(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247495
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】半導体装置、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20171204BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20171204BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20171204BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20171204BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20171204BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20171204BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20171204BHJP
H01L 29/88 20060101ALI20171204BHJP
H01L 21/331 20060101ALI20171204BHJP
H01L 29/737 20060101ALI20171204BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20171204BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
H01L21/90 N
H01L29/48 F
H01L29/86 301F
H01L21/88 T
H01L29/88 F
H01L29/72 H
H01L27/04 D
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-212391(P2013-212391)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-123715(P2014-123715A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-257596(P2012-257596)
(32)【優先日】2012年11月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086483
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 一男
(72)【発明者】
【氏名】関口 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ドゥブレ アレクシィ
(72)【発明者】
【氏名】小山 泰史
(72)【発明者】
【氏名】浅野 功輔
(72)【発明者】
【氏名】横山 悟司
(72)【発明者】
【氏名】釼持 敦志
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−152617(JP,A)
【文献】
特開2010−225654(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0084262(US,A1)
【文献】
特開2010−233030(JP,A)
【文献】
特開2008−004779(JP,A)
【文献】
特開平06−244391(JP,A)
【文献】
特開平05−275549(JP,A)
【文献】
特開2007−103419(JP,A)
【文献】
特開2008−078421(JP,A)
【文献】
米国特許第06667552(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28−21/288、21/3205−21/3213、
21/329−21/331、21/44−21/445、
21/768、21/822、23/52−23/522、
27/04、29/40−29/49、
29/68−29/737、29/86−29/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置されており且つ二極を有する半導体素子と、
前記二極のうち一方の極に接する第1の導電性層と、
前記二極のうち他方の極に接しており、前記基板と前記半導体素子との間に配置されている第2の導電性層と、
前記第1の導電性層と前記第2の導電性層との間に配置されている誘電体層と、
を有し、
前記第1の導電性層には、開口が形成されており、
前記誘電体層には、前記開口とつながっている空隙が形成されており、
前記空隙は、前記半導体素子から離れており、前記半導体素子の側面と前記誘電体層とは、接している、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記空隙の面積が、前記開口の面積よりも大きい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記空隙の大きさが、前記開口の大きさより大きい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の導電性層は、前記空隙に対してオーバーハングしている、
