(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
圧縮空気は、機械、電子、医療、食品などの全産業にわたって使用される。ところが、圧縮空気を用いる空圧機器では、凝縮水、パーティクル、オイルによる空圧機器の性能低下、固着及び損傷などの問題が発生するため、水分除去機、オイル除去機、パーティクル除去機を必須的に使用している。
【0003】
ここで、空圧機器は圧縮機や送風機などによって機械的エネルギーを気体エネルギーに変換し、この圧縮気体を制御弁などで適当に制御してアクチュエータへ供給することにより、その出力を負荷の要求に適した機械的エネルギーとして出力する機器であると定義することができる。また、圧縮空気は大気の空気を圧縮して作るが、大気には水分、埃などを含む汚染物質が多く混合されており、圧縮機で圧縮する過程で汚染物質も一緒に圧縮されて汚染度が高くなる。
【0004】
上述のように吸入空気と一緒に流入する物質の他にも、大気の空気を圧縮する過程で潤滑油や炭化物、シール(SEAL)材、フィルターエレメントの滓、摩擦部位から発生する金属粉、腐食による錆などが混入するので、圧縮空気を清浄させる機器が必要である。
【0005】
従来の圧縮空気用浄化装置は、一般型の場合には「エアフィルター」、水除去専用の場合には「ミストセパレーター」(Mist Separator)または「デミスター」(Demister)と呼ばれるが、圧縮空気中に含まれている水分を除去するために微細多孔質部からなるフィルターエレメントを使用しており、圧縮空気がフィルターエレメントを通過するときに水分がフィルターエレメントの微細孔にかかって通過できないことにより捕集される原理を使用している。
【0006】
従来のフィルターエレメントは、不織布、プラスチック焼結体、金属焼結体などの微細多孔質構造で構成されているので、使用時間の経過に伴って粉塵や細菌の繁殖などによる「目詰まり」現象が必然的に発生する。従って、新品のフィルターエレメントで交換した後の一定期間は正常に機能を発揮するが、使用時間の経過に伴って微細孔の目詰まりが進み、目詰まりが進行すればするほど、空気が通過できる断面積が減少してしまい、圧縮空気が通過し難くなる。よって、圧力損失が増加する。これは、エネルギーの浪費だけでなく、出口側の圧力が必要圧力以下に低下することをもたらす。このため、フィルターエレメントの前段と後段との圧力差が一定量以上に大きくなると、フィルターエレメントを交換しなければならない。
【0007】
つまり、フィルターエレメントは、消耗品であって、定期的に交換しなければならず、フィルターハウジングが不透明な場合には、内部のフィルターエレメントが目に見えないため、目詰まりの程度を把握することが難しくて交換時期を逃してしまうという問題点がある。また、高い清浄度の圧縮空気が必要とされるほど、さらに微細な孔のフィルターエレメントを使用しなければならないので、このような目詰まりによる問題発生は、フィルターエレメントの孔が微細であるほどその現象が著しい。また、正確な交換時期を知るために、圧縮空気用除湿機の前段と後段に圧力計をそれぞれ設置するか、或いは差圧計を設置して圧力差を把握することもあるので、これは設備コストの増加、設置スペースの増大及びそれによるメンテナンスの追加につながる。
一方、これらのフィルターエレメントの欠点をなくすために、遠心分離(サイクロン)を利用した浄化装置が提案された。
従来の遠心型の圧縮空気用浄化装置としては、特許文献(韓国公開特許第10−2008−0078791号)に開示されたものが広く知られている。
【0008】
従来の遠心型の圧縮気体浄化装置は、ハウジングの内部に設置した排気筒と、排気筒の円周面に形成したスパイラル溝とを含み、汚染物質はハウジングの内壁に集まり、クリーン圧縮気体はハウジングの中央部に流れるように構成したことを特徴とする、遠心型の圧縮気体浄化装置である。
【0009】
吸気管から流入して妨害板に遮られて回転状態に変換された圧縮気体流れは、ハウジングの内部に形成された1次渦流室において、通気口の周囲で円周方向に回転しながら1次気液の比重差による遠心分離を行う。
【0010】
1次渦流室を通過した圧縮気体は、ハウジングの内面と排気筒との間に形成した2次渦流室で排気筒の円周面に形成した複列のスパイラル溝に沿って螺旋状の流れを維持しながら、遠心分離力で比重差による気液分離作用をする。一方、圧縮気体から遠心分離された液体は、ハウジングの内壁と複列のスパイラル溝の外周面との間に形成された円周空間の間を介してハウジングの内壁に凝着して分離収去される。
【0011】
