特許第6247090号(P6247090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247090液冷式冷却装置および液冷式冷却装置用放熱器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247090
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】液冷式冷却装置および液冷式冷却装置用放熱器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20171204BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 N
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-268462(P2013-268462)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-126050(P2015-126050A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】田村 忍
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−071386(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3077725(JP,U)
【文献】 特開2011−091301(JP,A)
【文献】 特開2010−203694(JP,A)
【文献】 特開2012−037136(JP,A)
【文献】 米国特許第06401810(US,B1)
【文献】 登録実用新案第3117925(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
23/34 −23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂壁、底壁および周壁を有するケーシングを備えており、ケーシング内に、ケーシング内に流入した冷却液が一方向に流れる冷却液流路と、冷却液流路よりも上流側に位置しかつ冷却液が流入する入口ヘッダ部と、冷却液流路よりも下流側に位置しかつ冷却液が流出する出口ヘッダ部とが設けられており、ケーシング内の冷却液流路に、ケーシングの頂壁外面および底壁外面のうち少なくともいずれか一方に取り付けられる発熱体から発せられる熱を、冷却液流路を流れる冷却液に放熱する放熱器が配置されている液冷式冷却装置において、
放熱器が、互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の縦長方形状フィンプレートと、フィンプレートの長手方向と交差する方向にのび、かつ全フィンプレートを連結一体化する棒状連結部材とからなり、全フィンプレートが、長手方向を入口ヘッダ部と出口ヘッダ部とを結ぶ方向に向けるとともに、幅方向を上下方向に向けた状態で板厚方向に間隔をおいて配置され、全フィンプレートが、冷却液の流れ方向に延びる上下両側縁と、上下両側縁よりも短く、かつ上下方向に延びるとともに、上下両側縁の冷却液の流れ方向の上流側端部どうしおよび下流側端部どうしを結ぶ2つの端縁とを有し、フィンプレートの上側縁に、当該上側縁に開口しかつ下方にのびた上側連結部材圧入用切り欠きが形成され、フィンプレートの下側縁に、当該下側縁に開口しかつ上方にのびた下側連結部材圧入用切り欠きが、上側連結部材圧入用切り欠きとはフィンプレートの長手方向にずれた位置に形成され、連結部材が、全フィンプレートの上側連結部材圧入用切り欠き内および下側連結部材圧入用切り欠き内に、それぞれ切り欠き内から突出しないように圧入されて、全フィンプレートが連結部材により連結一体化されており、全フィンプレートの上側縁がケーシングの頂壁内面に接合されて上側連結部材圧入用切り欠きの上端開口が頂壁により塞がれ、全フィンプレートの下側縁がケーシングの底壁に接合されて下側連結部材圧入用切り欠きの下端開口が底壁により塞がれている液冷式冷却装置。
【請求項2】
放熱器の各フィンプレートの幅方向と直交する平面で切断した形状が波形であって、波頂部および波底部が交互に形成されており、冷却液が、隣り合う2つのフィンプレート間を蛇行状に流れるようになされている請求項1記載の液冷式冷却装置。
【請求項3】
放熱器のフィンプレートの上側縁における一端寄りの部分に連結部材圧入用切り欠きが形成されるとともに、他端寄りの部分に当該上側縁に開口しかつ下方にのびた切り欠きが形成され、フィンプレートの下側縁における前記他端寄りの部分に連結部材圧入用切り欠きが形成されるとともに、前記一端寄りの部分に当該下側縁に開口しかつ上方にのびた切り欠きが形成されている請求項1または2記載の液冷式冷却装置。
