特許第6247380号(P6247380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247380
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】血液採取搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/15 20060101AFI20171204BHJP
   A61B 5/151 20060101ALI20171204BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A61B5/14 300Z
   A61B5/14 300D
   A61B5/14 300C
   G01N33/48 C
   G01N33/48 S
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-509007(P2016-509007)
(86)(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公表番号】特表2016-518926(P2016-518926A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】US2014033939
(87)【国際公開番号】WO2014172247
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】61/811,918
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ エー.ゲルファント
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー ディー.フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー エム.ウィルキンソン
【審査官】 ▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−050100(JP,A)
【文献】 特開2011−025091(JP,A)
【文献】 特開2007−209747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145 − 5/157
G01N 33/49,33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液採取搬送装置であって、
流路、および、該流路と流体連通する出口ポートを有するランシングテープ、および、
該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、入口ポート、および、該入口ポートと流体連通するリザーバを有する搬送カートリッジ
を備え、
前記搬送カートリッジが密封壁を含む破断容易要素であってプラスチック材料で形成されている破断容易要素を介して前記ランシングテープに接続された状態で、前記入口ポートが前記出口ポートと流体連通し、および、
前記破断容易要素を前記密封壁から屈曲破断することによって前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記入口ポートが前記密封壁によって密封されて前記リザーバを密封する、
血液採取搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血液採取搬送装置において、
前記ランシングテープはランセット装置のためのターゲットを含む、血液採取搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の血液採取搬送装置において、
前記ランシングテープの前記ターゲットは前記流路と整列される、血液採取搬送装置。
【請求項4】
請求項2に記載の血液採取搬送装置において、
前記ランシングテープの前記ターゲットは円形のグラフィックインジケータである、血液採取搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の血液採取搬送装置において、
前記搬送カートリッジは前記リザーバと流体連通する搬送カートリッジ流路を含む、血液採取搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の血液採取搬送装置において、
前記搬送カートリッジ流路はサンプル安定剤を備える、血液採取搬送装置。
【請求項7】
請求項5に記載の血液採取搬送装置において、
前記搬送カートリッジは前記搬送カートリッジ流路と流体連通する分配バルブを含み、
前記搬送カートリッジ流路は前記分配バルブと前記リザーバの間に配置される、血液採取搬送装置。
【請求項8】
血液採取装置であって、
穿刺要素を有するランセット装置、および、
血液採取搬送装置を備え、該血液採取搬送装置が、
流路、該流路と流体連通する出口ポート、および、該流路と整列したターゲットを有するランシングテープであって、該ターゲットは前記ランセット装置の前記穿刺要素のためである、ランシングテープ、および、
該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、入口ポート、および、該入口ポートと流体連通するリザーバを有する搬送カートリッジを備え、 前記搬送カートリッジが密封壁を含む破断容易要素であってプラスチック材料で形成されている破断容易要素を介して前記ランシングテープに接続された状態で、前記入口ポートが前記出口ポートと流体連通し、および、
前記破断容易要素を前記密封壁から屈曲破断することによって前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記入口ポートが前記密封壁によって密封されて前記リザーバを密封する、
血液採取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の血液採取装置において、
前記ランシングテープの前記ターゲットは円形のグラフィックインジケータである、血液採取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の血液採取装置において、
前記搬送カートリッジは前記リザーバと流体連通する搬送カートリッジ流路を含む、血液採取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の血液採取装置において、
前記搬送カートリッジ流路はサンプル安定剤を備える、血液採取装置。