ハウジングの内面と排気筒との間に形成した2次渦流室で螺旋状の流れを維持しながら、強力な遠心分離力の作用によって小さな比重の気体と大きな比重の液体が比重差で気液分離される。したがって、浄化された気体は、排気筒の下部に形成された通気口を通過しながら3次渦流室で螺旋状の流れを維持し、余分の液体成分を再び遠心分離して中空の回転軸を通って排気管に送り出し、余分の凝縮水を排気筒の下部に排水して除湿効率を高めるようにした。
【0012】
遠心分離によって浄化された気体は、通気口を通って、排気管及び外部気体配管に接続した出口ニップルを介して空圧機器に送り出される。上述のように、2次渦流室及び3次渦流室で分離された液体または凝縮水は、ハウジングの下部に位置した排水筒の内部で排水槽に集まり、最終排水口からトラップを介して外部に排出される。
【0013】
しかし、圧縮空気が1次渦流室から2次渦流室及び3次渦流室へ移動しながら、螺旋状の流れを維持するだけであり、圧縮空気の渦流遠心力は益々弱くなるため、圧縮空気から水分及び異物を分離する効率が低下して微細な異物を分離することが難しいという問題点がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明の好適な実施形態に係る圧縮空気用浄化装置の斜視図、
図2は
図1の分離斜視図、
図3は内筒と捕集筒を示す斜視図、
図4は
図1のA−A線に沿った断面図、
図5は
図4のB−B線に沿った断面図、
図6は
図4のC−C線に沿った断面図、
図7aはドレイン部材の動作状態を示す断面図(圧縮機OFF、空圧機器OFF)、
図7bはドレイン部材の動作状態を示す断面図(圧縮機ON、空圧機器OFF)、
図7cはドレイン部材の動作状態を示す断面図(圧縮機ON、空圧機器ON)である。
本発明の好適な実施形態に係る圧縮空気用浄化装置400は、
図1〜
図7に示すように、2重サイクロンを発生させるサイクロン発生部材401を含んでなる。
【0027】
サイクロン発生部材401は、上部に圧縮空気の入口411と出口413が設けられ、下部が開放されたカバー410;カバー410の内部に挿入され、入口411から流入した圧縮空気を旋回させながら下方に流動させる外筒430;外筒430の内部に設けられ、出口413に連通する排出管431;及び外筒430と排出管431との間に挿入され、下方に流動する圧縮空気を上方に流動させ、再び旋回させながら下方に流動させる内筒450;を含んでなる。
【0028】
カバー410と外筒430との間に設けられて入口411に連通する空間は第1チャンバー420であり、内筒450と排出管431との間に設けられて排出管431、すなわち出口413に連通する空間は第2チャンバー460である。
【0029】
また、サイクロン発生部材401の下部には、サイクロン発生部材401から分離された不純物を排出するドレイン部材601と、サイクロン発生部材401とドレイン部材601とを結合する結合リング501とをさらに含んでなる。
本発明において、圧縮空気の浄化は、圧縮空気から不純物、すなわち水分、油分及び異物を分離することを意味する。
カバー410は、円筒状をし、下部が開放されている。
【0030】
カバー410の上面には、圧縮空気が流入および排出される一直線の管が設けられる。この管の一端には圧縮空気の流入する入口411が設けられ、管の他端には水分、油分及び異物の除去された圧縮空気が排出される出口413が設けられる。
入口411には空気を圧縮する圧縮機などが連結され、出口413には空圧機器が連結される。
図4に示すように、入口411に流入した圧縮空気は、管の中央に設けられた中央板417に遮られて下降し、外筒430の上面に流入する。
中央板417の下部、すなわちカバー410の内側中央上面には、出口413に連通した挿入口416が突設される。
挿入口416は、円筒状をし、下部が開放されており、上部は出口413に連通している。
挿入口416の開放された下部には、排出管431が挿入され、浄化された圧縮空気を排出する。
排出管431の上部には中空リング状のOパッキンa432が結合されて密閉され、圧縮空気が外筒430の上面から排出管431に漏れないようにする。
【0031】
カバー410の下部とドレインカバー610の上部にはそれぞれねじ山が形成され、結合リング501を介して結合される。カバー410の下端とドレインカバー610の上端との間には中空リング状のOパッキンb415が挟まれて密閉される。
カバー410の下部を介して外筒430が内部に挿入される。
外筒430は、
図2〜
図6に示すように、円筒状をし、下部が開放されている。
【0032】
外筒430の内部中央には排出管431が形成されて外筒430の上面に突出する。よって、排出管431の上部は挿入口416に挿入されて外筒430をカバー410に結合させる。
排出管431は、円筒状をし、出口413に連通する。
