(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
同様の参照番号が同様の構成要素に付してある。
本明細書中に開示した実施例と同様の手術用アクセスシステムが、米国特許公開第2005/0241647A1号、米国特許公開第2007/0185387A1号、米国特許公開第2007/0149859A1号、及び米国特許公開第2007/0088202A1号に開示されている。出典を明示することにより、これらの特許公開に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0021】
図1Aは、手術用アクセスシステムの開創器100の一実施例の斜視図である。開創器100は、近位端102、遠位端104、機器アクセスチャンネル106、外アンカー即ち近位アンカー110、及び内アンカー即ち遠位アンカー130を含み、可撓性シース150が外アンカーと内アンカー130との間を延びている。例示の実施例では、外アンカー110及び内アンカー130は両方ともリング形状であり、従って、これらは、例示の実施例において、夫々、外リング110及び内リング130と呼ばれる。例示の実施例では、外リング110及び内リング130は全体に円形である。他の実施例では、外リング110及び内リング130のうちの少なくとも一方の平面図は円形でなく、例えば、楕円形、長円形、D字形状、等である。更に、例示の実施例では、外リング110及び内リング130はほぼ同じ直径を有する。他の実施例では、外リング110及び内リング130は、夫々、直径、大きさ、及び/又は形状は異なっている。例えば、外リング110の幾つかの実施例は、直径が内リング130よりも小さいが、他の実施例では、外リング110の直径が内リング130よりも大きい。可撓性シース150は、外リング110及び内リング130の形状をとる。従って、例示の実施例の可撓性シース150は全体に円筒形である。
【0022】
例示の実施例では、外リング110は環状軸線を有し、外リング110は、以下に更に詳細に論じるように、環状軸線を中心として外リング110それ自体を回転するプロセスで、この軸線を中心として回転でき、即ち内返しできる。従って、外リング110は可撓性材料で形成されている。幾つかの実施例では、可撓性材料は、例えば可撓性エンジニアリングプラスチック等の一つ又はそれ以上のポリマーを含む。幾つかの実施例では、可撓性材料は、エラストマー、例えば熱可塑性エラストマーを含む。幾つかの実施例では、外リング110は、例えばポリマー及び強化材等の複合材料を含む。適当な強化材の例には、ポリマー、金属、ガラス、セラミック、等のうちの少なくとも一つで形成されたファイバ、布、等が含まれる。外リング110の実施例は、単一のピースとして、又は組み立てられて外リング110となる複数のピースとして型成形及び/又は押し出しにより形成される。
【0023】
図1Bは、開創器100の近位端の側断面図を示す。例示の実施例では、外リング110の断面は、長軸112及び短軸114を含む。長軸112は、外リング110の長さ方向軸線116と全体に平行であり、短軸はその半径方向軸線と全体に平行である。他の実施例では、長軸112及び短軸114の相対的な位置が逆になっている。外リング110の側断面図である
図1Bで最もよくわかるように、外リング110は、複数の内腔、即ち短軸の上方で長軸上に配置された第1内腔122a、及び短軸の下方で長軸上に配置された第2内腔122bを含む。従って、例示の実施例では、第1内腔122aは第2内腔122bの上方に配置される。外リング110の幾つかの実施例は、内腔の数が異なり、内腔を一つ、三つ又はそれ以上備えている。
【0024】
例示の実施例では、外リング110の断面形状は全体に8字形状であり、即ち第1円118a及び第2円118bが、これらの円の間を延びるウェブ119によって接合された形状を有する。第1内腔122aは第1円118a内に配置されており、第2内腔122bは第2円118b内に配置されている。外リングのこの他の実施例は、断面形状が異なり、例えば
図2A乃至
図2Kに示すように、全体に楕円形又は長円形(
図2A参照)、菱形又は偏菱形(
図2B参照)、砂時計形状又は犬の骨の形状(
図2C)、雪だるま形状(
図2D参照)、半径方向で平らな形状(ワッシャ形状外リング)、長さ方向で平らな形状(円筒形外リング)又は別の角度で平らな形状(截頭円錐形外リング)(
図E参照)、円形(ドーナッツ状外リング)(
図2F参照)、X字形状(
図2G参照)、三角形形状(
図2H参照)、正方形形状(
図2J参照)、六角形形状(
図2K参照)、多角形形状、等を有する。外リングの幾つかの実施例は、外リングをその環状軸線を中心として手作業で回転するのを容易にする一つ又はそれ以上のグリップ面226を含む。適当なグリップ面の例には、
図2A、
図2B、
図2E、
図2H、
図2J、及び
図2Kの実施例に示す全体に平らな表面、及び
図2C、
図2D、及び
図2Gの実施例に示す凹状の表面が含まれる。
図2A乃至
図2Kに示す実施例のうちの任意の実施例は、以下に論じるように、随意であるが、一つ又はそれ以上の周囲内腔を含み、随意であるが、これらの内腔にワイヤ又はフープが配置される。外リング110の幾つかの実施例は、メビウス形状を有し、その場合、外リング110は、例えば細長い部材を捩じった後に端部を接合することによって、周方向捩じり応力が予め加えられて製造される。
【0025】
幾つかの実施例では、
図1Bに示すように、ワイヤ又はロッド124が第1内腔122a及び第2内腔122bのうちの少なくとも一方に配置される。端部が内腔内で互いに接触した、又はほぼ接触したワイヤ又はロッド124の実施例を、本明細書中、「スプリットフープ」と呼ぶ。幾つかの実施例は、第1内腔122a及び第2内腔122b内にスプリットフープを含む。幾つかの実施例では、単一のスプリットフープ124を含む。このスプリットフープ124が環状軸線を形成する。幾つかの実施例では、複数のスプリットフープ124を含み、環状軸線を中心として外リング110を回転すると、各スプリットフープ124に圧縮が順次加わり、次いで張力が加わる。これらの実施例では、圧縮力が加わったスプリットフープ124は、回転のその部分について、環状軸線を形成する。
【0026】