請求項1から3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の導電性層上に配置されているレイヤを更に備え、
前記開口の直径が、前記レイヤの厚さより小さい、
請求項1から4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記開口の大きさが、1μm以下である、
請求項1から5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の導電性層は、エミッタ層と、エミッタ極側の導電性配線層と、を有し、
前記第2の導電性層は、コレクタ層と、コレクタ極側の導電性配線層と、を有する、
請求項1から6の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子は、ショットキーバリアダイオードを含む、
請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体素子は、共鳴トンネルダイオードを含む、
請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタを含む、
請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
アレイ状に配置されている複数の検出素子と、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて電界分布の画像を形成する画像形成部と、
を有し、
前記複数の検出素子のそれぞれは、請求項1から8の何れか1項に記載の半導体装置を含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から10の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の導電性層の前記開口からエッチングガスを導入することにより前記誘電体層を除去して、前記空隙を形成する形成工程を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の導電性層の前記開口を形成して前記誘電体層を露出する露出工程を更に有する、
請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1の導電性層上及び前記第1の導電性層の外側の前記誘電体層上にレジストを塗布する塗布工程と、
前記レジストに開口を形成して前記第1の導電性層の外側の前記誘電体層を露出する工程と、
前記レジストの前記開口からエッチングガスを導入することにより前記誘電体層を除去して、前記空隙を形成する工程と、
を更に有する、
ことを特徴とする請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。特には、例えば、ミリ波帯からテラヘルツ帯まで(30GHz以上30THz以下、以下同様な意味で用いる)の周波数領域内の周波数帯における半導体素子を用いた装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数帯域のうちの少なくとも一部の周波数成分を含む電磁波(以後、単にテラヘルツ波などとも呼ぶ)の発生・増幅・検出といった基本的な半導体素子の開発が盛んになっている。これは、テラヘルツ波が以下のような性質を有しており、産業に有用と考えられているからである。第一に、X線の様に非金属物質を透過する。第二に、生体分子や医薬品などに固有の吸収スペクトルがこの周波数帯に多数存在する。第三に、多くのイメージング用途に必要な空間分解能を有する。以上の特徴から、テラヘルツ波の応用分野として、物質内部の分光分析技術、X線に代わる安全な透視イメージング装置、生体分子や医薬品の解析技術などが考えられている。
【0003】
このような周波数領域における基本的な半導体素子として、ミリ波帯からのアプローチとしての電子デバイスを考えるのが一つの方法である。その例として、電磁波発生用に負性抵抗素子、電磁波増幅用にヘテロ接合を用いたトランジスタ、電磁波検出用に整流素子といった基本的な半導体素子が知られている。
【0004】
こうした半導体素子を用いた装置において、高周波側の性能を著しく低下させてしまう意図しない寄生リアクタンスや寄生抵抗の存在はひとつのボトルネックとなっている。その一つの要素が配線であり、素子までの配線における浮遊容量Csと、その直列抵抗Rsとによる寄生的な電気遅延は小さくなくてはならない。そのため、通常は、配線および素子レイアウトの微細化によって電気遅延を小さくする方法がとられていた。しかしながら、こうした方法にも限界があり、これまで、次のような方法が考えられている。
【0005】
特許文献1は、マイクロ波、ミリ波用途のショットキーバリアダイオードを用いた装置において、比誘電率が2〜3程度のベンゾシクロブテン(BCB)と呼ばれる低誘電率材料を使用した半導体装置を開示している。配線に寄生する浮遊容量Csが低く抑えられるため、電気的遅延(RsCs)を低減することができる構造となっている。また、特許文献2は、素子までの配線を中空に橋渡しし、中空部に比誘電率が1程度の空気(あるいは不活性ガスなど)を用いる半導体装置を開示している。こうした構造では、素子間レベルでの電気的接続が懸念されるものの、浮遊容量Csはさらに低く抑えることができる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−152617号公報
