(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平面部及び法面部の草刈り作業を行なうのに、第2草刈装置に機体重量などによる重い荷重が掛かる場合、草刈機の全体が第2草刈装置の重量などによって法面部側にずれ動きがちになり、ずれを防止するように機体支持を強く行う必要があるなど、操縦し難くなる。
【0005】
本発明の目的は、操縦し易い歩行型草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明による歩行型草刈機は、
エンジンが備えられた第1草刈装置と、
前記第1草刈装置の横側方に配置された第2草刈装置と、を備え、
前記第1草刈装置は、機体上下向き軸芯まわりに前記エンジンによって回転駆動される第1刈り刃支軸と、前記第1刈り刃支軸に一体回転するように支持された第1回転刈り刃と、を備え、
前記第2草刈装置は、前記第1草刈装置に機体前後向きの揺動軸芯まわりに上下揺動調節できるように支持された草刈フレームと、前記草刈フレームに前記揺動軸芯の方向と直交又はほぼ直交する方向の軸芯まわりに回転するように支持され、前記エンジンによって回転駆動される第2刈り刃支軸と、前記第2刈り刃支軸に一体回転するように支持された第2回転刈り刃と、を備え、
前記エンジンに機体上下向きの出力軸を備え、
前記エンジンを、前記機体上下向き軸芯を通り、前記第1草刈装置の前後方向に沿った前後向き線に対して前記第2草刈装置が位置する側とは反対側に前記出力軸が位置するように配備し、
前記出力軸と前記第1刈り刃支軸と前記第2刈り刃支軸とを、前記第1刈り刃支軸から前記第2刈り刃支軸に動力を伝達する機体横向きの動力取出し軸の軸心方向に沿って配置し、
前記出力軸の駆動力を前記第1刈り刃支軸に伝達するギヤ連動機構を備え、
前記ギヤ連動機構は、前記出力軸に一体回転するように連動されるエンジン側の伝動ギヤと、前記第1刈り刃支軸に一体回転するように連動される刈り刃側の伝動ギヤと、を備えている。
【0007】
本第1発明の構成によると、エンジンの重量が極力、第2草刈装置側とは反対側に掛かるから、第2草刈装置に掛かる荷重を極力軽くして、草刈機を法面部側へずれ動き難くできる。また、草刈機の法面部側へのずれ動きを防止するバランスウエイトを採用するよりも、草刈機全体の重量を軽くできる。
【0008】
エンジンの出力軸に一体回転するように連動されるエンジン側の伝動ギヤと、第1刈り刃支軸に一体回転するように連動される刈り刃側の伝動ギヤとを備えたギヤ連動機構によってエンジンの駆動力を第1刈り刃支軸に伝達するから、エンジンを第1回転刈り刃の上方にコンパクトに配備して、第1草刈装置の前後重量をバランスさせ易い。また、エンジンの荷重を第1草刈装置の極力前側に掛けることができる。
【0009】
従って、本第1発明によると、草刈機が法面部側にずれ動き難くいことにより、かつ草刈機全体の重量を比較的軽くできることにより、さらに第1草刈装置における前後重量をバランスさせ易いことにより、機体の支持や取扱いを軽く行って容易に作業できる。
【0010】
本第2発明では、前記出力軸が前記第1刈り刃支軸の機体横側に位置している。
【0011】
本第2発明によると、エンジンを第1回転刈り刃の上方によりコンパクトに配備し、第1草刈装置における前後重量を良好にバランスさせることができる。
【0012】
本第3発明では、前記エンジン側の伝動ギヤと前記刈り刃側の伝動ギヤとが噛み合っている。
【0013】
本第3発明によると、エンジンの出力軸と第1刈り刃支軸とがより近づき、エンジンを第1回転刈り刃の上方によりコンパクトに配備できる。
【0014】
本第4発明では、前記第1草刈装置は、前車輪及び後車輪を備え、
