特許第6247493号(P6247493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247493車両用内装部材および車両用内装部材の端末処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247493
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】車両用内装部材および車両用内装部材の端末処理方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/04 20060101AFI20171204BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20171204BHJP
   B29C 51/02 20060101ALI20171204BHJP
   B29C 65/20 20060101ALI20171204BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20171204BHJP
   B60R 13/01 20060101ALI20171204BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B32B3/04
   B32B3/12 A
   B29C51/02
   B29C65/20
   B29C63/02
   B60R13/01
   B60R13/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-208919(P2013-208919)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-71275(P2015-71275A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000244280
【氏名又は名称】盟和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝至
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−082282(JP,A)
【文献】 特開2005−153210(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/038314(WO,A1)
【文献】 特開2001−018308(JP,A)
【文献】 特開2005−246914(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01186454(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 49/00−51/46
B29C 63/00−65/82
B60R 13/01−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部および凸部を有すると共に合成樹脂からなる本体部材と、該本体部材の表側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる表基材と、前記本体部材の裏側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材と、を有する積層体を備え、
前記裏基材の周縁端部(25)の先端部が前記本体部材よりも外側に延在すると共に、前記表基材の周縁端部(33)の先端部が前記本体部材よりも外側に延在し、
前記裏基材の周縁端部(25)における前記本体部材よりも外側に延在する部位が、前記表基材の周縁端部(33)に向けて折り曲げられた状態で該表基材の周縁端部(33)に接合され、
前記裏基材の周縁端部(25)は、前記積層体の断面視で湾曲形成された周縁角部(27)と、該周縁角部(27)から表側に向けて延在する側壁部(29)と、該側壁部(29)の先端から折り返して延びる折り返し部(31)と、から構成され、
前記表基材の周縁端部(33)、周縁角部(35)と、該周縁角部(35)の先端から折り返して延びる折り返し部(37)と、から構成され、
これらの裏基材の折り返し部(31)と表基材の折り返し部(37)とは、押し潰されて一体になった先端接合部(39)に形成され、この先端接合部(39)は裏基材の側壁部(29)に接合され
前記表基材の周縁角部(35)が前記積層体の断面視で湾曲形成されており、
前記裏基材における周縁角部(27)の曲率半径は、表基材の周縁角部(35)の曲率半径よりも大きいことを特徴とする車両用内装部材。
【請求項2】
前記先端接合部(39)の端縁の高さ位置は、本体部材の厚さの中央部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部材。
【請求項3】
前記裏基材の側壁部(29)は、表基材に直交する直交面に対して斜めに延在する傾斜面に形成されており、
この傾斜面と直交面との交差角は、10°〜30°に設定されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装部材。
【請求項4】
下パッド(61)と、
該下パッド(61)の横に配置した上下スライド体(63)と、
前記下パッド(61)の上方に配置された上パッド(65)と、
前記上下スライド体(63)の上方に配置され、前記上パッド(65)側の側面が下方に向かうに従って該上パッド(65)から離れるように傾斜する傾斜部(67)と、該傾斜部(67)の下端から横方向に延在する底部(69)と、該底部(69)に設けられて下方に突出する切刃(71)と、を有する熱ブロック(73)と、
