特許第6247043号(P6247043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247043
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】化粧料及び皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20171204BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20171204BHJP
   A61K 8/9706 20170101ALI20171204BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20171204BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/34
   A61K8/36
   A61K8/9706
   A61Q19/00
   A61Q1/02
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-159919(P2013-159919)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-30687(P2015-30687A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年3月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】黒木 純子
(72)【発明者】
【氏名】中村 理恵
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/145344(WO,A1)
【文献】 特開2004−123575(JP,A)
【文献】 特開2009−046517(JP,A)
【文献】 特開2013−071919(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/065643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)アクリル酸ポリマー
(B)ポリビニルピロリドン
(C)25℃で液状の高級アルコール、並びに25℃で液状の高級脂肪酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のもの
を含有し、前記成分(A)及び前記成分(B)の含有質量割合が、(A)/(B)=0.001〜0.5である化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項2】
成分(A)が、ポリアクリル酸金属塩である請求項1記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項3】
さらに、成分(D)海藻抽出物を含有する請求項1又は2記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項4】
曳糸性が3cm以上である又はアクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制される請求項1〜3の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項5】
肌に塗布又は接触させる請求項1〜4の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【請求項6】
アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンとを撹拌することを含む、
次の成分(A)〜(C);
(A)アクリル酸ポリマー
(B)ポリビニルピロリドン
(C)25℃で液状の高級アルコール、並びに25℃で液状の高級脂肪酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のもの、
を含有し、前記成分(A)及び前記成分(B)の含有質量割合が、(A)/(B)=0.001〜0.5である、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制される化粧料又は皮膚外用剤の製造方法。
【請求項7】
さらに、成分(D)海藻抽出物を含有する請求項6記載の化粧料又は皮膚外用剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料、皮膚外用剤、当該皮膚外用剤の製造方法及びアクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアクリル酸又はその塩は、少量の配合においても曳糸性を有し、みずみずしい使用感で肌にハリ感を与えることができるため、そのような効果を期待した化粧料又は皮膚外用剤が提案されている。しかしながら、アクリル酸ポリマー又はその塩は、肌へのなじみが悪く、乾いた際に肌にべたつきと特有の膜感を与えるため使用感が悪く、またせん断力に対する曳糸性の強度が弱く、また曳糸性の経時安定性が悪いという欠点が知られている。
特許文献1には、ポリアクリル酸ナトリウムの曳糸性を利用し、(A)ロウ類:1.0〜30.0重量%、(B)曳糸性のある水溶性高分子0.01〜2.0重量%、(C)流動油分:1.0〜30.0重量%、(D)水:30.0〜60.0重量%を必須成分とし、前記成分(B)がポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする整髪料が、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−45546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アクリル酸ポリマーを撹拌すると、アクリル酸ポリマーの曳糸性が急激に低下するので、製品にアクリル酸ポリマー特有の曳糸性をうまく付与できない。一方で、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下を考慮して大量のアクリル酸ポリマーを使用すると、製品に不快なぬるつき感が生じ、使用感が悪くなる。このように、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制された化粧料又は皮膚外用剤について研究開発が十分とは言えない。
そこで、本発明はアクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制された化粧料及び皮膚外用剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討した結果、全く意外にも、ポリビニルピロリドンを使用することで、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。さらに、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制できたことから、アクリル酸ポリマー特有の曳糸性を利用したマッサージが行いやすい製品を提供できることを見出した。
成分(A)アクリル酸ポリマー及び成分(B)ポリビニルピロリドンに、さらに成分(C)25℃で液状の高級アルコール、並びに25℃で液状の高級脂肪酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のものを含有させることで、曳糸性によるすべり感と滑らかさに加えて、ぬるつきがなく、エモリエント感に優れた製品を得ることができた。
【0006】
すなわち、本発明は、次の(A)〜(B);(A)アクリル酸ポリマー及び(B)ポリビニルピロリドン;を含有する化粧料又は皮膚外用剤を提供するものである。