また、外筒430の側壁上部には、外側に突出した第1フランジ435が設けられる。
第1フランジ435は、圧縮空気の水分及び油分を一定量以上凝集させた後、下降させる。
外筒430の上面には、上面周囲に沿って接線方向に圧縮空気が排出されるように第1通路434が設けられる。
【0033】
すなわち、
図5に示すように、第1通路434は、羽根の形状を有する第1流路案内羽根433同士の各間に設けられる。よって、外筒430の上面に流入した圧縮空気を旋回させる。
【0034】
第1流路案内羽根433は、
図2及び
図5に示すように、外筒430の上面周囲に沿って等間隔で離間して配置される。よって、圧縮空気は、第1流路案内羽根433同士の間の第1通路434を介して外筒430の上面周囲に沿って接線方向に排出される。
【0035】
図5に示すように、それぞれの第1流路案内羽根433の幅は反時計回りに行くほど狭くなる。よって、圧縮空気は、
図5に矢印で示すように、離隔した第1流路案内羽根433同士の間に設けられた第1通路434を介して第1チャンバー420、すなわち、外筒430とカバー410との間に排出される。
第1通路434を介して、圧縮空気は、旋回しながら外筒430とカバー410との間に排出され、旋回しながら下方に流動する。
圧縮空気の流動及び浄化過程については詳細に後述する。
外筒430と排出管431との間には内筒450が挿入される。
内筒450は、
図2〜
図6に示すように、円筒状をし、外筒430の下部を介して挿入されて外筒430と排出管431との間に配置される。
内筒450の上端には、上端周囲に沿って接線方向に圧縮空気が流入するように第2通路452が設けられる。
すなわち、
図6に示すように、第2通路452は、羽根の形状を有する第2流路案内羽根451同士の各間に設けられる。よって、圧縮空気を再度旋回させる。
【0036】
第2流路案内羽根451は、
図3及び
図6に示すように、内筒450の上端周囲に沿って等間隔で離間して配置される。よって、圧縮空気は第2通路452を介して内筒450の上端周囲に沿って接線方向に流入する。
【0037】
図6に示すように、それぞれの第2流路案内羽根451の幅は時計回りに行くほど狭くなる。よって、圧縮空気は、
図6の矢印で示すように、離隔した第2流路案内羽根451同士の間に設けられた第2通路452を介して第2チャンバー460、すなわち、内筒450と排出管431との間に流入する。
つまり、第2通路452を介して、圧縮空気は、再び旋回しながら内筒450と排出管431との間に流入し、旋回しながら下方に流動する。
第1通路434及び第2通路452を介して圧縮空気を2回旋回させることにより、水分、油分及び異物の分離が容易に行われる。
また、内筒450の直径は上部から下部に行くほど狭くなる。
【0038】
つまり、下部に行くほど内筒450と排出管431との間の間隔が狭くなって圧縮空気の通過断面積が小さくなるので、内筒450と排出管431との間で圧縮空気の旋回速度が速くなり、遠心力が大きくなる。
【0039】
一方、圧縮空気が通過する第1流路案内羽根433同士の間の第1通路434の断面積の和は、第2流路案内羽根451同士の間の第2通路452の断面積の和よりも大きく形成される。第2通路452の断面積の和は入口411の断面積よりは大きく形成するが、圧縮空気を加速させるために入口411の断面積とほぼ同様のサイズに形成することが好ましい。第1通路434の断面積の和は、入口411の最小断面積よりも1.5倍ほど大きく形成される。このような構成により、流量の損失を防ぐことができる。
以下、
図4〜
図6を参照して、サイクロン発生部材401における圧縮空気の流動及び浄化過程を詳述する。
【0040】
入口411に連結される圧縮機、及び出口413に連結される空気機器については、前述した従来技術を始めとして多く公開されているので、詳細な説明を省略する。
【0041】
次に、圧縮機と空気機器が作動して、圧縮空気が入口411を介して流入し、出口413から排出されてサイクロン発生部材401内で流動が発生するとき、圧縮空気から水分、油分及び異物が分離される過程を説明する。
【0042】
図4に矢印で示すように、入口411を介して流入した圧縮空気は、流れの向きが中央板417によって垂直下向きに代わって外筒430の上面に流入する。その後、さらに流れの向きが垂直に代わって外筒430の外側方向に移動する。この際、圧縮空気は、
図5に矢印で示すように、第1流路案内羽根433同士の間の第1通路434を通過しながら旋回する。
【0043】
