特許第6247555号(P6247555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247555
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20171204BHJP
   H02K 9/197 20060101ALI20171204BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20171204BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20171204BHJP
【FI】
   H02K9/19 A
   H02K9/197
   H02K11/33
   H02M7/48 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-19139(P2014-19139)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-146704(P2015-146704A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】松井 啓仁
(72)【発明者】
【氏名】朝柄 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】崎道 哲
(72)【発明者】
【氏名】小原 公和
(72)【発明者】
【氏名】大見 康光
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−213403(JP,A)
【文献】 特開2009−044852(JP,A)
【文献】 特開2007−336677(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/104301(WO,A1)
【文献】 特開2010−045909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)と、
前記ハウジングに収容され、巻線(212)が巻回されたステータ(21)、前記ステータの径方向内側に設けられ前記ステータに対し相対回転可能なロータ(23)、及び、前記ロータと一体になって回転するシャフト(24)を有し、外部から供給される電流によって回転トルクを発生または外部から入力される回転トルクによって電流を発生する回転部(20)と、
前記ハウジングに収容されるインバータ部(30)と、
前記インバータ部と当接しつつ前記回転部との間に隙間(400)を形成するよう設けられ、内部を第1流体が流れる冷却部(40、50、60、70)と、
を備え、
前記隙間は、前記回転部を冷却する第2流体が前記巻線の前記回転部の中心軸に沿う方向の端部(213)の外壁(215)全面に接触するよう形成されていることを特徴とする回転電機(1)。
【請求項2】
前記冷却部は、前記隙間を天側から地側に向かって流れる前記第2流体を受け止める受け部(42)を地側に有することを特徴とする請求項に記載の回転電機。
【請求項3】
前記冷却部は、前記第1流体が流れる流路(410、510、610、710)を形成する前記インバータ部側の内壁に形成される第1フィン(411、511、612、712)、前記流路を形成する前記回転部側の内壁に形成される第2フィン(412、512、712)、及び、前記流路を形成する前記回転部側の外壁に形成される第3フィン(413)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1フィンは、前記流路における前記第1流体が流れる方向の長さ(L1)が前記第2フィンの前記第1流体が流れる方向の長さ(L2)に比べて長くなるよう形成されることを特徴とする請求項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1フィン(411、611)は、前記第2フィン(412、612)に比べ密に形成されることを特徴とする請求項またはに記載の回転電機。
【請求項6】
前記第1フィン(511)は、前記第2フィン(512)に対して前記流路における前記第1流体が流れる方向とは非平行な方向にオフセットするよう形成されることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記流路は、環状に形成され、
