【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明によれば、屈曲部の断面における好ましい屈曲方向における断面二次モーメントと屈曲抵抗方向における断面二次モーメントとの差が、少なくとも一方の端部における断面二次モーメント
の差よりも小さいコンタクトピンによって達成される。本発明に係る課題解決手段により、屈曲部が屈曲される際に、コンタクトピンは、より良好に且つより正確に屈曲力に追従する。これにより、屈曲加工後にコンタクトピンを整合するための更なる矯正工程を回避することができる。
【0006】
本発明に係る課題解決手段は、以下の発展形態に従って向上させることができ、その発展形態は各々が有利であり、自由に組み合わせることができる。
【0007】
前記屈曲部は、前記少なくとも一方の端部と比較して異なるように構成することができる。前記屈曲部は、異なる断面、即ち、異なる断面形状や異なる断面積を有することができる。
【0008】
前記好ましい屈曲方向は、最小の断面二次モーメントを有する断面平面に沿った方向とすることができる。
【0009】
前記屈曲抵抗方向は、最大の断面二次モーメントを有する断面平面に沿った方向とすることができる。
【0010】
前記少なくとも一方の端部は、2つ以上の屈曲抵抗方向を有することができる。例えば、矩形の断面を有する端部は、4つの屈曲抵抗方向を有することができ、これら4つの屈曲抵抗方向は、各々、矩形の中心から角へと延在する。異なる屈曲抵抗方向に沿う屈曲に対する関連する断面二次モーメントの値は、等しくてもよいし又は異なっていてもよい。特に、屈曲部の断面において、断面二次モーメントが最も大きい場合の好適な屈曲方向における断面二次モーメントと屈曲抵抗方向における断面二次モーメントとの差は、前記少なくとも一端における断面二次モーメント
の差よりも小さい。
【0011】
好適な一実施形態では、前記コンタクトピンの長手方向延在線を横切る方向における前記屈曲部の断面二次モーメントは一定である。前記コンタクトピンの長手方向延在線は、真っ直ぐなコンタクトピン又は屈曲したコンタクトピンの場合、長手軸とすることができる。
【0012】
他の一実施形態では、一端部の長手方向延在線を横切る前記屈曲部における断面二次モーメントは一定である。いずれの場合も、複数の屈曲抵抗方向が存在する場合、断面二次モーメントは、屈曲抵抗方向間の領域におけるコンタクトピンの長手方向延在線を横切る方向において一定であれば十分である。
【0013】
前記屈曲部の断面は円形とすることができる。かかる一実施形態では、前記屈曲部は、任意の方向に屈曲することができる。従って、前記好ましい屈曲方向は、前記長手方向延在線に垂直に延在する全ての方向を含むことができる。前記好ましい屈曲方向と前記屈曲抵抗方向の断面二次モーメントの差を、ゼロ又はほぼゼロとすることができる。前記好ましい屈曲方向は、前記屈曲抵抗方向と一致することができる。前記断面が円形の実施形態の場合、前記屈曲力に正確に追従することができる。従って、前記コンタクトピンの方向の矯正は完全に不要になる。
【0014】
前記コンタクトピンの前記屈曲部の断面は、部分的に曲線状になっているだけでも十分である。例えば、前記屈曲部は、長手方向の一側面にのみ屈曲されてもよい。或いは、又はそれに加えて、前記断面は、少なくとも部分的に、弓形、例えば、半円形の輪郭を有することができる。この輪郭の他の部分には角を有することができ、或いは、弓形が直線によって閉じられることができる。或いは、又はそれに加えて、前記屈曲部の断面は、輪郭が曲線状になった領域を有することができる。これらの曲線部分は、弓形のように延在する必要はなく、その他の形状を有することもできる。例えば、これらの曲線部分は、部分的に楕円形、放物線状とすることができ、或いは、多項式関数の曲線に沿って延在することができる。前記屈曲部の断面は、凸状の外輪郭を有することができ、つまり、2点間の領域において、中心までの距離がこれら2点の箇所よりも遠い。
【0015】
前記少なくとも1つの端部は、多角形の断面を有することができる。例えば、前記端部は、矩形の断面、好ましくは正方形の断面を有することができる。特に、前記端部は、略正方形であるが角が丸くなった断面を有することができる。前記断面は、部分的にのみ多角形とすることもできる。このようにして、一つの側面が角を有し、他の一側面を曲線状にすることができる。
【0016】
前記少なくとも一方の端部と前記屈曲部との間には、前記端部の断面が前記屈曲部の断面と連結する連結部を設けることができる。この連結部には段差を設けることができる。或いは、前記端部と前記屈曲部との間の連結は滑らかにすることができ、即ち、この連結部は段差や縁を有しなくてもよい。
【0017】
