(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該医療用チューブは、生体管腔内に挿入して使用され、可撓性を有するカテーテル本体を備えるカテーテルの前記カテーテル本体に用いられるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医療用チューブ。
前記医療用チューブの内腔は、先端側に前記生体管腔内の画像を取り込む画像取込部を有するドライブシャフトが挿入されるセンサルーメンとして用いられる請求項5に記載のカテーテル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、チューブの途中から先端側に向かって徐々に剛性が減少する医療用チューブおよびカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明は、基端側から先端側に向かって、第1の部位と、第2の部位と、第3の部位と、第4の部位とがこの順序で設けられた樹脂製の医療用チューブであって、
前記第1の部位は、管状の樹脂層を有し、
前記第2の部位は、管状の内層と、該内層の外周側に設けられた管状の外層とを有し、
前記第3の部位は、管状の内層と、該内層の外周側に設けられた管状の外層とを有し、
前記第4の部位は、管状の樹脂層を有し、
前記第2の部位と前記第3の部位との間には、管状の内層と、
該内層の外周側に設けられた管状の中間層と、該
中間層の外周側に設けられた管状の外層とを有する第5の部位が設けられ、
前記第1の部位の樹脂層と、前記第2の部位の内層と、前記第5の部位の内層とが、同一材料で一体的に形成され、
前記第3の部位の内層と、前記第4の部位の樹脂層と、前記第5の部位の中間層とが、同一材料で一体的に形成され、
前記第2の部位の外層と、前記第3の部位の外層と、前記第5の部位の外層とが、同一材料で一体的に形成され、
前記第1の部位の剛性をG1、前記第2の部位の剛性をG2、前記第3の部位の剛性をG3、前記第4の部位の剛性をG4としたとき、前記各剛性が下記(1)式の関係を有することを特徴とする医療用チューブである。
G1>G2>G3>G4 ・・・(1)
【0010】
本発明の医療用チューブでは、前記第3の部位の内層と、前記第4の部位の樹脂層とが、同一材料で一体的に形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の医療用チューブでは、前記第2の部位の内層の厚さは、前記第1の部位の樹脂層の厚さよりも小さいことが好ましい。
【0012】
本発明の医療用チューブでは、前記第2の部位の外層の構成材料の剛性は、前記第1の部位の樹脂層の構成材料の剛性よりも小さいことが好ましい。
【0013】
本発明の医療用チューブでは、前記第3の部位の内層の構成材料の剛性は、前記第2の部位の内層の構成材料の剛性よりも小さいことが好ましい。
【0014】
本発明の医療用チューブでは、前記第3の部位の内層の構成材料の剛性は、前記第2の部位の外層の構成材料の剛性よりも小さいことが好ましい。
【0015】
本発明の医療用チューブでは、前記第1の部位の樹脂層の構成材料は、ポリエーテルエーテルケトンを含むことが好ましい。
【0016】
本発明の医療用チューブでは、前記第2の部位の外層の構成材料は、ポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の医療用チューブでは、前記第3の部位の内層の構成材料は、ポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0018】
本発明の医療用チューブでは、前記第2の部位の外層の構成材料は、ポリオレフィンを含み、
前記第3の部位の内層の構成材料は、前記第2の部位の外層の構成材料のポリオレフィンよりも分子量の小さいポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0019】
本発明の医療用チューブでは、前記第1の部位の内径と、前記第2の部位の内径と、前記第3の部位の内径と、前記第4の部位の内径とは、ほぼ等しいことが好ましい。
【0020】
本発明の医療用チューブでは、前記第1の部位の外径と、前記第2の部位の外径と、前記第3の部位の外径と、前記第4の部位の外径とのうち、前記第4の部位の外径が最も小さいことが好ましい。
【0021】
本発明の医療用チューブでは、前記第1の部位の外径と、前記第2の部位の外径とは、ほぼ等しいことが好ましい。
【0022】
本発明の医療用チューブでは、前記第1の部位の樹脂層と前記第2の部位の外層との接合部に設けられた第1の接着剤と、
前記第2の部位の内層と前記第2の部位の外層との間で、前記接合部の近傍に設けられた第2の接着剤とを有することが好ましい。