本発明は、さらに、成分(C)25℃で液状の高級アルコール、並びに25℃で液状の高級脂肪酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のものを含有してもよい。
本発明は、さらに、成分(D)海藻抽出物を含有してもよい。
本発明は、前記成分(A)と成分(B)とを撹拌混合して得られるものでもよい。
本発明は、肌に塗布又は接触させる化粧料又は皮膚外用剤であってもよい。
【0007】
本発明は、アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンとを撹拌することを含む、化粧料又は皮膚外用剤の製造方法を提供するものである。
本発明は、ポリビニルピロリドンを有効成分とするアクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤を提供するものである。
本発明は、アクリル酸ポリマーの曳糸性低下を抑制するためのポリビニルピロリドンの使用を提供するものである。
本発明は、アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンとを混合することで、化粧料又は皮膚外用剤の曳糸性を向上させる方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制された化粧料及び皮膚外用剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の製品を顔の肌に塗布する前後での肌の状態を示す図である。
図2】本技術の製品を顔の肌に塗布した後の肌の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術は、成分(A)アクリル酸ポリマー及び成分(B)ポリビニルピロリドンを含有する製品(好適には化粧料又は皮膚外用剤)であり、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下を抑制することができるものである。これにより、アクリル酸ポリマーの曳糸性効果を良好に製品に発揮させることができる。さらに、本技術は、マッサージがしやすいのでマッサージ効果及びそれとの組み合わせ効果を期待する用途の製品が望ましい。また、アクリル酸ポリマーを大量に使用しなくともアクリル酸ポリマーの曳糸性が良好であるので、使用量を抑えて肌への不快なぬるつきも少なくすることができるので好適である。
【0011】
本技術の成分(A)アクリル酸ポリマー又はその塩は、水溶性で曳糸性を有し、アクリル酸又はその塩を主成分とする重合体である。
前記アクリル酸ポリマーとしては、例えば、アクリル酸又はその塩のホモポリマーの他、アクリル酸又はその塩の単量体以外のメタアクリル酸等の単量体を、本技術のポリアクリル酸又はその塩の効果を損なわない範囲で使用したヘテロポリマーが挙げられる。また、前記アクリル酸ポリマーとして、アクリル酸又はその塩の単量体を重合したもの;アクリル酸又はその塩の重合体と、アクリル酸又はその塩の単量体とを重合したもの等が挙げられる。
【0012】
前記塩として、例えば、無機塩及び有機塩が挙げられる。
前記無機塩として、例えば、金属塩、より具体的には、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)及びアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等)等が挙げられる。
前記有機塩として、例えば、アミン類(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、アンモニウム、アミノ酸(例えばアルギニン等)等が挙げられる。これらを1種又は2種以上選択することができる。
前記塩のうち、アルカリ金属塩が好適であり、さらにナトリウム塩が好適である。
【0013】
前記成分(A)のうち、ポリアクリル酸ナトリウムが、曳糸性が高く、また水分保持能が高いので、好適である。ポリアクリル酸ナトリウムは、自重の数百倍〜千倍までの水を吸収、保持でき、高い曳糸性が得られると共にポリビニルピロリドンの曳糸性の低下を抑制する作用が良好に発揮しやすいため、好適である。
【0014】
本技術に用いるアクリル酸ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1千〜1億、より好ましくは1万〜5000万、さらに好ましくは10万〜1000万、よりさらに好ましくは100万〜1000万である。
【0015】
本技術に用いるアクリル酸ポリマーの曳糸性は、試料(25℃)における平均値(5回)が3cm以上のものが好ましく、より好ましくは5cm以上である。
【0016】
本技術に用いるアクリル酸ポリマーの粘度(0.2質量%水溶液、30℃)は、好ましくは100〜50,000mPa・s、より好ましくは100〜10,000mPa・s、さらに好ましくは100〜1,000mPa・sである。
【0017】
本技術に用いるアクリル酸ポリマーの含有量(固形分)は、製品中、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0018】
本技術に用いるアクリル酸ポリマーは、アロンビスSX(東亜合成社製)、アロンビスMX(東亜合成社製)、ビスメコート(昭和電工社製)等の市販品を用いることができる。
【0019】
本技術の成分(B)ポリビニルピロリドンは、通常化粧料や皮膚外用剤の分野で使用されているものを使用すればよい。
ポリビニルピロリドンは、重量平均分子量5千〜数百万のものが広く入手できるが、本技術に用いるポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、好ましくは5千〜900万、より好ましくは1万〜500万、さらに好ましくは2万〜200万が好適である
【0020】
本技術に用いるポリビニルピロリドンの含有量(固形分)は、製品中、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
【0021】
本技術の成分(A)アクリル酸ポリマーと成分(B)ポリビニルピロリドンの含有量割合(使用割合)は、好ましくは(A)/(B)=0.0001〜5、より好ましくは0.0005〜1、さらに好ましくは0.001〜0.5であり、よりさらに好ましくは0.004〜0.4である。
【0022】
ところで、従来、アクリル酸ポリマーを撹拌すると、撹拌によるせん断力によってアクリル酸ポリマーの曳糸性が低下することが知られていた。このため、アクリル酸ポリマーを化粧料又は皮膚外用剤等の製品に含有させる際には、アクリル酸ポリマーを極力撹拌しないようにしていた。例えば、アクリル酸ポリマー以外の成分を撹拌混合した後に、アクリル酸ポリマーをゆっくりと配合して曳糸性の低下を抑制していた。しかし、このように製造しても、例えば充填時にかかる圧力によって、曳糸性が低下もしくは消失することがあった。
このように、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下を抑制するための簡単な方法は、未だ当業者において理解されていなかった。
【0023】
また、曳糸性を有する水溶性高分子として、ポリビニルピロリドンが知られているが、アクリル酸ポリマーほど曳糸性がなく、またポリビニルピロリドンを撹拌すると、撹拌によるせん断力によって曳糸性が低下する。
このようなことから、本発明者は、成分(A)アクリル酸ポリマーと成分(B)ポリビニルピロリドンとを混合撹拌した場合、単独製品と同様にこれらの混合製品の曳糸性も低下すると考えていた。
