特許第6247506号(P6247506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247506
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】建物の壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20171204BHJP
   E04B 1/684 20060101ALI20171204BHJP
   E04B 1/682 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   E04B1/64 C
   E04B1/684 B
   E04B1/682 A
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-234895(P2013-234895)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-94157(P2015-94157A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】堀 勝
(72)【発明者】
【氏名】井上 和彦
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−080266(JP,A)
【文献】 特許第4613874(JP,B2)
【文献】 特開2002−021177(JP,A)
【文献】 特開2010−053591(JP,A)
【文献】 特開2008−082035(JP,A)
【文献】 特開2005−336715(JP,A)
【文献】 特開2005−207043(JP,A)
【文献】 特開平06−193163(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3018587(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/64−1/684
E04B 2/56−2/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部において複数の外壁部材が上下又は左右の少なくともいずれかに並べて配置され、それら外壁部材の間を通して、前記外壁部材の外壁面に交差する方向に延びるようにして延出部材が設けられており、前記壁部において壁内部となる位置で水の流下が可能となっている建物の壁構造であって、
前記外壁部材には、前記延出部材が配置される凹所が形成され、
前記延出部材には、該延出部材を囲む周囲部分に止水部材が取り付けられ、
前記延出部材が前記凹所に配置された状態において、前記止水部材が、前記外壁部材の背面の側に当接した状態で設けられており、
前記延出部材は屋外側に突出する梁材を有し、前記止水部材は、前記梁材を囲むように形成された四辺の枠状部を有していることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項2】
前記梁材は溝形鋼よりなり、
前記梁材の溝部には、前記凹所内となる位置において前記梁材の上下のフランジ部の間に溝埋め部材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の建物の壁構造。
【請求項3】
前記外壁部材は、上下方向に延びる中空部が形成された中空構造を有する壁面材よりなり、該壁面材は、前記中空部よりも外壁面側の外側壁肉部と前記中空部よりも背面側の内側壁肉部とを有しており、
前記壁面材において前記中空部よりも外壁面側では、前記外側壁肉部と前記延出部材との間に一次止水材が設けられ、前記中空部よりも背面側では、前記内側壁肉部の背面側に前記止水部材が二次止水材として設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の壁構造。
【請求項4】
複数の前記壁面材が上下に並べて配置され、それら壁面材の間の横目地に、上側の前記壁面材の背面から延び、かつ下端部が下側の前記壁面材の中空部に挿し入れられるようにして水切プレートが設けられる建物の壁構造であって、
前記延出部材は、その上面部が前記横目地に沿って配置されるものであり、
前記延出部材の上方に設けられる前記水切プレートは、前記上面部よりも幅広であって、その長手方向の両端部に、前記延出部材の左右の各壁面材の中空部に挿し入れられる挿入部がそれぞれ形成されるとともに、その両挿入部の間が切欠部になっていることを特徴とする請求項に記載の建物の壁構造。
【請求項5】
複数の前記壁面材が左右に並べて配置され、その間に前記延出部材が設けられる建物に適用され、
前記複数の壁面材の間の縦目地にその長手方向に延びる縦目地止水材が設けられ、
前記縦目地において前記延出部材の下方となる位置には、前記止水部材と前記縦目地止水材とに接触した状態で繋ぎ止水材が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の建物の壁構造。
【請求項6】
前記繋ぎ止水材は、前記縦目地内において前後方向に延びる向きで設けられており、外壁背面側となる後側部に、前記止水部材の前面及び下端面に当接する後側当接部を有し、外壁面側となる前側部に、前記縦目地止水材の後面及び上端面に当接する前側当接部を有していることを特徴とする請求項に記載の建物の壁構造。