前記エンジンを、前記前車輪の左右中心及び前記後車輪の左右中心を通り、前記第1草刈装置の前後方向に沿った前後向き線に対して前記第2草刈装置が位置する側と反対側に前記出力軸が位置するように配備してある。
【0015】
本第4発明によると、前輪及び後輪の機体横方向での接地中心よりも第2草刈装置側とは反対側にエンジンの出力軸が位置し、エンジンの重量が第2草刈装置により掛かり難い状態でエンジンを第1草刈装置に支持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る歩行型草刈機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る歩行型草刈機の全体を示す平面図である。
図1,2に示すように、本発明の実施例に係る歩行型草刈機は、第1刈り刃ハウジング1Aを有した第1草刈装置K1と、第1草刈装置K1の左横側方に配備された第2草刈装置K2とを備えている。
【0018】
第1草刈装置K1は、第1刈り刃ハウジング1A及び後部フレーム13などを有した機体1を備えている。機体1の前部に1つの前車輪5が自由に回転するように装着され、機体1の後部に1つ後車輪7が駆動されるように装着されている。前車輪5と後車輪7との間にエンジン3が設けられている。後部フレーム13の後端部から左右一対の操縦ハンドル4,4が後方向きに延出されている。
【0019】
第1草刈装置K1と第2草刈装置K2とは、第2草刈装置K2が第1草刈装置K1に対して第1草刈装置K1及び第2草刈装置K2の機体前後向きの揺動軸芯P1まわりに上下揺動するように連結してある。第2草刈装置K2を揺動軸芯P1まわりで上下に揺動調節して、第2草刈装置K2に対する第1草刈装置K1の連結角を調節できるように構成してある。
【0020】
この歩行型草刈機は、平面部及び法面部の草刈り作業を行なうものである。たとえば、第2草刈装置K2が畦の法面部に位置するように、第2草刈装置K2に対する第1草刈装置K1の連結角を揺動調節し、この状態で第1草刈装置K1が畦の平面部を走行するように、操縦ハンドル4を支持して操縦することにより、第1草刈装置K1の第1回転刈り刃11がエンジン3によって駆動されて平面部の草刈りを行なっていき、第2草刈装置K2の第2回転刈り刃12がエンジン3によって駆動されて法面部の草刈りを行なっていく。
【0021】
第1草刈装置K1について説明する。
図1,2,3に示すように、第1草刈装置K1の機体1は、伝動ケース21、伝動ケース21の下部に支持された第1刈り刃ハウジング1A、及び、伝動ケース21の下部に前端側が第1刈り刃ハウジング1Aとの共締めで連結された後部フレーム13を備えている。
図6に示すように、第1刈り刃ハウジング1A及び後部フレーム13は、伝動ケース21の下部の両横側部にブラケットを取り付けて形成された支持部14に連結ボルト15によって連結されている。後部フレーム13は、機体平面視で前方向きに開口するU字状に屈曲形成された屈曲鋼管によって構成してある。
【0022】
図1,3に示すように、前車輪5は、第1刈り刃ハウジング1Aの前端部にステーを取り付けて形成された前輪支持部8に前輪支持アーム9を介して支持されている。前輪支持アーム9は、前輪支持部8から前方側に延出され、延出端部で前車軸5aを介して前車輪5を自由回転するように支持している。
【0023】
前輪支持アーム9は、前輪支持部8に連結軸を介して支持され、連結軸の機体横向き軸芯を揺動軸芯P2として上下揺動するようになっている。前輪支持アーム9の基部から調節レバー9aが上方向きに延出されている。第1刈り刃ハウジング1Aから前方向きに延出された第1前カバー10に、調節レバー9aのためのレバーガイド10aが設けられている。調節レバー9aを揺動軸芯P2まわりに揺動操作することにより、前輪支持アーム9を昇降操作でき、所定の操作位置に操作した調節レバー9aをレバーガイド10aに設けた係止部に係止させて固定することにより、前輪支持アーム9を昇降操作した操作位置に固定できるように構成してある。