を備える端末処理装置を用いる車両用内装部材の端末処理方法であって、
複数の凹部および凸部を有すると共に合成樹脂からなる本体部材用素材の上側に、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材用素材を接合すると共に、本体部材用素材の下側に、板状に形成された合成樹脂からなる表基材用素材を接合してなる車両用内装部材用素材を準備するステップと、
前記車両用内装部材用素材を前記下パッド(61)前記上下スライド体(63)との上に載置し、前記上パッド(65)前記下パッド(61)とで車両用内装部材用素材を上下から挟持するステップと、
前記上下スライド体(63)の上方に前記熱ブロック(73)を配置するステップと、
前記熱ブロック(73)を下降させることにより、前記底部(69)で前記車両用内装部材用素材を厚さ方向に押し潰して車両用内装部材用素材の端部に先端接合部を形成すると共に、前記熱ブロック(73)の傾斜部(67)前記車両用内装部材用素材の側壁部を押圧形成する際に、前記熱ブロック(73)の傾斜部(67)前記上パッド(65)の側面(74)との間に画成される空間部(77)前記車両用内装部材用素材の裏面側の周縁角部に対面させるステップと、
前記熱ブロック(73)を上昇させたのち、前記上下スライド体(63)を上昇させることにより、前記車両用内装部材用素材の先端接合部を折り曲げて前記側壁部に接合させるステップと、
を有する車両用内装部材の端末処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装部材および車両用内装部材の端末処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車のトランクルームに配置されるフロアの開口を塞ぐデッキボード等の車両用内装部材が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このデッキボードの周縁部においては、表基材は周縁角部で裏面側に向けて湾曲しながら周縁端部が裏面側の裏基材近傍まで延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−153210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に係るデッキボードでは、表基材の周縁端部の鋭利な端縁が裏面側の裏基材近傍に配置されている。従って、乗員がデッキボードの周縁部を把持する際、手指が表基材の周縁端部の端縁に当たって、手指に違和感を覚えるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、乗員が周縁部を把持する際、手指に覚える違和感が低減される車両用内装部材および車両用内装部材の端末処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用内装部材は、複数の凹部および凸部を有すると共に合成樹脂からなる本体部材と、該本体部材の表側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる表基材と、前記本体部材の裏側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材と、を有する積層体を備え、前記裏基材の周縁端部の先端部が前記本体部材よりも外側に延在すると共に、前記表基材の周縁端部の先端部が前記本体部材よりも外側に延在し、前記裏基材の周縁端部における前記本体部材よりも外側に延在する部位が、前記表基材の周縁端部に向けて折り曲げられた状態で該表基材の周縁端部に接合され、前記裏基材の周縁端部は、前記積層体の断面視で湾曲形成された周縁角部と、該周縁角部から表側に向けて延在する側壁部と、該側壁部の先端から折り返して延びる折り返し部と、から構成され、前記表基材の周縁端部は、周縁角部と、該周縁角部の先端から折り返して延びる折り返し部と、から構成され、これらの裏基材の折り返し部と表基材の折り返し部とは、押し潰されて一体になった先端接合部に形成され、この先端接合部は裏基材の側壁部に接合され、前記表基材の周縁角部が前記積層体の断面視で湾曲形成されており、前記裏基材における周縁角部の曲率半径は、表基材の周縁角部の曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車両用内装部材の端末処理方法は、
下パッドと、
該下パッドの横に配置した上下スライド体と、
前記下パッドの上方に配置された上パッドと、
前記上下スライド体の上方に配置され、前記上パッド側の側面が下方に向かうに従って該上パッドから離れるように傾斜する傾斜部と、該傾斜部の下端から横方向に延在する底部と、該底部に設けられて下方に突出する切刃と、を有する熱ブロックと、
を備える端末処理装置を用いる車両用内装部材の端末処理方法であって、
複数の凹部および凸部を有すると共に合成樹脂からなる本体部材用素材の上側に、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材用素材を接合すると共に、本体部材用素材の下側に、板状に形成された合成樹脂からなる表基材用素材を接合してなる車両用内装部材用素材を準備するステップと、
前記車両用内装部材用素材を前記下パッドと前記上下スライド体との上に載置し、前記上パッドと前記下パッドとで車両用内装部材用素材を上下から挟持するステップと、
前記上下スライド体の上方に前記熱ブロックを配置するステップと、