【請求項7】
壁部において複数の外壁部材が上下又は左右の少なくともいずれかに並べて配置され、それら外壁部材の間を通して、前記外壁部材の外壁面に交差する方向に延びるようにして延出部材が設けられており、
前記外壁部材は、上下方向に延びる中空部が形成された中空構造を有する壁面材よりなり、該壁面材は、前記中空部よりも外壁面側の外側壁肉部と前記中空部よりも背面側の内側壁肉部とを有し、前記壁部において壁内部となる位置で水の流下が可能となっている建物の壁構造であって、
前記壁面材には、前記延出部材が配置される凹所が形成され、
前記延出部材には、該延出部材を囲む周囲部分に止水部材が取り付けられ、
前記延出部材が前記凹所に配置された状態において、前記止水部材が、前記壁面材の背面の側に当接した状態で設けられており、
前記壁面材において前記中空部よりも外壁面側では、前記外側壁肉部と前記延出部材との間に一次止水材が設けられ、前記中空部よりも背面側では、前記内側壁肉部の背面側に前記止水部材が二次止水材として設けられており、
上下に並べて配置された前記壁面材の間の横目地に、上側の前記壁面材の背面から延び、かつ下端部が下側の前記壁面材の中空部に挿し入れられるようにして水切プレートが設けられており、
前記延出部材は、その上面部が前記横目地に沿って配置されるものであり、
前記延出部材の上方に設けられる前記水切プレートは、前記上面部よりも幅広であって、その長手方向の両端部に、前記延出部材の左右の各壁面材の中空部に挿し入れられる挿入部がそれぞれ形成されるとともに、その両挿入部の間が切欠部になっていることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項8】
複数の前記壁面材が左右に並べて配置され、その間に前記延出部材が設けられる建物に適用され、
前記複数の壁面材の間の縦目地にその長手方向に延びる縦目地止水材が設けられ、
前記縦目地において前記延出部材の下方となる位置には、前記止水部材と前記縦目地止水材とに接触した状態で繋ぎ止水材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の建物の壁構造。
【請求項9】
前記繋ぎ止水材は、前記縦目地内において前後方向に延びる向きで設けられており、外壁背面側となる後側部に、前記止水部材の前面及び下端面に当接する後側当接部を有し、外壁面側となる前側部に、前記縦目地止水材の後面及び上端面に当接する前側当接部を有していることを特徴とする請求項に記載の建物の壁構造。
【請求項10】
前記延出部材において前記外壁部材の背後側となる位置には、前記延出部材の周囲に向けて起立する起立部が設けられており、
前記止水部材は、前記外壁部材の背面と前記起立部とに挟まれた状態で設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の建物の壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物において、外壁部の外側に延出されるようにして梁材や板材といった延出部材を設ける構成が実用化されており、外壁部における梁材や板材の取付部分での止水構造について各種の提案がなされている。具体的には、外壁の目地内に弾力性を有する乾式目地止水材を配置するとともに、その目地止水材に貫通の切り込みを形成しておき、プレート等の貫通材を乾式目地止水材の切り込みに通すことで、貫通材の周囲の止水を行うようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−256509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように乾式目地止水材の切り込みに貫通材を貫通させるものは、目地内に配設された状態の目地止水材に貫通材を通すものであるため、目地止水材の圧縮による負担が大きく、目地止水材が断絶されること等により、所望の止水性能が発揮できなくなることが懸念される。
【0005】
また、建物の壁構造として、壁内部における雨水等の通過を許容しているものがあり、こうした壁構造の場合には、単に目地内での止水を行うだけでなく、雨水の流下経路を考慮した止水構造を構築する必要があり、技術改善の余地があると考えられる。例えば、コンクリート押出成形材よりなる中空構造の外壁材を用いる場合において、延出部材としてH形綱等の梁材を設けたり板材を横向きで設けたりすると、壁内の中空部を通って上方から流下してきた雨水が延出部材に到達した後に外壁材の背面側に流れ出てしまい、結果として屋内側への雨水の浸入が生じることが考えられる。
【0006】
また、中空構造の外壁材以外においても、外壁部材として、サイディングボード等の外壁面材と、その背面側の軽鉄材からなる壁フレームとを有してなる複数の外壁パネル(外壁ユニット)を用いる場合には、隣り合う外壁パネルの間のフレーム間の隙間を雨水の流下経路とすることが考えられるが、かかる場合においてもやはり、延出部材に到達した雨水が外壁部材の背後に流れ出ることが懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外壁部から延出部材が延出して設けられる建物において適正なる止水性能を付加することができる建物の壁構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成の符号を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