【0024】
従って、調節レバー9aを揺動操作してレバーガイド10aに固定することにより、前車輪5の機体1に対する取付け高さを変更できる。前車輪5は、機体1に対する取付高さが変更されると、機体1の前端側を後車軸芯まわりで昇降させ、機体1の前端側の対地高さを変更して設定することにより、第1回転刈り刃11の作業状態での対地高さH1(
図7参照)、すなわち平面部G1から第1回転刈り刃11までの距離を変更して設定する。
【0025】
図1,3に示すように、後車輪7は、後部フレーム13にステーを取り付けて形成された後輪支持部13aに後車軸28を介して支持され、後車軸28の軸芯まわりに回転するようになっている。後輪支持部13aは、後車軸28が内嵌する筒体を取り付けて形成されたボス部13bを備え、このボス部13bで後車軸28を相対回転するように支持することにより、後車輪7を回転するように支持している。
【0026】
エンジン3には、底部から下方向きに突出した機体上下向きの出力軸3a(
図4,6参照)が備えられている。
図2,3に示すように、エンジン3は、伝動ケース21に支持された第1刈り刃支軸31(
図4参照)の機体上下向き軸芯P5を通り、第1草刈装置K1の前後方向に沿った前後向き線Lに対して第2草刈装置K2が位置する側とは反対側に出力軸3aが位置するように配備してある。また、エンジン3は、前車輪5の左右中心及び後車輪7の左右中心を通り、第1草刈装置K1の前後方向に沿った前後向き線CL(第1草刈装置K1の左右中心に相当)に対して第2草刈装置K2が位置する側とは反対側に出力軸3aが位置するように配備してある。また、エンジン3は、機体平面視で出力軸3aが第1刈り刃支軸31の機体横側に位置するように配備してある。エンジン3は、伝動ケース21の上方に配置されている。
図4に示すように、エンジン3は、伝動ケース21の上部に備えられた機体平面視で環状の支持部21aによって下方から受け止め支持されている。
【0027】
図9は、動力伝達を示す線図である。
図9に示すように、エンジン3の出力軸3aの駆動力が後輪伝動機構7Aによって後車輪7に伝達されて、後車輪7が駆動されるようになっている。
【0028】
後輪伝動機構7Aは、出力軸3aに入力側が連動連結された自動遠心クラッチ16と、自動遠心クラッチ16の出力部材16aに上端部が一体回転するように連結された機体上下向きのカウンタ軸17と、カウンタ軸17にギヤ機構19を介して入力軸20aが連動されている変速装置20と、変速装置20の機体横向きの出力軸20bの駆動力を、伝動ケース21から横外側に突出している出力軸20bの端部から後車軸28に伝達する伝動チェーン29とを備えている。伝動チェーン29は、後輪支持部13aに支持されたチェーンケース30に収容されている。
【0029】
図4,5に示すように、カウンタ軸17及び変速装置20は、伝動ケース21の内部に設けてある。ギヤ機構19は、カウンタ軸17に一体回転するように設けたウォームギヤ19aと、ウォームギヤ19aに噛み合う状態で入力軸20aに一体回転するように設けたホィールギヤ19bとを備えている。変速装置20は、シフトギヤ20cが変速ギヤ20d及び変速ギヤ20eに係脱操作されることにより、高速状態と低速状態に変速操作され、入力軸20aの駆動力を高速と低速との2段階に変速して出力軸20bから出力する。シフトギヤ20cは、シフトフォーク20fを介して変速操作軸20gに連係され、変速操作軸20gの回転操作によるシフトフォーク20fの揺動操作によってシフト操作される。
