特許第6247345号(P6247345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247345
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】自動車用のロールオーバ保護システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   B60R21/00 630A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-118543(P2016-118543)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-7655(P2017-7655A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】10 2015 109 859.8
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ユルゲン シュミット
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02471004(GB,A)
【文献】 特開2006−176117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のロールオーバ保護システムであって、変形クロスバー(2)を有し、該変形クロスバー(2)は車両垂直軸(6)の方向に延在するプロファイルストラット(3)と、前記プロファイルストラット(3)の第1の端部(9)で保持される変形要素(4)とを備え、前記第1の端部(9)が、前記自動車の車両床部とは逆向きに形成され、前記変形要素(4)が第1の外面(10)を有し、前記第1の外面(10)が、衝突面の形態で、前記プロファイルストラット(3)とは逆向きに形成され、前記変形要素(4)が破壊要素(11)を有する、ロールオーバ保護システムにおいて、
前記破壊要素(11)が、円錐台形状に形成されると共に、該円錐台形上に鋭い縁部を有するローラの形態で設計され、前記鋭い縁部により車体構成要素を破壊することを特徴とする、ロールオーバ保護システム。
【請求項2】
前記破壊要素(11)が、ディスク形状の設計または尖った設計であることを特徴とする、請求項1に記載のロールオーバ保護システム。
【請求項3】
前記破壊要素(11)が、円錐台形状で設計され、第1の要素面(26)が、前記第1の要素面(26)とは逆向きに形成された第2の要素面(27)よりも小さい直径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のロールオーバ保護システム。
【請求項4】
前記第1の要素面(26)が、前記変形要素(4)に面して配置されることを特徴とする、請求項3に記載のロールオーバ保護システム。
【請求項5】
前記破壊要素(11)が、摩擦および/または嵌合接続によって前記変形要素(4)に保持されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロールオーバ保護システム。
【請求項6】
前記破壊要素(11)が、前記変形要素(4)の表面(25)に保持され、前記表面(25)が、制御された方法で前記破壊要素(11)によって破壊し得る車体構成要素(23)から最短の距離にあることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロールオーバ保護システム。
【請求項7】
前記破壊要素(11)が、超硬合金または焼入れ鋼のいずれかから作製されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロールオーバ保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前段に記載の自動車用のロールオーバ保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のロールオーバ保護システムが知られている。通常、ロールオーバ保護システムは、自動車の通常動作中には、多かれ少なかれ見えないように自動車の車体内に収容されており、自動車の通常動作とは異なる対応する状況、例えば衝突状況の際にのみ、車体から延出される。いくつかのロールオーバ保護システムは、衝突面からの車両内面の距離を保つために、変形要素を備える変形クロスバーを有する。
【0003】