しかしながら、全く意外にも、実際には、水の存在下で前記成分(A)と前記成分(B)の両者を少なくとも混合撹拌させることで、製品の曳糸性が保持され、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制できることを見出した。
これにより、アクリル酸ポリマーを含有する製品(例えば、皮膚外用剤や化粧料等)を製造する際に、ポリビニルピロリドンを使用することで製品の曳糸性が保持され、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下を抑制することができる。
しかも、アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンとを一緒に含有させて撹拌することでアクリル酸ポリマーの曳糸性の低下を抑制できるため、処理工程を複雑化することなく、また処理手段も容易である。このように、ポリビニルピロリドンのアクリル酸ポリマーへの使用は、特殊な装置がなくともよく、また作業効率もよく、化合物の安全性も高いという利点がある。
【0024】
従って、本技術によれば、前記成分(B)ポリビニルピロリドンを有効成分とする前記成分(A)アクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤を提供することができる。
また、前記アクリル酸ポリマーの曳糸性低下を抑制するための前記成分(B)ポリビニルピロリドンの使用を提供することができる。
また、前記アクリル酸ポリマーと前記成分(B)ポリビニルピロリドンとを撹拌することで、化粧料又は皮膚外用剤の曳糸性の低下を抑制させる方法を提供することができる。
また、前記成分(A)アクリル酸ポリマーと前記成分(B)ポリビニルピロリドンとを撹拌することを含む、化粧料又は皮膚外用剤の製造方法を提供することができる。
【0025】
また、従って、本技術の前記成分(B)ポリビニルピロリドンは、アクリル酸ポリマーの曳糸性の低下が抑制された製品(例えば、皮膚外用剤及び化粧料等)を得るための、アクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤を製造するために使用することができる。また、本技術の前記成分(B)ポリビニルピロリドンそのまま、又は当該アクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤を、(i)曳糸性保持又は曳糸性低下抑制された製品を得るためのアクリル酸ポリマーの曳糸性保持若しくは曳糸性低下抑制方法、又は(ii)当該ポリマー含有製品における曳糸性保持若しくは曳糸性低下抑制方法、又は(iii)当該ポリマー含有製品及びその製造方法を提供するために、使用することができる。
さらに、本技術の前記成分(B)ポリビニルピロリドンを用いる方法又は当該ポリビニルピロリドンを含有する製剤を用いる方法によって、良好にアクリル酸ポリマーの曳糸性を保持した又はアクリル酸ポリマーの曳糸性低下が抑制されたアクリル酸ポリマー含有製品を製造することが可能となる。また、本技術の方法を用いれば、従来の手法によりアクリル酸ポリマーの曳糸性が急激に低下した従来の製品と比較して、曳糸性が向上した製品を製造することが可能となる。
【0026】
本技術において、前記成分(B)ポリビニルピロリドンは、アクリル酸ポリマーにおける曳糸性保持作用若しくは曳糸性低下抑制作用を有し、又は当該ポリマー含有の製品における曳糸性保持作用若しくは曳糸性低下抑制作用を有する。このため、前記成分(B)ポリビニルピロリドンは、アクリル酸ポリマーの曳糸性保持又は曳糸性低下抑制を目的として使用することが可能であり、又は得られる製品の曳糸性保持又は曳糸性低下抑制を目的として使用することが可能である。また、前記成分(B)ポリビニルピロリドンを含有させて有効成分とするアクリル酸ポリマーの曳糸性保持又は曳糸性低下抑制として使用することが可能であり、又は当該ポリマー含有の製品における曳糸性保持又は曳糸性低下抑制剤として使用することが可能である。また、前記成分(B)ポリビニルピロリドンは、アクリル酸ポリマーの曳糸性保持剤若しくは曳糸性低下抑制剤を、又は当該ポリマー含有製品の曳糸性保持剤若しくは曳糸性低下抑制剤を製造するために使用することができる。
【0027】
さらに、成分(A)アクリル酸ポリマーと成分(B)ポリビニルピロリドンとを、他の曳糸性成分又は増粘性成分等を配合せずに一緒に撹拌することで、アクリル酸ポリマーが有する曳糸性の低下を防止することができる。また、成分(A)及び成分(B)を、皮膚外用剤及び化粧料等に使用する成分と配合して製品を製造した場合でも、アクリル酸ポリマー含有の製品(例えば、皮膚外用剤、化粧料等)が有する曳糸性の低下を防止することができる。このように成分(A)及び成分(B)を一緒に撹拌することで目的の効果が奏するので、簡便であり、また作業の手間を軽減できるので、作業効率を向上させることができる。また、得られた皮膚外用剤や化粧料は、撹拌前のアクリル酸ポリマーの曳糸性が保持されている又は曳糸性の低下が抑制されている。また、成分(A)及び成分(B)は、広く皮膚外用剤や化粧料等の製品において多用されている原料であることから、安全性も高く、入手も容易であり、コスト面でも有利である。
【0028】
また、本技術の成分(A)及び(B)を含有する製品には、必要に応じて任意成分を含有させることで、使用目的又は用途に応じた好適な製品を提供することができる。
なお、製品中の水の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜99.9質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは20〜80質量%である。
【0029】
本技術の成分(A)及び成分(B)を含有する製品には、さらに以下の成分(C)及び/又は成分(D)を含有させることが好適である。これにより、本技術の製品は、製品の曳糸性を保持しつつ、マッサージのしやすい上に、さらに肌への使用感(例えば、ぬるつきのなさ、エモリエント感、たるみ改善、キメ改善等)も良好となる。
また、本技術の(A)〜(D)を含有させた製品を肌に使用した際は、塗布したまま又は接触させたままでも、ぬるつきが気にならず、洗い流しやふき取りを必要としない。このため、本技術の製品は、簡便にマッサージを行えるだけでなく、肌上に残った成分による効能(例えば、パック効果)も期待できる。
【0030】
一般に、マッサージのしやすさとは、製品の成分が肌上にある程度に残り、製品の成分によってマッサージを行う手等とマッサージを受ける肌との摩擦を低減し、なめらかにマッサージできることが挙げられる。従来の製品では、クリーム又はオイルがマッサージをしやすくするために汎用されている。しかし、例えば、化粧水の場合、化粧水が肌上に長時間残らないため、マッサージしにくい。また、ジェルの場合、油が少ないため、なめらかさや滑りを演出するために、増粘性の水溶性高分子を大量に配合するしかないが、この水溶性高分子特有のぬるつきによるなめらかさしか演出できない。
しかしながら、本技術の成分(A)及び成分(B)を含有する製品は、良好な曳糸性を有する。この曳糸性を有する製品は、ジェル状にすることも可能であるが、ジェル状であっても、曳糸性による滑り感となめらかさがあり、さらにぬるつきがないマッサージ料を実現している。さらに、肌にすぐ馴染んでしまわないので、マッサージが行いやすいし、また使用後に濃厚な膜が残り、パック効果も期待できる。
一般的に、エモリエントとは、皮膚を軟化させ皮膚に潤いと柔軟性、栄養分を保たせる効果をいう。本技術の製品は、マッサージがしやすいこと、また他の効能成分を含有させても曳糸性が保持されていることから、エモリエント効果も生じやすい。
【0031】
本技術に用いる成分(C)は、25℃で液状の高級アルコール、並びに25℃で液状の高級脂肪酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のものである。これにより、ぬるつきを抑制でき、またエモリエント感を付与できる。