その後、圧縮空気は、第1チャンバー420、すなわち、カバー410と外筒430との間で旋回しながら下方に流動する。このとき、遠心力によって圧縮空気から水分、油分及び異物が分離されてカバー410の内側壁に押しのけられる。そして、カバー410の内側壁及びドレインカバー610の内側壁に沿って下降してドレインカバー610の下部、すなわち下部捕集室615に集まる。
【0044】
1次旋回を用いた圧縮空気からの水分、油分及び異物の分離は、第1チャンバー420、すなわち、カバー410と外筒430との間の下部空間で実際に行われる。また、1次旋回が行われる空間の長さが短すぎると、遠心力を十分に受けられないため分離がうまく行われず、あまりに長くても壁面摩擦により圧縮空気の速度が減少して分離性能が低下するので、これを考慮してカバー410及び外筒430を形成する。
以下、カバー410と外筒430との間で分離された水分、油分及び異物を「第1不純物」という。
上述のように圧縮空気の1次旋回で分離された第1不純物は、油分及び異物を含む水滴、あるいは水筋の形で流入する多量の凝縮水である。
1次旋回は、内筒450で発生する2次旋回よりも低速であるが、多くの流量を処理するため、比較的大きな水分、油分及び異物を分離する。
【0045】
第1チャンバー420、すなわち、カバー410と外筒430との間で下方に流動しながら第1不純物が分離された圧縮空気は、外筒430と内筒450との間の空間に流入する。そのために、上方に流動して内筒450の上端の第2通路452まで上がる。
図6に矢印で示すように、圧縮空気は、第2流路案内羽根451同士の間の第2通路452を通過しながら再び旋回、すなわち2次旋回する。
つまり、圧縮空気は、第2通路452を通過して第2チャンバー460、すなわち、内筒450と排出管431との間の空間に流入する。
それで、
図4に示すように、内筒450と排出管431との間の空間を速く旋回しながら微細な水分、油分及び異物を分離する。
以下、内筒450と排出管431との間で分離された水分、油分及び異物を「第2不純物」という。
分離された第2不純物は下降して捕集筒630に集まる。
【0046】
第2通路452は、第1通路434より断面積が小さく、第2流路案内羽根451がなす円の直径も、第1流路案内羽根433がなす円の直径よりも小さいため、圧縮空気に対する2次旋回は1次旋回よりも一層高速で加速される。
また、内筒450の直径が下部に行くほど益々小さくなる勾配を持っており、内筒450の下部に行くほど圧縮空気の旋回速度はさらに速くなる。
【0047】
以上のように、圧縮空気の2次旋回は、第2チャンバー460、すなわち、内筒450と排出管431との間の空間から下部に行くほど益々加速されて高速で旋回する。
【0048】
よって、圧縮空気の1次旋回時よりも遥かに大きな遠心力を発生させるので、1次旋回で分離できない微細な水分、油分及び粒子も分離することができるため、空気浄化効率を向上させることができる。
【0049】
第2チャンバー460で分離された微細な水分や粒子などの第2不純物は、内筒450の内側壁に押しのけられ、内側壁に沿って下降して内筒450の下部の捕集筒630に集まる。
そして、第2不純物が分離された圧縮空気は、排出管431の下部に流入して出口413から迅速に排出される。
【0050】
圧縮空気の通過する第1通路434の断面積の総和が入口の断面積と類似するサイズに形成されると、第1通路434に油分などの異物が付着して詰まり易いだけでなく、2次旋回を形成する内筒450における流量損失が発生する。したがって、1次旋回は広い空間で低速の旋回によって行われて大きな水分及び異物を分離して、2次旋回は狭い空間で高速の回転によって行われて微細な水分及び異物を分離する。
【0051】
前述したように、外筒430で1次旋回させ、内筒450で2回旋回させる2重サイクロン方式なので、圧縮空気が外筒430を経て内筒450に流入するときに旋回遠心力がより一層強くなって油分及び異物の分離効率が低下しない。
【0052】
しかも、圧縮空気の2次旋回が1次旋回よりも高速であるため、1次旋回で分離されなかった微細な水分、油分及び粒子も分離することができて空気浄化効率を極大化することができる。
また、フィルターエレメントを使用しないので半永久的であり、常に初期性能を維持することができるという利点がある。
【0053】
上述したような低速の1次旋回及び高速の2次旋回、すなわち二重サイクロンを発生させて圧縮空気から第1不純物及び第2不純物を分離するときに、サイクロン発生部材401の内部には圧力勾配が形成される。
【0054】
より詳細に説明すると、第1通路434から第2通路452までの空間、すなわち、カバー410と外筒430との間の空間及び外筒430と内筒450との間の空間は高圧が形成される。内筒450の内部、すなわち内筒450と排出管431との間の空間は圧力が大きく低下して低圧が形成される。
