特許第6247557号(P6247557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247557
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】基板めっき治具
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/08 20060101AFI20171204BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20171204BHJP
   C25D 17/06 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   C25D17/08 Q
   H01L21/68 N
   C25D17/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-26288(P2014-26288)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-151577(P2015-151577A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000120386
【氏名又は名称】株式会社JCU
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 隆史
(72)【発明者】
【氏名】堀内 昭男
【審査官】 萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−029662(JP,U)
【文献】 特開2006−233296(JP,A)
【文献】 特開平11−204460(JP,A)
【文献】 特開平11−204459(JP,A)
【文献】 特開2012−107311(JP,A)
【文献】 特開平05−222590(JP,A)
【文献】 特開2007−291463(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0100709(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/06−17/08
H01L 21/67−21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に四角形状の基板を収容するための基板収容部を有するとともに、該基板収容部の周囲には複数の爪部を備えた基板ホルダと、該基板ホルダとともに基板を挟み込んで保持し、基板を保持した状態において基板の被めっき面を露出させる角型開口を有するとともに、基板収容部の周囲に設けられた通電部材および基板周縁部を被覆するシールパッキンを備えた基板ホルダカバーと、該基板ホルダカバー上面に所定の範囲で回転自在に取り付けられ、基板を保持した状態において基板の被めっき面を露出させる角型開口を有するとともに、その外周縁から複数の係止突起が突設するクランプリングを備えた基板めっき治具であって、前記爪部は基板収容部の略中心を中心点とする複数の同心円上に設けられるとともに基板方向を向く凹溝が設けられ、前記クランプリングを所定の範囲回転したときに、前記係止突起が対応する該凹溝内に収容されることを特徴とする基板めっき治具。
【請求項2】
前記クランプリングは、角型開口の角部付近に形成された外周縁と、角型開口の辺部中央寄りに形成された外周縁とを備え、それら外周縁は、基板収容部の略中心を中心点とする複数の同心円の円弧で形成されており、それぞれの外周縁からは1個ないし複数個の係止突起が外方向へ放射状に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の基板めっき治具。
【請求項3】
前記基板ホルダカバーの裏面に取り付けられたシールパッキンが断面略コの字形状に形成されており、その一の辺部の先端が基板に当接し、他の辺部の先端が基板ホルダの本体部上面に当接することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の基板めっき治具。
【請求項4】