【特許文献2】特開昭63−122179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、低いとはいえ空気より比誘電率が大きい誘電体を使用するため、寄生容量の低減には限界があった。特許文献2では、中空配線の歩留まりなど工業的には機械的強度が不安定となり得る構造であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての半導体装置は、基板上に配置されており且つ二極を有する半導体素子と、前記二極のうちの一方の極に接する
第1の導電性
層と、前記二極のうちの他方の極
に接しており、前記基板と前記半導体素子との間に配置されている第2の導電性層と、前記第1の導電性層と前記
第2の導電性
層との間に配置されている誘電体
層と、を有する。前記
第1の導電性
層には、開口が形成されており、前記誘電体
層には、
前記開口とつながっている空隙が形成されており、前記
空隙は、前記半導体素子から離れており、前記半導体素子の側面と前記誘電体層とは、接している。また、本発明の一側面としての半導体装置の製造方法は、前記
第1の導電性
層の前記開口からエッチングガスを導入することにより前記誘電体
層を除去して、前記空隙を形成する形成工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域などに対応する半導体装置において、寄生容量を低減しつつ機械的強度を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る半導体装置の構成を示す図。
【
図2】実施形態1の変形例に係る半導体装置の構成を示す図。
【
図3】実施形態2に係るショットキーバリアダイオードを用いた半導体装置の構成を示す図。
【
図4】実施形態3に係る共鳴トンネルダイオードを用いた半導体装置の構成を示す図。
【
図5】実施形態4に係るバイポーラヘテロ接合トランジスタを用いた半導体装置の構成を示す図。
【
図6】実施例1に係るショットキーバリアダイオードを用いた半導体装置の構成を示す図。
【
図7】実施例1の変形例に係る半導体装置の構成を示す図。
【
図8】実施例2に係るショットキーバリアダイオードを用いた半導体装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明では、
基板上に配置された半導体素子の構造上、素子の一方の極につながる導電性配線
(第1の導電性層)の下にもう一極(他方の極)ないしそれと同電位の部位
(他方の極に接しており、基板と半導体素子との間に配置されている第2の導電性層)が出来てしまうことが多いことから、こうした半導体装置の寄生容量を低減しつつ機械的強度を安定化することを主眼においている。そして、この一部分のみの構造を改良しても、素子までの配線における浮遊容量Csと、その直列抵抗Rsとによる寄生的な電気遅延を効果的に低減することができる。本発明者らは、この配線
(第1の導電性層)に開口を開け、上記導電性配線の下の部分をねらって空隙を設ければ寄生容量を低減させるとともに、導電性配線の開口が小さければ機械的強度も安定化できることに気が付いた。この様な構造は、導電性配線
(第1の導電性層)の開口からエッチングガスを導入することにより誘電体
層を除去して、空隙を形成する形成工程を含む製造方法により製造することができる。導電性配線
(第1の導電性層)の開口を形成して誘電体
層を露出する露出工程を更に有してもよい。導電性配線上及び導電性配線の外側の誘電体上にレジストを塗布し、レジストに開口を形成して導電性配線の外側の誘電体
層を露出し、レジストの開口からエッチングガスを導入することにより誘電体
層を除去して空隙を形成する工程を更に有してもよい。
【0012】
以下、図を用いて本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る半導体装置について、
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態の半導体装置を示す模式図であり、
図1(a)は上面図、
図1(b)は断面図を表す。本実施形態において、少なくとも二極を備えた基板上の半導体素子101は、ミリ波帯からテラヘルツ帯までの基本的な半導体素子で構成される。例えば、検出素子としてのショットキーバリアダイオード、プレーナドーブバリアダイオードなどの整流素子である。また、発生素子としての共鳴トンネルダイオード(RTD)やエサキダイオード、ガンダイオードなどの負性抵抗素子、増幅素子であるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)の3端子素子である。これらは電子デバイスであり、半導体素子101は電極を備える。102、103はそれぞれコレクタ、エミッタ等に対応し、通常は、荷電キャリアがドープされた導電性半導体で構成する。さらに、これらには金属等の配線が接続され、104はコレクタ極側の導電性配線、105はエミッタ極側の導電性配線となり、半導体素子101の電気特性を取りだすためにある。
