特許第6246977号(P6246977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6246977
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】圧縮機及びエアコン
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/00 20060101AFI20171204BHJP
   F04C 28/02 20060101ALI20171204BHJP
   F04C 18/356 20060101ALI20171204BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F04C23/00 F
   F04C28/02
   F04C18/356 V
   F25B1/10 Z
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-504233(P2017-504233)
(86)(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公表番号】特表2017-514066(P2017-514066A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】CN2015078115
(87)【国際公開番号】WO2015154726
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2017年4月18日
(31)【優先権主張番号】201410144072.3
(32)【優先日】2014年4月10日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516300900
【氏名又は名称】グリーン リフリッジレーション イクイップメント エンジニアリング リサーチ センター オブ チューハイ グリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GREEN REFRIGERATION EQUIPMENT ENGINEERING RESEARCH CENTER OF ZHUHAI GREE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】ファン フイ
(72)【発明者】
【氏名】フ ユシェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ フイジュン
(72)【発明者】
【氏名】レン リピン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジァ
(72)【発明者】
【氏名】ウ ジァン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン オーシァン
(72)【発明者】
【氏名】リァン シェビン
(72)【発明者】
【氏名】ルォ フイファン
(72)【発明者】
【氏名】ズー ホンウイ
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−001686(JP,A)
【文献】 特開2009−074531(JP,A)
【文献】 実開昭59−028694(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第1950611(CN,A)
【文献】 特開昭56−012085(JP,A)
【文献】 特開平05−106576(JP,A)
【文献】 米国特許第05871342(US,A)
【文献】 特開昭59−010792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/00
F04C 18/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の1段目シリンダ、第2の1段目シリンダ、2段目シリンダ、及び下フランジを含み、第1の1段目シリンダ、第2の1段目シリンダ、及び2段目シリンダが積層されて設けられ、隣り合う2つのシリンダの間にダイヤフラムが設けられ、前記2段目シリンダが、前記第1の1段目シリンダ及び前記第2の1段目シリンダの同じ側に配置されるか、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダの間に配置され、前記下フランジが前記第1の1段目シリンダ、前記第2の1段目シリンダ、及び前記2段目シリンダよりも下側に配置され、
前記第1の1段目シリンダは、第1吸気口と、第1スライディングベーンが設けられる第1スライディングベーン溝とを有し、前記第2の1段目シリンダは、第2吸気口と、第2スライディングベーンが設けられる第2スライディングベーン溝とを有し、前記2段目シリンダは、排気口と、第3スライディングベーンが設けられる第3スライディングベーン溝とを有し、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダが並列に設けられ、並列接続された前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダが、前記2段目シリンダに直列に接続され、前記第1吸気口と前記第2吸気口に入った冷媒は、1段又は/及び2段圧縮が施された後前記排気口から吐き出され、
2つの前記ダイヤフラムがそれぞれ第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムであり、第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム及び下フランジのうちの任意の1つ又は任意の2つには、スライディングベーンの動作を制御するスライディングベーン制御装置が設けられ、それぞれの前記スライディングベーン制御装置ごとに1つの前記スライディングベーンが対応する
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも下側に配置され、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は/及び前記第2の1段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも下側に配置され、前記下フランジに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち下側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第1ダイヤフラム又は前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち上側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされるか、前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記2段目シリンダが前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダの間に配置され、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は/及び前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされるか、前記第2の1段目シリンダ又は/及び前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記2段目シリンダが前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダの間に配置され、前記下フランジに