幾つかの実施例では、スプリットフープ124は、開創器100が使用される条件で実質的に柔軟でない。これらの実施例のうちの幾つかにおいて、スプリットフープ124により、外リング110は、実質的に柔軟でなく、例えば圧縮に抵抗する。他の実施例では、スプリットフープ124は柔軟であり、外リング110もまた柔軟である。外リング110の幾つかの実施例は、ロッド又はワイヤがその内腔内に配置されていない。柔軟でない外リング110の幾つかの実施例は、例えば蓋、キャップ、及び/又はゲルキャップ等の別のデバイスに外リング110を直接連結するのを容易にする。柔軟な外リング110の幾つかの実施例は、身体の表面と形態が一致する。
【0027】
外リング110の幾つかの実施例では、中実の即ちスプリットがないフープ124が内腔に配置される。上文中に論じたように、幾つかの実施例では、中実フープ124は環状軸線を形成し、この環状軸線を中心として外リング110を回転できる。外リング110の幾つかの実施例は、中実フープ及び少なくとも一つのスプリットフープを含む。幾つかの実施例では、中実フープ及び/又はスプリットフープにより、平面図で見た外リング110の形状、例えば円形、楕円形、長円形、又はD字形状を維持し、及び/又は側面図で見た輪郭、例えば平らな形状、湾曲した形状、又は鞍型形状を維持する。幾つかの実施例では、フープ124は、外リング110の回転特性に影響を及ぼし、例えば、以下に論じるように、回転を阻止し、又は回転を許容する。幾つかの実施例では、フープ124は外リング110の配向に影響を及ぼし、例えば、
図1Bに示すように、長軸112を外リング110の長さ方向軸線116と平行にし、又は長軸112を長さ方向軸線116に対して垂直にする。
【0028】
幾つかの実施例では、環状軸線を中心とした360°に亘る回転に対する外リング110の位置エネルギの分布又はグラフは、少なくとも一つの低エネルギ回転位置及び少なくとも一つの高エネルギ回転位置を含む。例えば、
図1A及び
図1Bに示す形態は、例示の実施例についての低エネルギ回転位置である。例示の実施例では、各360°回転サイクルにおいて、外リング110は、約180°離れた二つの低エネルギ回転位置即ち位置エネルギの谷を有する。この位置では、長軸はその長さ方向軸線とほぼ平行である。更に、外リング110は、約180°離れた二つの高エネルギ回転位置即ち位置エネルギの山を有する。この位置では、長軸はその半径方向軸線と全体に平行である。従って、高エネルギ回転位置及び低エネルギ回転位置は、約90°離れている。外リング110の幾つかの実施例は、全体に正弦波をなす位置エネルギ分布を持つが、外リング110の他の実施例の位置エネルギ分布は形状が異なり、例えば全体に鋸歯状、ステップ関数、これらの組み合わせ、又は他の適当な分布を有する。様々な断面形状の外リング110の実施例は、位置エネルギ分布が異なる。
【0029】
上文中に論じた位置エネルギ分布の結果は、外リング110の環状回転における「スナップ作用」と呼ばれる。回転力が加わっていない場合には、外リング110は低エネルギ形状をとり、即ち位置エネルギの谷にあり、均衡位置即ち戻り止め位置にある。外リング110に環状トルクを加えると、外リング110は環状軸線を中心として回転し即ち転動し、これによって、外リング110が高エネルギ回転位置即ち位置エネルギの山に達するまで外リング110の位置エネルギを高める。外リング110が位置エネルギの山を越えるとき、外リング110に「スナップ作用」が加わり、蓄えられた位置エネルギが放出され、低エネルギ回転位置をとり、次の位置エネルギの谷に落ち込む。従って、外リング110は、低エネルギ回転位置の外に回転することに抵抗し、低エネルギ回転位置から動揺した場合、低エネルギ回転位置即ち戻り止め位置にぱちんと戻る。
【0030】
「内返し」又は「ロールイン」と呼ばれる第1回転方向では、外リング110の頂部がその開口部を下方に通過する。「外返し」又は「ロールアウト」と呼ばれる第2回転方向では、外リング110の底部がその開口部を上方に通過する。幾つかの実施例では位置エネルギ分布は、回転方向に関してほぼ対称である。他の実施例では、位置エネルギは対称でなく、例えば、一方向に回転する場合に谷から山への傾斜が逆方向に回転する場合よりも急である。例えば、幾つかの実施例では内返しに外返しよりも大きい力を必要とする。位置エネルギ分布が非対称な外リング110の幾つかの実施例は、非対称な断面を有する。
【0031】
図1Aに戻ると、内リング130は変形可能であり、例えばポリマー等の可撓性材料、例えば可撓性エンジニアリングプラスチックで形成されている。幾つかの実施例ではポリマーはエラストマーであり、例えば熱可塑性エラストマーである。幾つかの実施例では、内リング130は再成形可能であり、例えば塑性変形可能な又は展性のエレメント、例えば金属及び/又は形状記憶ワイヤ、ストリップ、メッシュ、等で形成されている。幾つかの実施例では、変形可能なエレメントにはプリーツ又は折り目が設けられており、例えばアコーディオン状の折り目又は扇状の折り目が設けられている。再成形可能な内リング130の幾つかの実施例のカバー又はエンベロープに、粘土、粉体、顆粒、ビーズ、等が配置されている。再成形可能な内リング130の幾つかの実施例は、例えば可撓性ポリマーで覆われた繋がったエレメント、例えばリンクチェーン、ボールソケットチェーン、又はローラーチェーンを含む。
図3は、端部と端部とを向き合わせて配置され、閉ループを形成する関連した交互の円弧状部材342及び直線状部材344を含む再成形可能な内リング330の一実施例の斜視図である。各円弧状部材342は、隣接した直線状部材344に対し、局所的長さ方向軸線を中心として回転でき、その結果、再成形可能な内リング330を形成する。他の実施例は、円弧状部材342及び直線状部材344の数が異なる。幾つかの実施例では、円弧状部材342及び直線状部材344の各々の長さは独立して選択される。幾つかの実施例では、各円弧状部材342が提供する角度が独立して選択される。幾つかの実施例は、直線状部材344の数が比較的少なく、又は全くない。幾つかの実施例では、内リング330に張力又は圧縮力を加えることによって内リング330の配座(conformation)を固定できる。再成形可能であるため、内リング330を配置するとき、使用者は内リング330を患者の解剖学的構造と一致できる。
【0032】
図1Aに示す実施例では、内リング130の断面は全体に円形である。他の実施例では、内リング130は別の断面、例えば楕円形、長円形、平らな形状、D字形状、又は外リング110について
図2A乃至
