(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6246973
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/04 20060101AFI20171204BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
B08B3/04 A
B08B3/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-135351(P2017-135351)
(22)【出願日】2017年7月11日
【審査請求日】2017年7月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019884
【氏名又は名称】ジャパン・フィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】特許業務法人 銀座総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内野 正英
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−120958(JP,A)
【文献】
特開平07−070780(JP,A)
【文献】
特開2017−000958(JP,A)
【文献】
特開2011−240318(JP,A)
【文献】
特開昭55−070382(JP,A)
【文献】
特開昭64−043384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/04
B08B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽内に、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、又はフッ素系溶剤と塩素系溶剤との混合溶剤から成るとともに水より比重が大きい非水系の洗浄溶剤と、水とを収納することにより、洗浄溶剤の層の上面に水の層を被覆配置し、下層側に位置する洗浄溶剤にて被洗浄物に付着した油分を除去する脱脂洗浄を行った後、この脱脂洗浄によって被洗浄物に付着した洗浄溶剤を、前記水にて物理的に除去する溶剤除去洗浄を行うことを特徴とする被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法。
【請求項2】
非水系の洗浄溶剤は、加水分解が困難な洗浄溶剤であることを特徴とする請求項1の被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法。
【請求項3】
上記溶剤除去洗浄は、脱脂洗浄後の被洗浄物を洗浄槽内の水の層に浸漬して行うか、又は脱脂洗浄後の被洗浄物に水を噴射することにより行うことを特徴とする請求項1の被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法。
【請求項4】
上記脱脂洗浄の前に、洗浄槽内の水に被洗浄物を接触させ、この被洗浄物に付着した油分を上記水にて物理的且つ大まかに除去する予備洗浄を行うことを特徴とする請求項1、または2の被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法。
【請求項5】
上記溶剤除去洗浄の後、被洗浄物を温風、熱風、エアブロー、または水切りにて乾燥することを特徴とする請求項1、2、または3の被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物を洗浄する際の被洗浄物の脱脂及び溶剤除去洗浄方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、溶剤洗浄のシステムでは、被洗浄物を溶剤液に接触させることにより、この被洗浄物に付着した油分を除去するとともに、特許文献1に示す如く仕上げ洗浄としてこの洗浄溶剤の蒸気で仕上げ洗浄を行うことが一般的であった。そしてこのような洗浄時において、洗浄に用いる洗浄溶剤によっては、水が混入した際に加水分解が生じる場合がある。そのため、従来では洗浄装置に水分分離器を設け、この水分分離器によって洗浄溶剤中に混入した水分を分離して除去することが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6124482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして洗浄溶剤にて蒸気洗浄を行った場合には、洗浄溶剤の蒸気が大気に拡散しやすく、溶剤の消耗が多くなりコストが高くつくものであった。また、水系洗浄によって脱脂洗浄を行った後、注水にてすすぎ洗浄を行う場合がある。しかし、界面活性剤等の作用によって油や洗剤と水とが溶け合うため、このすすぎ洗浄で排出された排水をそのままの状態で廃棄することは困難である。従って、排水処理用の設備が必要となりコストが高くつくものであった。
