特許第6247142号(P6247142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247142
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電力制御装置および電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20171204BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20171204BHJP
   G05F 1/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H02J3/32
   H02J3/38 130
   G05F1/00 F
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-86674(P2014-86674)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-208089(P2015-208089A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】七里 一正
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−116010(JP,A)
【文献】 特開2002−112553(JP,A)
【文献】 特表2013−541309(JP,A)
【文献】 特開2013−219881(JP,A)
【文献】 特表2013−540413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
G05F 1/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの蓄電池を含む複数の直流電力供給部から供給される電力を制御する電力制御装置であって、
前記複数の直流電力供給部にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
前記複数のDC/DCコンバータに接続されるインバータと、
前記蓄電池から供給される電力が、当該蓄電池に接続されたDC/DCコンバータおよび前記インバータの消費電力に満たないと判断する場合は、当該DC/DCコンバータを動作させないように制御する制御部と、
を備える電力制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の直流電力供給部に接続された複数のDC/DCコンバータの動作が全て停止している時、前記インバータの動作を停止するように制御する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記インバータと電力系統とを接続または開放する連系リレーを備え、
前記制御部は、前記インバータの動作時には前記連系リレーを接続し、前記インバータの動作停止時には前記連系リレーを開放するように制御する、請求項1または2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記電力制御装置の動作を指示可能なエネルギー管理装置に有線または無線により接続されており、
前記制御部は、前記DC/DCコンバータの動作を停止するように制御する時は、当該電力制御装置の動作を停止する旨を前記エネルギー管理装置に通知するように制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記エネルギー管理装置から前記電力制御装置の動作を開始するように指示された状態で前記DC/DCコンバータの動作を停止するように制御する場合に、当該電力制御装置の動作を開始しない旨を前記エネルギー管理装置に通知するように制御する、請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記複数の直流電力供給部の少なくとも1つは太陽光発電部であり、当該複数の直流電力供給部の少なくとも1つは蓄電池である、請求項1から5のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記蓄電池が充電される状態にあるものの、その充電電力が0Wである場合は、当該蓄電池に接続されたDC/DCコンバータの動作を停止するように制御する、請求項6に記載の電力制御装置。
【請求項8】
少なくとも1つの蓄電池を含む複数の直流電力供給部にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
前記複数のDC/DCコンバータに接続されるインバータと、を備え、
前記複数の直流電力供給部から供給される電力を制御する電力制御装置の電力制御方法であって、
前記蓄電池から供給される電力が、当該蓄電池に接続されたDC/DCコンバータおよび前記インバータの消費電力に満たないと判断する場合は、当該DC/DCコンバータを動作させないように制御するステップを含む、電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置および電力制御方法に関するものである。より詳細には、本発明は、逆潮流可能な電力を出力する太陽光発電などの分散電源、および蓄電池を系統に連系して、負荷に電力を供給可能な電力制御装置に関するものである。また、本発明は、このような電力制御装置による電力制御方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭で用いられる太陽光発電用のパワーコンディショナは、その太陽光発電による電力を制御電源として用いて動作するものが多かった。このようなパワーコンディショナは、夜間などの日射がない時間帯においては、系統と接続される連系リレーを解列して、一部の制御用電源を除いて停止する状態としていた。このようにすれば、夜間の待機電力を僅少に抑えることができるため、パワーコンディショナの効率を高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−197455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、太陽電池のような発電装置と蓄電池など、複数の電源装置を組み合わせて取り扱う連系インバータ(パワーコンディショナ)が検討されている。このようなパワーコンディショナは、太陽電池のような発電装置のみ取り扱う場合のように、決まった時間に動作を停止させることはできず、基本的に夜間であっても動作を停止させず、24時間運転を行うこととなる。
