(54)【発明の名称】振込制御システム、金融機関システム、会計システム、振込制御システムの制御方法、金融機関システムの制御方法、会計システムの制御方法、及びプログラム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金融機関システムの前記送信手段は、前記発行手段が発行した前記振込依頼人識別情報を、前記発行指示をしたユーザに対しては送信せずに前記会計システムに対してのみ送信する、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の振込制御システム。
前記会計システムは、前記会計システムにログイン中のユーザによる所定の操作を受け付けた場合に、当該ユーザを前記金融機関システムにアクセスさせるアクセス制御手段、
を更に含み、
前記金融機関システムの前記発行手段は、前記ログイン中のユーザが前記会計システムを経由してアクセスした場合に、当該会計システムを経由した振込の実行に対する承諾を含む前記発行指示を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の振込制御システム。
前記会計システム又は前記金融機関システムは、前記振込依頼人識別情報を利用した振込を、当該振込依頼人識別情報により識別されるユーザの前記会計システムへのログイン状況に基づいて制限する状況制限手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の振込制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.振込制御システムの全体構成]
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る振込制御システムSの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、例えば、振込制御システムSは、金融機関システム1と会計システム2とを含む。本実施形態では、複数の会計システム2が存在する場合を説明するが、後述する変形例のように、会計システム2は1つであってもよい。金融機関システム1と会計システム2とは、インターネットなどのネットワークを介してデータ送受信可能である。
【0009】
金融機関システム1は、銀行や信用金庫などの金融機関が管理するシステムであり、少なくとも1つのコンピュータを含む。金融機関システム1は、各ユーザの口座がある金融機関のシステムである。なお、口座があるとは、金融機関に口座を開設済みであることを意味する。別の言い方をすれば、ユーザは、金融機関に口座を保有しており、金融機関は、各ユーザの口座を管理している。また、ユーザは、法人であってもよいし、個人(個人事業主を含む)であってもよい。
【0010】
例えば、金融機関システムは、サーバコンピュータである金融機関サーバ10を含む。金融機関サーバ10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を含む。制御部11は、例えば、一又は複数のマイクロプロセッサを含む。記憶部12は、例えば、RAM等の主記憶部やハードディスク等の補助記憶部を含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。通信部13は、例えば、ネットワークカードを含む。通信部13は、インターネットやLANなどのネットワークを介して外部機器とのデータ送受信が可能である。
【0011】
会計システム2は、経費精算や給与振込などの会計業務を支援するシステムであり、少なくとも1つのコンピュータを含む。会計システム2は、複数のユーザが利用するシステムである。例えば、会計システム2は、場所を問わず利用可能なクラウド型の会計システムであってもよい。例えば、会計システム2は、サーバコンピュータである会計サーバ20を含む。会計サーバ20は、制御部21、記憶部22、及び通信部23を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。
【0012】
図1に示すように、振込制御システムSは、複数のユーザ端末30とネットワークを介してデータ送受信可能である。ユーザ端末30は、振込制御システムSのユーザが操作するコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ又は携帯端末(例えば、スマートフォンやタブレット型端末)である。ユーザ端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35を含む。制御部31、記憶部32、及び通信部33のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部34は、入力デバイスであり、例えば、タッチパネルやマウスなどのポインティングデバイス又はキーボードである。表示部35は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0013】
例えば、各ユーザは、金融機関システム1の利用登録を完了しており、金融機関システム1にログインするためのアカウント(以降、金融機関ユーザアカウントという。)が発行されている。また例えば、各ユーザは、自身が利用する会計システム2の利用登録も完了しており、会計システム2にログインするためのアカウント(以降、会計ユーザアカウントという。)が発行されている。なお、ユーザは、全ての会計システム2を利用する必要はなく、少なくとも1つの会計システム2を利用すればよい。また、ユーザが複数の会計システム2を利用する場合には、目的に応じて会計システム2を使い分けてもよい。更に、ユーザは、ユーザ端末30を操作することにより、例えば、金融機関システム1が提供するインターネットバンキングサービスを利用したり、会計システム2が提供する会計業務支援サービスを利用したりすることができる。ユーザは、これらのサービスをウェブブラウザ上で利用してもよいし、金融機関システム1及び会計システム2の各々が配信するアプリケーション上で利用してもよい。
【0014】
なお、記憶部12,22,32に記憶されるものとして説明するプログラムやデータは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体(例えば、USBメモリ又はSDカード)に記憶されたものが各コンピュータに供給されるようにしてもよいし、ネットワークを介して各コンピュータに供給されるようにしてもよい。また、上記説明した各コンピュータのハードウェア構成は、上記の例に限られず、例えば、情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、SDカードスロット)、又は、外部機器と直接的に通信するための入出力部(例えば、USB端子)が備えられていてもよい。
【0015】
[2.振込制御システムが実行する処理の概要]
次に、振込制御システムSが実行する処理の概要を説明する。本実施形態では、金融機関システム1と会計システム2は互いに提携しており、会計システム2の会計処理に係る振込をシームレスかつリアルタイムに実行するサービス(以降、提携振込サービスという。)を、ユーザに提供できるようになっている。
【0016】
図2及び
図3は、提携振込サービスの概要を説明するための画面遷移図である。
図2に示すように、ユーザは、ユーザ端末30を操作して会計システム2にアクセスすると、会計システム2のログイン画面G1が表示部35に表示される。ユーザが、会計ユーザアカウントとパスワードを入力して会計システム2にログインすると、会計システム2が提供する各種サービスを利用するためのメニュー画面G2が表示部35に表示される。メニュー画面G2に示すように、例えば、ユーザは、経費精算や給与振込に関する業務支援サービスを利用することができる。
