特許第6247095号(P6247095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

特許6247095半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
<>
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000002
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000003
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000004
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000005
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000006
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000007
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000008
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000009
  • 特許6247095-半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247095
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20171204BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20171204BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20171204BHJP
   C23C 16/38 20060101ALI20171204BHJP
   C23C 16/30 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01L21/318 B
   H01L21/31 C
   C23C16/455
   C23C16/38
   C23C16/30
【請求項の数】12
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-271388(P2013-271388)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-126177(P2015-126177A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐野 敦
(72)【発明者】
【氏名】▲ひろせ▼ 義朗
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−136661(JP,A)
【文献】 特開2010−251654(JP,A)
【文献】 特開2013−225660(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027549(WO,A1)
【文献】 特表2011−521452(JP,A)
【文献】 特開2011−249480(JP,A)
【文献】 特表2012−531045(JP,A)
【文献】 特開2007−324536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02、21/205、21/31−21/3213、
21/365、21/469−21/475、21/768、
21/86、23/52−23/522、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する工程と、
少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とがそれぞれ0.1nm以上5nm以下の膜厚で積層されてなる積層膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記積層膜は、前記第1の膜と前記第2の膜とがそれぞれ0.1nm以上1nm以下の膜厚で積層されてなる積層膜である請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の膜を形成する工程では、
前記基板に対して前記所定元素を含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対してボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給する工程と、
前記基板に対して窒素含有ガス、または、窒素および炭素を含むガスを供給する工程と、
を含む第1のセットを所定回数行う請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のセットは、前記基板に対して炭素含有ガスを供給する工程をさらに含む請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1のセットにおいて、前記基板に対して供給する前記ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスの流量と、前記基板に対して供給する前記窒素含有ガス、または、前記窒素および炭素を含むガスの流量との比率を調整することにより、前記積層膜に含まれる硼素成分と窒素成分との比率を制御する請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の膜を形成する工程では、
前記基板に対して前記所定元素を含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対してボラジン環骨格を含むガスを供給する工程と、
を含む第2のセットを、前記ボラジン環骨格を含むガスにおけるボラジン環骨格が保持される条件下で所定回数行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2のセットは、前記基板に対して窒素含有ガス、または、窒素および炭素を含むガスを供給する工程をさらに含む請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2のセットは、前記基板に対して炭素含有ガスを供給する工程をさらに含む請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記積層膜の最下部を前記第1の膜により構成する請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記積層膜の最上部を前記第1の膜により構成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内の基板に対して所定元素を含む原料ガスを供給する第1ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対してボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給する第2ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対してボラジン環骨格を含むガスを供給する第3ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して窒素含有ガス、または、窒素および炭素を含むガスを供給する第4ガス供給系と、
前記処理室内の基板を加熱するヒータと、
前記処理室内の圧力を調整する圧力調整部と、
少なくとも前記所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する処理と、少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記処理室内の基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とがそれぞれ0.1nm以上5nm以下の膜厚で積層されてなる積層膜を形成する処理を行うように、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系、前記第3ガス供給系、前記第4ガス供給系、前記ヒータおよび前記圧力調整部を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項12】
少なくとも所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する手順と、
少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とがそれぞれ0.1nm以上5nm以下の膜厚で積層されてなる積層膜を形成する手順をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板上に薄膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの微細化と共に、ゲート電極のサイドウォールスペーサ(SWS)等を構成する絶縁膜等の薄膜には、成膜温度の低温化、フッ化水素(HF)に対する耐性の向上、誘電率の低下が求められる。そのため、絶縁膜として、シリコン窒化膜(SiN膜)に硼素(B)を添加したシリコン硼窒化膜(SiBN膜)や、更に炭素(C)を添加したシリコン硼炭窒化膜(SiBCN膜)の採用が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の薄膜は、高い段差被覆性(ステップカバレッジ特性)が求められるため、複数種の処理ガスを交互に供給する交互供給法によって形成されることが多い。例えば、シリコン(Si)ソースとしてSi含有ガスを、BソースとしてB含有ガスを、CソースとしてC含有ガスを、窒素(N)ソースとしてN含有ガスを用い、これらの処理ガスを基板に対して順に供給するサイクルを所定回数行うことで、基板上にSiBCN膜を形成することができる。しかしながら、上述の手法では、組成比制御の制御性や膜特性制御の制御性を高めるには限界がある。
【0004】
本発明の目的は、薄膜を形成する際に、組成比制御の制御性や膜特性制御の制御性を高めることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
少なくとも所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する工程と、
少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内の基板に対して所定元素を含む原料ガスを供給する第1ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対してボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給する第2ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対してボラジン環骨格を含むガスを供給する第3ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して窒素含有ガスを供給する第4ガス供給系と、
前記処理室内の基板を加熱するヒータと、
前記処理室内の圧力を調整する圧力調整部と、
少なくとも前記所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する処理と、少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことで、前記処理室内の基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する処理を行うように、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系、前記第3ガス供給系、前記第4ガス供給系、前記ヒータおよび前記圧力調整部を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の態様によれば、
少なくとも所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する手順と、
少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、薄膜を形成する際に、組成比制御の制御性や膜特性制御の制御性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A線断面図で示す図である。
図3】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】(a)は本発明の一実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミングを、(b)はその変形例1を示す図である。
図5】(a)(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給タイミングの変形例2,3を示す図である。
図6】(a)(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給タイミングの変形例4,5を示す図である。
図7】(a)(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給タイミングの変形例6,7を示す図である。
図8】(a)(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給タイミングの変形例8,9を示す図である。
図9】(a)はボラジンの化学構造式を、(b)はボラジン化合物の化学構造式を、(c)はn,n’,n”−トリメチルボラジンの化学構造式を、(d)はn,n’,n”−トリ−n−プロピルボラジンの化学構造式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、図1図3を用いて説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0012】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成されている。処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0013】
処理室201内には、ノズル249a〜249dが、反応管203の下部を貫通するように設けられている。ノズル249a〜249dには、ガス供給管232a〜232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232bにはガス供給管232fが、ガス供給管232dにはガス供給管232eがそれぞれ接続されている。このように、反応管203には、4本のノズル249a〜249dと、6本のガス供給管232a〜232fとが設けられており、処理室201内へ複数種類、ここでは6種類のガスを供給することができるように構成されている。
【0014】