【請求項12】
請求項10に記載の血液採取装置において、
前記搬送カートリッジは前記搬送カートリッジ流路と流体連通する分配バルブを含み、
前記搬送カートリッジ流路は前記分配バルブと前記リザーバの間に配置される、血液採取装置。
【請求項13】
血液採取装置であって、
穿刺要素を有するランセット装置、
血液採取搬送装置であって、
流路、該流路と流体連通する出口ポート、および、該流路と整列したターゲットを有するランシングテープであって、該ターゲットは前記ランセット装置の前記穿刺要素のためである、ランシングテープ、および、
該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、入口ポート、および、該入口ポートと流体連通するリザーバを有する搬送カートリッジを備え、
前記搬送カートリッジが密封壁を含む破断容易要素であってプラスチック材料で形成されている破断容易要素を介して前記ランシングテープに接続された状態で、前記入口ポートが前記出口ポートと流体連通し、および、
前記破断容易要素を前記密封壁から屈曲破断することによって前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記入口ポートが前記密封壁によって密封されて前記リザーバを密封する、血液採取搬送装置、および、
前記ランセット装置および前記血液採取搬送装置と同一の大きさとされた区画をその中に有する包装材であって、該区画が、その中に前記ランセット装置および前記血液採取搬送装置を受け入れるように適合されている、包装材
を備えた血液採取装置。
【請求項14】
請求項13に記載の血液採取装置において、
前記包装材はブリスターパッケージを備える、血液採取装置。
【請求項15】
請求項13に記載の血液採取装置において、
前記ランシングテープは接着剤を該ランシングテープの下面上に含む、血液採取装置。
【請求項16】
細胞成分および血漿成分を有する血液サンプルのための血液分離装置であって、
前記血液サンプルを受け入れるように適合された血液採取搬送装置であって、
流路、および、該流路と流体連通する出口ポートを有するランシングテープ、および、
該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、入口ポート、および、該入口ポートと流体連通するリザーバを有する搬送カートリッジを備え、
前記搬送カートリッジが密封壁を含む破断容易要素であってプラスチック材料で形成されている破断容易要素を介して前記ランシングテープに接続された状態で、前記入口ポートが前記出口ポートと流体連通し、および、
前記破断容易要素を前記密封壁から屈曲破断することによって前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記入口ポートが前記密封壁によって密封されて前記リザーバを密封する、血液採取搬送装置、並びに、
前記搬送カートリッジを受け入れるように適合された受け入れポートを有する遠心分離機であって、該遠心分離機内に前記搬送カートリッジが受け入れられ且つ前記搬送カートリッジに回転力が加えられた状態で、前記血液サンプルの前記血漿成分が前記リザーバを介して前記細胞成分から分離される、遠心分離機
を備えた血液分離装置。
【請求項17】
請求項16に記載の血液分離装置において、
前記ランシングテープは接着剤を該ランシングテープの下面上に含む、血液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、血管アクセスデバイスおよび毛細血管アクセスデバイスとの使用に適合した装置、アセンブリ、および、システムに関する。より詳細には、本発明は、ポイントオブケア検査における使用のために生体サンプルを収集することに適合した装置、アセンブリ、および、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
採血は、血液の少なくとも一滴の、患者からの抜き取りを伴う一般的な医療処置である。血液サンプルは、一般的に、入院、在宅看護、および救急治療室の患者から、指穿刺、かかと穿刺、または静脈穿刺のいずれかによって採取される。血液サンプルはまた、静脈ラインまたは動脈ラインによって患者から採取することもできる。一旦収集されると、例えば、化学組成、血液学、および凝固を含む医学的に有用な情報を得るために、血液サンプルを分析することができる。
【0003】
血液検査により、疾患、ミネラル含有量、薬剤の有効性、および、臓器機能などの、患者の生理学的および生化学的状態を判定する。血液検査は、臨床検査室において、またはポイントオブケア患者の近くで行うことができる。ポイントオブケア血液検査の一例は患者の血中グルコースレベルのルーチン検査であり、これは、指穿刺による血液の抽出、および、診断ストリップまたはカートリッジへの血液の機械的な収集を含む。その後、診断用カートリッジは、多くの場合、該ストリップまたはカートリッジが挿入される関連機器を用いて血液サンプルを分析し、および、臨床医に、患者の血中グルコースレベルの読み取りを提供する。血液ガス電解質レベル、リチウムレベル、および、イオン化カルシウムレベルを分析する他のデバイスを利用することができる。他のいくつかのポイントオブケアデバイスは、急性冠症候群(ACS)および深部静脈血栓症/肺塞栓症(DVT/PE)のためのマーカーを特定する。
【0004】
ポイントオブケア検査および診断の急速な進歩にもかかわらず、血液採取技術は比較的変わっていない。血液サンプルはしばしば、針またはカテーテルアセンブリの基端端部に取り付けられた皮下注射針または真空チューブを使用して抜き取られている。いくつかの例では、臨床医は、既に挿入され血管に位置したカテーテルアセンブリから、挿入されたカテーテルを介して患者から血液を抜き出すためにカテーテル内に挿入された針および注射器を使用して、血液を収集する。これらの処置では、針および真空チューブを中間装置として利用し、採取した血液サンプルは、典型的には試験の前にそこから抜き取られ。よって、これらの処理は装置集約的であり、血液サンプルを取得し、準備し、検査する過程で複数の装置を利用する。それぞれの追加の装置は、検査処理の時間およびコストを増加させる。
【0005】
