特許第6247619号(P6247619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247619
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20171204BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A61B5/14 322
   A61B5/10 310A
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-192209(P2014-192209)
(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-59736(P2016-59736A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】須藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】松野 孝也
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−150660(JP,A)
【文献】 特開2006−263051(JP,A)
【文献】 特開2010−190861(JP,A)
【文献】 特開2013−022360(JP,A)
【文献】 特開2008−043356(JP,A)
【文献】 特開2011−193886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/22
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのSpOを間欠的に測定するSpO測定部と、
前記ユーザの動き情報を測定する動き情報測定部と、
前記動き情報から特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量に基づいて、前記ユーザの行動状態を判定する行動状態判定部と、
前記行動状態に基づいて、前記SpO測定部の測定間隔を制御する測定間隔制御部と、
を備える
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記測定間隔制御部は、前記ユーザが睡眠中の場合、前記測定間隔を10秒以下に設定する
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記動き情報測定部は、加速度センサである
請求項1又は請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記特徴量は、体動量である
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記特徴量及び前記行動状態の少なくとも一方に基づいて、前記ユーザのSpOの基準値を取得する基準値取得部を更に備える
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記基準値取得部は、前記ユーザの覚醒中及び入眠後の少なくとも一方において、前記基準値を取得する
請求項5に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記ユーザの脈波を間欠的に測定する脈波測定部を更に備える
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記特徴量及び前記行動状態の少なくとも一方に基づいて、測定対象を選択する測定対象選択部を更に備える
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
伸縮自在な蛇腹状に形成された蛇腹部分を有する環状のバンド部と、
前記バンド部の内周側に設けられたSpOセンサと、
動き情報を測定する動き情報センサと、
を備える
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
前記蛇腹部分は、伸縮方向に対して傾斜して設けられた配線を有する
請求項9に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、生体情報測定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関などでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や呼吸不全(喘息など)を発見するために、動脈血酸素飽和度(SpO)の測定が行われている。近年、SpOを測定する測定装置(パルスオキシメータ)の小型化が進んでおり、測定装置を個人で日常的に継続して利用したいというニーズが高まっている。
【0003】
このニーズに応えるため、SpOを測定可能な指輪型などのウェアラブルデバイスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−330708号公報
