特許第6247065号(P6247065)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247065現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管および現場打ちコンクリート系杭の築造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247065
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管および現場打ちコンクリート系杭の築造方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 11/00 20060101AFI20171204BHJP
   E02D 5/38 20060101ALI20171204BHJP
   E02D 7/22 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   E02D11/00
   E02D5/38
   E02D7/22
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-200246(P2013-200246)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-67950(P2015-67950A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】市村 仁志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
(72)【発明者】
【氏名】川上 浩史
【審査官】 袴田 知弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−200363(JP,A)
【文献】 特開2009−249963(JP,A)
【文献】 特開2000−170160(JP,A)
【文献】 特開平04−020613(JP,A)
【文献】 特開2010−163843(JP,A)
【文献】 特開2010−007225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 11/00
E02D 5/38
E02D 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管と、この鋼管の先端に着脱可能に取り付けられて先端面に掘削用刃体を有する先端掘削刃とでなり、前記鋼管の先端の内周面に内径側へ突出する突起設けられると共に、前記先端掘削刃に、前記鋼管が地盤に貫入する回転方向に回転するとき前記突起に当接して前記先端掘削刃を前記鋼管と一体に回転させる回転受け部、前記鋼管側へ軸方向に突出して設けられ、前記回転受け部の先端に、この回転受け部が前記突起と当接した状態にあるとき、前記突起の鋼管反先端側の面に係止して前記鋼管と前記先端掘削刃とが軸方向に分離することを規制する分離規制部が設けられ、前記回転受け部の前記突起に対向する面は、前記鋼管に前記先端掘削刃が取り付けられた状態における前記先端掘削刃の回転軸心と平行であり、かつ前記分離規制部の前記突起に対向する面は、前記回転受け部の前記突起に対向する面に対して鈍角を成すコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管。
【請求項2】
鋼管と、この鋼管の先端に着脱可能に取り付けられて先端面に掘削用刃体を有する先端掘削刃とでなり、前記鋼管の先端の内周面に内径側へ突出する突起が設けられると共に、前記先端掘削刃に、前記鋼管が地盤に貫入する回転方向に回転するとき前記突起に当接して前記先端掘削刃を前記鋼管と一体に回転させる回転受け部が、前記鋼管側へ軸方向に突出して設けられ、前記回転受け部の先端に、この回転受け部が前記突起と当接した状態にあるとき、前記突起の鋼管反先端側の面に係止して前記鋼管と前記先端掘削刃とが軸方向に分離することを規制する分離規制部が設けられ、前記分離規制部の前記突起に対向する面は、前記回転受け部の前記突起に対向する面に対して鈍角を成すコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管において、前記先端掘削刃に、前記鋼管に前記先端掘削刃が取り付けられた状態において前記鋼管の内部に挿入されて前記鋼管と前記先端掘削刃との隙間を塞ぐ立ち上がり部けられたコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管において、前記鋼管の下端に、この鋼管の外周面よりも外周側に突出した螺旋状溝形成用刃体けられたコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管。
