(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の板バネおよび前記第2の板バネは、それぞれ、前記中継部材の前記第1の腕部が延びる方向および前記第2の腕部が延びる方向の双方に対して直交する方向に延びる回転軸を有し、
前記ロック部材は、前記回転軸が延びる方向に挿入または引き抜かれる請求項1に記載の中継コネクタ。
前記第1の板バネの前記先端部および前記第2の板バネの前記先端部は、それぞれ、前記回転軸と平行な方向に延びる平行端面と、前記平行端面の前記ロック部材が挿入される側に隣接して形成された傾斜端面とを有し、
前記ロック部材は、前記第1の板バネの前記傾斜端面および前記第2の板バネの前記傾斜端面に対応したテーパ状の先端形状を有する請求項2または3に記載の中継コネクタ。
前記ハウジングは、前記第1の端子を受け入れる第1の端子受け入れ部および前記第2の端子を受け入れる第2の端子受け入れ部と、前記ロック部材が挿入される挿入孔を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の中継コネクタ。
前記第1の端子および前記第2の端子の少なくとも一方は、可撓性を有する電線束を介して前記第1の電子機器または前記第2の電子機器に接続されている請求項9に記載の電子機器組み立て体。
前記第1の端子および前記第2の端子が互いに交差する方向に延びるように前記第1の電子機器または前記第2の電子機器に取り付けられたアングルタイプの補助コネクタをさらに備えた請求項9または10に記載の電子機器組み立て体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コネクタの接続状態を解除する際には、スペーサ6の切り欠き部9から突出片8を離脱させなければならず、接続端子7に何らかの力を加えて突出片8がスペーサ6の切り欠き部9から外れるまで接続端子7を弾性的に変形させる必要があり、容易に接続状態を解除することができないという問題がある。
さらに、電源側コネクタ部とモータ側コネクタ部の間に配置されるアングルタイプの中継コネクタに特許文献2の方式を採用しようとすると、中継コネクタと電源側コネクタ部との接続嵌合および中継コネクタとモータ側コネクタ部との接続嵌合にそれぞれスペーサ6の挿入を用いることとなり、2回の挿入操作が必要となってしまう。
【0008】
また、仮に、1つのスペーサ6に互いに異なる方向を向いた2つの切り欠き部9を形成することで、1回の挿入操作により中継コネクタと電源側コネクタ部との接続および中継コネクタとモータ側コネクタ部との接続を同時に行おうとすると、これら双方の接続状態を解除する際に、スペーサ6の2つの切り欠き部9からそれぞれ対応する接続端子7に連結された突出片8を離脱させなければならず、ますます接続状態の解除が困難になる。
【0009】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、簡単な操作で且つ小さな挿入力で接続を行うことができると共に容易に接続状態を解除することができる中継コネクタを提供することを目的とする。
また、この発明は、そのような中継コネクタを用いて複数の電子機器を接続した電子機器組み立て体を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る中継コネクタは、互いに交差する方向に延びる第1の端子および第2の端子を接続する中継コネクタであって、
導電材料から形成されると共に互いに交差する方向に延びる第1の腕部および第2の腕部を有する中継部材と、
第1の腕部との間に挿入された第1の端子を第1の腕部に向けて押しつけることにより第1の腕部と第1の端子を電気導通させる第1の押しつけ位置と第1の押しつけ位置よりも第1の腕部から離れて第1の端子の押しつけを解除する第1の押しつけ解除位置との間で回転可能に中継部材に取り付けられた第1の板バネと、
第2の腕部との間に挿入された第2の端子を第2の腕部に向けて押しつけることにより第2の腕部と第2の端子を電気導通させる第2の押しつけ位置と第2の押しつけ位置よりも第2の腕部から離れて第2の端子の押しつけを解除する第2の押しつけ解除位置との間で回転可能に中継部材に取り付けられた第2の板バネと、
中継部材を保持すると共に第1の板バネの回転方向において第1の板バネの先端部に対向する第1の対向部と第2の板バネの回転方向において第2の板バネの先端部に対向する第2の対向部が互いに近接して形成されたハウジングと、
ハウジングに対して挿入または引き抜き可能に配置され、ハウジング内に挿入されたときに、第1の対向部と第1の板バネの先端部との間に入ると共に第2の対向部と第2の板バネの先端部との間に入ることにより第1の板バネおよび第2の板バネをそれぞれ第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置させるロック部材とを備えたものである。
【0011】
好ましくは、第1の板バネおよび第2の板バネは、それぞれ、中継部材の第1の腕部が延びる方向および第2の腕部が延びる方向の双方に対して直交する方向に延びる回転軸を有し、ロック部材は、回転軸が延びる方向に挿入または引き抜かれる。
中継部材の第1の腕部および第2の腕部は、それぞれ、第1の板バネおよび第2の板バネに向かって突出する突状部を有し、第1の板バネおよび第2の板バネは、それぞれ、回転軸と先端部との間に第1の腕部および第2の腕部に向かって突出する頂部を有すると共に先端部が第1の腕部および第2の腕部とは反対方向に突出していることが好ましい。
さらに、第1の板バネの先端部および第2の板バネの先端部は、それぞれ、回転軸と平行な方向に延びる平行端面と、平行端面のロック部材が挿入される側に隣接して形成された傾斜端面とを有し、ロック部材は、第1の板バネの傾斜端面および第2の板バネの傾斜端面に対応したテーパ状の先端形状を有することが好ましい。
【0012】
また、ハウジングは、第1の端子を受け入れる第1の端子受け入れ部および第2の端子を受け入れる第2の端子受け入れ部と、ロック部材が挿入される挿入孔を有することが好ましい。