基本的には、変形要素は、衝撃力を吸収する役割を果たし、プロファイルストラットを拡張するためおよび掛止デバイスに対する負荷を除去するために設けられる。掛止デバイスから負荷が除去されるように、変形要素によって衝撃力をできるだけ完全に吸収することができるように意図される。完全な延出高さを実現するために、意図された方法、したがって制御された方法で車体構成要素(特にガラス窓)が破壊されなければならない。制御された破壊のために、変形要素は破壊要素を有する。破壊要素は通常、スパイクの形態で設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、さらに改良された自動車用のロールオーバ保護システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、本発明に従って、特許請求項1に記載の特徴を有する自動車用のロールオーバ保護システムにより達成される。本発明の好ましい明確な改良を伴う有利な変形形態は、それぞれの独立請求項で示されている。
【0006】
本発明による自動車用のロールオーバ保護システムは、変形クロスバーを備え、変形クロスバーは、自動車の垂直軸の方向に延在するプロファイルストラットと、プロファイルストラットの第1の端部に受け取られる変形要素とを有し、第1の端部が、自動車の車両床部とは逆向きに形成される。変形要素は、衝突面の形態で、プロファイルストラットとは逆向きに形成された第1の外面と、切断ローラの形態で設計された破壊要素とを有する。従来技術からの破壊要素と比較して、利点は、切断ローラとして設計される破壊要素のより高い剛性、およびロールオーバ保護により単純に接続できることである。
【0007】
切断ローラの形態で設計される破壊要素は、変形要素に様々な領域で取り付けることができる。実質的に尖った先端で最適な衝突効果が得られるスパイクまたはピン形状の破壊要素に比べ、切断ローラとして設計される破壊要素の衝突効果は、円形断面にわたって、したがって実質的に直線状に及び得る。したがって、破壊要素を第1の外面に取り付ける必要はない。むしろ、前記破壊要素を、例えば変形要素の端面に取り付けることもできる。理想的には、下方向へ最適な剛性を有するように前記破壊要素を支持することができる。
【0008】
破壊要素のディスク形状設計により、小さい破壊要素を形成するという利点がもたらされる。このような破壊要素は、大半が隠されるように、かつ空間をあまり必要とせずに変形クロスバーに収容することができる。
【0009】
車体構成要素の確実な破壊のために使用される切断または破壊縁部としての破壊要素の鋭利な縁部は、例えば、円錐形状で設計された破壊要素によって単純な方法で実現することができる。破壊要素の第1の要素面は、第1の要素面とは逆向きに形成された破壊要素の第2の要素面よりも小さい直径を有する。有利には、第1の要素面、したがってより小さい要素面が変形要素に面して配置される。その結果、変形要素を越えるさらなる長さを単純に実現することができ、かつ、窓への実質的に垂直な配置構造を実現することができる。
【0010】
さらなる改良形態では、破壊要素は、摩擦および/または嵌合接続によって変形要素に保持される。大きな利点は、従来技術から知られているスパイクまたはピン形状の破壊要素の形態での破壊要素の複雑な接着結合に比べて、単純な接続が確立されることである。接続は、例えば、ねじ、ボルト、またはリベットによって実現することができる。
【0011】
好ましくは、破壊要素は、変形要素の表面に保持され、この表面は、制御された方法で破壊要素によって破壊し得る車体構成要素から最短の距離にある。利点は、変形クロスバーが車体構成要素と接触する前に車体構成要素が破壊されることである。
【0012】
有利には、破壊要素は、超硬合金、場合によってはまた焼入れ鋼から作製される。
【0013】
基本的には、各車体形状が個別の安定性を有する。したがって、例えばコンバーチブルは、その安定性挙動に関して、例えばサルーンとは異なる形式で設計することができる。また、例えば「ノッチバック型の車体」は、「クーペ」または「ステーションワゴン」とは異なる安定性挙動を有する。したがって、自動車の内側輪郭への変形要素の個別の適合によって、すなわち自動車の対応する内面の形状に合わせることによって、自動車の個別の安定性挙動が、制御された方法でサポートされる。切断ローラの形態で設計される破壊要素は、曲線状に設計されたその切断または破壊縁部により、大半を隠すことができる方法で、自動車の内側輪郭に適合された変形要素に適合される。
【0014】