【0017】
本実施形態では、ユーザは、メニュー画面G2から、提携振込サービスの利用を申し込むことができるようになっている。例えば、ユーザが、メニュー画面G2の「提携振込申込」のボタンを選択すると、会計システム2から金融機関システム1へのリダイレクト処理が実行され、金融機関システム1のログイン画面G3が表示部35に表示される。ユーザが、金融機関ユーザアカウントとパスワードを入力して金融機関システム1にログインすると、提携振込サービスに必要な情報を発行したり、提携振込サービスの利用規約を確認したりするための発行指示画面G4が表示される。
【0018】
本実施形態では、ユーザは、提携振込サービスを利用するために、振込依頼人識別情報の一例であるMid(Merchant identification)という情報を発行する必要がある。例えば、ユーザが、発行指示画面G4の利用規約に同意した上で「はい」ボタンを選択すると、
図3に移り、ユーザ専用のMidが発行されたことを示す発行完了画面G5が表示される。発行完了画面G5に示すように、本実施形態では、利用申込を受け付けたことはユーザに通知されるが、Midが具体的に何であるかはユーザに通知されないようになっている。金融機関システム1は、提携振込サービスの利用申込を受け付けた会計システム2に対してのみ、発行したMidを通知することになる。
【0019】
提携振込サービスは、Midの発行後すぐに利用可能となってもよいが、発行完了画面G5に示すように、本実施形態では、Midに利用開始日が設定されている。このため、ユーザは、自身に対応するMidの利用開始日が訪れるまでは、提携振込サービスを利用することができず、利用開始日が訪れた後に、提携振込サービスを利用できるようになる。例えば、ユーザが提携振込サービスを申し込んだとしても、金融機関の人手が足りないなどの業務的な問題や、金融機関システム1のシステム的な問題(例えば、バッチ実行タイミングが合わない)によって、即時に提携振込サービスを利用開始できず、時間がかかってしまうことがある。また、ユーザからしても、提携振込サービスの前後に、振込元の口座が他の金融機関から切り替わる可能性がある(もしくは、口座を開設していないユーザが提携振込サービスの申込と同時に口座開設申込をする可能性がある)ので、そのための事前準備をする時間が必要となることがある。この点、実際に提携振込サービスが利用可能になる日やユーザが利用を開始したい日まで、金融機関システム1がMidの発行を待機し、その後にMidを発行して会計システム2に送信すると、システム上の処理の都合などにより、その後すぐに提携振込サービスを利用することができない可能性もある。このため、本実施形態では、金融機関システム1は、Midと利用開始日を事前に会計システム2に送信しておくことで、迅速な提携振込サービスの利用を可能としている。即ち、Midの利用開始日を設定し、あえて即時の利用開始とはしないことで、金融機関側からすれば、提携振込サービスの利用開始までに業務やシステムの処理を完了させる猶予期間を設けることができ、ユーザ側からすれば、振込元の口座や会計業務の内容を切り替える準備期間を設けることができるようにしている。
【0020】
ここでは、ユーザが法人であり、当該法人には、複数の従業員がいる場合を説明する。そして、法人であるユーザが、従業員の経費を振り込む場面を例に挙げて、提携振込サービスの利用方法を説明する。例えば、法人の会計担当者は、法人アカウントをユーザとして会計システム2にアクセスでき、他の従業員は、法人アカウントに紐づく子アカウントで会計システム2にアクセスできる。以降では、会計担当者が法人アカウントをユーザとして会計システム2にアクセスした場合の操作を説明する。
【0021】
例えば、メニュー画面G2からユーザが所定の操作を行うと、従業員が申請した経費を承認するための経費精算画面G6が表示部35に表示される。ユーザは、経費精算画面G6の「承認」ボタンを選択することによって、経費申請を承認することができる。経費申請が承認されると、経費に係る振込を実行するための振込依頼画面G7が表示部35に表示される。なお、ユーザは、従業員の口座に関する情報を予め会計システム2に登録しておくようにしてもよいし、振込依頼画面G7から入力できるようにしてもよい。
【0022】
ユーザが、振込依頼画面G7の「はい」ボタンを選択すると、会計システム2から金融機関システム1に対して、ユーザのMidとともに、承認した経費に係る振込内容(例えば、従業員の口座に関する情報や振込金額など)が送信される。金融機関システム1は、受信したMidの正当性を確認すると、受信した振込内容に基づいて、従業員に対する経費の振込を実行する。振込は、他行宛ての振込であってもよいし、当行内での振込であってもよい。その後、ユーザ端末30では、振込が完了したことを示す振込完了画面G8が表示部35に表示され、従業員への経費支払が完了する。即ち、金融機関とユーザとの間で、電話やFAXなどによる振込の確認作業を要することなく、振込がリアルタイムで完了する。
【0023】
以上のように、本実施形態の振込制御システムSは、各ユーザに対し、当該ユーザ専用のMidの正当性の確認をもって実行される提携振込サービスを提供することによって、振込のセキュリティを維持しつつ、シームレスかつリアルタイムな振込を実現して振込時のユーザの手間を省くようになっている。以降、振込制御システムSの構成の詳細について説明する。
【0024】
[3.振込制御システムにおいて実現される機能]
図4は、振込制御システムSにおいて実現される機能を示す機能ブロック図である。ここでは、金融機関システム1において実現される機能と、会計システム2において実現される機能と、を順番に説明する。なお、本実施形態では、複数の会計システム2が存在するが、各会計システム2の機能は同様のため、
図4では、会計システム2を1つのみ示している。
【0025】
[3−1.金融機関システムにおいて実現される機能]
図4に示すように、金融機関システム1では、データ記憶部100、発行部101、送信部102、判定部103、及び振込実行部104が実現される。なお、本実施形態では、これら各機能が金融機関サーバ10によって実現される場合を説明するが、金融機関システム1に含まれる他のコンピュータによって実現されてもよい。例えば、データ記憶部100は、金融機関サーバ10とは異なるデータベースサーバにより実現されてもよい。また例えば、金融機関システム1内の複数のコンピュータによって、以降説明する各機能が分担されてもよい。この場合、各コンピュータ間で、処理の実行結果が送受信されることにより、各機能が分担されるようにすればよい。
【0026】
[3−1−1.データ記憶部]
データ記憶部100は、記憶部12を主として実現される。データ記憶部100は、発行部101が発行したMidを、発行指示をしたユーザの口座を識別可能な状態で記憶する。ユーザの口座を識別可能な状態とは、Midから口座識別情報を特定可能な状態を意味し、例えば、データ記憶部100は、Midと、発行指示をしたユーザの口座の口座識別情報と、を対応付けて記憶する。ただし、後述する変形例のように、Midの一部として、口座識別情報がMidに含まれていてもよい。
【0027】
なお、口座識別情報は、ユーザの口座を特定可能な情報であればよく、本実施形態では、口座識別情報が、口座の支店情報、口座番号、及び口座名義人情報を含む場合を説明するが、口座識別情報は、ユーザの口座を一意に識別するための口座IDであってもよい。口座識別情報が口座IDである場合には、口座IDと、支店情報、口座番号、及び口座名義人情報と、を対応付けたデータベースをデータ記憶部100が記憶し、当該データベースと口座識別情報によって、支店情報、口座番号、及び口座名義人情報が特定されるようにすればよい。