【請求項5】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管を使用する現場打ちコンクリート系杭の築造方法であって、
前記掘削刃取付け鋼管を、前記先端掘削刃が下側となるように支持した状態で、前記突起に対して前記回転受け部が当接する方向に回転させつつ押し下げることによって、前記先端掘削刃により下方に掘削しながら地盤に挿入する過程と、
前記鋼管内にモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを充填する過程と、 前記突起から前記回転受け部が離れる方向に前記鋼管を回転させつつ引き上げて、前記鋼管から前記先端掘削刃を分離させた後、前記鋼管のみを地盤から引き抜くことによって、前記鋼管の抜き跡となる杭孔に前記鋼管内のモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを流し込む過程と、
を含む現場打ちコンクリート系杭の築造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の基礎を支えるために地中に現場打ちで築造されるコンクリート系杭の築造に用いる現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管、および現場打ちコンクリート系杭の築造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱な地盤の上に建物を建てる場合、柱状改良工法、小口径鋼管杭を埋設する工法等により地盤を補強することが行われている。柱状改良工法は、地盤に杭孔を掘削しながら、掘削した土に固化材を混入して撹拌することにより、土を固化材で固めた柱状改良杭を築造する工法である。
【0003】
上記柱状改良工法に代わるものとして、特許文献1に、先端に掘削爪を有する掘削オーガにより地盤に杭孔を掘削し、その杭孔にセメント等からなる水硬性固化材液を充填しつつ、掘削オーガを地盤から引き上げることにより、水硬性固化材液が固化した置換コラムを築造する工法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、鋼管等からなる筒状のケーシングの下端に掘削刃を有する先端ヘッドを着脱可能に装着し、前記ケーシングおよび先端ヘッドを回転させつつ地中に貫入し、ケーシング内にセメントミルク等を充填し、その後、ケーシングから先端ヘッドを切り離してケーシングのみを地中から引き抜くことにより、コンクリート系杭を築造する工法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−106253号公報
【特許文献2】特開2006−77388号公報
【特許文献3】特開2010−59603号公報
【特許文献4】特開2004−124398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の柱状改良工法は、次のような問題がある。
・現場の土と固化材を現場で混合撹拌するため、現場の土質、攪拌方法等により、築造された柱状改良杭の品質にばらつきが生じる。
・固化不良や撹拌不良による強度不足を回避するために、多量の固化材スラリーを注入する必要がある場合があり、環境への負荷が大きい。
・土質によっては、六価クロム等の有害な物質が溶出する可能性がある。事前に六価クロム等が溶出するか否かを試験して、溶出が無いことを確認することは可能であるが、それには費用と期間を要する。
【0007】
小口径鋼管杭を埋設する工法は、次のような問題がある。
・小口径鋼管杭の先端を比較的硬い地盤(一般的にN値>10)に支持させる必要があるため、地盤によっては適用できない場合がある。
・小口径鋼管杭の腐食による劣化が懸念される。そのため、予め腐食しろを見込んで設計している。
【0008】
特許文献1の工法は、現場の土を固化材と混合させないので、従来の柱状改良工法の各問題が生じない。しかし、特許文献1の方法は、掘削オーガを地盤から引き上げるときに杭孔の内周面の一部が崩落して、水硬性固化材液に土が混じり込み、良好な置換コラムが形成されない可能性がある。
【0009】
特許文献2の工法は、筒状のケーシング内にセメントミルク等を充填した後、ケーシングを地中から引き抜くため、杭孔の内周面が崩落する心配がない。この工法では、ケーシングに対して先端ヘッドが着脱可能に装着され、ケーシングを地中から引き抜く際にケーシングから先端ヘッドが切り離されて、先端ヘッドは杭孔の底に残される。そのため、ケーシングへの先端ヘッドの装着が容易で、かつケーシングから先端ヘッドが確実に分離されることが求められる。