高級アルコール及び高級脂肪酸の「高級」とは、炭素数6以上であり、好ましくは炭素数8〜30、より好ましくは炭素数8〜22であり、さらに好ましくは炭素数12〜22である。また、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の何れでもよい。
25℃で液状の高級アルコールとして、例えば、オクチルドデカノール(2−オクチルドデカノール)、2−ヘキシルデカノール、2−デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルアルコール、ヤシアルコール、オリーブアルコール、ホホバアルコール及びデシルテトラデシルアルコールが挙げられる。
25℃で液状の高級脂肪酸として、例えば、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0032】
また、25℃で液状の高級脂肪酸塩は塩基であらかじめ中和されたものを用いることができるが、製造時に別々に配合することで中和して用いる等いずれの場合においても可能である。
このような中和する塩基(以下、「対塩基」ともいう。)としては、特に限定されず、無機塩基性塩又は有機塩基性塩の何れでもよい。
無機塩基性塩として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩基;水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩基等が挙げられる。
有機塩基性塩として、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン塩;アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。
前記高級脂肪酸塩における対塩基のうち、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩である。
【0033】
前記成分(C)のうち、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オクチルドデカノールが好ましい。
前記成分(C)の例示物を単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0034】
本技術に用いる成分(C)の含有量は、製品中、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。
【0035】
本技術の成分(D)は、海藻抽出物である。これにより、たるみ改善効果やキメ改善効果等の肌効果を効果的に感じられる製剤となる。
本技術で使用される「海藻」は、特に限定されず、緑藻類、褐藻類及び紅藻類等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
抽出に使用する海藻成体の部位は、特に限定されず、全体でもよく、葉部、茎部、胞子葉、根部の何れでもよい。
このうち褐藻類が、粘稠性を有するフコイダンを含むため、好適である。これらを1種又は2種以上使用することが可能である。
褐藻類では概ね5〜300g/kg程度のフコイダンが含まれているとされている。フコイダンは、L−フコースが数十〜数十万個以上繋がった化合物で硫酸基を有する多糖類であり、その平均分子量は一般的に100,000〜30,000,000と言われている。そして、フコイダンは、U−フコイダン、F−フコイダン及びG−フコイダン等に分類される。一般的に、U−フコイダンは基本糖残基のフコースの他にグルクロン酸を含む硫酸多糖であり、F−フコイダンは基本糖残基のL−フコースから構成される硫酸多糖であり、G−フコイダンは基本糖残基のL−フコースの他にガラクトースを含む硫酸多糖である。
また、褐藻類では概ね100〜350g/kg程度のアルギン酸が含まれているとされる。アルギン酸は、マンヌロン酸及びグルクロン酸の2種のウロン酸によって構成される酸性多糖である。
【0036】
前記褐藻類とは、褐藻綱(Phaeophyceae)に分類されるものである。褐藻類では概ね5〜300g/kg程度のフコイダンが含まれているとされている。
前記褐藻類として、例えば、イソガワラ目、アミジグサ目、ナガマツモ目、カヤモノリ目、ムチモ目、ケヤリモ目、ウルシグサ目、コンブ目、イシゲ目及びヒバマタ目に属する藻類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
このうち、カヤモノリ目(Scytosiphonales)藻類、ナガマツモ目(Chordariales)藻類、コンブ目(Laminariales)藻類、ヒバマタ目(Fucales)藻類が好適である。
さらに、後述するコンブ類、ワカメ類、ヒジキ類及びヒバマタ類が好適であり、さらにコンブ類が好適である。
【0037】
コンブ目(Laminariales)藻類として、例えば、コンブ科(Laminariaceae)藻類及びチガイソ科(Alariaceae)藻類等が挙げられる。
コンブ科(Laminariaceae)藻類として、例えば、マコンブ(Laminaria japonica)藻類等が挙げられる。チガイソ科(Alariaceae)藻類として、例えば、ワカメ(Undaria pinnatifida)等が挙げられる。
【0038】
ヒバマタ目(Fucales)藻類として、例えば、ホンダワラ科(Sargassaceae)藻類等が挙げられる。ホンダワラ科(Sargassaceae)藻類として、例えばホンダワラ(Sargassum fulvellum)、ヒジキ(Sargassum fusiforme)、アカモク(Template:Sargassum horneri)等が挙げられる。ヒバマタ科(Fucaceae)藻類として、例えばヒバマタ(Fucus vesiculosus)等が挙げられる。
【0039】
本技術で使用する「コンブ類」とは、褐藻綱(Phaeophyceae)コンブ目(Laminariales)コンブ科(Laminariaceae)に分類されるものである。
コンブ科(Laminariaceae)藻類には、ネコアシコンブ属(Arthrothamnus Ruprecht)藻類、ミスジコンブ属(Cymathere J.Agardh)藻類、ゴヘイコンブ属(Laminaria J.V.Lamouroux)藻類、コンブ属(Saccharina)藻類、マクロサイトス属(Macrocystis)藻類が挙げられる。このうち、コンブ属藻類が好適である。
コンブ類として、例えば、マコンブ(Saccharina japonica)、オニコンブ(Saccharina diabolica)、リシリコンブ(Saccharina ochotensis)、ホソメコンブ(Saccharina religiosa)、 ミツイシコンブ(L. Saccharina angustata)、ナガコンブ(Saccharina longissima)、ガッガラコンブ(Saccharina coriacea)、ネコアシコンブ(Arthrothamnus bifidus)、ガゴメ(ガゴメコンブ)(Saccharina sculpera)、トロロコンブ(Saccharina gyrata等が挙げられる。このうち、ガゴメ(ガゴメコンブ)(Saccharina sculpera)が好適である。
【0040】
本技術で使用する「ワカメ類」とは、褐藻綱(Phaeophyceae)コンブ目(Laminariales)チガイソ科(Alariaceae)に分類されるものである。このうち、ワカメ属(Undaria)藻類が好適である。
ワカメ類として、例えば、ワカメ(U.pinnatifida Suringar)、ヒロメ(U.undarioides Okamura)、アオワカメ(U.peterseniana Okamura)等が挙げられる。