第1の発明は、
壁部において複数の外壁部材(25)が上下又は左右の少なくともいずれかに並べて配置され、それら外壁部材の間を通して、前記外壁部材の外壁面に交差する方向に延びるようにして延出部材(21,23)が設けられており、前記壁部において壁内部となる位置で水の流下が可能となっている建物の壁構造であって、
前記外壁部材には、前記延出部材が配置される凹所(28)が形成され、
前記延出部材には、該延出部材を囲む周囲部分に止水部材(60)が取り付けられ、
前記延出部材が前記凹所に配置された状態において、前記止水部材が、前記外壁部材の背面の側に当接した状態で設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、外壁部材に形成された凹所に延出部材が配置され、これにより、延出部材が外壁部材の外壁面に交差する方向に延びるように設けられている。また、建物の壁部では壁内部となる位置で水(雨水等)の流下が可能となっており、その壁内部を流下した水が延出部材に達した場合には、延出部材の周囲において外壁部材の背面の側に当接して設けられた止水部材により、外壁部材の背後への水の漏れ出しが防止されるようになっている。これにより、壁内部を流下してきた水が意図せず外壁部材の背面側に流れ出てしまうことを抑制できる。その結果、外壁部から延出部材が延出して設けられる建物において適正なる止水性能を付加することができる。
【0011】
第2の発明は、前記延出部材において前記外壁部材の背後側となる位置には、前記延出部材の周囲に向けて起立する起立部(58)が設けられており、前記止水部材は、前記外壁部材の背面と前記起立部とに挟まれた状態で設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記構成では、止水部材は、延出部材に一体的に設けられた起立部と外壁部材の背面とに挟まれた状態で設けられており、止水部材を外壁部材の背面に対して押しつけることが可能となっている。したがって、外壁部材の背面側での止水を行う上で好適な構成を実現できる。
【0013】
第3の発明は、前記延出部材は屋外側に突出する梁材(21)であり、前記止水部材は、前記梁材を囲む四辺の枠状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
建物において屋外側に突出させて延出部材として梁材が設けられている構成では、その梁材の周囲に、梁材の梁幅及び梁せいに応じた大きさの目地が形成される。この場合、梁材を囲む四辺の枠状に止水部材が形成されているため、梁形状や、梁幅及び梁せいに対応させつつ好適なる止水を実現できる。
【0015】
第4の発明は、前記梁材は溝形鋼よりなり、前記梁材の溝部には、前記凹所内となる位置において前記梁材の上下のフランジ部の間に溝埋め部材(57)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
梁材が溝形鋼により構成されている場合には溝部が屋外側に開放されることになるが、溝埋め部材を設けることにより凹所内において溝部が封鎖される。これにより、その溝埋め部材の周囲に止水部材を設ければよいことになり、梁材の溝形状に関係なく、止水構造を単純形状にて実現できる。
【0017】
第5の発明は、前記外壁部材は、上下方向に延びる中空部(38a)が形成された中空構造を有する壁面材(25)よりなり、該壁面材は、前記中空部よりも外壁面側の外側壁肉部(38b)と前記中空部よりも背面側の内側壁肉部(38c)とを有しており、前記壁面材において前記中空部よりも外壁面側では、前記外側壁肉部と前記延出部材との間に一次止水材(54,55)が設けられ、前記中空部よりも背面側では、前記内側壁肉部の背面側に前記止水部材が二次止水材として設けられていることを特徴とする。
【0018】
中空構造の壁面材を用いる場合において、壁面材の中空部よりも外壁面側では、外側壁肉部と延出部材との間に一次止水材が設けられ、中空部よりも背面側では、内側壁肉部の背面側に二次止水材(止水部材)が設けられている。この場合、中空部を挟んで一次止水材と二次止水材とがそれぞれ設けられることで、延出部材の周囲にその延出部材を迂回しつつその上側と下側とを繋ぐ水の流下経路が形成できる。これにより、外壁の目地部分に梁等の延出部材が存在していても、所望の止水性能を確保できる。
【0019】
第6の発明は、複数の前記壁面材が上下に並べて配置され、それら壁面材の間の横目地(26)に、上側の前記壁面材の背面から延び、かつ下端部が下側の前記壁面材の中空部に挿し入れられるようにして水切プレート(42,65)が設けられる建物の壁構造であって、前記延出部材は、その上面部が前記横目地に沿って配置されるものであり、前記延出部材の上方に設けられる前記水切プレート(65)は、前記上面部よりも幅広であって、その長手方向の両端部に、前記延出部材の左右の各壁面材の中空部に挿し入れられる挿入部(65b)がそれぞれ形成されるとともに、その両挿入部の間が切欠部(65c)になっていることを特徴とする。
