(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
潤滑剤の吐出不具合で突出する第1検知ピンと、前記潤滑剤の正常な吐出で突出する第2検知ピンとを有する作動確認装置が潤滑剤ポンプと潤滑剤供給対象との間に設置され、
前記作動確認装置における前記第1検知ピン及び前記第2検知ピンの突出の有無を検知することで、前記潤滑剤ポンプから前記潤滑剤供給対象への前記潤滑剤の自動供給を確認することを特徴とする潤滑剤供給確認装置。
潤滑剤の吐出不具合で突出する第1検知ピンと、前記潤滑剤の正常な吐出で突出する第2検知ピンとを有する作動確認装置を、潤滑剤ポンプと潤滑剤供給対象との間に設置し、
前記作動確認装置における前記第1検知ピン及び前記第2検知ピンの突出の有無を検知することで、前記潤滑剤ポンプから前記潤滑剤供給対象への前記潤滑剤の自動供給を確認することを特徴とする潤滑剤供給確認方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リニアガイド等の潤滑剤の供給が必要な機器においては、早期磨耗等のトラブルの発生を抑制するために、潤滑剤の供給不足を解消することが重要である。
【0007】
潤滑剤の供給不足を無くし、リニアガイド等の延命を図るためには、リニアガイド等の潤滑剤供給箇所に潤滑剤が供給されたことを確認する必要がある。
【0008】
この対策として、特許文献1に記載された装置を用いることが考えられる。しかしながら、潤滑剤の分配弁を介して接続された多数の機器に潤滑剤が供給されたかどうかを確認するためには、機器毎に供給状態監視センサを設置する必要がある。この場合、例えば数10点の機器に対して潤滑剤を供給するシステムでは、各センサからの配線の本数が機器の数に応じて増大し、配線の引き回しも複雑になり、コストが高価格化する。
【0009】
そこで、供給状態監視センサの代わりに、特許文献2記載の作動確認装置を設置することが考えられる。この場合、配線は不要となるが、事前に正常なのか異常なのかが判明していないため、必ず全ての作動確認装置について、ピンの突出の有無を目視にて確認する必要があり、確認を行う工程の追加、確認時間の増大につながり、適切な対応ではない。また、例えば数10点の機器のうち、例えば1、2点の機器への潤滑剤の供給が不良な場合等において、確認の洩れにもつながるという問題がある。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、配線を最小限にとどめることができ、しかも、潤滑剤の供給が不良な機器が1点であっても、確実に検出することができ、コストの低減を図ることができると共に、潤滑剤の供給状態の確認を確実に行うことができる潤滑剤供給確認装置及び潤滑剤供給確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] 第1の本発明に係る潤滑剤供給確認装置は、潤滑剤の吐出不具合で突出する第1検知ピンと、潤滑剤の正常な吐出で突出する第2検知ピンとを有する作動確認装置が潤滑剤ポンプと潤滑剤供給対象との間に設置され、作動確認装置における第1検知ピン及び第2検知ピンの突出の有無を検知することで、潤滑剤ポンプから潤滑剤供給対象への潤滑剤の自動供給を確認することを特徴とする。
【0012】
[2] 第1の本発明において、潤滑剤ポンプからの潤滑剤を複数の潤滑剤供給対象に供給する分配弁を有し、分配弁の吐出側に複数の作動確認装置が並列に配置され、作動確認装置における第1検知ピン及び第2検知ピンの突出の有無を検知することで、分配弁から複数の潤滑剤供給対象への潤滑剤の供給異常を検知してもよい。
【0013】
[3] この場合、作動確認装置の第1検知ピン及び第2検知ピンの突出の有無を検知するセンサ装置を有し、センサ装置の個数は、作動確認装置の個数より少ないことが好ましい。
【0014】
