特許第6247574号(P6247574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247574デッキプレート用ハンガー金具およびデッキプレートへの取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247574
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】デッキプレート用ハンガー金具およびデッキプレートへの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20171204BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   E04B9/18 D
   E04B5/40 J
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-58780(P2014-58780)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-183387(P2015-183387A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】加美 宏樹
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−082227(JP,U)
【文献】 特開2010−248843(JP,A)
【文献】 特開平11−205951(JP,A)
【文献】 実開平04−011908(JP,U)
【文献】 実開平02−121503(JP,U)
【文献】 特開平07−259266(JP,A)
【文献】 実開平05−064315(JP,U)
【文献】 特開平07−158196(JP,A)
【文献】 特開平09−177229(JP,A)
【文献】 国際公開第01/020099(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
E04B 5/40
F16B 1/00
F16B 45/00
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレート上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に、天井、設備用配管、ダクト等の各種設備を設置する際に、これらの設備をデッキプレートの下部から吊り下げるために使用されるデッキプレート用ハンガー金具において、
正面形状ハの字状をなし、両端が前記デッキプレートの凹部に係止される横架部材と、前記横架部材に取り付けられる棒状当接部材と、前記横架部材にねじ込まれるねじ嵌合部材とからなり、前記横架部材は、中央部に前記棒状当接部材の挿通孔が形成され、中央部下面に前記ねじ嵌合部材がねじ込まれる雌ねじ部が形成され、前記棒状当接部材の下部に前記挿通孔内に挿通された前記棒状当接部材を前記横架部材に係止させる留め具を有し、前記ねじ嵌合部材に、前記設備を吊り下げる吊りボルトの上端が取り付け手段を介して取り付けられることを特徴とするデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項2】
前記ねじ嵌合部材の雌ねじ部に自在係合具が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項3】
前記棒状当接部材の上部に前記デッキプレートのフランジの下面に当接される弾性体が取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項4】
前記横架部材の端部は、前記凹部の形状と合致するように湾曲していることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項5】
前記横架部材の端部の前記凹部との接触面は、ブラスト処理がなされていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項6】
前記留め具は、前記棒状当接部材にばねを介して取り付けられ、前記棒状当接部材を前記横架部材の下方から前記挿通孔に通す際は、前記ばねの弾性力に抗して前記棒状当接部材内に引っ込み、前記挿通孔を抜け出た後は、前記ばねの弾性力により前記棒状当接部材外に突出して前記横架部材の上面に係止することを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項7】
前記取り付け手段は、前記ねじ嵌合部材に形成された、前記吊りボルトの上端がねじこまれる雌ねじ部からなっていることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項8】