【0030】
図1,2に示すように、左右一対の操縦ハンドル4は、後部フレーム13の後端部に備えられたハンドル支持部13cに支持されている。操縦ハンドル4は、ハンドル支持部13cに対して上下に揺動操作できるように支持され、かつ操作した揺動位置に調節ネジによって締め付け固定できるように構成されている。従って、操縦ハンドル4を上下に揺動調節することにより、操縦ハンドル4の握り部4aの高さ変更をできる。
【0031】
図4,6に示すように、伝動ケース21に機体上下向きの第1刈り刃支軸31がベアリングを介して支持され、第1刈り刃支軸31のうちの伝動ケース21から下方に、第1刈り刃ハウジング1Aの内部に突出している下端部に第1回転刈り刃11が一体回転するように支持されている。第1刈り刃支軸31には、エンジン3の出力軸3aの駆動力が伝動ケース21の内部に設けたギヤ連動機構GRによって伝達されるように構成してある。
【0032】
従って、第1草刈装置Aは、第1刈り刃支軸31がこれの機体上下向き軸芯P5を回転軸芯としてエンジン3によって回転駆動され、第1回転刈り刃11が第1刈り刃ハウジング1Aの内部で機体上下向き軸芯P5まわりに第1刈り刃支軸31によって回転駆動されることにより、前車輪5によって設定された第1回転刈り刃11の対地高さH1を設定刈り高さとして、第1回転刈り刃11によって平面部G1の草刈りを行なう。
【0033】
図6,8に示すように、第1回転刈り刃11は、第1刈り刃支軸31に長手方向での中間部が一体回転するように支持されたバー形の第1刈り刃支持体11aと、第1刈り刃支持体11aの両端部において、第1刈り刃支持体11aの上下側に振り分け配置され、第1刈り刃支持体11aに連結軸11cを介して支持された上下一対の第1刈り刃本体11bとを備えている。各第1刈り刃本体11bは、先端側が第1刈り刃支持体11aから外側に突出する状態で支持されている。各第1刈り刃本体11bと連結軸11cとは、相対回転するように連結されており、各第1刈り刃本体11bは、第1刈り刃支軸31と平行な連結軸11cの軸芯P3まわりに第1刈り刃本体11bに対して自由揺動する。従って、各第1刈り刃本体11bは、石などに当たると、第1刈り刃支持体11aに対して後退側に揺動し、第1回転刈り刃11の駆動負荷のアップを抑制する。連結軸11cと、第1刈り刃支持体11aに設けた係止部11dとにわたって連結ピン11eを装着してある。連結軸11cは、軸芯P3の方向に2本の分割連結軸に分割自在に構成してある。連結ピン11eは、2本の分割連結軸にわたって挿入され、2本の分割連結軸を連結状態に維持している。
【0034】
図6,9に示すように、ギヤ連動機構GRは、カウンタ軸17に一体回転するように設けたエンジン側の伝動ギヤ36と、この伝動ギヤ36に噛み合った状態で伝動ケース21に回転するように支持された刈り刃側の伝動ギヤ37とを備えている。
【0035】
カウンタ軸17は、エンジン3の出力軸3aの下方に出力軸3aと同芯状に配置してある。カウンタ軸17と、エンジン3の出力軸3aとは、自動遠心クラッチ16によって連動される。従って、エンジン側の伝動ギヤ36は、自動遠心クラッチ16が入り状態になることにより、カウンタ軸17及び自動遠心クラッチ16によって出力軸3aに連動されて出力軸3aと一体回転する。
【0036】
刈り刃側の伝動ギヤ37は、第1刈り刃支軸31と同芯状に配置されている。刈り刃側の伝動ギヤ37と第1刈り刃支軸31とにわたって刈り刃クラッチ38を設けてある。従って、刈り刃側の伝動ギヤ37は、刈り刃クラッチ38が入り状態に操作されることにより、第1刈り刃支軸31に連動されて第1刈り刃支軸31と一体回転する。
