特許第6247343号(P6247343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247343
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20171204BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20171204BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20171204BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20171204BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20171204BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20171204BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20171204BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B01J35/04 301B
   B01D53/86 241
   B01D53/94 241
   B01J35/04 301A
   F01N3/035 AZAB
   F01N3/28 301P
   F01N3/022 B
   B01D46/00 302
   B01D39/20 D
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-116473(P2016-116473)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-217634(P2017-217634A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆宏
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−022397(JP,A)
【文献】 特開2015−085321(JP,A)
【文献】 特開2014−136211(JP,A)
【文献】 特開2012−223719(JP,A)
【文献】 特開2002−326035(JP,A)
【文献】 特開2013−230462(JP,A)
【文献】 特開2003−181233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 39/20
B01D 46/00
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端面から他方の端面まで延びる、流体の流路となる複数の六角形状を呈する六角セルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体であって、
前記隔壁は、
前記隔壁の平均隔壁厚さに対して、±10%未満の範囲の隔壁厚さを有する標準隔壁と、
前記平均隔壁厚さに対して、+10%以上の隔壁厚さを有する広幅隔壁と、
前記平均隔壁厚さに対して、−10%以下の隔壁厚さを有する狭幅隔壁と
を組み合わせて構成され、
前記ハニカム構造体のハニカム軸の軸方向に直交する構造体端面または構造体断面における前記標準隔壁、前記広幅隔壁、及び前記狭幅隔壁の数を足した前記隔壁全体の総数に占める前記広幅隔壁及び前記狭幅隔壁を足した非標準隔壁の小計数の比率である非標準隔壁比率が10%〜30%の範囲であるハニカム構造体。
【請求項2】
前記標準隔壁、前記広幅隔壁、及び前記狭幅隔壁は、
前記ハニカム構造体の軸方向に直交する構造体断面において、規定された配置基準に従ってランダムに分布して配置されている請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記六角セルは、
互いに平行に配された一対の前記隔壁で構成される第一隔壁対と、
前記六角セルのセル中心を基準とし、前記第一隔壁対から+60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第二隔壁対と、
前記六角セルの前記セル中心を基準とし、前記第一隔壁対から−60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第三隔壁対と
によって区画形成され、
前記平均隔壁厚さは、
前記ハニカム構造体の重心位置の近接する前記六角セルにおける前記第一隔壁対に直交する第一仮想軸、前記第二隔壁対に直交する第二仮想軸、及び前記第三隔壁対に直交する第三仮想軸のそれぞれの軸上に位置する前記隔壁の隔壁厚さの平均値である請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記標準隔壁、前記広幅隔壁、及び前記狭幅隔壁は、
