(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
<第1実施形態>
[A]放射性廃棄物固化装置
図1は、第1実施形態に係る放射性廃棄物固化装置の概要を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、放射性廃棄物固化装置1は、混合部21と成形部31と焼成部41とを有する。
【0013】
放射性廃棄物固化装置1は、原子力発電プラント、燃料再処理施設などの原子力関連施設内で使用した手袋、防護服、布帽子などの可燃物について焼却処理が行なわれることによって生じた焼却灰F11について、固化処理を行う。
【0014】
以下より、放射性廃棄物固化装置1を構成する各部について、順次、説明する。
【0015】
[A−1]混合部21
混合部21は、放射性物質を含有する焼却灰F11に、粘土鉱物F12を添加して混合する。
【0016】
具体的には、混合部21は、混合機(ミキサー)を備えており、その混合機のタンクの内部に、焼却灰F11の粉体が第1供給部11から供給される。
【0017】
また、混合部21は、第2供給部12から粘土鉱物F12の粉体が混合機のタンクに供給される。
【0018】
この他に、混合部21は、第3供給部13から、水F13が混合機のタンクに供給される。
【0019】
混合部21においては、焼却灰F11と粘土鉱物F12と水F13とのそれぞれが、計量された後に、混合機のタンクに供給される。
【0020】
そして、混合部21は、放射性物質を含有する焼却灰F11と、粘土鉱物F12と、水F13とを撹拌して混合することによって、混合物F21を形成する。
【0021】
[A−2]成形部31
成形部31は、混合部21において焼却灰F11と粘土鉱物F12と水F13とが混合された混合物F21を成形する。
【0022】
成形部31は、たとえば、プレス機および金型(ダイ)を備えており、プレス機および金
型を用いて、混合物F21を成形する。具体的には、成形部31は、混合物F21が金型
に供給され、その混合物F21をプレス機でプレスすることで、
可塑性を有する成形体F
31を形成する。
【0023】
この他に、成形部31については、たとえば、押出成形機を用いて混合物F21を成形するように構成してもよい。
[A−3]焼成部41
焼成部41は、成形部31によって成形された成形体F31を焼成して固化する。
【0024】
焼成部41は、電気炉、ガス炉などの焼成炉を備えており、その焼成炉に成形体F31が供給される。そして、焼成部41は、焼成炉を用いて、成形体F31を焼成して固化させることによって、固化体F41(焼成体)を形成する。
【0025】
焼成部41において形成された固化体F41は、ドラム缶などの容器51に収容される。
【0026】
[B]放射性廃棄物の処分方法
図2は、第1実施形態に係る、放射性廃棄物について処分するときのフロー図である。
【0027】
放射性物質を含有する焼却灰F11(
図1参照)について処分するために、焼却灰F11を固化処理する手順について、
図2を参照して、具体的に説明する。
【0028】
[B−1]混合ステップ(ST1)
まず、
図2に示すように、混合を行う(ST1)。
【0029】
ここでは、
図1に示したように、焼却灰F11の粉体と、粘土鉱物F12の粉体と、水F13とが、混合部21に供給され、混合部21において混合される。
【0030】
粘土鉱物F12は、粘土を構成する鉱物であり、たとえば、ベントナイト、カオリン、モルデナイト、モンモリオナイト、イライト、トドロカイト、ハロイサイト、セリサイト、アロフェンの少なくとも1種が添加される。
【0031】
粘土鉱物F12については、焼却灰F11が100重量部に対して、たとえば、下記の割合で添加する。この範囲よりも少ない場合には、成形体の可塑性が劣化し、成形体にひび割れや欠けが発する不具合が生ずる場合がある。また、この範囲よりも多い場合には、成形体および焼成体の体積が増加し、収納容器の本数が増加する不具合が生ずる場合がある。
【0032】
(粘土鉱物F12の添加条件)
・粘土鉱物・・・5重量部以上、20重量部以下
【0033】