【0005】
しかしながら、上述のように、パワーコンディショナにおいて停止期間なく継続運転を行うと、定常的な電力消費が発生する。このような定常的な電力消費は、電力の浪費防止の観点およびコストの観点などから、可能な限り抑制することが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、複数の電源装置を組み合わせて取り扱うシステムの電力の変換効率を向上する電力制御装置および電力制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する第1の観点に係る発明は、
少なくとも1つの蓄電池を含む複数の直流電力供給部から供給される電力を制御する電力制御装置であって、
前記複数の直流電力供給部にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
前記複数のDC/DCコンバータに接続されるインバータと、
前記蓄電池から供給される電力が、当該蓄電池に接続されたDC/DCコンバータおよび前記インバータの消費電力に満たないと判断する場合は、当該DC/DCコンバータを動作させないように制御する制御部と、
を備えるものである。
【0008】
また、前記制御部は、前記複数の直流電力供給部に接続された複数のDC/DCコンバータの動作が全て停止している時、前記インバータの動作を停止するように制御してもよい。
【0009】
また、前記インバータと電力系統とを接続または開放する連系リレーを備え、
前記制御部は、前記インバータの動作時には前記連系リレーを接続し、前記インバータの動作停止時には前記連系リレーを開放するように制御してもよい。
【0010】
また、前記電力制御装置の動作を指示可能なエネルギー管理装置(例えばHEMS)に有線または無線により接続され、
前記制御部は、前記DC/DCコンバータの動作を停止するように制御する時は、当該電力制御装置の動作を停止する旨を前記エネルギー管理装置に通知するように制御してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記エネルギー管理装置から前記電力制御装置の動作を開始するように指示された状態で前記DC/DCコンバータの動作を停止するように制御する場合に、当該電力制御装置の動作を開始しない旨を前記エネルギー管理装置に通知するように制御してもよい。
【0012】
また、前記複数の直流電力供給部の少なくとも1つは太陽光発電部であり、当該複数の直流電力供給部の少なくとも1つは蓄電池であってもよい。
【0013】
また、前記制御部は、前記蓄電池が充電される状態にあるものの、その充電電力が0Wである場合は、当該蓄電池に接続されたDC/DCコンバータの動作を停止するように制御してもよい。
【0014】
また、上記目的を達成する第2の観点に係る発明は、
少なくとも1つの蓄電池を含む複数の直流電力供給部にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
前記複数のDC/DCコンバータに接続されるインバータと、を備え、
前記複数の直流電力供給部から供給される電力を制御する電力制御装置の電力制御方法であって、
前記蓄電池から供給される電力が、当該蓄電池に接続されたDC/DCコンバータおよび前記インバータの消費電力に満たないと判断する場合は、当該DC/DCコンバータを動作させないように制御するステップを含むものである。


【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の電源装置を組み合わせて取り扱うシステムの電力の変換効率を向上する電力制御装置および電力制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る電力制御装置を概略的に示す機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る電力制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
上述したように、複数の電源装置を組み合わせて取り扱うパワーコンディショナのような電力制御装置は、太陽電池などの発電素子のみならず蓄電池の電力制御も行うため、通常は1日24時間休止することなく運転を行う。このため、電力制御装置に電力の入出力がほとんどない状態でも、連系運転を行うだけで、装置内に電力ロスが発生する。すなわち、パワーコンディショナが系統連系運転を行う場合、系統の電圧に合わせてDC/ACインバータが動作するため、発電および蓄電池放電電力がゼロであっても電力損失が発生することになる。したがって、電力制御装置を含むシステム全体としての変換効率は悪化してしまうという問題がある。
【0019】
