特許第6247002号(P6247002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247002接触器の中に組込可能な、交流電流が供給される電気回路を保護するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247002
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】接触器の中に組込可能な、交流電流が供給される電気回路を保護するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/43 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H01H85/43
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-266711(P2012-266711)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2013-105751(P2013-105751A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】1160451
(32)【優先日】2011年11月16日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511228779
【氏名又は名称】ゾディアック エアロ エレクトリック
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ゴーチエ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド バレンヌ
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭47−008941(JP,U)
【文献】 実開昭61−158060(JP,U)
【文献】 特開平04−322028(JP,A)
【文献】 実公昭44−026998(JP,Y1)
【文献】 特開2010−277802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)と、前記ハウジング(10)内に配置されたヒューズ素子(16)とを備えた、交流電流が供給される電気回路を保護するための装置であって、前記ハウジング(10)は、互いに対して可動な第1の部分(11)及び第2の部分(12)と、前記第1の部分(11)が前記第2の部分に当接して支えられるようにさせて、前記ハウジング(10)が閉鎖状態にセットされるようにさせるのに適した弾性手段(6)とを備え、前記ハウジング(10)の前記第1の部分(11)は前記ヒューズ素子(16)の周囲にあるトンネルを含み、前記ハウジング(10)の前記第1の部分(11)及び前記第2の部分(12)は、炭化しない面を有する材料をその内面上に含んでいることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記弾性手段(6)は、前記ハウジング(10)内の圧力が閾値より高いときに前記ハウジング(10)の前記第1の部分(11)と前記第2の部分(12)とを分離させることができるように設けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ヒューズ素子(16)の各々の側に結合した、前記第2の部分(12)上に固定された少なくとも2つの接続端子(15)を備え、前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記2つの接続端子(15)を結ぶ方向に従って互いに分離することになるように設けられることを特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記ヒューズ素子(16)は、前記2つの接続端子(15)間に設けられた少なくとも1つのろう付け継手(18)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