さらに、ハウジングの外周部に互いに間隔を隔てて配置された一対の環状のハウジング用防水部材と、ロック部材がハウジング内に挿入されたときに挿入孔の開口端部に位置するロック部材の外周部に配置された環状のロック部材用防水部材とを備え、挿入孔の開口端部は、一対のハウジング用防水部材により挟まれた領域に形成されるように構成することができる。
【0013】
また、ロック部材が挿入または引き抜かれる方向に配列されると共に互いに電気的に絶縁されてハウジングに保持された複数の中継部材と、複数の中継部材にそれぞれ取り付けられた複数の第1の板バネおよび複数の第2の板バネとを備え、ハウジングは、それぞれロック部材が挿入または引き抜かれる方向に延びる第1の対向面および第2の対向面を有し、複数の第1の板バネに対応した複数の第1の対向部が第1の対向面上に形成されると共に複数の第2の板バネに対応した複数の第2の対向部が第2の対向面上に形成され、ロック部材が第1の対向面および第2の対向面に沿って挿入されたときに、順次、複数の中継部材の第1の板バネおよび第2の板バネがそれぞれ第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置されるように構成することもできる。
【0014】
この場合、ロック部材は、絶縁体から形成された棒状部材と、ロック部材がハウジング内に挿入されたときに複数の第1の板バネの先端部および複数の第2の板バネの先端部に接触するように棒状部材の側面上に互いに間隔を隔てて配列され固定された複数の金属片と、棒状部材の先端部に固定されると共にロック部材がハウジング内に挿入される際に複数の第1の板バネの先端部に順次接触して第1の板バネを第1の押しつけ位置へと押すための第1の傾斜面と複数の第2の板バネの先端部に順次接触して第2の板バネを第2の押しつけ位置へと押すための第2の傾斜面とが形成された金属チップとを有することが好ましい、
【0015】
また、この発明に係る電子機器組み立て体は、第1の端子に接続された第1の電子機器と、第2の端子に接続された第2の電子機器とを備え、第1の端子と第2の端子とが上記の中継コネクタにより接続されたものである。
第1の端子および第2の端子の少なくとも一方は、可撓性を有する電線束を介して第1の電子機器または第2の電子機器に接続されていてもよい。
第1の端子および第2の端子が互いに交差する方向に延びるように第1の電子機器または第2の電子機器に取り付けられたアングルタイプの補助コネクタをさらに備えることもできる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、第1の板バネが第1の押しつけ位置と第1の押しつけ解除位置との間で回転可能で且つ第2の板バネが第2の押しつけ位置と第2の押しつけ解除位置との間で回転可能であり、ロック部材をハウジング内に挿入したときに、ロック部材がハウジングの第1の対向部および第2の対向部と第1の板バネの先端部および第2の板バネの先端部との間にそれぞれ入ることにより第1の板バネおよび第2の板バネがそれぞれ第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置するので、簡単な操作で且つ小さな挿入力で接続を行うことができると共に容易に接続状態を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】接続状態にある実施の形態1の中継コネクタを示す断面図である。
【
図2】実施の形態1の中継コネクタに用いられた中継部材と第1の板バネおよび第2の板バネを示す斜視図である。
【
図3】(A)は第1の板バネを示す斜視図、(B)は第2の板バネを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1の中継コネクタに用いられたロック部材を示す斜視図である。
【
図6】ロック部材の金属チップを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【
図7】第1の板バネおよび第2の板バネがそれぞれ第1の押しつけ解除位置および第2の押しつけ解除位置にある状態の中継コネクタを示す断面図である。
【
図8】ロック部材を挿入する前の状態を示し、(A)は第1の板バネおよび第2の板バネを示す一部破断斜視図、(B)は第1の板バネを示す正面図、(C)は第2の板バネを示す正面図である。
【
図9】ロック部材を挿入した状態を示し、(A)は第1の板バネおよび第2の板バネを示す斜視図、(B)は第1の板バネを示す正面図、(C)は第2の板バネを示す正面図である。
【
図10】実施の形態1の中継コネクタに対して第1の端子がX方向に位置ずれすると共に第2の端子がZ方向に位置ずれした状態を示す断面図である。
【
図11】実施の形態1の中継コネクタに対して第1の端子がY方向に位置ずれした状態を示す一部破断底面図である。
【
図12】実施の形態1の中継コネクタに対して第2の端子がY方向に位置ずれした状態を示す一部破断側面図である。
【
図13】実施の形態2の中継コネクタを示す斜視図である。
【
図14】実施の形態2の中継コネクタの分解図である。
【
図15】実施の形態2の中継コネクタに用いられた中継部材と第1の板バネおよび第2の板バネを示す斜視図である。
【
図16】(A)は実施の形態2の中継コネクタに用いられた第1の板バネを示す斜視図、(B)は実施の形態2の中継コネクタに用いられた第2の板バネを示す斜視図である。
【
図17】実施の形態2の中継コネクタに用いられたロック部材を示す斜視図である。
【
図18】実施の形態2の中継コネクタに用いられたロック部材の分解図である。
【
図19】接続状態にある実施の形態2の中継コネクタを示す断面図である。
【
図20】ロック部材を挿入する際の様子を示し、(A)は複数の第1の板バネを示す正面図、(B)は複数の第2の板バネを示す正面図である。
【
図21】接続状態にある実施の形態2の中継コネクタの内部を示す斜視図である。
【
図22】実施の形態3に係る電子機器組み立て体を示す斜視図である。
