特許第6247045号(P6247045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247045バルブ制御型ディスペンシング・クロージャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247045
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】バルブ制御型ディスペンシング・クロージャ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/16 20060101AFI20171204BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20171204BHJP
   B65D 39/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B65D51/16
   B65D83/00 G
   B65D39/04
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-171787(P2013-171787)
(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-40275(P2014-40275A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】12181261.4
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513151314
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】Aptar France S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】エミール・フェリアーニ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ターシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ハットン
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−526636(JP,A)
【文献】 特開昭53−104379(JP,A)
【文献】 米国特許第05271153(US,A)
【文献】 特表平09−501640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の液密性を確保するために容器の頸状部に密嵌可能な液体保持容器用ディスペンシング・クロージャであって、
前記容器の頸状部に差し込まれ、中央の液体流路と周辺の空気流路とを有するプラグ本体と、
軟質の弾性材料からなり、前記プラグ本体の上側部分に設けられた凹部に配置して前記液体流路と前記空気流路とを覆うダブル弁型ダイヤフラムと、
プラグキャップであって、(i)前記プラグ本体の前記空気流路に沿って軸方向に一直線になる、環状に配置された1以上の空気抜きスロットと、(ii)前記プラグ本体の前記液体流路と軸方向に一直線になる中央開口部と、(iii)前記空気抜きスロットと前記中央開口部との間に設けられたリングシールであって、前記プラグキャップの下方に位置するバルブにチューブが挿入されたときに液漏れを防ぐリングシールと、を有する、前記プラグ本体内に前記ダブル弁型ダイヤフラムを封止するためのプラグキャップとを備え、
前記ダブル弁型ダイヤフラムは、同心円状に位置する第1弁部と、第2弁部とを備え、
前記第1弁部は、静止位置にある場合に前記プラグ本体の前記液体流路を塞ぐ、スリット型の中央孔を有するノーマルクローズ弁であり、
前記第2弁部は、静止位置にある場合に前記プラグキャップの1以上の空気抜きスロットを塞ぐ、ノーマルクローズ弁の傘型弁である
ディスペンシング・クロージャ。
【請求項2】
前記ダブル弁型ダイヤフラムは、さらに、前記第1弁部と前記第2弁部との間に配置された弁シールを備える
請求項1に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項3】
前記ダブル弁型ダイヤフラムは、さらに、前記第1弁部と前記第2弁部との間に同心円状に配置された弁シールを備える
請求項1に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項4】
前記ダブル弁型ダイヤフラムは、さらに、液体定量吐出用の前記第1弁部と、空気抜き用の前記第2弁部とを備える
請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項5】
前記ダブル弁型ダイヤフラムの前記第1弁部は、前記プラグ本体の前記液体流路内で正圧が生じた場合に開く
請求項1に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項6】
前記ダブル弁型ダイヤフラムの前記第1弁部は、前記プラグキャップの前記液体流路内で減圧が生じた場合に開く
請求項1に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項7】
前記ダブル弁型ダイヤフラムの前記第2弁部は、前記プラグ本体の前記液体流路内で減圧が生じた場合に開く
請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項8】
前記プラグ本体は、前記液体流路と軸方向に一直線になる、ディップチューブを取り付けるための内側細長円筒部を有する
請求項1〜7のいずれか1項に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項9】
前記プラグ本体は、取り付け時に前記容器の頸状部にはめ込む細長円形本体と、頸状部
を塞ぐために頸状部の上端に配置されるように形成されたディスク形状の上端部分とを有するプラグ形状である