【0023】
本発明の医療用チューブでは、前記第1の接着剤は、耐薬品性を有することが好ましい。
【0025】
本発明の医療用チューブでは、当該医療用チューブは、生体管腔内に挿入して使用され、可撓性を有するカテーテル本体を備えるカテーテルの前記カテーテル本体に用いられるものであることが好ましい。
【0026】
本発明は、生体管腔内に挿入して使用され、可撓性を有するカテーテル本体を備えるカテーテルであって、
前記カテーテル本体は、本発明の医療用チューブを有することを特徴とするカテーテルである。
【0027】
本発明のカテーテルでは、前記医療用チューブの内腔は、先端側に前記生体管腔内の画像を取り込む画像取込部を有するドライブシャフトが挿入されるセンサルーメンとして用いられることが好ましい。
【0028】
本発明のカテーテルでは、前記カテーテル本体は、前記センサルーメンに対して並設され、ガイドワイヤが挿入されるガイドワイヤルーメンを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、チューブの途中から先端側に向かって徐々に剛性が減少する医療用チューブを提供することができる。
【0030】
特に、本発明の医療用チューブをカテーテルのカテーテル本体に用いた場合には、操作性が向上し、キンク等を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の医療用チューブおよびカテーテルを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の医療用チューブの用途は、特に限定されないが、下記の実施形態では、代表的に、本発明の医療用チューブをカテーテルの構成部材、すなわちカテーテル本体の一部を構成するドライブシャフト挿入部に適用した場合について説明する。
【0033】
図1は、本発明のカテーテルを備えるカテーテル組立体の実施形態を示す部分縦断面側面図、
図2は、
図1中の破線で囲まれた領域[A]の拡大縦断面図、
図3は、
図1に示すカテーテル組立体においてガイドワイヤ挿通部が設置される前の状態のドライブシャフト挿入部、すなわち本発明の医療用チューブの実施形態を示す縦断面図、
図4は、
図3中の破線で囲まれた領域[B]の拡大縦断面図である。
図3は、
図2に対応するものであり、
図1中の破線で囲まれた領域[A]に対応する部分を示している。
【0034】
なお、以下では、
図1〜
図4中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0035】
図1および
図2に示すカテーテル組立体1は、カテーテル2と、カテーテル2内に挿入されるドライブシャフト3とを備えている。このカテーテル組立体1は、カテーテル2とドライブシャフト3とを組み立てた組立状態で、生体管腔(以下では「血管」を代表的に扱う)内に挿入して用いられ、その内部画像である血管壁の画像を取得するものである。
【0036】
また、このカテーテル組立体1は、外部ユニット6に接続して用いられる。外部ユニット6は、モータ等の外部駆動源を内蔵するスキャナ装置61と、スキャナ装置61を把持しモータ等により水平方向(軸方向)へ移動させる軸方向移動装置62と、スキャナ装置61および軸方向移動装置62の作動を制御する機能を有する制御部63と、カテーテル組立体1によって得られた血管壁の画像を表示する表示部64とからなる。
【0037】
カテーテル組立体1各部の構成について説明する前に、外部ユニット6について説明する。
【0038】
スキャナ装置61には、カテーテル組立体1の基端部が接続される。そして、スキャナ装置61は、ドライブシャフト3をその軸回りに回転させることができるとともに、軸方向移動装置62によりカテーテル組立体1ごとその軸方向に沿って移動可能となっている。これにより、ドライブシャフト3の超音波振動子(画像取込部)52を走査することができる。また、スキャナ装置61に内蔵されているスキャナで、ドライブシャフト3の超音波振動子52の反射波から得られる情報に基づいて、血管壁の画像を形成することができる。これにより、血管に対して任意の位置で、その周方向全周にわたって、超音波画像である血管内の横断面像が得られる。
【0039】
制御部63は、例えばCPU(Central Processing Unit)を内蔵したパーソナルコンピュータである。
表示部64は、例えば液晶表示装置である。
【0040】
次に、カテーテル組立体1について説明する。
前述したように、カテーテル組立体1は、カテーテル2とドライブシャフト3とを備えている。
【0041】
カテーテル2は、可撓性を有する長尺状のカテーテル本体21と、カテーテル本体21の基端部に固定されたコネクタ部22とを備えている。