【0010】
特許文献2には、ケーシングに対する先端ヘッドの着脱構造の具体例が、同文献の段落0032〜0036、および図1図3に示されている。すなわち、ケーシングの下端内周面に形成された切欠部に、先端ヘッドの本体周壁部に設けられた凸部を挿入・脱出させることで、ケーシングに対して先端ヘッドを着脱する。切欠部に凸部が挿入された状態でケーシングを所定方向に回転させると、切欠部に凸部が係止して、ケーシングに先端ヘッドがつれ回りする。ケーシングの回転を停止しても、切欠部のフック部により凸部が下から受けられるため、ケーシングから先端ヘッドが分離しない。ケーシングを逆方向に回転させると、上記切欠部のフック部から凸部が外れるため、ケーシングから先端ヘッドを分離することが可能となる。
【0011】
上記例の着脱構造は、ケーシングに先端ヘッドを装着する際、ケーシングと先端ヘッドの軸心を揃え、かつ切欠部と凸部の円周方向位相を揃えた状態で、ケーシングに対して先端ヘッドを軸方向に相対移動させなければならないため、先端ヘッドの装着が面倒である。また、ケーシング内への土の侵入を防ぐために、ケーシングに先端ヘッドを装着した状態において、ケーシングの内周に先端ヘッドの本体周壁部の外周全体が嵌る構成であるので、ケーシングを前記逆方向に回転させても、ケーシングの内周面と先端ヘッドの本体周壁部の外周面との摩擦抵抗によりケーシングに対して先端ヘッドがつれ回りして、切欠部のフック部から凸部が外れなかったり、外れてもケーシングの内周面から先端ヘッドの本体周壁部が抜けなかったりして、先端ヘッドが分離しない可能性がある。先端ヘッドが分離しないと、ケーシング内に充填されたセメントミルク等がケーシングと共に持ち上がってしまう。
【0012】
この発明の目的は、現場の土の状態に影響されることなく品質の安定した地盤補強用のコンクリート系杭を築造することができ、かつ先端掘削刃の取付時における位相合わせ等が不要であり、現場での施工が容易で確実にコンクリート系杭を築造することができる現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管を提供することである。
この発明の他の目的は、現場の土の状態に影響されることなく品質の安定した地盤補強用のコンクリート系杭を築造することができ、かつ先端掘削刃の取付時における位相合わせ等が不要であり、現場での施工が容易で確実にコンクリート系杭を築造することができる現場打ちコンクリート系杭の築造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管は、鋼管と、この鋼管の先端に着脱可能に取り付けられて先端面に掘削用刃体を有する先端掘削刃とでなり、前記鋼管の先端の内周面に内径側へ突出する突起設けられると共に、前記先端掘削刃に、前記鋼管が地盤に貫入する回転方向に回転するとき前記突起に当接して前記先端掘削刃を前記鋼管と一体に回転させる回転受け部、前記鋼管側へ軸方向に突出させて設けられている
【0014】
この構成の現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管を使用した現場打ちコンクリート系杭の築造は、以下のように行う。
まず、鋼管の先端に先端掘削刃を着脱可能に取り付けて、掘削刃取付け鋼管を準備する。鋼管への先端掘削刃の取付けは、鋼管と先端掘削刃の軸心を揃えた状態で、鋼管内に先端掘削刃を進入させることで行う。鋼管と先端掘削刃の円周方向位置を合わせる必要はない。このため、従来のように、ケーシングと先端ヘッドの軸心を揃え、かつ切欠部と凸部の円周方向位相を揃えた状態で、ケーシングに対して先端ヘッドを軸方向に相対移動させるのに比べて、位相合わせの必要がなく、取付けが容易である。
【0015】
このようにして準備された掘削刃取付け鋼管を、先端掘削刃が下側となるように支持する。そして、掘削刃取付け鋼管を、突起に対して回転受け部が当接する方向に回転させつつ押し下げることによって、先端掘削刃により下方に掘削しながら地盤に貫入する。次いで、地盤に貫入された掘削刃取付け鋼管の鋼管内にモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを充填する。
【0016】
その後、突起から回転受け部が離れる方向に鋼管を回転させつつ引き上げて、鋼管から先端掘削刃を分離させる。杭孔の掘削が完了した時点では鋼管と、後で説明する固定手段または分離規制部による先端掘削刃の固定が解除されているため、鋼管から先端掘削刃が確実に分離可能である。そして、鋼管のみを地盤から引き抜くことによって、鋼管の抜き跡となる杭孔に鋼管内のモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを流し込む。モルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクが硬化することで、コンクリート系杭が現場打ちで築造される。
