特許第6247458号(P6247458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247458
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】車両用排気ガス再循環バルブ
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/70 20160101AFI20171204BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F02M26/70 301
   F02M26/70 330
   F16K1/22 D
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-124588(P2013-124588)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2014-118967(P2014-118967A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0147803
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林在泌
(72)【発明者】
【氏名】鄭燦石
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−136886(JP,A)
【文献】 特開平08−042550(JP,A)
【文献】 特開2008−121711(JP,A)
【文献】 実開昭62−172877(JP,U)
【文献】 特開2004−019784(JP,A)
【文献】 特開2004−068869(JP,A)
【文献】 特開2010−174735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/70
F16K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが流れる流路が形成されたハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に設置されたシャフトと、
前記シャフトを中心に回転可能に備えられ前記流路を開閉するフラップバルブと、
前記シャフトに備えられたブッシュと、
前記フラップバルブと前記ブッシュの間の前記シャフトに設置されたアンチウェアワッシャーと、
前記シャフトに設置され前記ブッシュを弾性支持するスプリングと、を含み、
前記フラップバルブには、
前記アンチウェアワッシャーが前記フラップバルブに固定されるように、前記フラップバルブの上部の一部がカッティングされたフラップカッティング部が形成されたことを特徴とする車両用排気ガス再循環バルブ。
【請求項2】
前記フラップカッティング部の高さは、2.3〜2.7mmであることを特徴とする、請求項1に記載の車両用排気ガス再循環バルブ。
【請求項3】
前記アンチウェアワッシャーの厚さは、2.3〜2.7mmであることを特徴とする請求項に記載の車両用排気ガス再循環バルブ。
【請求項4】
前記アンチウェアワッシャーには、前記アンチウェアワッシャーが前記フラップカッティング部に固定されるように前記アンチウェアワッシャーの周縁の両側一部がカッティングされたワッシャーカッティング部が形成されたことを特徴とする請求項に記載の車両用排気ガス再循環バルブ。
【請求項5】
前記ブッシュは、前記ハウジングにキーによって固定されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用排気ガス再循環バルブ。
【請求項6】
前記スプリングと前記ブッシュの間の前記シャフトには上部ブッシュが備えられたことを特徴とする請求項1に記載の車両用排気ガス再循環バルブ。
【請求項7】
前記上部ブッシュは、ステンレススチールからなることを特徴とする請求項に記載の車両用排気ガス再循環バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用排気ガス再循環バルブに係わり、より詳しくは、バルブの耐久性を向上させることができる車両用排気ガス再循環バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、NOx(窒素酸化物)は高圧、高温の時に酸素と窒素が結合して発生する有害ガスである。これを抑制するために、大気中に排出される排気ガスの一部を再び吸気系統側に供給して最高燃焼温度を低め、酸素供給を減らしてNOxの生成を低減させるEGR(exhaust gas recirculation)システムが使用される。
【0003】
前記EGRシステムで、大気中に排出される排気ガスの一部を再び吸気系統側に供給する排気ガスの量によって燃料の燃焼状態が左右されることにより、エンジンの出力と排出ガスに含まれるNOxとPM(粒子状物質)などに影響を与える。
【0004】
即ち、EGRシステムは、エンジンから排出される排気ガスの一部をシリンダーの吸気装置に戻すことによってエンジンの燃焼温度を下げ、NOxの発生量を低減させる。
【0005】