前記ハニカム構造体の軸方向に直交する構造体断面において、規定された配置基準に従ってランダムに分布して配置され、
前記六角セルは、
互いに平行に配された一対の前記隔壁で構成される第一隔壁対と、
前記六角セルのセル中心を基準とし、前記第一隔壁対から+60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第二隔壁対と、
前記六角セルの前記セル中心を基準とし、前記第一隔壁対から−60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第三隔壁対と
によって区画形成され、
前記平均隔壁厚さは、
前記ハニカム構造体の重心位置の近接する前記六角セルにおける前記第一隔壁対に直交する第一仮想軸、前記第二隔壁対に直交する第二仮想軸、及び前記第三隔壁対に直交する第三仮想軸のそれぞれの軸上に位置する前記隔壁の隔壁厚さの平均値であり、
前記配置基準は、
前記第一仮想軸、前記第二仮想軸、及び前記第三仮想軸のそれぞれの前記軸上に配置された三連続の前記隔壁の中に、少なくとも一つ以上の前記標準隔壁が含まれている請求項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記非標準隔壁比率は、
前記ハニカム構造体の外周壁から20mm内側に位置する、前記ハニカム構造体の中心領域における前記隔壁の総数に占める前記非標準隔壁の小計数を算出したものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記第一仮想軸、前記第二仮想軸、及び前記第三仮想軸のそれぞれの前記軸上に位置する前記隔壁における、それぞれの軸毎の第一平均隔壁厚さ、第二平均隔壁厚さ、及び第三平均隔壁厚さは、
前記隔壁の前記平均隔壁厚さに対して、±40%以内の範囲である請求項3または4に記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、粒子状物質を捕集し、排気ガスを浄化処理する排気ガス浄化装置等に用いられ、高い昇温性能及び高い熱容量のいずれの特性を同時に発揮し、効率的な排気ガス等の浄化処理が可能なハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、化学、電力、鉄鋼等の種々の分野において、環境対策や特定物質の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミックス製のハニカム構造体が採用されている。例えば、ディーゼルエンジンや直噴式のガソリンエンジンに対する排気ガス規制の強化に伴って、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するために、上記ハニカム構造体を用いたディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)やガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)を採用した排気ガス浄化装置等が用いられている。高温、腐蝕性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料として、耐熱性、化学的安定性に優れた炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等のセラミックス材料が特に好適に使用されている。
【0003】
DPF等には、粒子状物質を酸化し、浄化するための触媒がハニカム構造体のセル表面にコートされている。ここで、セル内部に堆積した粒子状物質を効率的に燃焼させ、DPF等の再生化を図るために、上記触媒が活性化する温度(活性化温度)まで、速やかにハニカム構造体を昇温させるとともに、活性化温度を長時間に亘って維持する必要がある。これにより、粒子状物質を捕集し、触媒による浄化処理を行うDPF等の浄化効率を安定させることができる。
【0004】
しかしながら、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスは、排気温度が比較的低く、更に低負荷の状態で稼働させた場合、触媒の活性化温度まで到達しないことがあった。また、ガソリンエンジンの場合でも、エンジン始動時においても、低負荷の状態で稼動させた場合は、触媒をより早く活性化温度にまで達成させる必要がある。一方、高負荷の状態で稼働させた場合であっても、急激に低負荷の状態に移行させると、ハニカム構造体の温度が直ぐ低下し、触媒の活性化温度以下になることがあった。すなわち、ハニカム構造体の熱容量が低いために、浄化効率が低下することがあった。
【0005】
