(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のアクリル系樹脂ペレットおよび光学フィルムの製造方法について詳細に説明する。
【0019】
本発明における樹脂ペレットおよび光学フィルムの製造は、生産性や作業環境性から、溶融押出法を好適に使用できる。
【0020】
図1は、本発明の樹脂ペレットおよび光学フィルムの製造方法に係る装置の一例を模式的に示す図である。樹脂ペレットおよび光学フィルムの原料たるアクリル系樹脂組成物が溶融押出装置10に投入され、溶融押出装置10内において、ガラス転移温度以上の温度まで加熱され、溶融状態となる。溶融状態のアクリル系樹脂組成物は、押出機の出口側に取り付けられた樹脂濾過フィルター11に移行する。樹脂濾過フィルター11内において、アクリル系樹脂組成物を滞留させ、樹脂濾過フィルター11の出口側に取り付けられたダイス12に移行し、ダイス先端のダイス出口13から溶融状態のまま、吐出される。その吐出時において、ダイス出口の形状により、溶融状態のアクリル系樹脂組成物14はストランドとなる。
【0021】
この溶融状態にあるアクリル系樹脂組成物のストランドを水槽15で固化し、ガイドロール16でペレタイザ17へ送り、ペレタイザ17でストランドを切断することによりアクリル系樹脂組成物をペレット化し、樹脂ペレットが得られる。
【0022】
以降の工程は図示しないが、得られた樹脂ペレットを、押出機に投入し、溶融混練を行い、先端に取り付けたTダイより、溶融状態のまま、吐出される。その吐出時において、ダイ出口の形状により、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物はシート形状をとる。
【0023】
続いて、ダイ出口から吐出されたシート状の熱可塑性樹脂組成物を、弾性ロールとキャストロールで挟み込むことにより、熱可塑性樹脂組成物を、そのガラス転移温度以下の温度に冷却し、光学フィルムを取得することができる。また、溶融状態にあるシート状の熱可塑性樹脂組成物を、弾性ロールを用いずに、キャストロール上にキャストさせることのみによっても、光学フィルムを取得することができる。
なお、当該挟み込み成形工程は、フィルム表面の平滑化のための工程であり、フィルムを延伸するための工程とは異なる。
【0024】
[溶融混練する工程(A)]
不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むアクリル系樹脂組成物を溶融押出装置に投入し、溶融押出装置中で溶融混練する工程(A)について説明する。
【0025】
前記工程(A)は、樹脂組成物が溶融押出装置に投入された時点から当該樹脂組成物がスクリューの回転を受け終えた時点までをいう。
【0026】
(溶融押出装置)
本発明に用いられる溶融押出装置としては、特に限定されず、各種押出機を使用でき、例えば、単軸押出機、二軸押出機または多軸押出機等を用いることができる。
【0027】
中でも、混練度が高く、反応速度の向上に繋がるため二軸押出機を用いることが好ましい。
【0028】
上記例示した溶融押出装置は単独で用いてもよいし、複数を直列に連結して用いてもよい。
【0029】
また、押出機のシリンダー温度は環化反応を進行させるために220℃〜300℃が好ましく、240℃〜280℃がより好ましい。
【0030】
[溶融樹脂を滞留させる工程(B)]
前記工程(A)後に溶融樹脂を滞留させる工程(B)について説明する。
【0031】
本発明においては、アクリル系樹脂組成物を溶融混練し、溶融樹脂とした後に、当該溶融樹脂を滞留させる工程(B)を含む。
【0032】
前記工程(B)は、前記工程(A)の後、樹脂組成物が、所定の温度雰囲気下で静流状態となった時点からこの状態が終了する時点までをいう。
【0033】
また、本発明において、滞留とは、溶融樹脂をダイ吐出口まで高温雰囲気下で静流状態とすることをいう。
【0034】
滞留は、系内の温度T(℃)が、240℃≦T≦300℃となる条件下で行う。好ましくは、245℃≦T≦290℃であり、より好ましくは、250℃≦T≦280℃である。240℃未満であると、フィルター内圧が許容範囲を超えてフィルターを損傷する可能性があり、300℃を超えると樹脂の熱劣化が激しくなる。
温度Tは、フィルターの温調ヒーター(例えばバンドヒーター等)により設定測定できる。
【0035】
(樹脂濾過フィルター)
前記工程(B)は、具体的には、例えば、単管やベッセル管などが挙げられる。しかし、十分な滞留時間を確保するために非常に長い単管、又は、大型のベッセル管が必要となるためコストの観点から不利となる。更に、既存設備には制限があるため、小型設備しか導入できない。以上の理由のため、樹脂濾過フィルター中で行うことが好ましい。
【0036】
さらに、樹脂濾過フィルターを用いることにより、溶融樹脂および成形体中の異物を低減できる。
【0037】
本発明において、溶融押出装置の後に、樹脂濾過フィルターを備え、前記工程(B)を樹脂濾過フィルター中で行う場合について説明する。
【0038】
樹脂濾過フィルターとしては、例えば、リーフディスクフィルターやカートリッジフィルターや糸巻きフィルターやプリーツ型フィルターなどを用いることができるが、耐圧・耐高温性及び異物によるフィルター目詰りまでの時間が長く、滞留時間を持たせるために、リーフディスク型樹脂濾過フィルターを備えることが好ましい。
【0039】
なお、本発明に用いられる樹脂濾過フィルターは、押出機の出口側に取り付ける他、押出機と樹脂濾過フィルターの間に介したギアポンプの出口側に取り付けるなどし、前記工程(A)後に前記工程(B)を経ることができれば、特に限定されない。
【0040】
[工程(A)および(B)]
本発明において、前記工程(A)および前記工程(B)の合計時間t(分)は、10分≦t≦40分である。好ましくは、15分≦t≦35分である。10分未満であると、環化反応が十分に促進せず、フィルム中に発泡が現れ、40分を超えると、樹脂の熱劣化が激しくなる。
【0041】
(ダイス)
本発明のアクリル系樹脂ペレットの製造において、ダイスを用いる場合について説明する。
【0042】
ダイスの形状としては、例えば、矩形状、コートハンガー状、フィッシュテール状、ティー状などが挙げられ、フィルムを製造する場合は、ティー状、ペレットを製造する場合は、一般的にペレット化に用いられるダイスを用いることができる。
【0043】
[アクリル系樹脂組成物]
本発明で用いるアクリル系樹脂組成物は、不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むアクリル系樹脂組成物である。
【0044】
不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分としては、例えば、分子内環化反応前または一部分子内環化反応が行われたグルタル酸無水物単位を有するアクリル系樹脂や、グルタルイミドアクリル系樹脂が挙げられる。
【0045】
不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては特に限定されないが、例えばアルキル残基の炭素数1〜10である(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリクロロエチルメタクリレート、メタクリル酸イソボロニル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種類以上を併用して使用することができる。
【0046】