前記吊りボルトの上端は、前記デッキプレートの勾配に応じて、くの字に折れ曲がっていることを特徴とする、請求項7に記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項9】
前記横架部材は、板ばねにより形成されていることを特徴とする、請求項1から8の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項10】
前記弾性体は、ゴム材からなっていることを特徴とする、請求項1から9の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項11】
前記横架部材は、前記デッキプレートの下部凹部に係止することを特徴とする、請求項1から10の何れか1つに記載のデッキプレート用ハンガー金具。
【請求項12】
デッキプレート上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に、天井、設備用配管、ダクト等の各種設備を設置する際に、これらの設備をデッキプレートの下部から吊り下げるために使用されるデッキプレート用ハンガー金具の前記デッキプレートへの取り付け方法において、正面形状ハの字状をなし、中央部に挿通孔が形成され、中央部下面に雌ねじ部と凹陥部とが形成された横架部材を前記デッキプレートの下部凹部に係止し、次いで、前記横架部材を保持しながら、ばねの弾性力により出入り可能な留め具を有し、下端にストッパーが形成された棒状当接部材を前記横架部材の下方から前記挿通孔に通して押し上げ、かくして、前記留め具を前記ばねの弾性力により前記棒状当接部材から突出させるとともに、前記ストッパーを前記凹陥部内に入り込ませて、前記棒状当接部材を前記横架部材に取り付け、そして、前記設備が吊り下げられる吊りボルトが取り付けられるねじ嵌合部材を前記雌ねじ部にねじ込むことを特徴とする、デッキプレート用ハンガー金具のデッキプレートへの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デッキプレート用ハンガー金具およびデッキプレートへの取り付け方法、特に、デッキプレート上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に、天井、設備用配管、ダクト等の各種設備を設置する際に、これらの設備をデッキプレートの下部から吊り下げるために使用されるデッキプレート用ハンガー金具およびこのハンガー金具のデッキプレートへの取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デッキプレート上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に、天井、設備用配管、ダクト等の各種設備を設置する手段として、以下のものがあった。
【0003】
(1)コンクリートを打設する前にデッキプレートの所定位置にドリルで孔をあけ、この孔にインサートを取り付け、コンクリートが硬化後、インサートに吊りボルトをねじ込み、吊りボルトに天井等の設備を取り付ける(特許文献1参照)。以下、この手段を従来技術1という。
【0004】
(2)デッキプレート自体の形状を利用して、正面形状がハの字状をなす横架部材の端部をデッキプレートの傾斜したウェブの下部に形成された長手方向へ延びるように設けたリブの凹部にハンマー等の工具を使用して回転係止させ、横架部材に吊りボルトをねじ込み、吊りボルトに天井等の設備を取り付ける(特許文献2参照)。以下、この手段を従来技術2という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4215165号公報
【特許文献2】実公平5−42166号公報
【特許文献3】意匠登録第1292499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術1によれば、予めインサートの取り付け位置を定め、コンクリート打設前にデッキプレートにインサートを取り付けておく必要があるので、コンクリート硬化後に設備の吊り位置の変更が生じた場合には、吊り位置を新たに設けることができないといった問題があった。
【0007】
また、上述した従来技術2によれば、デッキプレートの傾斜したウェブの下部に形成された凹部を利用しているので、デッキプレートの形状に大きく影響され、デッキプレートの形状が従来のデッキプレートと異なると、この技術を利用することができないといった問題があった。
【0008】
