特許第6247036号(P6247036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247036
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】発信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G08B17/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-145738(P2013-145738)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-18445(P2015-18445A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 実
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−165114(JP,A)
【文献】 特開2001−256865(JP,A)
【文献】 特開2009−301115(JP,A)
【文献】 特開2007−257107(JP,A)
【文献】 特開平09−281913(JP,A)
【文献】 特開2001−014570(JP,A)
【文献】 実開昭55−014880(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00− 9/20
17/00−31/00
H01H 9/00− 9/28
13/00−13/88
89/00−89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材と、
前記カバー部材の背後に設けられた本体と、
前記本体に組み込まれ、前記カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
前記カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて、
前記位置表示灯は、前記表示部位前記カバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を前記表示部位の背後に備え、
前記リング状の表示部位は、表示面全体が外周側に対し内周側を外方に僅かに突出した傾斜の略円錐面状に形成されたことを特徴とする発信機。
【請求項2】
カバー部材と、
前記カバー部材の背後に設けられた本体と、
前記本体に組み込まれ、前記カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
前記カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて
前記位置表示灯は、前記表示部位が前記カバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を前記表示部位の背後に備え、
前記リング状の表示部位は、表示面全体が外周側に対し内周側を外方に僅かに突出した傾斜の略湾曲面状に形成されたことを特徴とする発信機。
【請求項3】
カバー部材と、
前記カバー部材の背後に設けられた本体と、
前記本体に組み込まれ、前記カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
前記カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて
前記位置表示灯は、前記表示部位が前記カバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を前記表示部位の背後に備え、
前記リング状の表示部位は、発信機を設置状態で正面から見て上側及び下側の少なくとも一方を含む1又は複数箇所で分割されたことを特徴とする発信機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の発信機に於いて、
前記リング状の表示部位は拡散部材であり、
前記光源は、前記リング状の表示部位の背後となる本体側に複数の発光素子配置され、前記拡散部材を背光照明して面発光させることを特徴とする発信機。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の発信機に於いて、
前記リング状の表示部位は拡散部材であり、
前記光源は、前記本体側に配置された複数の発光素子からの光をライトガイド部材により前記拡散部材に導入して面発光させることを特徴とする発信機。
【請求項6】
カバー部材と、
前記カバー部材の背後に設けられた本体と、
前記本体に組み込まれ、前記カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
前記カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて、
前記位置表示灯は、前記表示部位が前記カバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を前記表示部位の背後に備え、
前記リング状の表示部位は拡散部材であり、