[4] センサ装置は、複数の第1検知ピンの配列方向に向かって出射した光の受光状態に基づいて、少なくとも1つの第1検知ピンの突出の有無を検出する第1光センサと、複数の第2検知ピンの配列方向に向かって出射した光の受光状態に基づいて、少なくとも1つの第2検知ピンの突出の有無を検出する第2光センサとを有してもよい。
【0015】
[5]
第2検知ピンは、先端部にフランジを有し、潤滑剤の吐出状態が正常である場合に、第2検知ピンが突出し、光はフランジによって遮られず、潤滑剤の吐出状態が異常である場合に、第2検知ピンが突出せず、光はフランジによって遮られるようにしてもよい。
【0016】
[6] さらに、第2検知ピンを突出させる復帰手段を有するようにしてもよい。
【0017】
[7] 第1の本発明において、さらに、第1判定部と、第2判定部とを有し、第1判定部は、少なくとも1つの第1検知ピンの突出を検出した場合に異常判定し、第2判定部は、少なくとも1つの突出していない第2検知ピンを検出した場合に異常判定するようにしてもよい。
【0018】
[8] 第2の本発明に係る潤滑剤供給確認方法は、潤滑剤の吐出不具合で突出する第1検知ピンと、潤滑剤の正常な吐出で突出する第2検知ピンとを有する作動確認装置を、潤滑剤ポンプと潤滑剤供給対象との間に設置し、作動確認装置における第1検知ピン及び第2検知ピンの突出の有無を検知することで、潤滑剤ポンプから潤滑剤供給対象への潤滑剤の自動供給を確認することを特徴とする。
【0019】
[9] 第2の本発明において、潤滑剤ポンプから分配弁を介して複数の潤滑剤供給対象に潤滑剤を供給する場合に、分配弁の吐出側に複数の作動確認装置を並列に配置し、作動確認装置における第1検知ピン及び第2検知ピンの突出の有無を検知することで、分配弁から複数の潤滑剤供給対象への潤滑剤の供給異常を検知してもよい。
【0020】
[10] この場合、少なくとも1つの第1検知ピンの突出を検出した場合に異常判定し、少なくとも1つの突出していない第2検知ピンを検出した場合に異常判定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る潤滑剤供給確認装置及び潤滑剤供給確認方法によれば、配線を最小限にとどめることができ、しかも、潤滑剤の供給が不良な機器が1点であっても、確実に検出することができ、コストの低減を図ることができると共に、潤滑剤の供給状態の確認を確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る潤滑剤供給確認装置及び潤滑剤供給確認方法の実施の形態例を
図1〜
図9Bを参照しながら説明する。
【0024】
本実施の形態に係る潤滑剤供給確認装置10(
図2参照)は、
図1に示すように、潤滑剤自動供給システム12にて使用される。潤滑剤自動供給システム12は、グリス等の潤滑剤を貯溜する潤滑剤ポンプ14から1以上の分配弁16を介して複数の潤滑剤供給対象18に自動供給する。
図1の例では、4つの分配弁16を設置した例を示している。潤滑剤供給対象18としては、例えばリニアガイド、軸受け、ボールねじ、リニアテーブル等の潤滑剤の供給が必要な機器が挙げられる。
【0025】
潤滑剤自動供給システム12は、潤滑剤ポンプ14と4つの分配弁16とを接続する主経路20と、各分配弁16とそれぞれ対応する複数の潤滑剤供給対象18とをそれぞれ接続する複数の副経路22とを有する。
図1の例では、A方式の潤滑剤自動供給システム12を示し、主経路20に4つの分配弁16がそれぞれ並列に接続されている。また、各分配弁16には、それぞれ例えば10個の潤滑剤供給対象18が副経路22を介して接続されている。従って、副経路22は合計で例えば40本存在する。
【0026】
そして、潤滑剤供給確認装置10は、各潤滑剤供給対象18毎に設置され、且つ、各潤滑剤供給対象18への潤滑剤の供給状態をピンの突出の有無で表す複数の作動確認装置24と、複数の作動確認装置24のピンの突出の有無を検知するセンサ装置26と、センサ装置26からの検知信号に基づいて正常判定又は異常判定を行う判定部28とを有する。作動確認装置24は、それぞれ副経路22に接続されている。