【0055】
よって、サイクロン発生部材401の下部に結合されたドレイン部材601は、第1チャンバー420と第2チャンバー460との圧力差によって第1不純物及び第2不純物を自動的に排出する。
圧力差によって第1不純物及び第2不純物が自動的に排出される過程については詳細に後述する。
【0056】
ドレイン部材601は、下部に排出口611が設けられ、カバー410の下部に結合されて第1不純物が集まるドレインカバー610と、内筒450の下部に円筒状に形成されて第2不純物が集まる捕集筒630と、捕集筒630に挿入されてドレインカバー610と捕集筒630との圧力差によって第1不純物及び第2不純物を排出する排出装置とを含んでなる。
ドレインカバー610は、コップ状の円筒状をし、上部が開放される。
ドレインカバー610は、結合リング501によってカバー410の下部に結合される。
【0057】
ドレインカバー610の内側下部には、板状の支持台613が内側に突出するように設けられる。支持台613は、ドレインカバー610の内側壁の周囲に沿って等間隔で離間して配置され、4つが形成される。
よって、支持台613は、上端に捕集筒630がのせられて捕集筒630を支持する。
また、支持台613は、下部捕集室615に集まった不純物の流動を抑制して効果的に排出されるようにする。
【0058】
また、ドレインカバー610の下部、すなわち支持台613の下側には、第1不純物と第2不純物をドレインカバー610の外側に排出する排出口611が設けられる。
排出口611は円筒状に突設される。
【0059】
第1チャンバー420、すなわち、カバー410と外筒430との間で生成された第1不純物は、下降してドレインカバー610の内側下部の下部捕集室615に集まる。第1チャンバー420とドレインカバー610とは連通しており、ドレインカバー610も第1チャンバー420と同様の圧力が形成される。
内筒450の下部には内筒450よりも大きい直径の捕集筒630が形成される。捕集筒630はドレインカバー610の内側上部に配置される。
捕集筒630は、全体的に円筒状をなし、内筒450の下部に形成されて内筒450と一体を成す。
【0060】
捕集筒630は、
図3及び
図4に示すように、内筒450の下部に連結されて下方に傾斜した傾斜面636と、傾斜面636の外周から垂直下向きに形成された第1側壁637と、第1側壁637の下部から外側に段差付いた段差部631と、段差部631の外周から垂直下向きに形成された第2側壁638と、第2側壁638の外周面に突設された第2フランジ633とを含んでなる。
第2側壁638と第2フランジ633は支持台613の上端にのせられる。
【0061】
第2フランジ633の外径はドレインカバー610の内径よりも小さく形成され、第1不純物はドレインカバー610と第2フランジ633との間の空間を介して下部捕集室615に下降する。つまり、第1チャンバー420と下部捕集室615とは連通する。
また、第2フランジ633は、支持台613によりカバー410と外筒430との間の圧縮空気の旋回回転力が失われることを防止する。
また、段差部631の内側下部には、上昇する圧力遮断部641の段部がぶつかる。それで、圧力遮断部641がもはや上昇しないようになる。
捕集筒630の内部には弾性体a635が備えられて圧力遮断部641の上部に配置される。弾性体a635は弾性力を持つバネからなる。
弾性体a635は圧力遮断部641に下降力を加える。
【0062】
捕集筒630の上部は、開放されて第2チャンバー460と連通している。よって、第2チャンバー460、すなわち、内筒450と排出管431との間で生成された第2不純物が下降して捕集筒630に集まる。
第2チャンバー460と捕集筒630とは連通しており、捕集筒630も第2チャンバー460と同様の圧力が形成される。
捕集筒630の開放された下部に排出装置が挿入される。
【0063】
排出装置は、
図2及び
図4に示すように、第1チャンバー420、すなわち、ドレインカバー610の内部と連通するようホール653が形成された排出部650と、捕集筒630に挿入されてドレインカバー610と捕集筒630との圧力差によってホール653を開閉する圧力遮断部641と、ホール653の開閉状態に応じて排出口611を開閉する排出ピン670とを含んでなる。
【0064】
圧力遮断部641は、上部に形成された円板642と、円板642の下部に形成された中間台647と、中間台647の下部に平たい円筒状に形成された下部円筒648とを含んでなる。
円板642と中間台647は弾性体a635の内部に挿入配置され、弾性体a635は下部円筒648の上面に載せられる。
【0065】