前記熱ブロックを下降させることにより、前記底部で前記車両用内装部材用素材を厚さ方向に押し潰して車両用内装部材用素材の端部に先端接合部を形成すると共に、前記熱ブロックの傾斜部で前記車両用内装部材用素材の側壁部を押圧形成する際に、前記熱ブロックの傾斜部と前記上パッドの側面との間に画成される空間部を前記車両用内装部材用素材の裏面側の周縁角部に対面させるステップと、
前記熱ブロックを上昇させたのち、前記上下スライド体を上昇させることにより、前記車両用内装部材用素材の先端接合部を折り曲げて前記側壁部に接合させるステップと、
を有する
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用内装部材およびその端末処理方法によれば、裏基材の周縁角部は湾曲形成されている。このため、車両用内装部材を把持するとき、手指が裏面側の周縁角部を支えるため、手指に覚える違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るデッキボードを配設した車両を斜め後方から見た斜視図である。
図2図1のデッキボードを示す斜視図である。
図3図1のA−A線による拡大断面図である。
図4図1のA−A線による拡大断面図であり、各部位の寸法を示している。
図5】本発明の実施形態に係るデッキボードの製造工程を示す断面図であり、上パッドと下パッドとで車両用内装部材用素材を上下から挟持している状態を示している。
図6】本発明の実施形態に係るデッキボードの製造工程を示す断面図であり、熱ブロックを下端位置まで下降させることにより、車両用内装部材用素材を厚さ方向に押し潰して車両用内装部材用素材の端部に潰し部を形成する状態を示している。
図7】本発明の実施形態に係るデッキボードの製造工程を示す断面図であり、熱ブロックを上昇させた状態を示している。
図8】本発明の実施形態に係るデッキボードの製造工程を示す断面図であり、上下スライド体を上昇させることにより、車両用内装部材用素材の潰し部を折り曲げている状態を示している。
図9】本発明の実施形態に係るデッキボードの製造工程を示す断面図であり、上下スライド体を上昇させることにより、車両用内装部材用素材の潰し部を側壁部に接合させている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
(車両用内装部材の構成)
図1に示すように、本実施形態による車両1の車室内には、前部シート3および後部シート5が配設されており、該後部シート5の後方には、トランクルーム7が配設されている。このトランクルーム7の床面には、スペアタイヤや工具等を収容する収容凹部(図示せず)が設けられており、この収容凹部には、上部開口を覆うデッキボード9(車両用内装部材)が配設されている。前記デッキボード9は、図2に示すように、平面視が略矩形状に形成されており、後述するように合成樹脂からなる板状部材に構成されている。
【0013】
図3に示すように、本実施形態に係るデッキボード9は、本体部材11、表基材13、裏基材15および表皮材17,19を有する。
【0014】
前記本体部材11は、複数の凹部21および凸部23を有すると共に合成樹脂からなる。前記本体部材11の凸部23は断面矩形状に形成されて上方に突出しており、凸部23の頂部23aが表基材13に接合されている。また、前記本体部材11の凹部21は断面矩形状に形成されて下方に凹んでおり、凹部21の底部21aが裏基材15に接合されている。
【0015】
前記裏基材15は、前記本体部材11の裏面側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる。前記裏基材15の周縁端部25は、湾曲形成された周縁角部27と、該周縁角部27から表側に向けて延在する側壁部29と、該側壁部29の先端から折り返して延びる折り返し部31と、から構成されている。
【0016】
前記表基材13は、本体部材11の表側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる。前記表基材13の周縁端部33は、湾曲形成された周縁角部35と、該周縁角部35の先端から折り返して延びる折り返し部37と、から構成されている。
【0017】
これらの裏基材15の折り返し部31と表基材13の折り返し部37とは、押し潰されて一体になった先端接合部39に形成されており、この先端接合部39は裏基材15の側壁部29に接合されている。
【0018】
前記表皮材17,19は、熱溶着や接着剤によって表基材13および裏基材15に貼着する。
【0019】
図4に示すように、前記裏基材15の側壁部29は、表基材13に直交する直交面Pに対して斜めに延在する傾斜面41に形成されている。この傾斜面41と直交面Pとの交差角θは、10°〜30°が好ましい。
【0020】
さらに、表基材13の周縁角部35は、曲率半径R1に湾曲して形成されており、裏基材15の周縁角部27は、曲率半径R2に湾曲して形成されている。ここで、曲率半径R2は、曲率半径R1よりも大きく設定されている。
【0021】
そして、先端接合部39の端縁39aの高さ位置は、本体部材11の厚さの約1/3に設定されている。即ち、先端接合部39における周縁角部27,35から端縁39aまでの長さは、本体部材11の厚さTの約1/3に設定されている。
【0022】
(車両用内装部材の材質)