不飽和カルボン酸としては、不飽和カルボン酸アルキルエステルと共重合可能な不飽和カルボン酸であれば特に限定されず、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられる。また、これらの塩も使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどの(メタ)アクリル酸の塩が挙げられる。熱安定性に優れる点から(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0047】
不飽和カルボン酸アルキルエステルおよび不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分は、不飽和カルボン酸アルキルエステルおよび不飽和カルボン酸以外の構成単位を有していてもよい。そのような構成単位としては特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類;マレイン酸、フマール酸のエステル等;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレンなどのアルケン類:ハロゲン化アルケン類;アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーが挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種類以上を併用して使用することができる。
【0048】
グルタルイミドアクリル系樹脂の場合、不飽和カルボン酸アルキルエステルの構成単位を有するアクリル系樹脂をイミド化剤によってグルタルイミド化反応する際、不飽和カルボン酸アルキルエステル構造単位の一部のアルキルエステル基がカルボン酸基に変換されるため、溶融押出時に残存するカルボン酸基およびアルキルエステル基が脱アルキルアルコール化することにより分子内環化反応し、ガスが発生するため、本発明に適用する意義がある。
【0049】
不飽和カルボン酸アルキルエステルの構成単位を有する樹脂成分の好適な一例としては、メタクリル酸メチル30〜100重量%およびこれと共重合可能なモノマー70〜0重量%を重合して得られるアクリル系樹脂が挙げられる。このアクリル系樹脂中、メタクリル酸メチルは、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜99.9重量%、さらに好ましくは50〜98重量%含有され、メタクリル酸メチルと共重合可能なモノマーは、好ましくは70〜0重量%、より好ましくは50〜0.1重量%、さらに好ましくは50〜2重量%含有される。メタクリル酸メチルの含有量が30重量%未満ではアクリル系樹脂特有の光学特性、外観性、耐候性、耐熱性が低下してしまう傾向がある。また、加工性、外観性の観点から、多官能性モノマーは使用しないことが望ましい。
【0050】
上記イミド化剤としては特に限定されず、例えば、アンモニア又は一級アミンを用いることができる。上記一級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有一級アミン、アニリン、ベンジルアミン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有一級アミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式炭化水素基含有一級アミンが挙げられる。
【0051】
上記イミド化剤としては、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素等の、加熱によりアンモニア又は一級アミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。
【0052】
上記イミド化剤のうち、コスト、物性の面から、アンモニア、メチルアミン、シクロヘキシルアミンを用いることが好ましく、メチルアミンを用いることが特に好ましい。
【0053】
このイミド化の工程においては、上記イミド化剤に加えて、必要に応じて、閉環促進剤を添加してもよい。
【0054】
上記イミド化剤の添加量は特に限定されず、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂におけるグルタルイミド単位の含有量に応じて調整すればよい。
【0055】
次に本発明に使用されるグルタルイミドアクリル系樹脂の好適な一例について説明する。好適なグルタルイミドアクリル系樹脂は、ガラス転移温度が120℃以上であり、下記一般式(1)で表される単位と、下記一般式(2)で表される単位とを含むことができる。
【0057】
上記一般式(1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R
3は、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、芳香環を含む炭素数5〜15の置換基である。上記一般式(1)で表される単位を、以下、「グルタルイミド単位」ともいう。
【0058】
上記一般式(1)において、好ましくは、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、R
3は、水素、メチル基、ブチル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくは、R
1はメチル基であり、R
2は水素であり、R
3はメチル基である。
【0059】
グルタルイミドアクリル系樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR
1、R
2、およびR
3のいずれか又は全てが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
【0060】
グルタルイミド単位は、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより形成することができる。また、無水マレイン酸等の酸無水物、当該酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル、または、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸)をイミド化することによっても、上記グルタルイミド単位を形成することができる。
【0061】
グルタルイミドアクリル系樹脂において、グルタルイミド単位の含有量は特に限定されず、例えば、R
3の構造等を考慮して適宜決定することができる。しかしながら、グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミドアクリル系樹脂全量のうち1.0重量%以上が好ましく、3.0重量%〜90重量%がより好ましく、5.0重量%〜60重量%がさらに好ましい。グルタルイミド単位の含有量が上記範囲より少ないと、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりする傾向がある。逆に上記範囲よりも多いと、不必要に耐熱性および溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなったり、フィルム加工時の機械的強度が極端に低くなったり、透明性が損なわれたりする傾向がある。
【0062】
グルタルイミド単位の含有量は以下の方法により算出される。
【0063】
1H−NMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂の