【0041】
本技術で使用する「ヒジキ類」とは、褐藻綱(Phaeophyceae)ヒバマタ目(Fucales)、ホンダワラ科(Sargassaceae)ホンダワラ属(Sargassum)に分類されるものである。ヒジキ類として、例えば、ヒジキ(H.fusiforme Okamura)等が挙げられる。
【0042】
本技術で使用する「ヒバマタ類」とは、褐藻綱(Phaeophyceae)ヒバマタ目(Fucales)ヒバマタ科(Fucaceae)ヒバマタ属(Fucus)に分類されるものである。ヒバマタ類として、例えば、ヒバマタ(F.Vesiculosus)(又は、F.distichus Linnaeus subsp.evanescens (C.Agardh)Powll)等が挙げられる。
【0043】
本技術の褐藻類の抽出に使用する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、低級1価アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、低級エステル類(酢酸エチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル)、アセトニトリル等が挙げられる。なお、「低級」又は「液状多価」における炭素数は、1〜4であるのが好ましい。このうち、水、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール(好ましくは、水、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコール)から選ばれる1種又は2種以上のものが、好適である。
本技術の抽出溶媒として、水及び水溶性有機溶媒から選ばれる1種又は2種の混合液が好適である。また、含水水溶性有機溶媒としてもよい。当該水溶性有機溶媒として、アルコール(例えば、低級1価アルコール、液状多価アルコール等)が好適である。
これにより、抽出物にフコイダンが0.1〜99質量%程度含まれるようにすることが可能である。また、フコイダンは平均分子量10万以上の高分子量のものが好ましい。なお、分子量の測定はGel Permeation Chromatography System等で行うことができる。
【0044】
前記褐藻類抽出物の調製法は、特に限定はされないが、通常、低温(例えば4℃未満)若しくは室温(例えば4〜40℃)〜加温(例えば40〜100℃)下での溶媒の沸点の範囲で行うのが好適である。抽出後は濾過又はイオン交換樹脂を用い、脱塩、吸着、脱色、精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすればよい。
前記褐藻類抽出物は、そのままの状態で使用してもよいが、必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に、脱塩、脱臭、脱色等の精製処理を加えてもよく、脱塩、脱臭、脱色等の精製処理手段としては、イオン交換樹脂カラム、活性炭カラム等から選ばれる1種以上を用いればよく、抽出物を一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えば良い。
【0045】
好ましい抽出方法の例としては、藻体(好適には、葉部及び茎部等の藻体全体)の乾燥物1kgを抽出溶媒1〜20L(好適には5〜10L)で浸漬を行う。
抽出溶媒は含水濃度0〜100vol%のアルコール(好適には、エチルアルコール、1,3−ブチレングリコール)を用いるのが好適である。なお、含水濃度100vol%とは水のことである。水・アルコール混合液の場合、アルコール:水(v/v)=10:90〜90:10が好ましく、アルコール:水=20:80〜50:50がより好ましい。
抽出条件は、室温(0〜40℃程度(好適には10℃±10℃))にて0.5〜15日間(好適には1〜5日間)抽出を行うのが好適である。
抽出溶媒で抽出した褐藻類抽出液を濾過し、得られたろ液をさらに1週間ほど放置して熟成させ、再びろ過を行う方法が挙げられる。ろ過の際に、活性炭等のろ過剤を用いて夾雑物や着色物等の不純物を除去してもよい。
【0046】
上記の海藻を、抽出する際に、乾燥又は乾燥せずに裁断したものを使用してもよいし、酵素分解による加水分解抽出の他、酸・アルカリによる加水分解を行ったものも使用できる。また、上記の海藻を、抽出する前に水洗してもよい。
【0047】
得られた褐藻類抽出物は、抽出液単独で又は異なる抽出方法にて得られた抽出液を混合して、そのまま用いるか、又は当該抽出物を希釈、濃縮又は乾燥させて、液状、粉末状又はペースト状に調製して用いることもできる。
【0048】
成分(A)の市販品としては、TaKaRa海藻エキス(ガゴメコンブ抽出物)(BG)(タカラバイオ株式会社製)、ファルコレックス ケルプ(褐藻抽出物)(一丸ファルコス社製)、ファルコレックス ヒバマタ(褐藻ヒバマタ抽出物)(一丸ファルコス社製)、カイソウ抽出液(ヒバマタ(FUCUS VESICULOSUS)抽出物)(丸善製薬社製)、カイソウ抽出液BG−J(ヒバマタ(FUCUS VESICULOSUS)抽出物)(丸善製薬社製)、カイソウ抽出液LA−J(ヒバマタ(FUCUS VESICULOSUS)抽出物)(丸善製薬社製)等が挙げられる。
【0049】
本技術に用いる成分(D)の含有量(溶媒を除いた乾燥純分換算)は、特に制限は無く、製品中、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.00005〜0.05質量%、さらに好ましくは0.00005〜0.03質量%、よりさらに好ましくは0.0001〜0.01質量%である。
このことにより、ぬるつき感が少なく、且つ使用直後のハリ感も与えるという効果を良好に発揮する。
【0050】
なお、本技術の皮膚外用剤及び化粧料には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分(A)〜(D)以外の任意成分として、通常、皮膚外用剤及び化粧料に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、PH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。
【0051】
本技術の製品の製造方法としては、製品用途(例えば皮膚外用剤及び化粧料等)に応じて、各製品用途の公知の製造方法に準じて行えば良い。この製造方法には、成分(A)と成分(B)とを同時期に一緒に撹拌することを含むことが、好ましい。成分(A)及び成分(B)を一緒に撹拌し、混合することで成分(A)が有する曳糸性作用の保持又は低下抑制を行うことができる。温度条件は特に限定されないが、5〜80℃程度であればよく、また、撹拌時間は特に限定されないが、5〜30分程度であるのが好ましい。
【0052】
本技術の製品の曳糸性は、好ましくは平均3cm以上、より好ましくは平均5cm以上である。本技術の曳糸性は、後記〔実施例〕の〔曳糸性保持試験〕に基づき行った測定値(5回繰り返し測定したときの平均値)である。従来の手法では急激にアクリル酸ポリマーの曳糸性が低下しさらに製品自体の曳糸性も低下していたが、本技術の方法を用いることで、従来の製品の曳糸性と比較し、製品の曳糸性を向上させることができる。
本技術の製品の曳糸性は、具体的には、試料(25℃)に直径3mmの金属棒を1cm針入して10cm/秒の速度で10cmまで垂直に引き上げたときの曳糸性(溶液が金属棒に付着したまま切れないこと)保持を測定した。これを5回繰り返しその5回の平均点(平均値)を求めた。
【0053】
また、本技術の製品は、皮膚外用剤及び化粧料が好適である。