例えば、5kWを定格とするパワーコンディショナにおいて、変換効率を94%とすると、その電力損失は300Wとなる。この300Wの電力損失には、電流量に応じて増減する損失と、電流量によらず発生する固定損失とに分類することができる。後者の固定損失は、機器によっては100W程度になるものもある。5kWの太陽光発電システムにおいては、期待できる平均発電量は、1日当たり概ね15kWh程度である。このシステムにおいて、例えば夜間(仮に12時間)も連系運転を行うと、その電力損失は、100W×12h=1.2kWhすなわち全発電量の1割近くになる。したがって、このようなシステムでは、太陽光発電を行う直流電源などを制御電源として、太陽光発電を行わない夜間はパワーコンディショナを停止させる。
【0020】
一方、蓄電池を含む複数の電源装置を取り扱うパワーコンディショナにおいては、蓄電池の充放電の必要に応じて動作する必要性から、1日24時間の連続運転を行うため、交流電源または蓄電池などを制御電源としている。そのため、このようなシステムでは、制御動作の有無にかかわらず、また発電および充放電の程度にかかわらず、1日に2.4kWh(100W×24h=2.4kWh)程度の電力損失が発生することになる。
【0021】
したがって、本実施形態においては、このような固定損失を抑制するため、必要のない場合には、DC/DCコンバータの動作を停止(例えばゲートブロック)させたり、機器を停止(インバータの動作停止および連系リレーのオフ)させたりする。本実施形態では、このように変換効率の悪化を極力抑制して、システム全体としての変更効率を向上させる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る電力制御装置を概略的に示す機能ブロック図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電力制御装置1は、太陽電池130および蓄電池140に接続され、これらから直流電力を供給される。また、電力制御装置1は、負荷200に接続され、必要に応じて系統300と連系運転を行うことにより、負荷200に交流電力を供給することができる。さらに、電力制御装置1は、エネルギー管理装置400(例えばHome Energy Management System(HEMS)など)にも接続される。
【0024】
本発明の実施形態に係る電力制御装置1は、図1に示すように、制御部10、インバータ20、DC/DCコンバータ30,40、および連系リレー50を備えている。電力制御装置1は、さらに、中間リンクコンデンサ、電圧センサ、および電流センサなども備えているが、これらの要素については詳細な説明を省略する。また、以下の説明において、従来よく知られている要素および機能部については、適宜、説明を簡略化または省略する。
【0025】
制御部10は、電力制御装置1の各機能部をはじめとして電力制御装置1の全体を制御および管理する。制御部10は、例えばマイコンまたはプロセッサなどで構成することができる。特に、本実施形態において、制御部10は、インバータ20、DC/DCコンバータ30、DC/DCコンバータ40、および連系リレー50を制御および管理する。このため、制御部10は、これらの各機能部に制御ラインにより接続されている。なお、図1においては、制御ラインおよび情報伝達ラインは破線により示し、電力ラインは実線により示してある。
【0026】
本実施形態において、制御部10は、DC/DCコンバータ30を制御することにより、太陽電池130が発電する電力を制御する。また、本実施形態において、制御部10は、DC/DCコンバータ40を制御することにより、蓄電池140が放電する電力および蓄電池140に充電される電力を制御する。さらに、本実施形態において、制御部10は、インバータ20を制御することにより、電力制御装置1が出力する電力を制御する。制御部10によるこれらの制御については、後述する。
【0027】
インバータ20は、太陽電池130および蓄電池140の少なくとも一方が出力する直流電力を、交流電力に変換して出力する。このため、インバータ20は、DC/DCコンバータ30とDC/DCコンバータ40とを並列接続した出力端に、さらに接続されている。また、インバータ20が直流電力を交流電力に変換した出力端は、宅内などの負荷200および系統300に接続される。負荷200は、図1においては、1つのみ例示してあるが、家庭の宅内などで電力を必要とする、任意の個数の各種の負荷とすることができる。図1に示すように、インバータ20は、系統300に接続されることにより、太陽電池130および蓄電池140を系統300に連系して、負荷200に電力を供給可能に構成される。
【0028】
DC/DCコンバータ30は、太陽電池130が発電する直流電力の電圧を昇降圧することにより制御する。このため、DC/DCコンバータ30は、太陽電池130が発電する電力の出力端に接続される。また、太陽電池130からDC/DCコンバータ30に出力される電力は、例えばDC/DCコンバータ30内部の検出装置によって電圧および電流が検出される。このようにして検出された電圧および電流は、直接的または間接的に、制御部10に通知されるようにする。
【0029】
太陽電池130は、太陽光を利用して発電することができ、太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換する。本実施形態において、太陽電池130は、例えば家の屋根などにソーラパネルを設置して、太陽光を利用して発電するような態様を想定している。しかしながら、本発明において、太陽電池130は、太陽光のエネルギーを電力に変換できるものであれば、任意のものを採用することができる。図1においては、太陽電池130を1つのみ例示してあるが、任意の個数の各種の太陽電池を接続することができる。
【0030】