【0017】
この掘削刃取付け鋼管を使用して現場打ちコンクリート系杭を築造すると、従来の柱状改良工法のように、現場の土と固化材を混合撹拌することがないので、現場の土の状態に影響されることなく、常に品質の安定した地盤補強用のコンクリート系杭を築造することができる。また、土質によって六価クロム等の有害な物質が溶出する心配がない。さらに、杭孔の周囲の土が鋼管によって周囲に押しやられて地盤が締め固められる。このため、コンクリート系杭の杭周面抵抗力が大きくとれる。
なお、先端掘削刃が地盤に接するまでは、鋼管から先端掘削刃が外れることがあるため、鋼管と先端掘削刃を仮の固定手段により固定しておくか、または次のよう分離規制部で先端掘削刃が外れることを規制する。
【0018】
この発明は前記構成において、前記先端掘削刃に、前記回転受け部が前記突起と当接した状態にあるとき、前記突起の鋼管反先端側の面に係止して前記鋼管と前記先端掘削刃とが軸方向に分離することを規制する分離規制部が設けられていることを基本構成とする。 この構成であると、先端掘削刃の回転受け部が鋼管の突起と当接した状態にあるときは、突起の鋼管反先端側の面に先端掘削刃の分離規制部が係止して、鋼管と先端掘削刃とが軸方向に分離することを規制する。突起から回転受け部が離れると、突起に対する分離規制部の係止が解除され、鋼管から先端掘削刃が分離可能となる。よって、先端掘削刃が分離規制部を有していると、鋼管と先端掘削刃とを固定する固定手段を別途設けなくてもよく、構成が簡単になると共に、鋼管から先端掘削刃を取り外す手間が不要となる。
【0019】
この発明における第1のコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管は、前記基本構成において、前記回転受け部の前記突起に対向する面は、前記鋼管に前記先端掘削刃が取り付けられた状態における前記先端掘削刃の回転軸心と平行であり、かつ前記分離規制部の前記突起に対向する面は、前記回転受け部の前記突起に対向する面に対して鈍角を成している。
回転受け部の突起に対向する面が先端掘削刃の回転軸心と平行であると、鋼管の回転が先端掘削刃に円滑に伝達される。また、分離規制部の突起に対向する面が回転受け部の突起に対向する面に対して鈍角を成していると、鋼管の突起から先端掘削刃の回転受け部が離れる方向に鋼管を回転させることによって、突起の鋼管反先端側の面に対する分離規制部の係止が簡単に外れる。そのため、鋼管に対する先端掘削刃の分離が確実に行われる。 この発明における第2のコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管は、前記基本構成において、前記分離規制部の前記突起に対向する面は、前記回転受け部の前記突起に対向する面に対して鈍角を成している。
【0020】
この発明において、前記先端掘削刃に、前記鋼管に前記先端掘削刃が取り付けられた状態において前記鋼管の内部に挿入されて前記鋼管と前記先端掘削刃との隙間を塞ぐ立ち上がり部を設けても良い。
立ち上がり部が設けられていると、鋼管内に土が侵入することを防止でき、良好な現場打ちコンクリート系杭を築造することができる。
【0021】
この発明において、前記鋼管の下端に、この鋼管の外周面よりも外周側に突出した螺旋状溝形成用刃体を設けても良い。
螺旋状溝形成用刃体が設けられていると、掘削刃取付け鋼管を用いて杭孔を掘削することにより、杭孔の外周に螺旋状の溝が形成される。鋼管内にモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを充填して鋼管のみを地盤から引き抜くことによって、杭孔だけでなく螺旋状の溝にもモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクが流し込まれて、螺旋状の節付きコンクリート系杭が築造される。コンクリート系杭が螺旋状の節付きであると、杭周面のせん断抵抗が大きい。そのため、コンクリート系杭の杭周面抵抗力がより一層大きくとれる。杭周面抵抗力が大きいと、以下の利点がある。
・杭径を小さくすることが可能となり、材料費の削減を図ることができる。
・コンクリート系杭の材料が少なくて済み、環境負荷を低減することができる。
・杭先端をN値が比較的小さな地盤に支持させることができるため、杭長を短くすることができる。
【0022】