好適な一実施形態では、前記屈曲部の断面における前記好ましい屈曲方向の断面二次モーメントと前記屈曲抵抗方向の断面二次モーメントとの差は、前記2つの端部における断面二次モーメント
の差よりも小さい。前記第2の端部は、前記第1の端部と同じ好ましい断面を有することができる。特に、前記第2の端部は、前記第1の端部と同じ断面を有することができる。従って、前記第2の端部は、同一の断面形状、同一の大きさや同一の面積を有することができる。特に、前記第2の端部の断面は、少なくとも非屈曲状態において、前記第1の端部の断面と整列している。例えば、両端部が正方形の端面を有する場合、これら2つの正方形は、前記コンタクトピンの長手方向延在線に沿って見ると、非屈曲状態において一致するように重なり合うことができる。しかしながら、屈曲状態では、2つの正方形は互いに対して捻じられることができる。或いは、同一の断面積を有する同一の形状を有する断面同士を異なるように配向することができる。例えば、両端部は、これらの2つの端部における正方形の角が異なる方向を指すように、正方形の断面を有することができる。
【0018】
前記屈曲部は、断面の再形成によって生成することができる。例えば、既存の屈曲部は、前記コンタクトピンが本発明に係るコンタクトピンとなるように、再形成することができる。或いは、前記屈曲部は、前記断面の再形成のみによって初めから生成することができ、例えば、初めは屈曲部ではなかった他の部分を屈曲部に再形成することができる。このように、第1及び第2の端部を有するコンタクトピンは、前記第1の部分や前記第2の部分の一部が屈曲部に再形成されるという点で、本発明に係るコンタクトピンに再形成されることができる。これは、断面の再形成によって可能である。好適な一実施形態では、前記第1又は第2の端部の一部が、曲線状の断面、好ましくは円形の断面に再形成されるという点で、各々が多角形の断面を有する2つの端部を有するコンタクトピンは、本発明に係るコンタクトピンに再形成される。
【0019】
断面の再形成は、例えば、圧縮によって可能である。断面の再形成としては、特に、冷間成形加工が可能である。冷間成形加工では、温度を上昇させることなく圧力を加えることによって単純に断面を再形成することができる。これは、例えば、加工後の断面を予め決定するダイ又は成形金型を用いて行うことができる。既定の成形金型を用いずに自由に再形成することも可能である。長手方向又は横方向への圧延による再形成も可能である。いずれにしても、前記コンタクトピンの長さは、再形成加工の結果として変化する可能性があり、特に、前記コンタクトピンは、結果的に長くなる可能性がある。前記屈曲部における断面積は、再形成加工の結果として変化する可能性があり、特に、その断面は小さくなる可能性がある。断面の形状のみを変え、断面積を変化させない再形成も可能である。この場合、前記コンタクトピンは長くならない。
【0020】
好適な一実施形態では、コンタクトピンは、再形成加工前に、各々が同じ断面形状及び面積を有する第1及び第2の端部を有する。
【0021】
前記屈曲部の再形成の際に、端部を同時に再形成することもできる。特に、少なくとも一方の端部を、少なくとも部分的に屈曲部に再形成することができる。再形成された端部の長さは、結果的に変化する可能性がある。
【0022】
コンタクトピンは、複数の屈曲部、特に本発明に係る複数の屈曲部を有することができる。
【0023】
コンタクトピンは、更なる機能的部分を有することができる。例えば、前記端部と前記屈曲部間には連結部を設けることができる。
【0024】
本発明に係るコンタクトピンは、前記屈曲部において屈曲することができる。このようにして、前記2つの端部は、異なる方向に延在することができる。前記2つの端部は、特に、一点において交差することができる。本発明に係るコンタクトピンは、コネクタ内に配置することができる。特に、前記第1の端部は、相補的な断面形状を有するピンソケットに最終的に挿入されることができる。前記第1の端部は、前記ソケット内に完全に又は部分的にのみ配置されることができる。挿入された端部の長手方向延在線に垂直にしかポジティブロックが掛かることがないので、前記コンタクトピンは、挿入された端部の長手方向延在線に沿って動かすことができる。
【0025】
コネクタは、本発明に係る様々なコンタクトピンを有することができる。例えば、各々が少なくとも一方の端部と屈曲部において同一の断面を有するが長さが異なる様々なコンタクトピンを設けることができる。このように、コンタクトピンの端部を、屈曲状態において同一平面に配置することができる。
【0026】
本発明の有利な実施形態の例を、図面を参照しながら以下に記述する。記述される実施形態は、考え得る実施形態を代表しているに過ぎないが、上述した個々の特徴は互いに独立して組み合わせたり、省略したりすることができる。様々な実施形態における同一の参照番号は、各々、同一物を示す。