また、水F13については、焼却灰F11が100重量部に対して、たとえば、下記の割合で添加する。この範囲よりも少ない場合には、成形体の可塑性が劣化しひび割れが発生する不具合が生ずる場合がある。また、この範囲よりも多い場合には、成形体の流動性が増加し、形状を保持できないという不具合が生ずる場合がある。
【0034】
(水F13の添加条件)
・水 ・・・0.1重量部以上、5重量部以下
【0035】
[B−2]成形ステップ(ST2)
つぎに、
図2に示すように、成形を行う(ST2)。
【0036】
ここでは、
図1に示したように、混合部21から供給された混合物F21について、成形部31が成形する。
【0037】
本実施形態では、たとえば、プレス機および金型を用いて、混合物F21を加圧して成形する。これにより、たとえば、円筒形状の成形体F31を形成する。
【0038】
この他に、成形体F31が、たとえば、直方体になるように、成形を行なってもよい。
【0039】
[B−3]焼成ステップ(ST3)
つぎに、
図2に示すように、焼成を行う(ST3)。
【0040】
ここでは、
図1に示したように、成形部31によって成形された成形体F31を、焼成部41が焼成して固化する。
【0041】
本実施形態では、焼成炉を用いて成形体F31を焼成することによって、固化体F41(焼成体)を形成する。
【0042】
そして、その固化体F41を、ドラム缶などの容器51に収容する(
図1参照)。
【0043】
[C]実施例
以下より、本実施形態の実施例について説明する。
【0044】
実施例においては、
図2に示したように、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)と、焼成ステップ(ST3)とを、順次、行うことによって、固化体(焼成体)を作製した。
【0045】
(実施例1)
実施例1では、まず、混合ステップ(ST1,
図2)において、下記の混合条件で、焼却灰の粉体と、粘土鉱物の粉体と、水とを混合した。本実施例では、アルミナ製の乳鉢において混合を行い、混合物を得た。
【0046】
(混合条件)
・焼却灰 100重量部
・粘土鉱物(ベントナイト) 20重量部
・水 10重量部
【0047】
つぎに、成形ステップ(ST2,
図2)においては、下記の成形条件で、プレス機および金型(ダイ)を用いて、混合物を加圧して成形した。これにより、たとえば、直径が約20mmであって、高さが約10mmである、円筒形状の成形体を形成した。
【0048】
(成形条件)
・プレス圧 ・・・50kg/cm
2
【0049】
つぎに、焼成ステップ(ST3,
図2)においては、下記の焼成条件で電気炉を用いて成形体を焼成することによって、固化体(焼成体)を形成した。
【0050】
(焼成条件)
・環境 ・・・大気雰囲気
・焼成温度 ・・・900℃
・焼成時間 ・・・3時間
【0051】
(実施例2)
実施例2においては、実施例1と同様にして、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)とを行った。その後、焼成ステップ(ST3)においては、焼成温度が下記である点を除き、実施例1と同様な焼成条件で成形体を焼成し、固化体(焼成体)を形成した。
【0052】
(焼成条件)
・焼成温度 ・・・1000℃
【0053】
(実施例3)
実施例3においては、実施例1と同様にして、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)とを行った。その後、焼成ステップ(ST3)においては、焼成温度が下記である点を除き、実施例1と同様な焼成条件で成形体を焼成し、固化体(焼成体)を形成した。
【0054】
(焼成条件)
・焼成温度 ・・・1100℃
【0055】
(実施例4)
実施例4においては、粘土鉱物の混合割合が下記である点を除き、実施例1と同様にして、焼却灰の粉体と、粘土鉱物の粉体と、水とを混合した。その後、実施例1と同様に、成形ステップ(ST2)と、焼成ステップ(ST3)とを、順次、行うことによって、固化体を作製した。
【0056】
(混合条件)
・粘土鉱物(ベントナイト) 10重量部
【0057】
(実施例5)
実施例5においては、実施例4と同様にして、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)とを行った。その後、焼成ステップ(ST3)においては、焼成温度が下記である点を除き、実施例4と同様な焼成条件で成形体を焼成し、固化体(焼成体)を形成した。