この発明において使用を想定しているデッキプレート(特許文献3参照)を図11に示すが、このデッキプレート11は、一般的に従来技術2が採用されているデッキプレート(特許文献2参照)と異なり、デッキプレート11の傾斜したウェブ12の上下部の長手方向に延びるように設けたリブに2本の凹部13、14が形成されている。
【0009】
例えば、図12に示すように、上部凹部13を利用してハンガー金具15を取り付けると、横架部材16が正面形状ハの字状をなす場合、デッキプレート11のフランジ17までの距離が短いので、横架部材16の取り付けが困難である。また、横架部材16の形状も水平に近いものとせざるを得ないので、高い吊り下げ強度は、期待できない。
【0010】
図13に示すように、横架部材18が正面形状逆ハの字状のハンガー金具19を使用した場合、ハンガー金具19単独ではデッキプレート11の上部凹部13に係止させることができない。また、吊りボルト20をハンガー金具19にねじ込んで、吊りボルト20をデッキプレート11のフランジ17に当接させて3点支持とした場合も、鉛直下向きの荷重に対してハンガー金具19が変形しやすく、外れる恐れがあり、高い吊り下げ強度は、期待できない。
【0011】
一方、下部凹部14は、従来技術2が採用しているデッキプレートやこの発明において使用を想定しているデッキプレート11の上部凹部13に比べて、折り曲げ角度が大きく形成されているので、従来技術2を採用した場合、高い吊り下げ強度は、期待できない。
【0012】
また、図14に示すように、デッキプレート11が勾配をもって敷き込まれて合成スラブが構築されている場合、吊りボルト20は、デッキプレート11の勾配に応じた角度で傾斜することになる。このために、吊りボルト20は、これに引っ張り力だけでなく曲げ力も作用した状態で天井21等の設備を吊り下げることになるので、所望の吊り下げ強度は、期待できない。
【0013】
従って、この発明の目的は、デッキプレートに容易かつ強固に取り付けることができ、改修等で吊り位置が不必要となった場合でも、ハンガー金具単独で現状位置に残すことができるので、ハンガー金具を撤去する必要がなく、デッキプレートが勾配をもって敷き込まれている場合であっても、吊りボルトを鉛直下向きに設置することができるので、所望の吊り下げ強度が得られ、さらに、ねじ嵌合部材を交換することによって、許容吊り下げ荷重の増加やデッキプレートの勾配に容易に対応することが可能なデッキプレート用ハンガー金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の発明は、デッキプレート上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に、天井、設備用配管、ダクト等の各種設備を設置する際に、これらの設備をデッキプレートの下部から吊り下げるために使用されるデッキプレート用ハンガー金具において、正面形状ハの字状をなし、両端が前記デッキプレートの凹部に係止される横架部材と、前記横架部材に取り付けられる棒状当接部材と、前記横架部材にねじ込まれるねじ嵌合部材とからなり、前記横架部材は、中央部に前記棒状当接部材の挿通孔が形成され、中央部下面に前記ねじ嵌合部材がねじ込まれる雌ねじ部が形成され、前記棒状当接部材の下部に前記挿通孔内に挿通された前記棒状当接部材を前記横架部材に係止させる留め具を有し、前記ねじ嵌合部材に、前記設備を吊り下げる吊りボルトの上端が取り付け手段を介して取り付けられることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ねじ嵌合部材の雌ねじ部に自在係合具が取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記棒状当接部材の上部に前記デッキプレートのフランジの下面に当接される弾性体が取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載の発明において、前記横架部材の端部は、前記凹部の形状と合致するように湾曲していることに特徴を有するものである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載の発明において、前記横架部材の端部の前記凹部との接触面は、ブラスト処理がなされていることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、前記留め具は、前記棒状当接部材にばねを介して取り付けられ、前記棒状当接部材を前記横架部材の下方から前記挿通孔に通す際は、前記ばねの弾性力に抗して前記棒状当接部材内に引っ込み、前記挿通孔を抜け出た後は、前記ばねの弾性力により前記棒状当接部材外に突出して前記横架部材の上面に係止することに特徴を有するものである。