【
図23】電子機器組み立て体の接続前の状態を示す斜視図である。
【
図24】パワーコントロールユニットの内部を示す斜視図である。
【
図25】パワーコントロールユニットの分解図である。
【
図26】パワーコントロールユニットの内部筐体を示す斜視図である。
【
図27】パワーコントロールユニットの内部筐体に用いられた端子部材を示す斜視図である。
【
図28】パワーコントロールユニットのトレイの分解図である。
【
図29】パワーコントロールユニットの補助コネクタおよび中継コネクタを示す斜視図である。
【
図30】補助コネクタに用いられた端子部材を示す斜視図である。
【
図31】補助コネクタに用いられた端子部材を示す断面図である。
【
図32】実施の形態3における中継コネクタの端部を示す一部破断側面図である。
【
図33】パワーコントロールユニットとモータユニットを接続した状態を示す部分断面図である。
【
図34】実施の形態4における補助コネクタに用いられた端子部材を示す斜視図である。
【
図38】
図37のコネクタの接続前の内部の状態を示す斜視図である。
【
図39】
図37のコネクタの接続後の内部の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る中継コネクタ11を示す。中継コネクタ11は、第1の電子機器E1から延びる平板形状の第1の端子T1と、この第1の端子T1に対して直交する方向に第2の電子機器E2から延びる平板形状の第2の端子T2とを接続する、いわゆるアングルタイプのコネクタである。
ここで、便宜上、第1の電子機器E1から第1の端子T1が延びる方向を−X方向、第2の電子機器E2から第2の端子T2が延びる方向を+Z方向、X方向およびZ方向の双方に直交する方向をY方向と呼ぶものとする。
【0019】
中継コネクタ11は、樹脂等の絶縁材料から形成されたハウジング12と、ハウジング12内に保持された導電材料からなる中継部材13とを有している。ハウジング12は、第1の端子T1を受け入れる第1の端子受け入れ部14と、第2の端子T2を受け入れる第2の端子受け入れ部15を有している。また、中継部材13は、ハウジング12の第1の端子受け入れ部14内で+X方向に沿って延びる第1の腕部16と、ハウジング12の第2の端子受け入れ部15内で−Z方向に沿って延びる第2の腕部17とを有するように、L型に屈曲された部材である。第1の腕部16の中央部には−Z方向に突出する突状部18が形成され、第2の腕部17の中央部には+X方向に突出する突状部19が形成されている。
【0020】
中継部材13には、第1の腕部16の先端部近傍においてY方向に延びる回転軸20の周りに回転可能で且つ第1の腕部16に対向するように第1の板バネ21が取り付けられると共に、第2の腕部17の先端部近傍においてY方向に延びる回転軸22の周りに回転可能で且つ第2の腕部17に対向するように第2の板バネ23が取り付けられている。
【0021】
また、ハウジング12の内部には、+Z方向を向いた壁面が、第1の板バネ21の回転方向において第1の板バネ21の先端部に対向する第1の対向部24として形成されると共に、この第1の対向部24に隣接して−X方向を向いた壁面が、第2の板バネ23の回転方向において第2の板バネ23の先端部に対向する第2の対向部25として形成されている。
さらに、ハウジング12の第1の対向部24および第2の対向部25に接した状態で、ハウジング12に対してY方向に挿入または引き抜き可能に角柱形状のロック部材26が配置されている。
【0022】
図2に示されるように、中継部材13の第1の腕部16の両側縁から一対の対向する側壁部27がそれぞれXZ面に沿って−Z方向に延び、これら側壁部27の間に第1の端子受け入れ部14が形成されると共に側壁部27の+X方向および−Z方向の端部に第1の板バネ21の回転軸20が配置されている。同様に、中継部材13の第2の腕部17の両側縁から一対の対向する側壁部28がそれぞれXZ面に沿って+X方向に延び、これら側壁部28の間に第2の端子受け入れ部15が形成されると共に側壁部28の−Z方向および+X方向の端部に第2の板バネ23の回転軸22が配置されている。
【0023】
第1の板バネ21は、
図3(A)に示されるように、中央に直線状の頂部21Aが形成されるように断面が「く」の字状に屈曲された、ほぼ矩形の板形状を有している。第1の板バネ21の一端部には、頂部21Aと平行に回転軸20が形成され、他端部には、中央の屈曲部分と同一方向に折り曲げられることにより、頂部21Aとは反対方向に突出する先端部21Bを有している。この先端部21Bは、頂部21Aおよび回転軸20と平行な方向に延びる平行端面21Cと、平行端面21Cの両側に連続して形成された一対の傾斜端面21Dとを有している。
【0024】
第2の板バネ23は、第1の板バネ21と同一の形状を有している。すなわち、第2の板バネ23は、
図3(B)に示されるように、中央に直線状の頂部23Aが形成されるように断面が「く」の字状に屈曲された、ほぼ矩形の板形状を有している。第2の板バネ23の一端部には、頂部23Aと平行に回転軸22が形成され、他端部には、中央の屈曲部分と同一方向に折り曲げられることにより、頂部23Aとは反対方向に突出する先端部23Bを有している。この先端部23Bは、頂部23Aおよび回転軸22と平行な方向に延びる平行端面23Cと、平行端面23Cの両側に連続して形成された一対の傾斜端面23Dとを有している。
そして、第1の板バネ21の頂部21Aが中継部材13の第1の腕部16に向かって突出すると共に第2の板バネ23の頂部23Aが中継部材13の第2の腕部17に向かって突出するように、第1の板バネ21および第2の板バネ23が中継部材13に取り付けられている。
【0025】
図4に示されるように、ロック部材26は、絶縁体から形成されたほぼ四角柱形状の棒状部材29と、棒状部材29の先端に固定されたテーパ状の金属チップ30と、金属チップ30の近傍で棒状部材29の側面上に固定された金属片31とを有している。
