、検出器表面エッジから距離があり、他方の部分はより速く劣化しがちな検出器表面エッジに近くなるように選択される。これらの異なる部分が異なる性能を表わす場合、検出器を交換する時間であるという表示が与えられる。代替的に、相違は濃度算出への補正をもたらし得る。検出器品質チェックは、CO2がない場合、基準値に対する検出器表面の光学的特性の比較によって測定セッションの開始時にも行なわれ得る。結果は、照明の色の選択を誘導し、濃度算出に対する補正または再び検出器の置換をもたらし得る。
【0042】
CO2濃度を判定することに加え、処理手段は、好ましくは、呼気終末CO2(et CO2)濃度値および/または呼吸速度を算出し、ディスプレイに表示するように適合される。
【0043】
さらに、処理手段は、カプノグラフ、呼気終末CO2(etCO2)値および/または呼吸速度に関連する所定パラメータの平均値および/または傾向を算出し、表示し得る。これは図2の底部のグラフによって例示されるが、15分間のetCO2傾向(左側)および呼吸速度傾向(右側)がそれぞれ示される。
【0044】
携帯型ユニットは、好ましくはオーディオユニットを含み、たとえば得られた結果に応答して、またはユーザにトレーニング指示を提供するため、測定セッション中にオーディオユニットを介してユーザに命令し誘導するために聴覚指示が生成され得る。
【0045】
アプリケーションプログラムが携帯型ユニットによって実行され、アセンブリの対話的使用を可能にする。携帯型ユニットは、たとえば測定セッション中にいつ呼吸すべきかをユーザに指示する可聴ユーザトレーニング指示を提供し得る。ユーザトレーニング指示は、たとえば、喘息患者または心配性障害の患者による使用について背景部分に挙げられた論説に記載されている種類のものである。
【0046】
携帯型ユニット、たとえばスマートフォンは、データを記憶するのに本質的に適しており、評価のために外部当事者に情報を直接的にまたはオンデマンドで送る通信能力を備える。結果は、無線、IR、Bluetooth(登録商標)、またはケーブルを用いて通信され得る。
【0047】
CO2検出器に関して、好ましくは、相間移動剤およびpH感受性色指示薬をその細孔に含む多孔性材料を含む。有利に、相間移動剤はテトラオクチルアミニウム・ヒドロキシド(tetraoctyammoniumhydroxide)であり、pH感受性色指示薬はチモールブルーである。
【0048】
米国特許出願公開2012/0123287号明細書は、本発明に関連して有利に用いられる比色CO2検出器を含む呼吸検出のための携帯機器に関する。この特許出願は本譲受人に譲渡され、その全体を引用によって本願明細書に援用する。
【0049】
多孔性材料は、たとえば当業者に知られているような多孔性の高分子材料であり得、当該材料は、相間移動剤およびpH感受性色指示薬を吸収するかまたは他の方法で結合することが可能でなければならない。いくつかの実施形態において、多孔性材料はポリエーテルスルフォン膜などの薄膜フィルタである。しかしながら、他の多孔性材料、たとえばポリエステル膜上のアセチル化セルロース層も使用され得る。
【0050】
当業者が利用可能な多くのpH感受性染料があり、たとえば本願明細書において上で参照した先行技術文献に特定の例が示される。一実施形態において、指示薬は、チモールブルー、クレゾールレッド、およびクレゾールパープルから選択される1つまたはいくつかの染料を含む。
【0051】
相間移動剤は、少なくとも1つの水溶性有機4元(たとえばアンモニア塩基またはホスホニウム)水酸化物、たとえばテトラオクチル水酸化アンモニウムを含み得る。
【0052】
たとえば、CO2検出器は、相間移動剤としてテトラオクチルアミニウム・ヒドロキシド(tetraoctyl ammonium hydroxide)をその細孔に含む多孔性材料と、pH感受性色指示薬としてチモールブルーとを含み得る。
【0053】
実施例
典型的なアプリケーションプログラムは、以下のステップをユーザに接続し得る:
・アプリケーションを起動する(ユーザ動作)。
・「スマートフォンをアダプターに置いて下さい」(可聴またはディスプレイを介したアプリケーション指示)。
・「準備ができればディスプレイのスタートを押して下さい」(可聴またはディスプレイを介したアプリケーション指示)。
・スタートが押され、アセンブリが検出の準備ができると、測定時刻ウィンドウが開き、アセンブリはユーザが呼吸するのを待機する。
・CO2濃度の検出。
・可聴的にまたはディスプレイを介して与えられた指示に従って、呼吸を繰り返す。
・測定の終了。
・結果、たとえばetCO2傾向がディスプレイ上に提示される。
・追跡セッションについての推奨/コメントがディスプレイを介して、かつ/または可聴に与えられる。
【0054】
本発明は、上記の好ましい実施形態に限定されない。様々な代替案、変更および均等物が使用され得る。したがって、上記の実施形態は、添付の請求項によって規定される本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
図1
図2
図3a
図3b
図4