ポイントオブケア検査装置は、分析のために研究室に血液サンプルを送ることなく血液サンプルを検査することを可能にする。したがって、簡単な、安全な、再現性のある、および正確な処理をポイントオブケア検査装置に提供する装置を作ることが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、流路を有するランシングテープおよび該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジを有する、血液採取搬送装置などの血液採取搬送装置を提供する。該血液採取搬送装置は、皮膚と環境の両方への血液サンプルの曝露を減少させ、および、血液サンプルとサンプル安定剤の迅速な混合を提供するクローズドシステムを提供する。該サンプル安定剤は抗凝固剤であってもよく、または、例えば、RNA、タンパク質分析物、または他の要素などの血液中の特定の要素を保持するように設計された物質であってもよい。
【0007】
本発明の実施形態によれば、血液採取搬送装置は、流路を有するランシングテープ、および、該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、リザーバを有する搬送カートリッジを備え、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープに接続された状態で、前記リザーバは前記流路と流体連通し、および、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記リザーバは密封される。
【0008】
一構成では、前記ランシングテープはランセット装置のためのターゲットを含む。別の構成では、前記ランシングテープの前記ターゲットは前記流路と整列される。さらに別の構成では、前記ランシングテープの前記ターゲットは円形のグラフィックインジケータである。一構成では、前記搬送カートリッジは前記リザーバと流体連通する搬送カートリッジ流路を含む。別の構成では、前記搬送カートリッジ流路はサンプル安定剤を含有する。さらに別の構成では、前記搬送カートリッジは前記搬送カートリッジ流路と流体連通する分配バルブを含み、前記搬送カートリッジ流路は前記分配バルブと前記リザーバの間にある。一構成では、前記搬送カートリッジと前記ランシングテープの間に破断容易部分を含み、該破断容易部分を介して前記搬送カートリッジが前記ランシングテープに接続される。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、血液採取装置は、穿刺要素を有するランセット装置、および、血液採取搬送装置を含み、該血液採取搬送装置は、流路および該流路と整列したターゲットを有するランシングテープであって、該ターゲットが前記ランセット装置の前記穿刺要素のためである、ランシングテープ、および、該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、リザーバを有する搬送カートリッジを含み、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープに接続された状態で、前記リザーバは前記流路と流体連通し、および、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記リザーバは密封される。
【0010】
一構成では、前記ランシングテープの前記ターゲットは円形のグラフィックインジケータである。別の構成では、前記搬送カートリッジは前記リザーバと流体連通する搬送カートリッジ流路を含む。さらに別の構成では、前記搬送カートリッジ流路はサンプル安定剤を含有する。一構成では、前記搬送カートリッジは前記搬送カートリッジ流路と流体連通する分配バルブを含み、前記搬送カートリッジ流路は前記分配バルブと前記リザーバの間にある。別の構成では、前記搬送カートリッジと前記ランシングテープの間に破断容易部分を含み、該破断容易部分を介して前記搬送カートリッジが前記ランシングテープに接続される。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、血液採取装置などの生物学的流体採取装置は、穿刺要素を有するランセット装置、血液採取搬送装置であって、流路および該流路と整列したターゲットを有するランシングテープであって、該ターゲットが前記ランセット装置の前記穿刺要素のためである、ランシングテープ、および、該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、リザーバを有する搬送カートリッジを含み、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープに接続された状態で、前記リザーバは前記流路と流体連通し、および、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記リザーバは密封される、血液採取搬送装置、並びに、区画を有する包装材であって、該区画が、その中に前記ランセット装置および前記血液採取搬送装置を受け入れるような大きさとされ、および、ように適合されている、包装材を含む。
【0012】
一構成では、前記包装材はブリスターパッケージを含む。別の構成では、前記ランシングテープは接着剤を該ランシングテープの下面上に含む。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、血液分離装置などの、細胞成分および血漿成分を有する血液サンプルのための生物学的流体分離機は、前記血液サンプルを受け入れるように適合された血液採取搬送装置であって、流路を有するランシングテープ、および、該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジであって、リザーバを有する搬送カートリッジを含み、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープに接続された状態で、前記リザーバは前記流路と流体連通し、および、前記搬送カートリッジが前記ランシングテープから切り離された状態で、前記リザーバは密封される、血液採取搬送装置、並びに、前記搬送カートリッジを受け入れるように適合された受け入れポートを有する遠心分離機であって、該遠心分離機内に前記搬送カートリッジが受け入れられ且つ前記搬送カートリッジに回転力が加えられた状態で、前記血液サンプルの前記血漿成分が前記リザーバを介して前記細胞成分から分離される、遠心分離機を含む。
【0014】
一構成では、前記ランシングテープは接着剤を該ランシングテープの下面上に含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による血液採取搬送装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態による血液採取搬送装置の正面図である。