図2Kに示す任意の輪郭を有する。内リングの幾つかの実施例の断面は、少なくとも外縁部432のところが薄く及び/又は平らになっており、平らな又は薄い楔形状をなしており、その結果、内リング430は、
図4A及び
図4Bに示すようなワッシャ状形状を持つ。平らな外縁部のため、使用者は、例えば筋肉層間に内リング430を配置するとき、狭い空間内で縁部を操作できる。内リング130の実施例は、型成形及び/又は押し出しにより単一のピース又は複数のピースとして形成され、これらの複数のピースを組み立てて内リング130にする。
【0033】
内リング130の幾つかの実施例はコラプシブル及び/又は折り畳み可能であり、これにより、切開創又は開口部を通した内リング130の挿入及び/又は取り外しを容易にする。例えば、幾つかの実施例は、折り畳みを容易にする少なくとも一つのノッチ、ヒンジ、及び/又は弱め点を含む。内リング130の幾つかの実施例は、分解することにより、内リング130を虚脱できる。例えば、幾つかの実施例では、内リング130は、互いに合わせられ、連結され、これによって内リング130を環状にする二つの自由端を持つ一つの部材を含む。これらの実施例の幾つかでは、連結された自由端を外すことにより、内リング130を虚脱する。幾つかの実施例では、機械的ファスナ、例えばピン、クリップ、留め金、キー、等を使用して自由端を連結する。幾つかの実施例では、ファスナは、破壊可能なエレメント、例えば自由端を橋渡しするタブを含む。ファスナを係合解除又は壊すことによって自由端を外す。
【0034】
他の実施例では、内リング130は、補剛部材に連結された環状部材を含む。補剛部材を係合解除及び/又は取り外すことにより、環状部材を虚脱できる。例えば、幾つかの実施例では、補剛部材はリング状部分を含み、その周囲に環状部材が係合する。例えば、
図5に示す実施例では、内リング530の環状部材534は、C字形状断面を有し、C字形状の開口部は、全体として環状部材534の長さ方向軸線に面し、補剛部材536の少なくとも一部がC字形状内に嵌着する。他の実施例では、C字形状の開口部が別の方向に、例えば近位方向に、遠位方向に、又は長さ方向軸線から遠ざかる方向に面している。以下に論じるように、例えば補剛部材536に固定された繋ぎ紐を引っ張ることによって補剛部材536を取り外すことにより、環状部材534を虚脱できる。他の実施例では、補剛部材536は、環状部材の一部だけとしか係合しない。この場合も、補剛部材536を取り外すことにより、環状部材534を虚脱できる。
【0035】
幾つかの実施例では、内リング130を虚脱状態即ち折り畳み状態で体腔に挿入した後、拡張状態即ち展開状態に再設定する。
【0036】
内リング130の幾つかの実施例には繋ぎ紐が固定されている。繋ぎ紐により、例えば引っ張ることによって内リング130の取り外しが容易に行われる。幾つかの実施例では繋ぎ紐は、内リングの折り畳み及び虚脱を容易にする。例えば、一実施例では、繋ぎ紐を引っ張ることによって、ノッチ、ヒンジ、又は弱め点の両側の内リングの部分を一緒に引き出し、これによって内リング130を折り畳み、その取り外しを容易にする。幾つかの実施例では、繋ぎ紐は、内リング130の自由端を互いに連結する機械的ファスナに固定される。例えば、幾つかの実施例では、繋ぎ紐は、ピン、クリップ、又は留め金を取り外し、即ち引っ張って外し、これによって自由端を互いに固定された状態から外す。幾つかの実施例では、繋ぎ紐は、内リング130の自由端を橋渡しする分離エレメントに連結されており、引っ張ったときに分離エレメントを破壊し、これによって自由端を固定された状態から外す。幾つかの実施例では、繋ぎ紐は内リング130の補剛部材に固定されており、繋ぎ紐を引っ張ることによって補剛部材を環状部材と係合した状態から外し、これによって環状部材を虚脱できるようにする。
【0037】
図1A及び
図1Bに示す実施例では、シース150は全体にチューブ状であり、直径が外リング110及び内リング130の内径とほぼ等しい。他の実施例では、シース150は円筒形ではなく、例えば截頭円錐形、砂時計形状、D字形状、楕円形、これらの形状の組み合わせ、等である。幾つかの実施例では、シース150は継ぎ目無しチューブとして製造される。他の実施例では、シース150は少なくとも一つの継ぎ目を有する。幾つかの実施例では、シース150は長さ方向プリーツを含む。幾つかの実施例では、シース150は少なくとも一つの長さ方向スリットを含む。幾つかの実施例では、シース150は、外リング110と内リング130との間を延びる複数のバンド、ストリップ、及び/又はシートを含む。バンド、ストリップ、及び/又はシートは長さ方向に延び、及び/又は斜行している。幾つかの実施例では、隣接したバンド、ストリップ、及び/又はシートの縁部は重なっており、これによってチューブ状構造を形成する。幾つかの実施例では、シース150は、チューブ状構成要素並びに少なくとも一つのバンド、ストリップ、及び/又はシートの両方を含む。これらの実施例の幾つかにおいて、隣接したバンド、ストリップ、及び/又はシートの縁部の少なくとも幾つかは重なっていない。シース150の第1端は外リング110に連結されており、シース150の第2端は内リング130に連結されている。
【0038】
可撓性シース150は、耐磨耗性及び/耐穿刺性の材料でできている。シース150の耐磨耗性及び/耐穿刺性は、鋭い及び/又は先が尖った器具及び/又はプロテーゼデバイスを使用する手順、例えば股関節の手順、股関節置換術、及び脊椎の手順を含む整形外科における手順での開創器100の性能及び信頼性を向上する。これらの手順の幾つかは、チゼル、ドリル、やすり、外科用メス、等の器具を使用して行われる。開創器100の実施例は、この他の種類の手順、例えば関節鏡視下手術、及び場合によっては腹部外科手術で有用である。シース150は、その耐磨耗性及び/耐穿刺性により、体壁及び周囲組織の切開創及び/又は開口部を外科手術で使用される器具による損傷から保護する。シース150の幾つかの実施例は、更に、例えば外部の細菌による、患者の身体から取り出された組織による、一般的には、手術器具及び消耗品による手術箇所の汚染を減少する。
【0039】
シース材料の少なくとも一部の実施例は、FED−STD−101/2065(耐穿刺性及び伸び試験)で少なくとも約16N(3.6ポンド(1.633kg))の耐穿刺性を有する。シース材料の幾つかの実施例の耐穿刺性は、少なくとも約20N(4.5ポンド(2.041kg))、少なくとも約40N(9ポンド(4.082kg))、少なくとも約50N(11ポンド(4.990kg))、少なくとも約60N(13.5ポンド(6.123kg))、又は少なくとも約100N(22.5ポンド(10.206kg))である。