図5に示されるように、金属片31は、棒状部材29の4つの側面29A〜29Dのうち、互いに隣接する2つの側面29Aおよび29Bに沿ったほぼL型の断面形状を有し、金属片31とその周辺の棒状部材29の表面とが同一面をなすように、棒状部材29の2つの側面29Aおよび29Bの表面部分に埋め込まれている。
【0026】
また、金属チップ30は、
図6(A)および(B)に示されるように、ほぼ四角錐形状を有しているが、四角錐の4つの側面のうち、棒状部材29の側面29Cおよび29Dに対応する2つの側面は、棒状部材29の中心軸に対して平行に延び、棒状部材29の側面29Cおよび29Dとほぼ同一面を形成している。一方、金属片31が取り付けられている棒状部材29の側面29Aおよび29Bに対応する、四角錐の残りの2つの側面は、棒状部材29の中心軸に対して傾斜する第1の傾斜面30Aおよび第2の傾斜面30Bを形成している。
【0027】
次に、実施の形態1に係る中継コネクタ11の動作について説明する。
図7に示されるように、ハウジング12にロック部材26を挿入しないときには、第1の板バネ21および第2の板バネ23は、それぞれ回転軸20および22を中心として自由に回転可能な状態にある。そして、第1の板バネ21の先端部21Bが第1の腕部16からもっとも離れる位置まで第1の板バネ21が回転したとき、第1の板バネ21の頂部21Aと中継部材13の第1の腕部16との間に、第1の電子機器E1の第1の端子T1の厚さよりも大きな間隙が形成され、同様に、第2の板バネ23の先端部23Bが第2の腕部17からもっとも離れる位置まで第2の板バネ23が回転したとき、第2の板バネ23の頂部23Aと中継部材13の第2の腕部17との間に、第2の電子機器E2の第2の端子T2の厚さよりも大きな間隙が形成されるように、予め構成されているものとする。
【0028】
なお、このように、第1の板バネ21の頂部21Aと第1の腕部16との間に第1の端子T1の厚さよりも大きな間隙が形成されるときの第1の板バネ21の回転位置を第1の押しつけ解除位置と呼び、第2の板バネ23の頂部23Aと第2の腕部17との間に第2の端子T2の厚さよりも大きな間隙が形成されるときの第2の板バネ23の回転位置を第2の押しつけ解除位置と呼ぶこととする。
【0029】
そこで、ハウジング12にロック部材26を挿入しない状態で、第1の電子機器E1の第1の端子T1をハウジング12の第1の端子受け入れ部14内における第1の板バネ21の頂部21Aと中継部材13の第1の腕部16との間に挿入すると共に、第2の電子機器E2の第2の端子T2をハウジング12の第2の端子受け入れ部15内における第2の板バネ23の頂部23Aと中継部材13の第2の腕部17との間に挿入する。このとき、第1の板バネ21および第2の板バネ23は、それぞれ第1の押しつけ解除位置および第2の押しつけ解除位置にあるので、実質的に0に等しい挿入力で第1の端子T1および第2の端子T2を挿入することができる。
【0030】
次に、ハウジング12にロック部材26を挿入する。このとき、ロック部材26の金属チップ30が前端に位置し、棒状部材29の側面29Cおよび29Dがそれぞれハウジング12の第1の対向部24および第2の対向部25に接するようにロック部材26の挿入が行われる。これにより、ロック部材26の挿入に伴って、
図8(A)〜(C)に示されるように、まず、金属チップ30の第1の傾斜面30Aおよび第2の傾斜面30Bが、それぞれ、第1の板バネ21の先端部21Bの傾斜端面21Dおよび第2の板バネ23の先端部23Bの傾斜端面23Dに接触する。
【0031】
この状態で、ロック部材26をさらに挿入すると、第1の板バネ21の先端部21Bの傾斜端面21Dが金属チップ30の第1の傾斜面30Aにより押されて、第1の板バネ21の先端部21Bが第1の腕部16に接近するように第1の板バネ21が次第に回転すると共に、第2の板バネ23の先端部23Bの傾斜端面23Dが金属チップ30の第2の傾斜面30Bにより押されて、第2の板バネ23の先端部23Bが第2の腕部17に接近するように第2の板バネ23が次第に回転する。第1の板バネ21の回転に伴って第1の板バネ21の頂部21Aが第1の電子機器E1の第1の端子T1に接触し、第1の端子T1を第1の腕部16に向けて押しつけると共に、第2の板バネ23の回転に伴って第2の板バネ23の頂部23Aが第2の電子機器E2の第2の端子T2に接触し、第2の端子T2を第2の腕部17に向けて押しつけることとなる。
【0032】
なお、このように、第1の板バネ21の頂部21Aが第1の端子T1を第1の腕部16に向けて押しつけるときの第1の板バネ21の回転位置を第1の押しつけ位置と呼び、第2の板バネ23の頂部23Aが第2の端子T2を第2の腕部17に向けて押しつけるときの第2の板バネ23の回転位置を第2の押しつけ位置と呼ぶこととする。
【0033】
そして、ロック部材26を所定長さだけ挿入することにより、
図9(A)〜(C)に示されるように、第1の板バネ21の先端部21Bの平行端面21Cがロック部材26の棒状部材29の側面29Aに乗り上げて金属片31の表面上に位置すると共に、第2の板バネ23の先端部23Bの平行端面23Cがロック部材26の棒状部材29の側面29Bに乗り上げて金属片31の表面上に位置する。
これにより、第1の板バネ21および第2の板バネ23は、それぞれ第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に保持されることとなる。このとき、第1の端子T1は中継部材13の第1の腕部16の突状部18に押しつけられて第1の腕部16と電気導通し、第2の端子T2は中継部材13の第2の腕部17の突状部19に押しつけられて第2の腕部17と電気導通する。すなわち、−X方向に延びる第1の電子機器E1の第1の端子T1と+Z方向に延びる第2の電子機器E2の第2の端子T2とが、中継部材13を介して互いに接続される。
【0034】
このように、1本のロック部材26を挿入するだけの極めて簡単な操作で、第1の板バネ21および第2の板バネ23をそれぞれ第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置させて第1の端子T1と第2の端子T2の接続を行うことが可能となる。