1H−NMR測定を行い、樹脂中のグルタルイミド単位またはエステル単位などの各モノマー単位それぞれの含有量(mol%)を求め、当該含有量(mol%)を、各モノマー単位の分子量を使用して含有量(重量%)に換算する。
【0064】
例えば、上記一般式(1)においてR
3がメチル基であるグルタルイミド単位とメチルメタクリレート単位からなる樹脂の場合、3.5から3.8ppm付近に現れるメタクリル酸メチルのO−CH
3プロトン由来のピークの面積aと、3.0から3.3ppm付近に現れるグルタルイミドのN−CH
3プロトン由来のピークの面積bから、以下の計算式によりグルタルイミド単位の含有量(重量%)を求めることができる。
[メチルメタクリレート単位の含有量A(mol%)]=100×a/(a+b)
[グルタルイミド単位の含有量B(mol%)]=100×b/(a+b)
[グルタルイミド単位の含有量(重量%)]=100×(b×(グルタルイミド単位の分子量))/(a×(メチルメタクリレート単位の分子量)+b×(グルタルイミド単位の分子量))
なお、モノマー単位として上記以外の単位を含む場合においても、樹脂中の各モノマー単位の含有量(mol%)と分子量から、同様にグルタルイミド単位の含有量(重量%)を求めることができる。
【0066】
上記一般式(2)中、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R
6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数5〜15の置換基である。上記一般式(2)で表される単位を、以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう。なお、本願において「(メタ)アクリル」とは、「メタクリルまたはアクリル」を指すものとする。
【0067】
上記一般式(2)において、好ましくは、R
4およびR
5はそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、R
6は水素またはメチル基であり、より好ましくは、R
4は水素であり、R
5はメチル基であり、R
6はメチル基である。
【0068】
グルタルイミドアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR
4、R
5およびR
6のいずれか又は全てが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
【0069】
グルタルイミドアクリル系樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
【0071】
上記一般式(3)中、R
7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R
8は、炭素数6〜10のアリール基である。
【0072】
上記一般式(3)で表される芳香族ビニル単位としては特に限定されないが、スチレン単位、α−メチルスチレン単位が挙げられ、スチレン単位が好ましい。
【0073】
グルタルイミドアクリル系樹脂は、芳香族ビニル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、R
7およびR
8のいずれか又は双方が異なる複数の単位を含んでいてもよい。
【0074】
グルタルイミドアクリル系樹脂において、芳香族ビニル単位の含有量は特に限定されないが、グルタルイミドアクリル系樹脂全量のうち0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜15重量%が特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲より多いと、グルタルイミドアクリル系樹脂の十分な耐熱性を得ることができない。
【0075】
しかし本発明では、耐折り曲げ性および透明性の向上、フィッシュアイの低減、さらに耐溶剤性または耐候性の向上といった観点から、グルタルイミドアクリル系樹脂は芳香族ビニル単位を含まないことが好ましい。
【0076】
グルタルイミドアクリル系樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の単位がさらに含まれていてもよい。
【0077】
その他の単位としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系単位、グルタル無水物単位、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単位、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単位等が挙げられる。
【0078】
これらのその他の単位は、グルタルイミドアクリル系樹脂中に、ランダム共重合により含まれていてもよいし、グラフト共重合により含まれていてもよい。
【0079】
これらのその他の単位は、その単位を構成する単量体を、グルタルイミドアクリル系樹脂を製造する際の原料となる樹脂に対し共重合することで導入したものでもよい。また、前記のイミド化反応を行う際に、これらその他の単位が副生してグルタルイミドアクリル系樹脂に含まれることとなったものでもよい。
【0080】
グルタルイミドアクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、1×10
4〜5×10
5の範囲にあることが好ましい。上記範囲内であれば、成形加工性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりすることがない。一方、重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、フィルムにした場合の機械的強度が不足する傾向がある。また、上記範囲よりも大きいと、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する傾向がある。
【0081】
グルタルイミドアクリル系樹脂のガラス転移温度は、フィルムが良好な耐熱性を発揮するよう、120℃以上であることが好ましい。より好ましくは125℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲よりも低いと、フィルムが十分な耐熱性を発揮することができない。
【0082】
(不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むアクリル系樹脂組成物)
不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては特に限定されず、上述したものを使用することができる。
【0083】
不飽和カルボン酸としては、不飽和カルボン酸アルキルエステルと反応して酸無水物構造を形成し得る不飽和カルボン酸であれば特に限定されないが、例えば、メタクリル酸、アクリル酸が挙げられる。
【0084】
不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分は、不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸以外の構成単位を有していてもよい。そのような構成単位としては特に限定されず、上述したものを使用することができる。
【0085】
不飽和カルボン酸の使用量は、単量体の総量100重量%において0.1〜30重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.1〜15重量%がさらに好ましく、0.1〜10重量%がよりさらに好ましく、0.1〜7重量%が最も好ましい。