【0040】
例1
ポリエステル編製布及び布の一方の面に積層した50μm(2ミル)のポリウレタン層を含むポリウレタン積層布(PUL−2ミル シーブライト)についての耐穿刺性をFED−STD−101/2065に従って計測した。試験では、3.175mm(0.125インチ)の円形のシャフトを7.6cm×7.6cm(3インチ×3インチ)の布サンプルと毎分7.6cm(毎分3インチ)で接触する。試験を、円形のシャフトを布のポリエステル面と接触させて15個のサンプルについて行い、61.07N(13.73ポンド)の平均耐穿刺性を得た。ポリウレタン側について行った15回の試験の平均耐穿刺性は、53.56N(12.04ポンド)であった。
【0041】
例2
本開創器シースで使用した76μm(4ミル)のポリエーテルポリウレタンフィルム(ペレタン(ペレタン(PELLETHANE)は登録商標である)2363、ルブリゾール)の耐穿刺性を上文中に説明したのと同様に計測した。15回の試験についての平均値は12.46N(2.80ポンド)であった。
【0042】
シースの実施例は、シースに耐磨耗性及び耐穿刺性を与える一つ又はそれ以上の材料で形成されたシート、メンブレン、ファイバ、及び/又はストランドで形成されている。適当なシート、メンブレン、ファイバ、及び/又はストランドは、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマー、金属、セラミック、ガラス、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ、等のうちの少なくとも一つで形成されている。適当な天然ポリマーには、セルロース、絹、等が含まれる。半合成ファイバには、ニトロセルロース、セルロースアセテート、レーヨン、等が含まれる。適当な合成ファイバには、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアミド(ナイロン(ナイロン(NYLON)は登録商標である)、ダクロン(ダクロン(DACRON)は登録商標である))、アラミド(ケブラー(ケブラー(KEVLAR)は登録商標である))、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン(スペクトラ(スペクトラ(SPECTRA)は登録商標である))、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ポリビニリデン、ポリエーテルアミド(ペバックス(ペバックス(PEBAX)は登録商標である))、ポリエーテルウレタン(ペレタン(ペレタン(PELLETHANE)は登録商標である))、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(ジイミダゾピリジニレン−ジヒドロキシフェニレン)(M−5)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキザゾール)(ザイロン(ザイロン(ZYLON)は登録商標である))、液晶ポリマーファイバ(ベクトラン(ベクトラン(VECTRAN)は登録商標である))、等、これらの配合物、コポリマー、積層材料、及び混合物が含まれる。適当な金属には、ステンレス鋼、ばね鋼、ニチノール、超弾性材料、アモルファス金属合金、等が含まれる。
【0043】
図6は、外リング610及び布又は織物で形成されたシース650の一部の詳細図である。幾つかの実施例では、布又は織物は、例えば、織布、不織布、編製布、両面編地布、メッシュ、編み生地、及び編みメッシュ生地のうちの少なくとも一つで形成されている。適当な布は、モノフィラメントファイバ及び/又は糸で形成されている。他の適当な布は、撚り糸及び/又は編み糸で形成されている。適当な糸材料は、前段落に記載してある。布の幾つかの実施例は、ファイバ、例えば織布又はメッシュ布の様々な経糸及び緯糸の組み合わせ、又は編製布又は編み生地の糸の組み合わせを含む。布の幾つかの実施例は、実質的に非伸長性(nondistensible)であるが、他の実施例は伸長性(distensible) である。幾つかの実施例では、布は、手術器具によって不時に刺されたり切られたりすることにより、又は以下に説明するようにシース150を意図的に穿刺することにより損傷を受けた場合、裂け目が拡がるのに抵抗する。このような布の例には、裂け止め布即ちリップストップ布、特定の編み生地、及び編みメッシュ生地が含まれる。幾つかの実施例では、布の配向により、シースに器具を通すときに器具を妨げる欠陥が生じる可能性を減少する。例えば、幾つかの実施例では、布の滑らかな表面がシースの長さ方向軸線に面し、即ちシースの内側に面する。幾つかの実施例では、布は斜行配置されているか或いは、縁がシースの長さ方向軸線とほぼ平行である。適当な布は、リップストップポリアミド(ナイロン(ナイロン(NYLON)は登録商標である)、オックスフォード織りの布、耐磨耗性ポリエステル及び/又はポリアミド布(コンジュラ(コンジュラ(Condura)は登録商標である)、編みモノフィラメント布、等である。
【0044】
シース材料の幾つかの実施例は、布又は織物できた積層材料、例えばコーティングを施した布、積層布、及びポリマーに埋め込んだ布のうちの少なくとも一つを含む。コーティング及び/又は積層体は、布の片面又は両面に配置される。適当なコーティング及び積層材料には、例えばポリウレタン、ポリエーテル、PVC、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、スチレンブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、ポリイソプレン、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、ポリアミド(マイラー(マイラー(MYLAR)は登録商標である)、ポリエーテルブロックアミド(ペバックス(ペバックス(PEBAX)は登録商標である)、ポリエーテルウレタン(ペレタン(ペレタン(PELLETHANE)は登録商標である)のうちのなくとも一つのポリマー、積層材料、配合物、混合物、が含まれる。適当な積層布の一例は、ポリウレタン積層布(PUL)である。コーティング又は積層体の幾つかの実施例は、例えば、貫通した微孔の大きさを制御することによって、シースを通過する透気性及び/又は透湿性を変化する。例えば、透湿性が低いと、拡げた組織の脱水が生じ難く、及び/又は細菌等の病原体に対して障壁を形成する。透気性及び透湿性が高いと、水分が染み込み、及び/又は拡げた組織に酸素を加える。幾つかの材料は、特定の流体に対して選択的に透過性である。例えばPVCの幾つかの実施例は酸素透過性であり且つ非透湿性であり、これによって組織に酸素を提供すると同時に脱水が起こり難くする。コーティング又は層の幾つかの実施例は、抗細菌剤又は抗微生物剤を含む。幾つかの実施例では、抗細菌剤又は抗微生物剤は、表面剤であるか或いは材料と一体化してある。適当な抗細菌剤又は抗微生物剤の例には、イオジン、抗生物質、銀、トリクロサン、殺生物剤、等が含まれる。コーティング又は層の幾つかの実施例は、比較的滑らかな及び/又は低摩擦の表面を提供し、器具がシース150を損傷し難くする。