前記第1フィン(711)及び前記第2フィン(712)は、前記流路を流れる前記第1流体の下流側の端部が前記流路を流れる前記第1流体の上流側の端部に比べ径内方向に位置することを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から供給される電流によって回転トルクを発生、または、外部から入力される回転トルクによって電流を発生する回転電機は、回転電機を構成する各部を冷却する冷却機能を有している。例えば、特許文献1には、回転トルクまたは電流を発生する回転部に巻回されている巻線の端部に冷却用のオイルを滴下する回転電機が記載されている。また、特許文献2には、巻線に流れる電流を制御するインバータ部に当接しインバータ部を冷却する冷却部を備える回転電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−311750号公報
【特許文献2】特開2007−116840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回転電機では、オイルは回転部のみを冷却する。特許文献2に記載の回転電機では、冷却部はインバータ部を冷却する一方、巻線の端部と冷却部との間にハウジングの壁体が設けられているため、当該冷却部によって回転部を冷却することができない。
【0005】
本発明の目的は、簡素な構成によって回転部及びインバータ部を冷却する回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転電機であって、ハウジング(10)に収容され外部から供給される電流によって回転トルクを発生または外部から入力される回転トルクによって電流を発生する回転部(20)と、ハウジングに収容されるインバータ部(30)と、インバータ部と当接しつつ回転部との間に隙間(400)を形成するよう設けられ内部を第1流体が流れる冷却部(40、50、60、70)と、を備える。本発明の回転電機は、回転部と冷却部との間に形成される隙間回転部を冷却する第2流体が流れることを特徴とする。また、本発明の回転電機が有する隙間は、回転部を冷却する第2流体が巻線の回転部の中心軸に沿う方向の端部(213)の外壁(215)全面に接触するよう形成されている。
【0007】
本発明の回転電機が備える冷却部はインバータ部と当接する一方、回転部とは第2流体が流れることができる程度の隙間を形成している。冷却部と回転部との間の隙間を流れる第2流体には回転部で発生する熱が伝達される。第2流体に伝達される熱は、冷却部の回転部側の壁を介して冷却部の内部を流れる第1流体に伝達される。これにより、回転部の熱は、第2流体だけでなく第1流体によっても放熱される。したがって、簡素な構成によってインバータ部と回転部との両方を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態による回転電機の断面図である。
図2図1のII部の拡大図である。
図3】本発明の第1実施形態による回転電機の冷却部の模式図である。
図4】本発明の第1実施形態による回転電機の冷却部の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態による回転電機の冷却部の断面図である。
図6】本発明の第3実施形態による回転電機の冷却部の断面図である。
図7】本発明の第4実施形態による回転電機の冷却部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による回転電機について、図1図4に基づいて説明する。
第1実施形態による回転電機1は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車を駆動する図示しない電動機駆動システムに用いられる。回転電機1は、ハイブリッド自動車などの駆動状態に応じて回転トルクまたは電力を発生する。回転電機1は、ハウジング10、回転部20、複数のインバータ部30、冷却部40などから形成されている。なお、図1、2、4において、紙面の上側を「天」側として、紙面の下側を「地」側とする。
【0011】
ハウジング10は、円柱状の内部を有するよう有底筒状に形成される。ハウジング10は、筒部11、及び、筒部11の両端を塞ぐよう設けられる二つの底部12、13から形成される。筒部11には、ハウジング10の内部に供給される二種類の冷媒が流れる導入口111、112、及び導出口113が設けられている。導入口111は、後述する冷却部40に接続する。導入口112は、筒部11の天側に設けられている。導入口112は、ハウジング10の内部に導入口111を流れる冷媒とは異なる冷媒を滴下する。導出口113は、筒部11の地側に設けられ導入口112によってハウジング10の内部に滴下される冷媒をハウジング10の外部に排出する。ハウジング10は、回転部20、インバータ部30、冷却部40などを収容する。
【0012】