図3】破断容易部分で屈曲された搬送カートリッジを持つ、本発明の実施形態による血液採取搬送装置の斜視図である。
図4図1の4−4線に沿ってとった、本発明の実施形態による血液採取搬送装置の断面図である。
図5】搬送カートリッジがランシングテープから取り外された状態の、本発明の実施の形態に係る血液採取搬送装置の斜視図である。
図6】本発明の実施形態による、図5の搬送カートリッジの断面図である。
図7】本発明の実施形態によるランセット装置の斜視図である。
図8】本発明の実施形態によるランセット装置の分解斜視図である。
図9】本発明の実施形態による、図8のランセット装置の断面図である。
図10】本発明の実施形態による血液採取装置の立面図である。
図11】患者に固定されたランシングテープを持つ、本発明の実施形態による血液採取搬送装置の斜視図である。
図12】患者に固定されたランシングテープおよびランシングテープと整列したランセット装置を持つ、本発明の実施の形態に係る血液採取搬送装置の斜視図である。
図13】患者に固定されたランセット装置およびランシングテープを持つ、本発明の実施形態による断面図である。
図14】本発明の実施形態による、図13の搬送カートリッジの断面図である。
図15】本発明の実施形態による血液分離装置の斜視図である。
図16】本発明の実施形態による、図15の搬送カートリッジの断面図である。
図17】本発明の実施形態による、搬送カートリッジおよびポイントオブケア検査装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の前記並びに他の特徴および利点、並びにそれらを達成する方法がより明らかになり、開示自体は、添付図面と併せて、本開示の実施形態の以下の説明を参照することで理解されよう。
【0017】
対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に記載の例示は、本開示の例示的な実施形態を示し、このような例示を、いかなる方法においても本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0018】
以下の説明は、本発明を実施するために企図された記載された実施形態を当業者が製作するおよび使用することを可能にするために提供される。しかしながら、種々の修正、均等物、変形、および代替物は、依然として当業者には容易に自明であろう。このような任意の全ての変更、変形、均等物、および代替物は、本発明の精神および範囲内に入ることが意図される。
【0019】
以下の説明の目的のために、用語「上(upper)」、「下(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「横(lateral)」、「縦(longitudinal)」、および、それらの派生語は、それが図面において見定められる通りに本発明と関連するものとする。しかしながら、明白に反対に指定された場合を除いて、本発明は代替的な変形およびステップの順序をとり得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され且つ以下の明細書で説明される特定の装置およびプロセスは、本発明の例示的な実施形態にすぎないこともまた理解されるべきである。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は限定的なものと考えるべきではない。
【0020】
さまざまなポイントオブケア検査装置が、当該技術分野で知られている。このようなポイントオブケア検査装置は、検査片、ガラススライド、診断用カートリッジ、または、検査および分析のための他の検査デバイスを含む。検査ストリップ、ガラススライド、および、診断カートリッジは、血液サンプルを受けて、1つまたはもっと多い生理学的および生化学的状態について、その血液サンプルを検査するポイントオブケア検査装置である。分析のためにサンプルを研究室に送る必要なしに非常に少量の血液を治療の時点で分析する、カートリッジベースのアーキテクチャを用いる多くのポイントオブケア装置が存在する。このことにより、結果を得ることにおける時間を長期にわたって節約できるが、極めてルーチンの研究室環境に対する課題の異なるセットを作る。このような検査カートリッジの例として、Abbotグループオブカンパニーからのi−STAT(登録商標)検査カートリッジが含まれる。i−STAT(登録商標)カートリッジのような検査カートリッジは、化学物質や電解質、血液学、血液ガス濃度、凝固、または心臓マーカーの存在を含む、種々の状態の検査のために使用することができる。このようなカートリッジを用いた試験の結果は、迅速に臨床医に提供される。
【0021】
しかしながら、そのようなポイントオブケア検査カートリッジに提供されるサンプルは、現在はオープンシステムを用いて手動で収集されており、および、一貫性のない結果に、または、サンプル収集および試験プロセスの繰り返しを導くカートリッジの故障につながる手動の方法でポイントオブケア検査カートリッジに搬送され、それにより、ポイントオブケア検査装置の利点を否定する。したがって、サンプルを収集して、より安全で、再現性があり、且つ、より正確な結果を提供するポイントオブケア検査装置に搬送するためのシステムのニーズが存在する。そこで、本開示のポイントオブケア収集および搬送システムについて、以下で説明する。本開示のシステムは、ポイントオブケア検査装置の信頼性を、1)よりクローズドタイプの採取および搬送システムを組み込むこと;2)サンプルのオープンな曝露を最小限にすること;3)サンプルの品質を改善すること;4)使用の全体的な使いやすさを改善すること;および5)収集の時点でサンプルを分離することによって向上させる。
【0022】
図1〜6は、本発明の例示的な実施形態を示す。図1〜6を参照すると、本発明の血液採取搬送装置10などの血液採取搬送装置は、流路48を有するランシングテープ12、および、ランシングテープ12に取り外し可能に接続された搬送カートリッジ14を含む。本発明の血液採取搬送装置10は、血液サンプルの曝露を減少させ、および、血液サンプルとサンプル安定剤の迅速な混合を提供するクローズドシステムを提供する。
【0023】
図10は、本開示の例示的な実施形態を示す。図10を参照すると、本発明の血液採取装置20などの生物学的流体採取システムはキット22を含み、該キットは、ランセット装置24、流路48を有するランシングテープ12および取り外し可能にランシングテープ12に接続された搬送カートリッジ14を有する血液採取搬送装置10、および、区画68を有する包装材26を有し、該包装材は、その中にランセット装置24および血液採取搬送装置10を受け入れるような大きさとされ、および、そうするように適合されている。