表基材13、本体部材11および裏基材15の材料は、例えば以下の合成樹脂が好ましい。低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂およびこれらのモノマーの共重合体若しくはモノマーと他のモノマーとの共重合体、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS、AAS、AES、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルケトン及びこれらのコモノマー若しくはコモノマーと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの材料は単独で使用しても併用しても良い。以上のように各種の熱可塑性樹脂を用いることができるが、コスト面、成形性、物性、耐低温性、耐熱性等の特性とのバランスを考慮すると、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。なお、車両用内装部材の剛性を高める場合は、フィラーを副材料として配合しても良い。副材料は、特に限定されるものではないが、コスト面、成形性、取り扱い性等とのバランスを考慮すると、タルク、炭酸カルシウム等が好ましい。フィラーの添加量が増加すると、コスト高、比重の増大につながるので、これらのバランスを考慮すると、添加量は総重量に対してタルクの場合は5〜30質量%、炭酸カルシウムの場合は20質量%程度以下とするのが好ましい。さらに、前記フィラーの他に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、抗菌剤、難燃剤、光安定剤、滑剤等を必要に応じて添加もしてもよい。また、前記車両用内装部材の製品厚みは、例えば3〜10mmが好ましい。
【0023】
なお、表皮材17,19としては、不織布、立毛した布、人工皮革様シート、合成樹脂フィルムなどの表皮、或いはそれらの表皮にクッション材を裏打ちした表皮材を適用することができる。特に、一般的な不織布や、ポリエステル繊維単独または、ポリエステル繊維にポリプロピレン繊維が0〜20質量%混合された混合繊維からなる目付け20〜500g/mのニードルパンチ不織布が好ましい。
【0024】
(車両用内装部材の端末処理方法)
本発明の実施形態に係る車両用内装部材は、例えば、以下の方法で端末処理することができる。
【0025】
まず、図5に示すように、車両用内装部材用素材51を準備する。この車両用内装部材用素材51は、複数の凹部21および凸部23を有すると共に合成樹脂からなる本体部材用素材53の下側に、板状に形成された合成樹脂からなる表基材用素材57を接合すると共に、本体部材用素材53の上側に、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材用素材55を接合してなる。さらに、表皮材54,56も接合されている。
【0026】
そして、前記車両用内装部材用素材51を下パッド61と該下パッド61の横に配置した上下スライド体63との上に載置し、前記下パッド61の上方に配置された上パッド65と下パッド61とで車両用内装部材用素材51を上下から挟持する。
【0027】
次に、前記上下スライド体63の上方に、上パッド側の側面が下方に向かうに従って上パッド65から離れるように傾斜する傾斜部67と該傾斜部67の下端から横方向に延在する底部69と該底部69に設けられて下方に突出する切刃71とを有する熱ブロック73を配置する。
【0028】
そして、図6に示すように、前記熱ブロック73を下降させることにより、車両用内装部材用素材51を厚さ方向に押し潰して車両用内装部材用素材51の端部に先端接合部58を形成すると共に切刃71で先端接合部58を切断する。これと同時に、前記熱ブロック73の傾斜部67で車両用内装部材用素材51の側壁部75を押圧形成する。この際に、熱ブロック73の傾斜部67と上パッド65の側面74との間に画成される空間部77を車両用内装部材用素材51の裏面側の周縁角部79に対面させる。
【0029】
さらに、図7に示すように前記熱ブロック73を上昇させたのち、図8に示すように上下スライド体63を上昇させることにより、上下スライド体63の上端角部81で車両用内装部材用素材51の先端接合部58を折り曲げ、図9のように先端接合部58を側壁部75に接合させる。
【0030】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0031】
(1)本実施形態に係るデッキボード9(車両用内装部材)は、複数の凹部21および凸部23を有すると共に合成樹脂からなる本体部材11と、該本体部材11の表側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる表基材13と、前記本体部材11の裏側に接合され、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材15と、を備え、
前記裏基材15の周縁端部25は、湾曲形成された周縁角部27と、該周縁角部27から表側に向けて延在する側壁部29と、該側壁部29の先端から折り返して延びる折り返し部31と、から構成され、
前記表基材13の周縁端部33は、湾曲形成された周縁角部35と、該周縁角部35の先端から折り返して延びる折り返し部37と、から構成され、
これらの裏基材15の折り返し部31と表基材13の折り返し部37とは、押し潰されて一体になった先端接合部39に形成され、この先端接合部39は裏基材15の側壁部29に接合されている。
【0032】
裏基材15の周縁端部25における周縁角部27は湾曲形成されている。このため、デッキボード9を把持するとき、手指が裏面側の周縁角部27を支えるため、手指に覚える違和感を低減することができる。
【0033】
(2)前記裏基材15の側壁部29は、表基材13に直交する直交面Pに対して斜めに延在する傾斜面41に形成されており、
この傾斜面41と直交面Pとの交差角θは、10°〜30°に設定されてなる。
【0034】