図5に示すように、刈り刃クラッチ38は、伝動ケース21の外部に位置するクラッチレバー38aの揺動操作によるシフター38bの揺動操作により、入り状態と切り状態とに切換え操作される。
【0037】
第2草刈装置K2について説明する。
図2,3,6に示すように、第2草刈装置K2は、第1刈り刃ハウジング1Aの左側端部に連結された第2刈り刃ハウジング2Aを有した草刈フレーム2を備えている。草刈フレーム2は、第2刈り刃ハウジング2Aを備える他、第2刈り刃ハウジング2Aの機体横方向での中央部に支持された刈り刃駆動ケース22を備えている。刈り刃駆動ケース22に第2刈り刃支軸32がベアリングを介して支持され、第2刈り刃支軸32のうちの刈り刃駆動ケース22から下方向きに第2刈り刃ハウジング2Aの内部に突出した下端部に、第2回転刈り刃12が一体回転するように支持されている。
【0038】
草刈フレーム2は、第1刈り刃ハウジング1Aと第2刈り刃ハウジング2Aとを連結する連結軸33の軸芯でなる機体前後向きの揺動軸芯P1まわりに第1草刈装置K1に対して上下揺動するように支持されている。草刈フレーム2は、後述する第2草刈調節装置Sにより、第1刈り刃ハウジング1Aに対して上下に揺動調節され、第1草刈装置K1に対する第2草刈装置K2の連結角を、平面部に対する法面部の傾斜角に対応した連結角に調節するように構成してある。
【0039】
第2刈り刃ハウジング2Aの前部に接地輪6を配備してある。接地輪6は、第2刈り刃ハウジング2Aの前端部にステーを取り付けて形成された接地輪支持部24に支持アーム25を介して支持されている。支持アーム25は、接地輪支持部24から前方側に延出され、延出端部で接地輪支軸6aを介して接地輪6を自由回転するように支持している。
【0040】
支持アーム25は、接地輪支持部24に連結軸を介して支持され、連結軸の機体横向き軸芯を揺動軸芯P2として上下揺動するようになっている。支持アーム25の基部から調節レバー25aが上方向きに延出されている。第2刈り刃ハウジング2Aから前方向きに延出された第2前カバー40に、調節レバー25aのためのレバーガイド40aを設けてある。調節レバー25aを揺動軸芯P2まわりに揺動操作することにより、支持アーム25を昇降操作でき、所定の操作位置に操作した調節レバー25aをレバーガイド40aに設けた係止部に係止させて固定することにより、支持アーム25を昇降操作した操作位置に固定できるように構成してある。
【0041】
従って、調節レバー25aを揺動操作してレバーガイド40aに固定することにより、接地輪6の草刈フレーム2に対する取付高さを変更できる。接地輪6は、草刈フレーム2に対する取付け高さが変更されると、草刈フレーム2の機体前後向きの揺動軸芯P1まわりでの対地高さを変更して設定することにより、第2回転刈り刃12の作業状態での対地高さH2(
図7参照)、すなわち法面部G2から第2回転刈り刃12までの距離を変更して設定する。
【0042】
第2刈り刃支軸32は、これの軸芯であって、機体前後向きの揺動軸芯P1の方向と直交又はほぼ直交する軸芯P6まわりに回転するように刈り刃駆動ケース22に支持されている。第2刈り刃支軸32には、刈り刃駆動ケース22と伝動ケース21とにわたって設けた第2草刈り伝動機構2Dにより、エンジン3の出力軸3aの駆動力が伝達されるように構成してある。
【0043】
図6,9に示すように、第2草刈り伝動機構2Dは、第1刈り刃支軸31に一体回転するように装着されたベベルギヤ41と、このベベルギヤ41に噛み合ったベベルギヤ42を一端側に一体回転するように装着された機体横向きの動力取出し軸44と、この動力取出し軸44の他端側に自在接手45aを介して連動連結された機体横向きの伝動軸45と、この伝動軸45に一体回転するように装着されたベベルギヤ51と、このベベルギヤ51に噛み合った状態で第2刈り刃支軸32の上端部に一体回転するように装着されたベベルギヤ52とを備えている。