【0005】
そこで、本願発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、水と溶剤とを容易に分離可能とするとともに排水処理を不要とし、更に洗浄溶剤の消耗を低く抑えようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は上述の如き課題を解決するため、洗浄槽内に、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、又はフッ素系溶剤と塩素系溶剤との混合溶剤から成るとともに水より比重が大きい非水系の洗浄溶剤と、水とを収納することにより、洗浄溶剤の層の上面に水の層を被覆配置し、下層側に位置する洗浄溶剤にて被洗浄物に付着した油分を除去する脱脂洗浄を行った後、この脱脂洗浄によって被洗浄物に付着した洗浄溶剤を
、前記水にて物理的に除去する溶剤除去洗浄を行うものである。
【0007】
また、非水系の洗浄溶剤は、加水分解が困難な洗浄溶剤であってもよい。
【0008】
尚、本発明で使用可能な洗浄溶剤の一例としては、ハイドロフルオロエチレン(HFE)と塩素系溶剤との混合液、次亜フッ素酸(HFO)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などが挙げられる。そこで、上記洗浄溶剤について、水と混合した場合に加水分解が困難であることを確認する還流安定試験を行った。
【0009】
尚、この試験で用いた洗浄溶剤AはHFEと塩素系溶剤との混合液である旭硝子株式会社製の「アモレアAT2」(商標名)、洗浄溶剤BはHCFCである旭硝子株式会社製の「アサヒクリンAK225」(商標名)、洗浄溶剤CはHFOであるセントラル硝子株式会社製の「HFO-1223zd」(商標名)である。
【0010】
試験方法は、まず各洗浄溶剤と水とを混合するとともに、この混合液を70℃に温めた。そしてこの温度下で上記混合液を沸騰・還流させ、還流した水の経時的なpHの変化を測定した。測定結果を下記表1に示す。尚、洗浄溶剤Bは、オゾン破壊係数がゼロではないため、本試験では80時間で終了とした。
【0011】
【表1】
【0012】
上記還流試験の結果、全ての洗浄溶剤において、水と混合後、時間が経過してもpHにはさほど変化が見られなかった。これらの結果より、上記洗浄溶剤A〜Cをそれぞれ水と混合した場合であってもpHの低下が顕著ではなかったことを考慮すると、上記洗浄溶剤が水との混合によって加水分解を生じているとは考えにくい。よって、上記洗浄溶剤A〜Cと水とを混合しても、洗浄溶剤が加水分解を起こすことなく安定した状態を保持することができることが確認された。
【0013】
また、溶剤除去洗浄は、脱脂洗浄後の被洗浄物を洗浄槽内の水の層に浸漬して行うか、又は脱脂洗浄後の被洗浄物に水を噴射することにより行うものであっても良い。
【0014】
また、上記脱脂洗浄の前に、洗浄槽内の水に被洗浄物を接触させ、この被洗浄物に付着した油分を上記水にて物理的且つ大まかに除去する予備洗浄を行うものであっても良い。このように予備洗浄を行うことにより、被洗浄物に付着している油を水の物理力にてある程度除去することができる。そしてこの予備洗浄時に除去した油分は洗浄槽内の水の層の表面に浮上するため、その都度除去することにより、この予備洗浄の後に行う脱脂洗浄の際に、被洗浄物から除去した油分の洗浄溶剤への混入量が減少するものとなる。従って、油分の混入による洗浄槽内の洗浄溶剤の汚染度合いを低く抑えることができる。
【0015】
また溶剤除去洗浄の後、被洗浄物を温風、熱風、エアブロー、または水切りにて乾燥するものであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述の如く、洗浄溶剤として、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、又はフッ素系溶剤と塩素系溶剤との混合溶剤から成るとともに水より比重が大きい非水系溶剤を使用するものであるから、この洗浄溶剤と水とを混合しても洗浄溶剤と水とが溶け合ったり加水分解が生じにくく、洗浄溶剤の組成が変化するという事態が生じにくいものである。そのため、水と洗浄溶剤との分離が容易となり特別な排水処理用の設備を必要とすることなく、既存の設備を使用することができ、洗浄コストを低く抑えることが可能となる。
【0017】
また、洗浄溶剤の層の上面に水の層を被覆配置し、下層側に位置する洗浄溶剤にて被洗浄物に付着した油分を除去する脱脂洗浄を行うものであるから、水の層の存在によって洗浄槽内に収納した洗浄溶剤の表面がシールされ、洗浄溶剤の無駄な蒸発を防ぐことができるため、洗浄溶剤の無駄な消耗を低減することができ経済的である。
【0018】
また、この脱脂洗浄によって被洗浄物に付着した洗浄溶剤
を前記水にて物理的に除去する溶剤除去洗浄を行うものであって、被洗浄物に付着した洗浄溶剤や油と水とを容易に分離することができるとともに、溶剤除去洗浄時に使用した水を容易に回収して次の洗浄時に再利用することができるため、環境への負荷を抑制することができるとともに経済的である。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1を