【0013】
本実施形態の半導体素子101は、縦型のレイアウトをとる。そこでエミッタ極103、105とコレクタ極102、104との間を絶縁するために、通常、これらの間には絶縁体12つまり誘電体12が配置される。誘電体直上に一極を有するこのような装置構成において、誘電体12を介して両極の間をバイパスするような浮遊容量Csは必ず発生する。その主な部分は、半導体素子101の側壁付近でこれらが対向する部分であり、
図1(b)に示される、配線105と導電性のあるコレクタ102との間に相当する。配線105、コレクタ102は基板11上の構造として半導体素子101と一体として加工されるため、例えば、ホトリソグラフィを用いて精度良く加工したとしても、その位置合わせ精度程度のオーバーラップ領域が存在する。
図1(b)においては、この部分を強調して描いている。いま、そのオーバーラップ領域を10μm
2、誘電体12の比誘電率4程度(例えば、シリコン酸化膜の比誘電率)と仮定しても、配線105、コレクタ102間の距離が100nmであれば、Cs=3.5fF程度の浮遊容量が最低存在することになる。これは、決して小さくはなく、Rs=10Ωの配線抵抗と仮定すると電気遅延Rs×Csは35フェムト秒となる。これは一次フィルタとしてのカットオフ周波数に換算しても4.5THzに相当し、これ以上の周波数において半導体素子101の電気特性は取り出せないということになる。さらに実際には配線104、105や半導体素子101のインダクタンス成分を伴ってフィルタを形成することもあり、その際のカットオフ周波数はさらに低い周波数となるため、ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域では無視できない寄生容量と考えられる。
【0014】
こうした寄生容量を低減するための構造が、
図1(b)における空隙107である。空隙107は、配線105、コレクタ102の間を含む誘電体12の中に設けられ、実効的な比誘電率を効果的に落とすためにある。好ましくは、配線105からコレクタ102までを貫くように空隙107を形成できるとよい。本実施形態では、空隙107は2カ所あり、その間に残された誘電体12で構成される支持部分108は直上の配線105を機械的に支える形となっており、機械的に安定である。空隙107は、配線の開口106とつながっており、開口106を窓開けしてから誘電体12を除去して作製した結果、このような構造を取っている。配線105の幅よりも十分小さな開口106によって増える配線抵抗はほとんど無視することができる。例えば、幅5μm、厚さ100nmの典型的な金属に直径が1μmの開口を1つ開けると仮定しても、配線抵抗の増加分は高々数mΩである。したがって、配線抵抗を比較的増大しにくい構造であり、実効誘電率を低減した分がほとんどそのまま電気遅延を低減するといった効果がある。構造にもよるが、実効誘電率は、もとの材料12の比誘電率ε
12と空隙107を満たす媒質の比誘電率の間の値をとる。したがって、媒質は比誘電率がほぼ1である空気か、不活性ガスなどがよい。また、本実施形態のように開口106よりも面積の大きな空隙107を設ければ、実効比誘電率を小さくすることができるため好ましい。本実施形態では、配線105を空隙107に対してオーバーハングさせている。空隙107の大きさは構造にもよるが、開口106の大きさよりも大きく、機械的強度の要請から100μm以下であることが好ましい。もちろん、配線105は金属には限られず、ポリシリコン等を用いても同じ効果を達成することができる。空隙107は、あらかじめ設けた開口106からの誘電体12の化学エッチング(あるいは化学性の要素の強いエッチング)を用いれば作製することができる。これは化学エッチングを用いるとサイドエッチが入りやすいため、空隙107を開口106より大きく加工できるからである。なお、本明細書において、「開口の大きさ」とは、基板11の面内方向における開口の長さのことであり、具体的には、開口の端と端とを結ぶ線分のうち最長の線分の長さのことであると定義する。例えば、基板11の面内方向における開口の断面が円形の場合には、「開口の大きさ」は開口径と等しい。また、同様に、「空隙の大きさ」とは、基板11の面内方向における空隙の長さのことであり、具体的には、空隙の端と端とを結ぶ線分のうち最長の線分の長さのことであると定義する。例えば、基板11の面内方向における空隙の断面が円形である場合には、「空隙の大きさ」は開口径と等しい。更に、本明細書において、「開口の面積」とは、基板11の面内方向における開口の断面の面積のことであり、「空隙の面積」とは、基板11の面内方向における空隙の断面のうち最大の面積のことであると定義する。
【0015】
空隙107は2か所には限られない。本実施形態の変形例として空隙107を4か所設けてももちろんよい。例えば、
図2のような構造である。
図2(a)に描くように空隙107の大きさが開口106よりも大きく配線105の幅程度になると、誘電体の支持部108は孤立した誘電体ピラー108となる。したがって、
図1の構造よりもさらに寄生容量が低減できる構造となっている。このように配線105の下の空隙107の領域が広がれば広がるほど寄生容量の低減にとってはよいが、機械的強度についても担保できるのが本実施形態の構造である。いま、配線105は半導体素子101、誘電体ピラー108、誘電体12の3点で支持されており、いわゆる連続梁の構造となっている。構造力学の分野で知られるように、2点支持の単純梁より複数点支持の連続梁の方が構造的には安定である。そして等分布荷重の単純梁の公式より配線105の最大たわみ量は5wL