【0045】
シース150の幾つかの実施例は、ファイバ強化ポリマーフィルム又はメンブレンを含む積層材料でできている。適当なファイバ又はストランドを上文中に論じた。適当なフィルム材料には、上文中にコーティング及び層材料として論じた材料のうちの少なくとも一つの材料が含まれる。幾つかの実施例では、ファイバがポリマーフィルム層間に挟まれている。幾つかの実施例では、ポリマーフィルム層は別に選択される。例えば、幾つかの実施例では、外層は、上文中に論じた望ましい組織接触特性を提供するのに対し、内層は耐穿刺性である。
【0046】
シース150の幾つかの実施例は、複数の層、例えば布層及びポリマーフィルム層を含み、又は布層がポリマーフィルム層間に挟んである。幾つかの実施例では、これらの層は互いに固定されている。他の実施例では、これらの層は独立しており、即ち互いに固定されておらず、例えばポリマーフィルム層及び上文中に論じた複数のストリップ又はバンドを含む層を有する。
【0047】
シース150の幾つかの実施例は、流体不透過性層上に配置された流体透過性層を含み、流体不透過性層は、シース150の内側に配置されている。流体透過性層は創縁と接触し、これにより、使用者は創縁に加圧流体を供給でき、及び/又は 真空を加えることができる。例えば、幾つかの実施例では、酸素、水分、治療剤、及び/又は他の流体を創縁に供給する。幾つかの実施例では、真空を適用することにより出血を促し、これによって組織の壊死を減少する。流体透過性層の実施例は、連続気泡フォーム、不織布、及び編製布のうちの少なくとも一つを含む。
【0048】
他の実施例では、シース150は長さ方向で伸縮性である。幾つかの実施例では、シース150の長さ方向及び周方向の伸縮性が同じであり、即ち伸縮性は等方性である。他の実施例では、シース150の長さ方向及び周方向の伸縮性が異なり、即ち伸縮性は異方性である。例えば、幾つかの実施例では、シース150は、周方向伸縮性が長さ方向伸縮性よりも大きい。
【0049】
他の実施例では、シース150は長さ方向伸縮性はほとんど又は全くない。即ち、シース150は長さ方向で非伸長性である。従って、シース150によって切開創即ち開口部に及ぼされる開創力は、手術中、ほぼ一定のままである。幾つかの実施例では、シース150は、半径方向即ち周方向に膨張できる。例えば、チューブ状シース150の幾つかの実施例は、上文中に論じたように織製材料で形成されている。即ち周方向に即ち長さ方向軸線に対して垂直方向に膨張可能であり、伸縮性がある。幾つかの実施例は、エラストマー製のメンブレン又はフィルム及び長さ方向で非伸縮性のエレメントでできている。例えば、シース150の幾つかの実施例は、上文中に論じたように、エラストマー製のフィルム及び長さ方向に配置された非伸縮性のファイバを含む積層材料でできている。ファイバのため、シース150は長さ方向で非伸縮性であるが、ポリマーフィルムのため、半径方向に膨張できる。非伸縮性長さ方向ストリップ及びエラストマー部材を含むシース150の実施例もまた、長さ方向で非伸縮性であり且つ半径方向で膨張可能である。一つ又はそれ以上の長さ方向スリット及び/又はプリーツを含む非伸縮性チューブでできたシース150の実施例は、長さ方向で非伸縮性であり且つ半径方向で膨張可能である。複数の非伸縮性長さ方向ストリップ又はバンドを含むシース150の実施例もまた、長さ方向で非伸縮性であり且つ半径方向に膨張可能である。
【0050】
幾つかの実施例では、シース150の少なくとも一部が透明である。これによって開創した組織を見ることができる。ポリマー製のメンブレン又はフィルムでできた幾つかの実施例では、ポリマー製のメンブレン又はフィルムは、透明である。
【0051】
幾つかの実施例では、シース150は、遠位部分154と特性が異なる近位部分152を持つ。例えば、幾つかの実施例では、近位部分152の可撓性が遠位部分154よりも高く、これによってシース150を外リング110の周囲に巻き取り易くする。他の実施例では、近位部分152はフック−ループファスナのフック及びループの一方を含み、これによって、以下に論じるフック−ループファスナを使用する実施例に調節自在性を提供する。シース150の幾つかの実施例は、更に、近位部分152と遠位部分154との間に配置された中間部分156を含む。例えば、シースの近位部分152及び遠位部分154の幾つかの実施例は、以下に論じるように歯を形成する外リング110及び内リング130で使用するための耐引裂き性材料でできている。幾つかの実施例では、シースの近位部分152及び遠位部分154は、上文中に説明したように、エラストマー材料でできており、中間部分は長さ方向で非伸長性の材料でできている。
【0052】
図7Aは、上文中に説明した実施例とほぼ同様の開創器700の斜視図であり、
図7Bはその側断面図である。開創器700は、外リング710、内リング730、及びシース750を含む。例示の実施例では、外リング710は内リング730よりも大径である。従って、シース750は全体に截頭円錐形即ち漏斗状であり、外リング710に連結された近位端から内リング730に連結された遠位端までテーパしており、即ち先細になっている。更に、外リング710は、
図1A及び
図1Bに示す実施例の8字形状ではなく、全体に楕円形形状を有する。
図7Cの外リング710及びシース750の詳細図に示すように、シース750は、例示の実施例では、編製布でできている。
【0053】