図1に於いて説明すると、
図1に示す如く(1)は洗浄槽であって底部側を洗浄溶剤(12)及び水(13)を収納する収納部(2)とするとともに、天面(3)側を被洗浄物(14)を乾燥させるための乾燥部(4)としている。また、この乾燥部(4)と収納部(2)との間には、内周枠(5)を洗浄槽(1)の内面に突設している。また収納部(2)側には、被洗浄物(14)を載置しながら上下動機構(図示せず。)により上下動可能な移送板(6)を設けている。そしてこの移送板(6)を上下動機構により天面(3)側に移動させることにより、上記内周枠(5)の底面(7)にこの移送板(6)表面の周縁(8)が当接するよう移送板(6)を形成し、洗浄槽(1)内において収納部(2)側と乾燥部(4)側との間の空間を遮断可能としている。
【0021】
また乾燥部(4)の内周面(10)には、エアーの吹き出し口(11)を、高さが異なる位置に複数個所設け、この吹き出し口(11)から常温のエアーや温風や熱風を吹き出し可能なものとしている。
【0022】
上記の如き構成の洗浄槽(1)による被洗浄物(14)の洗浄方法について以下に説明する。まず、洗浄槽(1)内の収納部(2)に、水(13)と、本実施例の洗浄溶剤(12)として、水(13)より比重が大きいとともに加水分解が困難なフッ素系溶剤とを収納する。尚、本実施例ではフッ素系溶剤を使用したが、他の異なる実施例ではこれに限らず、水(13)より比重が大きいとともに加水分解が困難な溶剤であれば、塩素系溶剤や、フッ素系溶剤と塩素系溶剤との混合溶剤等を使用することも可能である。
【0023】
上記の如く水(13)と、水(13)より比重が大きいとともに加水分解が困難な洗浄溶剤(12)とを収納部(2)に収納することにより、
図1に示す如く、収納部(2)内において水(13)と洗浄溶剤(12)とが完全に分離するものとなる。そのため、本実施例では水(13)と洗浄溶剤(12)との分離が容易であるため特別な排水処理用の設備などを必要とすることなく、既存の設備を使用することができるため、洗浄コストを低く抑えることが可能となる。また、上記洗浄溶剤(12)は水(13)よりも比重が大きいものであるから、水(13)と分離した洗浄溶剤(12)の表面が水(13)の層によって完全に被覆されるものとなる。従って、この水(13)の層の存在によって洗浄溶剤(12)の無駄な蒸発が抑制され、洗浄溶剤(12)の消耗を低減することができるため経済的である。
【0024】
そして、移送板(6)に設けた載置台に被洗浄物(14)を載置するとともに、この移送板(6)を洗浄槽(1)の底部側に移動させる。ここで、上記の如く洗浄槽(1)の底部側には洗浄溶剤(12)の層が存在するため、この洗浄溶剤(12)によって、被洗浄物(14)に付着した油分を除去する脱脂洗浄が行われる。そしてこの脱脂洗浄が終了した後、移送板(6)を上方に移動させて、被洗浄物(14)を洗浄溶剤(12)の上方に位置する水(13)の層内に配置することにより水中に浸漬する。
【0025】
これにより、上記脱脂洗浄によって被洗浄物(14)に付着した洗浄溶剤(12)を、水(13)にて物理的に除去する溶剤除去洗浄が行われる。このように、本実施例の溶剤除去洗浄では水(13)にて物理的に洗浄溶剤(12)を除去するものであるため、この溶剤除去洗浄によって被洗浄物(14)から除去された洗浄溶剤(12)は、その組成を変化させることなく水(13)と容易に分離するとともに再び洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(12)の層に貯留するものとなる。
【0026】
上記の如く溶剤除去洗浄を行うことにより、この溶剤除去洗浄に使用した水(13)をそのまま次の溶剤除去洗浄に容易に再利用することができるとともに、被洗浄物(14)に付着していた洗浄溶剤(12)を再び洗浄槽(1)内に回収して脱脂洗浄に容易に再利用することができる。よって、溶剤除去洗浄に使用された水(13)を廃棄する必要がなく環境への影響を抑制することができるとともに経済的である。
【0027】
尚、本実施例及び下記実施例の溶剤除去洗浄では、水(13)の層に脱脂洗浄後の被洗浄物(14)を配置して浸漬して被洗浄物(14)に付着した洗浄溶剤(12)を除去しているが、他の異なる溶剤除去洗浄方法として、脱脂洗浄後の被洗浄物(14)に水(13)を噴射することによって、被洗浄物(14)に付着した洗浄溶剤(12)を物理的に除去することも可能である。
【0028】
そしてこの溶剤除去洗浄の終了後、移動機構により移送板(6)を更に上方に移動してこの移送板(6)を内周枠(5)に当接させることにより、乾燥部(4)と収納部(2)との空間を移送板(6)によって分離遮断する。これにより、上記の如く分離された乾燥部(4)内に被洗浄物(14)が配置された状態となる。そしてこの状態において、乾燥部(4)内の複数個所に設けた吹き出し口(11)から、常温のエアー、温風、又は熱風を被洗浄物(14)に向けて吹き付けることにより、この被洗浄物(14)の乾燥を行う。これにより本実施例における一連の洗浄作業が終了する。