【0027】
特に、本実施の形態では、
図2に示すように、作動確認装置24は、潤滑剤29の目詰まり状態を第1ピン30の突出の有無で表す目詰まり確認装置32と、潤滑剤29の吐出状態を第2ピン34の突出の有無で表す吐出確認装置36とを有する。複数の目詰まり確認装置32及び複数の吐出確認装置36はそれぞれ並列に配置されている。
【0028】
目詰まり確認装置32は、グリスが目詰まり状態である場合に第1ピン30を突出する。すなわち、第1ピン30を初期位置P1よりも上方に変位させる。具体的には、目詰まり確認装置32は、例えば
図3Aに示すように、第1T型管継手38を有する。第1T型管継手38は、潤滑剤29が流通する第1主管部40と、該第1主管部40から垂直方向に分岐する第1分岐管部42とを有する。第1分岐管部42は、端部44が小径とされて、端部44の中央部に第1貫通孔46が形成された形状を有する。第1ピン30は第1分岐管部42内に収容されている。第1ピン30は、柱状(例えば円柱状、多角柱状)を有し、その先端部の外径が第1貫通孔46の径よりも小とされ、先端部が第1貫通孔46を介して突出可能とされている。第1ピン30の下端部には、外径が第1貫通孔46の径よりも大とされたフランジ48が形成されて、第1ピン30全体が第1貫通孔46から飛び出ない構造となっている。
【0029】
また、第1ピン30のフランジ48と第1分岐管部42の端部44との間には、第1ピン30を常時下方に付勢する圧縮コイルばね50が設置されている。圧縮コイルばね50のばね定数は、
図3Aに示すように、潤滑剤自動供給システム12の正常な潤滑剤29の吐出圧で第1ピン30が突出しない程度に設定する。これにより、
図3Bに示すように、副経路22で潤滑剤29の目詰まり52が生じた場合、第1T型管継手38内の圧力(潤滑剤29が第1ピン30を上方に押圧する力)が高まるため、この圧力が、正常な潤滑剤29の吐出圧を超えた段階で、第1ピン30が突出することとなる。
【0030】
吐出確認装置36は、潤滑剤29が正常に吐出されている場合に第2ピン34を突出する。すなわち、第2ピン34を上方に変位させる。具体的には、吐出確認装置36は、例えば
図3Aに示すように、第2T型管継手54を有する。第2T型管継手54は、潤滑剤29が流通する第2主管部56と、該第2主管部56から垂直方向に分岐する第2分岐管部58とを有する。第2主管部56は、下流側に段差60が形成されている。
【0031】
また、第2分岐管部58は、端部62が小径とされて、端部62の中央部に第2貫通孔64が形成された形状を有する。第2ピン34はその一部が第2分岐管部58内に収容されている。第2ピン34は、第2分岐管部58に収容される柱状部66と、該柱状部66の先端部66a上に設けられ、横方向に張り出す例えば円盤状の上フランジ68とを有する。上フランジ68は、常時、第2分岐管部58の外に位置している。柱状部66の外径が第2貫通孔64の径よりも小とされ、先端部66aが第2貫通孔64を介して突出可能とされている。すなわち、横方向に延在する上フランジ68が上方に変位可能とされている。第2ピン34の下端部には、外径が第2貫通孔64の径よりも大とされた下フランジ70が形成されて、第2ピン34全体が第2貫通孔64から飛び出ない構造となっている。なお、圧縮コイルばねは設置されていない。
【0032】
そして、正常な吐出圧で潤滑剤29が供給された場合は、潤滑剤29は段差60を乗り越えて下流側に吐出することになるため、第2ピン34は潤滑剤29にて上方に押され、これにより、第2ピン34が突出することとなる。何らかの原因で、正常な吐出圧よりも低い圧力で潤滑剤29が供給された場合、あるいは、は、目詰まり確認装置32と吐出確認装置36の間で目詰まり等の異常があった場合は、潤滑剤29は段差60を乗り越えられず、第2ピン34は突出しない状態となる。