下部円筒648の上面外周には段部646が形成される。よって、圧力遮断部641の上昇時に、段部646は捕集筒630の段差部631にぶつかって圧力遮断部641の上昇を停止させる。
【0066】
下部円筒648の外周にはUパッキンa643が結合されて捕集筒630の内側壁に密着する。よって、捕集筒630の下部を密閉させて捕集筒630とドレインカバー610、すなわち下部捕集室615の連通を遮断する。
【0067】
Uパッキンa643は、
図4に示すように、開放された部分が下側に配置される。よって、圧力遮断部641が下降するとき、捕集筒630の第2不純物が下部捕集室615に移動する。
つまり、Uパッキンa643は、圧力遮断部641が下降するとき、第2不純物が捕集筒630から下部捕集室615へ流動するように開放される。
以下、上述したようなUパッキンa643の単方向開閉についてはさらに詳述する。
下部円筒648の中央下部には、排出部650の挿入される挿入筒645が形成される。
挿入筒645は、円筒状をし、開放された下部を介して排出部650の上部が挿入される。
挿入筒645の内側上面には「ハングルを構成する母音字母のひとつ(19番目の字母(母音字母としては5番目))で、呼称が“オ”の文字」形状のホールパッキン644が結合される。ホールパッキン644はゴム材質で形成されることが好ましい。
よって、圧力遮断部641が上昇及び下降しながらホールパッキン644が排出部650のホール653を開閉する。
【0068】
圧力遮断部641、すなわち下部円筒648の下部は第1チャンバー420と連通し、上部は第2チャンバー460と連通する。よって、第1チャンバー420と第2チャンバー460との圧力差及び上昇気流によって捕集筒630の内部を昇降しながらホール653を開閉する。
一方、挿入筒645の内径は排出部650、すなわち排出部ボディ651の外径よりもさらに大きく形成される。
【0069】
排出部650の外形をなす排出部ボディ651は、円筒状を有し、中央部が段差付くように形成される。そのために、排出部ボディ651の上部の直径が下部の直径よりも小さく形成される。
【0070】
排出部ボディ651の下部には結合溝(図示せず)が形成され、下部捕集室615の下部、すなわちドレインカバー610の内側下面に突設された突出部(図示せず)に嵌合されて固定される。
排出部ボディ651の下端には周囲に沿って排出溝657が隔設される。本実施形態では、等間隔で離間して4つが形成される。
排出溝657を介して、排出部ボディ651の内側下部はドレインカバー610、すなわち下部捕集室615と連通する。
【0071】
排出溝657を介して、下部捕集室615に集まった第1不純物及び第2不純物が排出部ボディ651の内部に流入し、排出口611を介してドレインカバー610の外側に排出される。
また、排出部ボディ651の上部の内側壁には、周囲に沿って第3突出部658が設けられる。
第3突出部658の上部には中空リング状のOパッキンc656が配置される。
また、Oパッキンc656の上部には断面「ハングルを構成する母音字母のひとつ(22番目の字母(母音字母としては8番目))で、呼称が“ユ”の文字」形状の蓋652が配置される。
蓋652は排出部ボディ651の開放された上部に挿入されるが、排出部ボディ651の上端と蓋652との間には蓋パッキン655が配置されて密閉される。
蓋652の上部中央には円形ホール653が穿設される。
【0072】
挿入筒645の内径は、排出部650、すなわち排出部ボディ651の外径よりもさらに大きいので、ホール653が開放されると、下部捕集室615の圧縮空気がホール653を介して排出部650の内部に流入する。
つまり、ホール653を介して、排出部ボディ651の内側上部はドレインカバー610、すなわち下部捕集室615と連通する。
ホール653の開閉による排出部650内の圧力変化及び排出ピン670の動作については、詳しく後述する。
排出ピン670は、排出部650、すなわち排出部ボディ651の内部に配置され、上下に摺動して往復する。
【0073】
排出ピン670は、排出部650、すなわち排出部ボディ651の内周面に密着して排出部ボディ651内の上下連通を遮断するディスク675と、ディスク675の上部にディスク675よりも直径が小さく形成され、弾性体b672が備えられた上部ピン671と、ディスク675の下部にディスク675よりも直径が小さく形成され、排出口611を開閉する下部ピン678とを含んでなる。
ディスク675は、排出ピン670の中央に位置して円形に形成される。
ディスク675の外周にはUパッキンb676が結合される。Uパッキンb676は開放された部分が下側に配置される。