【0058】
(焼成条件)
・焼成温度 ・・・1000℃
【0059】
(実施例6)
実施例6においては、実施例4と同様にして、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)とを行った。その後、焼成ステップ(ST3)においては、焼成温度が下記である点を除き、実施例4と同様な焼成条件で成形体を焼成し、固化体(焼成体)を形成した。
【0060】
(焼成条件)
・焼成温度 ・・・1100℃
【0061】
(実施例7)
実施例7においては、粘土鉱物の混合割合が下記である点を除き、実施例1と同様にして、焼却灰の粉体と、粘土鉱物の粉体と、水とを混合した。その後、実施例1と同様に、成形ステップ(ST2)と、焼成ステップ(ST3)とを、順次、行うことによって、固化体(焼成体)を作製した。
【0062】
(混合条件)
・粘土鉱物(ベントナイト) 5重量部
【0063】
(実施例8)
実施例8においては、実施例7と同様にして、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)とを行った。その後、焼成ステップ(ST3)においては、焼成温度が下記である点を除き、実施例7と同様な焼成条件で成形体を焼成し、固化体(焼成体)を形成した。
【0064】
(焼成条件)
・焼成温度 ・・・1000℃
【0065】
(実施例9)
実施例9においては、実施例7と同様にして、混合ステップ(ST1)と、成形ステップ(ST2)とを行った。その後、焼成ステップ(ST3)においては、焼成温度が下記である点を除き、実施例7と同様な焼成条件で成形体を焼成し、固化体(焼成体)を形成した。
【0066】
(焼成条件)
・焼成温度 ・・・1100℃
【0067】
表1では、上記実施例について、収縮率を求めた結果を示している。ここでは、焼成前の成形体の寸法と、焼成後の固化体(焼成体)の寸法とを計測し、焼成によって収縮した割合を収縮率として求めた。各実施例においては、2つのサンプルを準備し、その2つのサンプルについて収縮率を求めた。そして、表1では、その求めた収縮率の平均値を示している。
【0069】
表1に示すように、実施例1から実施例9のそれぞれは、収縮率が1.4〜2.7%であり、焼結固化が確認された。
【0070】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態においては、放射性物質を含有する焼却灰F11に粘土鉱物F12を添加して混合する。そして、その焼却灰F11と粘土鉱物F12とが混合された混合物F21を成形する。そして、成形体F31を焼成して固化する。
【0071】
このように、本実施形態では、焼却灰F11に粘土鉱物F12を添加しているので、焼成によって形成される固化体F41に、ひびや、欠けが発生することを抑制することができる。特に、本実施形態では、焼却灰F11に粘土鉱物F12を添加する他に、少量の水F13を添加しているので、可塑性が生じて、好適に成形を行うことができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、焼却灰F11に含有する放射性核種が、粘土鉱物F12に吸着するので、焼成の際の加熱により、放射性核種が揮発することを防止することができる。特に、本実施形態では、焼却灰F11に粘土鉱物F12を添加する他に、少量の水F13を添加しているので、放射性セシウムなどの放射性核種が、効果的に粘土鉱物F12に吸着するため、好ましい。
【0073】
したがって、本実施形態においては、放射性廃棄物について効率的に固化処理を行うことができる。
【0074】
上記したように、本実施形態においては、粘土鉱物F12として、たとえば、ベントナイト、カオリン、モルデナイト、モンモリオナイト、イライト、トドロカイト、ハロイサイト、セリサイト、アロフェンの少なくとも1種を添加する。このため、本実施形態では、放射性核種を効果的に吸着し、かつ、可塑性を向上するため、少量の添加によりそれらの効果が得られる。
【0075】
上記したように、本実施形態においては、プレス機および金型を用いて混合物F21を成形する。
このため、本実施形態では、大量の焼却灰を短時間に処理し、かつ、同じ寸法と形状に成形する効果が得られる。
【0076】