【0028】
本実施形態では、会計システム2が複数存在する場合を説明するので、データ記憶部100は、Midを、複数の会計システム2の何れかを識別可能な状態で記憶することになる。会計システム2の何れかを識別可能な状態とは、Midから会計システム2を特定可能な状態を意味し、例えば、データ記憶部100は、Midと、複数の会計システム2の何れかの会計システム識別情報と、を対応付けて記憶する。ただし、後述する変形例のように、Midの一部として、会計システム識別情報がMidに含まれていてもよい。Midにより識別される会計システム2は、Midを利用した提携振込サービスを提供可能な会計システム2であり、当該Midを管理する会計システム2である。
【0029】
なお、会計システム識別情報は、会計システム2を特定可能な情報であればよく、本実施形態では、会計システム2の名称を示す文字列である場合を説明するが、会計システム2を一意に識別する会計システムIDであってもよい。本実施形態では、データ記憶部100は、Midを管理するための金融機関Midデータベースを記憶する。
【0030】
図5は、金融機関Midデータベースのデータ格納例を示す図である。
図5に示すように、金融機関MidデータベースDB10には、Mid、金融機関ユーザアカウント、ユーザ名、口座識別情報、利用開始時期、及び会計システム識別情報が格納される。本実施形態では、Midは、ユーザの口座と会計システム2を識別可能であれば、任意のデータ構成を採用可能であるが、ここでは、Midが提携有無情報と番号情報とを含む場合を説明する。
【0031】
提携有無情報は、会計システム2との提携の有無を識別する情報であり、提携振込サービスの提供可否を示す情報といえる。金融機関システム1は、会計システム2と特に提携せずに実行される振込サービス(以降、非提携振込サービスと記載する)も実行可能であってよく、提携有無情報は、提携振込サービス用のMidであるか、非提携振込サービス用のMidであるか、を識別する情報といえる。例えば、非提携振込サービスでは、ユーザが金融機関システム1にログインし、非提携振込サービス用のMidを入力して振込を指示するようにしてよい。なお、提携振込サービス用のMidと、非定型振込サービス用のMidと、は同じデータベースで管理する必要はなく、互いに異なるデータベースに管理してもよい。
【0032】
例えば、提携有無情報が第1の値(
図5では、「AA」の文字列)であることは、提携振込サービス用のMidであることを意味し、提携有無情報が第2の値(
図5では、「BB」の文字列)であることは、非提携振込サービス用のMidであることを意味する。番号情報は、例えば、金融機関システム1が申し込み順で採番するものであり、申し込み順で連番となるようにしてよい。なお、Midは、他の任意の情報を含んでもよく、例えば、チェックデジットを含んでもよい。
【0033】
金融機関MidデータベースDB10に格納される金融機関ユーザアカウントは、Midを発行させたユーザのアカウントであり、別の言い方をすれば、Midにより識別される口座を有するユーザのアカウントである。ユーザ名は、ユーザの名称であり、例えば、法人名や個人名である。なお、ユーザ名は、口座名義人と同じ名称であってもよいし、異なる名称であってもよい。利用開始時期は、Midが発行された後の任意の時点であればよく、例えば、Midが発行された翌日を示してもよいし、2日後以降の日付を示してもよい。なお、先述したような金融機関側の猶予期間やユーザ側の準備期間が考慮された利用開始時期が設定されるようにしてもよい。また例えば、利用開始時期としては、日付だけが格納されてもよいし、日時が格納されてもよい。金融機関MidデータベースDB10に格納される会計システム識別情報は、Midにより識別される会計システム2の会計システム識別情報である。
【0034】
また例えば、データ記憶部100は、会計システム2の認証情報を更に記憶してもよい。本実施形態では、データ記憶部100は、会計システム2の認証情報を管理するための認証情報データベースを記憶する。
【0035】
図6は、認証情報データベースのデータ格納例を示す図である。
図6に示すように、認証情報データベースDB11には、会計システム識別情報と認証情報とが格納される。認証情報は、会計システム2の正当性を証明するための情報であり、例えば、任意の桁数の文字列と数字から構成されてよい。例えば、認証情報は、暗号鍵情報とIPアドレス情報を含むようにしてよい。暗号鍵情報は、金融機関システム1と会計システム2とで暗号化通信をする場合に必要な暗号鍵であり、IPアドレス情報は、会計システム2の会計サーバ20のIPアドレスである。なお、認証情報は、これに限られず、IDとパスワードの組み合わせが用いられてもよいし、電子証明書が用いられてもよい。
【0036】
なお、データ記憶部100に記憶されるデータは、上記の例に限られない。データ記憶部100は、金融機関に関する各種データを記憶可能であり、例えば、金融機関MidデータベースDB10及び認証情報データベースDB11には、他の情報が含まれていてもよい。また例えば、データ記憶部100は、ユーザに関するユーザデータベースを記憶してもよく、例えば、ユーザデータベースには、金融機関ユーザアカウントやパスワードなどが格納されていてよい。
【0037】
[3−1−2.発行部]
発行部101は、制御部11を主として実現される。発行部101は、所定の発行指示をしたユーザの口座から振込をするためのMidを発行する。発行指示は、金融機関システム1に対して入力される所定の指示であればよく、例えば、ユーザが金融機関システム1に対して直接的に行うものであってもよいし、ユーザが会計システム2に対して行った指示を、会計システム2が金融機関システム1に転送するといった間接的なものであってもよい。本実施形態では、発行指示画面G4(
図2)の「はい」ボタンの選択を選択することが、発行指示に相当する場合を説明する。発行指示画面G4には、提携振込サービスの利用規約が表示されるので、本実施形態の発行指示は、ユーザによる利用規約の承諾を含むことになる。利用規約の承諾には、今後の該当会計システム2経由の振込依頼において、その都度の振込の同意を不要とすることに対して同意する旨の内容が含まれていてもよい。
【0038】
Midは、発行済みの他のMidとは重複しないようにすればよく、Midの発行ルールは、任意であってよい。先述したように、本実施形態では、Midは提携識別情報と番号情報を含むので、発行部101は、発行対象となるMidが提携振込サービス用であれば、第1の値を示す提携識別情報と、連番となるように発行した番号情報と、を含むMidを発行する。一方、発行部101は、発行対象となるMidが非提携振込サービス用であれば、第2の値を示す提携識別情報と、連番となるように発行した番号情報と、を含むMidを発行する。
【0039】
本実施形態では、発行部101は、会計システム2にログイン中のユーザが会計システム2を経由してアクセスした場合に、当該会計システム2を経由した将来的な振込の実行に対する承諾を含む発行指示を受け付ける。ログイン中とは、ユーザがログインしてからログアウトするまでを意味してもよいし、ユーザがログインしてから一定時間以内を意味してもよいし、ログインしたユーザが最後に操作をした時点(会計システム2がユーザ端末30から何らかのデータを最後に受信した時点)から一定時間以内を意味してもよい。ユーザがログイン中か否かを識別する情報は、後述する会計システム2のデータ記憶部100に記憶されていてよい。この情報は、ユーザ端末30から受信するデータに基づいて、適宜更新されるようにすればよい。
