特許第6247290号(P6247290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247290
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】高温密閉電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/39 20060101AFI20171204BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20171204BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20171204BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20171204BHJP
   C25B 11/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01M10/39 Z
   H01M2/04 Z
   H01M2/34 B
   H01M10/615
   H01M10/658
   H01M2/30 D
   H01M2/02 Z
   C25B11/02
【請求項の数】24
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-521081(P2015-521081)
(86)(22)【出願日】2013年7月15日
(65)【公表番号】特表2015-529937(P2015-529937A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】IB2013001769
(87)【国際公開番号】WO2014009807
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年6月27日
(31)【優先権主張番号】13/548,347
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(73)【特許権者】
【識別番号】517239234
【氏名又は名称】トタル エネルジー ヌーベル アクティビテ ユーエスエー
(73)【特許権者】
【識別番号】510122762
【氏名又は名称】トタル ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】TOTAL SA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ブライス ホアニ バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】バーク, ポール ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】サドウェイ, ドナルド ロバート
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−504404(JP,A)
【文献】 特開平01−186765(JP,A)
【文献】 米国特許第03953227(US,A)
【文献】 米国特許第04053978(US,A)
【文献】 実開昭47−022423(JP,U)
【文献】 特開平06−196149(JP,A)
【文献】 実開昭55−060660(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/39、2/02、2/04、2/30、2/34
10/615、10/658
C25B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温電気化学反応のためのセルであって、前記セルは、
容器であって、前記容器の少なくとも一部は、第1の電極として作用する、容器と、
第1の端部および第2の端部を有する延長管であって、前記延長管は、前記第2の端部において前記容器に結合され、前記容器から前記第1の端部まで導管を形成する、延長管と、
前記容器内に位置決めされ、前記導管を介して、前記容器から外に延在する第2の電極と、
前記容器内に前記第1の電極および前記第2の電極と接触して位置決めされているイオン伝導性液体電解質と、
前記セルを密閉するために、前記延長管の前記第1の端部に近接して位置決めされているエラストマーシールと
を備える、セル。
【請求項2】
前記第2の電極と前記延長管との間に電気絶縁スリーブをさらに含む、請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記エラストマーシールは、Oリングコンプレッションフィッティングを含む、請求項1または2に記載のセル。
【請求項4】
前記延長管の前記第1の端部と前記Oリングコンプレッションフィッティングとの間に位置決めされるT字形コンプレッションフィッティングをさらに含む、請求項3に記載のセル。
【請求項5】
前記容器に熱的に結合された1つまたは複数の加熱要素をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセル。
【請求項6】
前記1つまたは複数の加熱要素、前記容器、前記延長管、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一部を被覆するための断熱材をさらに含む、請求項5に記載のセル。
【請求項7】
