(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作補助装置は、さらに歩行に関連する四肢の動作状態値を検出する補助検出部を有し、前記開始タイミングの設定は、前記補助検出部で検出した四肢の動作状態値と所定値との比較に基づいて設定されることを特徴とする請求項4記載の動作補助装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<動作補助装置の全体構成の概要>
図1は、本実施形態の動作補助装置を装着した装着者Mの腰部及び下肢を左方から見た側面で表している。この動作補助装置は、一例として装着者Mの足首関節の回動動作を補助する形態のものである。この
図1において、動作補助装置1は、胴部用装具2と、脛部用装具3と、脛部用アーム4と、靴部5と、爪先側感圧センサ6と、踵側感圧センサ7と、制御部8と、駆動モータ9と、フレキシブルシャフト10と、駆動機構11と、回転センサ12と、通信装置13と、表示操作部14とを有している。
【0014】
胴部用装具2は、装着者Mの胴部に対してその周囲に巻装するよう装着する装具であり、当該装着者Mの胴囲が最も細い腰部の位置に安定的に装着される。
【0015】
脛部用装具3は、装着者Mの脛部に対してその周囲に巻装するよう装着する装具であり、図示する例では膝部のすぐ下の位置に安定的に装着される。
【0016】
脛部用アーム4は、梁状の構造物であり、その上端は上記脛部用装具3に固定され、下端は後述の駆動機構11に固定されている。
【0017】
靴部5は、装着者Mの足を内部に挿入するように装着する靴状の装具であり、足の姿勢を拘束するよう安定的に装着される。またこの靴部5のくるぶし付近も、後述の駆動機構11に固定されている。なお、上記の脛部用装具3、脛部用アーム4、及びこの靴部5を含めた全体が、一般的に言う短下肢装具を構成する。
【0018】
爪先側感圧センサ6は、上記靴部5内部の爪先側母指球部分付近の靴底に設けられた圧力センサであり、床面Fに対する装着者Mの爪先の負荷加重を検出する。踵側感圧センサ7は、上記靴部5内部の踵(かかと)側の靴底に設けられた圧力センサであり、床面Fに対する装着者Mの踵の負荷加重を検出する。なお、これら爪先側感圧センサ6及び踵側感圧センサ7が、各請求項記載の補助検出部に相当する。
【0019】
制御部8は、後述の駆動モータ9の駆動制御機能、及び後述の通信装置13や表示操作部14との通信機能を備えており、図示する例では上記胴部用装具2の背面に固定されている。
【0020】
駆動モータ9は、出力軸を回転駆動する回転型電動機であり、その出力軸を装着者Mの足首関節に向けた姿勢で、上記靴部5等を装着する側の胴部用装具2の側面に保持される。
【0021】
フレキシブルシャフト10は、その軸を自由に撓ませることが可能でありながら軸周りの回転駆動力を伝達可能なワイヤ状の長尺物である。このフレキシブルシャフト10の上端は、上記駆動モータ9の出力軸に直接的かつ同軸的に連結され、下端は装着者Mの足首関節付近に位置する駆動機構11の入力軸に連結される。このため、装着者Mが股間関節や膝関節を屈曲した際にはフレキシブルシャフト10もその全体が撓むが、駆動モータ9からの回転駆動力を駆動機構11まで確実に伝達する。
【0022】
駆動機構11は、特に図示しないが、ウォームギアを利用した減速器と駆動軸とを有しており、この例では減速器が上記脛部用アーム4に固定され、駆動軸が上記靴部5に固定されている。フレキシブルシャフト10の下端が減速器の入力軸に連結されており、上記駆動モータ9からフレキシブルシャフト10を介して伝達された回転駆動力が、減速器で減速されトルクを増加して駆動軸に出力される。これにより靴部5は、脛部用アーム4及び脛部用装具3に対して駆動軸を中心とした相対的な回動動作を行う。この駆動軸の位置が装着者Mの足首関節(くるぶし)と略一致するよう配置されていることで、駆動機構11は装着者Mの足首関節に対して同軸的に回動動作を補助できる。なお、減速器が上記靴部5に固定され、駆動軸が上記脛部用アーム4に固定されてもよい。この場合には相対回動動作の方向が逆になるが、駆動モータ9の正転と逆転の切り替えを逆に制御すればよい。
【0023】
回転センサ12は、上記駆動機構11の駆動軸と同軸的に設けられており、減速器と駆動軸との間の相対的な回転角を検出する(後述の