【0020】
横目地には、下端部が下側の壁面材の中空部に挿し入れられるようにして水切プレートが設けられるが、その横目地に延出部材の上面部が存在している場合には、延出部材が設けられる位置でのプレート下端部の挿し入れができなくなる。この点、上記のとおり、延出部材の上方に設けられる水切プレートは、延出部材の上面部よりも幅広であって、その長手方向の両端部に、延出部材の左右の各壁面材の中空部に挿し入れられる挿入部がそれぞれ形成されるとともに、その両挿入部の間が切欠部になっているため、横目地に延出部材が存在する構成にあっても水切プレートの配設が可能であり、延出部材の存否に関係なく所望の水切性能を確保できる。
【0021】
第7の発明は、複数の前記壁面材が左右に並べて配置され、その間に前記延出部材が設けられる建物に適用され、前記複数の壁面材の間の縦目地(27)にその長手方向に延びる縦目地止水材(56)が設けられ、前記縦目地において前記延出部材の下方となる位置には、前記止水部材と前記縦目地止水材とに接触した状態で繋ぎ止水材(67)が設けられていることを特徴とする。
【0022】
延出部材の下方の縦目地においては、その縦目地内に設けられた繋ぎ止水材により、延出部材の周囲の止水部材と縦目地止水材とが連続しており、延出部材の周囲を伝って流下する雨水等は縦目地(特に縦目地止水材の屋内側)に浸入せずに、いずれかの壁内中空部に流れ込むことになる。この場合、壁面材自体はコンクリート等により成型されるものであって、その中空部における水漏れは極めて生じにくいと考えられる。そのため、延出部材の周囲を伝って流下する雨水等を、縦目地ではなく中空部に流れ込ませることにより、延出部材の下方における適正なる止水を実現できる。
【0023】
第8の発明は、前記繋ぎ止水材は、前記縦目地内において前後方向(壁厚み方向)に延びる向きで設けられており、外壁背面側となる後側部に、前記止水部材の前面及び下端面に当接する後側当接部(67b)を有し、外壁面側となる前側部に、前記縦目地止水材の後面及び上端面に当接する前側当接部(67a)を有していることを特徴とする。
【0024】
繋ぎ止水材として、上記のとおりの後側当接部及び前側当接部を有する構成であれば、繋ぎ止水材を止水部材及び縦目地止水材に対してそれぞれに確実に接触させ、ひいては縦目地における止水性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】建物の外観を示す斜視図。
図2】外壁部に取り付けられたあらわし梁とブレース受け金物とを示す斜視図。
図3図2のA−A線断面図。
図4図2のB−B線断面図。
図5】あらわし梁等を示す斜視図。
図6】二次止水材を示す斜視図。
図7】水切プレートを示す斜視図。
図8】縦目地繋ぎ役物を示す斜視図。
図9】壁構造を分解して示す斜視図。
図10】あらわし梁及びブレース受け金物を下側外壁材に取り付けた状態を示す斜視図。
図11】縦目地繋ぎ役物の取付状態を示す斜視図。
図12】壁内部における水の流れを示す図。
図13】壁構造の変形例を示す斜視図。
図14】壁構造の変形例を示す斜視図。
図15】外壁材の配置パターンと延出部材との主な組み合わせを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨軸組工法により構築される多層階建て建物において、その外壁部の構造について詳しく説明する。
【0027】
図1は、建物10の外観を示す斜視図である。建物10では、二階部分の一部が天井無し空間である吹抜け部11となっており、吹抜け部11の横の二階本体部12の屋根部13は平屋根となっている。屋根部13の周縁部分には平坦部を囲むようにしてパラペット14が設けられている。
【0028】
吹抜け部11は、二階本体部12の外壁部15と立ち壁部16との間に設けられ、それら両者に架け渡してあらわし梁21とあらわしブレース22とが設けられている。本実施形態では、あらわし梁21と、あらわしブレース22を固定するブレース受け金物23とが延出部材に相当する。あらわし梁21はH形鋼、ブレース受け金物23は鋼板よりなり、それらは、外壁部15及び立ち壁部16において互いに横並びとなる位置に設けられている。
【0029】
図2は、外壁部15に取り付けられたあらわし梁21とブレース受け金物23とを示す斜視図である。外壁部15は、上下及び左右に複数の外壁材25が並べて配置されることで構成されており、それら各外壁材25の外壁面に交差する向きに延びるようにしてあらわし梁21とブレース受け金物23とが設けられている。各外壁材25は、二階天井部のスラブラインSLを境にして上側の外壁材25と下側の外壁材25とに区別することができ、本実施形態では上側の外壁材25を「上側外壁材25A」、下側の外壁材25を「下側外壁材25B」とも言うこととする。本実施形態では、外壁材25として、コンクリート押出成形材からなる外壁材を用いており、その厚さ方向の中間部には上下方向に延びる中空部38aが形成されている(図3参照)。
【0030】
上側外壁材25Aと下側外壁材25Bとの間には横目地26が形成されている。また、あらわし梁21の取付位置においては、上側外壁材25A及び下側外壁材25Bのそれぞれの側に縦目地27が形成されている。