【0040】
会計システム2を経由してアクセスとは、ユーザが金融機関システム1のURLを指定して能動的にアクセスするのではなく、会計システム2の制御によってユーザが受動的にアクセスすることを意味する。より具体的には、会計システム2が実行するリダイレクト処理によって金融機関システム1にアクセスすることが、会計システム2を経由してアクセスすることに相当する。なお、ユーザ端末30から金融機関システム1へのアクセスがリダイレクトであることを識別する情報は、ユーザ端末30がリダイレクトの際に送信してもよいし、会計システム2がリダイレクト処理を実行した場合に金融機関システム1に送信してもよい。発行部101は、ユーザが会計システム2にログイン中ではない場合、又は、会計システム2を経由してアクセスしていない場合には、発行指示を受け付けないように制限してもよい。
【0041】
本実施形態では、発行部101は、発行したMidを、発行指示をしたユーザの金融機関ユーザアカウントと、提携先の会計システム2の会計システム識別情報と、に対応付けて金融機関MidデータベースDB10に格納する。また、発行部101は、現時点から所定時間後の時点を、利用開始日として設定し、発行したMidとともに金融機関MidデータベースDB10に格納する。
【0042】
[3−1−3.送信部]
送信部102は、制御部11を主として実現される。送信部102は、会計システム2に対し、発行部101が発行したMidを送信する。本実施形態のMidは、ユーザを識別する情報を含まないので、送信部102は、どのユーザのMidなのかを会計システム2が識別できるように、発行部101が発行したMidとともに、発行指示をしたユーザを識別するための情報も送信するようにしてよい。この情報は、ユーザを識別するための情報として金融機関システム1と会計システム2で予め共有している情報であればよく、例えば、会計ユーザアカウントであってもよいし、金融機関ユーザアカウントであってもよいし、これらとは別の情報が利用されてもよい。
【0043】
本実施形態では、複数の会計システム2が存在するので、送信部102は、発行部101が発行したMidにより識別される会計システム2に対し、当該Midを送信する。Midにより識別される会計システム2とは、Midを利用した提携振込サービスを提供する会計システム2である。送信部102は、発行部101が発行したMidにより識別される会計システム2に対してのみ当該Midを送信し、他の会計システム2に対しては当該Midを送信しない。
【0044】
また、本実施形態のMidは、会計システム識別情報を含まないので、送信部102は、発行部101が発行したMidに対応付けられた会計システム識別情報が示す会計システム2に対し、当該Midを送信することになる。即ち、送信部102は、金融機関MidデータベースDB10を参照し、Midに対応付けられた会計システム識別情報に基づいて、Midの送信先の会計システム2を特定する。
【0045】
また、送信部102は、発行部101が発行したMidを、ユーザに対して送信してもよいが、本実施形態では、ユーザに対しては送信せずに会計システム2に対してのみ送信する。別の言い方をすれば、本実施形態では、送信部102は、ユーザに対してMidが送信されることを制限し、Midは、ユーザが知り得ない状態とする。
【0046】
[3−1−4.判定部]
判定部103は、制御部11を主として実現される。本実施形態では、判定部103は、Midの正当性をチェックする第1の判定と、Midの送信元の正当性をチェックする第2の判定と、を行う場合を例に挙げて説明する。
【0047】
第1の判定として、判定部103は、会計システム2からMidと振込内容情報とを受信した場合に、当該Midが金融機関システム1のデータ記憶部100に存在するかを判定する。即ち、判定部103は、会計システム2から受信したMidと、金融機関MidデータベースDB10に格納されたMidと、を比較し、これらが一致するレコードが存在するかを判定する。判定部103は、一致するレコードが存在する場合には、受信したMidが正当であると判定し、一致するレコードが存在しない場合には、受信したMidが不正であると判定する。
【0048】
第2の判定として、判定部103は、各会計システム2から受信したMidが、当該Midにより識別される会計システム2から受信されたかを判定する。即ち、第2の判定として、例えば、判定部103は、Midの送信元の会計システム2と、当該Midにより識別される会計システム2と、が一致するかを判定すればよい。
【0049】
第2の判定を詳しく説明すると、本実施形態のMidは、会計システム識別情報を含まないので、判定部103は、各会計システム2から受信したMidが、当該Midに対応付けられた会計システム識別情報が示す会計システム2から受信されたかを判定する。例えば、判定部103は、金融機関MidデータベースDB10を参照し、受信したMidに対応付けられた会計システム識別情報が示す会計システム2と、Midの送信元の会計システム2と、が一致するかを判定することになる。Midの送信元が複数の会計システム2の何れであるかは、IPアドレス情報やサーバ名などを利用して判定すればよい。判定部103は、これらが一致する場合には、Midの送信元が正当であると判定し、これらが一致しない場合には、Midの送信元が不正であると判定する。
【0050】
また、第2の判定のより詳細な例としては、本実施形態では、判定部103は、各会計システム2から受信した認証情報が、金融機関システム1のデータ記憶部100に存在するかを判定する。即ち、第2の判定の具体例として、判定部103は、会計システム2が送信した認証情報の正当性のチェックもするようにしてよい。判定部103は、会計システム2から受信した認証情報と、認証情報データベースDB11に格納された認証情報と、を比較し、これらが一致するレコードが存在するかを判定する。判定部103は、一致するレコードが存在する場合には、認証情報が正当であると判定し、一致するレコードが存在しない場合には、認証情報が不正であると判定する。
【0051】
[3−1−5.振込実行部]
振込実行部104は、制御部11を主として実現される。判定部103の判定結果に基づいて、Midにより識別される口座から振込内容情報に応じた振込を実行する。本実施形態では、Midは、口座識別情報を含まないので、振込実行部104は、判定部103の判定結果に基づいて、Midに対応付けられた口座識別情報が示す口座から振込内容情報に応じた振込を実行することになる。即ち、振込実行部104は、金融機関MidデータベースDB10を参照し、Midに対応付けられた口座識別情報に基づいて、振込元となるユーザの口座を特定することになる。
【0052】
例えば、判定部103は、第1の判定であるMidの正当性のチェックをするので、振込実行部104は、Midが正当であると判定された場合は振込を実行し、Midが不正であると判定された場合は振込を実行しない。また例えば、判定部103は、第2の判定であるMidの送信元の正当性のチェックもするので、振込実行部104は、Midの送信元が正当であると判定された場合は振込を実行し、Midの送信元が不正であると判定された場合は振込を実行しない。また例えば、判定部103は、第2の判定の具体例として説明した認証情報の正当性のチェックをするので、振込実行部104は、認証情報が正当であると判定された場合は振込を実行し、認証情報が不正であると判定された場合は振込を実行しない。
【0053】