【0044】
伝動軸45と、伝動軸45に装着されたベベルギヤ51とは、伝動軸45の6角形の外周形状によって一体回転するように、かつ相対的にスライドするように係合している。草刈フレーム2が第1刈り刃ハウジング1Aに対して揺動調節されると、自在接手45aが屈曲することにより、かつ、ベベルギヤ51が伝動軸45に対してスライドすることにより、草刈フレーム2の揺動調節にかかわらず、第2刈り刃支軸32に伝動されるようになっている。自在接手45aを覆う蛇腹カバー55を動力取出し軸44と伝動軸45とにわたって装着してある。
【0045】
従って、第2草刈装置K2が第2草刈調節装置Sによる草刈フレーム2の上下揺動調節によって、平面部G1に対する法面部G2の傾斜角に対応した連結角で第1草刈装置K1に支持された状態に調節されると、第2刈り刃支軸32が草刈フレーム2の揺動軸芯P1の方向と直交又はほぼ直交した軸芯P6まわりにエンジン3によって回転駆動され、第2回転刈り刃12が第2刈り刃ハウジング2Aの内部で第2刈り刃支軸32によって回転駆動される。これにより、第2草刈装置K2は、接地輪6によって設定された第2回転刈り刃12の対地高さH2を設定刈り高さとして、第2回転刈り刃12によって法面部G2の草刈りを行なう。
【0046】
図6,8に示すように、第2回転刈り刃12は、第2刈り刃支軸32に長手方向での中間部が一体回転するように支持されたバー形の第2刈り刃支持体12aと、第2刈り刃支持体12aの両端部において、第2刈り刃支持体12aの上下側に振り分け配置され、第2刈り刃支持体12aに連結軸12cを介して支持された上下一対の第2刈り刃本体12bとを備えている。各第2刈り刃本体12bは、先端側が第2刈り刃支持体12aから外側に突出する状態で支持されている。各第2刈り刃本体12bと連結軸12cとは、相対回転するように連結されており、各第2刈り刃本体12bは、第2刈り刃支軸32と平行な連結軸12cの軸芯P6まわりに第2刈り刃支持体12aに対して自由揺動する。従って、各第2刈り刃本体12bは、石などに当たると、第2刈り刃支持体12aに対して後退側に揺動し、第1回転刈り刃11の駆動負荷のアップを抑制する。連結軸12cと、第2刈り刃支持体12aに設けた係止部12dとにわたって連結ピン12eを装着してある。連結軸12cは、軸芯P3の方向に2本の分割連結軸に分割自在に構成してある。連結ピン12eは、2本の分割連結軸にわたって挿入され、2本の分割連結軸を連結状態に維持している。
【0047】
図1,2,3に示すように、第2草刈調節装置Sは、左右一対の操縦ハンドル4,4のうちの一方の操縦ハンドルとしての右側の操縦ハンドル4に支持された調節レバー48と、刈り刃駆動ケース22の上部に支持ピン22aを介して支持された揺動リンク54と、この揺動リンク54を調節レバー48に連動させている操作ケーブル53とを備えている。
【0048】
図11,12,13に示すように、調節レバー48は、操縦ハンドル4にステーを取り付けて形成されたレバー支持部47に支軸47aを介して支持され、支軸47aの機体横向き軸芯を揺動軸芯として機体前後方向に揺動操作できるようになっている。支軸47aに装着してあるスプリング49により、調節レバー48をレバーガイド50に設けてある係止部50a〜50dに向けて移動付勢してある。レバーガイド50は、操縦ハンドル4に支持されている。
【0049】