図3参照)。なお、この回転センサ12が、各請求項記載の動作検出部に相当する。
【0024】
通信装置13は、上記の爪先側感圧センサ6、踵側感圧センサ7、及び、回転センサ12にそれぞれ電気的に接続され、それらの検出値を無線通信を介して上記制御部8に送信する。
【0025】
表示操作部14は、上記制御部8と例えばUSB(Universal Serial Bus)などの着脱可能な有線インターフェースを介して接続され、制御部8から受信した情報の表示と、当該表示操作部14において入力された操作情報の制御部8への送信を行う。この例では、表示操作部14に、タッチパネルディスプレイを備えた一般的な携帯情報端末を利用しているが、他にもパーソナルコンピュータ(以下、PCという)などを利用してもよく、また接続するインターフェースも無線通信を利用してもよい。
【0026】
<動作補助装置の制御構成>
図2は、動作補助装置1の制御系の電気的構成を概念的に示すブロック構成を表している。この
図2において、通信装置13はマイコン13aとアンテナ13bを備えており、回転センサ12、爪先側感圧センサ6、及び踵側感圧センサ7からそれぞれ検出された検出値がマイコン13aに入力され、マイコン13aがアンテナ13bを介して逐次これら複数の検出値を多重的に制御部8へ無線送信する。
【0027】
制御部8においてもマイコン21と、アンプ22と、アンテナ23を備えており、アンテナ23の無線通信を介して通信装置13から受信した複数の検出値がマイコン21に入力される。この制御部8が備えるマイコン21は、特に詳細に図示しないが、CPU(制御部8に備えられた演算装置)、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置を備えたいわゆるコンピュータであり、当該動作補助装置1全体を制御する機能を有する。アンプ22は、マイコン21から入力されたモータ駆動指令に基づいて駆動モータ9の駆動を制御する。この際、駆動モータ9自体にモータ回転角エンコーダ(特に図示せず)が設けられている場合には、いわゆるセミクローズドループによる位置フィードバック制御を行う。
【0028】
駆動モータ9は上述したように、その回転駆動力をフレキシブルシャフト10を介して物理的に駆動機構11に伝達する。当該駆動機構11に設けられた回転センサ12が駆動機構11における駆動軸の相対回転角を物理的に検出して通信装置13内のマイコン13aに出力する。上記アンプ22は、この靴部5の回転センサ12の検出値を用いる場合には、いわゆるフルクローズドループによる位置フィードバック制御も可能となる。
【0029】
表示操作部14は、本実施携帯の例では後述する制御パターン設定処理を行う場合だけ制御部8と接続して情報を送受し、装備しているタッチパネルディスプレイを利用して単に制御部8の入出力デバイスとして用いる。しかし、この表示操作部14自体がマイコン21に相当する機能を有する場合(もしくはPCで構成する場合)には、後述の制御パターン設定処理のみを分担して実行してもよい。
【0030】
<本実施形態の特徴>
以上のように構成された動作補助装置1は、駆動モータ9を駆動源として、駆動機構11により足首関節を中心とした靴部5と脛部用装具3の間の相対的な回動運動を行わせる。
【0031】
本実施形態では、麻痺患者等に対するリハビリテーションでの使用を目的として、当該麻痺患者等の装着者Mによる能動的な関節の動作に対し、より健常者の動作に近づけるよう矯正する動作状態量で駆動機構11を駆動する。しかし、回動対象の関節の位置(部位)や関連する四肢動作の種類によっては、当該関節の回動動作の動作状態量、つまり回転角や回転トルクなどの時間変化パターンに大きな差異がある。また、健常者と麻痺患者等とでは、それぞれ装着者Mが能動的に行える回動動作の回転角や回転トルクの時間変化パターンが異なる。したがって駆動機構11の回動動作を駆動する駆動モータ9の駆動制御は、装着者Mの所定の四肢動作における動作補助対象の関節の回動動作に対して、適切な時間変化パターンに基づいて駆動制御する必要がある。
【0032】
これに対し、装着者Mが所定の四肢動作を行っている最中に関連する筋肉から検出した電流を参照して駆動モータ9の駆動制御を行う手法や、あらかじめ用意された既定の制御パターンに基づいて駆動モータ9の駆動制御を行う手法などが提案されていた。しかしながら、筋肉からの電流の検出は個人差が大きいため調整が困難であり、また麻痺患者の動作の時間変化パターンも症状の度合いや個人差によって差異が大きく、既定の制御パターンとの相違が大きい場合には逆にリハビリテーションの効果を損なう原因となった。