【0033】
一方、センサ装置26は、
図2に示すように、少なくとも1つの第1ピン30の突出の有無を検出する第1光センサ72と、少なくとも1つの第2ピン34の突出の有無を検出する第2光センサ74とを有する。
【0034】
第1光センサ72は、複数の目詰まり確認装置32の配列方向に沿って第1光76を出射する第1発光素子72aと、該第1発光素子72aから出射した第1光76の受光状態に基づいて、少なくとも1つの第1ピン30の突出の有無を検出する第1受光素子72bとを有する。第1発光素子72aは、
図3A及び
図3Cに示すように、目詰まり確認装置32の第1ピン30が突出していない場合(正常な場合)に、第1光76が第1ピン30の上方を通過し、
図3Bに示すように、第1ピン30が突出している場合(異常な場合)に、第1光76が第1ピン30によって遮断される方向に第1光76を出射する。
【0035】
第2光センサ74は、複数の吐出確認装置36の配列方向に沿って第2光78を出射する第2発光素子74aと、該第2発光素子74aから出射した第2光78の受光状態に基づいて、少なくとも1つの第2ピン34の突出の有無を検出する第2受光素子74bとを有する。第2発光素子74aは、
図3A及び
図3Bに示すように、吐出確認装置36の第2ピン34が突出している場合(正常な場合)に、第2光78が第2ピン34の上フランジ68の下方を通過し、
図3C及び
図3Dに示すように、第2ピン34が突出していない場合(異常な場合)に、第2光78が第2ピン34の上フランジ68で遮断される方向に第2光78を出射する。
【0036】
ところで、作動確認装置24の吐出確認装置36は、
図6Aに示すように、潤滑剤29の吐出状態が正常である場合、第2ピン34が突出することになるが、
図6Bに示すように、一旦、第2ピン34が突出すると、
図6C及び
図6Dに示すように、潤滑剤29の供給の終了後においても、吐出確認装置36の第2ピン34が突出した状態を維持している。そのため、外力を加えない限り、第2ピン34は元に戻らない。そこで、潤滑剤自動供給システム12に対する潤滑剤29の供給状態の確認が終了した後に、第2ピン34を元の位置に復帰させる復帰手段を設けることが好ましい。復帰手段については後述する。
【0037】
図2に示すように、判定部28は、第1光センサ72が少なくとも1つの第1ピン30の突出を検出した場合に異常判定する第1判定部80と、第2光センサ74が少なくとも1つの突出していない第2ピン34を検出した場合に異常判定する第2判定部82とを有する。
【0038】
ここで、この潤滑剤供給確認装置10を使用した潤滑剤供給確認方法について
図4を参照しながら説明する。
【0039】
図4のステップS1において、複数の目詰まり確認装置32及び複数の吐出確認装置36をそれぞれ並列に配置する。
【0040】
ステップS2において、第1光センサ72は、複数の目詰まり確認装置32の配列方向に沿って第1光76を出射する。
【0041】
ステップS3において、第1光センサ72は、出射した第1光76の受光状態に基づいて、少なくとも1つの第1ピン30の突出の有無を検出する。
【0042】
ステップS4において、第1判定部80は、第1光センサ72が少なくとも1つの第1ピン30の突出を検出した場合に異常判定する。
【0043】
ステップS5において、ステップS4にて異常判定がなされた場合に、目詰まり確認装置32のうち、第1ピン30が突出している装置を目視にて確認し、異常のあった副経路22を特定する。
【0044】
ステップS6において、第2光センサ74は、複数の吐出確認装置36の配列方向に沿って第2光78を出射する。
【0045】
ステップS7において、第2光センサ74は、出射した第2光78の受光状態に基づいて、少なくとも1つの第2ピン34の突出の有無を検出する。
【0046】
ステップS8において、第2判定部82は、第2光センサ74が少なくとも1つの突出していない第2ピン34を検出した場合に異常判定する。