本技術の化粧料(医薬部外品も含む)の好ましい例としては、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料、日焼け止め化粧料等が挙げられる。本技術は皮膚に対して上述の良好なハリ感等を付与することができるので、本技術の成分が皮膚に触れるような化粧料に使用してもよい。本技術の化粧料として、より具体的には、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、アイカラー等のメイクアップ化粧料;化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ料、洗顔料、クレンジング、フェイスパック、フェイスマスク、オールインワン化粧料等のスキンケア化粧料;シャンプー、トリートメント、ヘアワックス、ヘアミルク、ヘアスプレー等のヘアケア化粧料として使用することができる。特にスキンケア化粧料及びスキンケア効果を有するメイクアップ化粧料が好ましく、さらに各種使用感の観点から乳液、美容液、マッサージ料、パック料が好ましい。
【0054】
本技術における皮膚外用剤(医薬部外品も含む)の好ましい例としては、特に限定されないが、例えば、上記スキンケア化粧料として使用することも可能であり、またリニメント剤、ローション剤、軟膏剤等の医薬部外品として使用することも可能である。
また、本技術の製品の成分を肌に塗布又は接触させる皮膚外用剤及び化粧料が好ましい。本技術の製品は曳糸性を有するため、当該製品は、毛髪よりも、肌(顔、腕、脚、全身等)の表面に塗布又は接触させて肌へのエモリエント感、ハリ感及びキメ改善等の効果を期待するのが好適である。
また、本技術の皮膚外用剤の形態としては、固形、半固形、液状等が挙げられるが、中でも乳液状若しくはゲル状が好ましく、透明、半透明、不透明それぞれの皮膚外用剤として使用することができる。また、その剤型としては、水系、油性系、乳化系(油中水型、水中油型等)、可溶化系、粉体系、溶剤系等のものが挙げられる。
【0055】
本技術のスキンケア方法は、本技術の製品を顔等の肌上に適量塗布する。本技術の製品の塗布量は特に限定されず、使用部位等によっても異なるが、両者共に0.3〜10gが好ましく、0.5〜3gが好ましい。また、塗布した後の余分量はガーゼ等で拭き取ってもよい。本技術の製品を塗布する時間は特に制限は無い。これにより、優れたハリ感が得られ、かつその効果を長時間維持することができる。このようにして肌上に形成された皮膜は水分の蒸散を防止し、また弾力性に富み強固であるため、肌を効果的に引張り引き締める。これによって、優れたハリ感を得ることができる。
【0056】
本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕 次の(A)〜(B);(A)アクリル酸ポリマー及び(B)ポリビニルピロリドン;を含有する化粧料又は皮膚外用剤。
〔2〕 成分(A)及び成分(B)の含有質量割合が(A)/(B)=0.0001〜5である前記〔1〕記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔3〕 前記成分(A)が、ポリアクリル酸金属塩である前記〔1〕又は〔2〕記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔4〕 さらに、成分(C)25℃で液状の高級アルコール、並びに25℃で液状の高級脂肪酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のものを含有する前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔5〕前記成分(C)が、25℃で液状の高級脂肪酸であり、好適には植物由来の高級脂肪酸である前記〔1〕〜〔4〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔6〕前記成分(C)が、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オクチルドデカノールから選ばれる1種又は2種以上である前記〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔7〕 さらに、成分(D)海藻抽出物を含有する前記〔1〕〜〔6〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔8〕前記成分(D)が褐藻類抽出物であり、好適にはコンブ類抽出物である前記〔1〕〜〔7〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔9〕 皮膚外用剤の曳糸性が3cm以上である前記〔1〕〜〔8〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。成分(A)及び(B)以外の曳糸性を有する水溶性高分子を配合しなくとも可能である。
〔10〕 前記成分(A)と成分(B)とを撹拌混合して得られる前記〔1〕〜〔9〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
〔11〕 肌に塗布又は接触させる前記〔1〕〜〔10〕の何れか1項記載の化粧料又は皮膚外用剤。
【0057】
〔12〕 ポリビニルピロリドンを有効成分とするアクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤。好適にはポリアクリル酸金属塩の曳糸性低下抑制剤である。
【0058】
〔13〕 アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンとを撹拌することを含む、化粧料又は皮膚外用剤の製造方法。
〔14〕 アクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制剤を製造するためのポリビニルピロリドンの使用。
〔15〕 アクリル酸ポリマーの曳糸性低下を抑制するためのポリビニルピロリドンの使用。
〔16〕 アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンとを混合することで、化粧料又は皮膚外用剤の曳糸性を向上させる方法。曳糸性が3cm以上であるのが好適である。
〔17〕 成分(A)アクリル酸ポリマーと成分(B)ポリビニルピロリドンとの含有量割合又は使用量割合は、(A)/(B)=0.0001以上である前記〔12〕〜〔15〕の何れか1項の方法又は使用。
〔18〕 水の存在下で行う前記〔13〕〜〔17〕の何れか1項の方法又は使用。
〔19〕 成分(A)が、ポリアクリル酸金属塩である前記〔13〕〜〔18〕の何れか1項の方法又は使用。
〔20〕成分(A)アクリル酸ポリマーの含有量又は使用量が、0.001質量%以上である前記〔13〕〜〔19〕の何れか1項の方法又は使用。
〔21〕 成分(B)ポリビニルピロリドンの含有量又は使用量が、0.01質量%以上である前記〔13〕〜〔20〕の何れか1項の方法又は使用。
【実施例】
【0059】
以下、本発明(本技術)を具体的に説明するために実施例及び比較例等を挙げるが、本発明(本技術)は実施例等に限定されるものではない。
【0060】
〔マッサージ料:実施例1−5及び比較例1−5:アクリル酸ポリマーの曳糸性低下抑制の試験〕
〔製造方法〕
表1に示す成分(1)〜(7)を一緒にディスパーミキサー4000rpmにて、室温で、30分間攪拌してマッサージ料(実施例1−5及び比較例1−5)を得た。この各マッサージ料について、以下の曳糸性保持試験にて曳糸性保持の評価を行い、その結果を併せて表1に示した。
【0061】
表1に示すように、ポリアクリル酸ナトリウム単独水溶液及びポリビニルピロリドン単独水溶液を、それぞれ撹拌すると、それぞれ曳糸性が低下し曳糸性保持試験は「×」であった。