交流電流が供給される電気回路を開路又は閉路するのに適したスイッチング素子(2)と、前記スイッチング素子(2)が前記電気回路を開路又は閉路することを制御するのに適した制御手段とを備えた電気接触器(1)であって、前記スイッチング素子(2)は、請求項1〜請求項のいずれかに記載の保護装置を含むことを特徴とする、電気接触器(1)。
【請求項6】
前記電気接触器は、前記電気回路に接続された電気結合端子(3)を備え、前記スイッチング素子は、前記保護装置の前記接続端子(15)にそれぞれ接続された少なくとも2つの接続スタッド(17)を備え、前記制御手段は、前記接続スタッド(17)が前記電気結合端子(3)から切り離される前記電気回路開位置と前記接続スタッド(17)が前記電気結合端子(3)に結合する前記電気回路閉位置との間で前記スイッチング素子(2)を移動させる、前記スイッチング素子(2)に結合した移動手段(5)を備えることを特徴とする、請求項に記載の電気接触器(1)。
【請求項7】
前記スイッチング素子(2)を前記電気回路閉位置に持ってくるように前記移動手段(5)に結合された弾性接触手段を備え、前記弾性接触手段は、前記保護装置の前記弾性手段(6)を含むことを特徴とする、請求項に記載の電気接触器(1)。
【請求項8】
前記接触器(1)は、電力接触器であることを特徴とする、請求項〜請求項のいずれかに記載の電気接触器(1)
【請求項9】
短絡に関連した電流の増大によって引き起こされるハウジング(10)内のヒューズ素子(16)の融解に続く電気アークの生成を含む、交流電流が供給される電気回路を保護するための方法であって、前記ハウジング(10)は前記ヒューズ素子(16)の周囲にあるトンネル、互いに対して可動な第1の部分(11)及び第2の部分(12)、及び前記第1の部分(11)が前記第2の部分に当接して支えられるようにさせて、前記ハウジング(10)が閉鎖状態にセットされるようにさせるのに適した弾性手段(6)を含んでおり、前記ハウジング(10)の前記第1の部分(11)及び前記第2の部分(12)は、炭化しない面を有する材料をその内面上に含んでおり、前記方法は、
a)前記ハウジング(10)の開放ステップ、
b)前記ハウジング(10)の外部への前記電気アークの膨張ステップ、
c)前記ハウジング(10)の閉鎖ステップ、
d)前記ハウジング(10)が閉鎖されたときの、前記電気アークの遮断ステップ、及び
e)前記電気アークが再形成された場合の、ステップa)からd)までの反復ステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記ハウジング(10)は、前記ハウジング(10)内の圧力が閾値より高いときには開放され、前記圧力が前記閾値より低いときには閉鎖され、前記ハウジング(10)内の前記圧力は、交流電流の絶対値が減少したときに降下することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電流が供給される電気回路の保護に関し、より具体的には、交流電流が供給される電気回路に結合される可動接触器へのヒューズの組込に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズ付き回路遮断器は、主に電気回路又は電子回路における安全装置として用いられる。この型式の安全装置の役割は、その安全装置が関連付けられた電子回路を、その回路を通って流れる電流が危険な強度に達したときに開くことにより、この電流をゼロ強度に戻すことである。この型式の保護は、一般には電気回路の保全性、より具体的には電源供給回路の保全性、及び、ひとたび故障が解消した際の回路の稼働状態への復帰を保証する。従って、回路遮断器は、過電流が続くこと又は短絡が引き起こし得る、例えば、絶縁体の劣化、電子機器の破壊、材料の融解、さらには発火といった、潜在的に破局的な結果を見込んでいる。
【0003】
ヒューズ付き回路遮断器は、より簡単には「ヒューズ」と呼ばれ、ヒューズ素子の融解を通して動作する。ヒューズ素子の融解は、ヒューズを通過する過電流による温度上昇によって引き起こされる。ヒューズは、一般に、例えば可融性の金属又は合金で作られた導電性フィラメント又はストリップなどの導電部分を含み、これは絶縁物体の中に取り付けられ、2つの接続部品に接続される。導電部分を通過する電流が定格、即ちこれより上では導電部分が融解し始めるという強度閾値を超えたときに、ヒューズの導電部分は融解し、回路が開く。
【0004】