【0047】
ステップS9において、ステップS8にて異常判定がなされた場合に、吐出確認装置36のうち、第2ピン34が突出していない装置を目視にて確認し、異常のあった副経路22を特定する。
【0048】
ステップS10において、特定された異常のあった副経路22について、第1ピン30の突出の有無及び第2ピン34の突出の有無に基づいて、下記表1から異常の内容(潤滑剤の供給状態)を特定する。
【0049】
なお、ステップS2〜S5並びにステップS6〜S9は、並行して行ってもよい。
【0051】
このように、本実施の形態においては、センサ装置26の個数は、作動確認装置24の個数より少ない。本実施の形態では、40点の潤滑剤供給対象18に対して、光センサが2点という非常に少ない点数で済む。もちろん、第1発光素子72a及び第2発光素子74aから出射される光の到達距離に応じて潤滑剤供給対象18の個数をさらに増やすことができる。電気的な配線も潤滑剤供給対象18の個数に左右されず、第1発光素子72a、第1受光素子72b、第2発光素子74a及び第2受光素子74bへの配線、すなわち、4本の配線で済む。その結果、コストの低廉化を図る上で有利となる。
【0052】
また、全ての作動確認装置24について、第1ピン30及び第2ピン34の突出の有無を目視にて確認する前に、事前に、第1光センサ72及び第2光センサ74にて、第1ピン30及び第2ピン34の突出の有無を検出し、異常判定があれば初めて、全ての作動確認装置24に対して、第1ピン30及び第2ピン34の突出の有無を目視にて確認するようにしている。つまり、正常判定であれば、全ての作動確認装置24に対する目視確認を省略することができる。異常判定によって、全ての作動確認装置24に対する目視確認を行う場合でも、事前に異常判定とわかっているため、確認洩れの発生を抑制することができる。
【0053】
すなわち、本実施の形態に係る潤滑剤供給確認装置10及び潤滑剤供給確認方法においては、配線を最小限にとどめることができ、しかも、潤滑剤29の供給が不良な機器が1点であっても、確実に検出することができ、コストの低減を図ることができると共に、潤滑剤29の供給状態の確認を確実に行うことができる。
【0054】
次に、各種変形例について
図5〜
図9Bを参照しながら説明する。
【0055】
上述した実施の形態では、A方式の潤滑剤自動供給システム12に適用した例を示したが、その他、
図5に示すように、B方式の潤滑剤自動供給システム12に適用してもよい。この場合、分配弁16は、少なくとも1つの第1分配弁16Aと複数の第2分配弁16Bとを有する。
【0056】
この潤滑剤自動供給システム12は、さらに、潤滑剤ポンプ14と第1分配弁16Aとを接続する主経路20と、第1分配弁16Aと複数の第2分配弁16Bとをそれぞれ直列に接続する第1副経路22Aと、第2分配弁16Bと複数の潤滑剤供給対象18とをそれぞれ接続する複数の第2副経路22Bとを有する。
【0057】
そして、変形例に係る潤滑剤供給確認装置は、
図5に示すように、複数の第1副経路22Aと、複数の第2副経路22Bにそれぞれ作動確認装置24が接続されている。
【0058】
この場合、第2分配弁16Bから各潤滑剤供給対象18への潤滑剤29の供給状態(目詰まりや吐出状態)を確認することができるほか、第1分配弁16Aから各第2分配弁16Bへの潤滑剤29の供給状態も確認することができ、潤滑剤29の供給状態の確認をさらに確実に行うことができる。
【0059】
ここで、吐出確認装置36の第2ピン34を復帰(突出)させる手段、すなわち、復帰手段について説明する。復帰手段としては、例えば
図7A〜
図9Bに示す第1復帰手段〜第3復帰手段が挙げられる。
【0060】
第1復帰手段は、
図7Aに示すように、並列に配列された複数の吐出確認装置36の配列方向に延びるバー84と、該バー84を上下方向に移動させる例えばエアーシリンダ86とを有する。そして、潤滑剤自動供給システム12に対する潤滑剤29の供給状態の確認中は、バー84を上方に位置させておき、確認が終了した段階で、