この発明の現場打ちコンクリート系杭の築造方法は、前記掘削刃取付け鋼管を、前記先端掘削刃が下側となるように支持した状態で、前記突起に対して前記回転受け部が当接する方向に回転させつつ押し下げることによって、前記先端掘削刃により下方に掘削しながら地盤に挿入する過程と、前記鋼管内にモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを充填する過程と、前記突起から前記回転受け部が離れる方向に前記鋼管を回転させつつ引き上げて、前記鋼管から前記先端掘削刃を分離させた後、前記鋼管のみを地盤から引き抜くことによって、前記鋼管の抜き跡となる杭孔に前記鋼管内のモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを流し込む過程とを含む。
このように、地盤に挿入された掘削刃取付け鋼管の鋼管内にモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを充填した後、鋼管のみを地盤から引き抜くことによって、鋼管の抜き跡となる杭孔に鋼管内のモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを流し込む。モルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクが硬化することで、コンクリート系杭が現場打ちで築造される。
【発明の効果】
【0023】
この発明の節付き現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管は、鋼管と、この鋼管の先端に着脱可能に取り付けられて先端面に掘削用刃体を有する先端掘削刃とでなり、前記鋼管の先端の内周面に内径側へ突出する突起設けられると共に、前記先端掘削刃に、前記鋼管が地盤に貫入する回転方向に回転するとき前記突起に当接して前記先端掘削刃を前記鋼管と一体に回転させる回転受け部、前記鋼管側へ軸方向に突出して設けられ前記回転受け部の先端に、この回転受け部が前記突起と当接した状態にあるとき、前記突起の鋼管反先端側の面に係止して前記鋼管と前記先端掘削刃とが軸方向に分離することを規制する分離規制部が設けられ、前記分離規制部の前記突起に対向する面は、前記回転受け部の前記突起に対向する面に対して鈍角を成すため、現場の土の状態に影響されることなく品質の安定した地盤補強用のコンクリート系杭を築造することができ、かつ先端掘削刃の取付時における位相合わせ等が不要であり、現場での施工が容易で確実にコンクリート系杭を築造することができる。
【0024】
この発明の現場打ちコンクリート系杭の築造方法は、前記掘削刃取付け鋼管を、前記先端掘削刃が下側となるように支持した状態で、前記突起に対して前記回転受け部が当接する方向に回転させつつ押し下げることによって、前記先端掘削刃により下方に掘削しながら地盤に挿入する過程と、前記鋼管内にモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを充填する過程と、前記突起から前記回転受け部が離れる方向に前記鋼管を回転させつつ引き上げて、前記鋼管から前記先端掘削刃を分離させた後、前記鋼管のみを地盤から引き抜くことによって、前記鋼管の抜き跡となる杭孔に前記鋼管内のモルタルまたは生コンクリートまたはセメントミルクを流し込む過程とを含むため、現場の土の状態に影響されることなく品質の安定した地盤補強用のコンクリート系杭を築造することができ、かつ先端掘削刃の取付時における位相合わせ等が不要であり、現場での施工が容易で確実にコンクリート系杭を築造することができる
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の一実施形態にかかる現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管の正面図である。
図2】(A)は同掘削刃取付け鋼管の鋼管の先端部の断面図、(B)はその側面図である。
図3】(A)は同掘削刃取付け鋼管の先端掘削刃の平面図、(B)はその正面図、(C)はその底面図である。
図4】同先端掘削刃の斜視図である。
図5】(A)は図1のVA−VA断面図、(B)は図5(A)のVB−VB断面図である。
図6図1ないし図5に示す掘削刃取付け鋼管を用いて行う現場打ちコンクリート系杭の築造方法の各過程の説明図である。
図7】同掘削刃取付け鋼管を地盤に回転貫入するときの初期段階の各過程を示す説明図である。
図8】異なる先端掘削刃の斜視図である。
図9】(A)は同先端掘削刃と取り付けた掘削刃取付け鋼管の水平断面図、(B)はそのIXB−IXB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施形態にかかる現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管について図面と共に説明する。図1に示すように、この掘削刃取付け鋼管1は、鋼管10と、この鋼管10の先端(図1では下端)に着脱可能に取り付けられる先端掘削刃20とでなる。