前記延長管の一部は、断熱されない、請求項6に記載のセル。
【請求項8】
前記容器は、前記容器内の絶縁シース、前記容器の内壁上の絶縁コーティング、またはその両方を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセル。
【請求項9】
前記絶縁シース、前記絶縁コーティング、またはその両方は、前記容器の前記内壁と比較して異なる耐腐食性を有する、請求項8に記載のセル。
【請求項10】
前記絶縁シース、前記絶縁コーティング、またはその両方は、電気絶縁を提供する、請求項8に記載のセル。
【請求項11】
前記容器と前記絶縁シースとの間に結合された電気絶縁材料をさらに備え、前記絶縁シースは、金属を含む、請求項8に記載のセル。
【請求項12】
前記延長管は、前記容器に取り外し可能に結合されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセル。
【請求項13】
前記容器に取り付けられたソケットコンプレッションフィッティングをさらに備え、前記延長管は、前記ソケットコンプレッションフィッティングに取り外し可能に取り付け可能である、請求項12に記載のセル。
【請求項14】
前記容器は、上壁、底壁、および側壁を含み、前記延長管は、側壁に結合され、セルが相互の上に積層されることを可能にする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のセル。
【請求項15】
前記容器内に、固体金属、液体金属、またはその両方をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のセル。
【請求項16】
請求項1に記載の電気化学セルを作製する方法であって、前記方法は、
前記容器を電気分解のための材料で充填することであって、前記容器は、前記容器における開口部を含み、前記容器の少なくとも一部は、前記第1の電極として作用する、ことと、
前記イオン伝導性液体電解質を前記容器内に前記第1の電極と接触させて配置することと、
前記第2の電極を前記開口部を介して前記容器内に前記電解質と接触させて配置することと、
前記開口部を覆ってキャップを配置することであって、前記延長管は、前記第2の端部において前記キャップに結合され、前記容器から前記第1の端部まで前記導管を形成し、前記第2の電極は、前記導管を介して、前記容器から外に延在する、ことと、
前記セルを密閉するために、前記延長管の前記第1の端部に近接して前記エラストマーシールを設置することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記容器を電気分解のための材料で充填することは、前記キャップの配置の前に、前記開口部を介して行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記容器を電気分解のための材料で充填することは、前記キャップの配置の後で、前記延長管を介して行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の電極と前記延長管との間に電気絶縁スリーブを提供することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記エラストマーシールは、Oリングコンプレッションフィッティングを含み、前記方法は、前記延長管の前記第1の端部と前記Oリングコンプレッションフィッティングとの間に位置決めされるT字形コンプレッションフィッティングを提供することをさらに含む、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記容器内の絶縁シース、前記容器の内壁上の絶縁コーティング、または、その両方を提供することをさらに含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記容器と前記絶縁シースとの間に結合される電気絶縁材料を提供することをさらに含み、前記絶縁シースは、金属を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記キャップに取り付けられたソケットコンプレッションフィッティングを提供することと、
前記延長管を前記ソケットコンプレッションフィッティングに取り付けることと、
前記延長管を前記ソケットコンプレッションフィッティングから取り外すことと
をさらに含む、請求項16〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記容器は、上壁、底壁、および側壁を含み、前記延長管は、側壁に結合され、前記方法は、複数の前記電気化学セルを相互の上に積層することをさらに含む、請求項16〜23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦によって後援された研究または開発についての声明)
本発明は、米国エネルギー省により授与された助成金番号DE−AR0000047のもと、政府支援によってなされた。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、高温で動作可能な密閉容器に関し、より具体的には、高温電気化学セルの密閉に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