【0042】
カテーテル本体21には、ドライブシャフト3が挿入されるセンサルーメン211と、ガイドワイヤ200が挿入されるガイドワイヤルーメン233とがカテーテル本体21の長手方向に沿って形成されている。また、カテーテル本体21の先端部は、外径が縮径した縮径部となっている。
【0043】
センサルーメン211は、ドライブシャフト3が挿入可能であり、カテーテル本体21の全長に亘って形成されている。なお、カテーテル本体21のうちのセンサルーメン211が設けられている部位は、ドライブシャフト3が挿入可能なドライブシャフト挿入部210を構成する。このドライブシャフト挿入部210については後で詳述する。
【0044】
また、ガイドワイヤルーメン233は、ガイドワイヤ200が挿通可能であり、本実施形態では、カテーテル本体21の先端部のみに形成されている。なお、カテーテル本体21のうちのガイドワイヤルーメン233が設けられている部位は、ガイドワイヤ200が挿通可能なガイドワイヤ挿通部23を構成する。
【0045】
センサルーメン211内には、ドライブシャフト3が挿入された状態、すなわち挿入状態で、液体Qが充填される。液体Qが充填されることにより、超音波振動子52からの超音波が血管壁にまで伝達して、当該血管壁から再度超音波振動子52にまで戻ってくることができる。これにより、超音波画像を確実に取得することができる。なお、液体Qとしては、特に限定されないが、例えば、生理食塩水、造影剤等が挙げられる。
【0046】
また、センサルーメン211は、カテーテル本体21の先端に開口した開口部212を有している。センサルーメン211に充填された液体Qは、開口部212を介して排出される。これにより、たとえ液体Qを過剰に充填したとしても、それによるカテーテル本体21の破損を確実に防止することができる。
【0047】
なお、開口部212は、
図1に示す構成ではカテーテル本体21の中心軸に対して傾斜した方向に向かって開口しているが、これに限定されず、例えば、カテーテル本体21の中心軸方向、すなわち、先端方向に向かって開口していてもよい。
【0048】
カテーテル本体21は、その先端部に、ガイドワイヤ200が挿通可能な前記ガイドワイヤ挿通部23を有している。ガイドワイヤ挿通部23は、両端がそれぞれ開口した管状をなす2つの挿通部材231、232で構成されている。各挿通部材231、232は、カテーテル本体21の長手方向に沿って互いに離間するように配置されている。なお、ガイドワイヤ挿通部23の内腔によりガイドワイヤルーメン233が構成され、このガイドワイヤルーメン233は、センサルーメン211に対して並設されている。カテーテル2は、ガイドワイヤ挿通部23のガイドワイヤルーメン233にガイドワイヤ200を挿通した状態で血管内に挿入されるものであり、ガイドワイヤ200の抜き差しを迅速に行なうことができる、いわゆる「ラピッドエクスチェンジタイプ(ショートモノレールタイプ)」のカテーテルである。
【0049】
ガイドワイヤ挿通部23は、
図1に示す構成ではカテーテル本体21の中心軸と平行に配置されているが、これに限定されず、例えば、カテーテル本体21の中心軸に対して傾斜して配置されていてもよい。
【0050】
また、ガイドワイヤ挿通部23の先端側の挿通部材231の長手方向の途中には、図示しないコイルが埋設されている。このコイルは、X線透視下でカテーテル2の先端部の位置を視認するための造影マーカとして機能するものである。なお、コイルは、X線不透過性を有する例えばプラチナのような金属材料で構成されている。
【0051】
カテーテル本体21は、可撓性を有する材料で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、シリコーンゴム、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)を用いることができる。
【0052】
また、カテーテル本体21は、その管壁が単層のものであってもよいし、複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0053】
カテーテル本体21の基端部に固定されたコネクタ部22は、硬質の管体で構成されたものである。このコネクタ部22は、外部ユニット6のスキャナ装置61に接続される。
【0054】
なお、コネクタ部22のカテーテル本体21に対する固定方法としては、特に限定されず、例えば、接着(接着剤や溶媒による接着)による方法、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)による方法等が挙げられる。
【0055】