【0027】
図2に示すように、鋼管10の先端には、この鋼管10の外周面よりも外周側に突出した複数個(例えば2個)の螺旋状溝形成用刃体11が設けられている。螺旋状溝形成用刃11は、鋼管10が軸心O1回りに所定の掘削回転方向(A方向)に回転するとき先端側が先行するように傾斜角度が付けられている。掘削回転方向は、掘削刃取付け鋼管1を地盤に貫入する過程における鋼管10の回転方向である。この例の場合、掘削回転方向は、上から見て右回転方向である。鋼管10の先端内周面の円周方向複数箇所(例えば2箇所)に、内径側へ突出するブロック状の突起13が設けられている。図示の例では、ブロック状の突起13の軸方向位置は、前記螺旋状溝形成用刃体11とほぼ同じとされている。
【0028】
図3図4に示すように、先端掘削刃20は、全体が鋳造または鍛造による鋼製の一体成形品からなる。先端掘削刃20は、外径寸法が鋼管10とほぼ同じで、反先端側に鋼管10の先端部に嵌り込み可能な円筒状の立ち上がり部21aが形成された掘削刃本体21を有する。立ち上がり部21aの高さは、例えば1cm程度である。鋼管10の先端部に立ち上がり部21aが嵌り込んだ状態では、図5(B)のように、鋼管10の先端面14が掘削刃本体21の立ち上がり部21aに隣接する段面21bに当接する。このように、鋼管10の中に先端掘削刃20の立ち上がり部21aが入り込んで連結され、鋼管10とと立ち上がり部21aの外周面との間にほとんど隙間が生じない。
【0029】
図3(B),(C)において、掘削刃本体21の先端面は円すい状面21cとされ、この円すい状面21cに2条の掘削用刃体22が設けられている。2条の掘削用刃体22は、それぞれ先端掘削刃20の軸心O2を通る直径線Lを挟む両側に隣接して同直径線Lと平行に設けられている。詳しくは、一方の掘削用刃体22は、直径線方向の一方の外周側の位置から、軸心O2を越えて、軸心O2ともう一方の外周側の位置との間の中間位置まで延びている。もう一方の掘削用刃体22は、直径線方向のもう一方の外周側の位置から、軸心O2を越えて、軸心O2と前記一方の外周側の位置との間の中間位置まで延びている。
【0030】
各掘削用刃体22の直径線方向外周側端は、先端側に突出した外刃部22aとされ、他端は外刃部22aよりも先端側に突出した内刃部22bとされている。外刃部22aの直径線方向外側面22aaおよび内刃部22bの直径線方向外側面22baは、いずれも軸心O2に沿う面である。よって、外刃部22aおよび内刃部22bの先端は正面視で鋭角に形成され、地中に食い込み易くなっている。各掘削用刃体22は、直径線Lと直交する方向に一定の幅を有し、直径線Lと直交する方向のどの箇所でも掘削刃本体20に対する高さは同じである。
【0031】
また、図3(A),(B)、図4に示すように、掘削刃本体21には、前記立ち上がり部21aよりも反先端側に突出した複数(例えば2つ)のフック状体23が設けられている。フック状体23は、掘削刃本体21の立ち上がり部21aよりも内周側の位置から立ち上がり部21aよりも反先端側、すなわち鋼管10に先端掘削刃20を取り付けたときに鋼管側へ突出する回転受け部23aと、この回転受け部23aの反先端側端から円周方向に屈曲した分離規制部23bとからなる。回転受け部23aの円周方向一方の面F1は、鋼管10に先端掘削刃20を取り付けた状態において鋼管10の前記突起13の側面に対向する面であって、この面F1は、先端掘削刃20の軸心O2と平行である。また、分離規制部23bの先端側の面F2は、鋼管10に先端掘削刃20を取り付けた状態において鋼管10の前記突起13の反先端面に対向する面であって、この面F2は、前記面F1に対して鈍角を成す。軸心O2と垂直な面に対する面F2の仰角αは、例えば5°程度とする。
【0032】
図5は、鋼管10と先端掘削刃20の取付部の断面図である。鋼管10への先端掘削刃20の取付けは、次のように行う。すなわち、鋼管10の先端側に先端掘削刃20を配置し、かつ鋼管10と先端掘削刃20の各軸心O1,O2を揃えた状態で、先端掘削刃20を鋼管10の側へ相対移動させて、鋼管10の先端部に先端掘削刃20の立ち上がり部21aを嵌め込む。このとき、鋼管10の突起13と、先端掘削刃20のフック状体23の回転受け部23aとは、互いに軸方向位置が合っている。この状態で、鋼管10に対して先端掘削刃20を反掘削回転方向(反A方向)に回転させることで、突起13の側面に回転受け部23aの面F1が当接すると共に、突起13の反先端面に分離規制部23bの面F2が係止する。これで取付け完了である。鋼管10の先端部に先端掘削刃20の立ち上がり部21aを嵌め込まれているので、先端掘削刃20をぐらつくことなく安定して取り付けることができる。この取付け作業は、鋼管10の先端部に先端掘削刃20の掘削刃本体立ち上がり部21aを嵌め込む際に、突起13とフック状体23の円周方向位相を揃える必要がないので、容易に行うことができる。