なお、ハウジング12からロック部材26を引き抜けば、第1の板バネ21および第2の板バネ23は、それぞれ回転軸20および22を中心として自由に回転可能な状態となるので、第1の端子T1と第2の端子T2をこの中継コネクタ11から容易に取り外すことができる。
【0035】
この実施の形態1に係る中継コネクタ11では、平板形状の第1の端子T1および第2の端子T2が第1の板バネ21および第2の板バネ23によりそれぞれ中継部材13の第1の腕部16および第2の腕部17に向けて押しつけられる限り、ハウジング12に対する第1の端子T1の挿入深さおよび第2の端子T2の挿入深さを変化させても、第1の端子T1と第2の端子T2との接続を行うことができる。
このため、第1の端子T1と第2の端子T2との接続を行いながら、第1の端子T1の挿入深さおよび第2の端子T2の挿入深さをもっとも小さくした状態が
図10に示されるものとすると、例えば、ハウジング12の+X方向の端部から第1の電子機器E1までの間隔ΔXおよびハウジング12の−Z方向の端部から第2の電子機器E2までの間隔ΔZの範囲内で、第1の電子機器E1および第2の電子機器E2がX方向およびZ方向に位置ずれを生じても第1の端子T1と第2の端子T2とを接続することが可能となる。
【0036】
また、
図11に示されるように、第1の端子T1のY方向の幅が中継部材13の第1の腕部16のY方向の幅よりもΔY1だけ小さいものとすると、第1の電子機器E1のY方向の位置が距離ΔY1の範囲内でずれても、第1の端子T1と中継部材13の第1の腕部16を接続することができる。同様に、
図12に示されるように、第2の端子T2のY方向の幅が中継部材13の第2の腕部17のY方向の幅よりもΔY2だけ小さいものとすると、第2の電子機器E2のY方向の位置が距離ΔY2の範囲内でずれても、第2の端子T2と中継部材13の第2の腕部17を接続することができる。
【0037】
なお、上記の実施の形態1では、ロック部材26が金属チップ30と金属片31を有し、ハウジング12へのロック部材26の挿入時並びに第1の端子T1と第2の端子T2の接続時に第1の板バネ21の先端部21Bおよび第2の板バネ23の先端部23Bが金属チップ30および金属片31に接触するので、棒状部材29が樹脂等の絶縁体から形成されていても、ロック部材26の耐久性が低下することが抑制され、長期間にわたって信頼性の高い動作を行うことができる。
また、絶縁体からなる棒状部材29を用いずに、全体が金属から形成されたロック部材26を使用することもできる。
【0038】
第1の板バネ21の先端部21Bは平行端面21Cの両側に一対の傾斜端面21Dを有し、同様に、第2の板バネ23の先端部23Bは平行端面23Cの両側に一対の傾斜端面23Dを有していたが、これに限るものではなく、少なくとも平行端面21Cおよび23Cのロック部材26が挿入される側に隣接して1つの傾斜端面21Dおよび23Dが形成されていればよい。
また、第1の端子T1と第2の端子T2が互いに直交する方向に延びていたが、これに限るものではなく、90度以外の交差角度で互いに交差する方向に延びていてもよい。ただし、この場合、中継部材13の第1の腕部16と第2の腕部17を、第1の端子T1および第2の端子T2の交差角度に合わせた角度に形成する必要がある。
【0039】
実施の形態2
図13に、実施の形態2に係る中継コネクタ11Aを示す。実施の形態1の中継コネクタ11は、単芯型のコネクタであったが、この中継コネクタ11Aは、6芯構成としたもので、互いに平行な6本の第1の端子T1からなる第1の端子群G1と、第1の端子T1に対して直交する方向に延び且つ互いに平行な6本の第2の端子T2からなる第2の端子群G2を接続する、いわゆるアングルタイプのコネクタである。
【0040】
中継コネクタ11Aは、絶縁材料からなるハウジング32を有し、このハウジング32の内部に5つの仕切板33により6個の中継部材収容部34が配列形成されている。また、ハウジング32には、第1の端子群G1を受け入れる第1の端子群受け入れ口35と、第2の端子群G2を受け入れる第2の端子群受け入れ口36とが形成されている。
ここで、便宜上、第1の端子群受け入れ口35が向いた方向を+X方向、第2の端子群受け入れ口36が向いた方向を−Z方向、6個の中継部材収容部34が配列された方向をY方向と呼ぶものとする。
【0041】
図14に示されるように、ハウジング32の6個の中継部材収容部34に6個の中継部材37がそれぞれ収容されている。
また、ハウジング32の側部には、挿入孔38が形成されており、この挿入孔38を通してハウジング32の内部に挿入または引き抜き可能に角柱形状のロック部材39が配置されている。
6個の中継部材37は、それぞれ対応する中継部材収容部34に収容されることでY方向に配列され、ロック部材39は、中継部材37の配列方向であるY方向に沿って挿入または引き抜かれる。
【0042】
図15に示されるように、それぞれの中継部材37は、
図2に示した実施の形態1における中継部材13と同様の構成を有し、+X方向に沿って延びる第1の腕部40と−Z方向に沿って延びる第2の腕部41を有している。
中継部材37には、第1の腕部40の先端部近傍においてY方向に延びる回転軸42の周りに回転可能で且つ第1の腕部40に対向するように第1の板バネ43が取り付けられると共に、第2の腕部41の先端部近傍においてY方向に延びる回転軸44の周りに回転可能で且つ第2の腕部41に対向するように第2の板バネ45が取り付けられている。
【0043】
図16(A)に示されるように、第1の板バネ43は、実施の形態1における第1の板バネ21と同様の構成を有しており、中央に直線状の頂部43Aが形成され、一端部に回転軸42が形成され、他端部に頂部43Aとは反対方向に突出する先端部43Bを有している。先端部43Bは、頂部43Aおよび回転軸42と平行な方向に延びる平行端面43Cと、平行端面43Cの両側に連続して形成された一対の傾斜端面43Dとを有している。
一方、第2の板バネ45も、