【0024】
図15は、本開示の例示的な実施形態を示す。図15を参照すると、血液サンプルのための本開示の血液分離装置30は血液採取搬送装置10および遠心分離機32を含み、該血液採取搬送装置は、血液サンプルを受けるように適合されており、流路48を有するランシングテープ12および該ランシングテープに取り外し可能に接続された搬送カートリッジ14を有し、該遠心分離機は、搬送カートリッジ14を受け入れるように適合された受け入れポート74を有し、そのために、遠心分離機32内に搬送カートリッジ14が受け入れられ且つ搬送カートリッジ14に回転力が加えられた状態で、血液サンプルの血漿成分が細胞成分から分離される。
【0025】
図1〜5を参照すると、ランシングテープ12は一般的に、長手方向部分40、長手方向部分40から延びている半径方向部分42、半径方向部分42上のターゲットまたはグラフィックインジケータ44、ターゲット44と流体連通する入口ポート46、ランシングテープ12内に一体的に形成された、入口ポート46と流体連通するランシングテープ流路48、および、ランシングテープ流路48および搬送カートリッジ14の部分と流体連通する出口ポート50を、下で説明するように含んでいる。図1を参照すると、ランシングテープ12はまた、上面45および下面47を含んでいる。下面47は、図11および12に示すように、ランシングテープ12を患者に取り外し可能に接着するための機構を含む。
【0026】
一実施形態において、下面47は接着剤を含む。下面47は、ランシングテープ12を血液サンプルがアクセスされる患者の皮膚表面Sに固定できるように、接着剤を含む。一実施形態において、下面47の接着剤は、ランシングテープ12を患者の身体の皮膚表面S上に配置する前に取り除かれる粘着包帯と同様の剥離層によって保護されている。ランシングテープ12の下面47にいくらかの厚さを提供し、および、接着剤シールの安定性を向上させるのに役立つように、ヒドロゲルまたは他の層(図示せず)を含めることができる。また、一実施形態において、接着剤は、塗装工のテープ技術と同様にしてより液体漏れのない密封を作るための化学的性質を含むことができ、ここで、塗料自体からの濡れが接着剤と化学反応を起こし、塗料がテープの下に浸入することを防ぐための、より水漏れのないバリアを作り。重要なことには、接着剤は、患者の皮膚表面Sへのランシングテープ12の適切な接着を提供し、および、より良いサンプルを凝固検査のためにもたらす皮膚接触を最小化する。ランシングテープ12の接着剤は、下の創傷に端を発する血液がランシングテープ12内へ傷口を通って通過し、血液採取搬送装置10の内部で収集されるように、ランセット装置24によって穿刺され得る。一実施形態において、ランシングテープ12は、2つの層、皮膚と接触している接着剤層を有する底部、および、発せられている血液を受ける上部を含む。本発明の接着剤は、漏れ防止機構を含む。例えば、一実施形態において、自己密封または自己回復性ポリマーが使用される。他の実施形態において、ランシングテープ12の頂部はドーム形状のブリスターを含み、これは、ランセットの下で圧縮するが、ランシング動作の後でその元の形状に急いで戻り、それにより、血液が発展する空間を作成し、次いで、毛細管現象により血液採取搬送装置10の残りの部分へ吸って移動させる。他の実施形態において、ドーム形状のブリスターの元の形状への急戻は、創傷から血液を引き抜くのに役立つ真空力を可能にする。
【0027】
ランシングテープ12のターゲット44は、ランセット装置24のための位置合わせおよび照準機構を、図12に示すように提供する。一実施形態において、ターゲット44は円形の形状を有している。他の実施形態において、ターゲット44は、正方形または長方形の断面形状のような他の多角形断面形状を有することができる。図1および図2に示すように、ランシングテープ12のターゲット44は、入口ポート46およびランシングテープ流路48に対し流体連通しおよび位置合わせされている。
【0028】
図1〜6を参照すると、搬送カートリッジ14は、大略して、ランシングテープ12の出口ポート50と流体連通する入口ポート52、入口ポート52と流体連通する入口リザーバ56、入口リザーバ56と流体連通する搬送カートリッジ流路58、搬送カートリッジ流路58と流体連通する出口リザーバすなわち分配バルブ60、出口リザーバ60と流体連通する出口ポート54、出口ポート54と連通して配置されたバルブ62、および、エンドキャップ64を含む。搬送カートリッジ14は、血液サンプルとサンプル安定剤との受動的かつ迅速な混合を提供するために、サンプル安定剤を含むように適合されている。サンプル安定剤は抗凝固剤であってもよく、または、例えば、RNA、タンパク質分析物、または他の要素などの血液中の特定の要素を保持するように設計された物質であってもよい。一実施形態において、サンプル安定剤は搬送カートリッジの流路58内に備えられる。他の実施形態において、サンプル安定剤は、入口ポート52または入口リザーバ56などの、搬送カートリッジ14の他の領域に備えられる。
【0029】
一実施形態において、搬送カートリッジ流路58は、細胞成分36および血漿成分38を有する血液サンプル34(図14および16)の効率的な混合を促進するための蛇行形状を含む。以下に説明するように、遠心分離器32は、搬送カートリッジ14に加えられて、血漿成分38を細胞成分36から搬送カートリッジ流路58を介して分離するための回転力を提供する。他の実施形態において、搬送カートリッジ流路58は、血液サンプルの効率的な混合を促進するための他の形状を含む。
【0030】
バルブ62は、血漿成分を搬送カートリッジの出口リザーバ60内に密封するための閉じた位置と、血漿成分が出口ポート54およびエンドキャップ64を通って、図17に示すようなポイントオブケア検査装置90へ流れることを可能にするための開いた位置との間で遷移可能である。
【0031】
図1〜5を参照すると、搬送カートリッジ14がランシングテープ12に、破断容易要素すなわち破断容易部分16を介して、取り外し可能に接続されている。搬送カートリッジ14がランシングテープ12に接続された状態で、搬送カートリッジ14の入口リザーバ56および入口ポート52は、ランシングテープ12のランシングテープ流路48および出口ポート50と流体連通している。破断容易要素16は、破断容易要素密封壁66を含む。図5を参照すると、ランシングテープ12から搬送カートリッジ14を取り外すために破断容易要素16が破断された後、破断容易要素密封壁66は、搬送カートリッジ14の入口ポート52を密封する。ランシングテープ12から搬送カートリッジ14を取り外すために破断容易要素16が破断された後、ランシングテープ12の出口ポート50もまた密封されて、ランシングテープ流路48を密封する。