但し、本実施形態の処理炉202は上述の形態に限定されない。例えば、反応管203の下方に、反応管203を支持する金属製のマニホールドを設け、各ノズルを、マニホールドの側壁を貫通するように設けてもよい。この場合、マニホールドに、後述する排気管231をさらに設けてもよい。この場合であっても、排気管231を、マニホールドではなく、反応管203の下部に設けてもよい。このように、処理炉202の炉口部を金属製とし、この金属製の炉口部にノズル等を取り付けてもよい。
【0015】
ガス供給管232a〜232fには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a〜241fおよび開閉弁であるバルブ243a〜243fがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a〜232dのバルブ243a〜243dよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232g〜232jがそれぞれ接続されている。ガス供給管232g〜232jには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC241g〜241jおよび開閉弁であるバルブ243g〜243jがそれぞれ設けられている。
【0016】
ガス供給管232a,232b,232dの先端部には、ノズル249a,249b,249dがそれぞれ接続されている。ノズル249a,249b,249dは、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249b,249dは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249b,249dは、L字型のロングノズルとしてそれぞれ構成されており、それらの各水平部は反応管203の下部側壁を貫通するように設けられており、それらの各垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル249a,249b,249dの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250b,250dがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250b,250dは、反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250b,250dは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0017】
ガス供給管232cの先端部には、ノズル249cが接続されている。ノズル249cは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。バッファ室237は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円環状の空間に、また、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部には、ガスを供給するガス供給孔250eが設けられている。ガス供給孔250eは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250eは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0018】
ノズル249cは、バッファ室237のガス供給孔250eが設けられた端部と反対側の端部に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249cは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。ノズル249cはL字型のロングノズルとして構成されており、その水平部は反応管203の下部側壁を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル249cの側面には、ガスを供給するガス供給孔250cが設けられている。ガス供給孔250cは、バッファ室237の中心を向くように開口している。ガス供給孔250cは、ガス供給孔250eと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。バッファ室237内と処理室201内との差圧が小さい場合、複数のガス供給孔250cの開口面積および開口ピッチを、上流側(下部)から下流側(上部)にわたりそれぞれ同一にするとよい。また、バッファ室237内と処理室201内との差圧が大きい場合、ガス供給孔250cの開口面積を上流側から下流側に向かって徐々に大きくしたり、ガス供給孔250cの開口ピッチを上流側から下流側に向かって徐々に小さくしたりするとよい。
【0019】
ガス供給孔250cのそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、ガス供給孔250cのそれぞれから、流速の差はあるものの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させることが可能となる。そして、これら複数のガス供給孔250cのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入することで、バッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うことが可能となる。複数のガス供給孔250cのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスは、バッファ室237内で各ガスの粒子速度が緩和された後、複数のガス供給孔250eより処理室201内に噴出する。複数のガス供給孔250cのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスは、ガス供給孔250eのそれぞれより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0020】
このように、本実施形態では、反応管203の内壁と、積載された複数のウエハ200の端部と、で定義される円環状の縦長の空間内、つまり、円筒状の空間内に配置したノズル249a〜249dおよびバッファ室237を経由してガスを搬送している。そして、ノズル249a〜249dおよびバッファ室237にそれぞれ開口されたガス供給孔250a〜250eから、ウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚均一性を向上させることが可能となる。ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0021】
ガス供給管232aからは、所定元素を含む原料ガスとして、例えば、所定元素としてのSiおよびハロゲン元素を含むハロシラン原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0022】
ハロシラン原料ガスとは、気体状態のハロシラン原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるハロシラン原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるハロシラン原料等のことである。ハロシラン原料とは、ハロゲン基を有するシラン原料のことである。ハロゲン基には、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基等が含まれる。すなわち、ハロゲン基には、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)等のハロゲン元素が含まれる。ハロシラン原料は、ハロゲン化物の一種とも言える。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。
【0023】
ハロシラン原料ガスとしては、例えば、SiおよびClを含む原料ガス、すなわち、クロロシラン原料ガスを用いることができる。クロロシラン原料ガスとしては、例えば、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを用いることができる。HCDSのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、原料ガス(HCDSガス)として供給することとなる。
【0024】
ガス供給管232bからは、ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスとして、例えば、ボラン系ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0025】
ボラン系ガスとは、気体状態のボラン化合物、例えば、常温常圧下で液体状態であるボラン化合物を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるボラン化合物等のことである。ボラン化合物には、Bとハロゲン元素とを含むハロボラン化合物、例えば、BおよびClを含むクロロボラン化合物が含まれる。また、ボラン化合物には、モノボラン(BH)やジボラン(B)のようなボラン(硼化水素)や、ボランのHを他の元素等で置換した形のボラン化合物(ボラン誘導体)が含まれる。ボラン系ガスは、後述する基板処理工程においてBソースとして作用する。ボラン系ガスとしては、例えば、トリクロロボラン(BCl)ガスを用いることができる。BClガスは、後述するボラジン化合物を含まない硼素含有ガス、すなわち、非ボラジン系の硼素含有ガスである。
【0026】
ガス供給管232fからは、ボラジン環骨格を含むガスとして、例えば、ボラジン環骨格および有機リガンドを含むガス、すなわち、有機ボラジン系ガスが、MFC241f、バルブ243f、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0027】
有機ボラジン系ガスとしては、例えば、有機ボラジン化合物であるアルキルボラジン化合物を含むガスを用いることができる。有機ボラジン系ガスを、ボラジン化合物ガス、或いは、ボラジン系ガスと称することもできる。
【0028】
ここで、ボラジンとは、B、NおよびHの3元素で構成される複素環式化合物であり、組成式はBで表すことができ、図9(a)に示す化学構造式で表すことができる。ボラジン化合物は、3つのBと3つのNとで構成されるボラジン環を構成するボラジン環骨格(ボラジン骨格ともいう)を含む化合物である。有機ボラジン化合物は、Cを含むボラジン化合物であり、Cを含むリガンド、すなわち、有機リガンドを含むボラジン化合物とも言える。アルキルボラジン化合物は、アルキル基を含むボラジン化合物であり、アルキル基を有機リガンドとして含むボラジン化合物とも言える。アルキルボラジン化合物は、ボラジンに含まれる6つのHのうち少なくともいずれかを、1つ以上のCを含む炭化水素で置換したものであり、図9(b)に示す化学構造式で表すことができる。ここで、図9(b)に示す化学構造式中のR〜Rは、Hであるか、あるいは1〜4つのCを含むアルキル基である。R〜Rは同じ種類のアルキル基であってもよいし、異なる種類のアルキル基であってもよい。但し、R〜Rは、その全てがHである場合を除く。アルキルボラジン化合物は、ボラジン環を構成するボラジン環骨格を有し、B、N、HおよびCを含む物質とも言える。また、アルキルボラジン化合物は、ボラジン環骨格を有しアルキルリガンドを含む物質とも言える。なお、R〜Rは、Hであるか、あるいは1〜4つのCを含むアルケニル基、アルキニル基であってもよい。R〜Rは同じ種類のアルケニル基、アルキニル基であってもよいし、異なる種類のアルケニル基、アルキニル基であってもよい。但し、R〜Rは、その全てがHである場合を除く。
【0029】
ボラジン系ガスは、後述する基板処理工程において、Bソースとしても作用し、Nソースとしても作用し、Cソースとしても作用する。
【0030】
ボラジン系ガスとしては、例えば、n,n’,n”−トリメチルボラジン(略称:TMB)ガス、n,n’,n”−トリエチルボラジン(略称:TEB)ガス、n,n’,n”−トリ−n−プロピルボラジン(略称:TPB)ガス、n,n’,n”−トリイソプロピルボラジン(略称:TIPB)ガス、n,n’,n”−トリ−n−ブチルボラジン(略称:TBB)ガス、n,n’,n”−トリイソブチルボラジン(略称:TIBB)ガス等を用いることができる。TMBは、図9(b)に示す化学構造式中のR、R、RがHであり、R、R、Rがメチル基であり、図9(c)に示す化学構造式で表すことができるボラジン化合物である。TEBは、図9(b)に示す化学構造式中のR、R、RがHであり、R、R、Rがエチル基であるボラジン化合物である。TPBは、図9(b)に示す化学構造式中のR、R、RがHであり、R、R、Rがプロピル基であり、図9(d)に示す化学構造式で表すことができるボラジン化合物である。TIPBは、図9(b)に示す化学構造式中のR、R、RがHであり、R、R、Rがイソプロピル基であるボラジン化合物である。TIBBは、図9(b)に示す化学構造式中のR、R、RがHであり、R、R、Rがイソブチル基であるボラジン化合物である。
【0031】
TMB等のように常温常圧下で液体状態であるボラジン化合物を用いる場合は、液体状態のボラジン化合物を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、ボラジン系ガス(TMBガス等)として供給することとなる。
【0032】
ガス供給管232cからは、窒素含有ガスとして、例えば、窒化水素系ガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル249c、バッファ室237を介して処理室201内へ供給される。窒化水素系ガスは、後述する基板処理工程において、窒化ガス、すなわち、Nソースとして作用する。窒化水素系ガスとしては、例えば、アンモニア(NH)ガスを用いることができる。
【0033】
ガス供給管232dからは、NおよびCを含むガスとして、例えば、アミン系ガスが、MFC241d、バルブ243d、ノズル249dを介して処理室201内へ供給される。
【0034】
アミン系ガスとは、気体状態のアミン、例えば、常温常圧下で液体状態であるアミンを気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるアミン等のアミン基を含むガスのことである。アミン系ガスは、エチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン等のアミンを含む。アミンとは、アンモニア(NH)のHをアルキル基等の炭化水素基で置換した形の化合物の総称である。アミンは、Cを含むリガンド、すなわち、有機リガンドとして、アルキル基等の炭化水素基を含む。アミン系ガスは、C、NおよびHの3元素を含んでおり、Siを含んでいないことからSi非含有のガスとも言え、Siおよび金属を含んでいないことからSiおよび金属非含有のガスとも言える。アミン系ガスは、C、NおよびHの3元素のみで構成される物質とも言える。アミン系ガスは、後述する基板処理工程において、Nソースとしても作用し、Cソースとしても作用する。本明細書において「アミン」という言葉を用いた場合は、「液体状態であるアミン」を意味する場合、「気体状態であるアミン系ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。
【0035】