【0031】
あらわし梁21とブレース受け金物23とは、あらわし梁21の上側フランジとブレース受け金物23とが水平方向に同一平面上で並ぶようして、図示しない固定金具により互いに連結されている。そして、下側外壁材25Bには、あらわし梁21及びブレース受け金物23の形状及び大きさに合わせて凹所としての切欠部28が形成されており、外壁部15においては、切欠部28から延びるようにしてあらわし梁21及びブレース受け金物23が取り付けられている。
【0032】
なお、あらわし梁21の上側フランジ21aとブレース受け金物23の上面部とが、外壁材25の下端部に対向する上面部に相当し、この上面部が横目地26に沿って配置されている。また、あらわし梁21の下側フランジ21bとブレース受け金物23の下面部とが、外壁材25の上端部に対向する下面部に相当する。
【0033】
なお、図示による説明は省略するが、立ち壁部16側のあらわし梁21とブレース受け金物23とについても概ね同様の構造となっている。
【0034】
以下に、外壁部15における壁構造及び止水構造について詳しく説明する。ここでまずは、あらわし梁21及びブレース受け金物23とは異なる場所の壁構造及び止水構造を図3の断面図を用いて説明する。図3は、図2のA−A線断面図である。
【0035】
図3において、天井梁31はH形鋼よりなり、その天井梁31の上側フランジには、梁上受け部材32がボルト、ナット等の固定具33により固定されている。また、梁上受け部材32の外壁材側の先端部には壁支持部材34が溶接等により固定されており、その壁支持部材34により上側外壁材25Aが支持されている。その支持構造については周知であるため詳細な説明は割愛するが、略述すると、壁支持部材34はL形のアングル材よりなり、鉛直部を上側外壁材25Aの背面側、水平部を上側外壁材25Aの下面側に配置させ、その状態で壁支持部材34の鉛直部と上側外壁材25Aとを、取付金具35及び固定具36を用いて互いに固定させるようにしている。
【0036】
ここで、外壁材25は、上下方向に延びる中空部38aが形成された中空構造を有するものであり、その中空部38aを挟んで外壁面側が外側壁肉部38b、背面側が内側壁肉部38cとなっている。中空部38aは、外側壁肉部38bと内側壁肉部38cとを繋ぐ中間繋ぎ部で分断される複数の空間部により構成されている(図9参照)。外側壁肉部38bの表面は、上下、左右方向に凹凸(彫り)が付された凹凸部となっている。取付金具35による外壁材25の取り付けは、中空部38aを用いて行われるようになっている。外壁材25においては中空部38aを通じて水(雨水等)の流下が可能となっている。
【0037】
なお、下側外壁材25Bの支持構造については図示を略すが、基本構成は上側外壁材25Aと同じであり、梁下受け部材や壁支持部材(アングル材)、取付金具、固定具を用いて、天井梁31に対して下側外壁材25Bが固定されるようになっている。図3において、符号39は、天井梁31の上面に載置された天井面材である。
【0038】
上側外壁材25Aと下側外壁材25Bとの間の横目地26には、湿式の止水部材よりなる一次止水材41(コーキング材による不定形シール)と、上側外壁材25Aの背面と壁支持部材34との間に挟んで取り付けられ、下端部が下側外壁材25Bの中空部38aに挿し入れられる水切プレート42と、一次止水材41と水切プレート42との間に設けられる一次バッカー43とが設けられている。この場合、水切プレート42は、壁面方向(横方向)に延びる長尺材よりなり、上側外壁材25Aの中空部38a内を流下する雨水等が、上下の外壁材25A,25Bにおける内側壁肉部38cの間を通じて下側外壁材25Bの背面側に浸入することを防止する役目を有する。また、一次バッカー43は、水切プレート42に当接する当接面側に凹凸が形成されて波形状となっており(図示は略す)、その凹み部を通じて、上側外壁材25Aの中空部38a内を流下する雨水等を下側外壁材25Bの中空部38a内に案内する役目を有するものである。
【0039】
次に、あらわし梁21及びブレース受け金物23の取付部分の構造を図4の断面図を用いて説明する。図4は、図2のB−B線断面図である。
【0040】
図4において、天井梁31には、仕口部材51によりあらわし梁21が連結されている。仕口部材51はあらわし梁21の端部に溶接により固定される鋼鉄材であり、この仕口部材51がボルト、ナット等の固定具52により天井梁31に固定されることで、天井梁31に直交する向きであらわし梁21が固定されるようになっている。
【0041】
あらわし梁21の上面と上側外壁材25A(外側壁肉部38b)の下端面との間、及びあらわし梁21の下面と下側外壁材25B(外側壁肉部38b)の下端面との間には、湿式の止水部材よりなる一次止水材54,55が設けられている。なお、このうち上側の一次止水材54は、水平方向において図3の一次止水材41に連続して設けられている。
【0042】
また、各外壁材25A,25Bの縦目地27には、縦目地止水材としての長尺状の縦目地用ガスケット56が取り付けられている。なお、縦目地用ガスケット56よりも外側(外壁面側)には、横目地部分と同様に一次止水材が設けられているが、便宜上、図示を略している。
【0043】