前記のようにEGRシステムではリターンされる排気ガスの量が重視され、前記リターンされる排気ガスを制御するものがEGRバルブである。
【0006】
そして、排気ガスの再循環を制御するために再循環流路にはフラップバルブ(flap valve)が設置され、駆動部とこれに連結されたレバーを用いて前記フラップバルブの開度を制御する。
【0007】
しかし、再循環される排気ガスの温度が高く、エンジンの稼働状態によって開放および閉鎖動作を繰り返すことにより、フラップバルブおよびレバーを含む部品に反復的な応力が集中されて、その耐久性が低減されることがある。
【0008】
即ち、図1に示されているように、一般的なEGRバルブの場合、フラップバルブ12とブッシュ11の接触面の摩耗で上向シフト(shift)されて、フラップバルブ12とハウジング13の接触される部分Aが摩耗される問題がある。
【0009】
そして、熱間時にフラップバルブ12がハウジングに挟まって作動不能状態になることがあるという問題がある。
【0010】
このために材質をステンレススチール(SUS)を使用する場合、約550℃以上で硬度が急激に低下して、耐摩耗性に不利である。また、製造工法上、鋳造および溶接性のためにフラップバルブ12をブッシュ11と同一な材質で製作するのが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−233023号公報
【特許文献2】韓国出願公開第2011−0041265号明細書
【特許文献3】米国特許第8291885号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、フラップバルブの耐久性を向上させて使用寿命が延長され得るようにした車両用排気ガス再循環バルブを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するための本発明の実施形態による車両用排気ガス再循環バルブは、排気ガスが流れる流路が形成されたハウジング;前記ハウジングに回転可能に設置されたシャフト;前記シャフトを中心に回転可能に備えられ前記流路を開閉するフラップバルブ;前記シャフトに備えられたブッシュ;前記フラップバルブと前記ブッシュの間の前記シャフトに設置されたアンチウェアワッシャー;および前記シャフトに設置され前記ブッシュを弾性支持するスプリング;を含むことができる。
【0014】
前記フラップバルブには、前記アンチウェアワッシャーが前記フラップバルブに固定されるように、前記フラップバルブの上部の一部がカッティングされたフラップカッティング部が形成され得る。
【0015】
前記フラップカッティング部の高さは、2.3〜2.7mmにすることができる。
【0016】
前記アンチウェアワッシャーの厚さは、2.3〜2.7mmにすることができる。
【0017】
前記アンチウェアワッシャーには、前記アンチウェアワッシャーが前記フラップカッティング部に固定されるように前記アンチウェアワッシャーの周縁の両側一部がカッティングされたワッシャーカッティング部が形成され得る。
【0018】
前記アンチウェアワッシャーは、インコネル713Cからなり得る。
【0019】
前記アンチウェアワッシャーと前記ブッシュが接触する部分にはタクシコン(TACSiCoN)がコーティングされ得る。
【0020】
前記ブッシュは、前記ハウジングにキーによって固定され得る。
【0021】
前記スプリングは、インコネルX−750からなり得る。
【0022】
前記スプリングと前記ブッシュの間の前記シャフトには上部ブッシュが備えられ得る。
【0023】
前記上部ブッシュは、ステンレススチールからなり得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明による車両用排気ガス再循環バルブは、バルブの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一般的な車両用排気ガス再循環バルブの構成を示した図面である。
図2】本発明による車両用排気ガス再循環バルブの組み立て完了前の斜視図である。
図3】組み立てが完了した本発明による車両用排気ガス再循環バルブの作動状態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明による好ましい実施形態を詳しく説明する。
【0027】
但し、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図面に示されたところに限定されず、様々な部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0028】
また、本発明の実施形態を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の図面符号を付与して説明する。
【0029】
図2は本発明による車両用排気ガス再循環バルブの組み立て完了前の斜視図であり、図3は組み立てが完了した本発明による車両用排気ガス再循環バルブの作動状態を示した図面である。
【0030】