そこで、昇温性能を高めるために、ハニカム構造体を構成する隔壁の隔壁厚さを薄壁化したり、或いは気孔率を上げたりすることが行われている。しかしながら、上記の手法は、ハニカム構造体の熱容量を更に下げる問題があった。また、隔壁厚さを薄くすることは、ハニカム構造体の力学的強度を著しく低下させる問題があった。その結果、ハニカム構造体をキャン(缶体)の内部に収容し、装着するキャニング作業において、ハニカム構造体に強い外力が加わって、隔壁に亀裂等が生じ易くなるおそれがあった。これにより、ハニカム構造体が破損する可能性が高くなった。
【0006】
一方、高い熱容量を有する材料を用いた隔壁でハニカム構造体を構成する場合、高温時からの急激な温度低下の問題は解消されるものの、ディーゼルエンジン等の始動時から活温度に到達する昇温性能が著しく低下するおそれがあった。すなわち、高い昇温性能と高い熱容量は、互いに背反する問題であった。
【0007】
そこで、ハニカム構造体の強度を向上させ、キャニング作業時の不具合を解消するために、ハニカム構造体のセルを区画形成する隔壁の隔壁厚さを、一のハニカム構造体において適宜変更させ、隔壁厚さが厚い箇所と薄い箇所とをそれぞれ配設したものが既に提案されている。
【0008】
例えば、ハニカム構造体の外周壁の近傍に位置するセルを区画形成する隔壁を、その他の部位の隔壁よりも厚くしたものが提案されている(特許文献1参照)。更に、高温の排気ガスと接し、ハニカム構造体の一部が侵食されるエロ−ジョンを回避する目的で、排気ガスが直接当たる領域の隔壁の隔壁厚さを厚くするものが提案されている(特許文献2参照)。これにより、ハニカム構造体の一部の強度を向上させ、特にキャニング作業の際の不具合を解消することができる。
【0009】
或いは、四角形状のセルを区画形成する隔壁において、隔壁の軸方向(X軸及びY軸)における一方の軸(例えば、X軸)上に沿って形成されたそれぞれの隔壁の隔壁厚さを厚くするもの(特許文献3参照)、或いは、四角形状のセルを区画形成する隔壁において、二種類の隔壁の隔壁厚さを一直線上に均一に配した構造とするもの(特許文献4参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−326034号公報
【特許文献2】特開2002−326035号公報
【特許文献3】特開2003−181233号公報
【特許文献4】特開2010−234315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記ハニカム構造体は、下記に示す点において問題となることがあった。すなわち、特許文献1に示すハニカム構造体は、キャニング時の強度の向上を目的とするものであり、一方、特許文献2に示すハニカム構造体は、主として耐エロ−ジョン性能を向上させることをそれぞれ主たる目的とするものであった。そのため、ハニカム構造体において、隔壁の隔壁厚さをそれぞれ変更したものであっても、高い昇温性能及び高い熱容量による効果をそれぞれ発揮させるものではなかった。これにより、排気ガス等の高い浄化性能を安定して維持するものではなかった。
【0012】
一方、特許文献3に示されたハニカム構造体は、特定方向における強度向上を目的として、一直線上に沿って位置する隔壁の隔壁厚さを厚くするものである。そのため、隔壁厚さを厚くした方向における強度(せん断強度)の向上は、当然認められるものの、他の方向における強度が著しく低下する。更に浄化性能の向上が十分ではなかった。
【0013】
また、特許文献4に示されるように、一直線上に沿って隔壁厚さの厚い隔壁及び薄い隔壁をそれぞれ配置するものは、高い昇温性能と、高い熱容量による効果とを発揮することが可能であり、浄化性能の向上が認められる。しかしながら、せん断強度が弱く、キャニング時に破損する可能性があった。
【0014】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、高い昇温性能と高い熱容量を兼ね備えるとともに、かつ、高いせん断強度を有し、キャニング時に破損を生じることのないハニカム構造体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、上記課題を解決したハニカム構造体が提供される。
【0016】
[1] 一方の端面から他方の端面まで延びる、流体の流路となる複数の六角形状を呈する六角セルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体であって、前記隔壁は、前記隔壁の平均隔壁厚さに対して、±10%未満の範囲の隔壁厚さを有する標準隔壁と、前記平均隔壁厚さに対して、+10%以上の隔壁厚さを有する広幅隔壁と、前記平均隔壁厚さに対して、−10%以下の隔壁厚さを有する狭幅隔壁とを組み合わせて構成され、前記ハニカム構造体のハニカム軸の軸方向に直交する構造体端面または構造体断面における前記標準隔壁、前記広幅隔壁、及び前記狭幅隔壁の数を足した前記隔壁全体の総数に占める前記広幅隔壁及び前記狭幅隔壁を足した非標準隔壁の小計数の比率である非標準隔壁比率が10%〜30%の範囲であるハニカム構造体。
【0017】