前記光源は、テープ状のフレキシブルプリント基板に複数の発光素子その発光面をテープ長手方向に直交する横方向に向けて実装された発光テープ部材が、前記発光素子の発光面を前記拡散部材に向けて円筒状に配置され、前記拡散部材を背光照明して面発光させることを特徴とする発信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災機器用収容箱や壁面等に取り付けられ、火災時などに操作して異常発生を知らせる発信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防災設備の発信機は、防災機器用収容箱、消火栓箱や壁面などに取り付けられ、発信機の本体側に押釦スイッチを設け、カバー側に配置した保護板を押し込むことにより押釦スイッチをオン操作し、受信機へ火災通報信号を送信して警報させる。消火栓箱には、防災機器として発信機、位置表示灯など収容し、防災機器収容箱には、これに加えて音響孔を前面のカバープレート側に設け、本体側にベルを収納している。
【0003】
位置表示灯は赤色表示灯を使用し、常時点灯して防災機器用収容箱の位置を示して、非常の際に周囲の人に発信機の場所を認識させる。受信機は発信機からの火災通報信号を受信して火災警報を出力した場合、防災機器収容箱は発信機に地区音響信号を送出し、これにより防災機器用収容箱のベルを鳴動して火災警報音を出力させる(特許文献1)。消火栓箱や壁面に発信機が取り付けられるときも同様に、発信機等の防災機器の位置を建物利用者に認識させるための位置表示灯とセットで設置される。
【0004】
ところで、このような発信機等が設置されるときは各防災機器をセットとして設置するスペースを確保する必要があるが、近年、この設置スペースを低減するため、防災機器用収容箱を小型化するために位置表示灯を廃止し、発信機に位置表示灯を一体に設けることが提案されている。位置表示灯を一体に設けた発信機にあっては、発信機に設けた押釦スイッチの周囲を取り囲むように位置表示灯を配置したものが提案されている(特許文献2)。この押釦スイッチの周囲を囲むように設けた位置表示灯は、複数のLEDを分布配置したり、シート状発光部材を発信機の正面に配置して面状に発光している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−102085号公報
【特許文献2】実開平5−66794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の押釦スイッチの周囲を取り囲むようにシート状発光部材を発信機正面に配置した位置表示灯を備えた発信機を防災機器用収容箱に取り付けた場合、シート状発光部材の発光面は機器収納箱のカバープレート面と面一になることから、防災機器収容箱を横方向から見た場合に位置表示灯の視認性が低下する問題がある。
【0007】
この問題を解決するためには、従来の独立して設けていた位置表示灯のように、防災機器用収容箱の取付面から発光面が外側に突出するように発信機を取り付ければ良いが、突出した分、防災機器用収容箱の設置スペースが増加することになる。
【0008】
また、押釦スイッチの周囲を取り囲むようにシート状発光部材を発信機の正面に配置することで、位置表示灯としての表示面積を最大にすることが可能であるが、光源からの光を入射して面発光するシート状発光部材を、必要な輝度で均一に発光させるためには、例えば光源としてLEDを使用した場合、多数のLEDをシート状発光部材の背後に分布配置する必要があり、構造が複雑化してコストアップになり、消費電力が増大する問題がある。
【0009】
また、発信機の本体内部には、扉でカバーされた電話ジャックを設けたものがあり、この場合には、発信機表面の電話ジャックの扉及び押釦スイッチの保護板の周囲を取り囲むようにシート状発光部材を発信機の正面に配置することになり、表示面積が小さくなると共に、シート状発光部材の形状が複雑となり、これに合せたLEDの分布配置は複雑化する問題がある。
【0010】
本発明は、横方向からの視認性を損なわず且つ防災機器用収容箱の設置スペースを増加せず、更に、発信機表面カバーの露出面を有効に活用した表示部位を持つ位置表示灯を備えた発信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発信機
本発明は、
カバー部材と、
カバー部材の背後に設けられた本体と、
本体に組み込まれ、カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて、
位置表示灯は、表示部位カバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を表示部位の背後に備え、
リング状の表示部位は、表示面全体が外周側に対し内周側を外方に僅かに突出した傾斜の略円錐面状に形成されたことを特徴とする。
【0012】
発信機2
また、本発明は、
カバー部材と、
カバー部材の背後に設けられた本体と、
本体に組み込まれ、カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて、
位置表示灯は、表示部位がカバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を表示部位の背後に備え、
リング状の表示部位は、表示面全体が外周側に対し内周側を外方に僅かに突出した傾斜の略湾曲面状に形成されたことを特徴とする。
【0013】
発信機3
また、本発明は、
カバー部材と、
カバー部材の背後に設けられた本体と、
本体に組み込まれ、カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて、