上記したように、押出成形機を用いて混合物F21を成形してもよい。この場合には、大量の焼却灰を連続的工程で短時間に処理できるという効果が得られる。
【0077】
上記したように、本実施形態では、混合物F21を円筒形の成形体F31に成形する。このため、成形体F31を焼成させて得た固化体F41を、円筒形状の容器51に、多数、充填することができる。また、混合物F21を直方体の成形体F31に成形した場合には、その成形体F31を焼成させて得た固化体F41を、直方体の容器51に、多数、充填することができるので、好適である。さらに、円筒形または直方体の成形体F31にしたときには、放射能が高い場合であっても、ロボットアームなどの搬送装置によって、容易に取り扱うことができ、効率的に搬送を行うことができる。
【0078】
上記したように、本実施形態では、大気雰囲気において、電気炉もしくはガス炉を用いて成形体F31を焼成して固化する。この場合には、一度に大量の成形体を焼成できるという効果が得られる。
【0079】
[E]変形例
上記の実施形態では、成形ステップ(ST2)において、円筒形状の成形体を形成する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、成形体を直方体形状に形成してもよい。固化物を収容する保管容器が円筒形状の場合には、成形体を円筒形状に成形し、保管容器が直方体形状の場合には、成形体を直方体形状に成形することが好ましい。これにより、保管容器に固化体を効率よく充填することができる。この他に、成形体を円筒形状または直方体形状にしたときには、遠隔操作の際に取り扱いが容易で搬送しやすいため、好適である。
【0080】
<第2実施形態>
[A]放射性廃棄物固化装置
図3は、第2実施形態に係る放射性廃棄物固化装置の概要を示すブロック図である。
【0081】
本実施形態は、
図3に示すように、第4供給部14を更に有する点が、第1実施形態の場合と異なる(
図1参照)。本実施形態は、上記の点、及び、関連する点を除き、上記の実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において重複する個所については、適宜、記載を省略する。
【0082】
本実施形態においては、
図3に示すように、第1実施形態の場合と同様に、焼却灰F11の粉体と、粘土鉱物F12の粉体と、水F13とのそれぞれが、第1供給部11と第2供給部12と第3供給部13とのそれぞれから、混合部21に供給される。
【0083】
この他に、本実施形態では、
図3に示すように、第1実施形態の場合と異なり、混合部21にガラスF14の粉末が更に添加されて混合される。
【0084】
そして、第1実施形態の場合と同様に、混合部21において焼却灰F11と粘土鉱物F12と水F13とガラスF14とが混合された混合物F21が、成形部31において成形される。
【0085】
その後、成形部31によって成形された成形体F31が、焼成部41において焼成され固化される。
【0086】
[B]放射性廃棄物の処分方法
放射性物質を含有する焼却灰F11(
図3参照)について処分するために、焼却灰F11を固化処理する手順について、
図2を参照して、具体的に説明する。
【0087】
本実施形態では、まず、混合ステップ(ST1,
図2参照)において、焼却灰F11の粉体と、粘土鉱物F12の粉体と、水F13と共に、ガラスF14の粉体を混合する。
【0088】
ガラスF14としては、たとえば、酸化ケイ素と酸化ビスマスとの少なくとも1種を含むものを添加して混合する。
【0089】
本実施形態のようにガラスF14を添加する場合、粘土鉱物F12については、焼却灰F11が100重量部に対して、たとえば、下記の割合で添加する。この範囲よりも少ない場合には、可塑性が低下し、ひび割れ等が発生する不具合が生ずる場合がある。また、この範囲よりも多い場合には、成形体および焼成体の体積が増加し、容器の本数が増加するという不具合が生ずる場合がある。
【0090】
(粘土鉱物F12の添加条件)
・粘土鉱物・・・1重量部以上、30重量部以下
【0091】
水F13については、焼却灰F11が100重量部に対して、たとえば、下記の割合で添加する。この範囲よりも少ない場合には、成形体の可塑性が劣化しひび割れが発生する不具合が生ずる場合がある。また、この範囲よりも多い場合には、成形体の流動性が増加し、形状を保持できないという不具合が生ずる場合がある。