【請求項4】
入口ヘッダ部および出口ヘッダ部が、冷却液流路における冷却液の流れ方向と直角をなす方向に長くなっており、入口ヘッダ部の一端部側に冷却液入口が設けられるとともに、出口ヘッダ部における冷却液入口と同一端部側に冷却液出口が設けられ、放熱器の隣り合うフィンプレート間の間隔が同一であり、フィンプレートの長手方向のいずれかの端部寄りの部分に、全フィンプレートのうちの一部でかつフィンプレートの並び方向の片側に位置する複数のフィンプレートのみにまたがるように棒状の抵抗付与部材が配置されており、抵抗付与部材が、フィンプレートの上下両側縁における当該いずれかの端部寄りの部分に配置された連結部材とは反対の側縁部に形成された切り欠き内に圧入されている請求項3記載の液冷式冷却装置。
【請求項5】
入口ヘッダ部および出口ヘッダ部が、冷却液流路における冷却液の流れ方向と直角をなす方向に長くなっており、入口ヘッダ部の一端部側に冷却液入口が設けられるとともに、出口ヘッダ部における冷却液入口と同一端部側に冷却液出口が設けられ、放熱器の隣り合うフィンプレート間の間隔が、フィンプレートの並び方向の一端側が狭く、同他端側が広くなっており、放熱器が、隣り合うフィンプレート間の間隔の狭い側が冷却液入口および冷却液出口側に来るように配置されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の液冷式冷却装置。
【請求項6】
放熱器の隣り合うフィンプレート間の間隔が、フィンプレートの並び方向の一端側から他端側に向かって徐々に広くなっている請求項5記載の液冷式冷却装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれかに記載の液冷式冷却装置に用いられている放熱器を製造する方法であって、
金属素板にプレス加工を施すことによって、幅方向の一側縁部における長手方向一端寄りの部分、および幅方向の他側縁部における長手方向他端寄りの部分にそれぞれ連結部材圧入用切り欠きが形成された複数の縦長方形状フィンプレートを、長手方向を金属素板の幅方向に向けるとともに幅方向を金属素板の長手方向に向け、かつ長手方向両端部が連結部を介してブリッジ部に繋がるように半打ち抜き状態に打ち抜く第1工程と、
ブリッジ部における隣り合うフィンプレート間の部分を、略S字状に曲げることにより、全フィンプレートの幅方向を上下方向に向ける第2工程と、
全フィンプレートの幅方向の一側縁部における長手方向一端寄りに形成された連結部材圧入用切り欠き内、および全フィンプレートの幅方向の他側縁部における長手方向の他端寄りに形成された連結部材圧入用切り欠き内に、それぞれ連結部材を圧入する第3工程と、
フィンプレートをブリッジ部に連結する全連結部を切断して全フィンプレートをブリッジ部から分離する第4工程とを含む液冷式冷却装置用放熱器の製造方法。
【請求項8】
前記第1工程において、各フィンプレートの一端寄りの部分の連結部材圧入用切り欠きと、他端寄りの部分の連結部材圧入用切り欠きとの間において、各フィンプレートの幅方向と直交する平面で切断した形状を波形に成形する請求項7記載の液冷式冷却装置用放熱器の製造方法。
【請求項9】
前記第1工程において、フィンプレートの一方の側縁における一端寄りの部分に連結部材圧入用切り欠きを形成するとともに、同他端寄りの部分に切り欠きを形成し、フィンプレートの他方の側縁における前記他端寄りの部分に連結部材圧入用切り欠きを形成するとともに、前記一端寄りの部分に切り欠きを形成する請求項7または8記載の液冷式冷却装置用放熱器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば半導体素子などの電子部品からなる発熱体を冷却する液冷式冷却装置および液冷式冷却装置に用いられる放熱器の製造方法に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図2の上下を上下というもとのとする。
【背景技術】
【0003】
たとえば、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力変換装置に用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワーデバイス(半導体素子)を冷却する液冷式冷却装置として、特許文献1記載のものが提案されている。
【0004】