位置表示灯は、表示部位がカバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を表示部位の背後に備え、
リング状の表示部位は、発信機を設置状態で正面から見て上側及び下側の少なくとも一方を含む1又は複数箇所で分割されたことを特徴とする。
【0014】
(リング状表示部位の分割)
リング状の表示部位は、発信機を設置状態で正面から見て上下となる2箇所、左右となる2箇所、又は上下左右となる4箇所で分割された分割表示部位リング状に連設される。
【0015】
(拡散部材と光源)
リング状の表示部位は拡散部材であり、光源は、リング状の表示部位の背後となる本体側に複数の発光素子配置され、拡散部材を背光照明して面発光させる。
【0016】
リング状の表示部位は拡散部材であり、光源は、本体側に配置された複数の発光素子からの光をライトガイド部材により拡散部材に導入して面発光させる。
【0017】
(発信機4)
また、本発明は、
カバー部材と、
カバー部材の背後に設けられた本体と、
本体に組み込まれ、カバー部材の略中央部に配置された保護板の押し込みによりオン操作される押釦スイッチと、
カバー部材の露出面に表示部位を有する位置表示灯と、
を備えた発信機に於いて、
位置表示灯は、表示部位がカバー露出面の外周側にリング状に配置されると共に、当該リング状の表示部位全体を発光させる光源を表示部位の背後に備え、
リング状の表示部位は拡散部材であり
光源は、テープ状のフレキシブルプリント基板に複数の発光素子その発光面をテープ長手方向に直交する横方向に向けて実装された発光テープ部材が、発光素子の発光面を拡散部材に向けて円筒状に配置され、拡散部材を背光照明して面発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
(基本的な効果)
本発明の発信機によれば、位置表示灯として、表示部位をカバー露出面の中央部を除く外周側にリング状に配置し、表示部位の裏側から光源を発光してリング状の表示部位を略均一に面発光させるようにしたため、位置表示灯の表示部位はカバー露出面の中央部を除く外周側にリング状に配置していることから、カバー露出面の中央部に設ける押釦スイッチの保護板などと干渉することがなく、カバー露出面の空き面積を最大限に生かした表示部位とすることで十分な発光面積により視認性を確保することを可能とする。
【0019】
また、位置表示灯のリング状の表示部位は、外周側に対し内周側を前方に僅かに飛び出
した傾斜表示面又は湾曲表示面を持つように形成したため、この傾斜表示面又は湾曲表示
面の発光により側方からの視認性を高めることを可能とし、また、外側への突出量を必要
最小限に抑えることで、防災機器用収容箱の設置スペースの増加を回避可能とする。
【0020】
(リング状表示部位の分割による効果)
リング状の表示部位は、1又は複数に分割した分割表示部位、例えば防災機器収容箱に取り付けた場合に上下となる2箇所、左右となる2箇所、又は上下左右となる4箇所で分割した分割表示部位をリング状に連設するようにしたため、例えば発信機の水抜き構造等を設けた部分を避けて、実質的にリング状となるように、表示部位を配置することが簡単にできる。
【0021】
(拡散部材と光源による効果)
リング状の表示部位は拡散部材であり、光源は、リング状の拡散部材の背後となる本体側に複数の発光素子を配置して拡散部材を背光照明して面発光させるようにしたため、例えば発光素子としてLEDを使用する場合、拡散部材の背後でリング方向にLEDを所定間隔で複数配置すればよく、中央部の押釦スイッチや電話ジャックの配置スペースと干渉することなく複数のLEDを配置することを可能とする。
【0022】
また、光源は、本体側に配置した複数の発光素子からの光をライトガイド部材により導光板に導入して発光させるようにすることで損失を低減し、使用するLEDなどの発光素子の数を低減可能とする。
【0023】
また、テープ状のフレキシブルプリント基板に複数の発光素子をその発光面をテープ長手方向に直交する横方向に向けて配置した発光テープ部材を、リング状の拡散部材に対応して円筒形に形成して配置することで、リング状の拡散部材に対応した複数の発光素子の組込みが簡単な構造で容易にできることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の発信機を備えた防災機器収容箱を示した説明図
図2】発信機の実施形態を示した説明図
図3図2の内部構造を示した断面図
図4】位置表示灯にライトガイドを使用した発信機の他の実施形態を示した説明図
図5】位置表示灯にLEDテープを使用した発信機の他の実施形態を示した説明図
図6図5のLEDテープを取り出して示した説明図
図7】一箇所で分離したリング状の表示部位をもつ位置表示灯を設けた発信機の他の実施形態を示した説明図
図8】リングの上下左右の4箇所で分割した分割表示部位を持つ位置表示灯を設けた発信機の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
[防災機器収容箱]
図1は本発明による発信機を備えた防災機器収容箱を示した説明図である。図1に示すように、防災機器収容箱10は例えば板金加工等により作られたカバー付きのボックスであり、壁面に埋め込まれるか、又は壁面に取り付けられる。防災機器収容箱10の正面のカバープレート10aには、本発明による赤色に着色した発信機12を設けると共にその下に音響孔14を形成し、音響孔14の背後となるボックス内に収納している本体プレート(図示せず)にベル、ブザーなどの音響装置を収納している。
【0026】
