特許第6247243号(P6247243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247243
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】刈払機の刃物取付構造
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/73 20060101AFI20171204BHJP
   A01D 34/68 20060101ALI20171204BHJP
   A01D 34/76 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A01D34/73 A
   A01D34/68 A
   A01D34/76 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-56640(P2015-56640)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-174563(P2016-174563A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆市
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−130959(JP,A)
【文献】 特開2008−161062(JP,A)
【文献】 実開昭52−039731(JP,U)
【文献】 特開2005−237265(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0083328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/68−34/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する刃物押え部材(25)及び刃物受け部材(24)の間に刃物(4)が配置され、前記刃物受け部材(24)は、刃物押え部材(25)側の端面から突出し前記刃物(4)の取付孔(29)に進入するボス部(28)を有し、前記刃物押え部材(25)を前記刃物受け部材(24)に向かって押し付けることにより、前記刃物押え部材(25)と前記刃物受け部材(24)との間に前記刃物(4)を挟持すると共に、前記部材(24,25)及び前記刃物(4)を、前記ボス部(28)を含む前記刃物受け部材(24)及び前記刃物押え部材(25)に内挿され動力が伝達される回転軸(14)に対して一体化する刈払機(1)の刃物取付構造であって、
前記ボス部(28)の刃物押え部材(25)側の端面の外周縁部には、刃物押え部材(25)側に突出する案内凸部(30)が円環状に設けられ、
前記案内凸部(30)の外周側の面は、先端に行くに従い縮径するテーパー面(32)を有し、
さらに、前記案内凸部(30)は、先端に行くに従い拡径するテーパー面の内周側の面を有し、
前記刃物押え部材(25)は、前記刃物受け部材(24)の前記案内凸部(30)の形状に対応し、当該案内凸部(30)が進入し前記刃物受け部材(24)を位置合わせする凹部(37)を円環状に有することを特徴とする刈払機(1)の刃物取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機の刃物取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈払機として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の刈払機にあっては、操作桿の前端にギヤケースを介して刃物(刈刃)が設けられると共に、操作桿の後端に駆動部であるエンジンが設けられる。操作桿内には、エンジンの回転駆動力を伝達するドライブシャフトが配置され、ギヤケース内には、ドライブシャフトの先端部が進入し、ドライブシャフトの先端に固着された駆動側ベベルギヤ、ドライブシャフトの軸線に交差するように上下方向に軸線が延びる出力軸、出力軸の上端部に固着され駆動側ベベルギヤに噛合する従動側ベベルギヤが配置される。出力軸は、ギヤケース内で回転自在且つ軸線方向移動不能に装着され、その下端面から上方に向かって雌螺子が所定長形成される。また、ギヤケースの下端の開口を塞ぐように押え部材が配置される。押え部材は、上側押え部材及び下側押え部材を備え、上側押え部材の下端面の中央部には、下方に突出する円筒状のボス部が設けられる。この上側押え部材の円筒状のボス部が、刃物の中央部に設けられた取付孔に進入するようにして、上側押え部材に刃物が重ねられ、さらに、刃物に対して下側押え部材が重ねられる。そして、これらの上側押え部材及び下側押え部材に対して出力軸が内挿されている。