開創器700の実施例は、身体に開けた比較的小さな開口部を通して内リング730を挿入する手順で有用である。外リング710が比較的大きいため、身体の開口部及び周囲組織の保護が改善される。このような手順の例には、整形外科人工股関節置換術、開膣術(vaginal retraction)、及び開直腸術(rectalretraction)が含まれる。
【0054】
開創器の他の実施例は、上文中に説明した実施例と異なる少なくとも一つの外アンカー部材及び内アンカー部材を含む。
【0055】
図8Aは、上文中に説明した実施例とほぼ同様の開創器800の別の実施例の斜視図を示す。例示の実施例では、外リング810、内リング830、及びシース850は分解してある。例示の開創器800は別々の構成要素として提供され、使用者がこれらの構成要素を組み立てる。例えば、幾つかの実施例では、個々の構成要素を、特定の手順の必要に従ってキットから選択する。例えば、キットの実施例は、様々な直径の外リング810、様々な直径の内リング830、様々な直径のシース850、様々な長さのシース850、様々な材料でできたシース、等を含む。幾つかの実施例では、開創器800は分解可能であり、一つ又はそれ以上の外リング810、内リング830、及びシース850は再使用可能であり、例えばオートクレーブ処理を行うことができる。
【0056】
外リング810は、非円形形状で示してある。例示の実施例では、非円形外リング810の端部をカップラー820を使用して連結する。外リング810は、シース850を外リング810に固定する複数のファスナ812を含む。内リング830もまた、非円形形状で示してあり、周方向に面するピン即ちペグ842をその第1端に備えており、対応する周方向に面する開口部844が第2端に配置されている。内リング830もまた、シース850を内リング830に固定する複数のファスナ832を含む。例示の実施例では、ファスナ812及び832はフックを含み、これらのフックは、シース850を穿刺することによってシース850を外リング810及び内リング830の夫々に固定する。幾つかの実施例では、ファスナ812及び/又は832は曲げることができ、これにより、使用者はシース850を更に固定できる。他の実施例では外リング810及び内リング830の各々は、例えばフック、クリップ、クランプ、ピン、ワイヤ、フック−ループファスナ、紐と鳩目、等のシース850用のファスナを独立して備えている。例えば、幾つかの実施例では、ファスナは、シース850及び外リング810又は内リング830の両方に配置された鳩目に通すワイヤを含む。他の実施例では、外リング810及び/又は内リング830は、シース850を間に捕捉することによってシース850を固定する二つの相互係止リングでできている。幾つかの実施例では、これらの相互係止リングは、スナップ嵌め、ねじ止め、クリップ止め等により、互いに相互係止する。
【0057】
例示の実施例では、内リング830は、自由端を互いに連結するピン及び穴システム842及び844を含む。
図8Bは、内リング830の両端に配置されたピン842及び内リング830の両端に配置された、ピン842と噛み合う対応する穴844を各々備えた複数の区分を含む別の実施例のピン及び穴システムを備えた内リング830の斜視図である。このシステムにより、使用者は内リング830の自由端を連結できる。
【0058】
図8Cは、内リング830の各自由端に配置された半径方向穴844を含むピン及び穴システムを持つ内リング830の別の実施例の斜視図である。これらの穴は、ピン(図示せず)とともに、内リング830の自由端を連結する。上文中に論じたように、開創器800の幾つかの実施例は、ピンを引っ張って外すことによって内リング830を虚脱するのに適した繋ぎ紐を含む。
【0059】
図8A乃至
図8Cに示す実施例と関連して上文中に説明した、外リング810及び内リング830を円形にするための構成と同様の構成を、内リング830及び外リング810の夫々に適用できるということは当業者には理解されよう。
図8Aに示す実施例では、外リング810は、その環状軸線を中心として回転できる。他の実施例では、外リング810は、環状軸線を中心として回転できない。これらの実施例の各々において、シース850には、外リング810に巻き付けることによる張力が加わっていない。その代わり、外リング810の中央を通って延びるアクセスチャンネルの一部にシース850が通してあり、シース850を内リング830から遠位方向に引っ張ることによって張力を加える。張力は、シース850を、例示の実施例においてフックであるファスナ812と係合することによって維持される。
【0060】
図9Aは、下フランジ914、同心の上フランジ916、及びこの上フランジ916から半径方向外方に及び遠位方向に延びる複数のファスナ即ちフック912を含む別の実施例の外リング910の平面図であり、
図9Bはその側面図である。外リング910は、剛性又は半剛性であり、環状軸線を中心として回転できない。使用では、シースの近位端を、外リング910を通って延びるアクセスチャンネル906の一部を通して近位方向外側に通し、近位方向に引っ張り、これによってシースに張力を加え、シースをフック912と係合し、これによってシースに所望の張力を維持する。例示の実施例では、フック912は尖っておらず、シースを貫通しない。他の実施例では、フック912は先が尖っており、シースを貫通する。
【0061】
図10は、外アンカー1010、内アンカー1030、及びシース1050を含む、上文中に説明した実施例と同様の開創器1000の別の実施例の部分側断面図である。例示の実施例では、外アンカー1010は、互いに入れ子になる近位リング1012及び遠位リング1022を含む。入れ子表面1014及び1024は、夫々、截頭円錐形又は楔形状をなしており、遠位直径は近位直径よりも小さい。幾つかの実施例では、入れ子表面1014及び1024の少なくとも一部に段が設けられる。
図10に示すように近位リング1012と遠位リング1022との間にシース1050が配置された状態で、シース1050を遠位方向に引っ張ると、例えば組織を拡げるときにシース1050に張力を加えると、近位リング1012が遠位方向に引っ張られ、これによって近位リング1012の入れ子表面1014が遠位リング1022の入れ子表面1024に着座する。この楔作用により、シース1050を近位リング1012と遠位リング1022との間に係止し、これによって、シース1050がこれ以上遠位方向に移動しないようにする。これとは対照的に、シース1050は、近位方向に移動自在である。これは、シースが近位方向に移動すると、近位リング1012が遠位リング1024に着座した状態から離れるためである。例示の実施例では、シース1050に牽引力又は張力を加えるときに使用者が握り易くするグリップエレメント1052がシース1050の近位端に配置されている。