発信機12は、その中央に、内蔵した押釦スイッチをオン操作するため透明アクリル板等を用いた保護板22と、内部に電話ジャックを配置した保守扉28を設け、周囲にリング状の表示部位をもつ位置表示灯30を設けている。
【0027】
発信機12は、防災機器収容箱10の正面のカバープレート10aに形成した取付穴に内側から組み込まれ、カバーの表側の取付面と発信機12の表面が略面一となるように取り付けている。
【0028】
[発信機の実施形態]
(発信機の構成)
図2図1防災機器収容箱に設けた発信機を取り出してその実施形態を示した説明図であり、図2(A)に正面を示し、図2(B)に側面を示しており、また図3は発信機の内部構造を防災機器収容箱に対する取付け状態と合せて示した断面図である。
【0029】
図2及び図3に示すように、発信機12は、カバー部材16、本体18及び裏蓋20で構成され、本体18の背後に固定した裏蓋20の取付部20aを、防災機器収容箱10の内部に設けた本体プレート10bにネジ止めなどで固定し、カバー部材16を機器収容箱のカバープレート10aに形成した取付穴に内側から組み込み、カバー部材16の露出面をカバープレート10aの表面と略面一となるようにしている。なお、発信機12の防災機器収容箱10に対する取付構造は、これ以外にも、適宜の構造とすることができる。
【0030】
カバー部材16は嵌合爪16aを本体18に嵌合することで固定される。本体18は内部に回路基板24を収納しており、回路基板24にスイッチノブ26aを備えた押釦スイッチ26及び位置表示灯30の光源として使用する複数のLED36を実装している。本体18の図示で上部外側の4箇所には位置決め片18aが形成され、防災機器収容箱10のカバープレート10aの裏面に当接して取付け位置を決めている。
【0031】
カバー部材16には位置表示灯30が設けられる。位置表示灯30は、カバー部材16の露出面(表面)の中央部を除く外周側に一対の表示部位32をリング状に配置している。即ち表示部位32はリングを左右に2分割した分割表示部位となる。
【0032】
表示部位32には赤色に発光する拡散部材を使用している。拡散部材はLEDなどの点光源からの光を入射して面発光に変換する部材である。表示部位32となる拡散部材の背後にはLED収納部34が形成され、そこに回路基板24に実装した複数のLED36をリング状に所定間隔で配置し、LED32の背光照明による光を拡散部材を用いた表示部位32に入射して位置表示灯30全面を略均一に赤色に発光させる。
【0033】
また表示部位32の表示面は、外周側に対し内周側を僅かに前方に突出した傾斜表示面32aに形成しており、この傾斜表示面32aにより横方向から位置表示灯30を見た場合の視認性を高めるようにしている。傾斜表示面32aの傾斜度合は、防災機器収容箱10のカバー表面からの突出寸法が例えば数ミリメートルを超えない範囲で適宜の角度に定めれば良い。なお、傾斜表示面32aの代わりに湾曲表示面としても良い。
【0034】
(位置表示灯の視認性)
図2及び図3に示した発信機12の位置表示灯30は、図1の機器収容箱10を警戒区域の壁面に例えば埋込設置した状態で常時点灯して赤色に発光しており、発信機12の設置場所を遠方からでも容易に視認可能としている。この場合、位置表示灯30の拡散部材を使用した表示部位32は、カバー部材16の外周に沿って左右に2分割したリング状の部材として配置されており、LED36からの光を入射してリング状に発光し、遠方から見た場合、発信機12の前面となる露出面全体が均一に光る十分に広い面積の面発光として見え、従来設けていた専用の位置表示灯と比較しても、同等又はそれ以上の視認性を確保することが可能となる。
【0035】
また、表示部位32は外側に僅かに傾斜した傾斜表示面32aを形成しているため、この傾斜表示面32aにより斜め横方向へ向けた面発光となり、発信機12を斜め横方向から見た場合に十分な視認性を更に確保することを可能とする。
【0036】
また、発信機12に設けた位置表示灯30は、防災機器収容箱のカバープレート表面から数センチ程度突出して設けている従来の専用の位置表示灯に比べ、防災機器収容箱のカバー表面と略面一となって突出量は略無視できる程度に小さく、防災機器収容箱に位置表示灯30を備えた発信機12を取り付けても、設置スペースを増加させることはなく、特に、防災機器収容箱を壁面に埋込み設置している場合に、位置表示灯30を備えた発信機12が前方に飛び出すことがない。
【0037】
[ライトガイドを用いた他の実施形態]
図4は位置表示灯にライトガイドを使用した発信機の他の実施形態を示した説明図であり、図4(A)に正面を示し、図4(B)に側面を示している。
【0038】
図4に示すように、この実施形態にあっては、カバー部材16にリング状に配置した表示部位32の背後のLED収納部34にライトガイド40を配置し、LED36からの光をライトガイド40を通して導光部材を用いた表示部位32に入射して全面を均一に赤色に光るようにしている。ライトガイド40は例えば円柱形の透光部材の外周に反射層を形成した構造であり、LED36からの光を周囲に拡散されることなく軸方向に低損失で伝播して表示部位32に入射させる。またライトガイド40としては、複数本の光ファイバを束ねたものを使用してもよい。
【0039】
このようにLED36からの光を、ライドガイド40を通して拡散部材を用いた表示部位32に入射することで、入射する光量の損失を低減することができ、その結果、例えば図2及び図3の実施形態に比べ、使用するLED36の数を少なくすることができる。それ以外の構成は図2及び図3の実施形態と同じになることから、その説明を省略する。