本発明のさらなる特徴、利点、および詳細は、好ましい例示的実施形態の以下の説明から、図面を参照して明らかである。本明細書で上述した特徴および特徴の組合せ、ならびに図面の説明で以下に述べられる、および/または図面中に単に図示される特徴および特徴の組合せは、それぞれ提示された組合せのみならず、異なる組合せでも、または単独でも、本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。同一または機能的に同一の要素には、同一の参照番号が付されている。見やすくするために、要素の参照番号は全ての図には付されていないこともあるが、参照番号の割振りがなくされるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術によるロールオーバ保護システムの変形クロスバーの背面図を示す。
図2】第1の例示的実施形態での本発明によるロールオーバ保護システムの変形クロスバーの背面図を示す。
図3】III−III線に沿った断面での、図2による変形クロスバーの詳細を示す。
図4】第2の例示的実施形態での本発明によるロールオーバ保護システムの変形クロスバーの詳細の背面図を示す。
図5】第3の例示的実施形態での本発明によるロールオーバ保護システムの変形クロスバーの詳細の背面図を示す。
図6】第4の例示的実施形態での本発明によるロールオーバ保護システムの変形クロスバーの詳細の背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
自動車(特に図示せず)用の従来技術からのロールオーバ保護システム1は、図1のように設計されている。ロールオーバ保護システム1は、変形クロスバー2を有する。変形クロスバー2は、プロファイルストラット3と、プロファイルストラット3に固定接続された変形要素4とを有する。プロファイルストラット3は、長手方向軸5を有する。長手方向軸5は、その延在方向が自動車の垂直軸6にほぼ対応する。
【0017】
説明をより分かりやすくするために、車両垂直軸6と、車両垂直軸6に垂直に配置された車両横方向軸7と、同様に車両垂直軸6および車両横方向軸7に垂直に位置決めされた車両長手方向軸8とが、デカルト座標系表現の形式で記号的に示されている。
【0018】
変形要素4は、プロファイルストラット3の第1の端部9に配置されている。第1の端部9は、自動車の車体床面(特に図示せず)とは逆向きに形成されている。変形要素4は、例えば押出成形プロファイルとして作製される。変形要素4は、プロファイルストラット3とは逆向きに形成された第1の外面10に、超硬合金から作製されたスパイクの形態の破壊要素11を有する。スパイクは、変形要素4と一体化されるように接続されている。しっかりと固定するために、スパイクは、ねじ付きスリーブの形態の保持要素を有する。
【0019】
本発明によるロールオーバ保護システム1の第1の例示的実施形態は、図2および図3のように構成される。変形要素4は、車両長手方向軸8の方向に延びるストラットプロファイルの形態で設計される。変形要素は、例えば押出成形構成要素として作製することができる。プロファイル断面は、車両横方向軸7の方向に延在する。したがって、結果として、費用対効果の高い製造が実現される。同時に、変形要素4が例えばアルミニウムから作製される場合には、軽量の金属構成要素の使用が可能である。
【0020】
プロファイルストラット3は、接触面12を有する。接触面12は、変形要素4に面して形成され、そこに変形要素4が保持される。
【0021】
第1の外面10は、接触面12とは逆向きに形成され、衝突面の機能を有する。前記外面は、有利には、自動車の内側輪郭(特に図示せず)に適合されるか、または前記内側輪郭に対して相補的に形成される。
【0022】
変形要素4は、中空体の形態のハニカム構造を有し、かつチャンバ13を有する。第1の例示的実施形態では、チャンバ13は、長手方向軸5に対して対称に配置される。しかし、これは必須ではない。前記チャンバは、カセットのタイプによっては、長手方向軸5に対して非対称に配置することもできる。
【0023】
チャンバ13は、第1の外壁14、第2の外壁15、第3の外壁16、および第4の外壁17によって周囲との境界を画される。第1の外壁14は、チャンバ13とは逆向きに配置された第1の外面10を有する。第2の外壁15および第3の外壁16は、車両横方向軸7の方向で変形要素4の境界を画する。第4の外壁17は、第1の外壁14とは逆向きに、プロファイルストラット3に接続されるように設計される。
【0024】