高温電気分解および高温バッテリ等の用途は、活性材料と空気および湿気との反応を防止するために、密閉容器を含む。従来の設計は、容器レベルでバッテリセル全体を密閉しようとし、したがって、高温シールを必要とする。セルを密閉することに加え、シールはまた、電極(例えば、容器の上半分および底半分)を電気的に絶縁し、したがって、伝導性シール材料は、禁じられる。高温シールは、典型的には、ガラスまたはセラミックを使用し、狭い範囲の動作温度で良好な密閉を維持するように設計される。ガラスまたはセラミック組成物は、通常、標的動作温度において容器材料の熱膨張に応じるように調整される。結果として、高温シールは、概して、熱サイクルの観点から制限される。
【0004】
以前のセル設計は、米国特許第3,419,432号(Hesson)(参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、熱伝導を制限する大きな薄いフランジを含むことによって低温シールを利用する。しかしながら、本設計は、熱伝導のために大きな面積を有し、熱効率がよくない。さらに、Hessonのセルは、より大きなサイズに寸法を合わせられる場合、その主要熱伝導面積は、その周長に比例する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,419,432号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(実施形態の概要)
本発明の第1の実施形態によると、高温電気化学反応のためのセルが、提供される。セルは、容器を含み、容器の少なくとも一部は、第1の電極として作用する。延長管が、第1の端部および第2の端部を有し、延長管は、第2の端部において容器に結合され、容器から上記第1の端部まで導管を形成する。第2の電極は、容器内に位置決めされ、導管を介して、容器から外に延在する。セルを密閉するために、シールが、延長管の第1の端部に近接して位置決めされる。
【0007】
本発明の関連実施形態によると、電気絶縁スリーブが、第2の電極と延長管との間に位置決めされてもよい。シールは、Oリングコンプレッションフィッティングを含んでもよい。T字形コンプレッションフィッティングが、延長管の第1の端部とOリングコンプレッションフィッティングとの間に位置決めされてもよい。1つ以上の加熱要素が、容器に熱的に結合されてもよい。断熱材が、加熱要素、容器、および/または延長管の少なくとも一部を被覆してもよい。延長管の一部は、断熱されなくてもよい。電解質、固体金属、および液体金属のうちの少なくとも1つが、容器内に配置されてもよい。
【0008】
本発明のさらなる関連実施形態によると、容器は、容器内の絶縁シースおよび/または容器の内壁上の絶縁コーティングを含んでもよい。絶縁シースおよび/または絶縁コーティングは、容器の内壁と比較して異なる耐腐食性を有し得、かつ/または電気絶縁を提供し得る。電気絶縁材料が、容器と絶縁シースとの間に結合されてもよく、絶縁シースは、金属を含む。
【0009】
本発明のなおもさらなる関連実施形態によると、延長管は、容器に取り外し可能に結合されてもよい。ソケットコンプレッションフィッティングが、容器に取り付けられてもよく、延長管は、ソケットコンプレッションフィッティングに取り外し可能に取り付け可能である。
【0010】
本発明のなおもさらなる関連実施形態によると、容器は、上部、底部、および側壁を含んでもよい。延長管は、側壁に結合され、セルがを相互の上に積層されることを可能にする。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、電気化学セルを作製する方法は、容器を電気分解のための材料で充填することを含み、容器は、開口部を含み、容器は、第1の電極として作用する。第2の電極が、開口部を介して、容器内に配置される。キャップが、開口部を覆って配置される。延長管が、キャップに結合され、延長管は、第1の端部および第2の端部を有する。延長管は、第2の端部においてキャップに結合され、容器から上記第1の端部まで導管を形成し、上部電極は、導管を介して、容器から外に延在する。セルを密閉するためのシールは、延長管の第1の端部に近接して設置される。
【0012】
本発明の関連実施形態によると、容器を電気分解のための材料で充填することは、キャップの配置の前に、開口部を介して行われてもよい。代替として、容器を電気分解のための材料で充填することは、キャップの配置の後で、延長管を介して行われてもよい。
【0013】
本発明のさらなる関連実施形態では、電気絶縁スリーブが、第2の電極と延長管との間に提供されてもよい。シールは、Oリングコンプレッションフィッティングを含んでもよく、T字形コンプレッションフィッティングが、延長管の第1の端部とOリングコンプレッションフィッティングとの間に位置決めされる。1つ以上の加熱要素が、容器に熱的に結合されてもよい。加熱要素、容器、および延長管の一部は、断熱材で被覆されてもよい。
【0014】
本発明のなおもさらなる関連実施形態では、容器内の絶縁シースおよび/または容器の内壁上の絶縁コーティングが、提供されてもよい。電気絶縁材料が、容器と絶縁シースとの間に結合されてもよく、絶縁シースは、金属を含む。ソケットコンプレッションフィッティングが、延長管がソケットコンプレッションフィッティングから取り外し可能に取り付けられ得るようにキャップに取り付けられてもよい。
【0015】
本発明のなおもさらなる実施形態では、容器は、上部、底部、および側壁を含んでもよく、延長管は、側壁に結合され、複数の電気化学セルが相互の上に積層されることを可能にする。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