前記基板ホルダカバーの裏面に取り付けられたシールパッキンが、基板ホルダカバーの枠部の裏面の外周縁側と内周縁側に凹設された溝部に取り付けられた弾性部材であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の基板めっき治具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角型基板の電解めっきを行う場合に該基板を保持するめっき治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電解めっきを行う場合、基板を保持するめっき治具は、基板を保持した状態で、基板の導電膜に通電ピンが接触するように構成されている。そして該めっき治具に基板を保持した状態で、めっき液槽の電解めっき液中に基板を治具ごと浸漬し、該通電ピンを通して電流を流して電解めっきを行うようになっている。
【0003】
従来のめっき治具では、かかる通電ピンがシールされず、めっき液が付着したり析出するなどの問題があったため、通電ピンをめっき液から保護するために、基板面と該基板を保持する保持部材の双方にまたがるシールパッキンを使用し、該シールパッキンを複数のボルトで締め付けることにより、均等に面圧を加えてシールする方法が採用されている。
【0004】
ところが、かかる複数のボルトを締め付けるシール方法の場合、作業性が悪いうえ、ボルトの締め付け力が不均一の場合、めっき液がシールパッキン内に浸透するおそれがあった。
【0005】
そこで、特許文献1には、かかる課題を解決すべく、締め付けリングと第1保持部材で第2保持部材を締め付け可能に構成し、シールパッキンに均等に面圧が加わり、シール性がよくなると同時に、シールのための作業が容易なめっき治具が開示されている。
【0006】
しかしながら、このものは締め付けリングを所定量回転して基板を締め付けシールするというものであり、あくまでも円形状の基板に適用されるものであって、四角形状の基板には対応できないものであった。
【0007】
【特許文献1】特開平11−204459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、従来の基板めっき治具のかかる欠点を克服し、四角形状の基板について適用可能であり、シールパッキンに均等に面圧が加わり、シール性がよくなると同時に、シールのための作業が容易な基板めっき治具の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、上面に四角形状の基板を収容するための基板収容部を有するとともに、該基板収容部の周囲には複数の爪部を備えた基板ホルダと、該基板ホルダとともに基板を挟み込んで保持し、基板を保持した状態において基板の被めっき面を露出させる角型開口を有するとともに、基板収容部の周囲に設けられた通電部材および基板周縁部を被覆するシールパッキンを備えた基板ホルダカバーと、該基板ホルダカバー上面に所定の範囲で回転自在に取り付けられ、基板を保持した状態において基板の被めっき面を露出させる角型開口を有するとともに、その外周縁から複数の係止突起が突設するクランプリングを備えた基板めっき治具であって、前記爪部は基板収容部の略中心を中心点とする複数の同心円上に設けられるとともに基板方向を向く凹溝が設けられ、前記クランプリングを所定の範囲回転したときに、前記係止突起が対応する該凹溝内に収容されることを特徴とする基板めっき治具である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る基板めっき治具は、クランプリングの係止突起が基板ホルダカバーの爪部の凹溝内に収容されることによりシールがなされるが、かかる爪部を複数の同心円上に設けることで、基板の周縁部により近い部分でクランプリングを締め付けてシールパッキンに押圧をかけることができる。その結果、四角形状の基板に対してもシールパッキンに均等に面圧が加わり、シール性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る基板めっき治具の正面図
図2】本発明に係る基板めっき治具の一部拡大断面図
図3】本発明に係る基板めっき治具の分解斜視図
図4】(A)本発明に係るめっき治具の基板ホルダの正面図、(B)同側面図、(C)同斜視図
図5】(A)本発明に係るめっき治具の基板ホルダカバーの正面図、(B)同側面図、(C)同斜視図、(D)同一部拡大断面図
図6】(A)異なる実施態様の基板ホルダカバーの正面図、(B)同側面図、(C)同一部拡大断面図
図7】(A)本発明に係るめっき治具のクランプリングの正面図、(B)同側面図、(C)同斜視図
図8】(A)本発明に係るめっき治具の回転板の正面図、(B)同側面図、(C)同斜視図