特許文献1記載の液冷式冷却装置は、頂壁、底壁および周壁を有するケーシングを備えており、ケーシング内に、冷却液が流れる冷却液流路と、冷却液流路よりも上流側に位置しかつ冷却液が流入する入口ヘッダ部と、冷却液流路よりも下流側に位置しかつ冷却液が流出する出口ヘッダ部とが設けられており、ケーシング内の冷却液流路に、ケーシングの頂壁外面および底壁外面のうち少なくともいずれか一方に取り付けられる発熱体から発せられる熱を、冷却液流路を流れる冷却液に放熱する放熱器が配置され、放熱器が、互いに間隔をおいて並列状に配置されるとともに上下両側縁部がケーシングの頂壁および底壁にろう付された複数の縦長方形状フィンプレートからなり、端部のフィンプレートを除いたフィンプレートの両面には、複数の凸部が点在するように設けられ、隣り合うフィンプレートの凸部どうしが接触した状態でろう付されている。
【0005】
特許文献1記載の液冷式冷却装置は、複数のフィンプレートを、隣り合うフィンプレートの凸部どうしが接触するように積層し、これをケーシングを構成する上下1対のプレート間に配置し、両本体プレートのフランジ部どうし、両本体プレートとフィンプレートの上下両側縁部、および隣り合うフィンプレートの凸部どうしを一括してろう付することを含む方法で製造される。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の液冷式冷却装置の放熱器は、両本体プレートとフィンプレートとのろう付、および隣り合うフィンプレートの凸部どうしのろう付前の状態においては、全フィンプレートがばらばらの状態であるから、全フィンプレートの位置がずれることがあり、液冷式冷却装置を製造する際に、全フィンプレートの取扱が面倒になって、液冷式冷却装置の製造作業が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−37136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、製造する際の全フィンプレートの取扱性が向上した液冷式冷却装置および液冷式冷却装置用放熱器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0010】
1)頂壁、底壁および周壁を有するケーシングを備えており、ケーシング内に、ケーシング内に流入した冷却液が一方向に流れる冷却液流路と、冷却液流路よりも上流側に位置しかつ冷却液が流入する入口ヘッダ部と、冷却液流路よりも下流側に位置しかつ冷却液が流出する出口ヘッダ部とが設けられており、ケーシング内の冷却液流路に、ケーシングの頂壁外面および底壁外面のうち少なくともいずれか一方に取り付けられる発熱体から発せられる熱を、冷却液流路を流れる冷却液に放熱する放熱器が配置されている液冷式冷却装置において、
放熱器が、互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の縦長方形状フィンプレートと、フィンプレートの長手方向と交差する方向にのび、かつ全フィンプレートを連結一体化する棒状連結部材とからなり、全フィンプレートが、長手方向を入口ヘッダ部と出口ヘッダ部とを結ぶ方向に向けるとともに、幅方向を上下方向に向けた状態で板厚方向に間隔をおいて配置され、全フィンプレートが、冷却液の流れ方向に延びる上下両側縁と、上下両側縁よりも短く、かつ上下方向に延びるとともに、上下両側縁の冷却液の流れ方向の上流側端部どうしおよび下流側端部どうしを結ぶ2つの端縁とを有し、フィンプレートの上側縁に、当該上側縁に開口しかつ下方にのびた上側連結部材圧入用切り欠きが形成され、フィンプレートの下側縁に、当該下側縁に開口しかつ上方にのびた下側連結部材圧入用切り欠きが、上側連結部材圧入用切り欠きとはフィンプレートの長手方向にずれた位置に形成され、連結部材が、全フィンプレートの上側連結部材圧入用切り欠き内および下側連結部材圧入用切り欠き内に、それぞれ切り欠き内から突出しないように圧入されて、全フィンプレートが連結部材により連結一体化されており、全フィンプレートの上側縁がケーシングの頂壁内面に接合されて上側連結部材圧入用切り欠きの上端開口が頂壁により塞がれ、全フィンプレートの下側縁がケーシングの底壁に接合されて下側連結部材圧入用切り欠きの下端開口が底壁により塞がれている液冷式冷却装置。
【0011】
2)放熱器の各フィンプレートの幅方向と直交する平面で切断した形状が波形であって、波頂部および波底部が交互に形成されており、冷却液が、隣り合う2つのフィンプレート間を蛇行状に流れるようになされている上記1)記載の液冷式冷却装置。
【0012】
3)放熱器のフィンプレートの上側縁における一端寄りの部分に連結部材圧入用切り欠きが形成されるとともに、他端寄りの部分に当該上側縁に開口しかつ下方にのびた切り欠きが形成され、フィンプレートの下側縁における前記他端寄りの部分に連結部材圧入用切り欠きが形成されるとともに、前記一端寄りの部分に当該下側縁に開口しかつ上方にのびた切り欠きが形成されている上記1)または2)記載の液冷式冷却装置。
【0013】