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち下側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記第1ダイヤフラム又は前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち上側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされるか、前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項6に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも上側に配置され、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は/及び前記第2の1段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも上側に配置され、前記下フランジに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項10】
前記第1ダイヤフラム又は前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は前記第2の1段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる
ことを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記スライディングベーン制御装置は、ピンと、前記ピンの末端に設けられた弾性復元部材とを含み、前記第1スライディングベーン、第2スライディングベーン、及び第3スライディングベーンのうちの任意の1つ又は任意の2つに係止溝が設けられ、前記ピンが前記係止溝に嵌め合うために用いられ、前記ピンが前記係止溝内に配置される場合、前記スライディングベーンがロックアップされ、前記ピンが前記係止溝から脱離した後、前記スライディングベーンのロックが解除される
ことを特徴とする請求項1乃至10のうち何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項12】
前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムには、前記係止溝に対応する貫通穴が設けられ、或いは、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記下フランジには、前記係止溝に対応する貫通穴が設けられ、或いは、前記第2ダイヤフラム又は/及び前記下フランジには、前記係止溝に対応する貫通穴が設けられ、前記ピンが前記貫通穴と密封係合するように前記貫通穴内に配置され、前記ピンが前記貫通の軸方向に移動可能である
ことを特徴とする請求項11に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記圧縮機は、2段式圧縮モードにおいて、2段目容積と1段目容積の比が0.3〜0.6又は0.8〜1.3である
ことを特徴とする請求項1乃至10のうち何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項14】
前記下フランジに中間チャンバーが設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至10のうち何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項15】
請求項1乃至14のうち何れか一項に記載の圧縮機を備えることを特徴とするエアコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷房分野に関し、特に、多シリンダ2段式エンタルピー可変容量圧縮機及びエアコンに関する。
【背景技術】
【0002】
ローリングロータ型2段式圧縮機の場合、2シリンダ2段式エンタルピー圧縮機が一般的なものであり、この圧縮機は排気量に制限されているため、低温運転状況においては電気補助加熱により圧縮機の暖房量を向上させる必要があり、例えば、圧縮機の排気量を向上させたり、圧縮機のシリーズを多くしたりする必要があり、このため、圧縮機の体積が大きくなり、高コストになる。また、2シリンダ2段式エンタルピー圧縮機は、冷房運転状況下での高容積比運転及び冷房運転状況下での大排気量小容積比運転を満足することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の現状に鑑みて、本発明は、マルチモード運転を実現し、異なる応用場面に応じて異なるモードを選択することができ、これにより、暖房能力を高め、定格点と中間点での能力を向上させる圧縮機及びエアコンを提供することをその目的とする。上述の目的を達成するために、本発明の技術案は以下のように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の1段目シリンダ、第2の1段目シリンダ、2段目シリンダ、及び下フランジを含み、第1の1段目シリンダ、第2の1段目シリンダ、及び2段目シリンダが積層されて設けられ、隣り合う2つのシリンダの間にダイヤフラムが設けられ、前記2段目シリンダが、前記第1の1段目シリンダ及び前記第2の1段目シリンダの同じ側に配置されるか、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダの間に配置され、前記下フランジが前記第1の1段目シリンダ、前記第2の1段目シリンダ、及び前記2段目シリンダよりも下側に配置され、
前記第1の1段目シリンダは、第1吸気口と、第1スライディングベーンが設けられる第1スライディングベーン溝とを有し、前記第2の1段目シリンダは、第2吸気口と、第2スライディングベーンが設けられる第2スライディングベーン溝とを有し、前記2段目シリンダは、排気口と、第3スライディングベーンが設けられる第3スライディングベーン溝とを有し、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダが並列に設けられ、並列接続された前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダが、前記2段目シリンダに直列に接続され、前記第1吸気口と前記第2吸気口に入った冷媒は、1段又は/及び2段圧縮が施された後前記排気口から吐き出され、
2つの前記ダイヤフラムがそれぞれ第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムであり、第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム及び下フランジのうちの任意の1つ又は任意の2つには、スライディングベーンの動作を制御するスライディングベーン制御装置が設けられ、それぞれの前記スライディングベーン制御装置ごとに1つの前記スライディングベーンが対応する圧縮機である。
【0005】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも下側に配置され、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は/及び前記第2の1段目シリンダが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0006】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも下側に配置され、前記下フランジに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち下側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0007】