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1つに記載の発明において、前記取り付け手段は、前記ねじ嵌合部材に形成された、前記吊りボルトの上端がねじこまれる雌ねじ部からなっていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記吊りボルトの上端は、前記デッキプレートの勾配に応じて、くの字に折れ曲がっていることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8の何れか1つに記載の発明において、前記横架部材は、板ばねにより形成されていることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9の何れか1つに記載の発明において、前記弾性体は、ゴム材からなっていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10の何れか1つに記載の発明において、前記横架部材は、前記デッキプレートの下部凹部に係止することに特徴を有するものである。
【0026】
請求項12に記載の発明は、デッキプレート上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に、天井、設備用配管、ダクト等の各種設備を設置する際に、これらの設備をデッキプレートの下部から吊り下げるために使用されるデッキプレート用ハンガー金具の前記デッキプレートへの取り付け方法において、正面形状ハの字状をなし、中央部に挿通孔が形成され、中央部下面に雌ねじ部と凹陥部とが形成された横架部材を前記デッキプレートの下部凹部に係止し、次いで、前記横架部材を保持しながら、ばねの弾性力により出入り可能な留め具を有し、下端にストッパーが形成された棒状当接部材を前記横架部材の下方から前記挿通孔に通して押し上げ、かくして、前記留め具を前記ばねの弾性力により前記棒状当接部材から突出させるとともに、前記ストッパーを前記凹陥部内に入り込ませて、前記棒状当接部材を前記横架部材に抜け出し不可に取り付け、そして、前記設備が吊り下げられる吊りボルトが取り付けられるねじ嵌合部材を前記雌ねじ部にねじ込むことに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、従来技術2のように、ハンマー等の工具も使用することなく、単に棒状当接部材を横架部材の挿通孔に通して押し上げるのみで、横架部材をデッキプレートの凹部に係止することができるので、ハンガー金具の施工手間が軽減される。
【0028】
また、この発明によれば、棒状当接部材の上端は、弾性体を介してデッキプレートのフランジの下面に当接するので、地震時等によりデッキプレートが揺れてもハンガー金具がデッキプレートに対して移動するおそれを抑制することができる。
【0029】
また、この発明によれば、横架部材の端部にブラスト処理を施すことによって、デッキプレートと横架部材との摩擦抵抗が増大するので、ハンガー金具の耐震性が向上する。
【0030】
また、この発明によれば、吊りボルトがねじ嵌合部材に取り付けられていない状態でもハンガー金具は、3点支持により安定してデッキプレートに支持されるので、改修等で吊り位置が不必要となった場合でも、ハンガー金具単独で現状位置に残すことができ、この結果、ハンガー金具を撤去する必要がない。
【0031】
また、この発明によれば、吊りボルトの上端をデッキプレートの勾配に応じて、くの字に折り曲げることによって、デッキプレートが勾配をもって敷き込まれている場合であっても、吊りボルトを鉛直下向きに設置することができるので、所望の吊り下げ強度が得られる。
【0032】
また、この発明によれば、ねじ嵌合部材に形成される雌ねじ径を大きくすることによって、吊りボルト径を大きくすることができるので、許容吊り下げ荷重の増加やデッキプレートの勾配に容易に対応することが可能となる。この結果、内装改修時の自由度が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】この発明のデッキプレート用ハンガー金具を示す正面図である。
図2】この発明のデッキプレート用ハンガー金具の横架部材を示す正面図である。
図3】この発明のデッキプレート用ハンガー金具の横架部材を示す底面図である。
図4】この発明のデッキプレート用ハンガー金具の棒状当接部材を示す正面図である。
図5】この発明のデッキプレート用ハンガー金具のねじ嵌合部材を示す正面図である。
図6図5のA−A線断面図である。
図7】デッキプレートに取り付けられた、この発明のデッキプレート用ハンガー金具を示す正面図である。