【0033】
これに対し本発明では、動作補助装置1が駆動機構11の動作状態量として回転角を検出する回転センサ12を備えている。そして駆動モータ9を無通電状態とすることにより駆動機構11を外力によって回動自在とした上で、装着者Mが能動的に歩行動作を行っている間に回転センサ12から検出された駆動機構11の回転角を麻痺脚での歩行周期(所定期間)の間に時系列的に記録した動作パターンを取得する。つまり、歩行動作における動作補助対象の足首関節の動作パターンを、装着者Mの個人別に得ることができる。この取得した動作パターンを適宜修正することにより、リハビリテーション等での矯正に適した動作パターンを容易に得ることができる。この修正した動作パターンは駆動機構11における回転角の時間変化パターンであるため、これを同じ歩行周期における駆動モータ9の回転角指令値等に変換した制御パターンを生成する。以上のような動作パターンを取得してから制御パターンを生成するまでの一連の処理を制御パターン設定処理といい、以下にその工程を順を追って説明する。
【0034】
<制御パターン設定処理>
図3は、上記
図1中の駆動機構11の周辺を拡大して表している。なお、この
図3中において、細部の図示を省略している。この
図3に示しているように、装着者Mが通常に起立した状態での靴部5と脛部用アーム4との間の相対角度を初期角0°とし、これに対して脛部用アーム4が靴部5に対して前傾(いわゆる屈曲)した角度を正値のθとして回転センサ12が検出する。この検出値はあくまでも脛部用アーム4と靴部5との間の相対角度であり、歩行中において靴部5が床面Fから離れて持ち上げられているか否かまでは検出しない。また一方、爪先側感圧センサ6と踵側感圧センサ7が、それぞれ装着者Mの歩行動作に関連する四肢の動作状態値として床面Fに対する装着者Mの爪先と踵の負荷加重を検出する。
【0035】
図4は、健常者の足、又は麻痺患者の健常脚の足(以下において健足という)と、麻痺足のそれぞれで歩行動作を行った際に、回転センサ12から検出した足首関節の回転角θを時系列的に記録した時間変化パターンである動作パターンを重ね合わせて表したチャートである。図示する例では、健足での1つの参照用動作パターン(図中の黒太実線曲線)と、麻痺足での6回分の動作パターンが重ね合わされている。通常、歩行動作は周期的に行われるものであり、この例では左右の足をそれぞれ交互に1歩分前に出す期間、つまり2歩分の歩行動作を行う期間を1歩行周期(所定期間)としている。一般的に、健常者と麻痺患者では歩行周期に差が生じるが、
図4では麻痺患者の歩行周期(図示する例の1.63秒)に合わせて健足の動作パターンの歩行周期(検出期間)を正規化している。この
図4から明らかなように、健足の参照用動作パターンと麻痺足の動作パターンには部分的に大きなギャップがあり、制御パターン設定処理では健足の参照用動作パターンに対して麻痺足の動作パターンを段階的に近づけるよう修正する。その修正した動作パターンに基づいて駆動モータ9用の制御パターンを生成し、これにより駆動機構11での回動動作を補助することでリハビリテーションを行う。
【0036】
また生成された制御パターンは1歩行周期に限定して設定されるため、周期的に行われる歩行動作に対して適切に同期できるようその開始タイミングも設定する必要がある。このために、爪先側感圧センサ6と踵側感圧センサ7がそれぞれ検出する負荷加重の時間変化パターンをそれぞれ状態値パターンとして取得し、これらのうちのいずれかを用いて制御パターンの開始タイミングを設定する。
図5は、麻痺足における踵側感圧センサ7(
図5(a))と爪先側感圧センサ6(
図5(b))でそれぞれ6回分の歩行周期で検出した負荷荷重の状態値パターンと、参考までに健足における爪先側感圧センサ6(
図5(b))での6回分の歩行周期で検出した負荷荷重の状態値パターンを表している。
図5(b)と
図5(c)を比較しても分かるように、麻痺足と健足とは同じ爪先の負荷加重の状態値パターンで大きく相違している。したがって麻痺足用の制御パターンの開始タイミングは、同じ麻痺足での負荷荷重の状態値パターンに基づいて設定すべきである。本実施形態の例では、麻痺足での踵側感圧センサ7から取得した負荷荷重の状態値パターンに基づいて開始タイミングを設定する場合を説明する。