アミン系ガスとしては、例えば、その化学構造式中(1分子中)におけるCを含むリガンド(エチル基)の数が3であり、1分子中においてNの数よりもCの数の方が多いトリエチルアミン((CN、略称:TEA)ガスを用いることができる。TEAのように常温常圧下で液体状態であるアミンを用いる場合は、液体状態のアミンを気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、NおよびCを含むガス(TEAガス)として供給することとなる。
【0036】
ガス供給管232eからは、炭素含有ガスとして、例えば、炭化水素系ガスが、MFC241e、バルブ243e、ガス供給管232d、ノズル249dを介して処理室201内へ供給される。炭化水素系ガスは、CおよびHの2元素のみで構成される物質とも言え、後述する基板処理工程においてCソースとして作用する。炭化水素系ガスとしては、例えば、プロピレン(C)ガスを用いることができる。
【0037】
ガス供給管232g〜232jからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N)ガスが、それぞれMFC241g〜241j、バルブ243g〜243j、ガス供給管232a〜232d、ノズル249a〜249d、バッファ室237を介して処理室201内へ供給される。
【0038】
各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、所定元素を含む原料ガスを供給する原料ガス供給系が構成される。ノズル249aを原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系を原料供給系と称することもできる。ガス供給管232aからハロシラン原料ガスを流す場合、原料ガス供給系を、ハロシラン原料ガス供給系、或いは、ハロシラン原料供給系と称することもできる。
【0039】
また、主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、すなわち、非ボラジン系の硼素含有ガスを供給する硼素含有ガス供給系が構成される。ノズル249bを硼素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管232bからボラン系ガスを流す場合、硼素含有ガス供給系を、ボラン系ガス供給系、或いは、ボラン化合物供給系と称することもできる。
【0040】
また、主に、ガス供給管232f、MFC241f、バルブ243fにより、ボラジン環骨格を含むガス、すなわち、ボラジン系ガスを供給するボラジン系ガス供給系が構成される。ガス供給管232bのガス供給管232fとの接続部よりも下流側、ノズル249bをボラジン系ガス供給系に含めて考えてもよい。ボラジン系ガス供給系を、有機ボラジン系ガス供給系、或いは、ボラジン化合物供給系と称することもできる。
【0041】
また、主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、窒素含有ガスを供給する窒素含有ガス供給系が構成される。ノズル249c、バッファ室237を窒素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管232cから窒化水素系ガスを流す場合、窒素含有ガス供給系を、窒化水素系ガス供給系、或いは、窒化水素供給系と称することもでき、また、窒化ガス供給系と称することもできる。
【0042】
また、主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、NおよびCを含むガスを供給する窒素および炭素を含むガス供給系が構成される。ノズル249dを窒素および炭素を含むガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管232dからアミン系ガスを供給する場合、窒素および炭素を含むガス供給系を、アミン系ガス供給系、或いは、アミン供給系と称することもできる。
【0043】
また、主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより、炭素含有ガスを供給する炭素含有ガス供給系が構成される。ガス供給管232dのガス供給管232eとの接続部よりも下流側、ノズル249dを炭素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管232eから炭化水素系ガスを供給する場合、炭素含有ガス供給系を、炭化水素系ガス供給系、或いは、炭化水素供給系と称することもできる。
【0044】
また、主に、ガス供給管232g〜232j、MFC241g〜241j、バルブ243g〜243jにより、不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給系を、パージガス供給系、或いは、キャリアガス供給系と称することもできる。
【0045】
バッファ室237内には、図2に示すように、導電体からなり、細長い構造を有する2本の棒状電極269,270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。棒状電極269,270のそれぞれは、ノズル249cと平行に設けられている。棒状電極269,270のそれぞれは、上部より下部にわたって電極保護管275により覆われることで保護されている。棒状電極269,270のいずれか一方は、整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は、基準電位であるアースに接続されている。整合器272を介して高周波電源273から棒状電極269,270間に高周波(RF)電力を印加することで、棒状電極269,270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。主に、棒状電極269,270、電極保護管275によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。整合器272、高周波電源273をプラズマ源に含めて考えてもよい。プラズマ源は、後述するようにガスをプラズマ状態に活性化(励起)させる活性化機構(励起部)として機能する。
【0046】
電極保護管275は、棒状電極269,270のそれぞれをバッファ室237内の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。電極保護管275の内部の酸素濃度が外気(大気)の酸素濃度と同程度であると、電極保護管275内にそれぞれ挿入された棒状電極269,270は、ヒータ207による熱で酸化されてしまう。電極保護管275の内部にNガスなどの不活性ガスを充填しておくか、不活性ガスパージ機構を用いて電極保護管275の内部をNガスなどの不活性ガスでパージすることで、電極保護管275の内部の酸素濃度を低減させ、棒状電極269,270の酸化を防止することができる。
【0047】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0048】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。すなわち、ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0049】
基板支持具としてのボート217は、複数、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。但し、本実施形態は上述の形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0050】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル249a〜249dと同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0051】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0052】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0053】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241j、バルブ243a〜243j、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、高周波電源273、整合器272、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0054】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241jによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243jの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、高周波電源273の電力供給、整合器272によるインピーダンス調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0055】
コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、この外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態のコントローラ121を構成することができる。但し、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0056】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に薄膜を形成するシーケンス例について、図4(a)を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0057】
図4(a)に示す成膜シーケンスでは、
少なくともSi、BおよびNを含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する工程と、
少なくともSiおよびボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する工程と、
を含むサイクルを所定回数(n回)行うことで、基板としてのウエハ200上に、第1の膜と第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する。
【0058】
第1の膜を形成する工程では、
ウエハ200に対してSiを含む原料ガスとしてHCDSガスを供給する工程と、
ウエハ200に対してボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスとしてBClガスを供給する工程と、
ウエハ200に対して窒素含有ガスとしてNHガスを供給する工程と、
を含む第1のセットを所定回数(m回)行うことで、第1の膜として、ボラジン環骨格非含有のシリコン硼窒化膜(SiBN膜)を形成する。
【0059】
また、第2の膜を形成する工程では、
ウエハ200に対してSiを含む原料ガスとしてHCDSガスを供給する工程と、
ウエハ200に対してボラジン環骨格を含むガスとしてTMBガスを供給する工程と、
を含む第2のセットを、TMBガスにおけるボラジン環骨格が保持される条件下で所定回数(m回)行うことで、第2の膜として、ボラジン環骨格を含むシリコン硼炭窒化膜(SiBCN膜)を形成する。
【0060】
ここで、第1のセット、第2のセット、サイクルを所定回数行うとは、それぞれ、これらのセットやサイクルを、1回もしくは複数回行うことを意味する。すなわち、これらのセットやサイクルを、それぞれ、1回以上行うことを意味する。図4(a)は、第1のセットおよび第2のセットをそれぞれ2回ずつ行い、上述のサイクルをn回繰り返す例を示している。
【0061】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0062】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0063】
本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0064】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、図1に示すように、複数のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
【0065】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内の圧力、すなわち、ウエハ200が存在する空間の圧力が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。また、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0066】
(第1の膜形成工程)
その後、次の3つのステップ、すなわち、ステップ1〜3を順次実行する。
【0067】
[ステップ1]
(HCDSガス供給)
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内にHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC241aにより流量調整され、ガス供給孔250aから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243gを開き、ガス供給管232g内にNガスを流す。Nガスは、MFC241gにより流量調整され、HCDSガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0068】
また、ノズル249b〜249d、バッファ室237内へのHCDSガスの侵入を防止するため、バルブ243h〜243jを開き、ガス供給管232h〜232j内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232b〜232d、ノズル249b〜249d、バッファ室237を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0069】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Paの範囲内の圧力とする。MFC241aで制御するHCDSガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241g〜241jで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。HCDSガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0070】
ウエハ200の温度が250℃未満となると、ウエハ200上にHCDSが化学吸着しにくくなり、実用的な成膜速度が得られなくなることがある。ウエハ200の温度を250℃以上とすることで、これを解消することが可能となる。ウエハ200の温度を300℃以上、さらには350℃以上とすることで、ウエハ200上にHCDSをより十分に吸着させることが可能となり、より十分な成膜速度が得られるようになる。
【0071】
ウエハ200の温度が700℃を超えると、CVD反応が強くなる(気相反応が支配的になる)ことで、膜厚均一性が悪化しやすくなり、その制御が困難となってしまう。ウエハ200の温度を700℃以下とすることで、膜厚均一性の悪化を抑制でき、その制御が可能となる。特にウエハ200の温度を650℃以下、さらには600℃以下とすることで、表面反応が支配的になり、膜厚均一性を確保しやすくなり、その制御が容易となる。