高温電気化学反応のためのセルであって、前記セルは、
容器であって、前記容器の少なくとも一部は、第1の電極として作用する、容器と、
第1の端部および第2の端部を有する延長管であって、前記延長管は、前記第2の端部において前記容器に結合され、前記容器から前記第1の端部まで導管を形成する、延長管と、
前記容器内に位置決めされ、前記導管を介して、前記容器から外に延在する第2の電極と、
前記セルを密閉するために、前記延長管の前記第1の端部に近接して位置決めされている、シールと
を備える、セル。
(項目2)
前記第2の電極と前記延長管との間に電気絶縁スリーブをさらに含む、項目1に記載のセル。
(項目3)
前記シールは、Oリングコンプレッションフィッティングを含む、項目1または2に記載のセル。
(項目4)
前記延長管の第1の端部と前記Oリングコンプレッションフィッティングとの間に位置決めされるT字形コンプレッションフィッティングをさらに含む、項目3に記載のセル。
(項目5)
前記容器に熱的に結合された1つまたは複数の加熱要素をさらに含む、項目1〜4のいずれか一項に記載のセル。
(項目6)
前記加熱要素、容器、および前記延長管のうちの1つまたは複数の少なくとも一部を被覆するための断熱材をさらに含む、項目5に記載のセル。
(項目7)
前記延長管の一部は、断熱されない、項目6に記載のセル。
(項目8)
前記容器は、前記容器内の絶縁シースおよび前記容器の内壁上の絶縁コーティングのうちの少なくとも1つを含む、項目1〜6のいずれか一項に記載のセル。
(項目9)
前記絶縁シースおよび絶縁コーティングのうちの少なくとも1つは、前記容器の内壁と比較して異なる耐腐食性を有する、項目8に記載のセル。
(項目10)
前記絶縁シースおよび絶縁コーティングのうちの少なくとも1つは、電気絶縁を提供する、項目8に記載のセル。
(項目11)
前記容器と前記絶縁シースとの間に結合された電気絶縁材料をさらに備え、前記絶縁シースは、金属を含む、項目8に記載のセル。
(項目12)
前記延長管は、前記容器に取り外し可能に結合されている、項目1〜11のいずれか一項に記載のセル。
(項目13)
前記容器に取り付けられたソケットコンプレッションフィッティングをさらに備え、前記延長管は、前記ソケットコンプレッションフィッティングに取り外し可能に取り付け可能である、項目12に記載のセル。
(項目14)
前記容器は、上部、底部、および側壁を含み、前記延長管は、側壁に結合され、セルが相互の上に積層されることを可能にする、項目1〜13のいずれか一項に記載のセル。
(項目15)
前記容器内に電解質、固体金属、および液体金属のうちの少なくとも1つをさらに備える、項目1〜14のいずれか一項に記載のセル。
(項目16)
電気化学セルを作製する方法であって、前記方法は、
容器を電気分解のための材料で充填することであって、前記容器は、開口部を含み、前記容器は、第1の電極として作用する、ことと、
前記開口部を介して、第2の電極を前記容器内に配置することと、
前記開口部を覆ってキャップを配置することであって、延長管が、前記キャップに結合され、前記延長管は、第1の端部および第2の端部を有し、前記延長管は、前記第2の端部において前記キャップに結合され、前記容器から前記第1の端部まで導管を形成し、上部電極は、前記導管を介して、前記容器から外に延在する、ことと、
前記セルを密閉するために、前記延長管の前記第1の端部に近接してシールを設置することと
を含む、方法。
(項目17)
前記容器を電気分解のための材料で充填することは、前記キャップの配置の前に、前記開口部を介して行われる、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記容器を電気分解のための材料で充填することは、前記キャップの配置の後で、前記延長管を介して行われる、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記第2の電極と前記延長管との間に電気絶縁スリーブを提供することをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記シールは、Oリングコンプレッションフィッティングを含み、前記方法は、前記延長管の第1の端部と前記Oリングコンプレッションフィッティングとの間に位置決めされるT字形コンプレッションフィッティングを提供することをさらに含む、項目16〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記容器内の絶縁シースおよび前記容器の内壁上の絶縁コーティングのうちの少なくとも1つを提供することをさらに含む、項目16〜20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記容器と前記絶縁シースとの間に結合される電気絶縁材料を提供することをさらに含み、前記絶縁シースは、金属を含む、項目16〜21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記キャップに取り付けられたソケットコンプレッションフィッティングを提供することと、
前記延長管を前記ソケットコンプレッションフィッティングに取り付けることと、
前記延長管を前記ソケットコンプレッションフィッティングから除去することと