回転部20は、外部から供給される電流によって回転トルクを発生したり、外部から入力される回転トルクによって電流を発生したりする。回転部20は、ステータ21、ロータ23、シャフト24などから構成される。
【0013】
ステータ21は、ハウジング10の筒部11の径方向内側に円弧状に複数設けられる。なお、図1には、シャフト24を挟むよう設けられる二つのステータを示しているが、実際には、筒部11の内壁に沿って周方向に複数設けられている。
ステータ21は、ステータ鉄心211、巻線212などから形成される。ステータ鉄心211は、複数枚の薄い金属板を積層することによって形成される。巻線212は、ステータ鉄心211に巻回されることによってコイルを形成する。ここで、ステータ21においてステータ鉄心211の回転部20の中心軸方向の両側からはみ出ている巻線212を「巻線の回転部の中心軸方向の端部」としてのコイルエンド213、214とする。
【0014】
ロータ23は、ステータ21の径方向内側に設けられる。ロータ23は、ロータ鉄心231、磁石232、233などから構成される。ロータ鉄心231は、回転部20の中心軸から径外方向に延びるよう形成される。ロータ鉄心231の中央にはシャフト25が挿通される貫通孔234が形成されている。ロータ鉄心231の径方向外側の端部には極性が異なる磁石232、242が設けられる。
【0015】
シャフト24は、回転部20の中心軸上に設けられる。シャフト24の一方の端部241は、ハウジング10の底部12の内壁に設けられる軸受け部121に回転可能に支持されている。シャフト24の他方の端部242は、ハウジング10の底部13の内壁に設けられる軸受け部131に回転可能に支持されつつ、底部13に形成されている貫通孔132に挿通され、外部に突出している。
【0016】
インバータ部30は、巻線212を流れる電流の大きさや方向を制御する。インバータ部30は、インバータケース31、半導体モジュール32、制御回路33、絶縁部材34などから構成されている。なお、図1には、二つのステータ21のそれぞれに対応する二つのインバータ部30を示しているが、実際には、回転電機1が有する複数のステータのそれぞれにインバータ部が一つずつ設けられる。
【0017】
インバータケース31は、略直方体状の部材であって、冷却部40と当接する壁体311は熱伝導性に優れる金属から形成されている。インバータケース31は、巻線に供給される電力を制御する半導体モジュール32、半導体モジュール32の作動を制御する制御回路33、半導体モジュール32と冷却部40とを絶縁する絶縁部材34などを内部に収容する。
【0018】
冷却部40は、回転部20とインバータ部30との間に設けられている。冷却部40は、図4に示すように、断面が円環状となるよう形成されている。冷却部40は、冷媒流通部41、受け部42などから構成されている。なお、図4の紙面右側には、冷媒流通部41の断面図を示し、図4の紙面左側には、回転部20側から視た冷却部40の外観を示す。また、図4に示す矢印F1は、冷媒流通部41の内部を流れる冷媒の流れ方向を示す。
【0019】
冷媒流通部41は、熱伝導性に優れる金属から形成されている。冷媒流通部41は、内部と外部とが液密となるよう形成されており、冷媒流通部41の内部には、「第1流体」としての、例えば、水が流れる流路410が形成されている。冷媒流通部41のインバータ部30側の壁体401は、インバータケース31の回転部20側の壁体311と当接するよう設けられている。一方、冷媒流通部41の回転部20側の壁体402とコイルエンド213との間には、隙間400が形成されている。
【0020】
流路410を形成する壁体401の内壁には、複数の第1フィン411が形成されている。第1フィン411は、図4に示すように、インバータ部30が設けられる位置に対応して円弧状に形成される冷媒流通部41の形状に沿うよう円弧状に形成される。
流路410を形成する壁体402の内壁には、複数の第2フィン412が形成されている。第2フィン412は、図4に示すように、流路410を流れる水の流れ方向において第1フィン411の間、すなわち、インバータ部30が設けられていない位置に冷媒流通部41の形状に沿うよう円弧状に形成される。
【0021】
図3に冷媒流通部41における第1フィン411と第2フィン412との位置関係及び大きさの関係を表す分解斜視図を示す。図3に示す矢印F1は、冷媒流通部41の内部を流れる水の流れ方向を示す。図3では、第1フィン411と第2フィン412との大きさの関係をわかりやすくするため、壁体401と壁体402とを実際の状態より離し、流路410を直線状に表している。