【0003】
この状態で、出力軸の上記雌螺子に、ボルトの雄螺子を螺合し当該ボルトを締め付け下側押え部材を上側押え部材に向かって押し付けることにより、上側押え部材と下側押え部材との間に刃物を挟持すると共に、上側押え部材、下側押え部材及び刃物を出力軸に対して一体化し、これにより、ギヤケースに対して刃物が回転自在に支持される。なお、上側押え部材、刃物、下側押え部材の重ね作業及びボルトの締め付け作業は、ギヤケースを逆さにした状態で行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−237265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の刈払機にあっては、上側押え部材のボス部に対して遊びが少ない刃物の取付孔を合わせるのが容易ではなく、刃物の位置合わせが難しいという問題がある。
【0006】
また、このように、上側押え部材のボス部に対して刃物の取付孔を合わせるのが容易ではないことから、刃物がボス部に乗り上げ斜めになって芯ズレした状態で組み付けられる虞がある。ここで、ボス部の高さは低く刃物の正位置からの変位量は少ないため、不具合を認識できずに、続けて下側押え部材を重ねて組み立ててしまい、刈払機を運転しなければ不具合に気付かないという虞もある。
【0007】
そこで、本発明は、刃物の位置合わせが容易であると共に、刃物を芯ズレなく正位置に容易に組み付けることができる刈払機の刃物取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による刈払機(1)の刃物取付構造は、対向する刃物押え部材(25)及び刃物受け部材(24)の間に刃物(4)が配置され、刃物受け部材(24)は、刃物押え部材(25)側の端面から突出し刃物(4)の取付孔(29)に進入するボス部(28)を有し、刃物押え部材(25)を刃物受け部材(24)に向かって押し付けることにより、刃物押え部材(25)と刃物受け部材(24)との間に刃物(4)を挟持すると共に、部材(24,25)及び刃物(4)を、ボス部(28)を含む刃物受け部材(24)及び刃物押え部材(25)に内挿され動力が伝達される回転軸(14)に対して一体化する刈払機(1)の刃物取付構造であって、ボス部(28)の刃物押え部材(25)側の端面の外周縁部には、刃物押え部材(25)側に突出する案内凸部(30)が円環状に設けられ、案内凸部(30)の外周側の面は、先端に行くに従い縮径するテーパー面(32)を有し、さらに、案内凸部(30)は、先端に行くに従い拡径するテーパー面の内周側の面を有し、刃物押え部材(25)は、刃物受け部材(24)の案内凸部(30)の形状に対応し、当該案内凸部(30)が進入し刃物受け部材(24)を位置合わせする凹部(37)を円環状に有することを特徴としている。
【0009】
このような刈払機(1)の刃物取付構造によれば、刃物受け部材(24)のボス部(28)端面の外周縁部に案内凸部(30)が設けられ、この案内凸部(30)の外周側の面が、先端に行くに従い縮径するテーパー面(32)を有しているため、当該テーパー面(32)が、ボス部(28)に対して刃物(4)の取付孔(29)を合わせる際に、刃物(4)の取付孔(29)越しに認識しやすく、刃物(4)の位置合わせが容易となる。また、テーパー面(32)は、刃物(4)の取付孔(29)を形成する内周面(31)の案内となり、刃物(4)を芯ズレなく正位置に容易に組み付けることができる。
【0010】
また、刃物押え部材(25)は、刃物受け部材(24)の案内凸部(30)の形状に対応し、当該案内凸部(30)が進入し刃物受け部材(24)を位置合わせする凹部(37)を円環状に有しているため、刃物押え部材(25)の凹部(37)が刃物受け部材(24)の案内凸部(30)の案内となり、刃物押え部材(25)の位置合わせが容易になると共に、刃物受け部材(24)の案内凸部(30)が刃物押え部材(25)の凹部(37)に進入することにより、軸線方向の長さを短くでき、刃物取付構造のコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、刃物の位置合わせが容易であると共に、刃物を芯ズレなく正位置に容易に組み付けることができる刈払機の刃物取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る刈払機を示す概略斜視図である。