DC/DCコンバータ40は、蓄電池140が入出力する直流電力の電圧を昇降圧することにより制御する。このため、DC/DCコンバータ40は、蓄電池140が充放電する電力の出力端に接続される。蓄電池140からDC/DCコンバータ40に出力される電力、およびDC/DCコンバータ40から蓄電池140に入力される電力は、例えばDC/DCコンバータ40内部の検出装置によって電圧および電流が検出される。このようにして検出された電圧および電流は、直接的または間接的に、制御部10に通知される。
【0031】
蓄電池140は、充電された電力を放電することにより、電力を供給することができる。また、蓄電池140は、系統300または太陽電池130等から供給される電力を充電することもできる。この蓄電池140は、入力される電力を充電し、出力する電力を放電することが可能な例えばリチウムイオン電池のような任意の蓄電池とすることができる。図1においては、蓄電池140を1つのみ例示してあるが、任意の個数の各種の蓄電池を接続することができる。
【0032】
蓄電池140に電力を充電する際、インバータ20は、コンバータとして動作する。すなわち、この場合、インバータ20は、交流の電力を直流の電力に変換し、変換された電力を蓄電池140に充電する。
【0033】
連系リレー50は、電力系統300と電力制御装置1との接続および解列を切り替えるためのスイッチである。すなわち、連系リレー50は、インバータ20と電力系統300とを接続または開放する。図1に示すように、連系リレー50は、系統300と、インバータ20との間に接続される。また、連系リレー50は、制御部10の制御によってオン/オフを切り替えることができる。
【0034】
また、図1に示すように、電力制御装置1の制御部10は、エネルギー管理装置400に接続されている。この接続は有線または無線の任意の方法によるものとすることができる。すなわち、電力制御装置1は、有線または無線によりエネルギー管理装置400に接続される。また、この接続は、例えばエコーネットライト(ECHONET Lite)などの各種のプロトコルに準拠したものとすることができる。制御部10は、このようにエネルギー管理装置400に接続されることにより、例えば外部のサーバなどと通信を行うことができる。制御部10は、このようにエネルギー管理装置400を経て、例えば天気予報などの各種情報を含む気象情報および時刻情報などをはじめとして、各種の情報を取得することができる。
【0035】
本実施形態においては、DC/DCコンバータ30に接続される電源を、太陽電池130として説明する。しかしながら、本発明において、DC/DCコンバータ30に接続可能な電源は、太陽電池に限定されない。本発明において、DC/DCコンバータ30に接続される電源は、例えば再生可能エネルギーに基づく発電を行う発電部のような、各種の電源とすることができる。例えば、DC/DCコンバータ30に接続される電源は、風力発電装置などのような発電部、またはSOFCのような燃料電池などとしてもよい。
【0036】
以下の説明においては、本実施形態に係る電力制御装置1は、図1に示すように、太陽電池130および蓄電池140を系統300に連系して、負荷200に電力を供給可能に構成される。図1において、電力制御装置1は、太陽電池130および蓄電池140の2つの直流電源のみに接続されているが、本発明に係る電力制御装置は、このような構成に限定されない。本発明に係る電力制御装置は、各種の直流電源を複数接続することができる。
【0037】
このように、本実施形態に係る電力制御装置1は、太陽電池130および蓄電池140のような複数の直流電力供給部から供給される電力を制御する。すなわち、本実施形態に係る電力制御装置1において、複数の直流電力供給部の少なくとも1つは太陽電池130とし、当該複数の直流電力供給部の少なくとも1つは蓄電池140とすることができる。また、電力制御装置1において、複数のDC/DCコンバータ30,40は、太陽電池130および蓄電池140のような複数の直流電力供給部にそれぞれ接続される。また、インバータ20は、複数のDC/DCコンバータ30,40に接続される。
【0038】
本実施形態においては、電力制御装置1の動作にあたって、制御部10が制御を行う基準として用いる閾値を設定する。以下、このような閾値について説明する。
【0039】
まず、太陽電池130の発電に関する閾値について説明する。
【0040】
太陽電池130がある程度の電力を発電していたとしても、その発電電力が電力制御装置1によって内部損失される電力を超えていなければ、電力制御装置1からは太陽電池130の発電電力は出力されない。すなわち、太陽電池130がある閾値以下の電力で発電しても、電力制御装置1内部にて電力損失として消費されるため、太陽電池130の発電する電力を外部に供給することはできない。
【0041】
そこで、制御部10は、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40の充放電電力を0Wとした場合に、インバータ20から出力される電力が0Wを超える時点において、太陽電池130に接続したDC/DCコンバータ30へ入力される電力を計測する。そして、制御部10は、このようにして計測された電力値を、閾値P0として記憶する。閾値を記憶する際には、例えば制御部10に内蔵される記憶部に記憶したり、または別個用意した記録媒体に記憶したり、種々の手段を用いることができる。
【0042】
次に、蓄電池140の放電に関する閾値について説明する。
【0043】
蓄電池140がある程度の電力を放電していたとしても、その放電電力が電力制御装置1によって内部損失される電力を超えていなければ、電力制御装置1からは蓄電池140の放電電力は出力されない。すなわち、蓄電池140がある閾値以下の電力で放電しても、電力制御装置1内部にて電力損失として消費されるため、蓄電池140の放電する電力を外部に供給することはできない。
【0044】