図3に示すように、第1フィン411は、水の流れ方向F1に沿った長さL1が第2フィン412の長さL2に比べ長くなるよう形成されている。また、第1フィン411は、第2フィン412に比べ、密になるよう形成されている。具体的には、第1フィン411は、水の流れ方向F1に対して直角な方向の個数が11個であり、第2フィン412は、水の流れ方向F1に対して直角な方向の個数が5個である。しかしながら、第1フィン411及び第2フィン412の数はこれに限定されない。
【0022】
また、冷媒流通部41の壁体402の回転部20側の外壁には、複数の第3フィン413が形成されている。第3フィン413は、導入口112が滴下する「第2流体」としての、例えば、絶縁性のオイル5がコイルエンド213のインバータ部30側の外壁215に沿って流れるとき、オイル5と接触する。
【0023】
受け部42は、図1に示すように、冷却部40の径方向内側において回転部20の中心軸方向に突出するよう設けられている。受け部42は、図2に示すように、コイルエンド213の外壁215と冷媒流通部41の壁体402の外壁との間を流れるオイル5を受けるよう設けられている。
【0024】
次に、回転電機1の作用について説明する。
回転部20に図示しない電源から電流が供給されると、ステータ21の巻線212に電流が流れ、ステータ21を含む領域に磁界が形成される。ロータ23の磁石232、233と当該領域における磁界との作用反作用の力によってロータ23に接続するシャフト24が回転すると、シャフト24の回転トルクが外部に出力される。
また、シャフト24に外部から回転トルクが入力されると、ロータ23が回転し磁石232、233が形成する磁界が変化する。この磁界の変化に応じてステータ21の巻線212に流れる電流が外部に出力される
【0025】
回転電機1において回転トルクまたは電流が出力されるとき、比較的高温となるインバータ部30は、インバータケース31に当接する冷却部40の流路410を流れる水によって冷却される。水は、図示しない導出口を通ってハウジング10の外部に設けられる第1冷媒供給部46に送られる。第1冷媒供給部46では、水をポンプ461によって昇圧した後、熱交換部462によって冷却する。冷却された水は、導入口111を通って冷却部40に供給される
また、電流が流れると比較的高温となる巻線212のコイルエンド213は、導入口112から滴下されるオイル5によって冷却される。オイル5は、導入口112からハウジング10の内部に滴下されたのち、導出口113から外部に排出される。排出されたオイル5は、ハウジング10の外部に設けられる第2冷媒供給部47に送られる。第2冷媒供給部47では、オイル5をポンプ471によって昇圧した後、熱交換部472によって冷却する。冷却されたオイル5は、再び導入口112を通ってハウジング10の内部に滴下される。
【0026】
第1実施形態による回転電機1では、インバータ部30を冷却する冷却部40は、インバータ部30と当接している一方、回転部20のコイルエンド213とはオイル5が流れることができる程度の隙間400を形成している。これにより、コイルエンド213からオイル5に伝わった熱は、冷媒流通部41の壁体402を介して流路410を流れる水にも伝わる。したがって、回転電機1では、回転部20をオイル及び水の二つの冷媒で冷却することができ、一つの冷却部40によって回転部20とインバータ部30との両方を冷却することができる。
【0027】
流路410を形成する壁体402の内壁には水と接触する第2フィン412が設けられている。また、壁体402の外壁にはオイル5と接触する第3フィン413が設けられている。これにより、オイル5が有する熱は、第3フィン413、壁体402、第2フィン412を介して効率的に水に伝えられる。したがって、コイルエンド213を効率的に冷却することができる。
【0028】
インバータ部30に対応する位置に設けられる第1フィン411は、流路410を流れる水の流れ方向F1の長さL1が第2フィン412の長さL2に比べ長くなるよう形成されている。回転電機1では、インバータ部30は、コイルエンド213に比べ高温になりやすいため、第2フィン412を介して水に伝達されるコイルエンド213の熱量に比べ第1フィン411を介して水に伝達されるインバータ部30の熱量を大きくする。これにより、比較的高温となるインバータ部30を効率的に冷却することができる。
【0029】
冷却部40は、図3に示すように、第1フィン411が第2フィン412に比べ密になるよう形成されている。回転電機1では、比較的高温となるインバータ部30側に設けられる第1フィン411を第2フィン412に比べ密に配置し、流れる水の圧力損失を大きくするとともに、水とフィンとが接触する面積を大きくする。これにより、第2フィン412を介して水に伝達されるコイルエンド213の熱量に比べ第1フィン411を介して水に伝達されるインバータ部30の熱量を大きくする。したがって、比較的高温となるインバータ部30をさらに効率的に冷却することができる。