図2図1中のギヤケースを示す縦断面図である。
図3図2中の刃物受け部材を示す縦断面図である。
図4図2中の刃物押え部材を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による刈払機の刃物取付構造の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る刈払機を示す概略斜視図、図2は、ギヤケースを示す縦断面図、図3は、刃物受け部材を示す縦断面図、図4は、刃物押え部材を示す縦断面図であり、本実施形態の刈払機は、肩掛けベルトを用いて作業者が肩から提げ、両手で操りながら草や小木を刈り払うためのものである。
【0014】
図1に示すように、刈払機1は概略、操作桿としてのメインパイプ6と、メインパイプ6の一端に固定された駆動部2と、メインパイプ6の他端に固定されたギヤケース3と、ギヤケース3に設けられ駆動部2の動力により回転する刃物(刈刃)4と、を備える。
【0015】
刈払機1は、本実施形態では、エンジン刈払機であり、従って、駆動部2としては、例えば2サイクルや4サイクルエンジン等が採用される。なお、駆動部2をバッテリや交流電源とし電動式刈払機とすることもできる。
【0016】
刃物4は円盤状の回転刃であり、ここでは、特に好ましいとして、チップソーとされている。なお、チップソー以外の刃物として、例えば、丸のこ刃や金属刃やナイロンカッター等を採用することもできる。
【0017】
メインパイプ6は、棒状の操作管であり、その内部には、駆動部2の駆動力を刃物4に伝達するための伝動軸11(図2参照)が設けられる。メインパイプ6は、軸線方向略中央部において2つに分割され、後側パイプ7と前側パイプ8を連結部20で繋いで成る。そして、後側パイプ7の後端部に駆動部2が取り付けられ、前側パイプ8の先端部にギヤケース3が取り付けられる。
【0018】
後側パイプの途中には、U字状のハンドル9が取り付けられる。ハンドル9は、U字を形成する両腕部が、上方を向くように配置され、一方の腕部に、スロットルレバー10が設けられる。スロットルレバー10と駆動部2は電気的に接続され、スロットルレバー10の操作量が駆動部2に伝達される。そして、作業者がスロットルレバー10を握って操作することにより、駆動部2の回転数を調整したり、駆動部2を停止させたりすることができる。
【0019】
前側パイプ8の先端側には、刃物4により刈り払われた草や小木等が作業者に向かって飛散しないように刃物4を覆う飛散防護カバー5が取り付けられる。
【0020】
ギヤケース3は、前側パイプ8の先端部で、飛散防護カバー5より先端側に取り付けられる。このギヤケース3は、刃物4を回転自在に支持すると共に、前側パイプ8内に配置された伝動軸11の回転駆動力を、伝動軸11と交差する方向に中心軸線CL(図2参照)を有する刃物4に対して伝達するものである(詳しくは後述)。
【0021】
次に、ギヤケース3についてさらに詳説する。なお、以下の説明において、上下の語は、図2図4の状態を基準とする。図2に示すように、ギヤケース3は概略、ベベルギヤ12,13及び回転軸14等の駆動系を収容するケース本体部15と、ケース本体部15の開口49を塞ぐように配置され、刃物4を保持すると共に回転軸14に連結された刃物保持部48と、を備える。
【0022】
ケース本体部15は、円筒の上端を閉じた形状の本体筒部16と、本体筒部16の側面上部から斜め上向きに突設された円筒状の連結筒部17と、を有する。
【0023】
連結筒部17は、上記前側パイプ8の先端部に外嵌固定される。連結筒部17内に進入する伝動軸11の先端部には、ベベルギヤ12が結合されており、ベベルギヤ12は、連結筒部17内の軸受19により回転自在に支持されている。
【0024】