【0072】
よって、ウエハ200の温度は250〜700℃、好ましくは300〜650℃、より好ましくは350〜600℃の範囲内の温度とするのがよい。
【0073】
上述の条件下でウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのClを含むSi含有層が形成される。Clを含むSi含有層は、Clを含むSi層であってもよいし、HCDSガスの吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0074】
Clを含むSi層とは、Siにより構成されClを含む連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるClを含むSi薄膜をも含む総称である。Siにより構成されClを含む連続的な層を、Clを含むSi薄膜という場合もある。Clを含むSi層を構成するSiは、Clとの結合が完全に切れていないものの他、Clとの結合が完全に切れているものも含む。
【0075】
HCDSガスの吸着層は、HCDSガスのガス分子の連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。すなわち、HCDSガスの吸着層は、HCDS分子で構成される1分子層もしくは1分子層未満の厚さの吸着層を含む。HCDSガスの吸着層を構成するHCDS分子は、SiとClとの結合が一部切れたものも含む。すなわち、HCDSガスの吸着層は、HCDSガスの物理吸着層であってもよいし、HCDSガスの化学吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0076】
ここで、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。1分子層未満の厚さの層とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、1分子層の厚さの層とは連続的に形成される分子層のことを意味している。Clを含むSi含有層は、Clを含むSi層とHCDSガスの吸着層との両方を含み得る。但し、上述の通り、Clを含むSi含有層については「1原子層」、「数原子層」等の表現を用いることとする。
【0077】
HCDSガスが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、HCDSガスの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ200上にSiが堆積することでClを含むSi層が形成される。HCDSガスが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、HCDSガスの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ200上にHCDSガスが吸着することでHCDSガスの吸着層が形成される。ウエハ200上にHCDSガスの吸着層を形成するよりも、ウエハ200上にClを含むSi層を形成する方が、成膜レートを高くすることができる点では、好ましい。
【0078】
ウエハ200上に形成される第1の層の厚さが数原子層を超えると、後述するステップ2での改質の作用が第1の層の全体に届かなくなる。また、ウエハ200上に形成可能な第1の層の厚さの最小値は1原子層未満である。よって、第1の層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。第1の層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述するステップ2での改質反応の作用を相対的に高めることができ、ステップ2での改質反応に要する時間を短縮することができる。ステップ1での第1の層の形成に要する時間を短縮することもできる。結果として、1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くすることも可能となる。また、第1の層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性を高めることも可能となる。
【0079】
(残留ガス除去)
第1の層が形成された後、バルブ243aを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排除する。このとき、バルブ243g〜243jは開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留するガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0080】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ2において悪影響が生じることはない。処理室201内へ供給するNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量のNガスを供給することで、ステップ2において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。Nガスの消費を必要最小限に抑えることも可能となる。
【0081】
原料ガスとしては、HCDSガスの他、例えば、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl、略称:STC)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガス、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス等の無機原料ガス等を用いることができる。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0082】
[ステップ2]
(BClガス供給)
ステップ1が終了した後、処理室201内のウエハ200に対してBClガスを供給する。
【0083】
このステップでは、バルブ243b,243g〜243jの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243a,243g〜243jの開閉制御と同様の手順で行う。MFC241bで制御するBClガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるBClガスの分圧は、例えば0.01〜2640Paの範囲内の圧力とする。BClガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。その他の処理手順、処理条件は、例えば、ステップ1の処理手順、処理条件と同様とする。
【0084】
上述の条件下でウエハ200に対してBClガスを供給することにより、第1の層の上に、1原子層未満のB含有層、すなわち、不連続なB含有層が形成される。B含有層は、B層であってもよいし、BClガスの化学吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。また、条件によっては、B含有層は、第1の層とBClガスとが反応し、第1の層の少なくとも一部が硼化(改質)されることで形成されたSiB層を含んでいてもよい。第1の層の上にB含有層が形成されるか、第1の層が改質されることで、ウエハ200上に、SiおよびBを含む第2の層が形成されることとなる。BClガスは非ボラジン系の硼素含有ガスであるため、第2の層は、ボラジン環骨格非含有の層となる。BClガスは、ノンプラズマで熱的に活性化させて供給した方が、上述の反応をソフトに進行させることができ、第2の層の形成が容易となる。
【0085】
(残留ガス除去)
第2の層が形成された後、バルブ243bを閉じ、BClガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後のBClガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、処理室201内に残留するガス等を完全に排除しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0086】
ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスとしては、BClガス以外のハロゲン化ボロン系ガス(ハロボラン系ガス)、例えば、BClガス以外のクロロボラン系ガスや、トリフルオロボラン(BF)ガス等のフルオロボラン系ガスや、トリブロモボラン(BBr)ガス等のブロモボラン系ガスを用いることができる。また、Bガス等のボラン系ガスを用いることもできる。また、無機ボラン系ガスの他、有機ボラン系ガスを用いることもできる。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0087】
[ステップ3]
(NHガス供給)
ステップ2が終了した後、処理室201内のウエハ200に対し、熱で活性化させたNHガス、または、プラズマで活性化させたNHガスを供給する。
【0088】
熱で活性化させたNHガスを供給するステップでは、バルブ243c,243g〜243jの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243a,243g〜243jの開閉制御と同様の手順で行う。MFC241cで制御するNHガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜4000Pa、好ましくは1〜3000Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるNHガスの分圧は、例えば0.01〜3960Paの範囲内の圧力とする。処理室201内の圧力をこのような比較的高い圧力帯とすることで、NHガスをノンプラズマで熱的に活性化させることが可能となる。NHガスは熱で活性化させて供給した方が、比較的ソフトな反応を生じさせることができ、後述する窒化を比較的ソフトに行うことができる。熱で活性化させたNHガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、例えば、上述のステップ1と同様な処理条件とする。
【0089】
プラズマで活性化させたNHガスを供給するステップでは、バルブ243c,243g〜243jの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243a,243g〜243jの開閉制御と同様の手順で行う。MFC241cで制御するNHガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。棒状電極269,270間に印加する高周波電力は、例えば50〜1000Wの範囲内の電力とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜100Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるNHガスの分圧は、例えば0.01〜100Paの範囲内の圧力とする。プラズマを用いることで、処理室201内の圧力をこのような比較的低い圧力帯としても、NHガスを活性化させることが可能となる。NHガスをプラズマ励起することにより得られた活性種をウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、上述のステップ1と同様な処理条件とする。
【0090】
上述の条件下でウエハ200に対してNHガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第2の層の少なくとも一部が窒化(改質)される。第2の層が改質されることで、ウエハ200上に、Si、BおよびNを含む第3の層、すなわち、SiBN層が形成されることとなる。第3の層は、ボラジン環骨格非含有の層となる。第3の層を形成する際、第2の層に含まれていたCl等の不純物は、NHガスによる第2の層の改質反応の過程において、少なくともClを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。すなわち、第2の層中のCl等の不純物は、第2の層中から引き抜かれたり、脱離したりすることで、第2の層から分離する。これにより、第3の層は、第2の層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0091】
(残留ガス除去)
第3の層が形成された後、バルブ243cを閉じ、NHガスの供給を停止する。また、NHガスをプラズマで活性化させて供給していた場合、棒状電極269,270間への高周波電力の印加を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第3の層の形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、処理室201内に残留するガス等を完全に排除しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0092】
窒素含有ガスとしては、NHガスの他、例えば、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等の窒化水素系ガスや、これらの化合物を含むガス等を用いることができる。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0093】
(第1のセットの所定回数実施)
上述したステップ1〜3を1セット(第1のセット)として、このセットを所定回数(m回)行うことにより、ウエハ200上に、第1の膜として、所定組成および所定膜厚のSiBN膜を形成することができる。第1の膜は、ボラジン環骨格非含有の膜、すなわち、非ポーラス状の膜となる。このとき、第1の膜の膜厚が、例えば0.1nm以上5nm以下、好ましくは0.1nm以上1nm以下の膜厚となるように、第1のセットの実施回数を制御する。第1のセットは、例えば1回以上50回以下、好ましくは1回以上10回以下の範囲内で、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、第1のセットを1回行う際に形成されるSiBN層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、第1の膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、第1のセットを複数回繰り返すのが好ましい。
【0094】
このとき、各ステップにおける処理室201内の圧力やガス供給時間等の処理条件を制御することで、第1の膜中における各元素成分、すなわち、Si成分、B成分、N成分の割合、つまり、Si濃度、B濃度、N濃度を調整することができ、SiBN膜の組成比を制御することができる。
【0095】
第1のセットを複数回行う場合、少なくとも2回目以降の各ステップにおいて、「ウエハ200に対して所定のガスを供給する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層に対して、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味し、「ウエハ200上に所定の層を形成する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層の上、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面の上に所定の層を形成する」ことを意味している。この点は、上述の通りである。この点は、後述する第2のセットやサイクルを複数回行う場合にも同様であり、また、各変形例や他の実施形態等においても同様である。