例えば、金融機関システム1は、全国の銀行間の取引を中継する全国銀行データ通信システムに接続されており、振込実行部104は、振込に関するデータを全国銀行データ通信システムに送信することによって、振込を実行するようにしてよい。全国銀行データ通信システムは、受信したデータを処理して振込先(例えば、従業員の口座など)の銀行宛てに当該データを送信することで、振込が実行される。また、振込実行部104は、振込内容情報が示す振込金額に基づいて、Midにより識別される口座の残高を減少させる。
【0054】
[3−2.会計システムにおいて実現される機能]
図4に示すように、会計システム2では、データ記憶部200、振込依頼受付部201、送信部202、アクセス制御部203、及び時期制限部204が実現される。なお、本実施形態では、これら各機能が会計サーバ20によって実現される場合を説明するが、会計システム2に含まれる他のコンピュータによって実現されてもよい。例えば、データ記憶部200は、会計サーバ20とは異なるデータベースサーバにより実現されてもよい。また例えば、会計システム2に含まれる複数のコンピュータによって、以降説明する各機能が分担されてもよい。この場合、各コンピュータ間で、処理の実行結果が送受信されることにより、各機能が分担されるようにすればよい。
【0055】
[3−2−1.データ記憶部]
データ記憶部200は、記憶部22を主として実現される。データ記憶部200は、金融機関システム1から受信したMidを、発行指示をしたユーザを識別可能な状態で記憶する。ユーザを識別可能な状態とは、Midからユーザを特定可能な状態を意味し、例えば、データ記憶部200は、Midと、発行指示をしたユーザの会計ユーザアカウントと、を対応付けて記憶する。ただし、後述する変形例のように、Midの一部として、会計ユーザアカウントがMidに含まれていてもよい。なお、ここでは、会計ユーザアカウントによってユーザが識別される場合を説明するが、他にも例えば、金融機関ユーザアカウントを利用してもよいし、他の情報を利用してもよい。本実施形態では、データ記憶部200は、Midを管理するための会計Midデータベースを記憶する。
【0056】
図7は、会計Midデータベースのデータ格納例を示す図である。
図7に示すように、会計MidデータベースDB20には、Mid、会計ユーザアカウント、ユーザ名、及び利用開始時期が格納される。会計MidデータベースDB20に格納される会計ユーザアカウントは、Midを発行させたユーザのアカウントであり、別の言い方をすれば、メニュー画面G2の「提携振込申込」ボタンを選択したユーザのアカウントである。ユーザ名は、会計システム2におけるユーザの名称であり、例えば、法人名や個人名である。利用開始時期は、Midに設定された利用開始時期であり、金融機関システム1から、Midとともに受信しているものとする。
【0057】
また、本実施形態では、認証情報の正当性のチェックも実行されるので、データ記憶部200は、自身の会計システム2の認証情報を記憶する。認証情報は、金融機関システム1と会計システム2の間で共有できればよく、金融機関システム1が発行してもよいし、会計システム2が発行してもよい。
【0058】
なお、データ記憶部200に記憶されるデータは、上記の例に限られない。例えば、データ記憶部200は、会計システム2に関する各種データを記憶可能であり、例えば、会計MidデータベースDB20には、他の情報が含まれていてもよい。また例えば、データ記憶部200は、ユーザに関するユーザデータベースを記憶してもよく、例えば、ユーザデータベースには、会計ユーザアカウントやパスワードなどが格納されていてよい。
【0059】
[3−2−2.振込依頼受付部]
振込依頼受付部201は、制御部21を主として実現される。振込依頼受付部201は、各ユーザから、会計システム2の会計処理に係る振込依頼を受け付ける。会計処理とは、会計システム2が提供する会計業務の支援サービスに係る処理であり、例えば、経費精算処理や給与振込処理である。振込依頼は、会計システム2に対して入力される所定の指示であればよく、例えば、本実施形態では、振込依頼画面G7(
図3)の「はい」ボタンの選択を選択することが、振込依頼に相当する場合を説明する。なお、振込依頼受付部201は、振込依頼とともに、ユーザによる振込内容の入力を受け付けてもよい。この場合、ユーザは、振込内容として、振込先の口座識別情報を入力したり、振込金額を入力したりしてもよい。即ち、振込内容は、会計システム2による処理の実行結果として取得されるのではなく、ユーザが直接的に入力してもよい。
【0060】
[3−2−3.送信部]
送信部202は、制御部21を主として実現される。送信部202は、振込依頼受付部201が振込依頼を受け付けた場合に、金融機関システム1に対し、当該振込依頼をしたユーザのMidと、当該振込依頼に係る振込内容情報と、を送信する。送信部202は、Midと振込内容情報を1つのデータフレームの中にまとめたうえで送信してもよいし、これらを別個に送信してもよい。
【0061】
本実施形態のMidは、会計ユーザアカウントを含まないので、送信部202は、金融機関システム1に対し、振込依頼をしたユーザの会計ユーザアカウントに対応付けられたMidを送信することになる。即ち、送信部202は、会計MidデータベースDB20を参照し、振込依頼をしたユーザの会計ユーザアカウントに対応付けられたMidを特定することになる。
【0062】
なお、振込依頼をしたユーザの会計ユーザアカウントは、振込依頼とともに、ユーザ端末30から随時受信されるようにしてもよいし、ログイン中のユーザの会計ユーザアカウントをデータ記憶部200に記憶させておいてもよい。即ち、本実施形態では、振込依頼は、ユーザが会計システム2にログインした状態で行われるため、どのユーザが振込依頼をしたかを特定するために、ログイン中のユーザの会計ユーザアカウントを、データ記憶部200に記憶させておいてもよい。
【0063】
振込内容情報は、振込内容を特定可能な情報であればよく、例えば、振込金額と振込先識別情報を含む。振込先識別情報は、振込先口座の金融機関情報、支店情報、口座番号、及び口座名義人情報を含んでもよいし、これらの情報を検索可能な振込先IDであってもよい。振込先IDが振込先識別情報に相当する場合は、金融機関システム1のデータ記憶部100は、振込先IDと、振込先口座の金融機関情報、支店情報、口座番号、及び口座名義人情報と、を格納したデータベースを記憶し、金融機関システム1の振込実行部104は、当該データベースと振込先IDとに基づいて、具体的な振込先を特定する。
【0064】
本実施形態では、送信部202は、金融機関システム1に対し、当該会計システムの認証情報を更に送信する。送信部202は、データ記憶部200に記憶された認証情報を取得し、Mid及び振込内容情報とともに送信することになる。
【0065】
[3−2−4.アクセス制御部]
アクセス制御部203は、制御部21を主として実現される。アクセス制御部203は、会計システム2にログイン中のユーザによる所定の操作を受け付けた場合に、当該ユーザを金融機関システム1にアクセスさせる。所定の操作は、提携振込サービスの利用開始の意志を示す操作であればよく、本実施形態では、メニュー画面G2において「提携振込申込」ボタンを選択することである。アクセス制御部203は、所定のリダイレクト処理により、ユーザを金融機関システム1にアクセスさせればよく、リダイレクト先のURLは、予めデータ記憶部200に記憶させておけばよい。
【0066】
[3−2−5.時期制限部]