ヒューズの絶縁物体は、空気、又は、導電部分の融解中に放出される熱エネルギーを吸収することが意図された材料を収容することができる。従って、シリカ粉末又は絶縁性液体を用いて絶縁物体の内容積を満たすことができる。絶縁物体は、一般にセラミック又はガラス積層円柱の形状で実装され、その両端にはそれぞれ圧着された金属ベルが設けられ、この金属ベルは、一方では絶縁物体の内側に配置された導電部分に結合し、もう一方では接続タブに結合する。
【0005】
この型式の安全装置の主な欠点は、その占有体積にある。切り詰めた空間内に取り付けられる可動接触器の場合、接触器が取り付けられる空間の体積を変えずにこの型式の安全装置を接触器に取り付けることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、接触器などの電気装置内に実装することが可能であり、保護される接触器の追加の占有体積が限られたものであるように実現される、電気回路を保護するための装置及び方法を提案することによって、この欠点を克服することを提案する。本発明の別の目的は、電気装置の中に組み込むことができ、実装が簡単な保護装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様によると、1つの実施形態において、ハウジングと、ハウジング内に配置されたヒューズ素子とを含む、交流電流が供給される電気回路を保護するための装置が提案される。
【0008】
本発明の1つの一般的な特徴によると、ハウジングは、互いに対して可動な第1の部分及び第2の部分と、第1の部分が第2の部分に当接して支えられるようにさせ、ハウジングが閉鎖状態にセットされるようにさせるのに適した弾性手段とを含む。
【0009】
第1の部分及び第2の部分は、特に短絡によって引き起こされるヒューズ素子の融解に続いて生成される電気アークが出現した場合に、互いに分離される。実際には、ヒューズ素子の融解とそれに続く気化が、ハウジング内部の温度の上昇と、その結果としての圧力の上昇とを引き起こし、内圧が相当なものになったときに第1の部分と第2の部分とが互いに離れるように強いる。
【0010】
弾性手段は、ハウジング内の圧力が閾値より高いときにハウジングの第1の部分と第2の部分とを分離させることができるように設けられることが有利である。
【0011】
従って、ハウジングの第1の部分と第2の部分とは、ハウジング内の圧力が弾性手段の反動する力に対応する圧力閾値より高いときに、互いに分離するようになる。
【0012】
保護装置は、ヒューズ素子の各々の側に結合した、第2の部分上に固定された少なくとも2つの接続端子を含み、第1の部分及び第2の部分は、2つの接続端子によって定められる方向に従って互いに分離することになるように設けられることが好ましい。
【0013】
第1の部分は、閉じたトンネルを2つの接続端子及びヒューズの周囲に第2の部分と一緒になって形成するのに適した溝を含むことができる。
【0014】
2つの接続端子によって定められる方向に従ったハウジングの開放は、ハウジングの外部への電気アークの膨張を促進し、結果的に、ハウジングが閉じたときの電気アークの遮断を促進する。実際、2つの接続端子によって定められる方向に従ってハウジングを開放することにより、電気アークがそこを経てハウジングの外部に延びることができる開口部は、例えば2つの接続端子によって定められる方向に直交する方向に従ってハウジングを開放する場合よりも大きくなる。
【0015】
ハウジングの第1の部分及び第2の部分は、炭化しない面を有する材料をその内面に含むことが好ましい。
【0016】
ハウジング内での電気アークの生成は、相当な温度上昇を引き起こす。炭化しない材料を用いてハウジングの少なくとも内面を実装することで、電気アークがハウジングの内面の部分を燃焼させてこの面上に微量の炭素を残すことが防止される。これら微量の炭素は、破裂放電、及び、結果としての電気アークの再形成を助長することになる。
【0017】
ヒューズは、2つの接続端子の間に設けられた少なくとも1つのろう付け接合部を含むことができることが、有利である。
【0018】
ろう付け接合部は、ヒューズ素子の、そのヒューズの残りの部分より細い箇所である。ヒューズに1つ又はそれ以上のろう付け接合部を設けることで、ヒューズが破断する位置及びアークが生成される位置を制御することが可能になり、そしてまたヒューズ素子が融解して破断することになる電流の強度を制御することも可能になる。
【0019】