【0096】
(第2の膜形成工程)
その後、次の2つのステップ、すなわち、ステップ4,5を順次実行する。
【0097】
[ステップ4]
(HCDSガス供給)
上述のステップ1と同様の処理手順、処理条件により、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する。これにより、ウエハ200上に形成された第1の膜、すなわち、ボラジン環骨格非含有のSiBN膜上に、第4の層として、例えば、1原子層未満から数原子層程度の厚さのClを含むSi含有層が形成される。
【0098】
(残留ガス除去)
第4の層が形成された後、ステップ1と同様の処理手順により、HCDSガスの供給を停止し、また、処理室201内に残留する未反応もしくは第4の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排除する。このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0099】
[ステップ5]
(TMBガス供給)
ステップ4が終了した後、処理室201内のウエハ200に対してTMBガスを供給する。
【0100】
このステップでは、バルブ243f,243g〜243jの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243a,243g〜243jの開閉制御と同様の手順で行う。MFC241fで制御するTMBガスの供給流量は、例えば1〜1000sccmの範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるTMBガスの分圧は、例えば0.0001〜2424Paの範囲内の圧力とする。TMBガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒、好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。その他の処理手順、処理条件は、例えば、ステップ1の処理手順、処理条件と同様とする。
【0101】
上述の条件下でウエハ200に対してTMBガスを供給することにより、ステップ4で形成された第4の層とTMBガスとが反応する。すなわち、第4の層に含まれるCl(クロロ基)とTMBに含まれるリガンド(メチル基)とが反応する。それにより、TMBのリガンドと反応させた第4の層のClを、第4の層から分離させる(引き抜く)と共に、第4の層のClと反応させたTMBのリガンドを、TMBから分離させることができる。そして、リガンドが分離したTMBのボラジン環を構成するNと、第4の層のSiと、を結合させることができる。すなわち、TMBのボラジン環を構成するB、Nのうちメチルリガンドが外れ未結合手(ダングリングボンド)を有することとなったNと、第4の層に含まれ未結合手を有することとなったSi、もしくは、未結合手を有していたSiとを結合させて、Si−N結合を形成することが可能となる。このとき、TMBのボラジン環を構成するボラジン環骨格は、壊れることなく保持されることとなる。
【0102】
TMBガスを上述の条件下で供給することで、TMBにおけるボラジン環骨格を破壊することなく保持しつつ、第4の層とTMBとを適正に反応させることができ、上述の一連の反応を生じさせることが可能となる。TMBのボラジン環骨格を保持した状態で、この一連の反応を生じさせるための最も重要なファクター(条件)は、ウエハ200の温度と処理室201内の圧力、特にウエハ200の温度と考えられ、これらを適正に制御することで、適正な反応を生じさせることが可能となる。
【0103】
この一連の反応により、第4の層中にボラジン環が新たに取り込まれ、第4の層は、ボラジン環骨格を有しSi、B、CおよびNを含む第5の層、すなわち、ボラジン環骨格を含むシリコン硼炭窒化層(SiBCN層)へと変化する(改質される)。第5の層は、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さの層となる。ボラジン環骨格を含むSiBCN層は、Si、Cおよびボラジン環骨格を含む層とも言える。
【0104】
第4の層中にボラジン環が新たに取り込まれることにより、第4の層中に、ボラジン環を構成するB成分、N成分が新たに取り込まれることとなる。さらにこのとき、第4の層中に、TMBのリガンドに含まれていたC成分も取り込まれることとなる。このように、第4の層とTMBとを反応させて第4の層中にボラジン環を取り込むことにより、第4の層中に、B成分、C成分およびN成分を新たに添加することができる。
【0105】
第5の層を形成する際、第4の層に含まれていたClや、TMBガスに含まれていたHは、TMBガスによる第4の層の改質反応の過程において、少なくともCl、Hを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。すなわち、第4の層中のCl等の不純物は、第4の層中から引き抜かれたり、脱離したりすることで、第4の層から分離することとなる。これにより、第5の層は、第4の層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0106】
第5の層を形成する際、TMBに含まれるボラジン環を構成するボラジン環骨格を破壊することなく維持(保持)することにより、ボラジン環の中央の空間を維持(保持)することができ、ポーラス状のSiBCN層を形成することが可能となる。
【0107】
(残留ガス除去)
第5の層が形成された後、バルブ243fを閉じ、TMBガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第5の層の形成に寄与した後のTMBガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。このとき、処理室201内に残留するガス等を完全に排除しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0108】
ボラジン環骨格を含むガスとしては、TMBガスの他、例えば、TEBガス、TPBガス、TIPBガス、TBBガス、TIBBガス等を用いることができる。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0109】
(第2のセットの所定回数実施)
上述したステップ4,5を1セット(第2のセット)として、このセットを所定回数(m回)行うことにより、すなわち、ステップ4,5を交互に1回以上行うことにより、ボラジン環骨格非含有のSiBN膜(第1の膜)上に、第2の膜として、所定組成および所定膜厚のボラジン環骨格を含むSiBCN膜を形成することができる。第2の膜は、ボラジン環骨格を含有することからポーラス状の膜となる。第2の膜は、Si、Cおよびボラジン環骨格を含む薄膜ともいえる。このとき、第2の膜の膜厚が、例えば0.1nm以上5nm以下、好ましくは0.1nm以上1nm以下の膜厚となるように、第2のセットの実施回数を制御する。第2のセットは、例えば1回以上50回以下、好ましくは1回以上10回以下の範囲内で、複数回繰り返すのが好ましい点は、第1の膜形成工程と同様である。
【0110】
このとき、各ステップにおける処理室201内の圧力やガス供給時間等の処理条件を制御することで、ステップ5で形成するSiBCN層における各元素成分、すなわち、Si成分、B成分、C成分、N成分の割合、つまり、Si濃度、B濃度、C濃度、N濃度を調整することができ、第2の膜の組成比を制御することができる。
【0111】
(サイクルの所定回数実施)
上述した第1の膜形成工程と第2の膜形成工程とを1サイクルとして、このサイクルを所定回数(n回)行うことにより、すなわち、第1の膜形成工程と第2の膜形成工程とを交互に1回以上行うことにより、ウエハ200上に、ボラジン環骨格非含有のSiBN膜(第1の膜)と、ボラジン環骨格を含むSiBCN膜(第2の膜)とが、ナノレベルで交互に積層されてなる積層膜(以下、ナノラミネート膜ともいう)を形成することができる。この積層膜は、膜全体としてはボラジン環骨格を含み、Si、B、CおよびNを含む膜、すなわち、ボラジン環骨格を含むSiBCN膜となる。
【0112】
(パージおよび大気圧復帰)
バルブ243g〜243jを開き、ガス供給管232g〜232jのそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0113】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ200は、ボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0114】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0115】
(a)第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、積層膜、すなわち、最終的に形成されるSiBCN膜の組成比制御の制御性を向上させることが可能となる。
【0116】
というのも、HCDSガス、TMBガスを用いて形成する第2の膜に含まれるB成分とN成分との比率(以下、B/N比とも呼ぶ)は、TMBガスの1分子中に含まれるBの数とNの数との比率(TMBガスでは1/1)、すなわち、ボラジン環骨格を含むガスの種類により決定され、この値から大きく離れた値とするように制御することは困難である。これに対し、HCDSガス、BClガス、NHガスを用いて形成する第1の膜のB/N比は、BClガスとNHガスとの流量比を調整すること等により、自在に制御することが可能である。そのため、第1の膜と第2の膜とを交互に積層する際、第1の膜と第2の膜とでB/N比を異ならせることで、最終的に形成されるSiBCN膜のB/N比を、第1の膜のB/N比と第2の膜のB/N比との間の任意の値とするように制御することが可能となる。
【0117】
また、Cを含まない第1の膜(SiBN膜)とCを含む第2の膜(SiBCN膜)とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜中のC濃度を、第2の膜中のC濃度未満の任意の濃度とするように制御することが可能となる。また、第1の膜の膜厚と第2の膜の膜厚との比率を制御することで、最終的に形成されるSiBCN膜中のSi濃度、B濃度、C濃度、N濃度をそれぞれ微調整することが可能となる。
【0118】
このように、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の組成比を、HCDSガス、BClガス、NHガスを用いて単膜を形成する場合や、HCDSガス、TMBガスを用いて単膜を形成する場合等には実現不可能な値とするよう制御することが可能となる。つまり、組成比制御のウインドウを広げることが可能となる。
【0119】
(b)第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の膜密度、すなわち、膜中の原子密度の制御性を向上させることができる。結果として、最終的に形成されるSiBCN膜の誘電率制御の制御性を向上させることが可能となる。というのも、ボラジン環骨格を含む第2の膜(ポーラス状の膜)は、ボラジン環骨格非含有の第1の膜(非ポーラス状の膜)よりも、膜中の原子密度が低く、誘電率の低い膜となる。そのため、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の誘電率を、例えば、HCDSガス、BClガス、NHガス等を用いて形成したボラジン環骨格非含有のSiBN膜(単膜)の誘電率と、HCDSガス、TMBガスを用いて形成したボラジン環骨格を含むSiBCN膜(単膜)の誘電率との間の、任意の値とするように制御することが可能となる。つまり、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の誘電率を、HCDSガス、BClガス、NHガス等を用いて単膜を形成する場合や、HCDSガス、TMBガスを用いて単膜を形成する場合等には実現不可能な値とすることができ、誘電率制御のウインドウを広げることが可能となる。また、第1の膜の膜厚と第2の膜の膜厚との比率を制御することで、最終的に形成されるSiBCN膜の誘電率を微調整することが可能となる。
【0120】
(c)第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスを向上させることが可能となる。「表面ラフネス」とは、ウエハ面内あるいは任意の対象面内の高低差を意味しており、表面粗さと同様の意味を有している。表面ラフネスが向上する(良好)とは、この高低差が小さくなる(小さい)こと、すなわち、表面が平滑となる(平滑である)ことを意味している。表面ラフネスが悪化する(悪い)とは、この高低差が大きくなる(大きい)こと、すなわち、表面が粗くなる(粗い)ことを意味している。ボラジン環骨格非含有の第1の膜は、ボラジン環骨格を含む第2の膜よりも、表面ラフネスが良好となる傾向がある。そのため、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスを向上させることが可能となる。つまり、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスを、HCDSガス、TMBガスを用いてボラジン環骨格を含むSiBCN膜(単膜)を形成する場合よりも、向上させることが可能となる。
【0121】
この際、ボラジン環骨格非含有の第1の膜の形成を、ボラジン環骨格を含む第2の膜の形成よりも先に行うことで、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスをさらに向上させることが可能となる。つまり、第2の膜を形成する前に、その形成の下地として表面ラフネスの良好な第1の膜を形成し、この第1の膜の上に第2の膜を形成することで、第2の膜が下地の影響を受けることとなり、第2の膜の表面ラフネスを向上させることができる。結果として、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスをさらに向上させることが可能となる。
【0122】
また、この際、最後に形成する膜をボラジン環骨格非含有の第1の膜とすることで、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスをさらに向上させることも可能となる。つまり、最終的に生成されるSiBCN膜、すなわち、積層膜の最上部を、表面ラフネスの良好な第1の膜により構成することで、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスをさらに向上させることが可能となる。
【0123】