操作ケーブル53は、調節レバー48と揺動リンク54とに連結されたインナーケーブル53aと、このインナーケーブル53aをスライドするように収容しているアウターケーブル53bとを備えている。アウターケーブル53bの調節レバー側の端部は、レバーガイド50に設けられたアウター支持部50eに支持されている。アウターケーブル53bの揺動リンク側の端部は、第1刈り刃ハウジング1aの上面側に設けられたアウター支持部材58に支持されている。
【0050】
図3,10に示すように、揺動リンク54は、支持ピン22aの前後向き軸芯を揺動軸芯として刈り刃駆動ケース22に対して揺動する。揺動リンク54のうちのインナーケーブル53aが連結している側とは反対側の端部に位置決め端部54aを設定し、位置決め端部54aに当接するように構成したピン形のストッパー22bを刈り刃駆動ケース22に設けてある。
【0051】
従って、第2草刈調節装置Sは、調節レバー48をレバーガイド50のガイド溝に沿わせて前後方向に揺動操作し、レバーガイド50の係止部50a〜50dに係止させることにより、第1草刈装置K1に対する第2草刈装置K2の連結角を調節レバー48の操作位置に対応した連結角に調節する。
【0052】
すなわち、調節レバー48をレバーガイド50の最高位置X1に操作し、係止部50aに係止させて保持させると、インナーケーブル53aにおける揺動リンク54との連結部53cが
図10(a)に示す箇所に位置し、揺動リンク54の位置決め端部54aがストッパー22bに当接する。これにより、
図6に示すように、第2刈り刃ハウジング2Aが自重で下降揺動しようとしても、インナーケーブル53aが揺動リンク54を引っ張り支持して第2刈り刃ハウジング2Aが下降せず、第2草刈装置K2が最高位置になる連結角で支持される。
【0053】
図10(b)は、第2草刈装置K2を最高位置よりも低い位置に揺動調節した状態における揺動リンク54を示す正面図である。調節レバー48をレバーガイド50の第1下降位置X2に操作し、係止部50bに係止させて保持させると、インナーケーブル53aにおける連結部53cが
図10(a)に示す箇所から下降して保持される。これに伴って、揺動リンク54が
図10(a)に一点鎖線で示す如く揺動して位置決め端部54aがストッパー22bから少し上方に離れて、第2刈り刃ハウジング2Aが自重で最高位置から少し下降揺動する。第2刈り刃ハウジング2Aが下降揺動していくと、
図10(b)に示す状態と同様に、揺動リンク54の位置決め端部54aがストッパー22bに当接し、インナーケーブル53aが揺動リンク54を引っ張り支持して第2刈り刃ハウジング2Aの下降が止まり、第2草刈装置K2が最高位置から第1下降位置に下降した連結角で支持される。
【0054】
調節レバー48を第1下降位置X2から操作し、第2下降位置X3及び第3下降位置X4に操作し、係止部50c及び係止部53dに係止させて保持することにより、インナーケーブル53aの連結部53cをさらに下降させて保持できる。これにより、揺動リンク54を揺動させて第2刈り刃ハウジング2Aをさらに下降揺動させることができ、第2刈り刃ハウジング2Aが下降揺動するに伴い、
図10(b)に示す状態と同様に、揺動リンク54の位置決め端部54aがストッパー22bに当接して第2刈り刃ハウジング2Aの下降が止まり、第2草刈装置K2を第1下降位置から第2及び第3下降位置に下降した連結角で支持させることができる。
【0055】
第2草刈装置K2が第1、第2及び第3下降位置の連結角で支持された状態において、法面部G2の隆起箇所に接地するなどによって押し上げ操作を受けると、揺動リンク54が持ち上げ操作されてインナーケーブル53aに弛みを発生させる。従って、第2草刈装置K2は、隆起箇所への接地などによって押し上げ操作を受けると、第1、第2及び第3下降位置から上昇し、第2回転刈り刃12の損傷や破損を防止できる。