[2] 前記標準隔壁、前記広幅隔壁、及び前記狭幅隔壁は、前記ハニカム構造体の軸方向に直交する構造体断面において、規定された配置基準に従ってランダムに分布して配置されている前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0018】
[3] 前記六角セルは、互いに平行に配された一対の前記隔壁で構成される第一隔壁対と、前記六角セルのセル中心を基準とし、前記第一隔壁対から+60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第二隔壁対と、前記六角セルの前記セル中心を基準とし、前記第一隔壁対から−60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第三隔壁対とによって区画形成され、前記平均隔壁厚さは、前記ハニカム構造体の重心位置の近接する前記六角セルにおける前記第一隔壁対に直交する第一仮想軸、前記第二隔壁対に直交する第二仮想軸、及び前記第三隔壁対に直交する第三仮想軸のそれぞれの軸上に位置する前記隔壁の隔壁厚さの平均値である前記[1]または[2]に記載のハニカム構造体。
【0019】
[4] 前記標準隔壁、前記広幅隔壁、及び前記狭幅隔壁は、前記ハニカム構造体の軸方向に直交する構造体断面において、規定された配置基準に従ってランダムに分布して配置され、前記六角セルは、互いに平行に配された一対の前記隔壁で構成される第一隔壁対と、前記六角セルのセル中心を基準とし、前記第一隔壁対から+60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第二隔壁対と、前記六角セルの前記セル中心を基準とし、前記第一隔壁対から−60°偏角した位置にある一対の前記隔壁で構成される第三隔壁対とによって区画形成され、前記平均隔壁厚さは、前記ハニカム構造体の重心位置の近接する前記六角セルにおける前記第一隔壁対に直交する第一仮想軸、前記第二隔壁対に直交する第二仮想軸、及び前記第三隔壁対に直交する第三仮想軸のそれぞれの軸上に位置する前記隔壁の隔壁厚さの平均値であり、前記配置基準は、前記第一仮想軸、前記第二仮想軸、及び前記第三仮想軸のそれぞれの前記軸上に配置された三連続の前記隔壁の中に、少なくとも一つ以上の前記標準隔壁が含まれている前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0020】
[5] 前記非標準隔壁比率は、前記ハニカム構造体の外周壁から20mm内側に位置する、前記ハニカム構造体の中心領域における前記隔壁の総数に占める前記非標準隔壁の小計数を算出したものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0021】
[6] 前記第一仮想軸、前記第二仮想軸、及び前記第三仮想軸のそれぞれの前記軸上に位置する前記隔壁における、それぞれの軸毎の第一平均隔壁厚さ、第二平均隔壁厚さ、及び第三隔壁厚さは、前記隔壁の前記平均隔壁厚さに対して、±40%以内の範囲である前記[3]または]に記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハニカム構造体は、六角セルを区画形成する隔壁を有し、隔壁の隔壁厚さが、平均隔壁厚さに対して±10%以上相違する広幅隔壁及び/または狭幅隔壁が、隔壁全体に対して10%以上の割合で含まれている。これにより、ハニカム構造体の昇温性能を向上させるとともに、高い熱容量によって触媒の活性化温度以上の状態を長く維持することができる。すなわち、互いに背反する特性を共有するハニカム構造体とすることができる。
【0023】
更に、標準隔壁、広幅隔壁、及び狭幅隔壁が規定の配置基準に従ってランダムに配置されていることにより、ハニカム構造体のせん断強度が局所的に低下することがない。その結果、缶体に装着するキャニング時において、ハニカム構造体に亀裂等が生じるなどの不具合の発生を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態のハニカム構造体の概略構成を示す斜視図である。
図2】ハニカム構造体の概略構成を示す上方視平面図である。
図3】標準隔壁、広幅隔壁、狭幅隔壁で区画形成された六角セルの一例を模式的に示す説明図である。
図4】六角セル及び隔壁の構成を模式的に示す説明図である。
図5】六角セル及び連続する隔壁の配置基準を示す説明図である。
図6】ハニカム構造体の中心領域を例示する説明図である。
図7】せん断試験方法の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明のハニカム構造体について詳述する。なお、本発明のハニカム構造体は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、及び改良等を加え得るものである。
【0026】