本体筒部16内には、回転軸14が、伝動軸11と所定の角度を成して上下方向に延びるように配置されており、その上端部及びその軸線方向中央部が、本体筒部16内に配設された軸受21,22により回転自在に支持されている。回転軸14の軸受21より下方の位置には、ベベルギヤ13が結合されており、ベベルギヤ13は、傾斜配置されたベベルギヤ12と噛合し、ベベルギヤ12の回転駆動力が伝達される。また、回転軸14の下端部は、本体筒部16の上記開口49から下方に突出し、この突出する部分の下端面の中央から上方に延びるように雌螺子23が、後述の締結ボルト50の雄螺子53に螺合するものとして設けられる。
【0025】
刃物保持部48は、刃物4を間に挟んで上側に位置する刃物受け部材24と、刃物4を間に挟んで下側に位置する刃物押え部材25と、を備える。
【0026】
刃物受け部材24は、図2及び図3に示すように、円盤状の本体部26を有し、本体部26の下端面には、当該下端面から下方に突出し、本体部26より小径のボス部28が、刃物4の中央部に開口された取付孔29に進入するものとして設けられる。
【0027】
ボス部28の下端面の外周縁部には、下方に突出する案内凸部30が円環状に設けられる。案内凸部30の外周面は、刃物4の取付孔29を形成する内周面31の案内となるテーパー面32となっている。すなわち、ボス部28の外周面は、下方(刃物押え部材25側)に行くに従い縮径する(先細となる)テーパー面32となっている。
【0028】
ボス部28を含む刃物受け部材24、具体的には、ボス部28及び本体部26の中央部には、貫通孔27が設けられ、刃物受け部材24の貫通孔27を形成する内周面33には、その下半部に、回転軸14にスプライン結合するためのスプライン34が設けられる。
【0029】
さらに、本体部26の上端面には、当該上端面から下方にへこむ凹部35が、ケース本体部15の本体筒部16の円環状の下端部47を進入させるための空間として、円環状に設けられる。
【0030】
刃物押え部材25は、図2及び図4に示すように、円盤状に構成され、その上端面の中央部には、刃物受け部材24のボス部28が進入する凹部36が設けられ、凹部36の底面の上記案内凸部30に対応する位置には、当該案内凸部30が進入する凹部37が円環状に設けられる。この凹部37の形状は、案内凸部30の形状に対応した形状とされている。
【0031】
刃物押え部材25の下端面の中央部には、後述の締結ボルト50の頭部を埋めるための座ぐり38が凹設される。
【0032】
刃物押え部材25の上側の凹部36と下側の座ぐり38との間の部分の中央部には、貫通孔39が設けられ、刃物押え部材25の貫通孔39を形成する内周面40には、回転軸14にスプライン結合するためのスプライン41が設けられる。
【0033】
刃物押え部材25の上端面には、当該上端面から下方にへこむ凹部42が円環状に設けられる。この凹部42より内側で上記凹部36より外側の上端面が、刃物受け部材24のボス部28より外側部分の下端面に対向し、刃物4を挟持する部分となっている。
【0034】
そして、上から下に向かって、刃物受け部材24、刃物4、刃物押え部材25が重ねられ、締結ボルト50の雄螺子53と回転軸14の雌螺子23とを螺合し締結ボルト50を締め付け刃物押え部材25を刃物受け部材24に向かって押し付けることにより、刃物押え部材25と刃物受け部材24との間に刃物4が挟持されると共に、これら重ねられた刃物受け部材24、刃物4、刃物押え部材25が、回転軸14に対して一体化される。
【0035】
ここで、刃物受け部材24、刃物4、刃物押え部材25の取り付け方法について説明する。ギヤケース3を逆さにした状態で、ベベルギヤ13が結合されると共に軸受21,22により回転自在に支持された回転軸14に対して、先ず、刃物受け部材24を外挿すると共に当該刃物受け部材24をスプライン34により回転方向に係合し、次いで、刃物受け部材24に対して刃物4を組み付ける(重ねる)べく、刃物受け部材24のボス部28に対して刃物4の取付孔29を合わせる。
【0036】
このとき、刃物受け部材24の案内凸部30のテーパー面32は、刃物4の取付孔29越しに認識しやすくなっている。
【0037】
従って、作業者は、テーパー面32を認識しながら、刃物受け部材24に対して刃物4の取付孔29を合わせていく。
【0038】
ここで、案内凸部30の外周面は、その先端側が縮径するテーパー面32となっているため、テーパー面32により、刃物4の取付孔29を形成する内周面31が案内されながら、刃物受け部材24のボス部28に対して刃物4の取付孔29が合わされ、刃物4が組み付けられる(重ねられる)。
【0039】