4/384EIであるから、3点目の誘電体ピラー108の位置を調整してLを半分にするだけで最大たわみ量は1/16と小さくなる。ここで、wは単位長さあたりの配線の自重、Lは空隙107上の配線の長さ、EIは曲げ剛性:Eはヤング率、Iは断面2次モーメントである。誘電体ピラー108を任意の場所に設置できる本実施形態は、配線105の機械的変形を最小限に設計することが可能であり、従来の中空配線の構造よりも機械的強度が安定である。
【0016】
配線104、105は、基板11上の他の素子と相互接続されていてもよく、基板11上における素子間レベルの電気接続は容易である。したがってミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域における半導体素子のウェハレベルの集積が容易になる。
【0017】
(実施形態2)
実施形態2に係る半導体装置について、
図3を用いて説明する。
図3は本実施形態の半導体装置を示す模式図であり、
図3(a)は上面図、
図3(b)は断面図を表す。本実施形態は第一の実施形態の変形例で、201は、ショットキーバリアダイオードを表す。基板21側から高濃度キャリアドープ層202とこれよりはキャリアが少ない低濃度キャリアドープ層201を積層し、さらにショットキー金属203を積層することで203側の201中にバリア層が形成される。この際、202はカソード、203はアノードとなる。配線204、205は第一の実施形態と同様で、204はカソード極側の金属配線、205はアノード極側の金属配線となる。22は誘電体、206は開口、207は空隙、208は誘電体の支持部である。
【0018】
このようなショットキーバリアダイオードは、配線204、205の外側にアンテナ(不図示)等を伴えば、電磁波の検出装置となる。検出装置のイントリンシックな遅延は、201中のバリア層を飛行するキャリア(電子あるいは正孔)の遅延時間も含めた接合容量Cjと、除去できないダイオード内の直列抵抗Rsの積で定義される。ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域においては、接合容量CjをfFオーダに減らすことは必須であり、ショットキーバリアダイオード201の接合面積は小さくするべきである。例えば、ショットキーバリアダイオード201の材料としてSi系であれば1μm
2かそれの以下のオーダとなる。比較的易動度の高いGaAsなどIII−V系であれば、10μm
2かそれの以下のオーダとなる。その結果、同等な精度の加工技術では、配線205と導電性のあるカソード202との間には数μm
2相当程度のオーバーラップ領域が発生してしまう。こうした事情が背景で、ショットキーバリアダイオードを用いたミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域における検出装置には寄生的な浮遊容量Csが発生しまう。しかし、第一の実施形態で示したとおりの方法で、ショットキーバリアダイオード201の側壁付近の浮遊容量Csを低減することは可能である。本実施形態ではさらにビア209を設けて、配線205とカソード202との間の距離を広げている。ビア209の寄生インダクタンスが十分小さい範囲でビア209を高く設計すると電気遅延はさらに低減することができる。
【0019】
(実施形態3)
実施形態3に係る半導体装置について、
図4を用いて説明する。
図4は本実施形態の半導体装置を示す模式図であり、
図4(a)は上面図、
図4(b)は断面図を表す。本実施形態は第一の実施形態の変形例で、301は、共鳴トンネルダイオード(RTD)構造を表す。例えばInP基板31を用い、同基板上に電子濃度の高いn
+InGaAs層302、InGaAs/InAlAsによる量子井戸/ポテンシャル障壁を繰り返した共鳴トンネル構造309、n
+InGaAs層303を積層する。配線304、305は第一の実施形態と同様で、304はコレクタ極側の金属配線、305はエミッタ極側の金属配線となる。
【0020】
共鳴トンネル構造層309はよく知られたように電流−電圧特性において微分負性抵抗を有し、配線304、305の外側に共振器を伴えば電磁波利得を供給して発振装置となる。第二の実施形態と同様に、発振装置のイントリンシックな遅延は、共鳴トンネル構造層309を飛行する電子の遅延時間も含めた接合容量Cjと、除去できないダイオード内の直列抵抗Rsの積で定義される。ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域においては、接合容量CjをfFオーダに減らすことは必須であり、第二の実施形態同様の理由で配線305と導電性のあるカソード302との間には数μm
2相当程度のオーバーラップ領域が発生する。このようなオーバーラップ領域のため、発振装置にも寄生的な浮遊容量Csが発生しまうが、第一の実施形態で示したとおりの方法で、RTD301の側壁付近の浮遊容量Csを低減することは可能である。32は誘電体、306は開口、307は空隙、308は誘電体の支持部である。
【0021】
(実施形態4)
実施形態4に係る半導体装置について、