【0086】
本態様では、不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むアクリル系樹脂組成物を使用して工程(A)及び工程(B)を行うことで、副生物としてアルコールが放出されると共に、環化して酸無水物構造が形成され、最終的にグルタル酸無水物構造を有するアクリル樹脂からなるペレットを得るものであるが、工程(A)に供するアクリル系樹脂組成物は、その前段階において、ある程度酸無水物化が進行した組成物であってもよい。この場合、前記樹脂組成物は、不飽和カルボン酸アルキルエステルの構成単位に加えて、酸無水物構造を含む樹脂成分を含む樹脂組成物である。
【0087】
不飽和カルボン酸が無水物構造になる割合(環化率)は、加工条件等の熱履歴で変わり、必ずしも全ての不飽和カルボン酸が酸無水物構造になる必要はなく、環化率は必要な特性に応じて任意に調整すればよい。
【0088】
アクリル系樹脂組成物には、アクリル系樹脂の他に熱可塑性樹脂を添加しても構わない。中でも、グルタルイミドアクリル系樹脂を含有する場合は、共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂を併用すると、耐熱性が優れるともに、透明性に優れ、光学等方性を有し、光学フィルムに好適である。
【0089】
(マトリックス樹脂とゴム粒子を含有するアクリル系樹脂組成物)
アクリル系樹脂組成物としては、機械的強度を向上させる目的で、マトリックス樹脂にゴム粒子が配合されたアクリル系樹脂組成物を使用することができる。この形態においては、マトリックス樹脂が上述のように不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分であってもよいし、ゴム粒子が不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分であってもよい。もちろん、マトリックス樹脂およびゴム粒子がともに飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むものであってもよい。
【0090】
また、不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂組成分の少なくとも1種がゴム質含有共重合体であることが好ましい。
【0091】
マトリックス樹脂が不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分である場合、ゴム粒子としては特に限定されないが、透明性などの観点から、アクリル系ゴム状重合体を好適に使用できる。
【0092】
(ゴム粒子)
ここでは、ゴム粒子が、不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分である場合について説明する。
【0093】
ゴム粒子としては、ガラス転移温度が20℃未満である重合体であればよく、例えば、ブタジエン系架橋重合体、(メタ)アクリル系架橋重合体、オルガノシロキサン系架橋重合体などが挙げられる。なかでも、フィルムの耐候性(耐光性)、透明性の面で、(メタ)アクリル系架橋重合体(アクリル系ゴム状重合体)が特に好ましい。
【0094】
アクリル系ゴム状重合体としては、例えばABS樹脂ゴム、ASA樹脂ゴムが挙げられるが、透明性等の観点から、以下に示すアクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(以下、単に「アクリル系グラフト共重合体」と称する。)を好ましく用いることができる。
【0095】
アクリル系グラフト共重合体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下に、不飽和カルボン酸アルキルエステルおよび不飽和カルボン酸単量体を含む単量体混合物を重合してえられるものが本発明に好適である。
【0096】
アクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体が好ましく、具体的には、アクリル酸エステル50〜100重量%および共重合可能な他のビニル系単量体50〜0重量%からなる単量体混合物(100重量%)並びに多官能性単量体0.05〜10重量部(単量体混合物100重量部に対して)を重合させてなるものが好ましい。単量体を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
【0097】
アクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸グリシジル等があげられ、これらの単量体は2種以上併用してもよい。アクリル酸エステル量は、単量体混合物100重量%において50重量%以上100重量%以下が好ましく、60重量%以上99重量%以下がより好ましく、70重量%以上99重量%以下がさらに好ましく、80重量%以上99重量%以下が最も好ましい。50重量%未満では耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0098】
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステル類が特に好ましく、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸グリシジル等があげられる。また、芳香族ビニル類およびその誘導体、及びシアン化ビニル類も好ましく、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。その他、無置換及び/又は置換無水マレイン酸類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル、ハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸およびその塩、(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0099】
多官能性単量体は通常使用されるものでよく、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの多官能性単量体は2種以上使用してもよい。
【0100】
多官能性単量体の量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。多官能性単量体の添加量が0.05重量部未満では、架橋体を形成できない傾向があり、10重量部を超えても、フィルムの耐割れ性が低下する傾向がある。
【0101】
ゴム状重合体の体積平均粒子径は、20〜450nmが好ましく、20〜300nmがより好ましく、20〜150nmが更に好ましく、30〜80nmが最も好ましい。20nm未満では耐割れ性が悪化する場合がある。一方、450nmを超えると透明性が低下する場合がある。なお、体積平均粒子径は、動的散乱法により、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
【0102】
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体5〜90重量部(より好ましくは、5〜75重量部)の存在下に、不飽和カルボン酸アルキルエステルおよび不飽和カルボン酸単量体を含む単量体混合物95〜25重量部を少なくとも1段階で重合させることより得られるものが好ましい。