次いで、回転軸14に対して、刃物押え部材25を外挿し刃物4に重ねる。このとき、刃物受け部材24の案内凸部30が、刃物押え部材25の凹部36に進入し、さらに、案内凸部30の形状に対応した凹部37に案内されながら当該凹部37に進入し、刃物押え部材25が刃物4に組み付けられる(重ねられる)。そして、刃物押え部材25をスプライン41により回転方向に係合する。
【0040】
次いで、締結ボルト50の雄螺子53を回転軸14の雌螺子23に螺合させて締め込む。これにより、刃物受け部材24と刃物押え部材25との間に刃物4が挟持されると共に、これらの刃物受け部材24、刃物押え部材25及び刃物4が回転軸14に対して一体化される。従って、駆動部2からの回転駆動力が伝動軸11を介して回転軸14に伝達され回転軸14が回転すると、刃物受け部材24及び刃物押え部材25と共に刃物4が回転し、刈り払いを行うことができる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、刃物受け部材24のボス部28端面の外周縁部に案内凸部30が設けられ、この案内凸部30の外周側の面が、先端に行くに従い縮径するテーパー面32を有しているため、当該テーパー面32は、ボス部28に対して刃物4の取付孔29を合わせる際に、刃物4の取付孔29越しに認識しやすく、刃物4の位置合わせが容易となっている。また、テーパー面32は、刃物4の取付孔29を形成する内周面31の案内となり、刃物4を芯ズレなく正位置に容易に組み付けることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、刃物押え部材25は、刃物受け部材24の案内凸部30の形状に対応し、当該案内凸部30が進入する凹部37を有しているため、刃物押え部材25の凹部37が刃物受け部材24の案内凸部30の案内となり、刃物押え部材25の位置合わせが容易になると共に、刃物受け部材24の案内凸部30が刃物押え部材25の凹部37に進入することにより、軸線方向の長さを短くでき、刃物取付構造をコンパクト化できる。
【0043】
さらに、本実施形態においては、以下の効果もある。すなわち、刃物4が芯ズレした状態(刃物4が案内凸部30に乗り上げた状態)では、刃物4を押える部位に大きな隙間が生じると共に、締結ボルト50の締め込みも浅くなるため、異常状態を容易に把握できる。また、このように刃物4が芯ズレした状態で、運転を行うと、刃物4の振れが大きくなるため、異常状態を容易に把握できる。すなわち、異常な組み立てを行った場合でもその異常を直ちに判別することができる。
【0044】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、案内凸部30は環状に設けられているが、周方向に沿って断続的に設けられていても良い。
【0045】
また、本発明は、例えば特開2010−213608号公報に記載のように、締結ボルト50に代えて雌螺子を内周面に有するナットを用いると共に、回転軸の先端部に雄螺子を設け、ナットの雌螺子を回転軸の雄螺子に螺合し当該ナットを締め込むことにより、刃物押え部材と刃物受け部材との間に刃物を挟持すると共に、これらを回転軸に一体化するものや、例えば特開平6−54618公報に記載のように、回転軸の先端部に雄螺子を設けると共に、刃物受け部材及び刃物押え部材の両方の内周面に雌螺子をそれぞれ設け、刃物受け部材の雌螺子を回転軸の雄螺子に螺合し当該刃物受け部材を最後まで締め込んでから、刃物受け部材のボス部に刃物を外挿し、さらに、刃物押え部材の雌螺子を回転軸の雄螺子に螺合し当該刃物押え部材を締め込むことにより、刃物押え部材と刃物受け部材との間に刃物を挟持すると共に、これらを回転軸に一体化するものに対しても適用でき、要は、対向する刃物押え部材及び刃物受け部材の間に刃物が配置され、刃物受け部材は、刃物押え部材側の端面から突出し刃物の取付孔に進入するボス部を有し、刃物押え部材を刃物受け部材に向かって押し付けることにより、刃物押え部材と刃物受け部材との間に刃物を挟持すると共に、これらの刃物押え部材、刃物受け部材、刃物を回転軸に対して一体化する刃物取付構造全てに対して適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1…刈払機、4…刃物、14…回転軸、24…刃物受け部材、25…刃物押え部材、28…ボス部、29…取付孔、30…案内凸部、31…取付孔を形成する内周面、32…テーパー面、37…凹部。
図1
図2
図3
図4