異なる態様によると、交流電流が供給される電気回路を開路又は閉路するのに適したスイッチング素子と、スイッチング素子が電気回路を開路又は閉路することを制御するのに適した制御手段とを含む、電気接触器が提案される。
【0020】
1つの一般的な特徴によると、スイッチング素子は、保護装置を含む。この型式のスイッチング素子は、ヒューズ素子が結合した2つの接続端子によって定められる方向に沿って2つの部分に分離可能なハウジングを含むように実装することができる。
【0021】
接触器は、電気回路に接続された電気結合端子を含むことが好ましく、スイッチング素子は、保護装置の接続端子にそれぞれ接続された少なくとも2つの接続スタッドを含み、制御手段は、接続スタッドが電気結合端子から切り離される電気回路開位置と接続スタッドが電気結合端子に結合する電気回路閉位置との間でスイッチング素子を移動させる、スイッチング素子に結合された移動手段を含む。
【0022】
可動接触器の移動手段は、スイッチング素子が機械的に結合される移動バーに結合した、電磁石を含むことができる。バーは、電磁石によって駆動され、可動スイッチング素子を、電気結合端子の方に向かって、及び、外側に、動かす。
【0023】
接触器は、好ましくは、スイッチング素子を電気回路閉位置に持ってくるように移動手段に結合された弾性接触手段を含み、弾性接触手段は、保護装置の弾性手段を含む。
【0024】
弾性接触手段と保護装置の弾性手段とを組み合わせることができる。
【0025】
従って、接触器は、電磁石のバーとスイッチング素子との間に機械的に結合したばねを含むことができる。このばねの第1の目的は、スイッチング素子と電気結合端子との接触を保つためにスイッチング素子上の押圧力を維持することである。このばねの第2の目的は、ハウジング内部の圧力が閾値を超過するまでハウジングのトンネルを閉じた状態に保つように、ハウジングの第1の部分と第2の部分とが離ればなれにならないよう保持させる、保護装置の弾性手段としての役割も果たすことである。
【0026】
接触器は、有利には、30Aより大きい電力を伴う接触器又はRCCB(遠隔制御回路遮断器)とすることができる。
【0027】
異なる態様によると、1つの実施形態において、短絡に関連した電流の増大によって引き起こされるハウジング内のヒューズ素子の融解に続く電気アークの生成を含む、交流電流が供給される電気回路を保護するための方法が提案される。
【0028】
1つの一般的な特徴によると、保護方法は、
a)ハウジングの開放、
b)ハウジングの外部への電気アークの膨張、
c)ハウジングの閉鎖、
d)ハウジングが閉鎖されたときの、電気アークの遮断、及び
e)電気アークが再形成された場合の、ステップa)からd)までの反復
を含む。
【0029】
圧力、温度及び電流の条件、並びに、特にヒューズ素子の部分の寸法が許せば、先行する電気アークを遮断するハウジングの閉鎖に続いて、電気アークが再び形成される可能性がある。実際、短絡電流が高電流であり、かつ、ヒューズ素子の2つの部分、即ちまだ気化されていない2つの部分を隔てる距離が比較的短い場合には、電気アークが形成される可能性がある。
【0030】
有利には、ハウジングは、ハウジング内の圧力が閾値より高いときには開放され、圧力が閾値より低いときには閉鎖され、ハウジング内の圧力は、交流電流の絶対値が減少したときに降下する。
【0031】
ハウジング内の圧力はまた、より大きな体積にわたるハウジングの開放に伴って減少する。この圧力降下も、ハウジング内の圧力の全体としての減少に寄与し、ハウジングを閉鎖させる。
【0032】
本発明の他の利点及び特徴は、決して限定ではない本発明の様々な実施形態の詳細な説明、及び添付の図面から収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の1つの実施形態によるスイッチング素子を含む可動接触器の断面図を示す。
図2図1の可動接触器の横方向面による断面図を示す。
図3図1の可動接触器の長手方向面による断面図を示す。
図4】1つの実施形態による、保護方法のフローチャートを示す。
図5】電気アークの出現の間の接続端子上の電圧及び電流を表す曲線の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の1つの実施形態による、スイッチング素子2を含む可動接触器1の断面図を示す。
【0035】