また、あらわし梁21及びブレース受け金物23の一体物には、あらわし梁21の溝部(上下のフランジ間の溝部)を埋める溝埋め部材57が取り付けられるとともに、外方へ起立する起立部としての外周フランジ58が取り付けられている。図5は、あらわし梁21及びブレース受け金物23の一体物に、溝埋め部材57と外周フランジ58とを取り付けた状態を示す斜視図である。埋める溝埋め部材57は、H形鋼のウエブを挟んで両側の溝部にそれぞれ設けられ、板材が溶接等により接合されて構成されている。外周フランジ58は、あらわし梁21及びブレース受け金物23に対して全周を囲むようにして取り付けられている。
【0044】
あらわし梁21及びブレース受け金物23に取り付けられた外周フランジ58は、外壁材25A,25Bが取り付けられた状態でそれらの背面に対して所定距離L1だけ離間する位置に設けられており、外周フランジ58と外壁材25A,25Bの背面との間には二次止水材60が取り付けられている。二次止水材60は、例えば弾性変形が可能な発泡ゴム材料により構成されており、あらわし梁21及びブレース受け金物23を囲む周囲部分に取り付けられている。所定距離L1は、二次止水材60の厚さ寸法(自然状態の厚さ)と同じか、又はそれよりも小さい寸法である。
【0045】
図6は、二次止水材60を示す斜視図である。二次止水材60は、あらわし梁21を囲む部位である第1部分61と、ブレース受け金物23を囲む部位である第2部分62とを有している。このうち特に、第1部分61は、あらわし梁21を囲む四辺の枠状に形成されている。二次止水材60は、あらわし梁21及びブレース受け金物23の一体物について全周の取り囲みが可能となるように略環状に形成されるが、その一体物に対して装着を容易にすべく、少なくとも一カ所が切断されて構成されている(図のX)。この場合、端面同士が突き当てられるようになっている。
【0046】
二次止水材60は、外周フランジ58に対面する背面側と、あらわし梁21(埋める溝埋め部材57を含む)及びブレース受け金物23に対面する内面側との少なくともいずれかを接着面とし、その接着面にて外周フランジ58に対して接合されているとよい。
【0047】
あらわし梁21及びブレース受け金物23の上方には、水切プレート65が設けられている。図7は水切プレート65の斜視図である。水切プレート65は、上側外壁材25Aの背面及び下面に沿って延びる壁沿い板部65aと、あらわし梁21及びブレース受け金物23の側方(図4においてはこれらの一体物の手前側及び奥側)で下側外壁材25Bの中空部38aに挿し入れられる2つの挿入部65bとを有しており、2つの挿入部65bの間が切欠部65cとなっている。この場合、水切プレート65の長手方向の幅は、あらわし梁21及びブレース受け金物23の一体物の幅よりも大きく、その寸法が余剰となる部位(長手方向の両端部)に2つの挿入部65bが設けられている。
【0048】
なお、水切プレート65は、その基本形状は図3中に示される水切プレート42と同じであるが、下側部分(中空部への挿入部分)においてあらわし梁21及びブレース受け金物23との干渉を回避する切欠部65cが形成されている点が、図3の水切プレート42と相違している。
【0049】
二次止水材60は、外周フランジ58と外壁材25A,25Bの背面とに挟まれた状態で取り付けられるものであるが、上側部分だけは外周フランジ58と水切プレート65とに挟まれた状態で取り付けられている。
【0050】
また、下側外壁材25Bの縦目地27においてあらわし梁21の下側には、二次止水材60と縦目地用ガスケット56との間となる位置に繋ぎ止水材としての縦目地繋ぎ役物67が取り付けられている。図8は縦目地繋ぎ役物67の斜視図である。縦目地繋ぎ役物67は、全体として略S字状に形成され、縦目地27内において前後方向(壁厚み方向)に延びる向きで設けられている。縦目地繋ぎ役物67は、縦目地用ガスケット56の後面及び上端面に当接する外側当たり部67aと、二次止水材60の前面及び下端面に当接する内側当たり部67bとを有している。外側当たり部67aが、外壁面側となる前側部に設けられる前側当接部であり、内側当たり部67bが、外壁背面側となる後側部に設けられる後側当接部である。この場合、外側当たり部67aの下面は内側当たり部67bよりも高い位置にあり、すなわち縦目地用ガスケット56と二次止水材60とは上下方向において重複する位置に存在することになる。縦目地繋ぎ役物67によれば、あらわし梁21及びブレース受け金物23の周囲部分を伝って下方に流れる雨水等は、縦目地27において縦目地用ガスケット56の背後に流れ込むことが抑止され、下側外壁材25Bの中空部38aのいずれかに流れ込むこととなる。そして、その雨水等は、中空部38aを流れた後に屋外に排出される。
【0051】
次に、あらわし梁21及びブレース受け金物23の取付部分における壁構造の施工手順について説明する。図9は、上下の外壁材25A,25Bと、あらわし梁21及びブレース受け金物23(止水部材付き)とを分解して示す分解斜視図である。
【0052】
図9において、下側外壁材25Bには、あらわし梁21及びブレース受け金物23を収容する切欠部28が形成されている。図9の下側外壁材25Bは、建物10の躯体(天井梁31)に固定された状態で示されており、切欠部28が形成されていない部分には、下側外壁材25Bの上端部の上方に、上側外壁材25Aを支持するための壁支持部材34が存在するものとなっている。