図16(B)に示されるように、第1の板バネ43と同様の構成を有しており、中央に直線状の頂部45Aが形成され、一端部に回転軸44が形成され、他端部に頂部45Aとは反対方向に突出する先端部45Bを有している。先端部45Bは、頂部45Aおよび回転軸44と平行な方向に延びる平行端面45Cと、平行端面45Cの両側に連続して形成された一対の傾斜端面45Dとを有している。
ただし、第1の板バネ43における先端部43Bは、第2の板バネ45の先端部45Bよりも長く形成されている。
【0044】
図17に示されるように、ロック部材39は、絶縁体から形成されたほぼ四角柱形状の棒状部材46と、棒状部材46の先端に固定されたテーパ状の金属チップ30と、棒状部材46の側面上に配置され固定された6個の金属片31とを有している。また、棒状部材46の後端の外周部に、環状のロック部材用防水部材47が配置されている。
図18に示されるように、金属チップ30および金属片31は、実施の形態1の中継コネクタ11におけるロック部材26に用いられたものと同一である。6個の金属片31は、ハウジング32に保持された6個の中継部材37にそれぞれ対応し、6個の中継部材37の配列間隔と同じ間隔で棒状部材46の側面上に配列されている。
また、棒状部材46の後端の外周部に環状の溝48が形成されており、ロック部材用防水部材47は溝48に嵌め込まれている。
【0045】
なお、
図19に示されるように、実施の形態1の中継コネクタ11と同様に、ハウジング32の内部には、それぞれの中継部材37に対応して、+Z方向を向いた第1の対向部49と−X方向を向いた第2の対向部50が形成されており、第1の対向部49が、第1の板バネ43の回転方向において第1の板バネ43の先端部43Bに対向し、第2の対向部50が、第2の板バネ45の回転方向において第2の板バネ45の先端部45Bに対向している。
【0046】
そして、Y方向に配列された6個の中継部材37にそれぞれ対応する6つの第1の対向部49が+Z方向を向いた同一の面上に形成されると共に、6個の中継部材37にそれぞれ対応する6つの第2の対向部50が−X方向を向いた同一の面上に形成されている。すなわち、ハウジング32は、+Z方向を向き且つY方向に延びる第1の対向面51と−X方向を向き且つY方向に延びる第2の対向面52を有し、第1の対向面51の上に6つの第1の対向部49が配列して形成されると共に、第2の対向面52の上に6つの第2の対向部50が配列して形成されている。
挿入孔38は、第1の対向面51および第2の対向面52に接続され、第1の対向面51および第2の対向面52の−Y方向の端部が挿入孔38の一部の開口縁を形成しているものとする。
【0047】
図19に示されるように、それぞれの中継部材37の第1の腕部40と第1の板バネ43との間に対応する第1の端子T1を挿入すると共に第2の腕部41と第2の板バネ45との間に対応する第2の端子T2を挿入した状態で、ロック部材39を挿入孔38から第1の対向面51および第2の対向面52に沿ってハウジング32内に挿入すると、
図20(A)に示されるように、ロック部材39の金属チップ30の第1の傾斜面30Aが、まず、挿入孔38にもっとも近い中継部材37に保持され且つ第1の押しつけ解除位置に位置する第1の板バネ43の先端部43Bの傾斜端面43Dに接触して、平行端面43Cがロック部材39の側面に乗り上げる第1の押しつけ位置まで第1の板バネ43を回転させる。同時に、
図20(B)に示されるように、ロック部材39の金属チップ30の第2の傾斜面30Bが、挿入孔38にもっとも近い中継部材37に保持され且つ第2の押しつけ解除位置に位置する第2の板バネ45の先端部45Bの傾斜端面45Dに接触して、平行端面45Cがロック部材39の側面に乗り上げる第2の押しつけ位置まで第2の板バネ45を回転させる。
【0048】
その後、さらにロック部材39を挿入すると、金属チップ30の第1の傾斜面30Aおよび第2の傾斜面30Bが、次の中継部材37に保持されている第1の板バネ43および第2の板バネ45に接触して、これらの第1の板バネ43および第2の板バネ45をそれぞれ第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に回転させる。
【0049】
このようにして、ロック部材39の後端に配置されたロック部材用防水部材47がハウジング32の挿入孔38に接触するまで、ロック部材39をハウジング32内に押し込むと、
図21に示されるように、ロック部材39の先端がハウジング32内のもっとも奥に配置された中継部材37にまで至り、Y方向に配列された6個の中継部材37に保持されているすべての第1の板バネ43および第2の板バネ45が順次第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置し、それぞれの第1の板バネ43の先端部43Bの平行端面43Cがロック部材39の対応する金属片31の表面上に位置すると共に、それぞれの第2の板バネ45の先端部45Bの平行端面45Cがロック部材39の対応する金属片31の表面上に位置することとなる。なお、ロック部材39の棒状部材46は、絶縁体から形成されているため、互いに異なる中継部材37に保持された第1の板バネ43および第2の板バネ45同士が電気導通することが回避される。
【0050】
このとき、
図19に示されるように、それぞれの中継部材37において、第1の板バネ43の頂部43Aにより第1の端子T1が第1の腕部40に向けて押しつけられると共に第2の板バネ45の頂部45Aにより第2の端子T2が第2の腕部41に向けて押しつけられ、−X方向に延びる第1の端子T1と+Z方向に延びる第2の端子T2とが、中継部材37を介して互いに接続される。
なお、第1の板バネ43が第1の押しつけ解除位置にあるときには、第1の板バネ43の頂部43Aと第1の腕部40との間に第1の端子T1の厚さよりも大きな間隙が形成され、第2の板バネ45が第2の押しつけ解除位置にあるときには、第2の板バネ45の頂部45Aと第2の腕部41との間に第2の端子T2の厚さよりも大きな間隙が形成されており、実質的に0に等しい挿入力で第1の端子T1および第2の端子T2を中継コネクタ11Aに挿入することができる。