また、ポリビニルアルコール、高重合ポリエチレングリコール及びヒアルロン酸ナトリウムの各曳糸性を有する水溶性高分子を、それぞれポリアクリル酸ナトリウム水溶液と一緒にディスパーミキサー4000rpmにて撹拌しても、曳糸性が低下し曳糸性保持試験はそれぞれ「△」「△」「×」であった。曳糸性を有する水溶性高分子としてよく知られている物質であっても、曳糸性低下を抑制することができなかった。
しかしながら、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液及びポリビニルピロリドン水溶液を一緒にディスパーミキサー4000rpmにて撹拌すると、曳糸性の低下が抑制されて曳糸性保持試験結果は「○」以上となった。すなわち、ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを水の存在下で併用することで、ポリアクリル酸単独撹拌のときの曳糸性と比較し、ポリアクリル酸の曳糸性が向上した。
なお、比較例2の撹拌後のポリアクリル酸ナトリウム単独水溶液に、さらにポリビニルピロリドンを0.5%添加して、ディスパーミキサー4000rpmにて5分間撹拌したが、曳糸性保持試験は「×」であった。
以上のように、マッサージ料として曳糸性のある滑りと滑らかさがあるものが求められるため、実施例1−5のアクリル酸ポリマー及びポリビニルピロリドン含有の水溶液は、マッサージ料として望ましい。
さらに、アクリル酸ポリマー0.02質量%以上かつポリビニルピロリドン0.5質量%以上含有させたときに、曳糸性保持試験結果が「◎」と、非常に良好であった。このときに含有割合は、0.004:1〜0.4:1であった。
【0062】
【表1】
【0063】
(注1)アロンビスSX(東亜合成社製)
分子量400〜500万、粘度400〜600mPa・s(0.2質量%水溶液、30℃)、曳糸性平均5cm以上。
(注2)LUVISKOL K−90(バディッシュ社製)
重量平均分子量120万、粘度10,000〜30,000mPa・s(20質量%水溶液、30℃)、曳糸性平均3cm以上。
(注3)クラレポバール224C(クラレ社製)
(注4)POLYOX WSR N−12K(AMECHOL社製)
(注5)ヒアルロン酸FCH−200(キッコーマンバイオケミファ社製)
【0064】
<高分子ポリマーの分子量の測定方法>
高分子ポリマーの分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)分析法によって、重量平均分子量を測定した。
<曳糸性の測定方法>
曳糸性は、試料(25℃)に直径3mmの金属棒を1cm針入して10cm/秒の速度で10cmまで垂直に引き上げたときの曳糸性(溶液が金属棒に付着したまま切れないこと)保持を測定した。これを5回繰り返しその5回の平均点(平均値)を求めた。
<粘度の測定方法>
試料を30℃恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した。
【0065】
〔評価方法:曳糸性保持試験〕
上記<曳糸性の測定方法>にて、試料の曳糸性を5回測定し、その5回の平均点(平均値)を求め、以下の(i)4段階判定基準に基づいて判定した。
【0066】
〔曳糸性保持の4段階判定基準〕
(曳糸性) :(判定)
平均点5cm以上 : ◎
平均点3cm以上5cm未満: ○
平均点1cm以上3cm未満: △
平均点1cm未満 : ×
【0067】
〔製造例1:ガゴメコンブ抽出液〕
乾燥したガゴメコンブを細切したもの20gに30%1,3−ブチレングリコール水溶液(BG:DW=30:70(v/v))を100mL加えて静かに数回攪拌し、そのまま室温(20〜30℃)にて一日静置した。これを濾過して、ガゴメコンブ抽出液を得た。ガゴメコンブ抽出液1mLあたりの乾燥質量は4mgであった。GPCシステム分析により、ガゴメコンブ抽出液に含まれるフコイダンの平均分子量は10万以上であった。
【0068】
〔美容液:試験例1〜13及び比較例6〜7〕
表2に示す組成及び下記の製造方法にて美容液を調製し、表2に示す評価項目1及び2を確認し、その結果を表2に示す。
評価項目1の評価については、上述の〔評価方法:曳糸性保持試験〕にて行った。
評価項目2の評価については、後述の〔評価方法:マッサージのしやすさ〕、〔評価方法:ぬるつきのなさ〕、〔評価方法:エモリエント感、たるみ改善効果、キメ改善効果〕にて行った。
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を80℃に加熱する。
B:成分(10)〜(12)を80℃に加熱溶解する。
C:AにBを添加し、ディスパーミキサーにて混合攪拌する。
D:Cを室温まで冷却後、成分(13)〜(19)を添加し、美容液を得た。
【0069】
【表2】
【0070】
(注6)ベイシス LS−60HR(日清オイリオ社製)
(注7)イソステアリン酸EX(高級アルコール社製)
(注8)NAA−400オレイン酸(日油社製)
(注9)エキストラリノレイック90(日油社製)
(注10)EUTANOLG(BASF社製)
(注11)CARBOPOL 980(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)
(注12)アロンビスSX(東亜合成社製) 分子量400〜500万、粘度400〜600mPa・s(0.2質量%水溶液、30℃)、曳糸性平均5cm以上。
(注13)アロンビスMX(東亜合成社製) 分子量200〜300万、粘度400〜600mPa・s(0.2質量%水溶液、30℃)、曳糸性平均5cm以上。
(注14)LUVISKOL K−90(バディッシュ社製)
【0071】
〔評価方法:マッサージのしやすさ〕
20〜40代女性の化粧品評価専門パネル20名に、調製した美容液を使用してもらい(美容液2gで全顔を3分間マッサージ)、使用感として、下記の(i)5段階評価基準に従って官能評価し、更に全パネルの評点の平均値を(ii)4段階判定基準に従って、判定した。
(i)5段階評価基準
(評価) :(評点)
非常にマッサージしやすい:5点
ややマッサージしやすい :4点
普通 :3点
ややマッサージしにくい :2点
マッサージしにくい :1点
(ii)4段階判定基準
(全パネルの評点の平均値) :(判定)
平均点4.5点以上 :◎
平均点3.5点以上4.5点未満:○
平均点2.5点以上3.5点未満:△
平均点2.5点未満 :×
【0072】
〔評価方法:ぬるつきのなさ〕
20〜40代女性の化粧品評価専門パネル20名に、調製した美容液を使用してもらい、使用感として、(i)5段階評価基準に従って官能評価し、更に全パネルの評点の平均値を(ii)4段階判定基準に従って、判定した。
(i)5段階評価基準
(評価) :(評点)
ぬるつきを全く感じない :5点
ぬるつきを殆ど感じない :4点
普通 :3点
ややぬるつきを感じる :2点
非常にぬるつきを感じる :1点
(ii)4段階判定基準
(全パネルの評点の平均値) :(判定)
平均点4.5点以上 :◎
平均点3.5点以上4.5点未満:○
平均点2.5点以上3.5点未満:△
平均点2.5点未満 :×
【0073】
〔評価方法:エモリエント感、たるみ改善効果、キメ改善効果〕
20〜40代女性の化粧品評価専門パネル20名に、調製した美容液を使用してもらい、使用感として、(i)5段階評価基準に従って官能評価し、更に全パネルの評点の平均値を(ii)4段階判定基準に従って、判定した。
(i)5段階評価基準
(評価) :(評点)
非常に感じる :5点
やや感じる :4点
普通 :3点
あまり感じない:2点
感じない :1点
(ii)4段階判定基準
(全パネルの評点の平均値) :(判定)
平均点4.5点以上 :◎
平均点3.5点以上4.5点未満:○
平均点2.5点以上3.5点未満:△
平均点2.5点未満 :×
【0074】