図9】(A)本発明に係る基板めっき治具のクランプリングを締め付ける前の状態を表す正面図、(B)本発明に係る基板めっき治具のクランプリングを締め付けた後の状態を表す正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の基板めっき治具の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0013】
図1は本発明の基板めっき治具の正面図、図2は本発明のめっき治具の一部拡大断面図、図3は本発明のめっき治具の構成を示す分解斜視図である。本発明のめっき治具は、上面に基板収容部14を備えた基板ホルダ1と、該基板ホルダ1に取り付けられ、基板ホルダ1とともに基板を挟み込んで保持する基板ホルダカバー2と、該基板ホルダ2上において所定範囲で回転自在に取り付けられたクランプリング3とを備え、そのほかに、クランプリング3の締め付け用として開閉板4およびハンドル5を備える。以下、各部材について説明する。
【0014】
図4は、本発明にかかるめっき治具の基板ホルダ1の(A)正面図、(B)側面図および(C)斜視図である。図に示すように、基板ホルダ1は、八角形の板状に形成された本体部11と、該本体部11の上端より上方へ延伸するアーム部12と、該アーム部12の上端に水平状態に取り付けられたハンガー部13からなる。本体部11の上面には四角形状の基板を収容するための収容部14が本体部11よりも一段突出した台状に形成されている。
【0015】
本実施態様の基板収容部14は略正方形に形成されており、その外周縁を取り囲むように複数の爪部15が形成されている。爪部15は、その中央に凹溝151を有した側面視で略コの字状に形成され、凹溝151が基板方向を向くように配置されている。複数の爪部15は、基板収容部14の略中心を中心点とする2つの同心円(図4では一点鎖線で示す)上に設けられ、中心点からより離れた同心円上であって、収容部14の角部付近には、8個の爪部15aが設けられている。また、中心点により近い同心円上であって、収容部14の辺部中央付近には、4個の爪部15bが設けられている。このように、複数の大きさの異なる同心円上に複数の爪部15を設けることで、同一の同心円上に設けたときよりも、基板により近接した部分に配置することができる。なお、爪部15の配置する場所については、基板収容部14の略中心を中心点とする3つ以上の同心円上に配置しても良い。さらに、収容部14の周囲で、後述する基板ホルダカバー2のシールパッキン6によりシールされる領域には、第一通電部材16が4箇所設けられており、外部電極に通ずる導電体が接続されている。
【0016】
基板ホルダ1の本体部11とアーム部12の境界付近には孔部17が貫穿され、アーム部12の上部には基板ホルダカバー2を取り付けるためのヒンジ部18が設けられている。ハンガー部13は、その両端部がめっき槽の壁面に掛着できるように、本体部11よりも左右に突出して形成されており、その一部に外部電極端子が設けられている。そして、該外部電極端子には、ハンガー部13からアーム部12、本体部11内を介して第一通電部材16に通じる導電体が接続されている。
【0017】
図5は、本発明にかかるめっき治具の基板ホルダカバー2の(A)正面図、(B)側面図(C)斜視図および(D)一部拡大断面図である。図に示すように、基板ホルダカバー2は、略正方形に形成され、基板の被めっき面を露出させる角型開口23を備えた枠部21と、該枠部21の上端より上方へ延伸するアーム部22からなる。枠部21は、基板を保持したときに基板の周縁部を被覆するように、枠部21の内寸(開口寸法)が基板外寸より小さく、且つ、枠部21の外寸が基板外寸より大きくなるように形成されている。また、枠部21の外側面には、クランプリング3を保持するためのL字形状の係止部24が取り付けられている。
【0018】
基板ホルダカバー2は、アーム部22の上端の取付部26において、基板ホルダ1のヒンジ部18に回動自在に取り付けられている。そして、基板ホルダカバー2を閉じて基板ホルダ1上に重ねることにより、基板を挟み込んで保持することができる。また、基板ホルダカバー2を閉じたときに基板ホルダ1の爪部15bを出現させるための開口25が、枠部21とアーム部22の境界付近に貫穿されている。
【0019】
図2および図5(D)に示すように、枠部21は断面略L字形状に形成されており、その裏面に断面略コの字形状に成形されたシールパッキン6が枠部21の全周に渡って設けられている。かかるシールパッキン6は、基板ホルダ1と基板ホルダカバー2により基板を保持したときに、基板の周縁部と第一通電部材16を被覆してシールするように形成されている。さらに、シールパッキン6の下面には、シールパッキン6の全周に渡って第二通電部材7が設けられている。該第二通電部材7の任意の箇所からは、基板を保持したときに基板表面に接するように電極接点71が突設している。