そこで、制御部10は、太陽電池130に接続したDC/DCコンバータ30の出力電電力を0Wとした場合に、インバータ20から出力される電力が0Wを超える時点において、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40へ入力される電力を計測する。そして、制御部10は、このようにして計測された電力値を、閾値Wdとして記憶する。閾値を記憶する際には、上述同様、種々の手段を用いることができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る電力制御装置1の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る電力制御装置1の動作を説明するフローチャートである。
【0046】
図2に示す電力制御装置1の動作が開始すると、制御部10は、太陽電池130の発電可能電力(あるいは出力)が、上述の閾値P0を超えているか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、ステップS11では、太陽電池130が、閾値P0を超える電力を発電可能な状態になっているか否かを判定する。ステップS11において太陽電池130の発電可能電力(あるいは出力)が上述の閾値P0を超えていると判定されたら、制御部10は、太陽電池130に接続したDC/DCコンバータ30の動作をオンにする(ステップS12)。ステップS12に移行する際は、太陽電池130の発電可能電力(あるいは出力)をPとすると、P>P0となる。
【0047】
一方、ステップS11において太陽電池130の発電可能電力(あるいは出力)が上述の閾値P0を超えていないと判定された場合、その出力で太陽電池130により発電された電力は、電力制御装置1内部にて電力ロスとして消費されてしまい、外部に供給することはできない。したがって、ステップS11において太陽電池130の発電可能電力(あるいは出力)が上述の閾値P0を超えていないと判定されたら、制御部10は、太陽電池130に接続したDC/DCコンバータ30の動作を停止(例えばゲートブロック)する(ステップS13)。ステップS13に移行する際は、太陽電池130の発電可能電力(あるいは出力)をPとすると、0≦P≦P0となる。
【0048】
次に、制御部10は、蓄電池140の放電を要求されている場合、要求された蓄電池140の放電電力(出力)が、上述の閾値Wdを超えているか否かを判定する(ステップS14)。このような蓄電池140の放電の要求は、各種の態様が想定される。例えば、制御部10に蓄電池140の充放電スケジュールを記憶しておき、所定の時刻に達したら、制御部10自らが、蓄電池140の放電の要求(充放電スケジュール)に従って制御を行うことができる。このような充放電スケジュールは、制御部10が内蔵するメモリに記憶してもよいし、電力制御装置1の内外の他の記憶手段に記憶してもよい。また、例えばエネルギー管理装置400から蓄電池140の充放電の要求を受信することにより、制御部10が、受信した充放電の要求に基づいて、制御を行ってもよい。また、このような蓄電池140の充放電の要求は、例えば外部のネットワークなどから受信してもよい。後述する蓄電池140の充電の要求においても、同様に各種の態様を想定することができる。
【0049】
ステップS14において要求された蓄電池140の放電の電力(出力)が上述の閾値Wdを超えていると判定されたら、制御部10は、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40の動作をオンにする(ステップS15)。この場合、ステップS15に移行する際は、要求された蓄電池140の放電する電力(出力)をWとすると、W>Wdとなる。
【0050】
一方、ステップS14において要求された蓄電池140の出力が上述の閾値Wdを超えていないと判定された場合、その出力で蓄電池140から放電された電力は、電力制御装置1内部にて電力ロスとして消費されてしまい、外部に供給することはできない。したがって、ステップS14において要求された蓄電池140の出力が上述の閾値Wdを超えていないと判定されたら、制御部10は、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40の動作を停止(例えばゲートブロック)する(ステップS16)。この場合、ステップS16に移行する際は、要求された蓄電池140の放電する電力(出力)をWとすると、0≦W≦Wdとなる。
【0051】
また、ステップS14において、蓄電池140の充電を要求されている場合、蓄電池140に対する充電量にかかわらず、ある程度の固定した内部損失は発生する。したがって、蓄電池140の充電を要求された場合、制御部10は、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40の動作を、要求に応じてオンにする(ステップS15)。この場合、ステップS15に移行する際は、要求された蓄電池140に充電する電力をWとすると、W<0となる(出力(正)ではなく入力(負)になる)。
【0052】
一方、ステップS14において、蓄電池140の充電を要求されている場合であって、要求された充電制御が0Wである場合、蓄電池140は充放電を行う必要がない。しかしながら、この場合、蓄電池140の充放電電力が0Wであっても、DC/DCコンバータ40および、インバータ20がコンバータとしての動作を行うため、電力が消費される。したがって、要求された充電制御が0Wである場合、制御部10は、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40の動作を停止(例えばゲートブロック)する(ステップS16)。この場合、ステップS16に移行する際は、要求された蓄電池140に充電する電力をWとすると、W=0である。
【0053】