【0051】
この実施の形態2に係る中継コネクタ11Aにおいては、1本のロック部材39を挿入孔38からハウジング32内に挿入するだけで、Y方向に配列された6個の中継部材37に保持されているすべての第1の板バネ43および第2の板バネ45を順次第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置させて6本の第1の端子T1と6本の第2の端子T2の接続を行うことが可能となる。
【0052】
なお、6個の中継部材37に保持されているすべての第1の板バネ43および第2の板バネ45を同時に第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置まで回転させるのではなく、ロック部材39の挿入に伴って1組ずつ、第1の板バネ43および第2の板バネ45を第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置させるので、小さな操作力でロック部材39の挿入を行うことができる。
また、ハウジング32からロック部材39を引き抜けば、すべての第1の板バネ43および第2の板バネ45は、それぞれ回転軸42および44を中心として自由に回転可能な状態となるので、6本の第1の端子T1と6本の第2の端子T2をこの中継コネクタ11Aから容易に取り外すことができる。
【0053】
実施の形態1に係る中継コネクタ11と同様に、それぞれの第1の端子T1と第2の端子T2が許容範囲内でX方向、Y方向およびZ方向に位置ずれを生じても、6本の第1の端子T1と6本の第2の端子T2を接続することが可能となる。
第1の板バネ43の先端部43Bは平行端面43Cの両側に一対の傾斜端面43Dを有し、同様に、第2の板バネ45の先端部45Bは平行端面45Cの両側に一対の傾斜端面45Dを有していたが、これに限るものではなく、少なくとも平行端面43Cおよび45Cのロック部材39が挿入される側、すなわち、−Y方向側に隣接して1つの傾斜端面43Dおよび45Dが形成されていればよい。
また、実施の形態2に係る中継コネクタ11Aは、6芯構成のコネクタであったが、これに限るものではなく、同様にして、6芯以外の複数芯の構成とすることもできる。
【0054】
なお、上記の実施の形態2では、第1の板バネ43における先端部43Bが、第2の板バネ45の先端部45Bよりも長く形成されているので、ハウジング32の第1の対向面51および第2の対向面52を中継部材37の第1の腕部40から−Z方向に離して配置することができる。これにより、
図14に示されるように、−Z方向に延びるハウジング32の部分の外周部に互いにZ方向に間隔を隔てて2本の環状の防水用溝53および54を形成すると共にこれらの防水用溝53および54に防水部材を嵌め込んでそれぞれ防水構造を形成し、これらの防水構造の間に挿入孔38を配置することができる。
また、ロック部材39をハウジング32内に挿入すると、ロック部材39の後端に配置されているロック部材用防水部材47がハウジング32の挿入孔38に嵌め込まれることにより、挿入孔38における防水がなされるように構成されている。
【0055】
実施の形態3
図22に、実施の形態3に係る電子機器組み立て体を示す。電子機器組み立て体は、第1の電子機器となるパワーコントロールユニットPと、パワーコントロールユニットPから電源の供給を受ける第2の電子機器となるモータユニットMとを、実施の形態2に係る中継コネクタ11Aにより接続したものである。
電子機器組み立て体の接続前の状態を
図23に示す。パワーコントロールユニットPは、電源供給のためのインバータ装置等を備えたもので、外装カバー60を有し、パワーコントロールユニットPに中継コネクタ11Aが取り付けられている。また、モータユニットMには、パワーコントロールユニットPに対向する面上に環状の枠部材61が配置されると共に、パワーコントロールユニットPに向かって延びる6本の第2の端子T2が枠部材61の内側に埋め込まれるように配列されている。
【0056】
ここで、便宜上、第2の端子T2が延びる方向を+Z方向、6本の第2の端子T2が配列された方向をY方向、Z方向およびY方向に直交する方向をX方向と呼ぶものとする。なお、中継コネクタ11Aは、
図13に示した姿勢と同様に、第1の端子群受け入れ口35が+X方向を向き、第2の端子群受け入れ口36が−Z方向を向き、6個の中継部材収容部34がY方向に配列されている。
【0057】
パワーコントロールユニットPは、外装カバー60の内部に、
図24に示されるように、トレイ62と、トレイ62の上に配置された内部筐体63を有している。また、
図25に示されるように、内部筐体63に補助コネクタ64を介して中継コネクタ11Aが取り付けられている。
図26に示されるように、内部筐体63の+X方向の端部には、それぞれ−Z方向に延び且つY方向に配列された6本の内部端子65が配置されている。それぞれの内部端子65は、
図27に示されるように、U字形状を有し、先端部65Aが内部筐体63から−Z方向に露出している。
図28に示されるように、トレイ62は、底部にY方向に延びる開口部66が形成されたトレイ本体67と、トレイ本体67の開口部66に嵌め合わされ且つゴムからなる環状のスリーブ68と、スリーブ68をトレイ本体67の開口部66に押さえ込んで固定するための環状のスリーブ押さえ69とを有している。
【0058】
補助コネクタ64は、
図29に示されるように、L字形状のハウジング70に6本の端子部材71がY方向に配列された状態で保持された、6芯構成の、いわゆるアングルタイプのコネクタである。ハウジング70の−X方向の端部には、Y方向に沿って延びる溝72が形成されている。また、6本の端子部材71は、それぞれ−X方向に延びる第1の端子T1を有し、6本の第1の端子T1が、中継コネクタ11Aの第1の端子群受け入れ口35から中継コネクタ11A内に挿入される。
【0059】