コネクタ部22の長手方向の途中には、その部分から分岐した液体注入ポート221が突出形成されている。例えばシリンジを用いて液体注入ポート221から液体Qを注入することができる。そして、注入された液体Qは、カテーテル本体21のセンサルーメン211に充填されることとなる。
【0056】
コネクタ部22の基端部には、ドライブシャフト3を回動可能に支持する回動支持部222が設けられている。
【0057】
また、コネクタ部22の基端部には、回動支持部222よりも先端側に、シール部材25が設置されている。シール部材25は、形状がリング状をなす弾性体で構成されている。これにより、シール部材25がコネクタ部22の内周部とドライブシャフト3の外周部と間に間隙が生じるのを防止することができ、すなわち、液密性が保持され、よって、液体Qが基端方向に向かって漏出するのを防止することができる。
【0058】
コネクタ部22の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられる。
【0059】
コネクタ部22は、
図1に示す構成では3つの管体を長手方向に沿って連結したものであるが、これに限定されず、例えば、1つの管体で構成されたものであってもよい。
【0060】
このようなカテーテル2のカテーテル本体21のセンサルーメン211には、ドライブシャフト3が挿入される。そして、この挿入状態のドライブシャフト3は、その中心軸回りにスキャナ装置61の作動によって回転する。
【0061】
ドライブシャフト3は、その本体となる長尺状のシャフト4と、シャフト4の先端部に固定されたハウジング51と、ハウジング51内に収納された超音波振動子52と、シャフト4の基端部に固定されたコネクタ部53とを有している。また、ドライブシャフト3では、ハウジング51、超音波振動子52、コネクタ部53が、血管壁の画像を撮像する撮像手段5を構成している。
【0062】
シャフト4は、スキャナ装置61の作動による回転力を超音波振動子52まで確実に伝達可能なトルク伝達性を有するものである。このシャフト4は、例えば、ステンレス鋼等のような金属線を密巻きにコイル状に巻回して形成されている(
図2参照)。なお、この金属線は、多重に巻回されていてもよい。
【0063】
このシャフト4の外径は、センサルーメン211の直径よりも小さい。これにより、シャフト4の外周面とカテーテル本体21の内周面との間には、間隙213が形成される。カテーテル2の液体注入ポート221から注入された液体Qは、間隙213を流下して、開口部212から排出される。
【0064】
シャフト4の先端部には、ハウジング51が例えば接着剤により固定されている。ハウジング51は、ステンレス鋼等の金属製の円筒体で構成され、その壁部を貫通する貫通孔511が形成されている。貫通孔511からは、超音波振動子52が露出している。なお、ハウジング51の直径は、シャフト4の外径とほぼ同じかまたはそれよりも若干大きい。
【0065】
超音波振動子52は、その重心がシャフト4の中心軸上に位置するように、ハウジング51内で固定されている。これにより、超音波振動子52は、シャフト4とともに回転することができる。超音波振動子52は、平面視で矩形または円形状をなし、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で構成された圧電体の両面に、電極を蒸着や印刷等により形成したものである。これにより、血管壁に臨んだ状態で、超音波振動子52から超音波を発することができるとともに、その超音波の血管壁での反射波を受けることができる、すなわち、超音波の送受信を行なうことができる。この送受信により、血管壁の画像を取り込むことができる。この画像は、超音波振動子52から超音波を発信し、その反射波が再度超音波振動子52に返ってくるまでの時間から血管壁までの距離を測定し、当該血管壁の状態を可視化したものである。
【0066】
また、超音波振動子52からは、複数の信号線(図示せず)がシャフト4内を挿通し、コネクタ部53と電気的に接続されている。
【0067】
コネクタ部53は、スキャナ装置61に接続され、当該スキャナ装置61からの回転力を直接的に受けることができる。このコネクタ部53は、銅等のような導電性を有する金属製の筒体で構成されている。これにより、コネクタ部53をスキャナ装置61と電気的に接続することもでき、超音波振動子52からの画像信号をスキャナ装置61を介して、表示部64に送信することができる。そして、血管壁の画像が表示部64に表示される。
【0068】
次に、ドライブシャフト挿入部210について説明する。
図2および
図3に示すように、ドライブシャフト挿入部210は、樹脂製の本実施形態の医療用チューブで構成されている。すなわち、
図2および