【0103】
フィルムの硬度、剛性の観点から、グラフト共重合組成(単量体混合物)においてはメタクリル酸エステルは50重量%以上含まれることが好ましい。グラフト共重合に用いられる単量体としては、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、これらを共重合可能なビニル系単量体を同様に使用でき、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルが好適に使用される。アクリル系樹脂との相溶性の観点からメタクリル酸メチル、ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0104】
不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、上述の例示が同様に使用できる。不飽和カルボン酸単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、マレイン酸、無水マレイン酸の加水分解物などが使用できるが、(メタ)アクリル酸およびその塩が好ましい。(メタ)アクリル酸の塩としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどが挙げられる。不飽和カルボン酸単量体の使用量は、単官能性単量体(不飽和カルボン酸単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)の総量100重量%において0.1〜30重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.1〜15重量%がさらに好ましく、0.1〜10重量%がよりさらに好ましく、0.1〜7重量%が最も好ましい。前記単量体混合物を重合してなる重合体層中に不飽和カルボン酸単量体の構造が存在することにより、不飽和カルボン酸単量体のカルボキシル基、及び(メタ)アクリル酸の隣に存在する不飽和カルボン酸アルキルエステルのアルキルエステル基が、成形加工時に脱アルキルアルコール化することにより環化し、酸無水物構造を取る。たとえば、(メタ)アクリル酸の隣が(メタ)アクリル酸メチルであれば、脱メタノール反応が起こり、酸無水物構造となる。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できる。
【0105】
前記単量体混合物には、光学的等方性の観点からは、脂環式構造、複素環式構造または芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体(「環構造含有(メタ)アクリル系単量体」と称する。)が好ましく使用でき、具体的には(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルが挙げられる。その使用量は、単量体混合物の総量(環構造含有(メタ)アクリル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)100重量%において1〜99.1重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できる。
【0106】
アクリル酸エステル系ゴム状重合体に対するグラフト率は、10〜250%が好ましく、より好ましくは40〜230%、最も好ましくは60〜220%である。グラフト率が10%未満では、成形体中でアクリル系グラフト共重合体が凝集しやすく、透明性が低下したり、異物原因となる恐れがある。また引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが発生しやすくなったりする傾向がある。250%以上では成形時、たとえばフィルム成形時の溶融粘度が高くなり、フィルムの成形性が低下する傾向がある。算出式は実施例の項にて説明する。
【0107】
上記グラフト率とは、アクリル系グラフト共重合体におけるグラフト成分の重量比率であり、次の方法で測定される。
【0108】
得られたアクリル系グラフト共重合体2gをメチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数30000rpm 、温度12 ℃にて1時間遠心し、不溶分と可溶分とに分離する(遠心分離作業を合計3回セット)。得られた不溶分を、アクリル酸エステル系グラフト重合体として以下の式により算出する。
【0109】
グラフト率(%)=[{( メチルエチルケトン不溶分の重量)−(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量)}/(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量)]×100
【0110】
アクリル系グラフト共重合体は、上述の重合体層の他に硬質重合体層や架橋重合体層をさらに有していてもよい。
【0111】
アクリル系グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
【0112】
乳化重合法では、連続重合を単一の反応槽で行うことが好ましく、二槽以上の反応槽を用いるとラテックスの機械的安定性が低下するため好ましくない。
【0113】
重合温度としては30℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。30℃未満では生産性が低下する傾向があり、100℃を超えた温度では、目標分子量が過剰に大きくなる等によって、品質が低下する傾向がある。重合反応槽へ連続的に添加するアクリル酸エステル単量体、開始剤、乳化剤及び脱イオン水等の原料類は、定量ポンプの制御下で正確に添加するが、反応槽内で発生する重合熱の除熱量を確保するため必要に応じて予め冷却しても支障ない。反応槽から払い出されたラテックスには、必要に応じて重合禁止剤、凝固剤、難燃剤、酸化防止剤、pH調節剤を添加しても良く、未反応単量体の回収や後重合を行っても良い。その後、凝固、熱処理、脱水、水洗、乾燥等公知の方法を経て共重合体を得ることができる。
【0114】
乳化重合においては、通常の重合開始剤を使用できる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、更にアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用される。これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム錯体なとの還元剤と併用した通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
【0115】
重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤には炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素などが挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。
【0116】