時期制限部204は、制御部21を主として実現される。時期制限部204は、各Midに設定された利用開始時期に基づいて、当該Midを利用した振込を制限する。時期制限部204は、リアルタイムクロック等を利用して現在日時情報を取得し、現在日時と利用開始時期を比較する。時期制限部204は、利用開始時期が訪れていれば、提携振込サービスの利用を許可し、利用開始時期が訪れていなければ、提携振込サービスの利用を制限する。提携振込サービスの利用を制限する方法としては、例えば、振込依頼画面G7を表示させないようにしてもよいし、振込依頼画面G7の「はい」ボタンを表示させないようにしてもよいし、「はい」ボタンを選択できないようにグレーアウトしてもよい。
【0067】
[4.振込制御システムにおいて実行される処理]
次に、振込制御システムSで実行される処理を説明する。ここでは、Midを発行するためのMid発行処理と、提携振込サービスを利用して振込を実行するための振込実行処理と、を説明する。これらの処理は、制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作し、制御部21が、記憶部22に記憶されたプログラムに従って動作し、制御部31が、記憶部32に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。これらの処理は、各機能ブロックが実行する処理の一例である。
【0068】
[4−1.Mid発行処理]
図8は、Mid発行処理のフロー図である。
図8に示すように、ユーザ端末30において、制御部31は、会計システム2へのログイン画面G1を表示部35に表示させ、会計システム2に対し、ユーザが操作部34から入力した会計ユーザアカウントとパスワードを送信し、会計システム2にユーザをログインさせる(S1)。ログイン画面G1は、ユーザが所定の操作をした場合に表示されるようにすればよく、例えば、会計システム2からダウンロードしたアプリケーションが起動した場合にログイン画面G1が表示されるようにしてよい。
【0069】
会計システム2においては、会計サーバ20が会計ユーザアカウントとパスワードを受信すると、制御部21は、ユーザのログイン処理を実行し、ユーザ端末30に対し、メニュー画面G2の表示データを送信する(S2)。S2においては、制御部21は、ユーザ端末30から受信した会計ユーザアカウント及びパスワードと、記憶部22に記憶された会計ユーザアカウント及びパスワードと、に基づいてユーザの正当性をチェックしてログイン処理を実行する。
【0070】
ユーザ端末30においては、表示データを受信すると、制御部31は、メニュー画面G2を表示部35に表示させ、会計システム2に対し、ユーザが「提携振込申込」ボタンを選択したことに応じて、提携振込サービスの開始要求を送信する(S3)。なお、ユーザがメニュー画面G2の他のボタンを選択した場合には、ユーザ端末30と会計システム2との間で、ユーザが選択したボタンに応じた会計処理が実行される。
【0071】
会計システム2においては、会計サーバ20が提携振込サービスの開始要求を受信すると、制御部21は、金融機関システム1へのリダイレクト処理を実行する(S4)。例えば、金融機関システム1のURLが記憶部22に記憶されており、S4においては、制御部21は、当該URLに基づいてリダイレクト処理を実行する。なお、リダイレクト処理の際に、どの会計システム2がリダイレクトさせたかを識別する情報が、金融機関システム1に対して送信されるものとする。また、提携振込サービスの開始要求をしたユーザの会計ユーザアカウントが、金融機関システム1に対して送信されるようにしてもよい。
【0072】
リダイレクト処理が実行されると、ユーザ端末30は金融機関システム1にアクセスし、制御部11は、金融機関システム1のログイン画面G3を表示部35に表示させ、金融機関システム1に対し、ユーザが操作部34から入力した金融機関ユーザアカウントとパスワードを送信し、金融機関システム1にユーザをログインさせる(S5)。
【0073】
金融機関システム1においては、金融機関ユーザアカウントとパスワードを受信すると、制御部11は、ユーザのログイン処理を実行し、ユーザ端末30に対し、発行指示画面G4の表示データを送信する(S6)。S6においては、制御部11は、ユーザ端末30から受信した金融機関ユーザアカウント及びパスワードと、記憶部12に記憶された金融機関ユーザアカウント及びパスワードと、に基づいてユーザの正当性をチェックしてログイン処理を実行する。
【0074】
ユーザ端末30においては、表示データを受信すると、制御部31は、発行指示画面G4を表示部35に表示させ、金融機関システム1に対し、ユーザが利用規約に同意したうえで「はい」ボタンを選択したことに応じて、Midの発行指示を送信する(S7)。なお、制御部31は、ユーザが利用規約に同意しなければ、発行指示が送信されないように制限してもよい。利用規約に同意したかを判定する方法自体は、公知の種々の手法で判定してよく、例えば、所定のチェックボックスにチェックが入ることを条件としてもよいし、利用規約をスクロールさせたかを条件としてもよい。
【0075】
金融機関システム1においては、金融機関サーバ10が発行指示を受信すると、制御部11は、所定の発行ルールに基づいてMidを発行し、会計システム2に対し、発行したMidを送信し(S8)、ユーザ端末30に対し、発行完了画面G5の表示データを送信する(S9)。S8においては、まず、制御部11は、第1の値の提携識別情報と、連番となるように採番した番号情報と、を含む提携振込サービス用のMidを発行する。そして、制御部11は、発行指示をしたユーザの金融機関ユーザアカウント、当該ユーザの名称、当該ユーザの口座識別情報、現在日時の所定時間後の利用開始時期、及び、会計システム識別情報とともに、金融機関MidデータベースDB10にMidを格納する。更に、制御部11は、発行指示をしたユーザを識別する情報(例えば、発行指示をしたユーザの会計ユーザアカウント)とともに、会計システム2に対し、Midを送信する。
【0076】
会計システム2においては、会計サーバ20がMidを受信すると、制御部21は、MidデータベースにMidを格納する(S10)。S10においては、制御部21は、金融機関システム1から受信した情報に基づいて、発行指示をしたユーザの会計ユーザアカウントを特定し、ユーザ名、及び利用開始時期とともに、会計MidデータベースDB20にMidを格納する。
【0077】
ユーザ端末30においては、発行完了画面G5の表示データを受信すると、制御部31は、発行完了画面G5を表示部35に表示させ(S11)、本処理は終了する。以降、ユーザは、自身のMidに設定された利用可能時期が訪れた後に、提携振込サービスを利用可能となる。
【0078】
[4−2.振込実行処理]
図9は、振込実行処理を示すフロー図である。
図9に示すように、S21とS22は、それぞれS1とS2と同様である。ユーザが会計システム2にログインしてメニュー画面G2が表示部35に表示されると、ユーザの操作に基づいて、会計システム2とユーザ端末30との間で会計処理が実行される(S23)。S23においては、ユーザの操作に基づいて、経費の承認処理が実行されたり、給与の振込指示が実行されたりする。以降、ユーザが、経費精算画面G6から経費申請を承認した場合の処理を一例に挙げて説明する。
【0079】
ユーザが経費精算画面G6から経費申請を承認すると、制御部31は、振込依頼画面G7を表示部35にさせ、ユーザが「はい」ボタンを選択したことに応じて、会計システム2に対し、実行中の会計処理に係る振込依頼を送信する(S24)。ここでは、振込依頼は、振込依頼画面G7の「はい」ボタンが選択されたことを示す通知となる。
【0080】