さらに、前記第1ダイヤフラム又は前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち上側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされるか、前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる。
【0008】
前記2段目シリンダが前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダの間に配置され、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は/及び前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされるか、前記第2の1段目シリンダ又は/及び前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0009】
前記2段目シリンダが前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダの間に配置され、前記下フランジに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち下側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0010】
前記第1ダイヤフラム又は前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダのうち上側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされるか、前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0011】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも上側に配置され、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は/及び前記第2の1段目シリンダが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0012】
前記第1の1段目シリンダと前記第2の1段目シリンダとがそれぞれ前記2段目シリンダよりも上側に配置され、前記下フランジに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記2段目シリンダが脱着可能なシリンダとされることが好ましい。
【0013】
さらに、前記第1ダイヤフラム又は前記第2ダイヤフラムに前記スライディングベーン制御装置が設けられ、前記第1の1段目シリンダ又は前記第2の1段目シリンダが脱着可能なシリンダとされる。
【0014】
前記スライディングベーン制御装置は、ピンと、前記ピンの末端に設けられた弾性復元部材とを含み、前記第1スライディングベーン、第2スライディングベーン、及び第3スライディングベーンのうちの任意の1つ又は任意の2つに係止溝が設けられ、前記ピンが前記係止溝に嵌め合うために用いられ、前記ピンが前記係止溝内に配置される場合、前記スライディングベーンがロックアップされ、前記ピンが前記係止溝から脱離した後、前記スライディングベーンのロックが解除されることが好ましい。
【0015】
さらに、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記第2ダイヤフラムには、前記係止溝に対応する貫通穴が設けられ、或いは、前記第1ダイヤフラム又は/及び前記下フランジには、前記係止溝に対応する貫通穴が設けられ、或いは、前記第2ダイヤフラム又は/及び前記下フランジには、前記係止溝に対応する貫通穴が設けられ、前記ピンが前記貫通穴と密封係合するように前記貫通穴内に配置され、前記ピンが前記貫通孔の軸方向に移動可能である。
【0016】
前記圧縮機は、2段式圧縮モードにおいて、2段目容積と1段目容積の比が0.3〜0.6又は0.8〜1.3であることが好ましい。
【0017】
前記下フランジに中間チャンバーが設けられることが好ましい。
【0018】
さらに、上記いずれか一項の技術案に係わる圧縮機を備えるエアコンに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下の有益な効果を達成している。
【0020】
本発明の圧縮機及びエアコンによると、圧縮機はマルチモード運転を実現し、異なる応用場面に応じて異なるモードを選択することができ、これにより、暖房能力を高め、定格点と中間点での能力を向上させ、構造に制限されずに排気量を増大し、このため、圧縮機の体積が小さくなり、低コストになる。また、2つの1段目シリンダにより、シリーズに制限されずに大排気量の圧縮機を実現することができる。さらに、シリンダを動作させたり脱着したりその状態を変更することで容量を可変にすることができ、圧縮機の異なる運転状況下でのエネルギー効率及び求めた能力を保証し、例えば、3シリンダ2段式エンタルピー運転により低温暖房状況下での暖房量を大幅に向上させることができ、1シリンダ運転により中間点でのエネルギー効率を向上させることができ、さらに、2シリンダ2段式エンタルピー運転又は2シリンダ運転により定格点でのエネルギー効率を向上させ保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による1つの可変容量シリンダを含む圧縮機の構造を示す図である。
図2】本発明による1つの可変容量シリンダを含む圧縮機の構造を示す図である。
図3】本発明による1つの可変容量シリンダを含む圧縮機の構造を示す図である。
図4】本発明による1つの可変容量シリンダを含む圧縮機の構造を示す図である。
図5】本発明による1つの可変容量シリンダを含む圧縮機の構造を示す図である。
図6】本発明による1つの可変容量シリンダを含む圧縮機の構造を示す図である。
図7】本発明による圧縮機における2段目シリンダが脱着可能な場面での構造を示す図である。
図8】本発明による圧縮機における2段目シリンダが脱着可能な場面での構造を示す図である。
図9】本発明による圧縮機における2段目シリンダが脱着可能な場面での構造を示す図である。
図10】本発明による圧縮機における2つの1段目シリンダが脱着可能な場面での構造を示す図である。
図11】本発明による圧縮機における2つの1段目シリンダが脱着可能な場面での構造を示す図である。
図12】本発明による圧縮機における2つの1段目シリンダが脱着可能な場面での構造を示す図である。
図13】本発明による圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダが同時に脱着可能な場面での構造を示す図である。
図14】本発明による圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダが同時に脱着可能な場面での構造を示す図である。
図15】本発明による圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダが同時に脱着可能な場面での構造を示す図である。
図16】本発明による圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダが同時に脱着可能な場面での構造を示す図である。
図17】本発明による圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダが同時に脱着可能な場面での構造を示す図である。