4)入口ヘッダ部および出口ヘッダ部が、冷却液流路における冷却液の流れ方向と直角をなす方向に長くなっており、入口ヘッダ部の一端部側に冷却液入口が設けられるとともに、出口ヘッダ部における冷却液入口と同一端部側に冷却液出口が設けられ、放熱器の隣り合うフィンプレート間の間隔が同一であり、フィンプレートの長手方向のいずれかの端部寄りの部分に、全フィンプレートのうちの一部でかつフィンプレートの並び方向の片側に位置する複数のフィンプレートのみにまたがるように棒状の抵抗付与部材が配置されており、抵抗付与部材が、フィンプレートの上下両側縁における当該いずれかの端部寄りの部分に配置された連結部材とは反対の側縁部に形成された切り欠き内に圧入されている上記3)記載の液冷式冷却装置。
【0014】
5)入口ヘッダ部および出口ヘッダ部が、冷却液流路における冷却液の流れ方向と直角をなす方向に長くなっており、入口ヘッダ部の一端部側に冷却液入口が設けられるとともに、出口ヘッダ部における冷却液入口と同一端部側に冷却液出口が設けられ、放熱器の隣り合うフィンプレート間の間隔が、フィンプレートの並び方向の一端側が狭く、同他端側が広くなっており、放熱器が、隣り合うフィンプレート間の間隔の狭い側が冷却液入口および冷却液出口側に来るように配置されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の液冷式冷却装置。
【0015】
6)放熱器の隣り合うフィンプレート間の間隔が、フィンプレートの並び方向の一端側から他端側に向かって徐々に広くなっている上記5)記載の液冷式冷却装置。
【0016】
7)上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の液冷式冷却装置に用いられている放熱器を製造する方法であって、記載の液冷式冷却装置用放熱器を製造する方法であって、
金属素板にプレス加工を施すことによって、幅方向の一側縁部における長手方向一端寄りの部分、および幅方向の他側縁部における長手方向他端寄りの部分にそれぞれ切り欠きが形成された複数の縦長方形状フィンプレートを、長手方向を金属素板の幅方向に向けるとともに幅方向を金属素板の長手方向に向け、かつ長手方向両端部が連結部を介してブリッジ部に繋がるように半打ち抜き状態に打ち抜く第1工程と、
ブリッジ部における隣り合うフィンプレート間の部分を、略S字状に曲げることにより、全フィンプレートの幅方向を上下方向に向ける第2工程と、
全フィンプレートの幅方向の一側縁部における長手方向一端寄りに形成された切り欠き内、および全フィンプレートの幅方向の他側縁部における長手方向の他端寄りに形成された切り欠き内に、それぞれ連結部材を圧入する第3工程と、
フィンプレートをブリッジ部に連結する全連結部を切断して全フィンプレートをブリッジ部から分離する第4工程とを含む液冷式冷却装置用放熱器の製造方法。
【0017】
8)前記第1工程において、各フィンプレートの一端寄りの部分の切り欠きと、他端寄りの部分の切り欠きとの間において、各フィンプレートの幅方向と直交する平面で切断した形状を波形に成形する上記7)記載の液冷式冷却装置用放熱器の製造方法。
【0018】
9)前記第1工程において、フィンプレートの幅方向の両側縁部の長手方向両端寄りの部分に、それぞれ切り欠きを形成する上記7)または8)記載の液冷式冷却装置用放熱器の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
上記1)〜6)の液冷式冷却装置によれば、全フィンプレートが、全フィンプレートの上側縁および下側縁の連結部材圧入用切り欠き内に、それぞれ切り欠き内から突出しないように圧入された連結部材によって連結一体化されているので、全フィンを強固に連結一体化することができる。したがって、上記1)〜6)の液冷式冷却装置を製造する際の全フィンプレートの取扱性が向上し、液冷式冷却装置の製造作業が簡単になる。
【0020】
また、全フィンプレートの厚みおよび形状を、冷却性能を向上させる上で効果的な厚みおよび形状とすることが可能になる。
【0021】
上記2)の液冷式冷却装置においては、冷却液が、隣り合う2つのフィンプレート間を、フィンプレートに沿って蛇行状に流れることになり、フィンプレートにおける伝熱に有効に働く面積が効果的に増大し、冷却性能を向上させることができる。
【0022】
上記4)の液冷式冷却装置によれば、入口ヘッダ部内に流入した冷却液は、抵抗付与用棒状体が配置された側を流れにくくなるとともに、反対側を流れやすくなる。したがって、放熱器におけるフィンプレートの並び方向の流量分布を均一化することが可能になり、流量分布流量が不均一になった場合の冷却性能のばらつきを抑制することができる。
【0023】
上記5)および6)の液冷式冷却装置によれば、入口ヘッダ部内に流入した冷却液は、隣り合うフィンプレート間の間隔の狭い側を流れにくくなるとともに、反対側の隣り合うフィンプレート間の間隔の広い側を流れやすくなる。したがって、放熱器におけるフィンプレートの並び方向の流量分布を均一化することが可能になり、流量分布が不均一になった場合の冷却性能のばらつきを抑制することができる。