会計システム2においては、会計サーバ20が振込依頼を受信すると、制御部21は、会計ユーザアカウントに対応付けられたMidを特定し、金融機関システム1に対し、Mid、振込内容情報、及び認証情報を送信する(S25)。なお、処理中の会計処理に係る振込の振込金額と振込先の口座識別情報は、予め記憶部32に記憶されていてもよいし、ユーザが操作部34から入力してもよい。S24においては、制御部31は、会計MidデータベースDB20を参照し、ログイン中のユーザの会計ユーザアカウントと対応付けられたMidを取得する。そして、制御部31は、当該Midとともに、振込内容情報と自身の認証情報を送信する。
【0081】
金融機関システム1においては、金融機関サーバ10がMidや認証情報等を受信すると、制御部11は、会計システム2の認証処理を実行する(S26)。S26においては、制御部11は、会計システム2から受信した認証情報と、記憶部12に記憶された認証情報と、に基づいて会計システム2の認証情報の正当性をチェックする。
【0082】
会計システム2の認証が失敗した場合(S26;失敗)、以降の処理は実行されず、振込は実行されない。一方、会計システム2の認証が成功した場合(S26;成功)、制御部11は、受信したMidが、金融機関MidデータベースDB10に存在するかを判定する(S27)。S27においては、制御部11は、金融機関MidデータベースDB10に、受信したMidが格納されたレコードが存在するかを判定し、Midの正当性をチェックする。
【0083】
受信したMidがMidデータベースに存在しないと判定された場合(S26;N)、以降の処理は実行されず、振込は実行されない。一方、受信したMidがMidデータベースに存在すると判定された場合(S27;Y)、制御部11は、受信した振込内容情報に基づいて、振込処理を実行し(S28)、会計システム2に対し、所定の振込完了通知を送信する(S29)。
【0084】
会計システム2においては、会計サーバ20が振込完了通知を受信すると、制御部21は、ユーザ端末30に対し、振込完了画面G8の表示データを送信する(S30)。ユーザ端末30においては、表示データを受信すると、制御部31は、振込完了画面G8を表示部35に表示させ(S31)、本処理は終了する。
【0085】
振込制御システムSによれば、各ユーザの口座専用のMidを利用して提携振込サービスを提供することによって、振込のセキュリティを維持しつつ、シームレスかつリアルタイムな振込を実現して振込時のユーザの手間を省くことができる。更に、本当にユーザからの正式な振込依頼であるかどうかを確認するための金融機関とユーザとの間の確認作業がないため、振込完了までの時間を短縮することもできる。
【0086】
また、実施形態のように、複数の会計システム2が存在する場合であっても、金融機関システム1と各会計システム2とを連携させることができるので、ユーザは、どの会計システム2を利用したとしても、シームレスかつリアルタイムな振込を利用することができる。また、全ての会計システム2で共通のMidとするのではなく、会計システム2ごとに別個のMidを発行することによって、Midが悪用される危険性を軽減し、振込のセキュリティを効果的に向上させることができる。
【0087】
また、金融機関MidデータベースDB10において、Midと会計システム識別情報とが対応付けられて格納されており、金融機関システム1は、受信したMidがどの会計システム2のものであるかを特定することができ、会計システム2ごとに別個のMidを管理することができる。
【0088】
また、金融機関MidデータベースDB10において、Midと口座識別情報とが対応付けられて格納されており、金融機関システム1は、受信したMidにより、どの口座を振込元として振込をすればよいかを特定することができ、振込を確実に実行することができる。更に、会計システム2から金融機関システム1に対して口座識別情報を送信する必要がないため、ネットワーク上で口座識別情報が漏えいすることを防止することができる。より具体的には、Mid自体に口座識別情報や会計システム識別情報が含まれないため、もし仮にMidが漏えいしたとしても、口座識別情報や会計システム識別情報は特定されないので(即ち、口座識別情報や会計システム識別情報は、Midだけでは分からず、金融機関システム1内のデータベースを参照する必要があるので)、これらの情報を利用した不正な振込依頼を防止することができ、セキュリティを向上させることができる。また、ユーザに振込元の口座を都度指定させることもないので、ユーザの手間を効果的に省くこともできる。
【0089】
また、会計MidデータベースDB20において、Midと会計ユーザアカウントとが対応付けられて格納されており、会計システム2は、振込依頼をしたユーザのMidがどれであるかを特定することができ、振込を確実に実行することができる。更に、ユーザが会計システム2にログインするために必要な会計ユーザアカウントからMidが特定可能になるので、ユーザに他の情報を入力させる必要がなく、よりスムーズに振込を完了させることができる。
【0090】
また、Midは、ユーザには通知されず会計システム2だけに通知されるので、Midが漏えいする危険性を低減することができる。このため、悪意のある第三者による不正な振込を防止し、振込のセキュリティを効果的に高めることができる。
【0091】
また、ユーザが会計システム2にログインしている場合に、金融機関システム1が発行指示を受け付けることにより、悪意のある第三者が勝手にMidを発行してしまう危険性を低減することができる。このため、悪意のある第三者による不正な振込を防止し、振込のセキュリティを効果的に高めることができる。
【0092】
また、Midに利用開始時期を設定することにより、もし仮に、第三者の手によって勝手にMidが発行された疑いがある場合に、Midの発行をユーザに確認する時間を確保することができ、勝手に発行されたMidが利用されてしまう危険性を低減することができる。このため、悪意のある第三者による不正な振込を防止し、振込のセキュリティを効果的に高めることができる。
【0093】
また、会計システム2の認証情報の正当性がチェックされて振込の可否が制御されるので、Midを不正に入手した第三者による振込を防止し、振込のセキュリティを効果的に高めることができる。
【0094】
[5.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0095】
(1)例えば、悪意のある第三者がMidを盗み出した場合、Midを利用して、ユーザの知らないところで不正な振込を実行する可能性がある。このような不正な振込を防止するために、ユーザの会計システム2に対するログイン状況に応じて、振込に制限をかけてもよい。
【0096】
図10は、変形例(1)の機能ブロック図である。
図10に示すように、変形例(1)では、実施形態で説明した機能に加えて、状況制限部205が実現される。ここでは、状況制限部205が会計システム2により実現される場合を説明する。状況制限部205は、制御部21を主として実現される。状況制限部205は、Midを利用した振込を、当該Midにより識別されるユーザの会計システム2へのログイン状況に基づいて制限する。
【0097】
ログイン状況とは、例えば、ユーザがログイン中であるか、ユーザがログインして一定時間が経過したか、又は、ユーザがログインした状態でユーザ端末から最後にデータを受信して一定時間が経過したか等である。例えば、状況制限部205は、ユーザがログイン中でない場合は、Midを利用した振込を制限する。また例えば、状況制限部205は、ユーザがログインして一定時間が経過した場合は、Midを利用した振込を制限する。また例えば、状況制限部205は、ユーザがログインした状態でユーザ端末から最後にデータを受信して一定時間が経過した場合は、Midを利用した振込を制限する。
【0098】