【特許文献2】特開2004−121864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体情報測定装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る生体情報測定装置は、SpO測定部と、動き情報測定部と、特徴量算出部と、行動状態判定部と、測定間隔制御部と、を備える。SpO測定部は、ユーザのSpOを間欠的に測定する。動き情報測定部は、ユーザの動き情報を測定する。特徴量算出部は、動き情報から特徴量を算出する。行動状態判定部は、特徴量に基づいて、ユーザの行動状態を判定する。測定間隔制御部は、行動状態に基づいて、SpO測定部の測定間隔を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る生体情報測定装置の機能構成を示す概略図。
図2図1の生体情報測定装置のハードウェア構成を示す概略図。
図3図1の生体情報測定装置の動作を示すフローチャート。
図4図1の生体情報測定装置の一例を示す概略図。
図5図1の生体情報測定装置の一例を示す概略図。
図6図1の生体情報測定装置の一例を示す概略図。
図7】第2実施形態に係る生体情報測定装置の機能構成を示す概略図。
図8】基準値取得期間の一例を説明する図。
図9】基準値取得期間の他の例を説明する図。
図10図7の生体情報測定装置の動作を示すフローチャート。
図11図7の生体情報測定装置による測定結果の一例を示す図。
図12】第3実施形態に係る生体情報測定装置の機能構成を示す図。
図13】測定対象の判定方法の一例を説明する図。
図14図12の生体情報測定装置の動作を示すフローチャート図。
図15】第4実施形態に係る生体情報測定装置のハードウェア構成を示す概略図。
図16】SpOの測定結果の一例を示す図。
図17】蛇腹部分の配線を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る生体情報測定装置(以下、「測定装置」という)及び生体情報測定プログラム(以下、「測定プログラム」という)について、図1図6を参照して説明する。
【0010】
まず、本実施形態に係る測定装置の機能構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る測定装置の機能構成を示す概略図である。図1に示すように、この測定装置は、動き情報測定部1と、特徴量算出部2と、行動状態判定部3と、測定間隔制御部4と、SpO測定部5と、を備える。
【0011】
動き情報測定部1は、ユーザの動き情報を測定する。動き情報は、例えば、加速度や角速度であるが、これに限られない。動き情報測定部1は、これらの動き情報を検出する加速度センサや角速度センサ(ジャイロセンサ)などの動き情報センサを含み、動き情報センサの出力信号から、動き情報を算出する。動き情報測定部1は、測定装置の動作中に、常時或いは10秒以下の時間間隔で間欠的に動作し、動き情報を測定する。また、動き情報測定部1が測定する動き情報は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0012】
特徴量算出部2は、動き情報測定部1が測定した動き情報から、1つ又は複数の特徴量を算出する。特徴量は、例えば、体動量であるが、これに限られない。
【0013】
行動状態判定部3は、特徴量算出部2が算出した特徴量に基づいて、ユーザの行動状態を判定する。行動状態判定部2が判定する行動状態には、例えば、睡眠、覚醒、完全静止(測定装置を非装着)、歩行、走行、電車・車・バスに乗車、自転車を運転、飛行機に搭乗、乗船、水泳、テニス、個人競技スポーツ、団体競技スポーツ、食事、飲食、デスクワーク、仰臥、及び着席が含まれるが、これに限られない。
【0014】
測定間隔制御部4は、行動状態判定部3が判定したユーザの行動状態に基づいて、SpO測定部5によるSpOの測定間隔を制御する。測定間隔の制御方法については、後述する。
【0015】
SpO測定部5は、ユーザのSpOを、所定の時間間隔で間欠的に測定する。SpO測定部5の測定間隔は、上述の通り、測定間隔制御部4により制御される。SpO測定部5は、SpOセンサを含み、SpOセンサの出力信号からSpOを算出する。
【0016】
SpOセンサは、赤色光(R光)を発するR光源と、赤外光(IR光)を発するIR光源と、受光部と、を備える。R光源及びIR光源は、例えば、LEDであり、SpOの測定部分(ユーザの腕や指など)にR光及びIR光をそれぞれ照射する。受光部は、例えば、光電素子であり、測定部分を透過した、或いは測定部分に反射された光を受光し、その強度に応じた信号を出力する。
【0017】
酸素と結びついたヘモグロビン(HbO2)と、酸素と結びついていないヘモグロビン(Hb)とは、R光及びIR光に対する吸光度が異なる。このため、SpO測定部5は、受光部の出力信号から、R光とIR光の減光度の比を求めることにより、SpOを算出することができる。
【0018】
次に、本実施形態に係る測定装置のハードウェア構成について、図2を参照して説明する。本実施形態に係る測定装置は、コンピュータ装置100を備える。動き情報センサやSpOセンサなどの出力信号は、コンピュータ装置100に入力され、所定の処理を施される。
【0019】
図2に示すように、コンピュータ装置100は、CPU(中央演算装置)101と、入力インターフェース102と、表示装置103と、通信装置104と、主記憶装置105と、外部記憶装置106とを備え、これらはバス107により相互に接続されている。
【0020】
CPU101は、主記憶装置105上で、測定プログラムを実行する。CPU101が、測定プログラムを実行することにより、図1を用いて説明した、上述の各機能構成が実現される。