【0037】
図6は、制御パターン設定処理の実行時における表示操作部14の表示例及び操作例を拡大して表している。この
図6において、表示操作部14のタッチパネルディスプレイ上には、その表示領域のうちの上方部分において動作パターンの修正用画像31が表示され、表示領域のうちの下方部分において開始タイミングの設定用画像32が表示され、その間の中央部分において麻痺足における足首関節の体勢状態の予想モデル
図33が参照用に時系列で複数表示されている。
【0038】
動作パターンの修正用画像31では、上記
図4で示したと同様の健足での参照用動作パターン(図中の黒太実線曲線)と、麻痺足での動作パターンが重ね合わされて表示されている。ただし、麻痺足の動作パターンは、6回分の動作パターンに対して毎時平均値などにより得られた代表値での動作パターンであり、さらに図示する例では歩行周期を所定の区分数(図示する例の16区分)で等分した各区分において棒グラフで表示している。そして各区分の棒グラフの上端にはスライダ35が表示されており、理学療法士などの設定者は各スライダ35を上下移動させるよう接触操作することで、麻痺足の動作パターンを健足の参照用動作パターンに近づけることができる。なお、このように手動による動作パターンの修正以外にも、各区分における健足と麻痺足の回転角の差を同じ段階数で除し、この除した回転角差を単位としてリハビリテーションの進行段階に応じて加減算することで自動的に麻痺足の動作パターンを修正してもよい(図示省略)。また、麻痺足の動作パターンを棒グラフではなく、折れ線グラフで表示してもよく、この場合には各節点を上下移動させるよう接触操作する。また、タッチパネルディスプレイを有しないPCなどで修正する場合には、ポインティングデバイスなどを利用してカーソルと重ね合わせて上下移動の操作を行ってもよい。
【0039】
また一方、開始タイミングの設定用画像32では、上記
図5(a)で示したと同様の麻痺足での踵加重の状態値パターンが、上方部分の動作パターンの修正用画像31と横軸の歩行周期を一致させて表示されている。またこの開始タイミングの設定用画像32においても、6回分の状態値パターンに対して毎時平均値などにより得られた代表値での状態値パターンが表示される。さらに、この状態値パターンの曲線上をトレース移動可能なマーカ36と、このマーカ36と同じ高さを維持するよう自動的に上下移動するレベル線37が歩行周期全体に渡って横一直線に表示されている。理学療法士などの設定者はマーカ36を状態値パターンの曲線上でトレース移動させるよう接触操作することで、動作パターンの歩行周期中における開始タイミングを設定できる。この開始タイミングは、マーカ36と同じ高さのレベル線37で定義される閾値(加重負荷での閾値;所定値)と、踵側感圧センサ7で検出される負荷加重との大小比較により行われる。
【0040】
しかし、状態値パターンは歩行周期を単位として周期的に変化するため、マーカ36と同じ高さのレベル線37はほとんどの場合、状態値パターンの曲線と2カ所以上で交差する。つまり負荷加重の検出値は、歩行周期内における時間経過と一意の関係になり。このため設定者は、できるだけレベル線37が曲線と2カ所で交差する関係となる範囲でマーカ36を移動し、レベル線37の閾値(図示する例の1.8kgf)と検出値との大小関係の変化に基づいて開始タイミングを設定する必要がある。図示する例では、状態値パターンの曲線上の検出値が、レベル線37の閾値を超えるタイミング(検出値が閾値より小さい関係から、検出値が閾値より大きい関係に切り替わったタイミング)をトリガーとして開始タイミングを設定している。なお、マーカー36を表示せずに直接レベル線37の上下移動を操作するようにしてもよく、この場合には2カ所以上の交点のうちどちらを開始タイミングとするか指定する必要がある。
【0041】
以上のように設定された開始タイミングを基点として、そこからシフトして1歩行周期分の修正動作パターンを取得する。この動作パターンは、駆動機構11における駆動軸の相対回転角の時間変化パターンであるため、これを駆動モータ9の制御回転角の時間変化パターンに変換することで制御パターンを生成できる(図示省略)。
【0042】
<制御パターン設定処理の制御フロー>