【0024】
上記7)〜9)の液冷式冷却装置用放熱器の製造方法によれば、連結部材を全フィンプレートの切り欠き内に圧入する際には、全フィンプレートはブリッジ部により一体化されているので、全フィンプレートの切り欠きが位置ずれすることを防止することができる。したがって、連結部材を全フィンプレートの切り欠き内に圧入する作業が容易になり、製造作業が簡易化される。また、全フィンプレートの厚みおよび形状を、冷却性能を向上させる上で効果的な厚みおよび形状とすることが可能になるとともに、隣り合うフィンプレート間の間隔も使用する液冷式冷却装置のケーシングに合わせて最適な間隔にすることができる。
【0025】
上記9)の液冷式冷却装置用放熱器の製造方法は、上記4)の液冷式冷却装置に用いられる放熱器を製造するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明による液冷式冷却装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図2のB−B線断面図である。
図4図1に示す液冷式冷却装置に使用する放熱器を製造する方法の第1工程および第2工程を示す部分斜視図である。
図5図4の部分拡大図である。
図6図1に示す液冷式冷却装置に使用する放熱器を製造する方法の第3工程を示す部分斜視図である。
図7図5のC−C線矢視図である。
図8図1に示す液冷式冷却装置に使用する放熱器を製造する方法の第4工程を示す部分斜視図である。
図9】この発明の液冷式冷却装置に用いられる放熱器の変形例を示す斜視図である。
図10図9の放熱器を使用した液冷式冷却装置を示す水平断面図である。
図11】この発明による液冷式冷却装置のさらに他の実施形態を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付す。
【0029】
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0030】
また、以下の説明において、図2の左右を左右といい、図3の上側を前、これと反対側を後というものとする。
【0031】
図1図3はこの発明による液冷式冷却装置を示し、図4図8は液冷式冷却装置用放熱器の製造方法を示す。
【0032】
図1図3において、液冷式冷却装置(1)は、頂壁(2a)、底壁(2b)および周壁(2c)を有するケーシング(2)を備え、ケーシング(2)内に、冷却液がケーシング(2)の長手方向の片側(右側)から他側(左側)に流れる冷却液流路(3)と、冷却液流路(3)よりも上流側(右側)に位置しかつ冷却液が流入する入口ヘッダ部(4)と、冷却液流路(3)よりも下流側(左側)に位置しかつ冷却液が流出する出口ヘッダ部(5)とが設けられており、ケーシング(2)内の冷却液流路(3)に、ケーシング(2)の頂壁(2a)外面および底壁(2b)外面のうち少なくともいずれか一方、図示の例では頂壁(2a)外面に取り付けられた発熱体(P)から発せられる熱を、冷却液流路(3)を流れる冷却液に放熱する放熱器(6)が配置されている。
【0033】
ケーシング(2)は、頂壁(2a)および周壁(2c)を構成する下方に開口した箱状のアルミニウム製上構成部材(7)を、底壁(2b)を構成する板状のアルミニウム製下構成部材(8)上にろう付することにより形成されている。上構成部材(7)および下構成部材(8)は、少なくとも一面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを使用して、ろう材層がケーシング(2)内側に位置するように形成されている。
【0034】
ケーシング(2)内の入口ヘッダ部(4)および出口ヘッダ部(5)は、それぞれ冷却液流路(3)の幅方向(前後方向)にのびており、ケーシング(2)の頂壁(2a)の一端寄り(右端寄り)の部分でかつ前後方向の中央部に、入口ヘッダ部(4)に通じる冷却液入口(9)が形成され、ケーシング(2)の頂壁(2a)の他端寄り(左端寄り)の部分でかつ前後方向の中央部に、出口ヘッダ部(5)に通じる冷却液出口(11)が形成されている。また、ケーシング(2)の頂壁(2a)に、冷却液入口(7)を通して入口ヘッダ部(4)内に冷却液を送り込むアルミニウム製入口パイプ(12)と、冷却液出口(11)を通して出口ヘッダ部(5)内から冷却液を送り出すアルミニウム製出口パイプ(13)とがろう付されている。
【0035】
発熱体(P)は、IGBTなどのパワーデバイスや、IGBTが制御回路と一体化されて同一パッケージに収納されたIGBTモジュールや、IGBTモジュールにさらに保護回路が一体化されて同一パッケージに収納されたインテリジェントパワーモジュールなどからなり、絶縁部材(I)を介してケーシング(2)の頂壁外面に取り付けられる。