次に、制御部10は、太陽電池130に接続したDC/DCコンバータ30または蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40のいずれかが動作しているか否か判定する(ステップS17)。ステップS17においてDC/DCコンバータ30またはDC/DCコンバータ40のいずれかが動作している場合、制御部10は、インバータ20が動作するように制御し、連系リレー50をオンにするように制御する(ステップS18)。
【0054】
一方、ステップS17において、太陽電池130に接続したDC/DCコンバータ30および蓄電池140DC/DCコンバータ40のいずれも動作しない(例えばゲートブロックしている)ときは、電力制御装置1は連系運転を行う必要はない。したがって、この場合、制御部10は、インバータ20の動作を停止し、連系リレー50をオフにするように制御する(ステップS19)。
【0055】
このように、制御部10は、複数の直流電力供給部130,140のうち1つから供給される電力が、当該1つの直流電力供給部に接続されたDC/DCコンバータ30,40およびインバータ20の消費電力を超えない時は、当該DC/DCコンバータの動作を停止する。ここで、制御部10は、複数の直流電力供給部130,140に接続された複数のDC/DCコンバータ30,40の動作が全て停止している時、インバータ20の動作を停止するように制御する。また、制御部10は、要求された充電制御が0Wである場合は、DC/DCコンバータ40の動作を停止するように制御する。また、制御部10は、インバータ20の動作時には連系リレー50を接続し、インバータ20の動作停止時には連系リレー50を開放するように制御する。
【0056】
上述したように、図2においてステップS14からステップS16に移行する場合、要求された蓄電池140の放電電力の出力がWdを超えていないか、または要求された蓄電池140の充電制御が0Wである。これらのような場合、制御部10は、充放電の要求を受けているにもかかわらず、蓄電池140に接続したDC/DCコンバータ40の動作を停止(ゲートブロック)している。したがって、例えばエネルギー管理装置400から充放電の要求を受けているような場合、制御部10は、要求された通りの動作を行わない旨を、要求を送信した対象に通知するのが好適である。すなわち、制御部10は、エネルギー管理装置400から電力制御装置1の動作を開始するように指示された際に、DC/DCコンバータの動作を停止する時は、電力制御装置1の動作を開始しない旨をエネルギー管理装置400に通知するように制御するのが好適である。これは、充放電の要求を送信したのがエネルギー管理装置400以外の他の要素であっても、同じように処理することが望ましい。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る電力制御装置1は、複数の直流発電部(例えば太陽電池130および蓄電池140)を備え、直流電力を交流電力に変換して系統に連系する。本実施形態においては、例えば太陽電池130および蓄電池140のような直流発電素子の出力電力がある閾値以下である場合、対応するDC/DCコンバータの動作を停止する。また、本実施形態においては、例えば太陽電池130および蓄電池140のような直流発電素子の出力電力が、どちらもある閾値以下である場合、連系リレー50を解列し、インバータ20の動作を停止させる。
【0058】
一方、本実施形態においては、例えば太陽電池130のような発電装置の発電可能電力がある閾値以上、または蓄電池140の充放電電力の要求がある閾値範囲外の場合、対応するDC/DCコンバータの動作を開始する。この場合、本実施形態においては、連系リレー50を接続し、インバータ20の動作を開始する。
【0059】
このように、本実施形態では、制御動作の必要に応じて、太陽電池130のDC/DCコンバータ30、蓄電池140のDC/DCコンバータ40、およびインバータ20を停止させたり、連系リレー50を解列したりする。したがって、本実施形態においては、機器内における内部損失を極力低減することができるため、全体としてエネルギー損失の少ない高効率の電力制御を実現することができる。
【0060】
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部およびステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本発明の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0061】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、上述した実施形態に係る電力制御装置1のような電力制御装置による電力制御方法として実現することもできる。
【0062】
また、上述した実施形態では、電力制御装置1の動作を行う前提として、制御部10が制御を行う基準として用いる閾値(P0,Wd)を測定することにより設定する態様を説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。これらの閾値は、電力制御装置1において実測するのではなく、例えばエネルギー管理装置400または外部ネットワークなどから供給されるような態様を想定することもできる。また、このようにして供給された閾値は、例えば電力制御装置1における各種の動作または制御に基づいて補正されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 電力制御装置
10 制御部
20 インバータ
30,40 DC/DCコンバータ
50 連系リレー
130 太陽電池
140 蓄電池
200 負荷
300 系統
400 エネルギー管理装置
図1
図2