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態の半導体装置を示す模式図であり、
図5(a)は上面図、
図5(b)は断面図を表す。本実施形態は第一の実施形態の変形例で、401は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)構造を表す。例えばInP基板41を用い、同基板上にn型のInPサブコレクタ402とInPコレクタ、p型のInGaAsベース409、n型のInGaAsエミッタと、n
+InGaAs層403を積層する。配線404、405は第一の実施形態と同様で、404はコレクタ極側の金属配線、405はエミッタ極側の金属配線となる。
【0022】
このようなHBT401は配線410からベース409への小さな電流入力を行うと、エミッタ−サブコレクタ間に大きな電流が流れ、配線404、405からそれを取り出すことできるトランジスタ装置となる。第三の実施形態と同様に、トランジスタ装置のイントリンシックな遅延は、ベース層409を飛行する電子の遅延時間も含めたコレクタ−ベース間容量Cc-bと、除去できない直列抵抗Rsの積で定義される。ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域では、コレクタ−ベース間容量Cc-bをfFオーダに減らすことは必須であり、第二の実施形態と同様の理由で配線405とサブコレクタ402との間には数μm
2相当程度のオーバーラップ領域が発生する。同図では示さないが配線410とサブコレクタ402についても同様である。このようなオーバーラップ領域のため、トランジスタ装置にも寄生的な浮遊容量Csが発生しまうが、第一の実施形態で示したとおりの方法で、HBT401の側壁付近の浮遊容量Csを低減することは可能である。42は誘電体、406は開口、407は空隙、408は誘電体の支持部である。
【0023】
上記の各実施形態によれば、半導体装置における寄生容量が懸念される導電性配線直下の部分をねらって空隙を設け、さらに空隙には比誘電率が1程度の空気(あるいは不活性ガスなど)を容易に充填できるため、誘電体の材料に制限されることなく寄生容量の低減が行えるようになる。導電性配線の機械的強度が損なわれないように空隙や配線の開口をあらかじめ設計できるため、同時に、工業的な機械的強度も安定させることができる。こうした半導体装置を用いれば、上述の周波数領域における半導体素子のウェハレベルの集積が容易になる。また、開口を十分に小さくすることでその直上にレイヤを設けることも可能になるため、多層配線、ウェハレベルの大規模集積化も可能になる。
【0024】
さらに具体的な半導体装置については、以下の実施例において説明する。
(実施例1)
本実施例に係る半導体素子について、
図6を用いて説明する。
図6(a)は、本実施例に係る検出装置の一部を示す上面図、
図6(b)はその断面図を表すものである。
図6(c)は、アンテナを伴った検出装置全体を示す上面図である。本実施例は整流素子としてショットキーバリアダイオードを用いる検出装置を示すものである。本実施例において、基板51は、Si基板を用いる。FZ法の引き上げにより、抵抗率は1kΩcmの高抵抗率品を用いている。キャリアとしては電子を採用し、高濃度キャリア層502のn型キャリア濃度は5×10
19cm
-3、厚さは400nmである。低濃度キャリア層501のn型キャリア濃度は5×10
17cm
-3、厚さは100nmである。低濃度キャリア層501はショットキー電極503と接触して、503側にショットキーバリアを形成する。オーミック電極504は、高濃度キャリア層502と接してオーミックとなる。本実施例では、電極材としてTi503、504を用いる。同じ材料でも、接する半導体の性質が異なればショットキーあるいはオーミック接触となる。Ti503、504の厚さは100nmを用いるが、これに限ることはなく、これより薄くてもよいし厚くてもよい。こうして、本発明を適用できるショットキーバリアダイオードを構成する。
【0025】
検出装置を構成するためには、半導体501、502の島509を形成する。島の大きさは、0.5THz以上3THz以下の周波数帯の電磁波の検出のために50μm
2程度かそれ以下とし、一辺を約7μmに設計した。さらに、島509をシリコン窒化膜52で埋め込み、ショットキー電極503、高さ100nmのコンタクトホールを介して、Ti/Alなどの配線505と接続する。尚、ダイオード構造におけるイントリンシックなRsCjローパスフィルタのカットオフ周波数が約3THzとなるように、ショットキー電極503の直径は0.6μm、ショットキー電極503とオーミック電極504との間の距離を1μmに設計した。配線505はそのままアンテナ5051につながる金属パターニングとなっているが、この部分の浮遊容量Csを低減するため、本実施例は開口506を設けてある。開口は直径0.3μmであり、アンテナ5051までのTi/Al配線505の抵抗増加は十分に小さい。この開口506直下の窒化膜52に開口506とつながった空隙507を設けるが、空隙507はダイオード構造に隣接する直径2μmに設計した。したがって、空隙507直上の配線505は中空の構造になっているが、自重によるたわみ量は、2×10