図3に示すように、ドライブシャフト挿入部210は、可撓性を有する樹脂製の第1のチューブ7と、第1のチューブ7の基端側に設けられた可撓性を有する樹脂製の第2のチューブ8と、第2のチューブ8の基端側に設けられた可撓性を有する樹脂製の第3のチューブ9とを有している。
【0069】
第1のチューブ7は、ドライブシャフト挿入部210のうちの基端から先端側の途中までを構成している。また、第3のチューブ9は、ドライブシャフト挿入部210のうちの先端側の部分を構成し、第1のチューブ7の先端部に固定されている。この場合、第3のチューブ9の基端部の内周面が第1のチューブ7の先端部の外周面に固定されている。
【0070】
また、第2のチューブ8は、第1のチューブ7の先端部および第3のチューブ9の基端部を覆っている。すなわち、第2のチューブ8の内周面が第1のチューブ7の先端部の外周面および第3のチューブ9の基端部の外周面に固定されている。
【0071】
なお、第3のチューブ9の基端部の内周面を第1のチューブ7の先端部の外周面に固定することにより、カテーテル本体21のキンクを防止することができる。前記各部の固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接着や、熱融着、超音波融着等の融着等が挙げられる。
【0072】
ここで、前記ドライブシャフト挿入部210においては、基端側から先端側に向かって、第1の部位11と、第2の部位12と、第3の部位13と、第4の部位14とがこの順序で設けられている。また、第2の部位12と第3の部位13との間には、第5の部位15が設けられている。
【0073】
第1の部位11は、管状の樹脂層111を有している。この樹脂層111は、第1のチューブ7で構成されている。
【0074】
第2の部位12は、樹脂で構成された管状の内層121と、内層121の外周側に設けられ、樹脂で構成された管状の外層122とを有している。図示の構成では、外層122は、内層121の外周面を被覆している。なお、内層121は、第1のチューブ7で構成され、外層122は、第2のチューブ8で構成されている。
【0075】
第3の部位13は、樹脂で構成された管状の内層131と、内層131の外周側に設けられ、樹脂で構成された管状の外層132とを有している。図示の構成では、外層132は、内層131の外周面を被覆している。なお、内層131は、第3のチューブ9で構成され、外層132は、第2のチューブ8で構成されている。
【0076】
第4の部位14は、管状の樹脂層141を有している。この樹脂層141は、第3のチューブ9で構成されている。
【0077】
第5の部位15は、樹脂で構成された管状の内層151と、内層151の外周側に設けられ、樹脂で構成された管状の中間層153と、中間層153の外周側に設けられ、樹脂で構成された管状の外層122とを有している。図示の構成では、中間層153は、内層151の外周面を被覆し、外層152は、中間層153の外周面を被覆している。なお、内層151は、第1のチューブ7で構成され、中間層153は、第3のチューブ9で構成され、外層152は、第2のチューブ8で構成されている。
【0078】
また、第1の部位11の曲げ剛性(剛性)をG1、第2の部位12の曲げ剛性をG2、第3の部位13の曲げ剛性をG3、第4の部位14の曲げ剛性をG4としたとき、各曲げ剛性が下記(1)式の関係を有するように構成されている。
G1>G2>G3>G4 ・・・(1)
【0079】
これにより、カテーテル2を基端側から先端側に押し進める力であるプッシャビリティおよびトルク伝達性に優れ、また、キンクを防止することができるドライブシャフト挿入部210が得られる。
【0080】
なお、第5の部位15の曲げ剛性は、第2の部位12の曲げ剛性G2よりも大きく、第1の部位11の曲げ剛性G1よりも小さい。この第5の部位15は、他の位置に配置さていてもよく、また、省略されていてもよい。また、ドライブシャフト挿入部210には、その長手方向に沿って、他の1つまたは複数の部位が設けられていてもよい。
【0081】
また、ドライブシャフト挿入部210においては、第1の部位11の樹脂層111と、第2の部位12の内層121と、第5の部位15の内層151とが、同一材料で一体的に形成されている。すなわち、第1のチューブ7は、同一材料で一体的に形成されている。これにより、ドライブシャフト挿入部210の強度を向上させることができ、また、キンクを防止することができる。
【0082】
また、第2の部位12の外層122と、第3の部位13の外層132と、第5の部位15の外層152とが、同一材料で一体的に形成されている。すなわち、第2のチューブ8は、同一材料で一体的に形成されている。これにより、ドライブシャフト挿入部210の強度を向上させることができ、また、キンクを防止することができる。
【0083】