乳化重合法にて使用する乳化剤に関して特に制限はなく、通常の乳化重合用の乳化剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸ナトリウムエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムエステル等のリン酸塩系界面活性剤といったアニオン系界面活性剤が挙げられる。また上記ナトリウム塩はカリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアンモニウム塩でも良い。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、ポリオキシアルキレン類またはその末端水酸基のアルキル置換体またはアリール置換体に代表される、非イオン性界面活性剤を使用または一部併用しても差し支えない。その中でも、重合反応安定性、粒子系制御性の点から、スルホン酸塩系界面活性剤、またはリン酸塩系界面活性剤が好ましく、中でも、ジオクチルスルホコハク酸塩、またはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩がより好ましく用いることができる。
【0117】
乳化剤の使用量としては、単量体成分全体100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部が好ましく、0.1重量部以上1.0重量部以下であることがより好ましい。0.05重量部より少量では、共重合体の粒系が大きくなり過ぎる傾向があり、10重量部より多量では共重合体の粒系が小さくなりすぎる、また、粒度分布が悪化する傾向がある。
【0118】
アクリル系ゴム状重合体は、アクリル系ゴム状重合体が含有するゴム状重合体が、アクリル系樹脂組成物100重量部において、1〜60重量部含まれるように配合されることが好ましく、1〜30重量部がより好ましく、1〜25重量部がさらに好ましい。1重量部未満ではフィルムの耐割れ性、真空成形性が悪化したり、また光弾性定数が大きくなり、光学的等方性に劣ったりする場合がある。一方、60重量部を越えるとフィルムの耐熱性、表面硬度、透明性、耐折曲げ白化性が悪化する傾向がある。
【0119】
上述のような、不飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分に相当するゴム粒子を使用する場合、マトリックス樹脂としてはアクリル系樹脂であれば特に限定されない。例えば、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂が使用でき、メタクリル酸メチルが30〜100重量%含有されたものが好ましい。
【0120】
また、耐熱性のアクリル系樹脂を使用でき、例えば、共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、無水グルタル酸アクリル系樹脂、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、水酸基および/またはカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、芳香族ビニル系単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有重合体またはその芳香族環を部分的にまたは全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン系重合体)、環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体などを挙げることができる。耐熱性および光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。これらは単独でまたは2種類以上を併用して使用することができる。
【0121】
アクリル系樹脂組成物には、アクリル系樹脂の他に熱可塑性樹脂を添加しても構わない。
【0122】
[光学フィルム]
本発明にかかる光学フィルムは、本発明のアクリル系樹脂ペレットの製造方法により製造されたアクリル系樹脂ペレットを用いて製膜することができる。
【0123】
また、フィルム中の発泡の原因となる可能性があるアクリル系樹脂ペレット中に残揮するメタノールを取り除き、発泡の発生をさらに低減するため、光学フィルムを成膜する前に、アクリル系樹脂ペレット中のメタノールが500ppm以下になるように乾燥工程を設けることが好ましい。
【0124】
乾燥工程における乾燥条件として、メタノール除去の他に樹脂中の水分を除去するため、温度は、80℃以上120℃以下が好ましく、乾燥時間は、5hr以上が好ましい。
【実施例】
【0125】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。以下の記載において、「部」は、特に断らない限り、「重量部」を表す。
【0126】
実施例・比較例における樹脂ペレットおよび光学フィルムの評価は以下の方法を用いて行った。
【0127】
(樹脂温度)
ペレット化工程における溶融樹脂の温度は、ダイス吐出口の溶融樹脂について非接触放射温度計(TMC50、ジャパンセンサー(株))により測定した。
【0128】
(工程(A)および工程(B)の合計時間t)
工程(A)および工程(B)の合計時間tは、押出機開始から溶融樹脂がダイス吐出口までの時間を測定した。
【0129】
(残揮メタノール(MeOH)量の測定)
0.1g樹脂ペレットを10g塩化メチレン(和光純薬工業(株))に溶かし、1wt%のサンプル濃度に調整した。サンプル溶液をガスクロマトグラフィー(GC)(GC2010、Simadzu Co.)にて残揮MeOH量を測定した。
【0130】
(光学フィルム中の発泡の評価)
図2に示すように、点光源としてキセノンランプ1(浜松ホトニクス株式会社製150WキセノンランプC2577)を使用し、A4サイズ(210mm×297mm)に切り出した光学フィルム2に対して、400mm離れた位置から90度の角度で光を照射し、光学フィルムと300mm離れた位置に光学フィルムに平行に配置されたスクリーン3へ透過光を投影し、発泡について評価した。フィルム幅方向に現れる点線ラインを発泡ラインと定義し、その本数を確認した。発泡ラインが現れると発泡有と定義し、不合格と判断した。
【0131】
(光学フィルム中異物欠陥の評価)
得られた光学フィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出し、蛍光灯に照らし、異物欠陥を数えた。ここで、異物欠陥は、フィルム中に存在する焼け樹脂やゲル化樹脂などの異物である。
【0132】
(製造例1)
<グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
【0133】
この製造においては、押出反応機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いた。
【0134】
タンデム型反応押出機に関しては、第1押出機、第2押出機共に直径が75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の噛合い型同方向二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機の原料供給口に原料樹脂を供給した。
【0135】
第1押出機、第2押出機における各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。更に、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。
【0136】
第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力調整、又は押出変動を見極めるために、第1押出機の吐出口、第1押出機と第2押出機間の接続部品の中央部、および、第2押出機の吐出口に樹脂圧力計を設けた。