変形例(1)によれば、ユーザの会計システム2に対するログイン状況に応じて、Midを利用した振込が制限されるので、悪意のある第三者による不正な振込を防止し、振込のセキュリティを効果的に向上させることができる。
【0099】
(2)また例えば、実施形態で説明したように、Midは、複数の会計システム2の何れかの会計システム識別情報を含んでもよい。即ち、会計システム識別情報は、Midと対応付けられているのではなく、Midの一部として組み込まれているようにしてもよい。この場合、Midの中でどの部分が会計システム識別情報であるのかを識別する情報は、金融機関システム1と会計システム2との間で共有すればよい。例えば、Midのうち何桁目から何桁目までが会計システム識別情報に相当するのかを識別可能にしてもよいし、Midのうち何バイト目から何バイト目までが会計システム識別情報に相当するのかを識別可能にしてもよい。
【0100】
変形例(2)では、金融機関システム1の送信部は、発行部101が発行したMidに含まれる会計システム識別情報が示す会計システム2に対し、当該Midを送信することになる。例えば、送信部は、Midに組み込まれた会計システム識別情報を参照し、当該会計システム識別情報が示す会計システム2に対し、Midを送信する。金融機関システム1の判定部103は、各会計システム2から受信したMidが、当該Midに含まれる会計システム識別情報が示す会計システム2から受信されたかを更に判定するようにしてよい。例えば、判定部103は、Midに組み込まれた会計システム識別情報を参照し、当該会計システム識別情報が示す会計システム2からMidを受信したかを判定する。
【0101】
変形例(2)によれば、Midの中に会計システム識別情報が組み込まれているので、Midと会計システム識別情報との対応付けを定義したデータベースを用意する必要がなくなり、管理対象となるデータ量を減らすことができる。更に、Midだけを参照すれば会計システム識別情報を特定可能であり、データベースを参照する必要がないので、処理速度を向上させることもできる。
【0102】
(3)また例えば、実施形態で説明したように、Midは、発行指示をしたユーザの口座の口座識別情報を含んでもよい。即ち、口座識別情報は、Midと対応付けられているのではなく、Midの一部として組み込まれているようにしてもよい。この場合、Midの中でどの部分が口座識別情報であるのかを識別する情報は、金融機関システム1と会計システム2との間で共有すればよい。例えば、Midのうち何桁目から何桁目までが口座識別情報に相当するのかを識別可能にしてもよいし、Midのうち何バイト目から何バイト目までが口座識別情報に相当するのかを識別可能にしてもよい。変形例(3)では、金融機関システム1の振込実行部104は、判定部103の判定結果に基づいて、Midに含まれる口座識別情報が示す口座から振込内容情報に応じた振込を実行する。例えば、振込実行部104は、Midに組み込まれた口座識別情報を参照し、振込元の口座を特定する。
【0103】
変形例(3)によれば、Midの中に口座識別情報が組み込まれているので、Midと口座識別情報との対応付けを定義したデータベースを用意する必要がなくなり、管理対象となるデータ量を減らすことができる。更に、Midだけを参照すれば口座識別情報を特定可能であり、データベースを参照する必要がないので、処理速度を向上させることもできる。
【0104】
(4)また例えば、Midは、発行指示をしたユーザの会計ユーザアカウントを含んでもよい。即ち、会計ユーザアカウントは、Midと対応付けられているのではなく、Midの一部として組み込まれているようにしてもよい。この場合、Midの中でどの部分が会計ユーザアカウントであるのかを識別する情報は、金融機関システム1と会計システム2との間で共有すればよい。例えば、Midのうち何桁目から何桁目までが会計ユーザアカウントに相当するのかを識別可能にしてもよいし、Midのうち何バイト目から何バイト目までが会計ユーザアカウントに相当するのかを識別可能にしてもよい。変形例(4)では、会計システム2の送信部は、金融機関システム1に対し、振込依頼をしたユーザの会計ユーザアカウントを含むMidを送信する。
【0105】
変形例(4)によれば、Midの中に会計ユーザアカウントが組み込まれているので、Midと会計ユーザアカウントとの対応付けを定義したデータベースを用意する必要がなくなり、管理対象となるデータ量を減らすことができる。更に、Midだけを参照すれば会計ユーザアカウントを特定可能であり、データベースを参照する必要がないので、処理速度を向上させることもできる。
【0106】
(5)また例えば、時期制限部204は、金融機関システム1又は会計システム2に含まれていればよく、金融機関システム1に含まれていてもよい。この場合、時期制限部204は、制御部11を主として実現される。時期制限部204は、利用開始時期が訪れていないMidを受信したとしても、当該Midを利用した振込をしないように制限することになる。また例えば、状況制限部205は、金融機関システム1又は会計システム2に含まれていればよく、金融機関システム1に含まれていてもよい。状況制限部205は、ユーザの会計システム2へのログイン状況に基づいて、当該ユーザのMidを利用した振込をしないように制限することになる。
【0107】
(6)また例えば、上記説明した変形例の2つ以上を組み合わせてもよい。
【0108】
また例えば、振込制御システムSは、実施形態で説明したように1件1件の振込を個別に実行するのではなく、複数の振込をまとめて実行するようにしてもよい。この場合、会計システム2から金融機関システム1に対して送信される振込内容情報は、複数の振込の各々の内容を含むことになる。金融機関システム1は、Midの正当性のチェックが完了すると、振込内容情報に含まれる複数の振込を同時又は連続的に実行することになる。
【0109】
また例えば、振込制御システムSは、3つ以上の会計システム2を含んでも良いし、1つだけの会計システム2を含んでもよい。会計システム2が1つだけであれば、会計システム2ごとにMidを発行する必要がないので、Midによって会計システム2を識別可能にしなくてもよい。また例えば、Midがユーザに通知されない場合を説明したが、Midはユーザに通知されてもよい。また例えば、ユーザは会計システム2上で自身のMidを確認できるようにしてもよい。また例えば、Midの発行指示は、ユーザが会計システム2にログインしていない状態で行われてもよく、金融機関システム1に対し、ユーザがMidを発行したい会計システム2を指定してもよい。また例えば、会計システム2の認証情報の正当性のチェックは省略してもよい。
【0110】
また例えば、振込制御システムSに含まれるコンピュータは、
図1の例に限られず、金融機関システム1及び会計システム2は、それぞれ複数台のサーバコンピュータが含まれていてもよい。また例えば、上記説明した機能のうち、アクセス制御部203、時期制限部204、及び状況制限部205は省略してもよい。
【解決手段】振込制御システムの金融機関システムと会計システムを含み、金融機関システムの記憶手段は、発行手段が発行した振込依頼人識別情報を、発行指示をしたユーザの口座を識別可能な状態で記憶する。会計システムの送信手段は、振込依頼受付手段が振込依頼を受け付けた場合に、金融機関システムに対し、当該振込依頼をしたユーザの振込依頼人識別情報と、当該振込依頼に係る振込内容情報と、を送信する。金融機関システムの振込実行手段は、会計システムから受信した振込依頼人識別情報が金融機関システムの記憶手段に存在するかを判定する判定手段の判定結果に基づいて、振込依頼人識別情報により識別される口座から振込内容情報に応じた振込を実行する。