また、第3の部位13の内層131と、第4の部位14の樹脂層141と、第5の部位15の中間層153とが、同一材料で一体的に形成されている。すなわち、第3のチューブ9は、同一材料で一体的に形成されている。これにより、ドライブシャフト挿入部210の強度を向上させることができ、また、キンクを防止することができる。
【0084】
また、第2の部位12の内層121の厚さおよび外層122の厚さは、それぞれ、第1の部位11の樹脂層111の厚さよりも小さい。また、図示の構成では、第1の部位11の厚さと、第2の部位12の厚さと、第3の部位13の厚さとは、ほぼ等しく、第4の部位14の厚さは、最も小さい。
【0085】
また、第1の部位11の内径と、第2の部位12の内径と、第3の部位13の内径と、第4の部位14の内径と、第5の部位15の内径とは、ほぼ等しい。すなわち、ドライブシャフト挿入部210は、その全長に亘って一定の内径を有している。
これにより、ドライブシャフト挿入部210の細径化を図ることができる。
【0086】
また、第1の部位11の外径と、第2の部位12の外径と、第3の部位13の外径と、第4の部位14の外径と、第5の部位15の外径とのうち、第4の部位14の外径が最も小さい。
【0087】
また、第1の部位11の外径と、第2の部位12の外径とは、第3の部位13の外径とは、ほぼ等しい。
また、各部位の構成材料の曲げ剛性は、下記の関係を有している。
【0088】
まず、第2の部位12の外層122の構成材料の曲げ剛性は、第1の部位11の樹脂層111の構成材料の曲げ剛性よりも小さい。そして、第1の部位11の厚さと第2の部位12の厚さとが等しいので、前述したように、第2の部位12の曲げ剛性は、第1の部位11の曲げ剛性よりも小さくなっている。
【0089】
また、第3の部位13の内層131の構成材料の曲げ剛性は、第2の部位12の内層121の構成材料、すなわち第1の部位11の樹脂層111の構成材料の曲げ剛性よりも小さく、さらに、第2の部位12の外層122の構成材料の曲げ剛性よりも小さい。これにより、前述したように、第3の部位13の曲げ剛性は、第2の部位12の曲げ剛性よりも小さくなっている。
【0090】
ここで、各部位の構成材料としては、それぞれ、前述したように、可撓性を有する各種の樹脂材料を用いることができるが、下記の樹脂材料を含むことが好ましく、特に下記の樹脂材料で構成されていることが好ましい。
【0091】
まず、第1の部位11の樹脂層111、第2の部位12の内層121、第5の部位15の内層151の構成材料としては、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
【0092】
その理由は、ポリエーテルエーテルケトンは、曲げ剛性が比較的大きく、また、血液が凝固したときに、その凝固した血液が付着し難いためである。
【0093】
また、第2の部位12の外層122、第3の部位13の外層132、第5の部位15の外層152の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等ポリオレフィンが好ましく、特に、ポリエチレンが好ましい。
【0094】
その理由は、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンは、曲げ剛性が比較的小さいためである。
【0095】
なお、以下では、前記第2の部位12の外層122、第3の部位13の外層132、第5の部位15の外層152の構成材料を「第1の構成材料」とも言う。
【0096】
また、第3の部位13の内層131、第4の部位14の樹脂層141、第5の部位15の中間層153の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等ポリオレフィンが好ましく、特に、ポリエチレンが好ましい。
【0097】
その理由は、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンは、曲げ剛性が比較的小さいためである。また、第4の部位14は、ドライブシャフト3により血管壁を撮像する際、超音波振動子52が位置する箇所であるが、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンは、超音波の透過性に優れるためである。
【0098】
なお、以下では、前記第3の部位13の内層131、第4の部位14の樹脂層141、第5の部位15の中間層153の構成材料を「第2の構成材料」とも言う。
【0099】
また、前記第2の構成材料の重量平均分子量(分子量)Mw2は、前記第1の構成材料の重量平均分子量(分子量)Mw1よりも小さいことが好ましい。すなわち、第2の構成材料としては、第1の構成材料であるポリオレフィン、特に、ポリエチレンよりも重量平均分子量が小さい、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンを用いることが好ましい。これにより、第2の構成材料の曲げ剛性を第1の構成材料の曲げ剛性よりも小さくすることができる。