【0021】
入力インターフェース102は、キーボード、マウス、及びタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、測定装置に入力する。入力インターフェース102の方式は、例えば、USBやイーサネット(登録商標)であるが、これに限られない。動き情報センサやSpOセンサは、この入力インターフェース102を介してコンピュータ装置100に接続されてもよい。
【0022】
表示装置103は、測定装置から出力される映像信号を表示する。表示装置は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、及びPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。測定されたSpOや測定時刻などの情報は、この表示装置103により表示することができる。
【0023】
通信装置104は、測定装置が外部装置と無線又は有線で通信するための装置である。測定されたSpOや測定時刻などの情報は、この通信装置104を介して外部装置に送信することができる。外部装置は、例えば、スマートフォンやサーバであるが、これに限られない。動き情報センサやSpOセンサの出力信号は、通信装置104を介してコンピュータ装置100に入力されてもよい。
【0024】
主記憶装置105は、測定プログラムの実行の際に、測定プログラム、測定プログラムの実行に必要なデータ、及び測定プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。測定プログラムは、主記憶装置105上で展開され、実行される。主記憶装置105は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。
【0025】
外部記憶装置106は、測定プログラム、測定プログラムの実行に必要なデータ、及び測定プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらのプログラムやデータは、測定プログラムの実行の際に、主記憶装置105に読み出される。外部記憶装置106は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。
【0026】
なお、測定プログラムは、コンピュータ装置100に予めインストールされていてもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、測定プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0027】
次に、本実施形態に係る測定装置の動作について、図3を参照して具体的に説明する。以下では、動き情報は加速度であり、特徴量は体動量であり、行動状態は睡眠及び覚醒の2つであるものとするが、上述の通り、動き情報、体動量及び行動状態は、これに限られない。図3は、本実施形態に係る測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0028】
図3に示すように、測定装置による測定処理が開始すると、ステップS1において、動き情報測定部1は、ユーザの加速度を測定する。すなわち、動き情報測定部1は、加速度センサの出力信号から、ユーザの加速度を算出する。加速度センサは、例えば、1軸、2軸、3軸、…n軸(n:自然数)の加速度センサであるが、これに限られない。なお、測定装置による測定処理は、例えば、測定装置の電源がオンになったタイミングや、ユーザからの開始信号に応じて開始される。
【0029】
ステップS2において、特徴量算出部2は、動作情報測定部1が測定した加速度から、ユーザの体動量を算出する。特徴量算出部2は、体動量として、例えば、2軸や3軸等の合成加速度や、合成加速度の平均値を算出する。
【0030】
ステップS3において、行動状態判定部3は、特徴量算出部2が算出した体動量から、ユーザの行動状態を判定する。すなわち、ユーザが睡眠中であるか、覚醒中であるか判定する。行動状態判定部3は、例えば、体動量の最大値、平均値、積分値、及びパターンなどを用いることにより、ユーザが睡眠中であるか判定することができる。
【0031】
行動状態判定部3が、ユーザは覚醒中と判定した場合(ステップS4のNO)、処理はステップS5に進み、ユーザは睡眠中と判定した場合(ステップS4のYES)、処理はステップS6に進む。
【0032】
ユーザが覚醒中の場合、ステップS5において、測定間隔制御部4は、SpO測定部5の測定間隔を、覚醒時の測定間隔に設定する。覚醒時の測定間隔は、例えば、1分以上60以下の任意の間隔である。
【0033】
測定間隔制御部4による測定間隔の制御は、SpOセンサの検出間隔を制御することにより行われてもよいし、SpOセンサの出力信号からSpOを算出する間隔を制御することにより行われてもよい。
【0034】
これに対して、ユーザが睡眠中の場合、ステップS6において、測定間隔制御部4は、SpO測定部5の測定間隔を、睡眠時の測定間隔に設定する。睡眠時の測定間隔は、覚醒時の測定間隔より短い間隔であり、1秒以上10秒以下の任意の間隔である。睡眠時の測定間隔をこのように設定することにより、SASを精度よく診断することができる。理由は以下の通りである。
【0035】