【0092】
(水F13の添加条件)
・水 ・・・0.1重量部以上、5重量部以下
【0093】
ガラスF14については、焼却灰F11が100重量部に対して、たとえば、下記の割合で添加する。この範囲よりも少ない場合には、焼成時の収縮の度合いが小さく、高い減容率を得たい場合に不十分であるという不具合が生ずる場合がある。また、この範囲よりも多い場合には、成形体および焼成体の体積が増加し、容器の本数が増加するという不具合が生ずる場合がある。
【0094】
(ガラスF14の添加条件)
・ガラス ・・・10重量部以上、50重量部以下
【0095】
そして、上記のように混合ステップ(ST1)を行った後には、第1実施形態の場合と同様に、成形ステップ(ST2)、焼成ステップ(ST3)を順次行う(
図2参照)。
【0096】
[C]実施例
以下より、本実施形態の実施例について説明する。
【0097】
(実施例101)
実施例101では、まず、混合ステップ(ST1,
図2)において、下記の混合条件で、焼却灰の粉体と、粘土鉱物の粉体と、ガラスの粉体と、水とを混合した。ここでは、下記の組成Aで構成されたガラスの粉体を用いた。
【0098】
(混合条件)
・焼却灰 100重量部
・粘土鉱物(ベントナイト) 1重量部
・ガラス 10重量部
・水 10重量部
【0099】
(ガラスの組成A)
・SiO
2 ・・・ 15重量%以上,30重量%以下
・Al
2O
3 ・・・ 15重量%,30重量%以下
・B
2O
3 ・・・ 25重量%,40重量%以下
・MgO ・・・ 1重量%,5重量%以下
・CaO ・・・ 1重量%,5重量%以下
・BaO ・・・ 1重量%,5重量%以下
・ZnO ・・・ 1重量%,5重量%以下
・Li
2O ・・・ 5重量%,10重量%以下
【0100】
その後、実施例1と同様に、成形ステップ(ST2)と、焼成ステップ(ST3)とを、順次、行うことによって、固化体を作製した。
【0101】
(実施例102)
実施例102では、まず、混合ステップ(ST1,
図2)において、実施例101の場合と同様な混合割合で、焼却灰の粉体と、粘土鉱物の粉体と、ガラスの粉体と、水とを混合した。ここでは、実施例101の場合と異なり、下記の組成Bで構成されたガラスの粉体を用いた。
【0102】
(ガラスの組成B)
・SiO
2 ・・・ 5重量%以上,15
重量%以下
・Al
2O
3 ・・・ 1重量%以上,5
重量%以下
・B
2O
3 ・・・ 60重量%以上,80
重量%以下
【0103】
その後、実施例1と同様に、成形ステップ(ST2)と、焼成ステップ(ST3)とを、順次、行うことによって、固化体を作製した。
【0104】
表2では、上記実施例について、収縮率を求めた結果を示している。ここでは、焼成前の成形体の寸法と、焼成後の固化体(焼成体)の寸法とを計測し、焼成によって収縮した割合を収縮率として求めた。各実施例においては、2つのサンプルを準備し、その2つのサンプルについて収縮率を求めた。そして、表2では、その求めた収縮率の平均値を示している。
【0106】
表2に示すように、実施例101,実施例102では、収縮率が7.0%,5.8%であり、焼結固化が確認された。
【0107】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態においては、焼却灰F11よりも融点が低いガラスF14を更に添加している。このため、焼成のときの加熱により、ガラスF14が溶融したときには、焼却灰F11および粘土鉱物F12に存在する空隙が、その液化したガラスF14の表面張力によって収縮する。その結果、固化が促進される。
【0108】
したがって、本実施形態においては、放射性廃棄物について効率的に固化処理を行うことができる。
【0109】
本実施形態において、ガラスF14は、粉末であるため、混合により、均一に分散させることができる。
【0110】
また、本実施形態において、ガラスF14は、酸化ケイ素と酸化ビスマスとの少なくとも1種を主成分として含むものであって、比較的安定して入手が可能なものであるため、好適である。
【0111】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。