−7nm以下と見積もられ、もちろん配線505と高濃度キャリア層502が接触する心配はない。空隙507にそのまま空気を充填した本実施例の構造の場合、低減できる浮遊容量差δCsはおよそ平行平板コンデンサの式(ε
52−1)ε
0A/tで考えてよく、δCs=0.5fFと見積もられた。ただし、ε
0は真空の誘電率、Aは配線505と高濃度キャリア層502が対向する空隙の部分の面積、tは配線505と高濃度キャリア層502の間の距離である。本実施例は1つの空隙507で寄生容量を0.5fF低減した結果を示しているが、もちろんこれに限ることはない。第一、第二の実施形態で示したように空隙を2つ以上設けたり、機械的強度が安定な範囲で空隙507の径を大きくして低減効果を大きくしてもよい。
【0026】
集積アンテナの一例として、本実施例では対数周期アンテナを用いる(
図6(c))。アンテナ5041、5051は、それぞれ、外側までの半径が250μm、もっとも内側までの半径が10μm、対数周期0.7の櫛歯の数が9本、櫛歯の角度が45degに設計した。高周波全電磁界シミュレータHFSS v12(ansoft社製)でこうした構造をシミュレーションしたところ、0.2から2.5THzまでの広帯域での電磁波検出が可能であることを確認した。こうしたダイオード構造と、被検出電磁波の電界成分をショットキー電極とオーミック電極の間に誘起するためのアンテナと、を備え、ショットキー電極とオーミック電極をアンテナの出力とする検出素子が構成される。その際、浮遊容量Csを低減すると、上述の周波数帯域におけるアンテナからダイオードまでのパワー伝送効率を効果的にする働きがあるため、本実施例の構造は集積アンテナを備えた検出装置として好ましい。
【0027】
検出は、読み出し線5042、5052を介して例えば不図示の電流計測手段などによって検波電流を読み取る。このとき、不図示の電圧印加手段などによって読み出し線5042、5052にバイアス電圧を印加し、ダイオード素子の動作点電圧を設定してもよい。本実施例のダイオード素子の場合、0V付近にバイアスしておくと高感度である。最適なバイアス電圧はショットキー電極503の電極材などに依存し、本実施例の構造の場合、Tiのように比較的仕事関数の低い電極材では0V付近、PtやPdのように比較的仕事関数の高い電極材では0.3から0.5V付近の順バイアスが最適である。
【0028】
本実施例の検出素子の作製は次のように行うことができる。まず、Si基板51上にエピタキシャル層502、501を積層する。結晶成長にはCVD法、MBE法等が適用可能である。その後、プラズマCVD酸化膜を100nm成膜する。プラズマ酸化膜成長後に、島509形成領域に該当する部位にレジストを残存ならしめるようにパターニングする。一般的な塗布、露光、現像工程を経て島509形成部位にレジストが形成された後、このレジストをマスクとして下地のプラズマ酸化膜をエッチング除去する。RIE(反応性イオンエッチングエッチング)装置等を適用し、CF
4とO
2の混合ガス等のエッチングガスを用いれば、容易に酸化膜を除去可能である。続いて、前述のレジストを有機溶剤で除去する。その後、パターニングされたプラズマ酸化膜をマスクとして高濃度キャリア層502と低濃度キャリア層501をエッチングする。エッチングは、SF
6やCl
2等のハロゲン系ガスを用いたドライエッチングを用いれば容易に実現可能である。この際、基板51までエッチングが到達することが、隣接デバイスとの電気的絶縁を得るために好適である。その後、プラズマ酸化膜ハードマスクは緩衝フッ酸等への浸漬で除去される。島509のエッチング工程でプラズマ酸化膜をハードマスクとして用いる理由としては、次の点があげられる。レジストをマスクとしてエッチングするプロセスに対し、選択比を得ることが容易であること、及びレジストの成分が高濃度キャリア層502と低濃度キャリア層501にノックオンされることを低減する上で好適であることがあげられる。続いて、全く同様にして、プラズマ酸化膜成長後、低濃度キャリア層501形成領域に該当する部位にレジストをパターニングし、プラズマ酸化膜をマスクとして低濃度キャリア層501をエッチングする。
【0029】
続いて、電極503、504を形成する部位が除去されるようにレジストをパターニングする。その後、電子ビーム蒸着を用いてTiを100nm成膜する。その後、有機溶剤に浸漬して電極503、504の部位以外のTiを除去する所謂リフトオフ法で、電極503、504を形成する。電極形成工程で、リフトオフ法を用いるのは低濃度キャリア部位501に加工ダメージによる欠陥が導入されることを回避するためである。続いて、絶縁膜52となるプラズマCVD窒化膜を成膜する。下地の島509や電極503、504の凹凸がプラズマ窒化膜に反映され、後述の対数周期アンテナのパターニング時にフォーカス深度不足等の影響が生じる可能性がある場合には、次の様にしてもよい。即ち、プラズマ窒化膜による埋設後にCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)工程を用いて窒化膜を平坦化することも可能である。その後、電極503、504上を除去するようにレジストをパターニングし、スルーホールエッチングを行う。エッチングには前述のRIE等が、またガスについてはCF