図面を参照すれば、本発明による車両用排気ガス再循環バルブは、排気ガスが流れる流路20aが形成されたハウジング20と、このハウジング20に回転可能に設置されたシャフト21と、このシャフト21を中心に回転可能に備えられて前記流路20aを開閉するフラップバルブ22と、前記シャフト21に備えられたブッシュ23と、前記フラップバルブ22とブッシュ23の間のシャフト21に設置されたアンチウェアワッシャー(anti−wear washer)26と、前記ブッシュ23を弾性支持するように前記シャフト21に設置されたスプリング25を含む。
【0031】
前記フラップバルブ22には、アンチウェアワッシャー26がフラップバルブ22の内側に固定されるように、フラップバルブ22の上部の一部がカッティングされたフラップカッティング部22aが形成される。
【0032】
そして前記フラップカッティング部22aの高さは2.3〜2.7mmであり、前記アンチウェアワッシャー26の厚さもフラップカッティング部22aの高さに合うように2.3〜2.7mmであるのが好ましい。例えば、前記アンチウェアワッシャー26の厚さが2.5mmであれば、フラップカッティング部22aの高さも2.5mmにすればよい。
【0033】
また、前記アンチウェアワッシャー26には、前記アンチウェアワッシャー26がフラップカッティング部22aの内側に挿入されるように、アンチウェアワッシャー26の周縁の両側一部がカッティングされたワッシャーカッティング部26aが形成される。その理由は、前記フラップバルブ22の回転時に前記フラップバルブ22と共に前記アンチウェアワッシャー26が回転できるようにするためである。
【0034】
そして前記アンチウェアワッシャー26は、厚さが2.5mmでも高温剛性を維持することができるようにインコネル713Cを適用する。
【0035】
また、前記フラップバルブ22の回転時にアンチウェアワッシャー26とブッシュ23が回転する時、前記アンチウェアワッシャー26とブッシュ23の接触の部分にはタクシコン(TACSiCoN;TiAlCrSiCN)がコーティングされる。前記タクシコンは、本発明の出願人によって考案された耐摩耗性、耐焼着強化コーティング剤である。
前記ブッシュ23の外周にはキー溝23aが形成され、前記キー溝23aにはキー23bが挿入されて、前記ブッシュ23が前記ハウジング20に固定される。これにより、ブッシュ23とハウジング20間キー装着構造で高温での熱膨張差によるブッシュ23の離脱を防止する。一般的な排気ガス再循環バルブの場合、ブッシュ23が圧入方法によって設置されることによって、約700℃以上の高温では離脱する問題点があった。
【0036】
また、前記スプリング25はインコネルX−750が適用されることによって、前記フラップバルブ22の上下流動によるアンチウェアワッシャー26の脆性を防止する。即ち、高温でのスプリング25の弾性を維持するためにインコネル材質が適用されたのである。
【0037】
一般的な排気ガス再循環バルブの場合、スプリング25がステンレススチールからなって使用中に弾性が喪失されていた。
【0038】
そして前記スプリング25とブッシュ23の間のシャフト21には上部ブッシュ24が備えられ、この上部ブッシュ24はステンレススチール(例えば、SUS316)からなる。
【0039】
前記のような構成を有する本発明による車両用排気ガス再循環バルブの作用を説明する。ここで、本発明による車両用排気ガス再循環バルブの特徴的な作用のみを説明する。
【0040】
図2および図3を参照すれば、エンジンの作動状態によってECU(engine control unit)は前記シャフト21を回転させて前記フラップバルブ22を開閉させる。エンジンの作動状態による前記ECUの作動および構成などは本発明が属する技術分野の通常の技術者に自明の事項であるので、詳しい説明は省略する。
【0041】
本発明による車両用排気ガス再循環バルブは、高温(750℃以上)で使用するフラップバルブ22方式が適用されたEGRバルブであって、ブッシュ(高硬度焼結材)23と接触回転して摩擦が発生されるフラップバルブ(ステンレススチール材)22の摩耗が防止されるようにしたものである。
【0042】
このために、高温剛性を維持するためにアンチウェアワッシャー26をインコネル713および高温耐磨耗/耐焼着用特殊コーティング(タクシコン:TiAlCrSiCN)処理する。また、アンチウェアワッシャー26を、アンチウェアワッシャー26の固定のためのフラップカッティング部22aが備えられたフラップバルブ22と、離脱防止用キー溝23aが形成されたブッシュ23との間に組み立てて、フラップバルブ22の摩耗を防止した。
【0043】
また高温での弾性を維持するインコネルX750材質のスプリング25を適用して、上下振動を吸収して約2.5mmの厚さを有するワッシャー26の強健性を維持するようにした。
【0044】
前述のように本発明は図面に示された一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な実施形態が可能であるという点を理解することができる。従って、本発明の真正の保護範囲は添付された特許請求の範囲によってのみ決められなければならない。
【符号の説明】
【0045】
20:ハウジング
21:シャフト
22:フラップバルブ
22a:フラップカッティング部
23:ブッシュ
25:スプリング
26:アンチウェアワッシャー
図1
図2
図3