図18】本発明による圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダが同時に脱着可能な場面での構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、技術案及び長所をより明確にするために、以下、図面及び実施例を結合しながら、3シリンダロータ型圧縮機を例として本発明の圧縮機及びエアコンをさらに詳しく説明する。ここで説明する具体的な実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことは、理解されるべきである。
【0023】
図1乃至図18を参照して、本発明の一実施例に係わる圧縮機は、第1の1段目シリンダ1と、第2の1段目シリンダ2と、2段目シリンダ3と、下フランジ7と、上フランジ4と、クランクシャフト5と、を含み、第1の1段目シリンダ1、第2の1段目シリンダ2、及び2段目シリンダ3が積層されて設けられ、隣り合う2つのシリンダの間にダイヤフラムが設けられ、2段目シリンダ3が、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2の同じ側に配置されるか、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置される。下フランジ7が第1の1段目シリンダ1、第2の1段目シリンダ2、及び2段目シリンダ3よりも下側に配置され、下フランジ7に中間チャンバー8が設けられ、下フランジ7の下端部に下部当て板9が設けられる。
【0024】
第1の1段目シリンダ1は、第1吸気口と、第1スライディングベーン11が設けられる第1スライディングベーン溝(未図示)とを有し、第2の1段目シリンダ2は、第2吸気口と、第2スライディングベーン21が設けられる第2スライディングベーン溝(未図示)とを有し、2段目シリンダ3は、排気口と、第3スライディングベーン31が設けられる第3スライディングベーン溝(未図示)とを有し、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とが並列に設けられ、並列接続された第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2が、2段目シリンダ3に直列に接続され、前記第1吸気口と前記第2吸気口に入った冷媒は、1段又は/及び2段圧縮が施された後前記排気口から吐き出される。
【0025】
2つの前記ダイヤフラムがそれぞれ第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムであり、第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム及び下フランジ7のうちの任意の1つ又は任意の2つには、スライディングベーンの動作を制御するスライディングベーン制御装置6が設けられ、それぞれのスライディングベーン制御装置6ごとに1つの前記スライディングベーンが対応する。
【0026】
実施可能な一形態として、スライディングベーン制御装置6は、ピンと、前記ピンの末端に設けられた弾性復元部材とを含み、前記第1スライディングベーン11、第2スライディングベーン21、及び第3スライディングベーン31のうちの任意の1つ又は任意の2つに係止溝が設けられ、前記ピンが前記係止溝に嵌め合うために用いられ、前記ピンが前記係止溝内に配置される場合、前記スライディングベーンがロックアップされ、また、前記ピンが前記係止溝から脱離した後、前記スライディングベーンのロックが解除される。弾性復元部材がバネであってもよい。
【0027】
第1ダイヤフラム又は/及び第2ダイヤフラムには、係止溝に対応する貫通穴が設けられ、或いは、第1ダイヤフラム又は/及び下フランジには、係止溝に対応する貫通穴が設けられ、或いは、第2ダイヤフラム又は/及び下フランジには、係止溝に対応する貫通穴が設けられ、ピンが貫通穴と密封係合するように貫通穴内に配置され、ピンが前記貫通孔の軸方向に移動可能である。
(実施例1)
【0028】
3シリンダ2段式エンタルピー可変容量圧縮機における一方の1段目シリンダが脱着可能な場面は、以下のようである。
【0029】
実施可能な一形態として、図1又は図7に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも下側に配置され、第1ダイヤフラム又は第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1又は第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダとされる。
【0030】
実施可能な一形態として、図2に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも下側に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち下側に配置されたもの(図2にて第1の1段目シリンダ1)が脱着可能なシリンダとされる。
【0031】
実施可能な一形態として、図3及び図8に示すように、2段目シリンダ3が第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置され、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムのうち上側に配置されたものにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダとされる。
【0032】
実施可能な一形態として、図4に示すように、2段目シリンダ3が第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち下側に配置されたもの(図4にて第1の1段目シリンダ1)が脱着可能なシリンダとされる。
【0033】
実施可能な一形態として、図5及び図6に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも上側に配置され、第1ダイヤフラム又は第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1又は第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダとされる。
【0034】
図1を例として、1つの低圧側シリンダを脱着可能にする場面について説明するが、図1において、第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダであり、第2の1段目シリンダ2が正常に動作する場合、冷媒が図中の矢印方向で示される方向へ流動し、圧縮機にて、第1吸気口と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、圧縮された後中間チャンバー8に排出され、そして、第1の1段目シリンダ1から吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した冷媒が2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、3シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.3〜0.6に達することができる。
【0035】
第2の1段目シリンダ2が脱着されて動作しない場合、圧縮機にて、第1吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダで1段圧縮された後、中間チャンバー8に排出され、そして、吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した後2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、2シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.8〜1.3に達することができる。
(実施例2)
【0036】