【0030】
冷却部40には、コイルエンド213の外壁215と冷媒流通部41の壁体402の外壁との間を流れるオイル5を受ける受け部42が冷却部の地側に設けられている。これにより、コイルエンド213を冷却するオイル5が隙間400に比較的長く留まり、オイル5が第3フィン413や壁体402と接触する時間が長くなる。したがって、オイル5が有する熱が流路410を流れる水に伝わる時間が長くなり、コイルエンド213を効率的に冷却することができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による回転電機について、図5に基づいて説明する。第2実施形態では、冷却部の第1フィンに対する第2フィンが設けられる位置が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0032】
第2実施形態による回転電機では、冷却部40の冷媒流通部51に第1フィン511及び第2フィン512が設けられる。第1フィン511は、流路510を形成する冷媒流通部51のインバータ部30側の壁体の内壁に設けられる。第2フィン512は、流路510を形成する冷媒流通部51のコイルエンド213側の壁体の内壁に設けられる。
【0033】
図5に冷媒流通部51の断面図を示す。図5に示すように、第1フィン511は、複数のインバータ部30が設けられる位置にそれぞれ対応するよう設けられる。第2フィン512は、流路510を流れる水の流れ方向において第1フィン511の間に冷媒流通部41の形状に沿うよう円弧状に形成される。また、第1フィン511と第2フィン512とは、水の流れ方向とは非平行な方向、例えば、図5に示すように、冷媒流通部51の径方向にオフセットするよう設けられる。
【0034】
流路510を流れる水は、第1フィン511が設けられる領域から第2フィン512が設けられる領域に移動すると分岐する。具体的には、水の流れ方向を表す矢印F2のように、一つのインバータ部30に対応する第1フィン511のうち冷媒流通部51の径方向に隣り合う第1フィン511の間を流れる水は、第2フィン512が設けられる領域に移動すると第2フィン512の端部と衝突し、少なくとも二つ以上の流れに分岐する。また、冷媒流通部51の径方向に隣り合う第2フィン512の間を流れる水は、第1フィン511が設けられる領域に移動すると第1フィン511の端部に衝突し、少なくとも二つ以上の流れに分岐する。
【0035】
第2実施形態による回転電機では、冷媒流通部51の径方向に隣り合う第1フィン511の間を流れる水は、第2フィン512の端部によって分岐される。また、冷媒流通部51の径方向に隣り合う第2フィン512の間を流れる水は、第1フィン511の端部によって分岐される。これにより、冷媒流通部51が有する流路510を流れる水は、第1フィン511及び第2フィン512との衝突を繰り返し流れが乱れるため、第1フィン511及び第2フィン512と水との熱交換が効率的に行われる。したがって、第2実施形態は、第1実施形態と同じ効果を奏し、さらにコイルエンド213及びインバータ部30を効率的に冷却することができる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による回転電機について、図6に基づいて説明する。第3実施形態では、冷却部の第1フィンの形状が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0037】
第3実施形態による回転電機では、冷却部40の冷媒流通部61に第1フィン611及び第2フィン412が設けられる。第1フィン611は、流路610を形成する冷媒流通部61のインバータ部63側の壁体の内壁に設けられる。なお、図6に示す矢印F3は、流路610を流れる水の流れ方向を示す。
【0038】
図6に冷媒流通部61の断面図を示す。第1フィン611は、図6に示すように、複数のインバータ部63が設けられる位置にそれぞれ対応するよう設けられる。第3実施形態による回転電機では、インバータ部63は第1実施形態のインバータ部30に比べ小さく、冷却部40の径方向内側に位置するよう設けられている。第1フィン611のうち冷媒流通部61の径方向内側に設けられる第1フィン611は、密に形成される。一方、冷媒流通部61の径外方向外側に設けられる第1フィン611は、厚みが径方向内側に設けられる第1フィン611に比べ厚くなるよう形成されている。
【0039】