【0032】
図10を参照すると、本発明の血液採取装置20はキット22および包装材26を含み、キット22は、ランセット装置24、および、流路48を有するランシングテープ12およびランシングテープ12に取り外し可能に接続された搬送カートリッジ14を有する血液採取搬送装置10を有し、並びに、包装材26は、その中にランセット装置24および血液採取搬送装置10を受け入れるような大きさとされ、および、そうするように適合された大きさの区画68を有している。包装材26は、区画68を画定する本体または壁を含む。一実施形態において、包装材26の本体は、第1の区画70であって、その中に血液採取搬送装置10を受け入れる大きさとされ、且つ、そうするように適合された第1の区画70、および、第2の区画72であって、その中にランセット装置24を受け入れる大きさとされ、且つ、そうするように適合された第2の区画72を画定する。一実施形態において、包装材26はブリスターパッケージを備える。一実施形態において、シールカバーが包装材26の上方に、その中に血液採取搬送装置10およびランセット装置24を密封するように固定され、すなわち、シールカバーは、包装材26に対して実質的に不浸透性のエンクロージャを提供し、漏れ防止エンクロージャおよび保護エンクロージャを提供し、包装材26内に収容された血液採取搬送装置10およびランセット装置24の内容物を保護し、および/または、密封された滅菌環境をパッケージ内に維持する。包装材26のシールカバーは、温度、圧力、および湿度レベルの範囲で十分な密封を提供する。一実施形態において、不正開封の証拠もまた、包装材26の内容物に対する不正を示すための、シールカバーおよび/または包装材26の部分に固定された引き裂きストリップまたは他の指示手段の使用によって提供される。
【0033】
図7、8、9、12、および13を参照すると、本開示のランセット装置24が示されている。一実施形態において、ランセット装置24は、接触活性化ランセット装置であってもよい。他の実施形態において、ランセット装置24は、どんなタイプのランセット装置であってもよい。他の実施形態において、ランセット装置24は、ターゲット44またはランシングテープ12のドーム内に含まれるように寸法決めされてもよい。このように、ユーザーは、ランセットを活性化し、患者の皮膚を貫通するように、ターゲット44を押し下げることができる。
【0034】
一実施形態において、ランセット装置24は、大略して、ハウジング100、ハウジング100に移動可能に付随したシールド102、および、その中に配置されたランセット構造104を含む。後述するように、シールド102は、ハウジング100に対し同軸に移動可能に付随し、部分的にハウジング100内に配置され、ランセット構造104がシールド102内部に、シールド102に対し軸方向すなわち長手方向に移動可能に収容された状態で、部分的に外側へ、ハウジング100から延びている。ランセット構造104は穿刺要素106を含み、ランセット構造104は、少なくとも部分的にハウジング100内に配置され、および、穿刺要素106がハウジング100内に保持されている予備作動位置(図9)と穿刺要素106の少なくとも一部がハウジング100の前方端部110を通って延びている穿刺位置(図13)の間の移動に適合されている。
【0035】
ハウジング100は、細長い本体を画定し、望ましくは、末端または前方端部110を画定する本体112と、基端または後方端部116を画定する後部キャップ114で形成される。ハウジング100の内側部分は、概して開いており、内部キャビティ118を画定し、内部キャビティ118は後方端部116において後部キャップ114により閉じており、および、前方端部110を通る開口部120を備え、そこを通ってシールド102が延びている。本体112および後部キャップ114を一体的に形成してもよい。別のものとして、本体112および後部キャップ114は、互いに固定されてハウジング100を形成する別個の要素であってもよく、それは、ランセット装置24の組み立てにおいて助けになる。本体112および後部キャップ114は、適切な接着剤によって一緒に固定してもよく、または、それらの間に、摩擦嵌合またはスナップフィット構造などの機械的取り付けを提供する相互係合構造を含むことができる。代替実施形態において、本体112および後部キャップ114は一体的に形成された構造であってもよいので、一つのコンポネントとして一緒に成形することができる。
【0036】
図7および図8に示すように、本体112および後部キャップ114によって画定されるハウジング100は反対側の側部121、122を有し、これらはそれぞれ、フィンガーグリップくぼみ123などの、くぼんだへこみまたは凹部として形成され得る、ユーザーの指に適合する曲面を含むことができる。2つの反対側のフィンガーグリップくぼみ123をハウジング100上に備え得る一方、ハウジング100内に形成された唯1つのフィンガーグリップくぼみ123を本発明に従って備え得ることを理解できよう。さらに、後部キャップ114の先端面など、ハウジング100の後方端部116はまた、後部フィンガーグリップくぼみ124などの、くぼんだへこみまたは凹部として形成され得る、ユーザーの指に適合する曲面も含むことができる。側部のフィンガーグリップくぼみ123および後部のフィンガーグリップのくぼみ124は、ランセット装置24を操作する際、および、血液の送出、抜き取り、または収集処置においてランセット装置24を使用する際にユーザーを支援するようにユーザーの指先に実質的に合致した人間工学的形状の曲面を提供し、および、複数の指グリップ位置をユーザーのために提供することができる。一実施形態において、ハウジング100は、ハウジング100とユーザーの指先の間のグリップを概して向上させるための、ハウジング100に沿って延在し且つハウジング100と一体に形成された複数の長手方向リブ125およびトラフ126などの構造をさらに含むことができ、それは、ユーザーに彼または彼女の指先を配置する場所を指示するための視覚および触覚の手がかりをユーザーに提供することができる。
【0037】