図30に示されるように、端子部材71は、−X方向に延びる第1の端子T1と、第1の端子T1の+X方向の端部から直角に屈曲して+Z方向に延びる内部端子受け入れ部73から構成されている。内部端子受け入れ部73内には、
図31に示されるように、板バネ74が配置されており、パワーコントロールユニットPに取り付けられた内部端子65が+Z方向から内部端子受け入れ部73内に挿入されると、板バネ74により内部端子65が内部端子受け入れ部73内の壁面に押しつけられ、内部端子65と第1の端子T1とが接続されるように構成されている。
【0060】
また、
図32に示されるように、中継コネクタ11Aのハウジング32には、第1の端子群受け入れ口35の+Z方向側の縁部に−Z方向に突出する爪部75が形成されており、補助コネクタ64の6本の第1の端子T1を中継コネクタ11A内に挿入したときに、補助コネクタ64のハウジング70の−X方向の端部が中継コネクタ11Aの第1の端子群受け入れ口35に挿入され、爪部75が補助コネクタ64のハウジング70の溝72に引っかかることで、中継コネクタ11Aから補助コネクタ64が抜けることが防止されている。
【0061】
そして、
図33に示されるように、パワーコントロールユニットPの内部端子65に補助コネクタ64が接続され、補助コネクタ64に中継コネクタ11Aが接続され、中継コネクタ11Aの−Z方向の端部が、トレイ本体67の開口部66を通して−Z方向へ突出している。中継コネクタ11Aの防水用溝53に環状のスリーブ68の裾部分が嵌め込まれることで、パワーコントロールユニットP側の防水構造が形成され、中継コネクタ11Aの防水用溝54に環状の防水部材76が嵌め込まれた状態で中継コネクタ11Aの−Z方向の端部が、モータユニットMの枠部材61に圧入されることで、モータユニットM側の防水構造が形成されている。
【0062】
なお、このようにパワーコントロールユニットPとモータユニットMとを組み合わせてパワーコントロールユニットP側の防水構造およびモータユニットM側の防水構造を形成する際には、中継コネクタ11Aにロック部材39が挿入されておらず、中継コネクタ11Aのすべての第1の板バネ43および第2の板バネ45は自由に回転可能な状態にある。このため、実質的に0に等しい挿入力で第1の端子T1および第2の端子T2を中継コネクタ11Aに挿入することができる。
【0063】
パワーコントロールユニットPとモータユニットMの双方の位置が固定されたところで、中継コネクタ11Aにロック部材39が挿入される。これにより、中継コネクタ11Aのすべての第1の板バネ43および第2の板バネ45が順次第1の押しつけ位置および第2の押しつけ位置に位置し、−X方向に延びる補助コネクタ64の6本の第1の端子T1と+Z方向に延びるモータユニットMの6本の第2の端子T2とが、中継コネクタ11Aを介して互いに接続される。その結果、パワーコントロールユニットPの6本の内部端子65が、補助コネクタ64および中継コネクタ11Aを介してモータユニットMの6本の第2の端子T2に接続され、パワーコントロールユニットPからモータユニットMに電源の供給を行うことが可能となる。
【0064】
この電子機器組み立て体では、中継コネクタ11Aを用いているので、それぞれの第1の端子T1と第2の端子T2が許容範囲内でX方向、Y方向およびZ方向に位置ずれを生じても、6本の第1の端子T1と6本の第2の端子T2を接続することが可能となる。すなわち、パワーコントロールユニットPとモータユニットMの相対位置が許容範囲内でX方向、Y方向およびZ方向にずれても、中継コネクタ11Aによりその位置ずれを吸収して、パワーコントロールユニットPの6本の内部端子65とモータユニットMの6本の第2の端子T2を電気的に接続することが可能となる。
【0065】
なお、この電子機器組み立て体において、補助コネクタ64は、−Z方向に延びるパワーコントロールユニットPの内部端子65の方向を−X方向に変換して第1の端子T1とすることで、中継コネクタ11Aに挿入可能とするものであり、仮に、内部端子65がパワーコントロールユニットPから−X方向に延びていれば、補助コネクタ64を介さずに、内部端子65を中継コネクタ11Aに直接挿入することができる。
また、パワーコントロールユニットPとモータユニットMに限らず、各種の電子機器を第1および第2の電子機器として、中継コネクタ11Aにより接続することができる。
【0066】
実施の形態4
上記の実施の形態3における補助コネクタ64に用いられた端子部材71の代わりに、
図34に示される端子部材81を用いることもできる。
この端子部材81は、−X方向に延びる第1の端子T1と、+Z方向に延びる内部端子受け入れ部82とを、可撓性を有する電線束83を介して接続してものである。電線束83は、多数の細径の電線を束ねたもので、
図35に示されるように、X方向、Y方向およびZ方向に可撓性を有しながらも、大電流を流すことができる。
【0067】
なお、内部端子受け入れ部82は、端子部材71の内部端子受け入れ部73と同様に、内部に板バネを有し、パワーコントロールユニットPに取り付けられた内部端子65が+Z方向から内部端子受け入れ部82内に挿入されたときに、内部の板バネにより内部端子65を内部端子受け入れ部82内の壁面に押しつけて、内部端子65と第1の端子T1とを接続するように構成されている。
【0068】
このような端子部材81を用いた補助コネクタ64と中継コネクタ11Aとを介してパワーコントロールユニットPとモータユニットMを連結すれば、中継コネクタ11Aによる位置ずれの吸収だけでなく、端子部材81によっても位置ずれを吸収することができ、位置ずれに対する許容範囲を拡げることが可能となる。
なお、上記の端子部材81は、電線束83を介して第1の端子T1を第1の電子機器であるパワーコントロールユニットPに接続するものであるが、第2の端子T2に電線束83を接続し、電線束83を介して第2の端子T2を第2の電子機器であるモータユニットMに接続するように構成することもできる。このようにしても、パワーコントロールユニットPとモータユニットMの位置ずれに対する許容範囲を拡げることが可能となる。