【0036】
放熱器(6)は、長手方向を冷却液流路(3)における冷却液の流れ方向(左右方向)、すなわち入口ヘッダ部(4)と出口ヘッダ部(5)とを結ぶ方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた状態で、前後方向に間隔をおいて並列状に配置された複数のアルミニウム製縦長方形状フィンプレート(14)と、フィンプレート(14)の長手方向と交差する方向(前後方向)にのび、かつ全フィンプレート(14)を連結一体化する2つの棒状連結部材(15A)(15B)とからなる。放熱器(6)の隣り合う2つのフィンプレート(14)間、および両端のフィンプレート(14)とケーシング(2)の周壁(2c)における前後両側部分との間に冷却液が流れる分割流路(18)となっている。
【0037】
全フィンプレート(14)は、冷却液の流れ方向に延びる上下両側縁と、上下両側縁よりも短く、かつ上下方向に延びるとともに、上下両側縁の冷却液の流れ方向の上流側端部どうしおよび下流側端部どうしを結ぶ2つの端縁とを有している。全フィンプレート(14)の上下両側縁部における長手方向両端寄りの部分に、それぞれ切り欠き(16)(17)が形成されており、フィンプレート(14)の一端寄りの部分に形成された上下の切り欠き(16)および(17)がフィンプレート(14)の長手方向の同一位置にあり、同じく他端寄りの部分に形成された上下の切り欠き(16)および(17)がフィンプレート(14)の長手方向の同一位置にある。すなわち、全フィンプレート(14)の上側縁における両端寄りの部分に、当該上側縁に開口しかつ下方に真っ直ぐにのびた上側切り欠き(16)が形成され、フィンプレート(14)の下側縁における両端寄りの部分に、当該下側縁から上方に真っ直ぐにのびた下側切り欠き(17)が形成されている。
【0038】
一方の連結部材(15A)は、全フィンプレート(14)の上側縁部の左端寄りの部分に形成された切り欠き(16)内に、切り欠き(16)内から突出しないように圧入され、他方の連結部材(15B)は、全フィンプレート(14)の下側縁部の右端寄りの部分に形成された切り欠き(17)内に、切り欠き(17)内から突出しないように圧入されており、これにより全フィンプレート(14)が連結部材(15A)(15B)により連結一体化されている。すなわち、各連結部材(15A)(15B)は、互いに他方の連結部材(15B)(15A)が圧入されている切り欠き(17)(16)が形成されたフィンプレート(14)の側縁部とは反対側の側縁部に形成され、かつ他方の連結部材(15B)(15A)が圧入されている切り欠き(17)(16)とはフィンプレート(14)の長手方向にずれた位置にある切り欠き(16)(17)内に圧入されている。
【0039】
フィンプレート(14)の両切り欠き(16)(17)間の部分を、幅方向と直交する平面(水平面)で切断した形状は波形であり、波頂部および波底部が交互に形成されており、冷却液が、隣り合う2つのフィンプレート(14)間を蛇行状に流れるようになされている。全フィンプレート(14)は、上側縁部がケーシング(2)の上構成部材(7)の頂壁(2a)を形成する部分の内面にろう付され、下側縁部がケーシング(2)の下構成部材(8)の底壁(2b)を形成する部分の内面にろう付されている。すなわち、全フィンプレート(14)の上側切り欠き(16)の上端開口がケーシング(2)の頂壁(2a)により塞がれ、全フィンプレート(14)の下側の切り欠き(17)の下端開口がケーシング(2)の底壁(2b)により塞がれている。
【0040】
上記構成の液冷式冷却装置(1)において、入口パイプ(12)から冷却液入口(9)を通って入口ヘッダ部(4)内に流入した冷却液は、冷却液流路(3)に配置された放熱器(6)の隣り合う2つのフィンプレート(14)間の分割流路(18)に分流し、各分割流路(18)内を左方に流れる。冷却液流路(3)の分割流路(18)を左方に流れた冷却液は、出口ヘッダ部(5)内に入り、冷却液出口(12)を通って出口パイプ(13)により送り出される。
【0041】
そして、発熱体(P)から発せられる熱は、絶縁部材(I)、ケーシング(2)の頂壁(2a)および放熱器(6)の各フィンプレート(14)を経て冷却液流路(3)の各分割流路(18)内を流れる冷却液に放熱され、発熱体(P)が冷却される。
【0042】
次に、図4図8を参照して放熱器(6)の製造方法について説明する。
【0043】
まず、コイル材から巻き戻されたアルミニウム製素板(20)にプレス加工を施すことによって、幅方向の両側縁部における長手方向の両端寄りの部分に、それぞれ切り欠き(16)(17)が形成された複数の縦長方形状フィンプレート(14)を、長手方向を素板(20)の幅方向に向けるとともに幅方向を素板(20)の長手方向に向け、かつ長手方向両端部が連結部(21)を介して素板(20)の幅方向両側縁部のブリッジ部(22)に繋がるように半打ち抜き状態に打ち抜く(第1工程)。