【0020】
なお、基板ホルダカバーに取り付けられるシールパッキンについては、図5の態様の成形パッキンの代わりに、一般的なOリング等のシール部材を用いても良い。例えば、図6の態様の基板ホルダカバーの場合、基板ホルダカバー2の枠部21の裏面の外周縁側と内周縁側に、それぞれ溝部27aおよび溝部27bが凹設されている。かかる溝部27a、27bには弾性素材からなるOリングがその一部を溝部外へ露出するように取り付けられており、かかるOリングによって、通電部材をめっき液から確実にシールすることができる。なお、溝部27a、27b内に挿入される弾性素材はOリングに限定されず、その他の弾性材を適宜利用することができる。
【0021】
図7は、本発明にかかるめっき治具のクランプリング3の(A)正面図、(B)側面図および(C)斜視図である。図に示すように、クランプリング3は、基板の被めっき面を露出させる角型開口32を備え、該角型開口32の角部付近に形成された外周得縁33と、角型開口32の辺部中央寄りに形成された外周縁34により外周縁部が構成される枠部31からなる。外周縁33および外周縁34は、それぞれ基板収容部14の略中心を中心点とする大きさの異なる2つの同心円の円弧で形成され、同心円の径がより大きい外周縁33が外側へ突出した形となっている。なお、クランプリング3の外周縁部については、基板収容部14の略中心を中心点とする3つ以上の同心円の円弧で形成しても良い。
【0022】
1箇所の外周縁33には、その左右両側に2個の係止突起331が外方向へ突設されている。また、1箇所の外周縁34には、1個の係止突起341が外方向へ突設されている。これら複数の係止突起331、341は外方向へ放射状に突設され、クランプリング3を締めたときに、それぞれ爪部15a、15bに対応する位置に設けられている。なお、本実施態様では、係止突起341は、係止突起331のように独立して突設する突起片に形成されておらず、突設した係止突起341の先端部がそのまま連続して外周縁342を形成するが、これを係止突起331のように独立した突起片としても良く、その場合、係止突起341の左右両側は同じ径の外周縁34により構成されることになる。また、枠部31の任意の部分には、開閉板4を取り付けるためのボルト孔35が形成されている。
【0023】
次に、本発明にかかるめっき治具の全体構成について説明する。図1に示すように、本発明にかかるめっき治具は、基板ホルダ1に対し、ヒンジ部18で基板ホルダカバー2が回動自在に枢設されており、基板を基板ホルダ1に着脱する際には、基板ホルダカバー2をヒンジ部18で回動して上方へ引き起こして基板収容部14を完全に露出させる。そして、基板を固定するときは、基板ホルダカバー2をヒンジ部18で回動して基板ホルダ1上に重ね、基板ホルダ1と基板ホルダカバー2により基板を上下から挟持する。また、基板ホルダカバー2上には、クランプリング3が係止部24により係合保持されている。該係止部24は略L字形状に形成されており、枠部31の外周縁34a部分に係合することで、クランプリング3が基板ホルダカバー2から脱落しないように保持しているが、クランプリング3の回転方向の運動については規制せず、所定の範囲内において回転を許容する。そして、クランプリング3を締め付けた状態では、基板ホルダ1の収容部14に設置された基板の被めっき面が、基板ホルダカバー2の角型開口23とクランプリング3の角型開口32を介して露出する。
【0024】
図9(A)は、基板ホルダカバー2を閉じてクランプリング3を締め付ける前の状態、同図(B)はクランプリング3を締め付けた後の状態を示す。クランプリング3は、締め付け前の状態(A)では、クランプリング3の開口35が基板ホルダカバー2の開口23に対して斜めに傾いた状態となっている。そして、係止突起331、341はいずれも基板ホルダ1の爪部15の凹溝151内には収容されておらず、露出された状態となっている。
【0025】
クランプリング3を締め付けるには、図9(A)の矢印方向にクランプリング3を所定の範囲で回転させ、クランプリング3の開口32の角度が基板ホルダカバー2の開口23に一致し、且つ、基板Wの被めっき面領域が開口32から露出した状態にする。そして、図9(B)に示すように、係止突起331、341が対応する爪部15a、15bの位置まで移動すると、係止突起331、341が凹溝151内に滑り込んで収容される。こうして係止突起331、341が凹溝151内に収容されると、クランプリング3が基板ホルダカバー2に押し付けられる形となる。