図8】ねじ嵌合部材にねじ込まれた吊りボルトを示す部分正面図であり、(A)は、デッキプレートの勾配角度が5°の場合、(B)は、デッキプレートの勾配角度が10°の場合、(C)は、デッキプレートの勾配角度が15°の場合、(D)は、デッキプレートの勾配角度が20°の場合を示す図である。
図9】ねじ嵌合部材に螺合する自在係合具を示す図であり、(A)は、正面図、(B)は、底面図である。
図10】勾配をもって敷き込まれたデッキプレートにこの発明のデッキプレート用ハンガー金具により、吊りボルトを介して吊り下げられた天井を示す概略部分正面図である。
図11】特許文献2に開示されたデッキプレートを示す部分正面図である。
図12】デッキプレートの上部凹部に取り付けられたハンガー金具を示す正面図である。
図13】デッキプレートの上部凹部に取り付けられた、正面形状逆ハの字状のハンガー金具を示す正面図である。
図14】勾配をもって敷き込まれたデッキプレートに吊りボルトを介して吊り下げられた天井を示す概略部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明のデッキプレート用ハンガー金具の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、この発明のデッキプレート用ハンガー金具を示す正面図、図2は、この発明のデッキプレート用ハンガー金具の横架部材を示す正面図、図3は、この発明のデッキプレート用ハンガー金具の横架部材を示す底面図、図4は、この発明のデッキプレート用ハンガー金具の棒状当接部材を示す正面図、図5は、この発明のデッキプレート用ハンガー金具のねじ嵌合部材を示す正面図、図6は、図5のA−A線断面図である。
【0036】
図1から図6において、1は、横架部材、2は、棒状当接部材、3は、ねじ嵌合部材である。
【0037】
図2および図3に示すように、横架部材1は、正面形状ハの字状をなし、両端がデッキプレート11の傾斜したウェブ12の下部凹部14(図7参照)に係止される。横架部材1は、板ばねにより形成され、中央部には、棒状当接部材2の挿通孔4が形成され、中央部下面には、ねじ嵌合部材3がねじ込まれる雌ねじ部5が形成されている。横架部材1の端部は、デッキプレート11の下部凹部14の形状と合致するようにくの字状に湾曲している。これによって、横架部材1を確実にデッキプレート11の下部凹部14に係止させることができる。さらに、横架部材1の端部の下部凹部14との接触面は、ブラスト処理がなされている。これによって、デッキプレート11と横架部材1との摩擦抵抗が増大するので、ハンガー金具の耐震性が向上する。
【0038】
図4に示すように、棒状当接部材2は、上部にデッキプレート11のフランジ17の下面に当接される、例えば、ゴム材からなる弾性体6が取り付けられ、下部に横架部材1の挿通孔4内に挿通された棒状当接部材2を横架部材1に係止させる留め具7を有し、下端にストッパー8が形成されている。弾性体6は、これが変形した状態でデッキプレート11のフランジ17の下面に当接される。なお、弾性体6は、必ずしも設ける必要性はなく、横架部材1のハの字状片により、その弾性反発力でデッキプレート11にハンガー金具を固定できる。
【0039】
留め具7は、例えば、洋傘のシャフトに取り付けられた傘を開いた状態に維持するストッパーの構造に類似している。すなわち、留め具7は、棒状当接部材2にばね(図示せず)を介して取り付けられ、棒状当接部材2を横架部材1の下方から挿通孔4に通す際は、前記ばねの弾性力に抗して棒状当接部材2内に引っ込み、挿通孔4を抜け出た後は、前記ばねの弾性力により棒状当接部材2外に突出し、かくして、棒状当接部材2を横架部材1の上面に係止させる機能を有している。
【0040】
ストッパー8は、棒状当接部材2の径を横架部材1の挿通孔4の径より太く形成したものからなり、ストッパー8が横架部材1の中央部下面に形成した凹陥部9内に入り込むことによって、棒状当接部材2が横架部材1の挿通孔4から抜け出すことを防止する。
【0041】
図5および図6に示すように、ねじ嵌合部材3は、天井21等の設備を吊り下げる吊りボルト20の上端を取り付け手段を介して取り付ける機能を有している。この例では、前記取り付け手段は、吊りボルト20の上端がねじ込まれる雌ねじ部10により構成されるが、吊りボルト20の取り付け角度が自在に可変可能なユニバーサルジョイント等であっても良い。
【0042】
次に、この発明のハンガー金具のデッキプレートへの取り付け方法について説明する。
【0043】
先ず、横架部材1をデッキプレート11のウェブ12間に押し込んで、横架部材1の両端部をデッキプレート11の下部凹部14に嵌め込み、横架部材1をデッキプレート11に係止させる。
【0044】