(d)第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の酸化耐性制御の制御性を向上させることが可能となる。というのも、ボラジン環骨格を含む第2の膜は、Bを、膜を構成するボラジン環骨格の一構成要素として含むこととなる。上述したように、ボラジン環骨格を構成するB−N結合は、強固な結合を有している。そのため、第2の膜は、ボラジン環骨格非含有の第1の膜よりも、酸化による膜中からのBの脱離が少なく、酸化耐性、例えば、酸素プラズマ等に対する耐性の高い膜、すなわち、アッシング耐性の高い膜となる。第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の酸化耐性を、例えば、第1の膜と第2の膜との間の任意の特性とするように制御することが可能となる。すなわち、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜の酸化耐性を、HCDSガス、BClガス、NHガスを用いて単膜を形成する場合や、HCDSガス、TMBガスを用いて単膜を形成する場合等には実現不可能な特性とすることができる。つまり、酸化耐性制御、すなわち、アッシング耐性制御のウインドウを広げることが可能となる。
【0124】
(e)このように、第1の膜と第2の膜とを交互に積層することで、最終的に形成されるSiBCN膜を、第1の膜および第2の膜のいずれか或いは両方の特性を併せ持つ膜としたり、第1の膜と第2の膜との中間的な特性を有する膜としたり、第1の膜とも第2の膜とも異なる別の特性を有する膜としたりすることが可能となる。これらの場合、上述したように、第1の膜および第2の膜の膜厚を、それぞれ例えば0.1nm以上5nm以下、好ましくは0.1nm以上1nm以下の膜厚とすることが好ましい。
【0125】
第1の膜および第2の膜の膜厚をそれぞれ0.1nm未満の膜厚とすることは困難である。また、第1の膜および第2の膜のいずれかの膜の膜厚が5nmを超える膜厚となると、最終的に形成されるSiBCN膜が、積層方向に非統一(不統一)な特性を有する膜、すなわち、第1の膜と第2の膜とが単に積層され、積層方向に特性が分離した膜となることがある。第1の膜および第2の膜の膜厚をそれぞれ0.1nm以上5nm以下、好ましくは0.1nm以上1nm以下の膜厚とすることで、最終的に形成されるSiBCN膜を、積層方向において統一された特性を有する膜、すなわち、第1の膜および第2の膜のそれぞれの特性、性質が適正に融合した膜とすることが可能となる。つまり、第1の膜および第2の膜の膜厚を上述の範囲内の膜厚とすることで、最終的に形成されるSiBCN膜を、膜全体として一体不可分の特性を有するナノラミネート膜とすることが可能となる。なお、上述のセットの実施回数(m回、m回)をそれぞれ1回以上50回以下、好ましくは1回以上10回以下とすることで、第1の膜および第2の膜の膜厚をそれぞれ上述の範囲内の膜厚とすることができる。また、第1の膜および第2の膜の膜厚をそれぞれ薄くするほど、すなわち、上述の各セットの実施回数(m回、m回)をそれぞれ少なくするほど、最終的に形成されるSiBCN膜の表面ラフネスを向上させることも可能となる。
【0126】
(f)第1の膜、第2の膜を形成する際に、HCDSガスのような吸着性の高い原料ガスを用いることで、各膜の形成を効率的に行うことができる。結果として、最終的に形成されるSiBCN膜の成膜レートを高めることが可能となる。また、成膜に寄与しない原料ガスの消費量を削減することができ、成膜コストを低減させることも可能となる。
【0127】
(g)第1の膜、第2の膜を形成する際に、HCDSガスのような、1分子中に2つのSiを含む原料ガスを用いることで、最終的に形成されるSiBCN膜を、膜中に含まれるSi同士が互いに近接した膜とすることが可能となる。というのも、HCDSガスが自己分解しない条件下で第1の層や第4の層を形成する際、HCDSガス分子に含まれる2つのSiは、互いに近接した状態を保ったままウエハ200(表面の下地膜)上に吸着することとなる。また、HCDSガスが自己分解する条件下で第1の層や第4の層を形成する際、HCDSガス分子に含まれる2つのSiは、互いに近接した状態を保ったままウエハ200上に堆積する傾向が強くなる。このように、HCDSガスのような1分子中に2つのSiを含むガスを用いることで、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガスのような1分子中に1つのSiしか有さないガスを用いる場合と比べ、第1の層や第4の層中に含まれるSi同士を互いに近接した状態とすることが可能となる。結果として、第1の膜や第2の膜、すなわち、最終的に形成されるSiBCN膜を、膜中のSi同士が互いに近接した膜とすることが可能となる。これにより、膜のHF耐性を向上させることも可能となる。
【0128】
(h)第1の膜、第2の膜を形成する際に、各種ガスの供給を非同時、すなわち、交互に行うことで、これらのガスを、表面反応が支配的な条件下で適正に反応させることができる。結果として、最終的に形成されるSiBCN膜の段差被覆性、膜厚制御の制御性をそれぞれ向上させることが可能となる。また、処理室201内における過剰な気相反応を回避することができ、パーティクルの発生を抑制することも可能となる。
【0129】
(4)変形例
本実施形態における成膜シーケンスは、図4(a)に示す態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。
【0130】
(変形例1)
第2の膜を形成する際、ウエハ200に対して炭素含有ガスとして例えばCガスを供給するステップを、図4(b)に示す変形例のようなタイミングで行うようにしてもよい。すなわち、Cガスを供給するステップを、TMBガスを供給するステップ5と同時に行うようにしてもよい。
【0131】
ステップ5と同時に行うCガスを供給するステップでは、バルブ243eの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243aの開閉制御と同様の手順で行う。MFC241eで制御するCガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜5000Pa、好ましくは1〜4000Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるCガスの分圧は、例えば0.01〜4950Paの範囲内の圧力とする。Cガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜200秒、好ましくは1〜120秒、より好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、例えば、図4(a)に示す成膜シーケンスのステップ5と同様な処理条件とする。炭素含有ガスとしては、Cガスの他、例えば、アセチレン(C)ガス、エチレン(C)ガス等の炭化水素系ガスを用いることができる。
【0132】
この変形例によれば、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様の効果を奏する。また、第2の膜を形成する際、上述の条件下でウエハ200に対してCガスを供給することにより、第2の膜中に、TMBガスに含まれていたC成分だけでなく、Cガスに含まれていたC成分も添加することが可能となる。このように、第2の膜を形成する際に2種類のCソース(ダブルカーボンソース)を用いることで、図4(a)に示す成膜シーケンスよりも、第2の膜中のC濃度を高めることが可能となる。結果として、最終的に形成されるSiBCN膜中のC濃度を高くすることができ、この膜を、Cリッチな膜とすることができる。また、炭素含有ガスとして、CガスのようなNを含まないガス、すなわち、Nソースとして作用しない炭化水素系ガスを用いることで、第2の膜中に、炭素含有ガス由来のN成分が添加されてしまうことを防止することができる。これにより、最終的に形成されるSiBCN膜中のN濃度の増加を抑制しつつ、そのC濃度を高くすることが可能となる。
【0133】
また、この変形例によれば、Cガスを供給するステップをステップ5と同時に行うことから、1サイクルあたりの所要時間を増加させることがない。そのため、成膜処理の生産性を維持することが可能となる。
【0134】
(変形例2)
第1の膜を形成する際、図5(a)に示すように、ステップ3で、NHガスの代わりに、NおよびCを含むガスとして例えばTEAガスを供給するようにしてもよい。
【0135】
TEAガスを供給するステップでは、バルブ243dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ243aの開閉制御と同様の手順で行う。MFC241dで制御するTEAガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、例えば1〜5000Pa、好ましくは1〜4000Paの範囲内の圧力とする。処理室201内におけるTEAガスの分圧は、例えば0.01〜4950Paの範囲内の圧力とする。TEAガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜200秒、好ましくは1〜120秒、より好ましくは1〜60秒の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、例えば、図4(a)に示す成膜シーケンスのステップ3と同様な処理条件とする。
【0136】
上述の条件下でウエハ200に対してTEAガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第2の層とTEAガスとを反応させ、第2の層を改質させることができる。このとき、TEAガスに含まれていたN成分およびC成分を第2の層に付加することで、ウエハ200上に、Si、B、CおよびNを含む第3の層、すなわち、SiBCN層が形成される。第3の層は、ボラジン環骨格非含有の層となる。そして、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様に、第1のセットを所定回数行うことで、ウエハ200上に、第1の膜として、ボラジン環骨格非含有のSiBCN膜が形成される。
【0137】
NおよびCを含むガスとしては、TEAガスの他、例えば、ジエチルアミン((CNH、略称:DEA)ガス、モノエチルアミン(CNH、略称:MEA)ガス等のエチルアミン系ガス、トリメチルアミン((CHN、略称:TMA)ガス、ジメチルアミン((CHNH、略称:DMA)ガス、モノメチルアミン(CHNH、略称:MMA)ガス等のメチルアミン系ガス、トリプロピルアミン((CN、略称:TPA)ガス、ジプロピルアミン((CNH、略称:DPA)ガス、モノプロピルアミン(CNH、略称:MPA)ガス等のプロピルアミン系ガス、トリイソプロピルアミン([(CHCH]N、略称:TIPA)ガス、ジイソプロピルアミン([(CHCH]NH、略称:DIPA)ガス、モノイソプロピルアミン((CHCHNH、略称:MIPA)ガス等のイソプロピルアミン系ガス、トリブチルアミン((CN、略称:TBA)ガス、ジブチルアミン((CNH、略称:DBA)ガス、モノブチルアミン(CNH、略称:MBA)ガス等のブチルアミン系ガス、または、トリイソブチルアミン([(CHCHCHN、略称:TIBA)ガス、ジイソブチルアミン([(CHCHCHNH、略称:DIBA)ガス、モノイソブチルアミン((CHCHCHNH、略称:MIBA)ガス等のイソブチルアミン系ガスを用いることができる。すなわち、アミン系ガスとしては、例えば、(CNH3−x、(CHNH3−x、(CNH3−x、[(CHCH]NH3−x、(CNH3−x、[(CHCHCHNH3−x(式中、xは1〜3の整数)の組成式で表されるガスのうち、少なくとも1種類のガスを用いることができる。第1の膜、つまり、最終的に形成されるSiBCN膜中のN濃度の増加を抑制しつつ、そのC濃度を高くするには、アミン系ガスとして、1分子中においてNの数よりもCの数の方が多いガスを用いるのが好ましい。すなわち、アミン系ガスとしては、TEA、DEA、MEA、TMA、DMA、TPA、DPA、MPA、TIPA、DIPA、MIPA、TBA、DBA、MBA、TIBA、DIBAおよびMIBAからなる群より選択される少なくとも1つのアミンを含むガスを用いるのが好ましい。
【0138】
また、NおよびCを含むガスとしては、アミン系ガスの他、例えば、有機ヒドラジン系ガスを用いることができる。ここで、有機ヒドラジン系ガスとは、気体状態の有機ヒドラジン(化合物)、例えば、常温常圧下で液体状態である有機ヒドラジンを気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である有機ヒドラジン等のヒドラジン基を含むガスのことである。有機ヒドラジン系ガスを、単に、有機ヒドラジンガス、または、有機ヒドラジン化合物ガスと呼ぶこともできる。有機ヒドラジン系ガスは、C、NおよびHの3元素で構成されるSi非含有のガスであり、更には、Siおよび金属非含有のガスである。有機ヒドラジン系ガスとしては、例えば、モノメチルヒドラジン((CH)HN、略称:MMH)ガス、ジメチルヒドラジン((CH、略称:DMH)ガス、トリメチルヒドラジン((CH(CH)H、略称:TMH)ガス等のメチルヒドラジン系ガスや、エチルヒドラジン((C)HN、略称:EH)ガス等のエチルヒドラジン系ガスを用いることができる。第1の膜、つまり、最終的に形成されるSiBCN膜中のN濃度の増加を抑制しつつ、そのC濃度を高くするには、有機ヒドラジン系ガスとして、1分子中においてNの数よりもCの数の方が多いガスを用いるのが好ましい。
【0139】
アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガスとしては、1分子中においてCを含むリガンドを複数有するガス、すなわち、1分子中においてアルキル基等の炭化水素基を複数有するガスを用いるのが好ましい。具体的には、アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガスとしては、1分子中においてCを含むリガンド(アルキル基等の炭化水素基)、すなわち、有機リガンドを3つ、或いは2つ有するガスを用いるのが好ましい。
【0140】
この変形例によれば、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様の効果を奏する。また、第1の膜を形成する際、ステップ3でNHガスの代わりにTEAガスを供給することにより、第1の膜中に、N成分だけでなく、C成分も添加することが可能となる。つまり、最終的に形成されるSiBCN膜中に、TMBガスに含まれていたC成分だけでなく、TEAガスに含まれていたC成分も添加することが可能となる。このように、第1の膜形成工程と第2の膜形成工程とを含む1サイクル中に2種類のCソース(ダブルカーボンソース)を用いて成膜を行うことで、図4(a)に示す成膜シーケンスよりも、膜中のC濃度を高めることが可能となる。
【0141】
また、この変形例によれば、第1の膜としてSiBN膜ではなくSiBCN膜を形成する場合であっても、第1の膜形成工程においてCガス等の炭素含有ガスを供給するステップを追加する必要がないことから、1サイクルあたりの所要時間を増加させることがない。そのため、成膜処理の生産性を維持することが可能となる。
【0142】
(変形例3)
第1の膜を形成する際、ウエハ200に対して炭素含有ガスとして例えばCガスを供給するステップを、図5(b)に示す変形例のようなタイミングで行うようにしてもよい。すなわち、Cガスを供給するステップを、NHガスを供給するステップ3より先に行うようにしてもよい。つまり、ステップ2で形成した第2の層に対してNHガスを供給する前に、Cガスを先に供給するようにしてもよい。Cガスは第2の層の表面の少なくとも一部に吸着することとなる。このように、Cガスを供給するステップを、NHガスを供給するステップ3と非同時に行うようにしてもよい。この場合、第1の膜としてSiBCN膜が形成されることとなる。
【0143】
ステップ3よりも先に行うCガスを供給するステップでは、例えば、図4(b)に示すCガスを供給するステップ、すなわち、変形例1で第2の膜を形成する際のCガスを供給するステップと同様の処理手順、処理条件により行う。炭素含有ガスとしては、Cガスの他、例えば、上述の炭化水素系ガスを用いることができる。