【0040】
[LEDテープを光源に用いた他の実施形態]
図5は位置表示灯の光源にLEDテープを使用した発信機の他の実施形態を示した説明図であり、図5(A)に正面を示し、図5(B)に側面を示し、図6はLEDテープを取り出して示した説明図であり、図6(A)に平面を示し、図6(B)に側面を示している。
【0041】
図5及び図6に示すように、この実施形態にあっては、発信機12に設けた位置表示灯30の光源としてLEDテープ41を使用している。
【0042】
LEDテープ41は発光テープ部材として機能し、図6に示すように、テープ状のフレキシブルプリント基板(FPC)42に複数のLEDチップ44を所定の間隔で実装している。本実施形態の場合、テープ状のフレキシブルプリント基板42の図示外側上部にLEDチップ44を所定間隔で配置している。LEDチップ44は微小な箱型のチップであり、中央に発光面46を図示上向きに設け、その両側に電極48を備え、電極48をフレキシブルプリント基板42に形成した回路パターンにハンダ付け固定している。また、防水性を確保するため、LEDテープ41全体に透明樹脂材料によるコーティングを施しても良い。またLEDテープ41は、図5に示すリング状の導光部材を用いた表示部位32に対応して円筒形に形成している。
【0043】
図6に示すように、円筒形に形成したLEDテープ41は、本体18のLED収納部34に収納され、フレキシブルプリント基板42は回路基板24にハンダ付けで実装され、LEDチップ44はその上側の発光面46を上部に位置する位置表示灯30の拡散部材を用いた表示部位32に向けて配置し、背光照明による光を入射して全面を均一に赤色に光らせるようしている。
【0044】
このようなLEDテープ41を光源に使用することで、多数のLEDチップをリング状の表示部位32に合せて簡単な構造で配置でき、コストも低減できる。
【0045】
[リング状の表示部位]
図7図8はリング形状の位置表示灯の他の実施形態を示した説明図である。図7は、下側の一箇所で分離したリング状の表示部位32をもつ位置表示灯30を設けた発信機12の実施形態を示した説明図であり、分離箇所が1箇所であることから、その分、表示面積を図2の実施形態より大きくすることができ、位置表示灯30の視認性を向上することができる。なお、表示部位32の分割箇所を発信機12の下側としているのは、その内部に水抜き構造(図示せず)を設けて、発信機12のカバー部材16と本体18の間に入った水が表示部位32の分割箇所から下方へ排水するための排水路を形成している。
【0046】
図8は、上下左右の4箇所でリング状に分割した表示部位32を持つ位置表示灯30を設けた発信機12の他の実施形態を示した説明図であり、4箇所で分割した分、表示面積は低下するが、発信機12の左右方向から位置表示灯の視認性は十分確保できる。LEDの発光量を増やすことで、十分な視認性を確保することもできる。また、拡散部材を用いた表示部位32が4分割されることで、それぞれのサイズを小さくでき、製造時の撓みなどによる変形が少なくなり、カバー部材16に対する合成射出や取付配置などによる一体化が簡単になる。また、表示部位32を4分割してリング状に配置したことで、デザイン的に見栄えをよくすることもできる。
【0047】
なお、表示部位32の分割は、これ以外に、横2分割、3分割など必要に応じて適宜に分割してもよい。また、分割せずに完全なリング状としても良い。表示部位を完全なリング状とした場合、その下側の内部には水抜き構造を設けるため、水抜き構造の部分を避けてLEDを配置すれば良い。
【0048】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、防災機器収容箱に取り付けて使用する発信機を例にとるものであったが、単独で壁面等に設置する発信機或いは消火栓装置に設置する発信機についても、同様な位置表示灯を一体に設けることができる。

【0049】
また、上記の実施形態にあっては、位置表示灯の表示部位に拡散部材を使用しているが、導光部材を使用しても良い。導光部材は、例えばアクリル製の導光板の裏面に反射ドットを印刷しており、導光板のエッジから入射した光をアクリルの全反射を用いてアクリル全面に導き、反射ドットに当たった光がその進路を変え、全反射角よりも小さい角度になった光がアクリル前面から出てくることを利用して、導光板全面を均一に赤く光るようにする。
【0050】
また、上記の実施形態は、リング状の表示部位は、外周側に対し内周側を外方に僅かに突出した傾斜表示面又は湾曲表示面を持つように形成しているが、これに限らず、突出しない平面板でもよく、一般人が斜め横から発信機の位置を視認できる形状であれば良い。例えば、図2のような上下方向に連続発光する表示部位が2本ある構成では、左右から十分な視認性を得ることができる。
【0051】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0052】
12:発信機
16:カバー部材
18:本体
22:保護板
26:押釦スイッチ
28:保守扉
30:位置表示灯
32:表示部位
32a:傾斜表示面
34:LED収納部
36:LED
40:ライトガイド
41:LEDテープ
42:フレキシブルプリント基板
44:LEDチップ
46:発光面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8