【0053】
下側外壁材25Bの切欠部28に対しては、後端部に二次止水材60が取り付けられた状態のあらわし梁21及びブレース受け金物23が配置される。そして、天井梁31に対してあらわし梁21が固定される。その後、下側外壁材25Bの上方に水切プレート42が配置されるととともに、あらわし梁21及びブレース受け金物23の上方に水切プレート65が配置される。その状態が図10に示す状態である。このとき、水切プレート65は、その左右の水切プレート42に一部重ねて配置され、2つの挿入部65bが下側外壁材25Bの中空部38aに挿し入れられる。
【0054】
また、下側外壁材25Bの縦目地27においてあらわし梁21の下側には、外壁面側から縦目地繋ぎ役物67が取り付けられる。その取り付けられた状態が図11に示す状態である。そして、縦目地繋ぎ役物67の取り付け後に、縦目地用ガスケット56が取り付けられる。
【0055】
そしてその後、上側外壁材25Aが取り付けられ、上側外壁材25Aの縦目地27に縦目地用ガスケット56が取り付けられる。上側外壁材25Aの取り付け後には、横目地26及び縦目地27においてコーキング処理により一次止水材41等が形成される。
【0056】
図12は、外壁部15を正面から見た状態において壁内部における水の流れを示す図である。図12では、上側外壁材25Aの中空部38aを流下する雨水等はあらわし梁21及びブレース受け金物23の周囲部分を通過して下方に流れる。そして、下側外壁材25Bの中空部38aに入ってさらに下方に流下するようになっている。
【0057】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0058】
建物10の外壁部では壁内部となる位置で水(雨水等)の流下が可能となっており、その壁内部を流下した水があらわし梁21及びブレース受け金物23に達した場合には、その周囲に設けられた二次止水材60により、外壁材25の背後への水の漏れ出しが防止されるようになっている。これにより、壁内部を流下してきた水が意図せず外壁材25の背面側に流れ出てしまうことを抑制できる。その結果、外壁部にあらわし梁21やブレース受け金物23が延出して設けられる建物において適正なる止水性能を付加することができる。
【0059】
二次止水材60を、あらわし梁21及びブレース受け金物23に一体的に設けられた外周フランジ58と、外壁材25A,25Bの背面とに挟まれた状態で設ける構成にした。これにより、二次止水材60を外壁材25A,25Bの背面に対して押しつけることが可能となっており、外壁材25A,25Bの背面側での止水を行う上で好適な構成を実現できる。
【0060】
あらわし梁21を囲む四辺の枠状に二次止水材60を形成したため、あらわし梁21の形状や、梁幅及び梁せいに対応させつつ好適なる止水を実現できる。
【0061】
あらわし梁21が溝形鋼により構成されている場合には溝部が屋外側に開放されることになるが、溝埋め部材57を設けることにより切欠部28内において溝部が封鎖される。これにより、その溝埋め部材57の周囲に二次止水材60を設ければよいことになり、あらわし梁21の溝形状に関係なく、止水構造を単純形状にて実現できる。
【0062】
中空構造の外壁材25を用いる場合において、外壁材25の中空部38aよりも外壁面側には、外側壁肉部38bとあらわし梁21及びブレース受け金物23との間に一次止水材54,55を設け、中空部38aよりも背面側には、内側壁肉部38cの背面側に二次止水材60を設ける構成とした。この場合、中空部38aを挟んで一次止水材54,55と二次止水材60とがそれぞれ設けられることで、あらわし梁21及びブレース受け金物23の周囲にそれを迂回しつつその上側と下側とを繋ぐ水の流下経路が形成できる。これにより、外壁の目地部分にあらわし梁21等が存在していても、所望の止水性能を確保できる。
【0063】
横目地26には、下端部が下側外壁材25Bの中空部38aに挿し入れられるようにして水切プレート42,65が設けられるが、その横目地26にあらわし梁21及びブレース受け金物23の上面部が存在している場合には、これらあらわし梁21及びブレース受け金物23によってプレート下端部の挿し入れができなくなる。この点、あらわし梁21及びブレース受け金物23の上方に設けられる水切プレート65は、あらわし梁21及びブレース受け金物23の上面部よりも幅広であって、その長手方向の両端部に、左右の各外壁材25Bの中空部38aに挿し入れられる挿入部65bがそれぞれ形成されるとともに、その両挿入部65bの間が切欠部65cになっている。そのため、横目地26にあらわし梁21及びブレース受け金物23が存在する構成にあっても水切プレート65の配設が可能であり、あらわし梁21及びブレース受け金物23の存否に関係なく所望の水切性能を確保できる。
【0064】