【0033】
この構成の現場打ちコンクリート系杭築造用の掘削刃取付け鋼管を使用した現場打ちコンクリート系杭の築造方法を、図6図7と共に説明する。
【0034】
まず、図6(A)のように、自走可能な作業車両2等に搭載された回転機構付きの杭打ち装置3に、掘削刃取付け鋼管1を先端掘削刃20が下側となるように支持させる。掘削刃取付け鋼管1の鋼管10は、上端を杭打ち装置3の昇降ヘッド4に固定して取り付けておいても良い。その場合、現場打ちコンクリート系杭を築造するごとに、杭打ち装置3により吊り上げた状態の鋼管10の先端に、前記取付け作業により先端掘削刃20を取り付ける。
【0035】
次いで、図6(B)のように、鋼管10を掘削回転方向(A方向)、すなわち突起13(図5)に対してフック状体23(図5)の回転受け部23aが当接する方向に回転させつつ押し下げる。これにより、先端掘削刃20の各掘削用刃体22により地盤30を下方に掘削し、かつ鋼管10に設けられた螺旋状溝形成用刃11により鋼管10の外周の土に螺旋状の溝31を形成しながら、掘削刃取付け鋼管1を地盤30に貫入する。鋼管10から先端掘削刃20へ突起13およびフック状体23を介して回転力が伝達されるが、フック状体23の回転受け部23aの突起13に対向する面F1が鋼管10および先端掘削刃20の回転軸心O1,O2と平行であるため、鋼管10の回転が先端掘削刃20に円滑に伝達される。鋼管10の先端部に先端掘削刃20の立ち上がり部21aを嵌め込まれて、鋼管10と先端掘削刃20の隙間を塞いでいるので、鋼管10の中に土が入り込まない。
【0036】
各掘削用刃体22により地盤30を掘削する際、図7(A),(B)のように、先に内刃部22bが地盤30に食い込み、その後で、図7(C)のように、外刃部22aが地盤30に食い込む。このように先端掘削刃20の軸心O2に近い内刃部22bが先に地盤30に食い込むため、掘削刃取付け鋼管1の先端部を側方に振れ動かす力が小さい。外刃部22aが地盤30に食い込むときに、掘削刃取付け鋼管1の先端部を側方に振れ動かす力が作用するが、内刃部22bの軸心O2に沿う直径線方向外側面22baが地盤30の掘削済み周面H1と水平方向においてしっかりと係合し、この係合作用によって、掘削刃取付け鋼管1の先端部の振れ動きが防がれる。また、外刃部22aの直径線方向外側面22aaも軸心O2に沿う面であるので、図7(D)のように、外刃面22aが一旦地盤に食い込んでしまえば、外刃部22aの直径線方向外側面22aaが掘削済み周面H2と係合して、掘削刃取付け鋼管1の先端部が側方に振れ動くのが防がれる。こうして、掘削刃取付け鋼管1の回転貫入初期段階において、掘削刃取付け鋼管1の先端部が側方に振れ動くことが防がれ、掘削刃取付け鋼管1を安定して地盤30に貫入させることができる。
【0037】
また、螺旋状溝形成用刃11に前記傾斜角度が付けられているため、螺旋状溝形成用刃11が回転することにより、掘削刃取付け鋼管1全体に対して下向きへの推進力が働く。このため、間隔が一定した規則的な形状の螺旋状の溝31が形成され易い。
【0038】
さらに、この実施形態では、掘削刃本体21の先端面が円すい状面21cとされているため、掘削された土が円すい状面21cに沿って先端掘削刃20の外周側へ案内される。これにより、掘削刃取付け鋼管1が回転貫入により地盤30にスムーズに貫入されてゆく。しかも、掘削用刃体22で掘削された土が先端掘削刃20の外周側へ案内されることで、掘削刃付き鋼管1の外周側の土が掘削刃付き鋼管1の外周部で密に圧縮されて、地盤30が締め固められる。
【0039】
次いで、図6(C)のように、地盤30に貫入された掘削刃取付け鋼管1の鋼管10内に、セメントミルクSを充填する。セメントミルクSの代わりに、モルタルまたは生コンクリートを充填しても良い。
【0040】
セメントミルクSの充填が完了したら、鋼管10を反掘削回転方向(反A方向)、すなわち突起13(図5)からフック状体23(図5)の回転受け部23aが離れる方向に回転させつつ引き上げて、鋼管10から先端掘削刃20を分離させる。フック状体23の分離規制部23bの前記面F2が回転受け部23aの前記面F1に対して鈍角を成しているため、鋼管10を反掘削回転方向に回転させることによって、突起13に対するフック状体23の分離規制部23bの係止が簡単に外れる。突起13の鋼管反先端側の面にフック状体23の分離規制部23bが互いに係止することによってのみ鋼管10と先端掘削刃20とが軸方向に分離しないようになっているため、前記係止が外れれば、鋼管10から先端掘削刃20が確実に分離可能となる。