本実施形態のハニカム構造体1は、図1図6に主として示すように、一方の端面2aから他方の端面2bまで延びる、流体の流路となる複数の六角形状を呈する六角セル3を区画形成する隔壁4を有している。更に具体的に説明すると、当該隔壁4は、ハニカム構造体1のハニカム軸Aの軸方向(図1における二点鎖線参照)に直交する構造体端面5(または構造体断面)において、隔壁4の平均隔壁厚さに対して、±10%未満の範囲の隔壁厚さT1を有する標準隔壁4aと、平均隔壁厚さに対して、+10%以上の隔壁厚さT2を有する広幅隔壁4bと、平均隔壁厚さに対して、−10%以下の隔壁厚さT3を有する狭幅隔壁4cとを組み合わせて構成されている。ここで、本実施形態のハニカム構造体1は、主にディーゼルエンジンの排気ガスを浄化処理するものを主に想定して以下に説明を行うものとする。しかしながら、本発明のハニカム構造体は上記用途に限定されるものではなく、その他ガソリンエンジンの排気ガス等を浄化処理するために用いるものであってももちろん構わない。
【0027】
すなわち、隔壁4は、隔壁厚さT1,T2,T3によって分類された三つタイプの隔壁4a,4b,4cが用いられ、六角セル3を区画形成している(図3参照)。なお、図示を簡略化するため、図1図7において、標準隔壁4a、広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cのそれぞれの隔壁厚さT1,T2,T3を略同一の幅で示している(図3を除く。)。
【0028】
ここで、標準隔壁4a、広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cは、それぞれ予め規定された配置基準(詳細は後述する。)に従って、構造体端面5等においてランダムに分布するように配置されている。ここで、図3図5等に示すように、一つの六角セル3を区画形成するためには、当該六角セル3の周囲に六本(六辺)の隔壁4が必要となり、それぞれ標準隔壁4a,広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cの中から一つが配置される。
【0029】
更に、構造体端面5における標準隔壁4a、広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cのそれぞれの数を足した合計である隔壁4の総数S1(=標準隔壁4a+広幅隔壁4b+狭幅隔壁4cの数)に占める、標準隔壁4a以外の隔壁(非標準隔壁)の数(=広幅隔壁4b+狭幅隔壁4cの数)を足した合計である非標準隔壁の小計数S2の比率である非標準隔壁比率(=S2/S1×100)が、10%〜30%の範囲となるように調整されている。
【0030】
平均隔壁厚さに対して、それぞれの隔壁厚さT2,T3が±10%以上逸脱した非標準隔壁(広幅隔壁4b及び狭幅隔壁4c)が、隔壁4の全体に対して一定比率含まれることにより、ハニカム構造体1の昇温性及び熱容量のそれぞれの特性を調整することが可能となる。
【0031】
平均隔壁厚さに対して+10%以上の隔壁厚さT2を有する広幅隔壁4bが含まれることにより、標準隔壁4aと比較して熱が奪われにくくなる。そのため、高温の排気ガスによって暖められた状態にあるハニカム構造体1に対し、ディーゼルエンジンが低負荷となって流れ込む排気ガスの温度が低下しても、ハニカム構造体1全体の温度が急激に低下することがなく、触媒の活性化温度以上を長時間に亘って維持することができる。これにより、触媒による高い浄化効果を維持することができる。すなわち、広幅隔壁4bの存在によって、ハニカム構造体1の熱容量を高めることができ、保温性が向上する効果を奏する。
【0032】
一方、平均隔壁厚さに対して−10%以下の隔壁厚さT3を有する狭幅隔壁4cが含まれることにより、標準隔壁4aと比較して昇温性が高くなる。そのため、ディーゼルエンジンの始動時に、高温の排気ガスがハニカム構造体1に流入すると、常温から触媒が活性化する活性化温度まで速やかにハニカム構造体1の温度が上昇する。すなわち、触媒性能を十分に発揮可能な温度に短時間で到達するため、始動直後から効率的な排気ガスの浄化処理が可能となる。狭幅隔壁4cの存在によって、ハニカム構造体1の昇温性を高めることができ、浄化性能が安定する。
【0033】
なお、広幅隔壁4bの存在は、上記ハニカム構造体1の昇温性を低下させる要因となり、一方、狭幅隔壁4cの存在は、上記ハニカム構造体1の熱容量を低くする要因となる。しかしながら、本実施形態のハニカム構造体1は、上記に示したように、隔壁4の総数S1に占める、非標準隔壁の小計数S2の比率を、10%〜30%の範囲となるように調整することで、互いに背反する特性の調整を図り、いずれ性も向上させるようにしている。
【0034】
本実施形態のハニカム構造体1において、平均隔壁厚さは、下記に基づいて算出される。ハニカム構造体1のそれぞれの六角セル3は、図4等に示すように、互いに平行に配された一対の隔壁4で構成される第一隔壁対6aと、六角セル3のセル中心Cを基準とし、第一隔壁対6aから+60°偏角した位置にある一対の隔壁4で構成される第二隔壁対6bと、上記セル中心Cを基準とし、第一隔壁対6aから−60°偏角した位置(第二隔壁対から−120°偏角した位置に相当)にある一対の隔壁4で構成される第三隔壁対6cとを組み合わせて区画形成されている。