【0044】
第1工程において、各フィンプレート(14)の両端寄りの部分の切り欠き(16)(17)間の部分における各フィンプレート(14)の幅方向と直交する平面で切断した形状を波形に成形し、波頂部と波底部とを交互に形成する。
【0045】
ついで、ブリッジ部(22)における隣り合うフィンプレート(14)間の部分を、略S字状に曲げることにより、全フィンプレート(14)の幅方向を上下方向に向ける(第2工程)。ブリッジ部(22)のS字状屈曲部を(23)で示す。なお、第1工程および第2工程を連続的に図4に示し、図4の一部を図5に拡大して示す。
【0046】
全フィンプレート(14)の幅方向を上下方向に向けた後、全フィンプレート(14)の上側縁部の左端寄りの切り欠き(16)内、および全フィンプレートの下側縁部の右端寄りの切り欠き(17)内に、それぞれ連結部材(15A)(15B)を圧入し、連結部材(15A)(15B)によってフィンプレート(14)の対角線上において全フィンプレート(14)を連結一体化する(第3工程)(図6および図7参照)。
【0047】
その後、全連結部(21)を切断して全フィンプレート(14)をブリッジ部(22)から分離する。こうして、放熱器(6)が製造される(第4工程)(図8参照)。
【0048】
図9はこの発明による液冷式冷却装置の他の実施形態に用いられる放熱器を示す。
【0049】
図9に示す放熱器(30)の場合、フィンプレート(14)の長手方向一端寄りの部分に、全フィンプレート(14)のうちの一部で、かつフィンプレート(14)の並び方向の片側に位置する複数のフィンプレート(14)のみにまたがるように棒状の抵抗付与部材(31)が配置されている。抵抗付与部材(31)は、フィンプレート(14)の下側縁部における当該一端寄りの部分に配置された連結部材(15B)が圧入されている切り欠き(17)が形成されているのとは反対の側縁部、図示の例では上側縁部に形成された切り欠き(16)内に圧入されている。
【0050】
その他の構成は、図8に示す放熱器(6)と同様である。
【0051】
図10図9の放熱器(30)を使用した液冷式冷却装置を示す。
【0052】
なお、図10に関する以下の説明においては、図面の左右を左右といい、図面の下側を前、これと反対側を後というものとする。
【0053】
図10に示す液冷式冷却装置(40)は、頂壁、底壁(41a)および周壁(41b)を有するケーシング(41)を備え、ケーシング(41)内に、冷却液がケーシング(41)の長手方向の片側(左側)から他側(右側)に流れる冷却液流路(42)と、冷却液流路(42)よりも上流側(左側)に位置しかつ冷却液が流入する入口ヘッダ部(43)と、冷却液流路(42)よりも下流側(右側)に位置しかつ冷却液が流出する出口ヘッダ部(44)とが設けられており、ケーシング(41)内の冷却液流路(42)に、放熱器(30)が配置されている。
【0054】
ケーシング(41)内の入口ヘッダ部(43)および出口ヘッダ部(44)は、それぞれ冷却液流路(42)の幅方向(前後方向)に長くなっており、ケーシング(41)の周壁(41b)の前側部分の左端部に、入口ヘッダ部(43)に通じる冷却液入口(45)が形成され、ケーシング(41)の周壁(41b)の前側部分の右端部に、出口ヘッダ部(44)に通じる冷却液出口(46)が形成されている。
【0055】
放熱器(30)は、フィンプレート(14)の長手方向を冷却液流路(42)における冷却液の流れ方向(左右方向)に向けるとともに幅方向を上下方向に向け、さらに抵抗付与部(31)が冷却液入口(45)および冷却液出口(46)側に来た状態で、ケーシング(41)内の冷却液流路(42)に配置されており、全フィンプレート(14)は、上側縁部がケーシング(41)の頂壁内面にろう付され、下側縁部がケーシング(41)の底壁(41a)内面にろう付されている。
【0056】
図10に示す液冷式冷却装置(40)において、冷却液入口(45)から入口ヘッダ部(43)内に流入した冷却液は、冷却液流路(42)に配置された放熱器(30)の隣り合う2つのフィンプレート(14)間の分割流路(18)に分流し、各分割流路(18)内を右方に流れる。冷却液流路(42)の分割流路(18)を右方に流れた冷却液は、出口ヘッダ部(44)内に入り、冷却液出口(46)を通って送り出される。
【0057】
上記構成の液冷式冷却装置(40)においては、冷却液入口(45)と冷却液出口(46)が、入口ヘッダ部(43)および出口ヘッダ部(44)の同一端部に設けられているので、冷却液入口(45)から入口ヘッダ部(43)内に流入した冷却液は、冷却液流路(42)の冷却液入口(45)および冷却液出口(46)が設けられた側(前側)を流れやすくなる。