Uパッキンb676は、排出部ボディ651の内周面、すなわち内側壁に密着してディスク675を基準に排出部ボディ651の上下連通を遮断する。
ディスク675の上部には上部ピン671が形成される。
上部ピン671は円形棒状に形成される。上部ピン671は中央部の直径が上部及び下部よりも小さく形成される。
また、上部ピン671の下部は、直径が下部に行くほど益々大きくなる。
上部ピン671の中央部の外側には弾性体b672が配置される。弾性体b672は弾性力のあるバネからなることが好ましい。
【0074】
弾性体b672の直径は、上部ピン671に挿入されるように形成される。弾性体b672は、排出ピン670が上昇すると、第3突出部658と上部ピン671の下部との間で圧縮される。
ディスク675の下部には円形棒状の下部ピン678が形成される。
下部ピン678も中央部の直径が上部及び下部よりも小さく形成される。
【0075】
よって、下部ピン678の上部及び下部は、排出口611に結合されたUパッキンc612に密着するが、直径の小さい中央部はUパッキンc612に密着しない。
【0076】
つまり、Uパッキンc612の間に直径の小さい下部ピン678の中央部が配置されると、排出口611の密閉が解除される。よって、排出口611を介して、第1不純物及び第2不純物が排出される。
排出ピン670には空気流通路680が貫通して形成される。
【0077】
空気流通路680は、上部ピン671の下部に梯形形状に横方向に貫通し、かつ、ディスク675及び下部ピン678を垂直方向に貫通してドレインカバー610の外側と連通する。
よって、空気流通路680を介して排出部650の内側上部にドレインカバー610の外側の大気圧空気が流入する。
【0078】
以下、
図7a〜
図7cを参照して、第1チャンバー420と第2チャンバー460との圧力差によって下部捕集室615及び捕集筒630の集まった第1不純物及び第2不純物が自動的に排出される過程を詳述する。
【0079】
排出部650、すなわち、排出部ボディ651の内部で上部ピン671の上側を上部空間690、上部ピン671の側面外側及びディスク675の上側を中央空間692、ディスク675の下側を下部空間691とそれぞれ指称して説明する。
また、本実施形態において、圧力の大きさは高圧>低圧>大気圧の関係をなす。
入口411には圧縮機が連結され、出口413には空圧機器が連結される。
【0080】
図7aに示すように、圧縮機と空圧機器が両方ともOFF状態になると、圧力遮断部641と排出ピン670は弾性体a635及び弾性体b672の弾性力によって両方とも下降状態となる。
【0081】
図7bに示すように、圧縮機がON状態になり、空圧機器がOFF状態になると、圧縮空気が入口411を介して流入するが、出口413から排出されないため、内部流動が発生しない。よって、サイクロン発生部材401の内部、すなわち第1チャンバー420及び第2チャンバー460は全て高圧状態になる。
【0082】
第1チャンバー420に連通したドレインカバー610の内部、すなわち下部捕集室615も高圧状態になり、第2チャンバー460に連通した捕集筒630の内部も高圧状態になる。よって、圧力遮断部641の上部と下部の両方とも高圧が形成されて大きな圧力差が発生しないので、圧力遮断部641は、弾性体a635の下降力によって下降状態を維持してホール653を閉鎖する。
【0083】
一方、ディスク675の上部の上部空間690および中央空間692は、空気流通路680を介して、ドレインカバー610の外側の大気圧状態である空気が流入する。
【0084】
それにより、下部捕集室615に連通したディスク675の下側の下部空間691は高圧状態であるが、ディスク675の上側の上部空間690および中央空間692は大気圧状態になって、ディスク675を基準に大きな圧力差が発生する。よって、
図7bに示すように、弾性体b672の張力を乗り越えて排出ピン670が上昇することになる。
【0085】
下部ピン678の上部及び下部よりも直径の小さい下部ピン678の中央部がUパッキンc612の間を通過するときに、下部捕集室615に集まった第1不純物及び第2不純物が排出口611を介して排出される。
つまり、排出ピン670が上昇及び下降するときに、排出口611を介して第1不純物及び第2不純物が排出される。
【0086】
次いで、
図7cに示すように、圧縮機がON状態になり、空圧機器がON状態になると、圧縮空気が入口411を介して流入し、出口413から排出されながら内部流動が発生する。
【0087】
つまり、上述したように、1次旋回及び2次旋回が発生し、圧縮空気から第1不純物及び第2不純物が分離され、第1不純物は下降して下部捕集室615に集まり、第2不純物は下降して捕集筒630に集まる。
【0088】