【0035】
このとき、平均隔壁厚さは、ハニカム構造体1の重心位置に近接する、換言すれば、ハニカム軸Aと接する(若しくはその近傍に位置する)基準となる六角セル3(以下、「基準六角セル3a」と称す。)における、第一隔壁対6aに対して直交する第一仮想軸X、第二隔壁対6bに対して直交する第二仮想軸Y、及び第三隔壁対6cに対して直交する第三仮想軸Zのそれぞれの軸上に位置し、交差する各隔壁4の隔壁厚さT1,T2,T3を測定し、その平均値として求められる(図4参照)。隔壁4の平均隔壁厚さが決定されることにより、それぞれの隔壁4を標準隔壁4a、広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cに分類することができる。
【0036】
更に、構造体端面5における隔壁4の配置基準は、下記のように設定されるものであっても構わない。すなわち、“上記仮想軸X,Y,Zのそれぞれの軸上に配置された三連続の隔壁4の中に、少なくとも一つ以上の標準隔壁4aが含まれている”とすることができる。換言すれば、仮想軸X,Y,Zの軸上に交差するように配置された三つ連続して並んだ隔壁4(図5における“●”、“◆”、“■”の各組参照)が全て広幅隔壁4b及び/または狭幅隔壁4cで構成されていない、更に換言すると、非標準隔壁のみで構成されていない、とする配置基準が設定される。係る配置基準を採用することで、標準隔壁4a、広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cがそれぞれランダムに分散して位置し、各々の六角セル3を区画形成することができる。
【0037】
前述したように、広幅隔壁4b及び狭幅隔壁4cは、標準隔壁4aに対して昇温性能及び熱容量がそれぞれ相違する。そのため、広幅隔壁4b及び狭幅隔壁4cの非標準隔壁が局所的に偏って位置する部位が存在する場合、当該部位における昇温性能及び熱容量性がその他の部位と比べて著しく相違する。その結果、ハニカム構造体1の性状が著しく変化する。そのため、前述した非標準隔壁比率を一定の範囲に留め、かつ上記配置基準によって非標準隔壁が局所的に存在しないようにすることで、互いに背反する昇温性能と熱容量との調整を図り、浄化性能を安定させることができる。
【0038】
更に本実施形態のハニカム構造体1において、非標準隔壁比率は、ハニカム構造体1の外周壁7から少なくとも20mm以上の内側に位置する、ハニカム構造体1の中心領域8(図6の二点鎖線円内のハッチング領域参照)における隔壁の総数S1に占める非標準隔壁の小計数S2によって算出するものであっても構わない。
【0039】
ハニカム構造体1を排気ガス浄化装置等に採用する場合、金属製の缶体(キャン)に当該ハニカム構造体を収容するキャニングを行う必要がある。このキャニングの際にハニカム構造体1に対して大きな外力が加わる可能性があり、ハニカム構造体1が破損することがある。そのため、特に外力の加わり易い外周壁7から一定の範囲に対して隔壁4の強度を高くするため、隔壁厚さを変更することがある。すなわち、局所的に隔壁厚さが平均隔壁厚さよりも厚い部位が存在することがある。したがって、本実施形態のハニカム構造体1では、非標準隔壁比率を算出する箇所を外周壁7から少なくとも20mmの領域を除外し、中心領域8に限定して算出している。
【0040】
また、ハニカム構造体1は、仮想軸X,Y,Zの軸上に位置する隔壁4におけるそれぞれの軸毎の第一平均隔壁厚さ、第二平均隔壁厚さ、及び第三平均隔壁厚さが、隔壁4の全体の平均隔壁厚さに対して、±40%以内の範囲に設定されるものであっても構わない。
【0041】
隔壁4の全体の平均隔壁厚さは、前述した通りの手法によって算出される。更に、各軸毎の第一平均隔壁厚さ等は、それぞれの軸上に位置し、交差する隔壁4の平均値を算出したものである。平均隔壁厚さに対して、それぞれの仮想軸X、Y,Zにおける第一平均隔壁厚さ等が±40%超の乖離がある場合、ハニカム構造体1の内部に局所的に強度の弱い箇所或いは強度の強い箇所が存在することとなる。そのため、ハニカム構造体1に外力が加わった場合、弱いせん断強度であっても、ハニカム構造体1の内部等から破断が発生する可能性があり、実用上の問題が生じることがある。そこで、各軸における第一平均隔壁厚さ等を上記範囲内に設定することで、ハニカム構造体1のせん断強度の低下を抑制することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のハニカム構造体1は、六角セル3を区画形成する隔壁4を、隔壁厚さT1,T2,T3がそれぞれ異なる標準隔壁4a、広幅隔壁4b、及び狭幅隔壁4cをそれぞれ組み合わせることにより、昇温性能及び熱容量の優れたものとすることができる。
【0043】
以下、本発明のハニカム構造体の実施例について説明するが、本発明のハニカム構造体はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