可動接触器1は、航空機の電力回路上に取り付けられることが意図されたものであり、スイッチング素子2の移動によって電力回路の開路又は閉路を可能にする。接触器1は、電力回路内での電流の確立及び中断を可能にする電気接点である、電極3、即ち電気結合端子を含む。
【0036】
接触器1は、制御回路及び補助接点も含む。補助接点は、接触器の状態(開又は閉)の情報を提供することが意図される。可動接触器1の制御回路は、電磁石5も含む。この電磁石5は、銅コイルと、固定部51及び可動部52からなる磁気回路とを含む。電磁石5に電力が供給されると、電流がコイルを通って流れ、これが、磁気回路によって伝えられる磁界を生成して可動部52を近くに引き寄せ、これにより、接点が閉じられ又は開かれる。この制御回路は、有利には交流とすることができ、その場合には、磁気回路は積層することができるものとなる。
【0037】
電磁石5の可動部52は、ばね6を介して接触器2に結合する。ばね6は、可動部52が下がっているときに接触器2が電極3との接触を保つように接触器2に押圧力がかかることを可能にする。
【0038】
可動接触器2は、それぞれ可動接触器2の横方向面による断面図、及び長手方向面による断面図を示す、図2及び図3に詳細に示される。
【0039】
可動接触器2は、接触器2を電磁石5の可動部52に接合することが意図される機械的結合要素13に機械的に結合された、第1の部分11と第2の部分12とを含むハウジング10を含む。機械的結合要素13は、第1の部分11及び第2の部分12と直角に交わる。ばね6は、第2の部分12に対向する面の反対側の面上に支持されるよう、第1の部分11の上方に配置されるように、機械的結合要素13に取り付けられる。
【0040】
第1の部分11は、機械的結合要素13と交わらないように、かつ、第1の部分11の端の一方に現れないように設けられた、溝14を含む。従って、第1の部分11が第2の部分12に接触しているときには、溝14は両端が閉じたトンネルTを形成する。
【0041】
示された実施形態においては、第2の部分12は、炭化しない面を有するセラミック又は別の材料で作られたプレートを含むように設けられる。第1の部分11は、炭化しない面を有する同じ材料又は別の材料で設けることができる。
【0042】
第2の部分12は2つの接続端子15を含み、それらの間にはヒューズ16が接続される。接続端子15及びヒューズ16は、第1の部分11が第2の部分12と接しているとき、即ちハウジング10が閉じているときに、トンネル14と第2の部分12とによって形成されたトンネルTがヒューズ16を含むよう、かつ、各接続端子15がトンネルTの一端に配置されるよう、第2の部分12上に配置される。溝14は、接続端子15の大きさ及び形に適合するように、その端の方をより広くすることができる。
【0043】
接続端子15は、第1の部分11に対向する第2の部分12の面上に取り付けられ、各々がそれぞれ第2の部分12の反対側の面上に固定された接続スタッド17に結合するように固定される。
【0044】
ヒューズ16は、フィラメント又は導電性リボンとすることができる。図3に示される実施形態においては、ヒューズ16は、フィラメントの、ヒューズ16の残りの部分より断面が小さい区間に対応する、プライマー18を含む。従って、プライマー18は、過電流、即ち公称強度を上回る強度の電流がそのヒューズを通過したときのヒューズ16の破断点を定める。プライマー18におけるヒューズ16の断面の直径はまた、ヒューズ16が融解し始めることになる電流の値の精密な定義を可能にする。プライマー18が用いられない場合には、接続がヒューズの端部を冷やして、その結果ヒューズの中央部分で融解させるように、ヒューズ材料は熱の良導体でなければならない。
【0045】
図4を参照すると、ここで説明した結合器1は、以下のように動作する。
【0046】
公称動作電流を上回る強度の電流がヒューズ16上を長時間にわたって通過すると、ヒューズ16は、特にプライマー18又はヒューズの中央部において昇温し、ヒューズ16の抵抗を、ろう付け接合部18のところでヒューズが破断するまで、温度の関数として増大させる。ヒューズ16が昇温すると、ハウジング10のトンネルT内の温度は上昇する。ヒューズが破断するときには、電流の強度及びトンネルT内の周囲温度は、破断したヒューズの2つの部分の間に電気アークが生成される程になっている(ステップ301)。
【0047】