をさらに含む、項目16〜22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記容器は、上部、底部、および側壁を含み、前記延長管は、側壁に結合され、前記方法は、
複数の前記電気化学セルを相互の上に積層することをさらに含む、項目16〜23のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
実施形態の前述の特徴は、付随の図面を参照して、以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解される。
図1図1は、本発明の実施形態による、電気化学セルの断面を示す。
図2図2は、本発明の種々の実施形態による、絶縁シースとソケット溶接コンプレッションフィッティングとを伴う、図1の電気化学セルを示す。
図3図3は、本発明の実施形態による、限定ではないが、異なる耐腐食性および/または電気特性を有する種々の材料を含み、かつ/または種々の材料に取り付けられたシースを示す。
図4図4は、本発明の実施形態による、積層を可能にする電気化学セルを示す。
図5図5は、本発明の実施形態による、図4の複数の電気化学セルの積層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(特定の実施形態の詳細な説明)
本発明の例証的実施形態では、電気化学セル等の高温用途のために密閉容器が、提示される。概して、本発明の種々の実施形態では、電気化学セルは、十分な長さおよび最小壁厚の延長管を用いて、シールを容器から分離することによって、通常の低温シールの使用を可能にする。延長管を横断する熱伝達は、少なく、温度低下が、シールの区域において達成される。低温は、一般的なエラストマーシールの使用を可能にする。加えて、シールを容器から分離することは、はるかに小さな密閉面積をもたらす。全体的に、大幅に縮小された密閉面積および信頼性のあるエラストマーシールの使用は、高品質のシールをもたらす。本発明の実施形態は、周囲空気中において液体金属バッテリとして動作させられ、30日を超えても、劣化の徴候を示さなかった。詳細は、以下に説明される。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による、電気化学セルの断面を示す。セルは、第1の電極として作用する電子伝導性容器109を含む。容器109の形状は、幾何学形状において制限されず、例えば、本質的に、円形、長方形、または楕円形であってもよい。容器109は、概して、必要な機械的強度および電気分解からの化学侵食に対する耐性を有する材料から作製される。
【0019】
容器109は、電気分解のための固体または液体材料で充填される。例証として、電気分解材料は、限定ではないが、電子伝導性固体または液体金属あるいは合金112およびイオン伝導性電解質111を含んでもよい。
【0020】
第2の電極110は、容器109内に位置決めされる。延長管105を伴う上部キャップ107が、次いで、限定ではないが、溶接、ろう接、またはスエージングによって、容器109セルに嵌め込まれてもよい。延長管105は、第1の端部および第2の端部を有し、延長管105の第2の端部は、キャップ107に結合され、容器109から第1の端部まで導管を形成する。容器109内に位置決めされる第2の電極110は、導管を介して、容器109から外に延在する。
【0021】
電気化学セルを生産するためのステップの順序は、変更されてもよいことを理解されたい。例えば、種々の実施形態では、電気分解のための材料が空気または湿気に敏感である場合、上部電極110は、最初に、容器109内に配置されてもよい。延長管105を伴う上部キャップ107は、次いで、容器109に取り付けられてもよく、その後、好適な雰囲気下で延長管105を通して、電気分解材料を装填してもよい。
【0022】
種々の実施形態では、T字形コンプレッションフィッティング104が、延長管105に結合されてもよい。T字形コンプレッションフィッティング104の水平方向開口部は、例えば、容器109の内部のガスを排出するため、またはガスをその中に充填するため、あるいは付加的材料を容器109に追加するために使用されることができる。
【0023】
底部電極/容器109からの上部電極110の電気的隔離は、電気絶縁スリーブ102を用いて達成されてもよい。電気絶縁スリーブ102は、底部電極/底部容器109と電気接触する延長管105および任意のコンプレッションフィッティング104から、上部電極接続101を電気的に分離する。
【0024】
外部加熱要素108が、容器109に取り付けられてもよい。断熱材が、加熱要素108、容器109、および/または延長管105の少なくとも一部を被覆してもよい。
【0025】
本発明の例証的実施形態では、シール103は、延長管105の第2の端部(すなわち、容器109に対する遠位端)にまたはそれに近接して装着され、セルを完全に密閉する。シール103は、限定ではないが、Oリングコンプレッションフィッティングであってもよい。有利なことには、シール103が延長管105によって容器109およびその関連付けられた高温から分離されるため、当技術分野において公知の通常の低温エラストマーシール103が、利用され得る。延長管105の十分な長さは、シール103において十分に低温をもたらすように、絶縁されないままであってもよい。延長管105の直径および壁厚は、容器109からの伝導性熱損失を低減させるために最小限に保たれてもよい。
【0026】