シールド102は、開口部120から外側へ、ハウジング100の前方端部110を通って延びる。図9および図13に示すように、シールド102は、前方端部132と後方端部134の間に延びたシールド体130であって、それを通って延在する内部キャビティ136を画定するシールド体130を有する、概して円筒形の中空構造である。シールド体130の前方端部132は、そこを通る前方開口部140を含む前方端部壁138を画定し、ユーザーによってランセット装置24が作動されたときに、そこを通ってランセット構造104の穿刺要素106が延在する。前方端部壁138は、一般に、穿刺要素によって穿刺されるべき、ユーザーの身体上の意図した領域と接触するための開口部140の周りの小さな接触領域を画定する。シールド102は、ハウジング100内で軸方向にまたは長手方向に移動可能である。シールド102およびハウジング100は、ハウジング100を通してシールド102を案内する、対応するガイド面を含んでいてもよい。
【0038】
ランセット装置24は、ハウジング100内に配置された、シールド102を通って延びるランセット構造104をさらに含む。図9および図13に示すように、ランセット構造104は、ランセット108の形態で示された穿刺要素106であって、その前方端部において穿刺端部109を画定する穿刺要素106を含む。ランセット構造104は、シールド体130の内部キャビティ136を通る軸方向または長手方向の移動であって、穿刺端部109をシールド体130内に維持した状態での初期の装備位置すなわち予備作動位置と穿刺端部109がシールド体130の前方開口部140を超えて延びる穿刺位置の間の移動に適合されている。穿刺端部109は、患者の皮膚を穿刺するように適合され、および、先のとがった端部、ブレードの端部などを画定することができる。穿刺端部109は、特定の方向に配向した、ブレードの先のとがった端部など、好ましい配向方向を含むことができる。
【0039】
図9および図13に示すように、保持ハブ150が、シールド体130の後方端部134に備えられている。保持ハブ150は、シールド体130の後方端部134内に配置または保持された別個の保持構造として提供される。一実施形態において、シールド体130は、保持ハブ150を支持しおよび位置決めしてアセンブリ内で補助するための面を含むことができる。他の実施形態において、保持ハブ150は、シールド体130の上に直接、成形または形成され得る。
【0040】
保持ハブ150は、ハウジング100内に引き込まれた、初期装備位置におけるランセット構造104を保持するためのレバー構造152を、図9に示すように画定する。保持ハブ150およびランセット構造104は、保持ハブ150がランセット構造104をハウジング100内で初期装備位置に保持するように、相互に締まり嵌め係合している。
【0041】
また、レバー要素152は、ハウジング100内に画定された構造との係合に接触するように適合される。例えば、ハウジング100の後部キャップ114は、その中に延在する構造であって、一体に形成された、少なくとも1つの内側側壁上に、望ましくはその対向する2つの内側側壁上に延在する内部コンタクト128などを、図9および図13に示すように含むことができる。各内部コンタクト128は、レバー要素152の接触面との係合に接触するための係合面129であって、カム面を形成する係合面129を含む。このようにして、内部コンタクト128のペアはレバー要素152と係合することができ、それによって、レバー要素152の旋回運動中に連続的なカム様接触面を提供する。
【0042】
ランセット構造104のランセット装置24を通る移動は、駆動ばね160により提供される付勢力によって達成される。駆動ばね160は、穿刺位置に向けて装置を貫いてランセット構造104を駆動するためにランセット構造104に対し付勢力を及ぼすように適合しており、および、ハウジング100の後方端部とランセット構造104の間に配置され得る。ランセット構造104が装備位置にあるとき、駆動ばね160は、ハウジング100の後方端部とランセット構造104の間などでランセット構造に対して力を及ぼし、ランセット構造104を穿刺位置に向けて付勢する。
【0043】
図9および図13を参照すると、引き込みばね162を、ランセット装置24の前方端部に、ランセット構造104が軸方向に穿刺位置へ移動された後でランセット構造104をシールド体130内に引き込むために備えることができる。引き込みばね162は、ランセット構造104の前方面とシールド体130の前方端部壁138内の内面との間に延在する。引き込みばね162は、典型的には圧縮バネであり、圧縮された状態にあるときにエネルギーを貯蔵することができる。
【0044】
図7および図8を参照すると、ランセット装置24は、ランセット装置24をその使用前に保護的に覆う保護カバー170をさらに含んでもよい。保護カバー170は、ランセット装置24の前方端部に付随したタブ部材172を含むことができ、それは、シールド体130の前方端部壁138の無菌性を維持する。タブ部材172は、前方タブ部材174および従属するスカート176を含むことができる。従属するスカート176は、シールド体130の前方端部132と協働するように適合され、前方端部132を概ね、包含または包囲する。従属するスカート176はまた、ハウジング100の本体112の前方端部110と接触する。このように、タブ部材172は、本体112の前方開口部120およびシールド体130の前方開口部140を囲む。また、このような構成は、本体112およびシールド体130のそれぞれの前方端部を互いに対して固定された関係に維持し、これにより、ランセット装置24の早すぎる活性化を引き起こす可能性がある、それらの間の移動を防止する。一実施形態において、保護カバー170の後の部分178は、穿刺要素106の少なくとも一部を包含するように、シールド体130内に延びていてもよい。
【0045】
本発明のランセット装置の各構成要素は全て、典型的には、医療用グレードのプラスチック材料などの、成形プラスチック材料で形成されている。ランセット108は、皮膚を穿刺するために適合された任意の適切な材料から構成することができ、および、典型的には、ステンレス鋼のような外科的グレードの金属である。
【0046】
図7〜9および図13を参照し、ランセット装置24の使用について、ここで説明する。ランセットアセンブリを使用のために準備するために、ユーザーは、指と親指の間などに反対側の側部121、122上を把持し、および、保護カバー170を図8に示すように前方端部から取り外し、それにより、ハウジング100の本体112の前方端部から延びているシールド体130を露出させる。シールド体130の前方端部壁138は、次に、図11〜13に示したような患者の皮膚表面Sなどの、血液の流れを開始することが望まれているユーザーの身体または他の人の身体上の位置と接触され得る。
【0047】