交差角が10°未満の場合は、側壁部29が垂直に近くなり、裏基材15の周縁角部27の曲率半径が小さく、尖った形状になる。従って、デッキボード9を把持するとき、手指に覚える違和感が大きくなる。
【0035】
一方、交差角が30°よりも大きい場合は、先端接合部39が側壁部29に接合しにくくなる。
【0036】
(3)前記裏基材15における周縁角部27の曲率半径は、表基材13の周縁角部35の曲率半径よりも大きい。
【0037】
デッキボード9を把持する際に手指が裏基材15の周縁角部27に当たる。この裏基材15の周縁角部27の曲率半径が表基材13の周縁角部35の曲率半径よりも大きいため、手指に覚える違和感を低減することができる。
【0038】
(4)本実施形態に係るデッキボード9(車両用内装部材)の端末処理方法は、複数の凹部21および凸部23を有すると共に合成樹脂からなる本体部材用素材53の上側に、板状に形成された合成樹脂からなる裏基材用素材55を接合すると共に、本体部材用素材53の下側に、板状に形成された合成樹脂からなる表基材用素材57を接合してなる車両用内装部材用素材51を準備するステップと、
前記車両用内装部材用素材51を下パッド61と該下パッド61の横に配置した上下スライド体63との上に載置し、前記下パッド61の上方に配置された上パッド65と下パッド61とで車両用内装部材用素材51を上下から挟持するステップと、
前記上下スライド体63の上方に、上パッド側の側面が下方に向かうに従って上パッド65から離れるように傾斜する傾斜部67と該傾斜部67の下端から横方向に延在する底部69と該底部69に設けられて下方に突出する切刃71とを有する熱ブロック73を配置するステップと、
前記熱ブロック73を下降させることにより、車両用内装部材用素材51を厚さ方向に押し潰して車両用内装部材用素材51の端部に先端接合部58を形成すると共に、前記熱ブロック73の傾斜部67で車両用内装部材用素材51の側壁部75を押圧形成する際に、熱ブロック73の傾斜部67と上パッド65の側面74との間に画成される空間部77を車両用内装部材用素材51の裏面側の周縁角部79に対面させるステップと、
前記熱ブロック73を上昇させたのち、上下スライド体63を上昇させることにより、車両用内装部材用素材51の先端接合部58を折り曲げて側壁部75に接合させるステップと、
を有する。
【0039】
これによれば、熱ブロック73の傾斜部67と上パッド65の側面74との間に画成される空間部77を車両用内装部材用素材51の裏面側の周縁角部79に対面させる。このため、デッキボード9の裏面側の周縁角部79を、曲率半径が大きい湾曲した形状にすることができる。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明を実施例を通して更に詳細に説明する。
【0041】
具体的には、下記の表1に示すように、厚さが5mmで先端接合部の長さが0mm〜5mmの車両用内装部材用素材を用いて、デッキボードの端末処理を行った。その結果を表1に示す。
【表1】
【0042】
表1に示すように、先端接合部の長さが0mmの場合(即ち、先端接合部がない場合)は、先端接合部を折り曲げて側壁部に接合させる加工ができなかった。また、デッキボードを持ち上げる際、デッキボードの裏側の周縁角部が尖っているため、手指に違和感を覚えた。
【0043】
先端接合部の長さが0.5mmの場合は、先端接合部を折り曲げて側壁部に接合させる加工ができなかった。また、デッキボードを持ち上げる際、デッキボードの裏側の周縁角部が尖っているため、手指に違和感を覚えた。
【0044】
先端接合部の長さが1.0mm〜3.0mmの場合は、先端接合部を折り曲げて側壁部に接合させる加工ができた。また、デッキボードを持ち上げる際、デッキボードの裏側の周縁角部がなだらかに湾曲しているため、手指に違和感を覚えることがなかった。
【0045】
先端接合部の長さが3.5mm〜5.0mmの場合は、先端接合部を折り曲げて側壁部に接合させる加工ができた。また、先端接合部にバリが発生したため、デッキボードを持ち上げる際、前記バリによって手指に違和感を覚えた。
【0046】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されずに、種々の変形および変更が可能である。例えば、前述した実施形態では、図4に示すように先端接合部39の端縁39aの高さ位置は、本体部材の厚さの約1/3の部位に配置されている。
【0047】
しかし、先端接合部39の端縁39aの高さ位置は、本体部材11の厚さTの中央部に配置されても良い。先端接合部39の端縁39aの高さ位置が、本体部材11の厚さTの中央部よりも上側になると、先端接合部39が短くなりすぎるため、側壁部29に効率よく接合することが困難になる。一方、先端接合部39の端縁39aの高さ位置が、本体部材11の厚さTの中央部よりも下側になると、先端接合部39が長くなりすぎるため、側壁部29に効率よく接合することが困難になる。
【符号の説明】
【0048】
9 デッキボード(車両用内装部材)
11 本体部材
13 表基材
15 裏基材
21 凹部
23 凸部
25 裏基材の周縁端部
27 裏基材の周縁角部
29 裏基材の側壁部
31 裏基材の折り返し部
33 表基材の周縁端部
35 表基材の周縁角部
37 表基材の折り返し部
39 先端接合部
41 傾斜面
51 車両用内装部材用素材
53 本体部材用素材
55 裏基材用素材
57 表基材用素材
58 先端接合部
61 下パッド
63 上下スライド体
65 上パッド
67 傾斜部
73 熱ブロック
77 空間部
79 周縁角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9