【0144】
この変形例によれば、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様の効果を奏する。また、第1の膜を形成する際、上述の条件下でウエハ200に対してCガスを供給するステップを行うことで、第1の膜中、すなわち、最終的に形成されるSiBCN膜中に、Cガスに含まれていたC成分を添加することが可能となる。つまり、最終的に形成されるSiBCN膜中に、TMBガスに含まれていたC成分だけでなく、Cガスに含まれていたC成分も添加することが可能となる。このように、第1の膜形成工程と第2の膜形成工程とを含む1サイクル中に2種類のCソース(ダブルカーボンソース)を用いて成膜を行うことで、図4(a)に示す成膜シーケンスよりも、膜中のC濃度を高めることが可能となる。
【0145】
また、この変形例によれば、第1の膜を形成する際、炭素含有ガスとして、CガスのようなNを含まないガス、すなわち、Nソースとして作用しない炭化水素系ガスを用いることで、第1の膜中に、炭素含有ガス由来のN成分が添加されてしまうことを防止することができる。これにより、最終的に形成されるSiBCN膜中のN濃度の増加を抑制しつつ、そのC濃度を高くすることが可能となる。
【0146】
また、この変形例によれば、第1の膜を形成する際、Cガスを供給するステップを、NHガスを供給するステップ3とは独立して行うことから、図5(a)に示す変形例よりも、SiBCN膜の組成比制御の制御性を向上させることが可能となる。すなわち、Cソースとして作用するCガスの供給と、Nソースとして作用するNHガスの供給とを、相互の供給タイミングが重ならないように独立して行うことから、これらのステップの処理条件を自由に設定することが可能となる。結果として、第1の膜中、すなわち、ボラジン環骨格非含有のSiBCN膜中のN濃度の増加を抑制しつつ、そのC濃度を高めること等が容易となる。但し、ステップ3で、表面にCガスが吸着した第2の層とNHガスとの反応、すなわち、第3の層としてのSiBCN層の形成を確実に行うには、第2の層の表面上へのCガス分子等の吸着反応が飽和する前に、すなわち、第2の層の表面上に形成されるCガスの吸着層(化学吸着層)が連続層となる前に(不連続層であるうちに)、Cガスを供給するステップを終了させることが好ましい。
【0147】
(変形例4)
第2の膜を形成する際、ウエハ200に対して窒素含有ガスとして例えばNHガスを供給するステップを、図6(a)に示す変形例のようなタイミングで行うようにしてもよい。すなわち、NHガスを供給するステップを、TMBガスを供給するステップ5の後に行うようにしてもよい。つまり、ステップ5で形成した第5の層に対してNHガスを供給するようにしてもよい。
【0148】
ステップ5の後に行うNHガスを供給するステップは、例えば、第1の膜を形成する際のステップ3と同様の処理手順、処理条件により行う。窒素含有ガスとしては、NHガスの他、例えば上述の窒化水素系ガスを用いることができる。
【0149】
上述の条件下でウエハ200、すなわち、第5の層に対してNHガスを供給することにより、第1の膜上に形成された第5の層とNHガスとを反応させ、第5の層の少なくとも一部を窒化(改質)させることができる。この窒化により、第5の層にNをさらに与え、第5の層に含まれるCの少なくとも一部を第5の層から脱離させることができる。このとき、例えば処理室201内の圧力を高くする等して窒化力を高めることで、第5の層に含まれるCの大部分を脱離させて不純物レベルとしたり、第5の層に含まれるCを実質的に消滅させることもできる。第5の層が改質されることで、第1の膜上に、ボラジン環骨格を含むNリッチ(Cプア)なSiBCN層、または、ボラジン環骨格を含むSiBN層が形成される。
【0150】
この際、NHガスを上述の条件下で供給することで、第5の層に含まれているボラジン環骨格を破壊することなく保持しつつ、上述の一連の反応を生じさせることが可能となる。第5の層に含まれているボラジン環骨格を保持した状態で、この一連の反応を生じさせるための最も重要なファクターは、ウエハ200の温度と処理室201内の圧力、特にウエハ200の温度と考えられ、これらを適正に制御することで、適正な反応を生じさせることが可能となる。
【0151】
また、この際、第5の層に含まれていたCl等の不純物は、NHガスによる第5の層の改質反応の過程において、少なくともClを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。これにより、改質後の第5の層は、改質前の第5の層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0152】
その後、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様に、第2のセットを所定回数行うことで、第1の膜上に、第2の膜として、ボラジン環骨格を含むNリッチ(Cプア)なSiBCN膜、または、ボラジン環骨格を含むSiBN膜が形成される。最終的に形成される第1の膜と第2の膜とが交互に積層されてなる積層膜(ナノラミネート膜)は、ボラジン環骨格を含むSiBCN膜、または、ボラジン環骨格を含むSiBN膜となる。
【0153】
この変形例によれば、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様の効果を奏する。また、第2の膜を、Nリッチ(Cプア)なSiBCN膜、または、SiBN膜とすることができる。これにより、最終的に形成される膜の組成比制御のウインドウをさらに広げることが可能となる。また、NHガスを供給することで第5の層中からCl等の不純物がさらに脱離することから、最終的に形成される膜中の不純物濃度をさらに低減させ、膜のHF耐性をさらに向上させることが可能となる。
【0154】
(変形例5)
第2の膜を形成する際、ウエハ200に対してNおよびCを含むガスとして例えばTEAガスを供給するステップを、図6(b)に示す変形例のようなタイミングで行うようにしてもよい。すなわち、TEAガスを供給するステップを、TMBガスを供給するステップ5の後に行うようにしてもよい。つまり、ステップ5で形成した第5の層に対してTEAガスを供給するようにしてもよい。
【0155】
ステップ5の後に行うTEAガスを供給するステップは、例えば、図5(a)に示す変形例2のステップ3、すなわち、変形例2で第1の膜を形成する際のステップ3と同様の処理手順、処理条件により行う。NおよびCを含むガスとしては、TEAガスの他、上述の各種アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガスを用いることができる。
【0156】
上述の条件下でウエハ200、すなわち、第5の層に対してTEAガスを供給することにより、第1の膜上に形成された第5の層とTEAガスとを反応させ、第5の層を改質させることができる。このとき、TEAガスに含まれていたN成分およびC成分を第5の層に付加することで、第1の膜上に、ボラジン環骨格を含むNリッチかつCリッチなSiBCN層が形成される。
【0157】
また、この際、TEAガスを上述の条件下で供給することで、第5の層に含まれているボラジン環骨格を破壊することなく保持しつつ、上述の一連の反応を生じさせることが可能となる。第5の層に含まれているボラジン環骨格を保持した状態で、この一連の反応を生じさせるための最も重要なファクターは、ウエハ200の温度と処理室201内の圧力、特にウエハ200の温度と考えられ、これらを適正に制御することで、適正な反応を生じさせることが可能となる。
【0158】
その後、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様に、第2のセットを所定回数行うことで、第1の膜上に、第2の膜として、ボラジン環骨格を含むNリッチかつCリッチなSiBCN膜が形成される。
【0159】
この変形例によれば、図4(a)に示す成膜シーケンスと同様の効果を奏する。また、第2の膜を、NリッチでありCリッチなSiBCN膜とすることができる。つまり、第2の膜中に、TMBガスに含まれていたN成分、C成分だけでなく、TEAガスに含まれていたC成分、N成分も添加することが可能となる。これにより、最終的に形成されるSiBCN膜の組成比制御のウインドウをさらに広げることが可能となる。
【0160】
(変形例6〜9)
図4(a)に示す成膜シーケンスや、上述の変形例1〜5の成膜シーケンスは、任意に組み合わせることが可能である。
【0161】
例えば、図7(a)に示す変形例6のように、図5(a)に示す変形例2における第1の膜形成工程の成膜シーケンスと、図6(a)に示す変形例4における第2の膜形成工程の成膜シーケンスと、を組み合わせ、これを1サイクルとしてもよい。また、例えば、図7(b)に示す変形例7のように、図5(a)に示す変形例2における第1の膜形成工程の成膜シーケンスと、図6(b)に示す変形例5における第2の膜形成工程の成膜シーケンスと、を組み合わせ、これを1サイクルとしてもよい。
【0162】
また例えば、図8(a)に示す変形例8のように、図5(b)に示す変形例3における第1の膜形成工程の成膜シーケンスと、図6(a)に示す変形例4における第2の膜形成工程の成膜シーケンスと、を組み合わせ、これを1サイクルとしてもよい。また、例えば、図8(b)に示す変形例9のように、図5(b)に示す変形例3における第1の膜形成工程の成膜シーケンスと、図6(b)に示す変形例3における第2の膜形成工程の成膜シーケンスと、を組み合わせ、これを1サイクルとしてもよい。
【0163】
これらの変形例によっても、図4(a)に示す成膜シーケンスや、上述の変形例1〜5の成膜シーケンスと同様の効果を奏する。
【0164】
また例えば、炭素含有ガスとして例えばCガスを供給するステップを、図4(b)に示す変形例1のようにTMBガスを供給するステップ5と同時に行うだけでなく、他のタイミングで行ってもよい。また、Cガスを供給するステップを、図5(b)に示す変形例3のようにNHガスを供給するステップ3と非同時に、すなわち、ステップ3より先に行うだけでなく、他のタイミングで行うようにしてもよい。なお、Cガスを供給するステップは、図4(a)に示す成膜シーケンスや、上述の変形例1〜5の成膜シーケンスにおける任意のタイミングで行うことができる。
【0165】
例えば、Cガスを供給するステップを、TMBガスを供給するステップ、BClガスを供給するステップ、TEAガスを供給するステップ、HCDSガスを供給するステップ、NHガスを供給するステップのうち少なくともいずれかのステップと同時に行うようにしてもよい。これらの変形例によっても、図4(b)に示す変形例1と同様の効果を奏する。但し、Cガスを、HCDSガスと同時に供給するのではなく、TMBガスやBClガスやTEAガスやNHガスと同時に供給する方が、処理室201内におけるCガスの気相反応を回避することができ、処理室201内でのパーティクルの発生を抑制することが可能となる点で、好ましい。また、Cガスを、BClガスやNHガスと同時に供給するのではなく、TMBガスやTEAガスと同時に供給する方が、形成される膜の組成比制御の制御性を高めることができる点で、好ましい。
【0166】
また例えば、Cガスを供給するステップを、TMBガスを供給するステップ、BClガスを供給するステップ、TEAガスを供給するステップ、HCDSガスを供給するステップ、NHガスを供給するステップのうち少なくともいずれかのステップと非同時に行うようにしてもよい。例えば、Cガスの供給を、TMBガス、BClガス、TEAガス、HCDSガス、NHガスの供給よりも先に行うようにしてもよく、また、後に行うようにしてもよい。つまり、これらのガスの供給を、それぞれのガスの供給タイミング(供給期間)が重複しないように行うようにしてもよい。これらの変形例によっても、図5(b)に示す変形例3と同様の効果を奏する。
【0167】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0168】
例えば、上述の実施形態では、第1の膜を形成する際、原料ガスを供給した後、ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給する例について説明した。また、第2の膜を形成する際、原料ガスを供給した後、ボラジン環骨格を含むガスを供給する例について説明した。本発明は上述の形態に限定されず、これらのガスの供給順序は逆でもよい。すなわち、ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給した後、原料ガスを供給するようにしてもよく、また、ボラジン環骨格を含むガスを供給した後、原料ガスを供給するようにしてもよい。ガスの供給順序をこのように変えることにより、形成される薄膜の膜質や組成比を変化させることが可能となる。
【0169】
また例えば、上述の実施形態では、第1の膜および第2の膜を形成する際、それぞれ、原料ガスとしてHCDSガスを用いる例、つまり、原料ガスの種類を同一とする例について説明した。本発明は上述の形態に限定されず、第1の膜を形成する際に用いる原料ガスの種類と、第2の膜を形成する際に用いる原料ガスの種類とを、異ならせてもよい。原料ガスの種類をこのように変えることにより、形成される薄膜の膜質や組成比を変化させることが可能となる。
【0170】
また例えば、上述の実施形態では、第1の膜を形成した後、第2の膜を形成する例について説明した。本発明は上述の形態に限定されず、第2の膜を形成した後、第1の膜を形成するようにしてもよい。但し、上述したように、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成した後、ボラジン環骨格を含む第2の膜を形成する方が、最終的に形成される膜の表面ラフネスを向上させ易くなる点で、好ましい。
【0171】
上述の実施形態や各変形例の手法により形成したシリコン系絶縁膜を、サイドウォールスペーサとして使用することにより、リーク電流が少なく、加工性に優れたデバイス形成技術を提供することが可能となる。また、上述のシリコン系絶縁膜を、エッチストッパーとして使用することにより、加工性に優れたデバイス形成技術を提供することが可能となる。また、上述の実施形態や一部の変形例によれば、プラズマを用いず、理想的量論比のシリコン系絶縁膜を形成することができる。プラズマを用いずシリコン系絶縁膜を形成できることから、例えばDPTのSADP膜等、プラズマダメージを懸念する工程への適応も可能となる。
【0172】
上述の実施形態では、所定元素を含む硼炭窒化膜や硼窒化膜として、半導体元素であるSiを含むシリコン系絶縁膜(SiBCN膜、SiBN膜)を形成する例について説明した。本発明は上述の態様に限定されず、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属元素を含む金属系薄膜を形成する場合にも適用することができる。
【0173】
すなわち、本発明は、例えば、TiBCN膜、TiBN膜、ZrBCN膜、ZrBN膜、HfBCN膜、HfBN膜、TaBCN膜、TaBN膜、AlBCN膜、AlBN膜、MoBCN膜、MoBN膜等の金属硼炭窒化膜や金属硼窒化膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。この場合、原料ガスとして、上述の実施形態におけるSiを含む原料ガスの代わりに、金属元素を含む原料ガスを用い、上述の実施形態と同様なシーケンスにより成膜を行うことができる。
【0174】