【0062】
図11Aは、外リング1110、内リング1130、及びシース1150を含む、上文中に説明した実施例とほぼ同様の開創器1100の別の実施例の斜視図である。例示の実施例では、シース1150は、外リング1110と内リング1130との間を延びるチューブ状メンブレン1152及び複数の細長いバンド1160を含む。各バンドは、近位端1162及び遠位端1164を含む。バンド1160の遠位端1164は遠位リング1130に固定されている。近位端1162は、開口部1166を間に形成する複数の横木を含む梯子状区分を含む。近位端1162は、アクセスチャンネル1106及び外リング1110を通って延びる。外リング1110及びバンド1160の近位端1162の詳細図である
図11Bに示すように、外リング1110には、更に、バンド1160の近位端1162の開口部1166と係合することによって外リング1110と内リング1130との間に所望の張力又は開創力を維持する寸法の複数のファスナ又はフック1112が設けられている。外リング1110の幾つかの実施例は、フック1112の数がバンド1160の数よりも多く、これにより各バンド1160を外リング1110に係合する上での融通性を大きくする。
【0063】
図12Aは、上文中に説明した実施例とほぼ同様の、特に
図11A及び
図11Bに示す実施例と同様の開創器1200の実施例の斜視図である。開創器1200は、外リング1210、内リング1230、及びシース1250を含む。シース1250は、例示の実施例では、可撓性メンブレン1252及び近位方向に延びる複数のバンド1260を含む。各バンド1260の遠位端1264は遠位リング1230に固定されている。各バンド1260の近位端1262は、外リング1210の開口部1214を通って延びる。
図12Bの詳細図で最もよくわかるように、バンド1260の近位端1262には、ラチェット表面を形成する複数の横溝1266が設けられている。外リング1210は、開口部1214と並置された爪1212を含む。爪1212はラチェット表面の溝1266と係合する。爪1212の例示の実施例は、更に、溝1266と係合した状態から外すことができる。ラチェット表面及び爪1212の実施例は、ケーブルタイ及びジップタイの対応するエレメントと同様である。溝1266及び爪1212は、係合位置において、バンド1260の所望の位置を維持し、従って、外リング1210及び内リング1230の相対的な位置を維持する。従って、この機構により、使用者は外リング1210及び内リング1230の相対的な位置を調節でき、維持でき、従って、開創された組織にバンド1260で所望の張力を加えることができる。
【0064】
例えば、外リングの適当な寸法のノッチと係合する複数の拡大部分即ちビード状部分がバンドに設けられた同様の実施例、又はバンド及び外リングが相補的フック−ループファスナを持つ同様の実施例に同様の原理を適用できるということは当業者には理解されよう。他の実施例では、バンドは、外リング及び内リングの開口部を交互に通過し、例えば互いに結ぶことによって、解くことによって係止できる紐、クランプ、クリップ、楔、等である。
【0065】
図14の平面図に示す実施例では、内リング1430は直径が調節自在である。例示の実施例では、内リング1430は、内腔1434を形成する細長いチューブ状本体1432を含む。本体1432は、第1端1436、第2端1438、及び内腔1434に続く、第1端1436にある開口部1440を含む。細長いシャフト1442が本体1432の第2端1438から延びている。例示の実施例では、内腔1434及び開口部1440の断面は同じ寸法を有する。シャフト1442は、開口部1440を通して内腔1434内に受け入れられ、これによってリングを形成する寸法を有する。シャフト1442を本体1432に入れたり出したりすることによって、内リング1430の寸法を調節する。
【0066】
図15に断面で示す内リング1530の実施例では、本体1532はC字形状であり、適当な寸法のシャフト1542を受け入れるチャンネル1534を形成する。
上述の内リングの幾つかの実施例では、シャフトは本体内に選択的に係止できる。これは、例えばラチェット及び爪を使用して、開口部及び/又は内腔/チャンネルを潰すことによって、ロックナットによって、ロックリングによって、摩擦によって、又はその他の方法によって行われる。
図14に示す実施例では、内リング1430の平面図はほぼ円形である。他の実施例では、内リングは、上文中に説明した別の形状を有する。他の実施例は、複数の本体及びシャフトを含む。幾つかの実施例では、本体は二つの端部を持つ本体であり、即ち本体の各端は、シャフトを入れ子式に受け入れる寸法を備えている。シャフトもまた二つの端部を持つシャフトであり、即ちシャフトの各端を本体に挿入できる。外リングの幾つかの実施例は調節を同様に行うことができる。
【0067】
図16に斜視図で示す実施例では、内アンカー1630は、シース1650の遠位端1654の周囲に配置された複数のフック1632を含む。これらのフック1632は、組織に挿入されたとき、シース1650の遠位端1654を固定する。例示の実施例では、二つのフック1632が一つのアンカーユニットで組み合わせられている。他の実施例は、各アンカーユニットで個々のフック1632を使用し、複数のフック1632を使用し、これらの組み合わせを使用する。外アンカーの実施例にも同様のフックが設けられる。
【0068】
外アンカーの幾つかの実施例は接着剤を含む。これらの実施例では、シース150(
図1A参照)の近位部分152は、例えば感圧接着剤、紫外線硬化接着剤、二液型接着剤、等のうちの少なくとも一つを使用して患者の皮膚に接着されているだけである。
【0069】
図17A乃至
図17Cは、外リング1710、内リング1730、及びシース1750を含む、上文中に論じた実施例と同様の開創器1700の実施例を示す。例示の実施例では、シース1750は、例えばオートクレーブ処理可能なステンレス鋼、ニチノール、チタニウム、等の金属製のファイバ及び/又はストランドでできている。
図17Aに示すシース1750の実施例は、例えば鎖帷子と同様のリンクしたループ1752で形成されたメッシュでできている。他の実施例では、シース1750は相互にリンクしていないが、例えば隣接したループを通って延びるねじやワイヤで長さ方向に、周方向に、斜め方向に、又はこれらの組み合わせで接合されている。