4等が適用可能である。レジスト除去後、Ti/Alをスパッタ法にてそれぞれ10nm、200nm連続成膜する。成膜後、対数周期アンテナ5041、5051を形成ならしめる様にレジストをパターンニングし、前記RIEや、よりプラズマ密度の高いECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置を用い、ハロゲン系ガスを適用してTi/Alの不要部分を除去する。
【0030】
最後に、空隙507の製造法について述べる。まず、開口506を形成する部位が除去されるようにレジストパターンを形成する。続いて、レジストパターンをマスクとして、塩素ガスを用いたICPーRIE法により配線505のTi/Al(=10/200nm)をエッチング除去して、直径0.3μmの開口506を窓開けする。次に、前記レジストパターン及び配線505をマスクとして、開口部506に露出した絶縁膜52のシリコン窒化膜(厚さ300nm)を等方的にエッチングして空隙507と配線505の梁を形成する。ここで、等方性のエッチングとして、ダウンフロープラズマを用いたケミカルドライエッチングなどのガスエッチングを用いれば、反応種の拡散やスティッキングの問題が回避されるので、より広い領域に空隙507を歩留まり良く形成することが可能となる。この際、CF
4とO
2の混合ガスにH
2やH
2Oを少量添加したガスを用いれば、窒化膜と高濃度キャリア層502のシリコンとの選択比が得られ好適である。最後にレジストマスクをアッシング除去することで本素子は完成する。
【0031】
また、本実施例の変形例として開口506が比較的小さな場合、配線505上に新規レイヤを積層することができる。例えば、
図7(a)のような構造である。スパッタ又はプラズマCVDによって絶縁膜511を成膜する場合、成膜厚さ(レイヤ厚さ)が開口506の直径より大きい場合、空隙507にはほとんど絶縁膜を堆積させることなく配線505上に絶縁膜511を積層することができる。こうした理由で、本実施形態の開口506の大きさは直径1μm以下が好ましい。絶縁膜511は、スパッタ酸化膜、プラズマ酸化膜、スパッタ窒化膜、又はプラズマ窒化膜が好ましい。したがって、絶縁膜511の上には素子間レベルでの電気的接続のための配線512も配置することも可能である。こうした半導体装置を用いれば、上述の周波数領域における半導体素子のウェハレベルの集積はさらに容易になる。
【0032】
さらに、検出素子を複数個アレイ状に配置することで、複数の検出素子が夫々検出する被検出電磁波の電界の検出結果に基づいて電界分布の画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置を構成することが可能である。例えば、
図7(b)のような構造である。本例では、各画素にはマイクロレンズアレイ513を用いており、各画素の検出信号は配線512によって取り出すことができる。その際、機械的に安定した検出素子の集合体であるアレイの歩留まりも優れることが期待できる。各画素における寄生容量のバラつきは非常に小さくなるため、これを補正するための画像補正も軽微なレベルで済み、画像形成装置としても好ましい。
【0033】
(実施例2)
異なる製造法を用いた第一の実施例の変形例を、
図8を用いて説明する。
図8(a)は、本実施例に係る検出装置の一部を示す上面図、
図8(b)はその断面図を表すものである。本実施例において、第一の実施例と異なるのは、配線505の直下にはない空隙517も併せて設けている点である。配線の開口506とつながった空隙507に限られない位置にも空隙517を設けることで、配線505のエッジ514の付近に集中する電気力線に起因する寄生容量も低減することができる。そのためには、
図8(a)における、配線505の外側の位置515を中心にレジストパターニングの開口516を用意して空隙517を形成する。これに伴って、本実施例の製造法には、第一の実施例とは異なる方法を用いる。
【0034】
まず、基板51上における、島509等の誘電体52埋め込みまでは、第一の実施例と同じ製造法を用いる。その後、配線505の形成において、開口506の部位を除去されるようにレジストをパターニングする。アンテナ5041、5051は第一の実施例と同様に形成ならしめる様にレジストをパターンニングし、ハロゲン系ガスを適用してTi/Alの不要部分を除去する。形成した直径0.3μmの開口506は、本実施例の場合、配線505上に一箇所である。続いて、直径0.2μmの開口516をレジストパターニングする。本実施例の場合、配線の開口506上に一箇所、配線のエッジ514の外側に2箇所である。ここで、レジスト開口部516に露出した絶縁膜52のシリコン窒化膜を等方的にエッチングして空隙507、517と配線505の梁を形成する。レジスト除去を行うため、レジスト開口516は最終的には構造からは無くなるが、空隙517の中心はレジスト開口の中心515と一致するため、こうした製造法を経て作製された構造であることがわかる。このような半導体装置を用いれば、さらに寄生容量を低減された半導体装置を提供することができる。
【0035】
以上の実施形態、実施例に依れば、ミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域に対応する半導体装置において、寄生容量を低減しつつ機械的強度を安定化することができる。
【符号の説明】
【0036】
11・・・基板、12・・・誘電体、101・・・半導体素子、102、103・・・半導体素子の一極、105・・・導電性配線、106・・・開口、107・・・空隙