【0056】
図6,8に示すように、第1刈り刃支軸31と第2刈り刃支軸32との間隔を所定間隔に設定し、かつ、第1回転刈り刃11の回転位相と第2回転刈り刃12の回転位相とが異なる状態で第1回転刈り刃11及び第2回転刈り刃12が駆動されるように、ギヤ連動機構GR及び第2草刈り伝動機構2Dを構成し、機体上下向き軸芯P5の方向に沿う方向視において、第1回転刈り刃11の刃先側部位としての第1刈り刃本体11bの回転軌跡T1と、第2回転刈り刃12の刃先側部位としての第2刈り刃本体12bの回転軌跡T2とが重なるように構成してある。
図7に示すように、第2回転刈り刃12の作業状態での対地高さH2が第1回転刈り刃11の作業状態での対地高さH1よりも高くなる状態に、第1回転刈り刃11及び第2回転刈り刃12の作業状態での対地高さが相違するように、第1回転刈り刃11及び第2回転刈り刃12の取付高さを設定してある。前車輪5及び接地輪6の取付け高さの変更は、第1回転刈り刃11及び第2回転刈り刃12における刈り高さの変化量(刈り高さが増減する分)及び変化方向(刈り高さが増減する方向)が同一となる状態で行うものである。
【0057】
従って、
図7に示すように、平面部G1と法面部G2との境界付近において、かつ、機体上下向き軸芯P5に沿う方向視において、第1回転刈り刃11及び第2回転刈り刃12の作業範囲が重なり、平面部G1と法面部G2との境界付近における刈り残りが発生し難い。そして、第1回転刈り刃11及び第2回転刈り刃12の作業範囲が重なる部位において、第1回転刈り刃11の第1刈り刃本体11bと第2回転刈り刃12の第2刈り刃本体12bとのうちの高く位置する第2刈り刃本体12bの刃先側と、低く位置する第1刈り刃本体11bの刃先側との間隔が大きくなり、平面部G1と法面部G2との境界付近における草刈を草が根元側と根元側から比較的離れた穂先側とで切断される状態で行わせられる。
【0058】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、第2草刈装置K2を第1草刈装置K1の左横側に配置した例を示したが、第1草刈装置K1の右横側に配置して実施してもよい。
【0059】
(2)上記した実施例では、エンジン3の出力軸3aが第1刈り刃支軸31の機体横側に位置するよう構成した例を示したが、出力軸3aが第1刈り刃支軸31の横側方のうち、第1刈り刃支軸31よりも機体前方側や機体後方側の箇所に位置するよう構成して実施してもよい。
【0060】
(3)上記した実施例では、ギヤ連動機構GRとして、エンジン側の伝動ギヤ36と刈り刃側の伝動ギヤ37とが噛み合うものを採用した例を示したが、エンジン側の伝動ギヤ36と刈り刃側の伝動ギヤ37との間に両伝動ギヤ36,37に噛み合う中継の伝動ギヤを設けたものを採用して実施してもよい。
【0061】
(4)上記した実施例では、前車輪5の左右中心及び後車輪7の左右中心を通る前後向き線CLに対して第2草刈装置K2が位置する側と反対側に出力軸3aが位置するよう構成した例を示したが、前後向き線CLに対して第2草刈装置K2が位置する側に出力軸3aが位置するよう構成して実施してもよい。
【0062】
(5)上記した実施例では、第1回転刈り刃11、第2回転刈り刃12として、バー形の第1刈り刃支持体11a及び第2刈り刃支持体12aと、第1刈り刃支持体11aに自由揺動するよう支持された第1刈り刃本体11b及び第2刈り刃支持体12aに自由揺動するよう支持された第2刈り刃本体12bを備えたものを採用した例を示したが、円盤形の刈り刃支持体と、刈り刃支持体に自由揺動するよう支持された刈り刃本体とを備えた回転刈り刃、あるいは、自由揺動する刈り刃本体を備えないバー形の回転刈り刃を採用して実施してもよい。