(1)ハニカム構造体
セラミックス原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。なお、使用するセラミックス原料としては、炭化珪素、Si/SiC系複合材料、コージェライト等の周知のものを使用することができ、本実施形態では、コージェライトを用いている。また、バインダ、界面活性剤、及び造孔材等は周知のものであり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0045】
得られた成形原料を混練し、坏土を形成した後、押出成形することで、円柱状または楕円柱状のハニカム成形体を形成する。係る押出成形において、六角セルを区画形成する隔壁の隔壁厚さ、セル密度等が予め規定された口金が用いられる。押出成形されたハニカム成形体を乾燥及び焼成することにより、ハニカム構造体の製造が完了する。実施例1〜12及び比較例1〜10におけるハニカム構造体の形状、ハニカム径(またはハニカム長径及びハニカム短径)、ハニカム長さ、セル密度、及び気孔率を下記表1に示す。ここで、実施例9,10,12、及び、比較例5,10のハニカム構造体は楕円柱状であり、その他は円柱状の形状を呈するものである。
【0046】
なお、後述する浄化性能及びせん断強度において、上記示した隔壁厚さ、セル密度、ハニカム径、ハニカム長さ、気孔率に差異があった場合、それぞれの浄化性能等に違いを生じる可能性がある。そのため、上記パラメータを同一した条件で、浄化性能及びせん断強度の評価を行う必要がある。そこで、表1(以下、表2及び表3も同様)において、上記パラメータを同一とした実施例及び比較例をグループ毎に区分している。
【0047】
すなわち、比較例1、実施例1,2、及び比較例6を“グループα”とし、比較例2、実施例3,4、及び比較例7を“グループβ”とし、比較例3、実施例5,6、及び比較例8を“グループγ”とし、比較例4、実施例7,8、実施例11、及び比較例9を“グループδ”とし、比較例5、実施例9,10、実施例12、及び比較例10を“グループε”とした。なお、各グループα、β、γ、δ、εにおいて、それぞれ先頭に挙げた比較例1、比較例2、比較例3,比較例4、及び比較例5をグループにおける比較対象の基準とした。
【0048】
【表1】
【0049】
(2)平均隔壁厚さ等の測定及び算出
実施例1〜12及び比較例1〜10のハニカム構造体における六角セルを区画形成する隔壁の平均隔壁厚さ、及び、それぞれの第一仮想軸X等の仮想軸X,Y,Zにおける第一平均隔壁厚さ、第二平均隔壁厚さ、及び第三平均隔壁厚さの測定結果を下記表2に示す。更に、算出された平均隔壁厚さに対して+10%以上の隔壁厚さを示す広幅隔壁の占める比率A%及び平均隔壁厚さに対して−10%以下の隔壁厚さを示す狭幅隔壁の占める比率B%に基づいて算出された非標準隔壁比率(A+B)%、仮想軸X,Y,Zの軸上に配置された三連続する隔壁が非標準隔壁で構成されているかの有無(C)、及び当該Cの比率、及び、非標準隔壁比率からCの存在比率を減じた値を併せて表2に示す。なお、第一仮想軸X等は、既に説明したためここでは詳細な説明は省略する。
【0050】
これによると、実施例1〜12のハニカム構造体は、隔壁の総数に占める広幅隔壁及び狭幅隔壁を足した非標準隔壁の小計数の比率である非標準隔壁比率(A+B)%が、いずれも10%以上を示すものであり、かつ三連続する隔壁が非標準隔壁でない、換言すれば、少なくとも一つ以上の標準隔壁を含んだものである(Cの存在比率=0%)。
【0051】
一方、比較例1〜5のハニカム構造体は、非標準隔壁比率が10%未満であり、比較例6〜8のハニカム構造体は、三連続する隔壁が非標準隔壁で構成されているものである。
【0052】
【表2】
【0053】
更に、測定及び算出された平均隔壁厚さ、第一平均隔壁厚さ、第二平均隔壁厚さ、及び第三平均隔壁厚さに基づいて、第一平均隔壁厚さ/平均隔壁厚さの比率(%)、第二平均隔壁厚さ/平均隔壁厚さの比率(%)、及び第三平均隔壁厚さ/平均隔壁厚さの比率(%)を算出し、最大比率差及び最小比率差を求めた。得られた結果を下記表3に示す。
【0054】
ここで、実施例1〜のハニカム構造体は、第一平均隔壁厚さ等が、いずれも隔壁の平均隔壁厚さに対して±40%以内のものである(比較例1〜8についても同様)。これに対し、比較例9,10のハニカム構造体は、第一平均隔壁厚さ等が平均隔壁厚さに対して±40%を超えるものである。
【0055】
【表3】
【0056】
(3)浄化性能の測定
上記の実施例及び比較例に係るハニカム構造体を排気ガス浄化装置に装着し、排気量2.0リットルの直噴式ガソリンエンジンを搭載した乗用車の排気系にそれぞれ装着する。その後、シャシダイナモによる車両試験として、JC08モードにて浄化性能を判定した。各グループα〜εにおける基準となる比較例1〜5に対し、5%以上の浄化性能の向上が認められるものを“A”、2%以上、5%未満の範囲で向上が認められるものを“B”、2%未満のものを“C”とした。判定結果を表3に示す。