シール103を容器109から分離することは、第2の電極110を第1の電極/容器109から電気的に隔離することとともに、電気的隔離も、熱膨張も、熱サイクルも懸念することなく、上部キャップ107が容器109に結合されることを可能にする。上部キャップ107は、前述のように、溶接、ろう接、またはスエージングによって、単に容器109に結合されてもよい。
【0027】
延長管105を介して、シール103を容器109から分離する別の利点は、以前のセル設計と比較して、はるかに小さい密閉面積が要求され得ることである。容器109のサイズは、延長管105を元の寸法に保ちながら増加させられ得、小さな密閉面積および低熱を保持しながら大きなセル容量を可能にし得る(より大きなスケールでセル性能を増加させる)。前述のHessonのセル設計と比較して、本発明の実施形態は、試験されたスケールにおいて、加熱電力消費を10倍減少させ、密閉周長を38倍縮小させることを実証した。
【0028】
図2は、本発明の種々の実施形態による、底部電極容器109内に追加された絶縁シース125およびソケット溶接コンプレッションフィッティング120を伴う、図1の電気化学セルを示す。シース125およびコンプレッションフィッティング120は、組み合わせて使用される必要はないが、両方とも、図2にともに示される。例証として、シース125の材料は、有利なことには、容器109より優れた耐腐食性を有するように選択されてもよい。非電気伝導性であるシース材料もまた、底部電極から絶縁されたままにされなければならない塩の上方に第2の電気伝導性層を追加するバッテリ用途のためにセルが使用されることを可能にする。シース125は、別個の固体部品および/または底部電極109の内壁上のコーティングであってもよい。ソケット溶接コンプレッションフィッティング120の追加は、延長管105が除去された状態で材料を装填するためのより大きな通路を可能にする。
【0029】
図3は、本発明の実施形態による、限定ではないが、異なる耐腐食性および/または電気特性を有する種々の材料を含み、かつ/または種々の材料に取り付けられるシース202を示す。例えば、シース202は、シース202を底部電極201から分離する電気絶縁リング205に取り付けられてもよく、したがって、金属シースの使用を可能にし得る。底部電極容器201の材料は、底部金属204および塩203からの腐食に耐えるように選択されてもよい一方、シース202は、塩203(および、液体金属バッテリの場合、上部金属)による腐食に耐えるように選択されてもよい。金属は、典型的には、セラミックより安価であるため、金属シースを利用して、絶縁(セラミック)リング205のサイズを最小限にすることによって、より低いコストが、実現され得る。
【0030】
本発明の種々の実施形態に従って、図4は、積層を可能にする電気化学セルを示す一方、図5は、図4の複数の電気化学セルの積層を示す。セル501および503の組み合わせは、バッテリ用途において、電圧(図5に示されるように、直列に接続される)または電流容量(並列に接続される)を増加させるために使用されることができる。セル積層は、バッテリ構造を大幅に簡略化することができ、デバイスの熱効率をさらに改善することができる。例証として、電気化学セル501および503の構成要素は、延長管105がここでは容器109の側面から出ていることを除いて、図2のものと同一であってもよい。電気絶縁ホルダが、キャップからの上部電極の機械的支持を向上させるために追加されてもよい。電気絶縁層128は、各セルを分離するために使用されてもよく、電気接続は、例えば、延長管105の端部で行われる。セル501および503のそれぞれを個々に断熱する代わりに、断熱材505が、複数の積層されたセル501および503の周囲に配置されてもよい。
【0031】
本発明における延長管は、最小限の熱損失および高い熱効率を可能にする。その優れた熱効率により、ジュール加熱による自己加熱の可能性は、以前のセル設計(Hesson、1968年)よりはるかに小さいスケールで生じ得る。これは、外部加熱デバイスではなく、電流が電解質を通過することによって生成される廃熱によって加熱が提供されるため、全体的システム効率の利点となり得る。
【0032】
ジュール加熱の重要な利点は、熱がセルの中心で生成され、電流の慎重な制御が、電解質の凍結壁がセル容器の側面に形成されることを可能にし得ることである。凍結電解質は、その液体形態よりはるかに腐食性が低く、腐食に対する容器のための保護層をもたらすことができる(本特徴は、いくつかの電気分解プロセスにおいては重大であり得る)。
【0033】
本発明の実施形態の用途は、任意の電気化学プロセスを含む。従来の設計と異なり、本発明の実施形態は、標準的な部品を使用して構築され、複雑性の低下および有効性の増加につながり得る。本発明の前述の実施形態の有利な幾何学形状はまた、セルが拡張されるにつれて、熱効率を増加させる。これは、特に、産業用途に有利であり得る。設計特徴が特に魅力的である例示的用途として、限定ではないが、反応性材料の電気分解および電解精錬、高温電気分解および電解精錬、溶融塩および溶融酸化物電気分解、燃料セルおよびバッテリ(例えば、液体金属バッテリ)が挙げられる。
【0034】
前述の本発明の実施形態は、単に、例示であることが意図される。多数の変形例および修正が、当業者に明白となる。全てのそのような変形例および修正は、添付の特許請求の範囲のいずれかにおいて定義される本発明の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5