【0026】
クランプリング3からの押圧により、基板ホルダカバー2は基板ホルダ1に押し付けられるため、図2に示すように、基板ホルダカバー2の裏面に取り付けられた断面略コの字形状のシールパッキン6の辺部61の先端が基板Wの表面に当接し、さらに、辺部62の先端が基板ホルダ1の本体部11の上面に当接する。その結果、基板Wを基板ホルダ1上にしっかりと保持しつつ、シールパッキン6によってカバーされる基板W周縁部を確実にめっき液からシールすることができる。なお、クランプリング3の締め付けを解除するには、図9(A)の矢印方向とは逆方向に所定の範囲でクランプリング3を回転させればよい。これにより、係止突起331、341が凹溝151から外れて、クランプリング3および基板ホルダカバー2が基板ホルダ1に対する押圧力から解放される。
【0027】
以上のとおり、本発明にかかるめっき治具では、係止突起331、341が対応する爪部15a、15bの凹溝151内に収容されることによりシールがなされるが、爪部15a、15bは複数の同心円上に設けられており、かかる爪部15に係合する係止突起331、341も爪部に対応する位置に設けられているため、基板の周縁部により近い部分でクランプリング3を締め付けて平均的な押圧をかけることができ、その結果、四角形状の基板であってもより高いシール性を得ることができる。
【0028】
次に、本発明のめっき治具における被めっき基板への通電の方法について説明する。まず、外部の電源より、基板ホルダ1のハンガー部13、アーム部12および本体部11に配設された導電体を介して第一通電部材16へと給電がなされる。そして、基板Wを保持した状態において基板ホルダカバー2を閉じると、第一通電部材16の電極接点161が第二通電部材7に接した状態となり、第二通電部材7への給電がなされる。ここにおいて、第二通電部材7の電極接点71は基板Wの表面に接した状態となっているため、基板Wへの給電が可能となる。
【0029】
クランプリング3を締め付ける作業は、手動・自動のいずれでも良いが、手動で締め付ける場合、締め付け用器具を用いることができる。かかる器具の一例として、図8に示すようなクランプリング3に着脱自在に形成された開閉板4を挙げることができる。開閉板4は、中央にハンドル取付部42が突設され、四隅にボルト孔が形成され、クランプリング3の締め付け作業時には、図2のように、ボルト孔42の挿入したボルト44によってクランプリング3のボルト孔35へ取付け、ハンドル取付部42にハンドル5を取付け、該ハンドル5を手動で回転させることにより、クランプリング3の締め付け作業を行うことができる。
【0030】
さらに、本発明にかかるめっき治具において、基板ホルダカバー2の開閉作業を手動ではなく、自動としても良い。その場合、基板ホルダ1に設けられた孔部17より棒状の部材を自動で出没自在に設け、基板ホルダカバー2を開状態とするときには、かかる棒状部材を上昇させて基板ホルダカバー2の裏面に当接させ、そのまま基板ホルダカバー2を押し上げることにより開くことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 … … 基板ホルダ
2 … … 基板ホルダカバー
3 … … クランプリング
4 … … 開閉板
5 … … ハンドル
6 … … シールパッキン
7 … … 第二通電部材
11 … … 本体部
12 … … アーム部
13 … … ハンガー部
14 … … 基板収容部
15a … … 爪部
15b … … 爪部
16 … … 第一通電部材
17 … … 孔部
18 … … ヒンジ部
21 … … 枠部
22 … … アーム部
23 … … 角型開口
24 … … 係止部
25 … … 開口
26 … … 取付部
27a … … 溝部
27b … … 溝部
31 … … 枠部
32 … … 角型開口
33 … … 外周縁
34 … … 外周縁
35 … … ボルト孔
41 … … 本体部
42 … … ハンドル取付部
43 … … ボルト孔
61 … … 辺部
62 … … 辺部
71 … … 電極接点
151 … … 凹部
161 … … 電極接点
331 … … 係止突起
341 … … 係止突起
342 … … 外周縁
W … … 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9