ヒューズ16の2つの残存部分の間にこのように生成された電気アークは、ヒューズ16の2つの部分を電気的に結合して、ヒューズ16の温度及びトンネルT内の周囲温度を再び上昇させる。ヒューズ16の温度は、ヒューズ16が気化するまで上昇し続ける(ステップ302)。ヒューズ16の気化は、ハウジング10のトンネルT内部の温度上昇と、その結果としての圧力上昇とを引き起こす。
【0048】
ハウジング10の内部、とりわけトンネルT内の圧力が圧力閾値より高いときには(ステップ310)、第1の部分11と第2の部分12とが分離することになり、トンネルTの開放をもたらす(ステップ320)。圧力閾値は、ばね6によって第1の部分11上に及ぼされる押圧力に対応する。
【0049】
ひとたびハウジング10のトンネルTが開放されると、電気アークは、トンネルTの外部に延びる(ステップ330)。
【0050】
電流は交流電流であるので、電流の絶対値がゼロ値に向かって減少するときには、電気アーク内の電流の強度は減少する(ステップ340)。電気アークの強度の減少の結果、温度は下降し、その結果、圧力は降下する。さらに、ハウジング10の開放も、ハウジング10のトンネルT内の圧力のさらなる降下をもたらす。
【0051】
これら2つの圧力降下の効果(ステップ350)は、ハウジング10内、とりわけトンネルT内の圧力を、圧力閾値を下回るまで降下させ、次いでハウジング10の閉鎖をもたらす(ステップ360)。
【0052】
ハウジング10の閉鎖、従ってトンネルTの閉鎖は、電気アークがトンネルTによって定められる空間の外部にあるときに行われる。従って、ハウジング10の閉鎖は、電気アークの遮断をもたらす(ステップ370)。
【0053】
ヒューズ16の気化が完全ではなく、そのため高い強度の過電流がまだ供給されているときにヒューズ16の一部が近接したままである場合には、電気アークが再生成される可能性がある(ステップ380)。その場合、ステップ310から370までが、電気アークがもはや再生成できなくなり、遮断が効力を生じるまで繰り返される。
【0054】
図5は、ヒューズ16の端子上の、即ち2つの接続端子15の間で測定された、電圧Vを表す第1の曲線、及び、ヒューズ16を通過する電流Iをアンペアで表した第2の曲線を示す。2つの曲線は、電気アークの生成の例を示す条件下で、時間の関数として示される。
【0055】
この例において、時間t1より前では、電流は、−780Aと780Aとの間で正常に振動し、電圧は、ゼロ電圧の付近でごくわずかに振動する。時間t1において、ヒューズ16が融解し、電気アークが生成される。次いで、電流が中断する時間t2まで、アーク電圧が次第に増大する一方で電流が減少することが観測され、次いで電気アークの遮断が効力を生じる。
【0056】
時間t1と時間t2との間において、電流がゼロになるたびに、ハウジング10は再閉鎖し、電気アークを遮断する。電気アークのいずれの再生成も、電圧曲線上で電圧ピークによって表される。この電圧ピークは、電圧曲線V上のそれぞれの正弦半波上ではっきりと観測することができる。それぞれの電流の正弦半波ごとに、電流がゼロになった後の電気アークの再生成に続いて、電流の絶対値が減少してゼロになる前に、温度及び圧力が再び上昇して、ハウジング10の新たな開放を生じさせる。次いで、圧力の降下、ハウジング10の閉鎖、及び、その結果としての、ハウジング10のトンネルTの外部に延びていた電気アークの遮断が観測される。
【0057】
この例は、電気アークを最終的に遮断するためにハウジングの開放及び閉鎖の複数サイクルが必要とされる、相当な過電流の場合を示す。異なる条件下においては、電気アークは、ハウジング10の最初の閉鎖のときから、最終的に遮断されることができる。
【0058】
以上のように、本発明により、接触器内に組み込まれる、回路を短絡から保護するための、装置を提供することが可能であり、その実装は簡単であり、追加重量は元々の接触器と比べて無視できる。
【符号の説明】
【0059】
1:接触器
2:スイッチング素子
3:電気結合端子
5:電磁石
6:弾性手段(ばね)
10:ハウジング
11:第1の部分
12:第2の部分
13:機械的結合要素
14:溝
15:接続端子
16:ヒューズ素子
17:接続スタッド
18:ろう付け接合部
51:固定部
52:可動部
T:トンネル
1、t2:時間
V:電圧
I:電流
図1
図2
図3
図4
図5