【0100】
また、第1の構成材料、例えば、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンの密度は、0.94g/cm
3以上であることが好ましく、0.94〜0.96g/cm
3程度であることがより好ましい。
【0101】
また、第2の構成材料、例えば、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンの密度は、0.91〜0.93g/cm
3程度であることが好ましい。
【0102】
ここで、
図4に示すように、第2の部位12の外層122の基端部は、接着剤により、その第2の部位12の内層121や、第1の部位11の樹脂層111に接着されている。
【0103】
具体的には、樹脂層111と外層122との接合部、すなわち、樹脂層111と外層122の基端面との間には、第1の接着剤31が設けられ、内層121と外層122との間で、前記接合部の近傍には、第2の接着剤32が設けられている。
【0104】
第1の接着剤31および第2の接着剤32としては、特に限定されないが、反応系接着剤を用いることが好ましい。反応系接着剤としては、例えば、紫外線等の放射線を照射することにより硬化する放射線硬化性のもの等を用いることができる。
【0105】
外層122を内層121や樹脂層111に接着する際は、まず、樹脂層111と外層122の基端面との間の間隙から、第2の接着剤32を注入し、硬化させる。
【0106】
この第2の接着剤32は、粘度が比較的低いものが好ましい。これにより、第2の接着剤32をより先端側まで注入することができ、外層122と内層121との接合強度を高くすることができる。
【0107】
このような第2の接着剤32としては、例えば、アクリル樹脂系接着剤等を用いることが好ましい。
【0108】
次に、樹脂層111と外層122の基端面との間の間隙に、第1の接着剤31を注入し、硬化させ、その間隙を封止する。
【0109】
この第1の接着剤31は、粘度が比較的高く、耐薬品性を有するものが好ましい。これにより、前記間隙に第1の接着剤31を注入した際、その間隙から第1の接着剤31が他の部位に流れ難くなり、確実に、間隙を封止することができる。また、カテーテル本体21の表面は、所定の薬品により処理がなされるので、その処理の際、薬品が前記間隙に浸入することを確実に防止することができる。
【0110】
このような第1の接着剤31としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤またはウレタン樹脂系接着剤等を用いることが好ましい。
【0111】
以上説明したように、このカテーテル2によれば、ドライブシャフト挿入部210の先端側の途中から先端方向に向かって徐々に柔軟性が増すので、プッシャビリティおよびトルク伝達性等の操作性に優れ、また、キンク等を防止することができる。
【0112】
以上、本発明の医療用チューブおよびカテーテルを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0113】
なお、本発明では、カテーテル本体は、液体の排出口として、その先端に開口する先端開口部を有するものに限定されず、例えば、先端部の側壁を貫通する側孔を有するものであってもよい。
【0114】
また、本発明では、カテーテル組立体で得られる画像としては、超音波画像に限定されず、例えば、光学的に得られる画像、すなわち、光を発光・受光することで得られる画像であってもよい。例えば、カテーテルは、光信号による画像、特に、光干渉断層画像診断装置(OCT)、その改良型である波長掃引を利用した光干渉断層画像診断装置(OFDI)に用いられるカテーテルであってもよい。この場合は、ドライブシャフトの先端部から出射される近赤外線を生体組織へ照射し、生体組織からの反射光を参照光と干渉させることで干渉光を生成した後、当該干渉光に基づいて、血管等の生体管腔内の断面画像を生成することができる。
【0115】
また、本発明では、第2の部位の内層と外層とが逆転していてもよい。すなわち、前記実施形態における内層121が外層となり、外層122が内層となっていてもよい。
【0116】
また、本発明では、第3の部位の内層と外層とが逆転していてもよい。すなわち、前記実施形態における内層131が外層となり、外層132が内層となっていてもよい。
【0117】
また、本発明では、第1の部位と第2の部位との間に、第6の部位が設けられていてもよく、また、第3の部位と第4の部位との間に、第7の部位が設けられていてもよい。