請求項1〜8のいずれか1項に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項10】
前記上端部分は上面に溶接リングを有し、前記プラグキャップは、下面に配置された、前記溶接リングを取り付けるためのスロットを有する
請求項9に記載のディスペンシング・クロージャ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のディスペンシング・クロージャと、液体保持容器との組み合わせ。
【請求項12】
前記液体保持容器は香水を保持する
請求項11に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する容器から香水などの液体を定量吐出するためのディスペンシング・クロージャに関する。
【0002】
文献米国特許第7681750号明細書は、自由に流動する流体を保持する容器用の栓について説明している。当該容器は、容器の開口部を囲んでいる容器の頸状部を塞ぐために当該頸状部に固定可能な固定型下側部分と、自由に流動する流体の流路を形成する凸型接続部を含むカバーと、容器の方向に対して同軸上で外側静止位置と内側作動位置との間で下側部分の上に設けることができる付け替え可能な上側部分と、少なくとも軟質の弾性材料からなるベースを有し、上端が上側部分の裏側を塞ぐブレーカー、すなわち、皿型ダイヤフラム弁と、上側部分のテスト位置で閉じている、ダイヤフラム弁のベース内の穿孔と、接続部の内側クロス部分より大きいベースの直径とを備える。容器方向において軸方向の圧力が上側部分にかかった場合にダイヤフラム弁が外側にたわむように、接続部の外端はダイヤフラム弁のベースを常に支え、後者は初荷重を上側部分にその静止位置の方向に常に与えることによって、ベース内の穿孔が開く。
【0003】
しかしながら、液体をディスペンサーから出すために容器に圧力がかかりすぎる場合、液体流路内部の圧力は液体流路外部の圧力、つまり、大気圧と異なるので、液体流路を介して空気が容器内に入り、液体が容易に漏れ出てくる可能性がある。
【0004】
このような漏れを防ぐため、上記文献でも開示されているように、キャップを設けてもよい。
【0005】
また、文献米国特許出願公開第2007/0284397号明細書は、バルブの上方に配置されたプレート内に複数のノズルを有するディスペンシング・クロージャについて開示している。この複数のノズルにより、霧状のものなどをスプレーすることができる。この場合もまた、漏れを防ぐためにキャップが設けられる。
【0006】
その他、多くのバルブ構成が知られている。例えば、文献欧州特許出願公開第1953432号明細書は、圧力低減用バルブとして傘型弁を示している。一般的に、傘型弁は、ダイヤフラム形状のシーリングディスク、つまり、傘形状を有する弾性弁部品である。これらの弾性部品は、逆流防止装置内のシーリング部材や、一方向弁などとして用いられるのが一般的である。弁座に取り付ける際、凸状のダイヤフラムは弁座に対して平たく伸ばされ、ある程度の弁座の凸凹を吸収し、ある一定のシーリング力を生み出す。傘型弁により、上部圧力が十分に力を生み出して凸状のダイヤフラムを弁座から持ち上げた時点で順流が可能になるため、所定の圧力で一方向に流れることができ、反対方向に直ちに流れる逆流を防ぐことができる。
【0007】
このような傘型弁は、大きいという欠点がある。例えば、5ミリバール(0.5kPa)の圧力では、バルブの直径は通常少なくとも8cmである。
【0008】
本発明は、当該先行技術における課題を解決し、別記の請求項で定義しているようなコンパクトなディスペンシング・クロージャを提供することを目的とする。本発明のディスペンシング・クロージャによれば、キャップなしの場合でも液密性を確保することができ、ボトルの頸状部の直径が規格化されている香水瓶などで用いられるように十分小さくすることができる。
【0009】
本発明の他の内容及び様々な変形例は、従属クレームにおいて定義される。
【0010】
本発明は、以下の詳細な説明及び本発明の実施の形態を示す図面を用いて、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係るディスペンシング・クロージャが取り付けられた液体容器の概略図である。
図2図2は、図1のディスペンシング・クロージャを取り付けた容器の断面図である。
図3図3は、本発明に係るディスペンシング・クロージャの主な構成要素の分解図である。
図4図4は、本発明に係るディスペンシング・クロージャの上面図及び断面図である。
図5図5は、ディスペンシング・クロージャ内の空気及び液体の流れの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明に係るディスペンシング・クロージャの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明に係るディスペンシング・クロージャ2を取り付けた液体容器3を示している。容器と装着済みクロージャとを組み合わせたものは参照符号1で示される。
【0014】
容器3は、ローション、クリーム、香水などの自由に流動する流体を保持することができ、通常、出口開口部を有する頸状部が設けられている。当該容器は、ガラスやセラミックなどの固体物質で構成してもよい。また、プラスチックでも構成することができるので、プラスチック容器の側面は硬くても軟らかくてもかまわない。容器3の頸状部には、当業者に周知の方法でスプレートップを装着することができるねじ山が設けられてもよい。
【0015】
ディスペンシング・クロージャ2は、基本的に、容器3の頸状部にはめ込んで、液体が漏れないように塞ぐプラグに相当するものである。
【0016】
図3は、ディスペンシング・クロージャ(プラグとも称される)2をより詳細に示したものであり、このプラグ2は、プラグキャップ21、ダブル弁型ダイヤフラム22、プラグ本体23の3部分から構成されている。液体をプラグから外に出すために容器3内からプラグへ移動できるよう、チューブ、又は、ロッド24をプラグ本体にはめ込んでもよい。プラグ本体23は、ダブル弁型ダイヤフラム22を取り付ける上端部分を備え、プラグキャップ21は、プラグを封止するためにダブル弁型ダイヤフラム22の上端にはめ込まれる。