【0058】
しかしながら、抵抗付与部材(31)が冷却液入口(45)および冷却液出口(46)が設けられた前側に存在しているので、入口ヘッダ部(43)内に流入した冷却液は、抵抗付与部材(31)が配置された側を流れにくくなるとともに、反対側を流れやすくなる。したがって、放熱器(30)におけるフィンプレート(14)の並び方向の流量分布を均一化することが可能になり、流量分布流量が不均一になった場合の冷却性能のばらつきを抑制することができる。
【0059】
そして、発熱体(P)から発せられる熱は、絶縁部材(I)、ケーシング(41)の頂壁および放熱器(30)の各フィンプレート(14)を経て冷却液流路(3)の各分割流路(18)内を流れる冷却液に放熱され、発熱体(P)が冷却される。
【0060】
図11は、この発明による液冷式冷却装置のさらに他の実施形態を示す。
【0061】
なお、図11に関する以下の説明においては、図面の左右を左右といい、図面の下側を前、これと反対側を後というものとする。
【0062】
図11に示す液冷式冷却装置(55)の放熱器(50)の場合、隣り合うフィンプレート(14)間の間隔が、フィンプレート(14)の並び方向の一端側から他端側に向かって徐々に広くなっている。その他の構成は、図8に示す放熱器(6)と同様である。
【0063】
放熱器(50)を使用した液冷式冷却装置(55)は、図10に示す液冷式冷却装置(40)と同じ構成のケーシング(41)を備えている。
【0064】
放熱器(50)は、フィンプレート(14)の長手方向を冷却液流路(42)における冷却液の流れ方向(左右方向)に向けるとともに幅方向を上下方向に向け、さらに隣り合うフィンプレート(14)間の間隔の狭い側が冷却液入口(45)および冷却液出口(46)側に来るように配置されており、全フィンプレート(14)は、上側縁部がケーシング(41)の頂壁内面にろう付され、下側縁部がケーシング(41)の底壁(41b)内面にろう付されている。
【0065】
図11に示す液冷式冷却装置(55)において、冷却液入口(45)から入口ヘッダ部(43)内に流入した冷却液は、冷却液流路(42)に配置された放熱器(50)の隣り合う2つのフィンプレート(14)間の分割流路(18)に分流し、各分割流路(18)内を右方に流れる。冷却液流路(42)の分割流路(18)を右方に流れた冷却液は、出口ヘッダ部(44)内に入り、冷却液出口(46)を通って送り出される。
【0066】
上記構成の液冷式冷却装置(55)においては、冷却液入口(45)と冷却液出口(46)が、入口ヘッダ部(43)および出口ヘッダ部(44)の同一端部に設けられているので、冷却液入口(45)から入口ヘッダ部(43)内に流入した冷却液は、冷却液流路(42)の冷却液流路(42)の冷却液入口(45)および冷却液出口(46)が設けられた側(前側)を流れやすくなる。
【0067】
しかしながら、放熱器(50)が、隣り合うフィンプレート(14)間の間隔の狭い側が冷却液入口(45)および冷却液出口(46)側に来るように配置されているので、入口ヘッダ部(43)内に流入した冷却液は、放熱器(50)の隣り合うフィンプレート(14)間の間隔の狭い側を流れにくくなるとともに、反対側を流れやすくなる。したがって、放熱器(50)におけるフィンプレート(14)の並び方向の流量分布を均一化することが可能になり、流量分布流量が不均一になった場合の冷却性能のばらつきを抑制することができる。
【0068】
そして、発熱体(P)から発せられる熱は、絶縁部材(I)、ケーシング(41)の頂壁および放熱器(50)の各フィンプレート(14)を経て冷却液流路(3)の各分割流路(18)内を流れる冷却液に放熱され、発熱体(P)が冷却される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
この発明による液冷式冷却装置は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力変換装置に用いられるIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0070】
(1)(40)(55):液冷式冷却装置
(2)(41):ケーシング
(2a):頂壁
(2b)(41a):底壁
(3)(42):冷却液通路
(4)(43):入口ヘッダ部
(5)(44):出口ヘッダ部
(6)(30)(50):放熱器
(9)(45):冷却液入口
(11)(46):冷却液出口
(14):フィンプレート
(15A)(15B):連結部材
(16)(17):切り欠き
(18):分割流路
(20):素板
(21):連結部
(22):ブリッジ部
(23):S字状屈曲部
(31):抵抗付与部材
(P):発熱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11