このとき、サイクロン発生部材401の内部に圧力勾配が形成される。それ故に、第1チャンバー420に連通したドレインカバー610の内側、つまり下部捕集室615は高圧状態になり、第2チャンバー460に連通した捕集筒630は低圧状態になる。
【0089】
それで、圧力遮断部641の上下の圧力差、及び捕集筒630の内部で圧縮空気が高速で回転するため中心部の圧力が低くなって発生する上昇気流によって、圧力遮断部641が上昇する。
【0090】
円板642は、排出管431の下方に位置し、捕集筒630に集まった不純物が上昇気流に沿って排出管431へ排出されないようにする。よって、上昇気流の力は円板642の上面に作用して圧力遮断部641全体を上昇させる力の一部となる。
圧力遮断部641の上昇は、両側の段部646が捕集筒630の段差部631にぶつかって停止する。
そして、圧力遮断部641の上昇に伴って、排出部650のホール653は開放される。
【0091】
それにより、ホール653を介して下部捕集室615の高圧圧縮空気が排出部650の上部空間690に流入する。上部空間690に流入した圧縮空気の高圧と弾性体b672の弾性力によって排出ピン670が下降する。
【0092】
排出ピン670が下降するときは、上昇するときと同様に、下部捕集室615に集まった第1不純物及び第2不純物が排出口611から自動的に排出される。よって、使用者が別途に不純物を排出するために操作する必要がなくて便利である。
排出ピン670が下降するとき、ホール653を介して流入する高圧の圧縮空気は空気流通路680を介してドレインカバー610の外側に排出される。
【0093】
そのように排出ピン670が下降している途中で、
図7cに示すように、排出ピン670が下部捕集室615の下面の突出部にぶつかって下降が停止する。このとき、上部ピン671の上部はOパッキンc656に密着して上部空間690と中央空間692との連通を遮断する。よって、ホール653を介して流入した高圧の圧縮空気はもはや空気流通路680に抜け出さなくなる。
【0094】
つまり、上部空間690は高圧状態になり、中央空間692は空気流通路680を介して外部大気が流入して大気圧状態になり、下部空間691は高圧状態になる。
【0095】
図7cの状態で
図7bのように空圧機器をOFFさせると、サイクロン発生部材401内の圧縮空気の流動が再び停止する。すると、捕集筒630と下部捕集室615の両方とも高圧状態になり、圧力遮断部641はさらに下降してホール653を閉鎖することになる。
そして、排出ピン670は再び上昇し、それにより排出口611から第1不純物及び第2不純物が排出される。
【0096】
また、排出口611を介して第1不純物と第2不純物が排出される瞬間、下部捕集室615は圧力降下が起こるので、捕集筒630と下部捕集室615は瞬間的に圧力差が発生する。このとき、捕集筒630の第2不純物がUパッキンa643を押しのけて下部捕集室615へ移動する。
【0097】
以上のように、Uパッキンa643は、開放された部分が下側に配置されて圧力遮断部641が下降するとき、捕集筒630から下部捕集室615へ連通する。つまり、単方向に連通する。
【0098】
下部捕集室615の圧力が捕集筒630に直接流入すると、内筒450及び捕集筒630における旋回が阻害されるので、Uパッキンa643は下部捕集室615から流入する圧力を防いで捕集筒630の圧力を維持する役割をする。
【0099】
つまり、Uパッキンa643は、圧力遮断部641が上昇するのに重要な役割をするとともに、捕集筒630に集まった第2不純物が下部捕集室615側へ移動できるようにする。
【0100】
上述の如く、サイクロン発生部材401が圧縮空気から水分、油分及び異物などの第1不純物及び第2不純物を分離する過程で、第1チャンバー420及び第2チャンバー460の圧力変化(高圧および低圧)が発生する。そして、高圧が形成される第1チャンバー420及び低圧が形成される第2チャンバー460は、それぞれドレインカバー610及び捕集筒630と連通しているので、不純物の排出のための追加動力が必要なく、自動的に排出することができて経済的且つ便利である。
【0101】
また、サイクロン発生部材401で第1不純物及び第2不純物を分離するための圧縮空気の流動発生があるたびに随時かつ即刻的に不純物の排出が行われるので、下部捕集室615に不純物が溜まっておらず、細菌の繁殖及び排出口611の目詰まりを防止することができる。
【0102】
本発明は、上述した特定の好適な実施形態に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能なのはもちろんのこと、それらの変更も請求の範囲に記載された範囲内にあることを付言する。