3シリンダ2段式エンタルピー可変容量圧縮機における2段目シリンダが脱着可能な場面は、以下のようである。
【0037】
実施可能な一形態として、図7に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも下側に配置され、第1ダイヤフラム又は第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1又は/及び第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダとされる。
【0038】
実施可能な一形態として、図8に示すように、2段目シリンダ3が第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置され、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムのうち下側に配置されたものにスライディングベーン制御装置6が設けられ、2段目シリンダ3が脱着可能なシリンダとされる。
【0039】
実施可能な一形態として、図9に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも上側に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、2段目シリンダ3が脱着可能なシリンダとされる。
【0040】
図7を例として、2段目シリンダ3を脱着可能にする場面について説明するが、図7において、2段目シリンダ3が脱着可能なシリンダであり、2段目シリンダ3が正常に動作する場合、冷媒が図中の矢印方向で示される方向へ流動し、圧縮機にて、第1吸気口と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2で1段圧縮された後、中間チャンバー8に排出され、そして、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2から吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した冷媒が2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、3シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.8〜1.3に達することができる。
【0041】
2段目シリンダ3が脱着されて動作しない場合、圧縮機にて、第1吸気口と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて中間チャンバー8に排出され、そして、2段目シリンダ3で圧縮された後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、2シリンダ運転を実現する。
(実施例3)
【0042】
3シリンダ2段式エンタルピー可変容量圧縮機における第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とが同時に脱着可能な場面は、以下のようである。
【0043】
実施可能な一形態として、図10に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも下側に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち下側に配置されたもの(図中にて第1の1段目シリンダ1)が脱着可能なシリンダとされる。また、第1ダイヤフラム(図中にて第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間のダイヤフラム)にもスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち上側に配置されたもの(図中にて第2の1段目シリンダ2)が脱着可能なシリンダとされる。
【0044】
実施可能な一形態として、図11に示すように、2段目シリンダ3が第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち下側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされる。また、第2ダイヤフラム(図中にて第2の1段目シリンダ2と2段目シリンダ3の間のダイヤフラム)にもスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち上側に配置されたもの(図中にて第2の1段目シリンダ2)も脱着可能なシリンダとされる。
【0045】
実施可能な一形態として、図12に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも上側に配置され、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とが脱着可能なシリンダとされる。
【0046】
図10を例として、2つの低圧側シリンダを同時に脱着可能にする場面について説明するが、図10において、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダである。第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2が正常に動作する場合、冷媒が図中の矢印方向で示される方向へ流動し、圧縮機にて、第1吸気口11と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2で圧縮された後、中間チャンバー8に排出され、そして、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2から吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、その後、2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、3シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.3〜0.6に達することができる。
【0047】
第2の1段目シリンダ2が脱着されて動作しない一方、第1の1段目シリンダ1が正常に動作する場合、圧縮機にて、第1吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて中間チャンバー8に排出され、そして、第1の1段目シリンダ1から吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した後2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、2シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.8〜1.3に達することができる。
【0048】
第1の1段目シリンダ1が脱着されて動作しない一方、第2の1段目シリンダ2が正常に動作する場合、圧縮機にて、第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第2の1段目シリンダ2で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて中間チャンバー8に排出され、そして、第2の1段目シリンダ2から吐き出された冷媒が中間チャンバーにて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した後2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、2シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.8〜1.3に達することができる。
【0049】