【0057】
(4)せん断強度の測定
図7に示すせん断強度試験機10を用い、実施例1〜12及び比較例1〜10のハニカム構造体に対してせん断強度の測定を行った。各ハニカム構造体1の外周壁7の周りに緩衝用のマット部12を巻いた状態で、金属製の缶体11に装着し、測定試料とする。測定試料に対して、第一荷重方向L1、第二荷重方向L2、及び第三荷重方向L3のそれぞれから荷重を負荷し、ハニカム構造体1にせん断が発生する強度を測定する。各グループα〜εの基準となる比較例1〜5のハニカム構造体に対して、各方向L1,L2,L3とも同等以上のせん断強度を確保した水準を“A”、各方向L1等においてせん断強度にバラツキがあるものの実用上の問題がない合格レベルのものを“B”、及び、大きなせん断強度の低下が認められたものを“C”として評価した。評価結果を表3に示す。
【0058】
(5)評価結果
表3に示されるように、実施例1〜12のハニカム構造体は、いずれも浄化性能及びせん断強度の評価項目において、少なくとも“B”以上の評価を示し、排気ガス浄化装置等に使用する場合において、実用上の問題がないことが確認された。すなわち、平均隔壁厚さに対して±10%以上の非標準隔壁を少なくとも10%以上有し、かつ非標準隔壁がランダムに配置されている、六角セルのハニカム構造体は、安定した浄化性能を示し、高いせん断強度を維持することができる。六角セルを区画形成する隔壁の隔壁厚さを変化させることで、ハニカム構造体の昇温性能を向上させ、高い熱容量によって触媒の活性化温度以上の状態を長く継続することができる。また、ハニカム構造体が円柱状または楕円柱状のいずれであっても同様の効果を示すことが確認された。
【0059】
非標準隔壁比率が10%未満のハニカム構造体の場合(比較例1〜5)の場合、浄化性能が著しく低下することが認められた。上記と同様、非標準隔壁比率が一定比率以上であることが更に確認される。加えて、非標準隔壁比率が10%未満で、かつ三連続する隔壁が全て非標準隔壁である部位を含むハニカム構造体の場合(比較例6〜8)も同様に、浄化性能の低下が認められた(いずれも、表3参照)。
【0060】
それぞれの比較対象となる各グループについて、詳細に説明すると、例えば、グループαの場合、非標準隔壁比率が±10%未満の比較例1(=6%)に対し、非標準隔壁比率が本発明の条件を満たす±10%以上の実施例(=11%)、及び実施例(=12%)の浄化性能が、いずれも比較例1の値から5%以上の浄化性能の向上が認められる“A”評価であった。更に、実施例1,2とセル密度等のパラメータがほぼ同一であるものの、三連続する隔壁が非標準隔壁で構成され、Cの存在比率が5%である比較例6の場合、比較例1と比べて浄化性能の向上が2%未満となる“C”評価であった。すなわち、上記に示した通り、平均隔壁厚さに対して±10%以上の非標準隔壁を少なくとも10%以上有し、かつ非標準隔壁がランダムに配置されている条件を満たす六角セルのハニカム構造体は、基準となる比較例1のハニカム構造体と比べて優れた浄化性能を示すことが確認された。その他のグループβ〜εにおいても同様の傾向が認められた。
【0061】
一方、せん断強度の評価において、グループδの比較例9及びグループεの比較例10に示されるように、上記浄化性能の向上が認められる、基準となる比較例4または比較例5に対して非標準隔壁比率が±10%以上であり、かつ三連続する隔壁が非標準隔壁で構成されていない条件を満たす場合であっても、第一平均隔壁厚さ、第二平均隔壁厚さ、また第三平均隔壁厚さのいずれかが平均隔壁厚さに対して、±40%を超える場合には(表3参照)、浄化性能はそれぞれの比較例4または比較例5に対して向上し、良好な評価を得ることができるものの、基準と比べてせん断強度の低下が示され、低い評価しか得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のハニカム構造体は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等から排出される排気ガス等の流体に含まれる微粒子等の粒子状物質の浄化処理を行う排気ガス浄化処理装置等の用途に特に有益に用いることができる。
【符号の説明】
【0063】
1:ハニカム構造体、2a:一方の端面、2b:他方の端面、3:六角セル、3a:基準六角セル、4:隔壁、4a:標準隔壁、4b:広幅隔壁、4c:狭幅隔壁、5:構造体端面、6a:第一隔壁対、6b:第二隔壁対、6c:第三隔壁対、7:外周壁、8:中心領域、10:せん断試験装置、11:缶体、12:マット部、13:支持台、14:荷重供給部、A:ハニカム軸、C:セル中心、L1:第一荷重方向、L2:第二荷重方向、L3:第三荷重方向、S1:隔壁の総数、S2:非標準隔壁の小計数、X:第一仮想軸、Y:第二仮想軸、Z:第三仮想軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7