【0017】
図4は、プラグキャップ21の上面図及びプラグの断面図である。
【0018】
図に示すように、プラグキャップ21は、ディスク形状であり、周囲に1以上の空気抜きスロット21cを備えた中央開口部21dが設けられている。後ほど詳しく説明するが、プラグキャップの下側に位置する弁にチューブ、つまり、カニューレを挿入する際の液漏れを防ぐために、空気抜きスロット21cと中央開口部21dとの間には内側リングシール21aが設けられる。
【0019】
ダブル弁型ダイヤフラム22は、シリコンなどの軟質な弾性材料、ゴム、又は、ポリエチレン若しくは同類のエラストマー材料などのプラスチックから成る。ダブル弁型ダイヤフラム22は、弁シール22cで囲まれた中央スリット型の孔22aを有する中央弁部22bを備える。さらに、傘型弁22dを構成する周辺部分が弁シール22cを囲んで設けられる。このようなスリット型の孔は、例えば、上記の文献米国特許第7681750号明細書から次のようなものとして知られている。図のように、複数のスリットがクロス又はスター形状で中央弁部22dの中心を通って直径方向に等円周角距離で広がっている。スリットの端は、弁シール22cから半径方向に適切な距離を置いて位置している。
【0020】
プラグ本体23は、液体を保持する容器の頸状部にはめ込む細長円形の本体23dと、頸状部を塞ぐように頸状部の上端に配置される一般的なディスク形状の上端部分23eとを有するプラグ形状である。上端部分23eの外径は、プラグ2がはめ込まれる容器の頸状部と実質的に同じである。一例として、この直径は、香水瓶の規格FEA15サイズである15mmでもよい。
【0021】
本体23dは、容器3の頸状部にぴったりと合う外側細長円筒部を有する。容器とプラグとの間の漏れを防ぐために、本体23dの外周面にリングシール23aを設けてもよい。さらに、本体23dは、ディップチューブ24を取り付ける中空のディップチューブ取付け台23cを有する、外側細長円筒部と離間した、内側細長円筒部を有する。容器内部からディップチューブへの空気の流入を防ぐために、1以上のリング、例示では3つのリング、を設けてもよい。
【0022】
さらに、上端部分23eには、図に示すように、プラグキャップ21の下面に適切に配置されたスロットにはめ込まれる溶接リング23fが上面に設けられている。こうして、例えば、レーザー溶接などによって、これらの構成要素間でしっかりと封止された組立てを確実にする。図5のセクションCも参照のこと。さらに、上端部分23eには、プラグキャップ21の下面に適切に配置されたさらなるスロットと一致する側壁23gで区切られた中央凹部23hが設けられており、これらの構成要素間で気密な組立てを確実にする。凹部23hは、ダブル弁型ダイヤフラム22を取り付けるように構成されており、ダイヤフラム22の空気抜きスロット21cと軸方向に適切に一致する空気抜きスロットが設けられている。本体23dの内側細長円筒部は、この凹部内にまで入り込み、ダイヤフラムたわみチャンバーとなる中空の上側部分23bを有している。これは、ダイヤフラムとチューブとが衝突しないように、ディップチューブ24を挿入する際に用いられる空間である。この中空部分23bの側壁は、ダイヤフラム22の弁シール22cを取り付けるショルダーとなる。
【0023】
ダイヤフラム22は、プラグキャップ21を装着するとプラグが閉じられるように凹部23hにはめ込まれ、弁シール22cは、側壁とプラグキャップとの間で圧縮される。このようにして、たわみチャンバー23bの液密性を確保する。図4に示すように、これらのショルダーは、ダイヤフラムを円周弁部、つまり、スリット型の孔22aを有するノーマルクローズ弁を構成する内側弁部と、傘型弁22bを構成する外側弁部とに分けることによってダイヤフラム22を固定する。ただし、このスリット型の孔22aは内側弁部が静止位置にある場合に閉じている。また、傘型弁22bも、プラグキャップ21に弁座があるノーマルクローズ弁であり、静止位置にある場合にプラグキャップ21の空気抜きスロットを閉じている。上記から分かる通り、傘型弁22bは、プラグキャップ21の空気抜きスロット21cを塞ぐものである。
【0024】
ここで、本発明に係るダブル弁型ダイヤフラムの動作を、図5を参照しながら説明する。
【0025】
ダブル弁型ダイヤフラム22は、自閉式スリット型弁22aを有するノーマルクローズ孔と、ノーマルクローズ傘型弁とを含む同心円状の二重弁を有する。液体が容器から定量吐出される際、スリット型孔22aを介して、容器に加えられた圧力によって又はポンプによって吸引が行われる。図5に示す矢印「流路B」の向きで容器及びプラグの外側に液体が流出できるようにスリット型孔22aは開く。このため、容器内部では減圧が生じ、開いた孔を介してディップチューブ24及びプラグから液体が出る。この減圧量は、例えば香水をスプレーする場合、約5〜10mbarである。この減圧により傘型弁が開き、空気が、図5に示す矢印「流路A」の向きで、空気抜きスロット21c及びそれに対応するプラグキャップ23のスロットを介して容器3内に流れ込むことができる。このように、ある量の液体が吐出される際には容器内部の減圧が生じる。生じた減圧により開いた傘型弁から流入する空気により、容器の内側と外側との圧力平衡がとれるように、噴出された体積分が空気により置換される。
【0026】
このように、弁が閉じている場合には、液体は、図5に示すような保持力A及び保持力Bによって容器内にとどまっている。これにより、ボトルがカニューレシステムとつながっていない場合、又は、ボトルに蓋がない場合に、液体が噴出するのを防ぐことができる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明してきたが、その概念を含んでいれば他の実施の形態でもよいことは当業者にとって自明であろう。したがって、本発明は、ここに開示された実施の形態に限定されるものではなく、別記の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5