本体に対し一旦、配置されると、ユーザーは、シールド体130を肌面Sに対し強制する下向きの力を、ハウジング100上に及ぼす。保持ハブ150はシールド体130の後方端部134に隣接していることから、後部キャップ114に向かうシールド体130のこのような変位が、後部キャップ114に向かう、保持ハブ150の対応する動きを生じさせる。このような動きは、駆動ばね160を圧縮させる。駆動ばね160のこの圧縮は、駆動ばね160に、ランセット構造104を軸方向に前方へシールド体130を通って穿刺位置へ推進するのに十分な付勢力を供給し、それによって、ランセット構造104を装備位置に備える。しかしながら、この時点で、ランセット構造104は依然として、穿刺端部109が保持ハブ150とランセット構造104の間の締まり嵌め係合によってシールド体130内に引き込まれるように維持されている。
【0048】
保持ハブ150のそのような後方への動きは、レバー要素152の対応する接触面と係合しおよび共同で動作するように、内部コンタクト128の係合面129のカム面を後部キャップ114内で生じさせる。従って、対応するカム接触面は、ランセット装置24のためのアクチュエータ要素を提供する。このような係合および共同動作は、シールド体130を通じてランセット構造104を解放するように、レバー要素152を旋回させる。最終的に、そのような旋回は、図13に示すように、保持ハブ150とランセット構造104の間の締まり嵌め係合が解除される点まで、レバー要素152を旋回させる。駆動ばね160の付勢力は、ランセット構造104を下方へ推進して、後部キャップ114から軸方向にハウジング100およびシールド体130を通って遠ざける。
【0049】
図15を参照すると、細胞成分36および血漿成分38を有する血液サンプル34のための、本発明の血液分離装置30(図14および16)は、血液サンプルを受けるように適合され、および、流路48を有するランシングテープ12およびランシングテープ12に取り外し可能に接続された搬送カートリッジ14を有する血液採取搬送装置10、並びに、搬送カートリッジ14を受けるように適合された受け入れポート74を有する遠心分離機32を含み、そのために、遠心分離機32内に搬送カートリッジ14が受け入れられ且つ搬送カートリッジ14に回転力が加えられた状態で、血液サンプルの血漿成分が細胞成分から分離される。遠心分離機32は、搬送カートリッジ14、基部すなわち底部78、ヒンジ式部分80によって移動可能に基部78に接続された上蓋部76、および、基部78内に収容される回転力要素82を受けるように適合された複数の受け入れポート74を含む。上蓋部76は、搬送カートリッジ14を図15に示すように受け入れポート74内に配置することができる開放位置と閉鎖位置の間で遷移可能である。カートリッジ14が遠心分離機32内に受け入れられた状態で、回転力が搬送カートリッジ14に印加され、以下でより詳細に説明するように、血漿成分38を細胞成分36から分離する。
【0050】
図10〜17を参照し、本発明の血液採取搬送装置の使用について、ここで説明する。図10〜12を参照すると、部位を選択し次第、臨床医はランシングテープ12を、それに接続された搬送カートリッジ14と一緒に、包装材26から取り外す。臨床医は、次いで、図11および12に示されるように、選択した採取部位の上にランシングテープ12を接着する。ランセット装置24のためのターゲットは、ランシングテープ12上に備えられたターゲット44で強調表示される。臨床医は、次いで、ランセット装置24の先端をターゲット44の上に配置し、および、ランセット装置24を活性化して皮膚Sを穿刺するために、その部位に対して矢印Aの方向に押圧する。ターゲット44は、ランシングテープ12のランシングテープ流路48を介して搬送カートリッジ14の入口リザーバ56へ毛細管現象によって血液を運ぶための、流路48を通る統合された流れに対応する。
搬送カートリッジ14は、曲がりくねった(または他の)流路58内に、サンプルの効率的な混合を促進するための抗凝固剤を含んでいる。搬送カートリッジ14の入口リザーバ56が充填されると、臨床医は、ランシングテープ12と搬送カートリッジ14の間の破断容易要素16をポキッと折ることができる。破断されたときは、搬送カートリッジ14の流路58は外部環境から密封される。
【0051】
図15を参照すると、処理の次のステップは、特に搬送カートリッジ14のために設計されたポイントオブケア遠心分離機32への手動挿入を伴う。搬送カートリッジ14の分配バルブ60内に血漿成分38が収集されるように、血液は素早くスピンされ、および、小容量のため数秒以内に分離される。搬送カートリッジ14は、手動で遠心分離機32から取り外される。その後、図17を参照すると、搬送カートリッジ14の分配バルブ60内の血液サンプルの血漿成分は、分配バルブ60をウェルまたはポイントオブケア検査装置90の受け入れポート92へ押し込むことによって、所望の試験を実施するために、搬送カートリッジ14の出口ポート54を介して分配される。分配バルブ60は、バルブ60が上述したように押下されるまで漏れを回避するためのバルブ62を有している。搬送カートリッジ14は、次いで廃棄することができ、或いは、追加の検査処置のために保持することができる。また、遠心分離機32が読み取ることができるバーコードラベルまたはRFIDタグを、様々な情報をシステムに提供するために、搬送カートリッジ14上に備えてもよい。
【0052】
従来のシステムに対する本発明のいくつかの利点は、それがサンプルの曝露を減少するクローズドシステムであること、それがサンプルの受動的かつ迅速な抗凝固剤との混合を提供すること、それがサンプルを搬送することなくサンプルの分離を容易にすること、および、それが純粋な血漿をポイントオブケア検査装置90に搬送できることである。
【0053】
本発明の血液採取搬送装置はまた、全血サンプルを入力として用いるポイントオブケア検査装置に血液サンプルを搬送するために使用することができる。本発明の血液採取搬送装置のすべてのアプリケーションが、血漿を遠心分離によって作成することを必要とするわけではない。
【0054】
本開示は、例示的な設計を有するものとして説明してきたが、本発明はさらに、本開示の精神および範囲内で変更することができる。本出願はしたがって、その一般原則を使用して、本開示の任意のバリエーション、用途、または適応をカバーすることを意図している。さらに、本出願は、当技術分野で公知または慣行内に入るような本開示からの逸脱であって本開示が関係しおよび添付の特許請求の範囲の範囲内に入る逸脱をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17