【0041】
そして、鋼管10を反掘削回転方向に回転させながら鋼管10のみを地盤30から引き抜くことによって、図6(D)のように、鋼管10の抜き跡となる杭孔32および螺旋状の溝31に鋼管10内のセメントミルクSを流し込む。鋼管10から分離された先端掘削刃20は、杭孔32の底に残される。杭孔32内のセメントミルクSを、バイブレーター等を用いて締め固めても良い。鋼管10を完全に引き抜いたなら、セメントミルクSの杭頭部Saを平滑に均す。これにより施工が完了する。セメントミルクSが硬化することで、現場打ちコンクリート系杭33となる。
【0042】
この現場打ちコンクリート系杭33は、円柱状の杭本体の外周に螺旋状の節を有し、この螺旋状の節が地盤30に食い込んでいる。また、掘削刃取付け鋼管1を地盤30に貫入する過程において、杭孔43となる部分の土が鋼管10によって周囲に押しやられて地盤15が締め固められる。そのため、杭周面のせん断抵抗が大きい。
【0043】
現場打ちコンクリート系杭33の杭周面抵抗力が大きいと、以下の利点がある。
・杭径を小さくすることが可能となり、材料費の削減を図ることができる。
・現場打ちコンクリート系杭33の材料が少なくて済み、環境負荷を低減することができる。
・杭先端をN値が比較的小さな地盤に支持させることができるため、杭長を短くすることができる。
【0044】
この掘削刃取付け鋼管1を使用した現場打ちコンクリート系杭の築造方法は、従来の柱状改良工法のように、現場の土と固化材を混合撹拌することがないので、現場の土の状態に影響されることなく、常に品質の安定した地盤補強用のコンクリート系杭を築造することができる。また、土質によって六価クロム等の有害な物質が溶出する心配がない。さらに、杭孔の周囲の土が鋼管によって周囲に押しやられて地盤が締め固められるため、コンクリート系杭の杭周面抵抗力が大きくとれる。
【0045】
まとめると、この掘削刃取付け鋼管1は、鋼管10の先端に上記構成の先端掘削刃20を着脱可能に取り付けたことにより、以下の効果が得られる。
・先端掘削刃20により、所定の杭径を確保することができる。
・先端掘削刃20により、先端支持力を確保できる。
・フック状体23の分離規制部23bの角度を工夫したことで、鋼管10に対して先端掘削刃20をスムーズに脱着することができる。
・鋼管10の先端に嵌め込まれる立ち上がり部21aを先端掘削刃20に設けたことにより、回転貫入時における鋼管10内への土の侵入を防止できる。
・上記立ち上がり部21aを設けたことにより、鋼管10に対して先端掘削刃20を安定して取り付けることができる。
【0046】
前記実施形態の先端掘削刃20は、回転受け部23aと分離規制部23bとからなるフック状体23が設けられているが、このフック状体23に代えて、図8図9に示すように、分離規制部23bは有さず回転受け部23aのみからなるものを設けても良い。これ以外の構成は、前記実施形態と同じである。この構成の場合も、前記実施形態と同様に、鋼管10への先端掘削刃20の取付けが容易で、かつ鋼管引き抜き時に鋼管10から先端掘削刃20を確実に分離することができる。
【0047】
ただし、図8図9のように分離規制部23bを有しない場合、杭打ち装置3(図6)に掘削刃取付け鋼管1を設置してから、施工時に先端掘削刃20が接地するまでの間、鋼管10から先端掘削刃20が抜けないように両者を固定しておく固定手段(図示せず)を設ける必要がある。固定手段は、鋼管10と先端掘削刃20を一時的に固定するものであり、鋼管10が地盤へ進入すると次のように外されていて、地盤への進入の邪魔にならないため、鋼管10の外周に大きく突出するものであっても良く、例えば磁石、ピン、ベルト等を用いた簡易な構成とすることができる。また、固定手段は、その固定および解除操作を人手等により容易に行えることが望ましい。コンクリート系杭の築造時に、掘削刃取付け鋼管1を下降させて先端掘削刃20が地表に当接したなら、鋼管10から先端掘削刃20が抜けることがなくなるので、固定手段による鋼管10と先端掘削刃20の固定を解除する。
【符号の説明】
【0048】
1…掘削刃取付け鋼管
10…鋼管
11…螺旋状溝形成用刃体
13…突起
20…先端掘削刃
21a…立ち上がり部
22…掘削用刃体
23…フック状体
23a…回転受け部
23b…分離規制部
30…地盤
31…螺旋状の溝
32…杭孔
33…現場打ちコンクリート系杭
F1…回転受け部の突起に対向する面
F2…分離規制部の突起に対向する面
O1…鋼管の軸心
O2…先端掘削刃の軸心
S…セメントミルク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9