【実施例2】
【0029】
本発明の実施例2を
図2に於いて説明すると、(31)は被洗浄物(34)を洗浄するための洗浄槽であって洗浄溶剤(32)及び水(33)を収納可能としている。またこの洗浄槽(31)には、被洗浄物(34)を乾燥するための乾燥槽(35)を連接している。そしてこの乾燥槽(35)の内周面(36)には、エアーの吹き出し口(37)を、高さが異なる位置に複数個所設け、この吹き出し口(37)から常温のエアーや温風や熱風を吹き出し可能なものとしている。
【0030】
上記の如き構成の洗浄槽(31)による被洗浄物(34)の洗浄方法について以下に説明する。まず、洗浄槽(31)内に、水(33)と、本実施例の洗浄溶剤(32)として、水(33)より比重が大きいとともに加水分解が困難なフッ素系溶剤とを収納する。尚、本実施例ではフッ素系溶剤を使用したが、他の異なる実施例ではこれに限らず、水(33)より比重が大きいとともに加水分解が困難な溶剤であれば、塩素系溶剤や、フッ素系溶剤と塩素系溶剤との混合溶剤等を使用することも可能である。
【0031】
上記の如く水(33)と水(33)より比重が大きいとともに加水分解が困難な洗浄溶剤(32)とを洗浄槽(31)内に収納することにより、
図2に示す如く、洗浄槽(31)内において水(33)と洗浄溶剤(32)とが完全に分離するものとなる。そのため、本実施例では水(33)と洗浄溶剤(32)との分離が容易であるため特別な排水処理用の設備などを必要とすることなく、既存の設備を使用することができ洗浄コストを低く抑えることが可能となる。また、上記洗浄溶剤(32)は水(33)よりも比重が大きいものであるから、水(33)と分離した洗浄溶剤(32)の表面が、水(33)の層の存在によって完全に被覆されるものとなる。従って、この水(33)の層によって洗浄溶剤(32)の無駄な蒸発が抑制され、洗浄溶剤(32)の消耗を低減することができるため経済的である。
【0032】
そして、被洗浄物(34)を適宜に設けた昇降手段(図示せず。)に配置し、この昇降手段を作動させて被洗浄物(34)を洗浄槽(31)の底部側に移送する。ここで、上記の如く洗浄槽(31)の底部側には洗浄溶剤(32)の層が存在するため、この洗浄溶剤(32)によって、被洗浄物(34)に付着した油分を除去する脱脂洗浄が行われる。そしてこの脱脂洗浄が終了した後、昇降手段を作動させて被洗浄物(34)を上方に移送して洗浄溶剤(32)の層の上に位置する水(33)の層内に配置することにより、この被洗浄物(34)を水中に浸漬する。
【0033】
これにより、被洗浄物(34)が水(33)に浸漬された状態となるため、この状態で、上記脱脂洗浄によって被洗浄物(34)に付着した洗浄溶剤(32)を水(33)にて物理的に除去する溶剤除去洗浄が行われる。このように水(33)にて物理的に洗浄溶剤(32)を除去するものであるため、この溶剤除去洗浄によって被洗浄物(34)から除去された洗浄溶剤(32)は、その組成を変化させることなく水(33)と容易に分離するとともに再び洗浄槽(31)内の洗浄溶剤(32)の層に貯留するものとなる。
【0034】
上記の如く溶剤除去洗浄を行うことにより、この溶剤除去洗浄に使用した水(33)をそのまま次の溶剤除去洗浄に容易に再利用することができるとともに、被洗浄物(34)に付着していた洗浄溶剤(32)を再び洗浄槽(31)内に回収して脱脂洗浄に容易に再利用することができる。よって、溶剤除去洗浄に使用された水(33)を廃棄する必要がなく環境への影響を抑制することができるとともに経済的である。
【0035】
そしてこの溶剤除去洗浄の終了後、適宜の移送手段によって被洗浄物(34)を乾燥槽(35)内に移送して配置する。そしてこの状態において、乾燥槽(35)内の複数個所に設けた吹き出し口(37)から、常温のエアー、温風、又は熱風を被洗浄物(34)に向けて吹き付け、この被洗浄物(34)の乾燥作業を行う。これにより本実施例における一連の洗浄作業が終了する。
【符号の説明】
【0036】
1,31 洗浄槽
12,32 洗浄溶剤
13,33 水
14,34 被洗浄物
【要約】
【課題】
水と溶剤とを容易に分離可能とするとともに排水処理を不要とし、更に洗浄溶剤の消耗を低く抑えることができる洗浄方法を得る。
【解決手段】
洗浄槽1,31内に、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、又はフッ素系溶剤と塩素系溶剤との混合溶剤から成るとともに水13,33より比重が大きいとともに加水分解が困難な洗浄溶剤12,32と水13,33とを収納する。これにより、洗浄溶剤12,32の層の上面に水13,33の層を被覆配置し、下層側に位置する洗浄溶剤12,32にて被洗浄物14,34に付着した油分を除去する脱脂洗浄を行った後、この脱脂洗浄によって被洗浄物14,34に付着した洗浄溶剤12,32を、水13,33にて物理的に除去する溶剤除去洗浄を行う。
【選択図】
図1