図17Bの実施例では、シース1750は、編製ワイヤでできている。
図17Cに示す開創器1700の実施例では、シース1750は複数のチェーン1752を含み、これらのチェーンは、上文中に論じたバンド、ストリップ、及び/又はシートの一実施例である。例示の実施例では、外リング1710は、
図8A、
図9A、及び
図11Aに示す実施例と同様である。幾つかの実施例では、シース1750は、使用時に金属製構成要の周囲に配置されるポリマーフィルムを更に有する。これによって、切開創又は創部を上文中に論じたように保護する。
図17A乃至
図17Cに示すシース1750又はその部分の実施例では、金属製構成要素に、例えばエンジニアリングプラスチック、セラミック、ファイバ強化積層材料等の別の材料を付け加えてもよく、こうした材料に代えてもよい。
【0070】
図13は、外リング1310、内リング1330、及びチューブ状シース1350、及び更にシールド1370を含む、上文中に説明した実施例と同様の開創器1300の一実施例の分解図である。シールド1370は、アクセスチャンネル1306に挿入されるような寸法を備えている。このシールドは、近位半径方向フランジ1372及びこのフランジ1372の開口部1374から遠位方向に延びるチューブ状部分1380を含む。例示の実施例では、チューブ状部分1380は、狭幅の隙間1384を間に形成する複数の細長いフィンガ1382を含む。他の実施例では、チューブ状部分は形状が異なり、例えば互いに重なったフィンガ、チューブ、等を有する。例示の実施例では、フィンガ1382は先細になっている。他の実施例では、フィンガは先細になっておらず、例えば全体に平行であり、又は末広がりになっている。幾つかの実施例では、フィンガ1382の遠位端は末広がりになっており、これによって、引き出し時に器具を差し向ける漏斗を形成する。
【0071】
フランジ1372は、外リング1310によって支持される寸法を有するか或いは、例示の実施例にように、切開創即ち開口部の周囲の組織(皮膚)によって支持される寸法を有する。開口部1374は、手順で考えられる最大の器具を受け入れる寸法を有する。フランジ1372は、更に、このフランジが配置されるシース1350の一部であり、組織の下にある。例示の実施例では、フランジ1372は、更に、器具をチューブ状部分1380に挿入するための漏斗を形成する。
【0072】
シールド1370は、単一のアッセンブリとして製造されるか或いは、多数の構成要素として製造され、最終製品に組み立てられる。シールド1370の例示の実施例は、可撓性又は半剛性のフィンガ1382を含む。フランジ1372は、剛性、半剛性、又は可撓性である。シールド1370は、適当には、シースに適していると上文中に説明した材料でできている。幾つかの実施例では、シールド1370はポリマーで形成されている。幾つかの実施例では、チューブ状部分1380の内面は平滑である。
【0073】
使用時には、以下に説明するように開創器1300を使用し、切開創即ち開口部を拡げる。次いで、開創器1300の近位端1302を通してシールド1370をアクセスチャンネル1306に挿入する。シールド1370は、シース1350に対し、及び従って拡げた組織に対し、追加の保護を提供する。手順で追加の空間が必要となった場合、又は手順が組織を傷つける危険が小さい場合には、シールド1370を取り外してもよい。
【0074】
図1A及び
図1Bに示す開創器100の実施例を参照し、体壁を拡げるための方法を説明するが、この方法は、本明細書中に説明した実施例のいずれにも適用できる。
【0075】
体壁に形成した切開創、創部、又は開口部を通して内アンカー即ち内リング130を挿入する。幾つかの実施例では、挿入前に内リング130を折り畳む又は虚脱することによって、内リング130の挿入を容易にする。挿入後、上文中に説明したように、内リング130を体内の組織内で拡げ、膨張し、又は展開する。この工程を完了したとき、内リング130は体内に配置されており、シース150は切開創の外に延びており、外アンカー即ち外リング150は体外に配置されている。
【0076】
次いで、シース150の遠位端152を使用者に向かって引っ張ることによってシース150に張力を加える。次いで外アンカー110を展開する。例示の実施例では、外アンカーの展開は、環状軸線を中心として外リング110を回転することによってシース150を外リング110に巻き付け、内リング130と外リング110との間のシース150の長さを短くする。上文中に論じたように、外リング110は二つの方向に回転でき、即ちロールイン即ち内返し及びロールアウト即ち外返しを行うことができる。いずれかの回転方向により、シース150を効果的に巻き付ける。上文中に論じたように、幾つかの実施例では、一方の方向が他方の方向よりも好ましい。回転し続けると、外リング110が体壁の外面と接触すると同時に内リング130が体壁の内面と接触する。回転し続けると、外リング110がシース150に所望の張力を発生し、これによって、切開創を拡げる。外リング110の回転は、所望の開創度で停止される。
【0077】
上文中に論じたように、環状軸線を中心とした外リング110の回転は、とびとびの工程で又は漸次増分で行われる。例示の実施例では、外リング110は均衡位置即ち戻り止め位置が180°離れている。これらの均衡位置即ち戻り止め位置では、外リング110は、環状軸線を中心とした回転に抵抗する。従って、外リング110は、シース150の開創張力の作用で巻き解かれることに抵抗する。
【0078】
開創器による開創を停止する、又は開創器を解放する場合には、外リング110の回転方向を逆にすることによってシース150を外リング110から巻き解き、これによって、シース150から張力を解放する。次いで、内リング130を体腔から取り出す。上文中に論じたように、幾つかの実施例では、内リング130を体腔内で折り畳み又は虚脱し、これによって、取り出しを容易にする。上文中に論じたように、幾つかの実施例では、内リング130を取り出す工程には、内リング130に固定された繋ぎ紐を引っ張る工程が含まれる。
【0079】
特定の実施例を、その例示の実施例を参照して図示し且つ説明したが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変型及び変更を行ってもよいということは当業者には理解されよう。