TiBCN膜、TiBN膜を形成する場合は、Tiを含む原料ガスとして、例えば、Tiおよびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。Tiおよびハロゲン元素を含む原料ガスとしては、例えば、チタニウムテトラクロライド(TiCl)等のTiおよびクロロ基を含む原料ガスや、チタニウムテトラフルオライド(TiF)等のTiおよびフルオロ基を含む原料ガスを用いることができる。ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、ボラジン環骨格を含むガス、炭素含有ガス、窒素含有ガス、NおよびCを含むガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0175】
ZrBCN膜、ZrBN膜を形成する場合は、Zrを含む原料ガスとして、例えば、Zrおよびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。Zrおよびハロゲン元素を含む原料ガスとしては、例えば、ジルコニウムテトラクロライド(ZrCl)等のZrおよびクロロ基を含む原料ガスや、ジルコニウムテトラフルオライド(ZrF)等のZrおよびフルオロ基を含む原料ガスを用いることができる。ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、ボラジン環骨格を含むガス、炭素含有ガス、窒素含有ガス、NおよびCを含むガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0176】
HfBCN膜、HfBN膜を形成する場合は、Hfを含む原料ガスとして、例えば、Hfおよびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。Hfおよびハロゲン元素を含む原料ガスとしては、例えば、ハフニウムテトラクロライド(HfCl)等のHfおよびクロロ基を含む原料ガスや、ハフニウムテトラフルオライド(HfF)等のHfおよびフルオロ基を含む原料ガスを用いることができる。ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、ボラジン環骨格を含むガス、炭素含有ガス、窒素含有ガス、NおよびCを含むガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0177】
TaBCN膜、TaBN膜を形成する場合は、Taを含む原料ガスとして、例えば、Taおよびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。Taおよびハロゲン元素を含む原料ガスとしては、例えば、タンタルペンタクロライド(TaCl)等のTaおよびクロロ基を含む原料ガスや、タンタルペンタフルオライド(TaF)等のTaおよびフルオロ基を含む原料ガスを用いることができる。ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、ボラジン環骨格を含むガス、炭素含有ガス、窒素含有ガス、NおよびCを含むガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0178】
AlBCN膜、AlBN膜を形成する場合は、Alを含む原料ガスとして、例えば、Alおよびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。Alおよびハロゲン元素を含む原料ガスとしては、例えば、アルミニウムトリクロライド(AlCl)等のAlおよびクロロ基を含む原料ガスや、アルミニウムトリフルオライド(AlF)等のAlおよびフルオロ基を含む原料ガスを用いることができる。ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、ボラジン環骨格を含むガス、炭素含有ガス、窒素含有ガス、NおよびCを含むガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0179】
MoBCN膜、MoBN膜を形成する場合は、Moを含む原料ガスとして、例えば、Moおよびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。Moおよびハロゲン元素を含む原料ガスとしては、例えば、モリブデンペンタクロライド(MoCl)等のMoおよびクロロ基を含む原料ガスや、モリブデンペンタフルオライド(MoF)等のMoおよびフルオロ基を含む原料ガスを用いることができる。ボラジン環骨格非含有の硼素含有ガス、ボラジン環骨格を含むガス、炭素含有ガス、窒素含有ガス、NおよびCを含むガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0180】
すなわち、本発明は、半導体元素や金属元素等の所定元素を含む薄膜を形成する場合に好適に適用することができる。
【0181】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0182】
上述のプロセスレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のプロセスレシピを変更することで用意してもよい。プロセスレシピを変更する場合は、変更後のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のプロセスレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0183】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて薄膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて薄膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を形成する場合にも、好適に適用できる。これらの場合においても、処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0184】
また、上述の実施形態や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。また、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0185】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0186】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
少なくとも所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する工程と、
少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜(少なくとも前記所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格を含有する膜)を形成する工程と、
を含むサイクルを所定回数(n回)行うことで、基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法、および、基板処理方法が提供される。
【0187】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記第1の膜を形成する工程では、
前記基板に対して前記所定元素を含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対してボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給する工程と、
前記基板に対して窒素含有ガス、または、窒素および炭素を含むガスを供給する工程と、
を含む第1のセットを所定回数(m回)行う。
【0188】
前記原料ガスとしては、例えば、前記所定元素およびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。前記硼素含有ガスとしては、例えば、ボラン系ガスを用いることができる。前記窒素含有ガスとしては、例えば、窒化水素系ガス等の窒化ガスを用いることができる。前記窒素および炭素を含むガスとしては、例えば、アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガスを用いることができる。
【0189】
(付記3)
付記2に記載の方法であって、好ましくは、
前記第1のセットは、前記基板に対して炭素含有ガスを供給する工程をさらに含む。
【0190】
例えば、前記炭素含有ガスを供給する工程を、前記窒素含有ガスを供給する工程よりも先に行う。また例えば、前記炭素含有ガスを供給する工程を、前記窒素および炭素を含むガスを供給する工程と同時または非同時に行う。前記炭素含有ガスとしては、例えば、炭化水素系ガスを用いることができる。
【0191】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記第2の膜を形成する工程では、
前記基板に対して前記所定元素を含む原料ガスを供給する工程と、
前記基板に対してボラジン環骨格を含むガスを供給する工程と、
を含む第2のセットを、前記ボラジン環骨格を含むガスにおけるボラジン環骨格が保持される条件下で所定回数(m回)行う。
【0192】
前記原料ガスとしては、例えば、前記所定元素およびハロゲン元素を含む原料ガスを用いることができる。前記ボラジン環骨格を含むガスとしては、例えば、有機ボラジン系ガス等のボラジン環骨格および有機リガンドを含むガスを用いることができる。
【0193】
(付記5)
付記4に記載の方法であって、好ましくは、
前記第2のセットは、前記基板に対して窒素含有ガス、または、窒素および炭素を含むガスを供給する工程をさらに含む。
【0194】
前記窒素含有ガスとしては、例えば、窒化水素系ガス等の窒化ガスを用いることができる。前記窒素および炭素を含むガスとしては、例えば、アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガスを用いることができる。
【0195】
(付記6)
付記4または5に記載の方法であって、好ましくは、
前記第2のセットは、前記基板に対して炭素含有ガスを供給する工程をさらに含む。
【0196】
例えば、前記炭素含有ガスを供給する工程を、前記窒素含有ガスを供給する工程よりも先に行う。また例えば、前記炭素含有ガスを供給する工程を、前記窒素および炭素を含むガスを供給する工程と同時または非同時に行う。また例えば、前記炭素含有ガスを供給する工程を、前記ボラジン環骨格を含むガスを供給する工程と同時または非同時に行う。前記炭素含有ガスとしては、例えば、炭化水素系ガスを用いることができる。
【0197】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記第1の膜および前記第2の膜の膜厚を、それぞれ0.1nm以上5nm以下、好ましくは0.1nm以上1nm以下の膜厚とする。
【0198】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記第1のセットおよび前記第2のセットの実施回数を、それぞれ1回以上50回以下、好ましくは1回以上10回以下の回数とする。
【0199】
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記積層膜は、前記第1の膜と前記第2の膜とがナノレベルで交互に積層されてなる積層膜(ナノラミネート膜)である。
【0200】
(付記10)
付記1乃至9のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルを所定回数行う際、前記第1の膜の形成を前記第2の膜の形成よりも先に行う。つまり、前記第2の膜を形成する前に、その形成の下地として前記第1の膜を先に形成する。そして、先に形成した前記第1の膜の上に、前記第2の膜を形成する。すなわち、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜の最下部を、前記第1の膜により構成する。
【0201】
(付記11)
付記1乃至10のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルを所定回数行う際、前記第1の膜の形成を最後に行う。つまり、第2の膜を形成したら、その表面を第1の膜で覆う。すなわち、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜の最上部を、前記第1の膜により構成する。
【0202】
(付記12)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内の基板に対して所定元素を含む原料ガスを供給する第1ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対してボラジン環骨格非含有の硼素含有ガスを供給する第2ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対してボラジン環骨格を含むガスを供給する第3ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して窒素含有ガスを供給する第4ガス供給系と、
前記処理室内の基板を加熱するヒータと、
前記処理室内の圧力を調整する圧力調整部と、
少なくとも前記所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する処理と、少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜(少なくとも前記所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格を含有する膜)を形成する処理と、を含むサイクルを所定回数(n回)行うことで、前記処理室内の基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する処理を行うように、前記第1ガス供給系、前記第2ガス供給系、前記第3ガス供給系、前記第4ガス供給系、前記ヒータおよび前記圧力調整部を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0203】
(付記13)
本発明のさらに他の態様によれば、
少なくとも所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格非含有の第1の膜を形成する手順と、
少なくとも前記所定元素およびボラジン環骨格を含む第2の膜(少なくとも前記所定元素、硼素および窒素を含み、ボラジン環骨格を含有する膜)を形成する手順と、
を含むサイクルを所定回数(n回)行うことで、基板上に、前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されてなる積層膜を形成する手順をコンピュータに実行させるプログラム、および、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0204】
121 コントローラ
200 ウエハ
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
231 排気管
232a〜232j ガス供給管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9