第3実施形態による回転電機では、インバータ部63が設けられる径方向内側に比較的厚みが薄い第1フィン611が径方向外側に比べ多く設けられている。これにより、インバータ部63が設けられる径方向内側における熱伝達の効率を向上し、インバータ部63を効率的に冷却する。したがって、第3実施形態は、第1実施形態と同じ効果を奏し、さらにインバータ部30を効率的に冷却することができる。
【0040】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による回転電機について、図7に基づいて説明する。第4実施形態では、冷却部の第1フィン及び第2フィンの形状が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
第4実施形態による回転電機では、冷却部40の冷媒流通部71に第1フィン711及び第2フィン712が設けられる。第1フィン711は、流路710を形成する冷媒流通部71のインバータ部30側の壁体の内壁に設けられる。第2フィン712は、流路710を形成する冷媒流通部71のコイルエンド213側の壁体の内壁に設けられる。
【0042】
図7に冷媒流通部71の断面図を示す。図7に示すように、第1フィン711は、複数のインバータ部30が設けられる位置にそれぞれ対応するよう設けられる。第2フィン712は、隣り合うインバータ部30の間に位置するよう設けられる。
【0043】
第1フィン711及び第2フィン712は、冷媒流通部71が有する流路710を流れる水の下流側の端部が上流側の端部に比べ径内方向に位置している。具体的には、図7において矢印F4に示すように流れる水に対して、複数の第1フィン711及び第2フィン712の下流側の端部が上流側の端部に比べ、冷媒流通部71の径方向内側の側壁713に近づくよう形成されている。
【0044】
第4実施形態による回転電機では、流路710を流れる水は、下流側の端部が径内方向に位置している第1フィン711及び第2フィン712によって冷媒流通部71の径内方向に向かいつつ流れる。円弧状に形成されている冷媒流通部71では、流路710を流れる水は、遠心力によって径方向外側を流れやすいため、流れる水の量が不均一になりやすい。そこで、第4実施形態による回転電機では、第1フィン711及び第2フィン712によって水を径内方向に向かわせ、冷却される部位の分布が不均一となることを防止する。したがって、第4実施形態は、第1実施形態の効果を奏し、さらに、コイルエンド213やインバータ部30を均一に冷却することができる。
【0045】
(他の実施形態)
(ア)上述の実施形態では、冷却部はコイルエンドのインバータ部側の端部との間に隙間を形成するとした。しかしながら、冷却部が設けられる位置はこれに限定されない。インバータ部と回転部との間に設けられ、冷却部と回転部との間にはオイルが流れる隙間が形成されていればよい。
【0046】
(イ)上述の実施形態では、冷却部は、冷却部とコイルエンドの端部との間の隙間を流れるオイルを受け止める受け部を有するとした。しかしながら、受け部は有していなくてもよい。冷却部とコイルエンドの端部との間の隙間の大きさがオイルの表面張力によってコイルエンドの端部に沿ってオイルが比較的ゆっくり流れることが可能な程度に形成されていれば、受け部は有していなくてもよい。
【0047】
(ウ)上述の実施形態では、冷却部は第1フィン、第2フィン及び第3フィンを有するとした。しかしながら、これらのフィンを有していなくてもよい。
【0048】
(エ)第1実施形態では、第1フィンの水が流れる方向に沿った長さが第2フィンに比べ長くなるとした。しかしながら、第1フィンと第2フィンとの長さの関係はこれに限定されない。
【0049】
(オ)第1実施形態では、第1フィンは第2フィンに比べ密に形成されるとした。しかしながら、第1フィンと第2フィンとの密度の関係はこれに限定されない。
【0050】
(カ)上述の実施形態では、冷却部の流路を流れる冷媒を水とし、コイルエンドを冷却する冷媒をオイルとした。しかしながら、冷却部の流路を流れる冷媒及びコイルエンドを冷却する冷媒はこれに限定されない。
【0051】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態により実施可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ・・・回転電機、
10 ・・・ハウジング、
20 ・・・回転部、
212 ・・・巻線、
21 ・・・ステータ、
23 ・・・ロータ、
24 ・・・シャフト、
30 ・・・インバータ部、
40、50、60、70・・・冷却部、
400 ・・・隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7