第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2それぞれが脱着されて動作しない場合、圧縮機にて、第1吸気口と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1、第2の1段目シリンダ2、及び中間チャンバー8を経た後、2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、1シリンダ運転を実現する。
(実施例4)
【0050】
3シリンダ2段式エンタルピー可変容量圧縮機における1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダとが同時に脱着可能な場面は、以下のようである。
【0051】
実施可能な一形態として、図13に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも下側に配置され、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1又は/及び第2の1段目シリンダ2が脱着可能なシリンダとされる。
【0052】
実施可能な一形態として、図14に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも下側に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち下側に配置されたもの(図中にて第1の1段目シリンダ1)が脱着可能なシリンダとされる。また、第2ダイヤフラム(図中にて2段目シリンダ3と第2の1段目シリンダ2の間のダイヤフラム)にもスライディングベーン制御装置6が設けられ、2段目シリンダ3も脱着可能なシリンダとされる。
【0053】
実施可能な一形態として、図15に示すように、2段目シリンダ3が第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2のうち下側に配置されたものが脱着可能なシリンダとされる。また、第2ダイヤフラム(図中にて第1の1段目シリンダ1と2段目シリンダ3の間のダイヤフラム)にもスライディングベーン制御装置6が設けられ、2段目シリンダ3も脱着可能なシリンダとされる。
【0054】
実施可能な一形態として、図16に示すように、2段目シリンダ3が第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2の間に配置され、第1ダイヤフラムと第2ダイヤフラムのそれぞれにスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2がそれぞれ脱着可能なシリンダとされる。
【0055】
実施可能な一形態として、図17図18に示すように、第1の1段目シリンダ1と第2の1段目シリンダ2とがそれぞれ2段目シリンダ3よりも上側に配置され、下フランジ7にスライディングベーン制御装置6が設けられ、2段目シリンダ3が脱着可能なシリンダとされる。また、第1ダイヤフラム又は第2ダイヤフラムにもスライディングベーン制御装置6が設けられ、第1の1段目シリンダ1又は第2の1段目シリンダ2も脱着可能なシリンダとされる。
【0056】
図13を例として、1つの1段目シリンダと1つの2段目シリンダを同時に脱着可能にする場面について説明するが、図13において、第2の1段目シリンダ2と2段目シリンダ3が脱着可能なシリンダである。第2の1段目シリンダ2と2段目シリンダ3が正常に動作する場合、冷媒が図中の矢印方向で示される方向へ流動し、圧縮機にて、第1吸気口と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2で圧縮された後、中間チャンバー8に排出され、そして、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2から吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した後2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、3シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.3〜0.6に達することができる。
【0057】
第2の1段目シリンダ2が脱着されて動作しない一方、2段目シリンダ3が正常に動作する場合、圧縮機にて、第1吸気口11を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて中間チャンバー8に排出され、そして、第1の1段目シリンダ1から吐き出された冷媒が中間チャンバー8にて、増進蒸気エンタルピー口を介してフラッシュ蒸発器から吸い込まれた冷媒と混合し、混合した後2段目シリンダ3に入り、2段目シリンダ3で圧縮された後、圧力がPdの冷媒が形成されて排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、2シリンダ2段式エンタルピー運転を実現し、この場合、2段目と1段目の容積比が0.8〜1.3に達することができる。
【0058】
2段目シリンダ3が脱着されて動作しない一方、第2の1段目シリンダ2が正常に動作する場合、圧縮機にて、第1吸気口と第2吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダ1及び第2の1段目シリンダ2で圧縮された後、中間チャンバー8に排出され、さらに2段目シリンダ3を経た後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、2シリンダ運転を実現する。
【0059】
第2の1段目シリンダ2と2段目シリンダ3それぞれが脱着されて動作しない場合、圧縮機にて、第1吸気口を介してディスペンサーから圧力がPsの冷媒が吸い込まれ、第1の1段目シリンダで圧縮された後、中間チャンバー8に排出され、さらに2段目シリンダ3を経た後、排気口を介して吐き出され、密封チャンバーに入り、これにより、1シリンダ運転を実現する。
【0060】
本発明は、さらに、上記いずれか一項の技術案に係わる圧縮機を備えるエアコンに関し、エアコンは、上記圧縮機を除き、いずれも従来技術であり、ここではその詳細を省略する。
【0061】
以上の実施例に係わる圧縮機及びエアコンによると、圧縮機はマルチモード運転を実現し、異なる応用場面に応じて異なるモードを選択することができ、これにより、暖房能力を高め、定格点と中間点での能力を向上させ、構造に制限されずに排気量を増大し、このため、圧縮機の体積が小さくなり、低コストになる。また、2つの1段目シリンダにより、シリーズに制限されずに大排気量の圧縮機を実現することができる。さらに、シリンダを動作させたり脱着したりその状態を変更することで容量を可変にすることができ、圧縮機の異なる運転状況下でのエネルギー効率及び求めた能力を保証し、例えば、3シリンダ2段式エンタルピー運転により低温暖房状況下での暖房量を大幅に向上させることができ、1シリンダ運転により中間点でのエネルギー効率を向上させることができ、さらに、2シリンダ2段式エンタルピー運転又は2シリンダ運転により定格点でのエネルギー効率を向上させ保証することができる。
【0062】
上述した実施例は、あくまでも本発明の若干の実施形態を表すものであり、具体的かつ詳しく説明したが、本発明の特許範囲を限定していると理解してはならない。当業者にとって、本発明の思想から逸脱しない前提において若干の変形や改良が可能であることは指摘されるべきである。これら変形や改良も、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。それゆえ、記載した特許請求の範囲に基づいて本発明の保護範囲が定められるべきである。
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