あらわし梁21及びブレース受け金物23の下方の縦目地27においては、その縦目地27内に設けられた縦目地繋ぎ役物67により、あらわし梁21及びブレース受け金物23の周囲の二次止水材60と縦目地用ガスケット56とが連続しており、あらわし梁21及びブレース受け金物23の周囲を伝って流下する雨水等は縦目地27(特に縦目地用ガスケット56の屋内側)に浸入せずに、いずれかの壁内中空部38aに流れ込むことになる。この場合、外壁材自体はコンクリート等により成型されるものであって、その中空部38aにおける水漏れは極めて生じにくいと考えられる。そのため、あらわし梁21及びブレース受け金物23の周囲を伝って流下する雨水等を、縦目地27ではなく中空部38aに流れ込ませることにより、あらわし梁21及びブレース受け金物23の下方における適正なる止水を実現できる。
【0065】
縦目地繋ぎ役物67として、図8に示すとおりの外側当たり部67a及び内側当たり部67bを有する構成であれば、縦目地繋ぎ役物67を二次止水材60及び縦目地用ガスケット56に対してそれぞれに確実に接触させ、ひいては縦目地27における止水性能を高めることができる。
【0066】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0067】
・壁構造について変形例を図13及び図14に示す。図13は、延出部材としてあらわし梁21を用いる構成において、そのあらわし梁21のみを外壁面から張り出すように設けるものである。この場合、左右に並ぶ2つの外壁材25において、その上端部と下端部との間の側面部に矩形状の切欠部28がそれぞれ形成されている。つまり、あらわし梁21の周囲に設けられる外壁材25は、左右方向の並べて設けられるもののみとなっている。また、あらわし梁21には、溝埋め部材57と外周フランジ58とが取り付けられており、外周フランジ58に二次止水材60が取り付けられている。本構成では、二次止水材60は縦長矩形状をなしている。
【0068】
また、図14は、延出部材としてブレース受け金物23を用いる構成においてそのブレース受け金物23のみを外壁面から張り出すように設けるものである。図示の構成では、特に入隅部に設けられる構成となっている。この場合、左右に並ぶ2つの外壁材25において、その上端部と下端部との間の側面部に矩形状の切欠部28がそれぞれ形成されている。なお、入隅部を構成する2つの外壁材25は、一方が勝ち、他方が負けとなる納まりとなっており、それ故に一方の外壁材25の切欠部28の寸法(左右方向の凹所深さ)が、他方の外壁材25の切欠部28の寸法よりも大きくなっている。また、ブレース受け金物23には外周フランジ58が取り付けられており、外周フランジ58に二次止水材60が取り付けられている。本構成では、二次止水材60は、左右方向に延びる長尺材を上下に重ねるようにして構成されている。
【0069】
・外壁材の配置パターンと延出部材(あらわし梁21、ブレース受け金物23)との主な組み合わせを図15に示す。図15(a)〜(c)は、上下及び左右に配置された4枚の外壁材により横目地及び縦目地が形成され、その横目地及び縦目地に延出部材が設けられる場合の構成である。また、図15(d)〜(f)は、左右に配置された2枚の外壁材により縦目地が形成され、その縦目地に延出部材が設けられる場合の構成である。図15(g)〜(h)は、上下に配置された2枚の外壁材により横目地が形成され、その横目地に延出部材が設けられる場合の構成である。
【0070】
・上記実施形態では、中空構造の外壁部材(外壁材25)を用いる構成について説明したが、これ以外の外壁部材を用いる場合にも本発明の適用が可能である。具体的には、外壁部材が、軽量鉄骨材である軽溝形鋼よりなる下地フレームと、その下地フレームに固定される窯業系サイディングボード等の外壁材(壁面材)とにより構成される外壁パネル(外壁ユニット)であってもよい。下地フレームは、横材である複数のランナと、縦材である複数のスタッドとが溶接等により互いに固定されることで構成されている。
【0071】
上記構成の外壁パネルを用いる場合には、隣り合う外壁パネルのフレーム同士の間の隙間部分において壁内部での水の流下を行わせることが可能である。そして、既述のように外壁パネルに凹所(切欠部)を形成するとともに、あらわし梁21の周りに二次止水材60を設ける等の構成を付加することで、所望の止水性能を実現することができる。
【0072】
・梁材として用いられる溝形鋼は、H形綱以外の鋼材でもよく、例えばC形綱であってもよい。その他に木質の角材でもよい。
【0073】
・あらわし梁は、その張り出し部分において梁材自体が露出しているものに限られず、梁材の周囲に化粧板が取り付けられているものであってもよい。
【0074】
・上記実施形態では、鉄骨軸組工法により構築される建物について説明したが、これに限定されず、他の工法の建物にも適用できる。例えば、鉄骨ラーメン工法で構築されたユニット式建物や、木造在来工法で構築された建物にも適用できる。
【符号の説明】
【0075】
10…建物、21…あらわし梁(延出部材、梁材)、22…あらわしブレース、23…ブレース受け金物(延出部材)、25…外壁材(外壁部材)、26…横目地、27…縦目地、28…切欠部(凹所)、38a…中空部、38b…外側壁肉部、38c…内側壁肉部、42…水切プレート、54,55…一次止水材、58…外周フランジ、60…二次止水材(止水部材)、65…水切プレート、65b…挿入部、65c…切欠部、67…縦目地繋ぎ役物(繋ぎ止水材)、67a…外側当たり部(前側当接部)、67b…内側当たり部(後側当接部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15