以上のような機能を実現するために、制御部8が備えるマイコン21のCPU(特に図示せず)が制御パターン設定処理で実行する制御手順(動作補助プログラム)を、
図7により順を追って説明する。
【0043】
図7において、このフローに示す処理は、制御パターンの設定を開始するよう操作された際に実行される。なお、この制御パターン設定処理は、表示操作部14を接続した状態で実行される必要がある。
【0044】
まずステップS105で、マイコン21のCPUは、健足若しくは健常者の動作パターンである参照用動作パターンを取得する。この場合での取得は、同じ動作補助装置1を健常者に装着して同様に動作パターンを取得してもよいし、もしくはあらかじめ用意されている既定の参照用動作パターンを、外部の記憶装置やサーバから通信手段を介して取得してもよい。
【0045】
次にステップS110へ移り、マイコン21のCPUは、麻痺足の動作パターンと状態値パターンを取得する。この場合での取得は、動作補助装置1を麻痺患者の麻痺足に装着し、駆動モータ9を無通電状態としてトルクを発生させない状態で装着者Mに能動的に歩行させる。またはフレキシブルシャフト10と駆動機構11との結合を一時的外して歩行しても良い。この際に回転センサ12から検出した回転角θと踵側感圧センサ7から検出した踵の負荷加重をそれぞれ時系列的に記録し、対応する歩行周期間でまとめて動作パターンと状態値パターンを取得する。なお、アンプ22がトルク制御可能である場合、駆動モータ9を通電したままトルクフリー(発生トルク=0)の状態として、動作パターンを取得してもよい。なお、このステップS110の手順が、各請求項記載の動作パターンを取得すること、及び、動作パターンを取得する手段に相当する。
【0046】
次にステップS115へ移り、マイコン21のCPUは、上記
図6に示したように表示操作部14のタッチパネルディスプレイ上に動作パターンと参照用動作パターンを重ね合わせて表示し、設定者による修正操作を受け付けて動作パターンを修正し変更する。なお、このステップS115の手順が、各請求項記載の動作パターンを修正すること、及び、動作パターンを修正する手段に相当する。
【0047】
次にステップS120へ移り、マイコン21のCPUは、上記
図6に示したように表示操作部14のタッチパネルディスプレイ上に状態値パターンと、マーカ36及びレベル線37を重ね合わせて表示し、設定者による設定操作を受け付けて開始タイミングを設定する。なお、上記ステップS115の動作パターンの修正手順と、このステップS120の開始タイミングの設定手順は、順序を入れ替えてもよいし、もしくは同時に行ってもよい。
【0048】
次にステップS125へ移り、マイコン21のCPUは、上記ステップS115で修正した動作パターンから、上記ステップS120で設定した開始タイミングを反映して、駆動モータ9を駆動制御するための制御パターンに変換し、生成する。なお、このステップS125の手順が、各請求項記載の制御パターンを生成すること、及び、制御パターンを生成する手段に相当する。そして、このフローを終了する。
【0049】
なお、特に図示しないが、動作補助装置1をリハビリテーションで使用する際には、制御部8が、踵側感圧センサ7から逐次検出される踵加重の検出値と、設定されたレベル線37の閾値との大小関係の切り替わりに基づいて、制御パターンでの駆動モータ9の駆動制御を開始する。なお、この制御部8の手順が、各請求項記載の駆動モータを駆動制御すること、及び、駆動モータを駆動制御する手段に相当する。
【0050】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の動作補助装置1及び動作補助プログラムによれば、動作補助装置1が駆動機構11の動作状態量を検出する回転センサ12を備えている。そして駆動モータ9を無通電状態又はトルクフリー状態とすることにより駆動機構11を外力によって回動自在とした上で、装着者Mが能動的に所定の四肢動作を行っている間に回転センサ12から検出された駆動機構11の動作状態量(回転角、トルクなど)を所定期間(歩行動作における歩行周期など)の間に時系列的に記録した動作パターンを取得する。つまり、所定四肢動作における動作補助対象の関節の動作パターンを、装着者Mの個人別に得ることができる。この取得した動作パターンを適宜修正することにより、リハビリテーション等での矯正に適した動作パターンを容易に得ることができる。