図7Aに示すように、エアーシリンダ86を駆動してバー84を下方に移動して各第2ピン34を元の位置(第2ピン34が突出していない状態)に復帰させる。その後、
図7Bに示すように、エアーシリンダ86を駆動してバー84を上方に移動させる。このとき、第2光センサ74を使って全ての第2ピン34が元の位置に戻ったかどうかを確認することで、迅速に確認作業を終えることができる。この場合、第2光センサ74の第2発光素子74aは、吐出確認装置36の第2ピン34が突出していない場合に、第2光78が第2ピン34の上フランジ68の上方を通過し、第2ピン34が突出している場合に、第2光78が第2ピン34の上フランジ68で遮断される方向に第2光78を出射する。これにより、全ての第2ピン34が元の位置に戻ったかどうかを確認することができる。
【0061】
第2復帰手段は、
図8A及び
図8Bに示すように、目詰まり確認装置32と同様の構造を持たせる。すなわち、第2分岐管部58の端部62と第2ピン34の下フランジ70との間に、第2ピン34を常時下方に付勢する圧縮コイルばね88を設置する。圧縮コイルばね88のばね定数は、潤滑剤自動供給システム12の正常な潤滑剤29の吐出圧で第2ピン34が突出し、潤滑剤29の吐出圧が正常な吐出圧よりも低い場合に、第2ピン34が突出しない程度に設定する。
【0062】
これにより、潤滑剤自動供給システム12に対する潤滑剤29の供給状態の確認中は、潤滑剤29の吐出圧に応じて第2ピン34が突出したり、突出しない状態となる。その後、確認が終了した段階で、潤滑剤29の吐出圧が正常な吐出圧よりも低くなれば、圧縮コイルばね88の作用によって、全ての第2ピン34が突出しない状態、すなわち、元の位置に復帰する。この場合、エアーシリンダ86等の外部装置を設置する必要がないため、設置空間の縮小化を図ることができる。しかし、潤滑剤29の種類や供給圧力を変更することで、正常な吐出圧が変化した場合に、各圧縮コイルばね88を変更する必要が生じる場合がある。
【0063】
第3復帰手段は、第2分岐管部58内にエアーを吹き込むことで、第2ピン34を元の位置に復帰させる。具体的には、
図9A及び
図9Bに示すように、第2分岐管部58の端部の内周部にエアー漏れを防止するためのOリング90が装着される環状溝92が形成され、第2ピン34の外周部に、Oリング90が摺動する溝94が形成される。同様に、下フランジ70の外周部に、エアーが潤滑剤側に進入するのを防止するためのOリング96が装着される環状溝98が形成され、第2分岐管部58の内周部にOリング96が摺動する溝100が形成される。さらに、第2分岐管部58に、該第2分岐管部58の内部のうち、端部62の位置と第2ピン34の下フランジ70との間にエアーを導入するためのエアー供給口102が設けられている。
【0064】
さらに、この第3復帰手段は、潤滑剤自動供給システム12に設置された複数の吐出確認装置36(この場合、第2分岐管部58)に対応してエアー導入管104が配管され、複数のエアー導入管104の結合部106とエアーポンプ108との間のエアー導入管110に電磁弁112が挿入接続されている。
【0065】
そして、潤滑剤自動供給システム12に対する潤滑剤29の供給状態の確認中は、電磁弁112を例えば「閉」に制御することで、エアーポンプ108からのエアーが第2分岐管部58内に供給されないようにしておく。その後、確認が終了した段階で、潤滑剤29が供給されなくなれば、電磁弁112を例えば「開」に制御することで、エアーポンプ108からのエアーを第2分岐管部58内に供給する。これにより、全ての第2ピン34を元の位置に復帰させることができる。
【0066】
なお、本発明に係る潤滑剤供給確認装置及び潤滑剤供給確認方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。