〔顔のキメ、たるみの改善試験〕
試験例1の美容液を、20〜40代女性の化粧品評価専門パネル7名に1ヶ月間使用してもらい(朝夕、肌をマッサージ)、顔のキメ及びたるみの改善効果を確認した。
顔のキメの改善試験の測定機器としては、マイクロスコープカメラ(HIROX社製 KH−7700)を用い、頬のキメの状態を撮影し、使用前後で比較した。図1に示すように、使用前後を対比すると、キメの流れが解消されて、小じわが目立たなくなり、毛穴の目立ちも改善された。
顔のたるみの改善試験の測定機器としては、レーザー式非接触3次元スキャナーVIVID(コニカミノルタセンシング株式会社製)を用い、使用前後の立体的形状データを取得した後に、使用前と後の画像を重ね合わせることで、その変化値を測定した。図2に示すように、フェイスライン(アゴ部分を中心)にたるみ改善効果が認められた。
【0075】
表2に示すように、アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンの何れか一方と他の効能成分を撹拌させて得られた製品は、好適な曳糸性を有していない。しかしながら、アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンと他の効能成分を撹拌させて得られた製品は、良好な曳糸性を有する。
しかも、通常の撹拌装置にて撹拌しても、良好な曳糸性を有していることは、曳糸性を有する製品を得る際に作業効率向上及び低コスト化の点で有利である。
また、得られた製品は、温度帯も10℃程度の常温でも同様に曳糸性を有している。このことから、細かな温度管理をする必要がないことも、作業効率向上及び低コスト化の点で有利であり、製品をユーザが使用する際に、室温状態でも製品が良好な曳糸性を有するので、使用性や使用感の点でも有利である。
また、アクリル酸ポリマーやポリビニルピロリドンといった入手容易な化合物でも混合タイミングによって、得られる製品の性状が大きく変化することを見出したことは、化粧料又は皮膚外用剤の分野においても有益である。
【0076】
アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンに、他の効能成分を含有させることで、効能が低下するのではなく、使用感(ぬるつきのなさ、エモリエント感、たるみ改善、キメ改善)が、格別顕著な効果作用になることは、様々な使用態様の用途に利用できる。また、粘弾性を有する海藻抽出物を含有させると、ぬるつきが強くなりすぎ不快なぬるつきになることがあるが、アクリル酸ポリマーとポリビニルピロリドンを中心に含有させることで、ぬるつきが少なく、たるみ改善及びキメ改善効果が良好なことも、化粧又は皮膚外用剤の用途分野において有益である。
【0077】
試験例14:化粧水
(成分) (質量%)
1.ポリオキシエチレン(20モル)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
2.エチルアルコール 10.0
3.オレイン酸 (注8) 0.3
4.イソノナン酸イソトリデシル 1.0
5.ポリアクリル酸ナトリウム(注12) 0.05
6.ポリビニルピロリドン(注15) 1.0
7.乳酸 0.05
8.乳酸ナトリウム 0.1
9.グリセリン 5.0
10.1,3−ブチレングリコール 5.0
11.メチルパラベン 0.1
12.精製水 残 量
13.調製例1のガゴメコンブ抽出液 1.0
14.香料 0.05
(注15)LUVISKOL K−30(バディッシュ社製)
【0078】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を混合溶解した。
B:及び成分(5)〜(12)を混合溶解した。
C:A、B及び成分(13)、(14)を混合して、化粧水を得た。
【0079】
上記製法により製造した試験例14に示す化粧水を、上記記載の曳糸性の保持、マッサージのしやすさ、ぬつるきのなさ、エモリエント感、たるみ改善効果、キメ改善効果に関して評価したところ、全てにおいて優れていることが確認された。
【0080】
試験例15:乳液
(成分) (質量%)
1.ポリオキシエチレン(20モル)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
2.セトステアリルアルコール 0.5
3.ベヘニルアルコール 0.5
4.新油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
5.トリエタノールアミン 0.01
6.スクワラン 3.5
7.水素添加大豆リン脂質 (注16) 0.5
8.メチルパラベン 0.1
9.デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
10.流動パラフィン 2.0
11.オレイルアルコール 1.0
12.1,3−ブチレングリコール 15.0
13.アスコルビン酸 0.5
14.精製水 残 量
15.キサンタンガム 0.12
16.ポリアクリル酸ナトリウム(注13) 0.05
17.ポリビニルピロリドン(注15) 1.0
18.温泉水 0.12
19.調製例1のガゴメコンブ抽出液 0.3
20.香料 0.1
(注16)ニッコール レシノール S−10E(日光ケミカルズ社製)
【0081】
(製造方法)
A.成分(1)〜(11)を75℃にて、均一に混合分散する。
B.成分(12)〜(14)を75℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.Cに成分(15)〜(20)を加え、乳液を得た。
【0082】
上記製法により製造した試験例15に示す乳液を、上記記載の曳糸性の保持、マッサージのしやすさ、ぬつるきのなさ、エモリエント感、たるみ改善効果、キメ改善効果に関して評価したところ、全てにおいて優れていることが確認された。
【0083】
試験例16:リキッドファンデーション
(成分) (質量%)
1.精製水 残 量
2.1,3−ブチレングリコール 7.5
3.リンゴ酸 0.02
4.ポリオキシエチレン(20モル)モノステアリン酸ソルビタン 1.5
5.トリエタノールアミン 0.4
6.ベヘニルアルコール 0.5
7.セトステアリルアルコール 0.5
8.新油性モノステアリン酸グリセリン 0.8
9.水素添加大豆リン脂質 0.3
10.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.5
11.オリーブ油 3.0
12.ホホバアルコール(注17) 1.0
13.顔料級酸化チタン 2.2
14.ベンガラ 0.1
15.黄酸化鉄 1.0
16.黒酸化鉄 0.05
17.1,3−ブチレングリコール 4.5
18.キサンタンガム 0.12
19.ヒドロキシエチルセルロース 0.06
20.ポリアクリル酸ナトリウム(注12) 0.01
21.ポリビニルピロリドン(注14) 0.3
22.ヒバマタ(FUCUS VESICULOSUS)抽出物 (注18) 0.2
23.香料 0.03
(注17)ホホバアルコール(香栄興業社製)
(注18)カイソウ抽出液BG−J(丸善製薬社製)
【0084】
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を70℃にて、均一に混合分散する。
B.成分(6)〜(12)を70℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.Cに成分(13)〜(23)を加え、リキッドファンデーションを得た。
【0085】
上記製法により製造した試験例16に示すリキッドファンデーションを、上記記載の曳糸性の保持、マッサージのしやすさ、ぬつるきのなさ、エモリエント感、たるみ改善効果、キメ改善効果に関して評価したところ、全てにおいて優れていることが確認された。
図1
図2