この修正した動作パターンは駆動機構11における動作状態量の時間変化パターンであるため、これを同じ所定期間における駆動モータ9の動作状態量等に変換した制御パターンを生成する。このようにして生成した制御パターンに基づいて駆動モータ9を駆動制御することで、リハビリテーション等の使用目的に対し効果的な動作補助が可能となる。これにより本実施形態は、装着者Mの個人差及び使用目的に対応した動作補助の調整を簡易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、回転センサ12が検出する動作状態量は、関節の回動に伴う駆動機構11の回転角である。これにより、動作パターンを動作補助対象の関節の回転角の時間変化パターンで取得でき、また駆動モータ9を回転位置フィードバック制御で駆動制御できる。なお、検出する動作状態量としては回転角以外にも回転トルクで検出してもよく、この場合には駆動機構11にトルクセンサを設ける。
【0052】
また、本実施形態では特に、例えば健常者による理想的な四肢動作での関節の回動動作の時間変化パターンを参照用動作パターンとして取得する。この場合は、同じ一連の四肢動作でも、麻痺患者と健常者とでは所要時間が異なる場合があるため、動作パターンの所定期間に対応する検出期間で参照用動作パターンを取得し、時間的に正規化する。このような参照用動作パターンに近づけるよう動作パターンを修正することで、リハビリテーション等での矯正に適した動作パターンを容易に得ることができる。
【0053】
また、本実施形態では特に、制御パターンは、所定期間の間における駆動モータ9の駆動制御に限定されている。その開始タイミングを適切に設定することで、装着者Mの所定四肢動作に対し制御パターンでの動作補助を適切に同期させて実行できる。
【0054】
また、本実施形態では特に、動作パターンの修正は、所定期間と検出期間をそれぞれ同じ区分数で等分し、動作パターンの任意の区分における回転角を、参照用動作パターンの同じ区分における回転角に近づけるよう修正する。これにより、動作パターンを参照用動作パターンに近づける修正を機能的に行える。
【0055】
また、本実施形態では特に、駆動機構11は装着者Mの下肢のいずれかの関節に対して設置され、所定期間は装着者Mの歩行周期に設定される。このように所定四肢動作が下肢による歩行動作である場合には、当該歩行動作が歩行周期を単位として周期的かつ継続して行われる。このため、下肢のいずれかの関節において取得される動作パターンもその所定期間を歩行周期に設定しやすく、また歩行動作を継続して行う場合でも動作パターン(制御パターン)を繰り返すだけで動作補助を継続できる。
【0056】
また、本実施形態では特に、動作補助装置1は、さらに歩行に関連する四肢の動作状態値を検出する踵側感圧センサ7を有し、開始タイミングの設定は、踵側感圧センサ7で検出した四肢の動作状態値、つまり踵加重と所定の閾値(レベル線37で設定)との比較に基づいて設定される。
【0057】
例えば動作補助対象の足首関節のある下肢の足裏に感圧センサを設けた場合、その検出値の時間変化パターンは、動作パターン(制御パターン)と変化周期(所定期間)が一致して同期する関係にある。このように歩行に関連する四肢の動作状態値として踵加重を検出する踵側感圧センサ7を有し、この踵加重と閾値との比較に基づいて制御パターンの開始タイミングを設定することで、容易かつ機能的に歩行動作と制御パターンでの駆動制御を同期させることができる。なお、同じ歩行動作の場合でも、足首関節に限らず膝関節や股関節での動作パターンの取得、修正も可能であり、また開始タイミングの設定基準についても踵加重に限定せず、踵加重や他の歩行に関連する四肢の動作状態値を基準として開始タイミングを設定してもよい。
【0058】
なお、制御パターンの開始タイミングについては、上述した状態値パターンと閾値との大小関係の切り替わりによって自動的に開始する以外にも、例えば理学療法士などの介助者が手動スイッチの操作などにより任意のタイミングで設定してもよい。この場合には、押しボタンスイッチ(図示省略)等を別途設けて制御部8に接続する。
【0059】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0060】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。