次いで、横架部材1を保持しながら棒状当接部材2を横架部材1の下方から挿通孔4に通して押し上げる。挿通の際、留め具7は、棒状当接部材2内にばねの弾性力に抗して引っ込み、挿通孔4を抜け出た後は、前記ばねの弾性力により棒状当接部材2外に突出する。これと同時に、棒状当接部材2のストッパー8が横架部材1の凹陥部9内に入り込む。これによって、棒状当接部材2は、横架部材1に上下左右に移動不可に取り付けられ、横架部材1から抜け出ることはない。
【0045】
この際、棒状当接部材2の弾性体6は、押し上げ圧力により変形した状態でデッキプレート11のフランジ17の下面に当接するので、横架部材1は、弾性体6の反発力によってデッキプレート11の下部凹部14に係止される。
【0046】
次いで、ねじ嵌合部材3を横架部材1にねじ込めば、この発明のハンガー金具をデッキプレート11に取り付けることができる。
【0047】
この後、ねじ嵌合部材3に吊りボルト20をねじ込めば、デッキプレート11上にコンクリートを打設することによって構築された合成スラブの下方部の空間に天井等の設備を設置することができる。
【0048】
デッキプレートが勾配をもって敷き込まれている場合には、ねじ嵌合部材3の雌ねじ部3を予めその勾配に合わせて傾斜させて雌ねじ加工をさせておいたものを用意すれば、吊りボルトをくの字に折り曲げなくても、容易に吊りボルト20を鉛直下向きに設置することができるので、所望の吊り下げ強度が得られる。図8(A)から(D)に傾斜角度を5°から20°まで変化させたものの嵌合部材を示した。
【0049】
なお、水平面内の回転角度は、棒状当接部材2が横架部材1の凹陥部9内で回動されるので自由に設定できる。
【0050】
また、デッキプレートの勾配に対しては、次の別の手段により対応させても良い。すなわち、図9(A)、(B)に示すように、ねじ嵌合部材3に螺合する自在係合具(アタッチメント)22により吊りボルト20を取り付けても良い。
【0051】
自在係合具22は、基体22aと、基体22a上に取り付けられた、ねじ嵌合部材3の雌ねじ部10に螺合する雄ねじ部22bと、基体22a内に、ピン22cにより取り付けられた取り付け部材22dとからなっている。取り付け部材22dに吊りボルト20を螺合させることにより、吊りボルト20は、ピン結合により自由自在にデッキプレートの傾斜に対応して追従可能となる。
【0052】
さらに、別の手段として、図示しないが、ねじ嵌合部材3の雌ねじ部10を上記のようなピン結合する雌ねじ部に直接、置き換えても良い。
【0053】
なお、ねじ嵌合部材3を接着剤を介して横架部材1にねじ込めば、さらに強固にねじ嵌合部材3を横架部材1に固定することができる。
【0054】
また、横架部材1にゴム板等の弾性材料を貼り付けてもデッキプレートと横架部材1との摩擦抵抗の増大を図ることができる。
【0055】
また、棒状当接部材2に取り付ける弾性体6は、ゴム以外にばねや樹脂製であっても良い。
【0056】
また、ねじ嵌合部材3と吊りボルト20と予め接合しておいて、横架部材1にねじ込んでも良い。
【0057】
また、ねじ嵌合部材3を交換することによって、許容吊り下げ荷重の増加やデッキプレートの勾配に容易に対応することが可能である。
【0058】
以上、説明したように、この発明によれば、デッキプレート11に容易かつ強固に取り付けることができる。また、改修等で吊り位置が不必要となった場合でも、ハンガー金具単独で現状位置に残すことができるので、ハンガー金具を撤去する必要がない。また、デッキプレート11が勾配をもって敷き込まれている場合であっても、図10に示すように吊りボルト20を鉛直下向きに設置することができるので、すなわち、吊りボルト20と天井21とのなす角度(θ)を直角に維持することができるので、従来の曲げ角度を有する吊りボルトへの、地震時等における揺れ等による曲げ力集中を回避でき、所望の吊り下げ強度が得られる。さらに、ねじ嵌合部材3を交換することによって、許容吊り下げ荷重の増加やデッキプレート11の勾配に容易に対応することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:横架部材
2:棒状当接部材
3:ねじ嵌合部材
4:挿入孔
5:雌ねじ部
6:弾性体
7:留め具
8:ストッパー
9:凹陥部
10:雌ねじ部
11:デッキプレート
12:ウェブ
13:上部凹部
14:下部凹部
15:ハンガー金具
16:横架部材
17:フランジ
18:横架部材
19:ハンガー金具
20:吊りボルト
21:天井
22:自在係合具(アタッチメント)
22a:基体
22b:雄ねじ
22c:ピン
22d:取り付け部材
図1
図2
図3
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図9
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