第1の外面10は、車両横方向軸7の方向で、接触面12を越えて延出するように設計される。すなわち、車両横方向軸7の方向での第1の外壁14の広がりは、接触面12の広がりよりも大きい。この例示的実施形態では、第1の外壁14、したがってまた第1の外面10は、プロファイルストラット3の2つの側壁24を越えて対称的に延出している。自動車の内側輪郭によっては、非対称または片側での延出を形成することもできる。
【0025】
第4の外壁17は、第2の外面20を有する。第2の外面20は、接触面12に面して位置決めされ、一部を溶接シームによって接触面12と一体化されるように接続することができる。さらなるチャンバ21が、第2の外面20と接触面12との間に形成される。
【0026】
破壊要素11が変形要素4に保持される。破壊要素11は、第1の外面10の近傍で変形要素4の第1の端面25に位置決めされる。破壊要素11は、切断ローラの形態で設計される。この例示的実施形態では、破壊要素11は、円錐ディスクの形状を有する。しかし、前記破壊要素は、尖塔状に設計することもできる。変形要素4の第1の端面25は、制御された方法で破壊要素によって破壊し得る車体構成要素23(一般に車両の窓)から最短の距離を有することによって、第2の端面(特に図示せず)と区別される。
【0027】
車体構成要素23に面して配置された破壊要素11の縁部22は、好ましくは鋭い縁部としての構成である。したがって、車体構成要素23は、衝突作用の下で生じる破壊要素11と前記車体構成要素23との接触により、制御された方法で破壊される。
【0028】
破壊要素11は、第1の要素面26および第2の要素面27を有する。それらの要素面は、円周面28を介して互いに接続されている。円錐ディスクを設けるために、第1の要素面26は、第2の要素面27よりも小さい直径を有する。第1の要素面26は、端面25に面し、端面25に接触するように位置決めされる。
【0029】
この例では、破壊要素11は、特に図3から分かるように、着脱可能な接続によって変形要素4に保持される。この例示的実施形態での着脱可能な接続は、ねじ接続の形態で設計される。破壊要素11は内部穴29を有する。その端ぐり30は、接続を確立するために使用される接続手段31の外側輪郭19に適合される。この例示的実施形態では、接続手段31はねじである。端ぐり30は、好ましくは、外側輪郭19に対して相補的に形成される。ねじ31は、変形要素4の穴32内に保持される。
【0030】
好ましくは超硬合金から作製された破壊要素11は、接触面12から見て、リアウィンドウに最も近い変形要素4の位置の近傍に配置される。図示される例示的実施形態では、この最高点は、車両横方向軸7の方向での変形要素4の広がりに関して中央で、プロファイルストラット3の長手方向軸5上に形成される。
【0031】
図4図6は、本発明によるロールオーバ保護システム1のさらなる例示的実施形態を示す。この例示的実施形態では、変形クロスバー2の設計が異なる。
【0032】
図4に示される第2の例示的実施形態から、5つのチャンバ13を有するストラットプロファイルの形態の変形要素4を見て取ることができる。これと比較して、図5に示される第3の例示的実施形態の変形要素4のストラットプロファイルは、4つのチャンバ13を有する。図6に示される第4の例示的実施形態は、11個のチャンバ13を有する変形要素4を有する変形クロスバー2を備える。図示されるこれらのさらなる例示的実施形態では、第1の例示的実施形態と同様に、破壊要素11が変形クロスバー2の対称軸上に配置される。
【0033】
第2、第3、および第4の例示的実施形態のチャンバ13は、変形要素4の壁18によって互いに離隔されている。壁18のいくつかは、長手方向軸5に対して斜めに配置される。第2の外壁15および第3の外壁16は、第4の外壁17に対して外側に傾斜するように形成される。第1の外壁14は、車両横方向軸7の方向で、第4の外壁17よりも長く延在する。好ましくは、第2の外壁15および第3の外壁16の傾斜は、自動車の内側輪郭に適合される。
【0034】
図5および図6は、特に、垂直リブまたはV字形リブによる破壊要素の好適な支持を示す。この支持の結果、効果が最適化される。破壊要素の使用は、プロファイルストラットのプレート状または開放型の設計の場合にも可能である。
【0035】
変形要素4のチャンバ13は、車両長手方向軸8の方向で周囲に対して開き、それにより、衝撃力の吸収時に、改良された変形または延びが可能である。
【符号の説明】
【0036】
2 変形クロスバー
3 プロファイルストラット
4 変形要素
6 垂直軸
9 第1の端部
10 第1の外面
11 破壊要素
23 車体構成要素
25 表面
26 第1の要素面
27 第2の要素面
図1
図2
図3
図4
図5
図6