【0137】
第1押出機において、原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機の温度は280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して2.0部とした。定流圧力弁は第2押出機の原料供給口直前に設置し、第1押出機のモノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
【0138】
第2押出機において、リアベント及び真空ベントで残存しているイミド化剤及び副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルを添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機の各バレル温度は260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部とした。更に、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化することで、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を得た。
【0139】
得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)は、グルタミルイミド単位と、(メタ)アクリル酸エステル単位が共重合したアクリル系樹脂である。
【0140】
(製造例2)
<グラフト共重合体(B2)の製造>
撹拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム 0.05部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.11部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.004部
硫酸第一鉄 0.001部
【0141】
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を40℃にし、アクリル系ゴム粒子(B−1)の原料混合物(アクリル酸ブチル90重量%、メタクリル酸メチル10重量%からなる単官能単量体45部に対し、メタクリル酸アリル0.225部、クメンハイドロパーオキサイド0.041部)45.266部を135分かけて連続的に添加した。(B−1)追加開始から12分後、37分後、62分後、87分後にポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(東邦化学工業株式会社製、商品名:フォスファノールRD−510Yのナトリウム塩)を、0.21部、0.21部、0.21部、0.11部ずつ重合機に添加した。添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル系ゴム粒子((B−1)の重合物)を得た。重合転化率は99.9%であった。
【0142】
その後、内温を60℃にし、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(東邦化学工業株式会社製、商品名:フォスファノールRD−510Yのナトリウム塩)を0.11部、続けてソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト0.2部を仕込んだ後、硬質重合体層(B−2)の原料混合物(メタクリル酸メチル46.4重量%、アクリル酸ブチル4重量%、メタクリル酸ベンジル44.9重量%、メタクリル酸4.7重量%からなる単官能性単量体55部に対し、t−ドデシルメルカプタン0.055部、クメンハイドロパーオキサイド0.254部)55.309部を165分間かけて連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、グラフト共重合体ラテックスを得た。重合転化率は100.0%であった。得られたラテックスを硫酸マグネシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥を行い、白色粉末状のグラフト共重合体(B2)を得た。
【0143】
グラフト共重合体(B2)のゴム粒子(B−1の重合物)の平均粒子径は117nmであった。グラフト共重合体(B2)のグラフト率は69%であった。
【0144】
(実施例1)
[ペレット化]
グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)60重量部、およびグラフト共重合体(B2)40重量部の混合物を58mmφベント付二軸押出機(東芝機械(株)製)に供給した。押出機スクリューの回転数を210rpm、吐出量を180kg/hr、押出機のヘッド温度を240℃に設定し、溶融混練を行った。ギアポンプを経由して設定温度250℃の樹脂濾過フィルター(長瀬産業(株)製φ7inchi、リーフディスクフィルター)に導入し滞留させた後、樹脂濾過フィルターの出口側に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。その他の実施例においても、同様である。
【0145】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを90℃、5hr以上で、残揮MeOH量が500ppm以下になるように乾燥した。残揮MeOH量を測定し、結果は表1に示した。
【0146】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを、Tダイ付60mmφ単軸押出機に供給し、シリンダー温度215℃、ダイス温度235℃にて成形し、幅1460mm×厚み188μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0147】
(実施例2)
[ペレット化]
グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)60重量部、およびグラフト共重合体(B2)40重量部の混合物を58mmφベント付二軸押出機(東芝機械(株)製)に供給した。押出機スクリューの回転数を230rpm、吐出量を200kg/hr、押出機のヘッド温度を240℃に設定し、溶融混練を行った。ギアポンプを経由して設定温度250℃の樹脂濾過フィルター(長瀬産業(株)製φ8inchi、リーフディスクフィルター)に導入し滞留させた後、樹脂濾過フィルターの出口側に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
【0148】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを実施例1と同様の操作により乾燥を行った。残揮MeOH量を測定し、結果は表1に示した。
【0149】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを実施例1と同様の操作により、幅1460mm×厚み188μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0150】
(実施例3)
[ペレット化]
グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)60重量部、およびグラフト共重合体(B2)40重量部の混合物を15mmφベント付二軸押出機((株)テクノベル製)に供給した。押出機スクリューの回転数を75rpm、吐出量を1kg/hr、押出機のヘッド温度を260℃に設定し、溶融混練を行った。ギアポンプを経由して、設定温度270℃の樹脂濾過フィルター(日本精線(株)製φ70mm/20μmカットファイバーフィルター(2.7inchi))に導入し滞留させた後、樹脂濾過フィルターの出口側に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
【0151】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを実施例1と同様の操作により乾燥を行った。残揮MeOH量を測定し、結果は表1に示した。
【0152】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを、Tダイ付15mmφ単軸押出機に供給し、シリンダー温度250℃、ダイス温度270℃にて成形し、幅150mm×厚み60μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0153】
(実施例4)
[ペレット化]
押出機スクリューの回転数を50rpm、吐出量を0.7kg/hr、樹脂温度を270℃フィルターの設定温度を260℃、とした以外は、実施例3と同様の操作により、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)、およびグラフト共重合体(B2)の混合物をペレット化した。
【0154】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを実施例1と同様の操作により乾燥を行った。残揮MeOH量を測定し、結果は表1に示した。
【0155】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを実施例3と同様の操作により、幅150mm×厚み60μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0156】
(実施例5)
[ペレット化]
押出機スクリューの回転数を50rpm、吐出量を0.7kg/hr、とした以外は、実施例34と同様の操作により、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)、およびグラフト共重合体(B2)の混合物を、ペレット化した。
【0157】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを実施例1と同様の操作により乾燥を行った。残揮MeOH量を測定し、結果は表1に示した。
【0158】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを実施例3と同様の操作により、幅150mm×厚み60μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0159】
(比較例1)
[ペレット化]
グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)60重量部、およびグラフト共重合体(B2)40重量部の混合物を58mmφベント付二軸押出機(東芝機械(株)製)に供給した。押出機スクリューの回転数を210rpm、吐出量を180kg/hr、押出機のヘッド温度を220℃に設定し、溶融混練を行った。ギアポンプを経由して設定温度230℃の樹脂濾過フィルター(長瀬産業(株)製φ7inchi、リーフディスクフィルター)に導入し滞留させた後、ペレット化しようとしたが、樹脂濾過フィルター中の圧力上昇が上限値を越えそうになった。そのため、本条件によるペレットの取得はできなかった。
【0160】
(比較例2)
[ペレット化]
グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)60重量部、およびグラフト共重合体(B2)40重量部の混合物を15mmφベント付二軸押出機((株)テクノベル製)に供給した。押出機のスクリューの回転数を120rpmに設定し、吐出量を2kg/hr、押出機のヘッド温度を260℃に設定し、樹脂温度が280℃になるように溶融混練を行った。ギアポンプの出口側に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。ペレット化を行った。
【0161】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを90℃、5hr以上で残揮MeOH量が500ppm以下になるように乾燥した。残揮MeOH量を測定し、結果は表1に示した。
【0162】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを実施例3と同様の操作により、幅150mm×厚み60μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0163】
(比較例3)
[ペレット化]
樹脂温度を320℃とし、樹脂濾過フィルターの設定温度を310℃と設定した以外は、実施例3と同様の操作により、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)、およびグラフト共重合体(B2)の混合物をペレット化した。
【0164】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを実施例1と同様の操作により乾燥を行った。残揮MeOH量の測定し、結果は表1に示した。
【0165】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを実施例3と同様の操作により、幅150mm×厚み60μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0166】
(比較例4)
押出機スクリューの回転数を35rpm、吐出量を0.5kg/hrと設定した以外は、実施例3と同様の操作により、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)、およびグラフト共重合体(B2)の混合物をペレット化した。
【0167】
[乾燥工程]
得られた原料ペレットを実施例1と同様の操作により乾燥を行った。残揮MeOH量の測定し、結果は表1に示した。
【0168】
[フィルム化]
乾燥した原料ペレットを実施例3と同様の操作により、幅150mm×厚み60μmの光学フィルムを得た。光学フィルム中の発泡および異物欠陥の評価をし、結果は表1に示した。
【0169】
【表1】
【0170】
表1の実施例に示すように、本発明の製造方法によって得られた樹脂ペレットを用いて製膜された光学フィルムは、発泡の発生が低減できるという優れた効果を奏する。さらに、樹脂濾過フィルターを用いることにより、異物も抑制できる。一方で、比較例が示すように、本発明の製造方法の条件から外れる場合、当該効果が得られない。比較例1では、フィルター内圧の許容範囲を超えたため、ペレット化できなかった。比較例2では、工程(A)と工程(B)の合計時間が短く、十分に環化反応が進行せず、発泡が多く、異物も発生した。比較例3では、樹脂濾過フィルターの設定温度が高く、樹脂中のゲル化が多量に発生したため、多くの異物が発生した。比較例4では、工程(A)と工程(B)の合計時間が長すぎ、樹脂の熱劣化が激しくなったため、多くの異物が発生した。
【0171】
したがって、本発明の製造方法により、アクリル系樹脂組成物の成形時の発泡を低減し、成形樹脂の品質低下を抑制することができることが確認できた。