SASの診断方法として、無呼吸・低呼吸指数(AHI)を利用する方法が知られている。AHIとは、1時間あたりの無呼吸及び低呼吸の合計回数のことである。無呼吸とは、呼吸が10秒以上停止することであり、低呼吸とは、3%以上のSpOの低下が10秒以上続くことである。無呼吸及び低呼吸は、SpOを測定することにより検出することができる。
【0036】
睡眠時の測定間隔が10秒より長い場合、測定の待機期間中に無呼吸や低呼吸が発生し、これらを検出できない可能性がある。これに対して、睡眠時の測定間隔が10秒以下の場合、無呼吸及び低呼吸の発生中に少なくとも1回はSpOを測定することができる。すなわち、無呼吸及び低呼吸の検出漏れを抑制することができる。このため、睡眠時の測定間隔が10秒以下に設定することにより、AHIを正確に測定し、SASを精度よく診断することができる。
【0037】
なお、睡眠時の測定間隔は、例えば、10秒に設定されるのが好ましい。ここにおける測定間隔はSpOセンサ非動作時間であり、SpOを算出するためにSpOセンサが動作している時間ではない。SpOセンサ動作時間はSpOを算出するため、例えば5秒間動作しその間の脈拍を用いてSpOを算出する。これにより、SASの診断精度を向上させるとともに、測定装置の消費電力を低減することができる。
【0038】
SpOセンサの動作時間(測定時間)と非動作時間(測定間隔)の別の設定方法として以下の方法がある。まず、装着者の所定時間当たりの脈拍数から、当該装着者の連続する3〜7拍分の時間を算出し、これを動作時間とするとともに、動作時間の1.5倍から2.5倍の時間を非動作時間とする。これにより、装着者の個体差を加味した精度良い測定が可能となる。
【0039】
ステップS5又はステップS6において、測定間隔制御部4が測定間隔を設定した後、処理はステップS7に進む。
【0040】
ステップS7において、SpO測定部5は、現在時刻がSpOの測定タイミングであるか判定する。測定タイミングである場合(ステップS7のYES)、処理はステップS8に進み、測定タイミングでない場合(ステップS7のNO)、処理はステップS9に進む。
【0041】
測定タイミングである場合、ステップS8において、SpO測定部5は、SpOを測定する。すなわち、SpO測定部5は、SpOセンサにより測定部分にR光及びIR光を照射し、これらの透過光又は反射光を受光した受光部からの信号を取得し、取得した信号からSpOを算出する。
【0042】
ステップS8の後、又はステップS7において測定タイミングでなかった場合、処理はステップS9に進む。
【0043】
ステップS9において、測定装置は、測定処理を終了するか判定する。測定処理を終了する場合(ステップS9のYES)、測定装置は上述の各機能構成の動作を停止させ、測定処理を終了する。測定装置による測定処理は、例えば、測定装置の電源がオフになったタイミングや、ユーザからの終了信号に応じて終了される。
【0044】
これに対して、測定処理を終了しない場合(ステップS9のNO)、処理はステップS1に戻る。以降、測定装置は、測定処理が終了するまで、上述のステップS1〜ステップS9の処理を繰り返す。
【0045】
以上説明した通り、本実施形態に係る測定装置は、SpOを間欠的に測定するため、消費電力を低減することができる。これにより、測定装置の連続駆動時間の長期化や、バッテリーの小型化が可能となる。
【0046】
また、この測定装置は、ユーザの睡眠時に10秒以下の測定間隔でSpOを測定するため、睡眠中に発生した無呼吸や低呼吸をもれなく検出することができる。したがって、この測定装置を用いることにより、SASを精度よく診断することができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る測定装置は、単一のウェアラブルデバイスとして構成されてもよいし、有線又は無線で接続された複数のデバイスからなるシステムとして構成されてもよい。
【0048】
測定装置を複数のデバイスからなるシステムとして構成する場合、このシステムは、例えば、センサユニット20と、情報処理端末30と、により構成することができる。センサユニット20は、例えば、腕輪型、指輪型、又はシール型のウェアラブルデバイスにより構成される。また、情報処理端末30は、例えば、センサハブ、スマートフォン、又は専用端末により構成される。
【0049】
図4に示すように、センサユニット20は、動き情報測定部1と、特徴量算出部2と、SpO測定部5とを備えるのが好ましい。また、情報処理端末30は、行動状態判定部3と、測定間隔制御部4とを備えるのが好ましい。この場合、情報処理端末30は、センサユニット20から受信した特徴量に基づいて、ユーザの行動状態を判定し、行動状態に基づいて、SpOの測定間隔の制御信号を生成する。そして、センサユニット20は、情報処理端末30から受信した制御信号によって、SpOの測定間隔を制御される。このような構成により、センサユニット20の消費電力を低減することができる。
【0050】
また、このシステムは、図5に示すように、動き情報測定部1及び特徴量算出部2を備える第1のセンサユニット20aと、SpO測定部5を備える第2のセンサユニット20bと、行動状態判定部3及び測定間隔制御部4を備える情報処理端末30と、により構成してもよい。このようにすれば、動き情報測定部1と、SpO測定部5と、を各測定に適した箇所に装着することが可能となる。
【0051】
さらに、図6に示すように、動き情報測定部1と、特徴量算出部2と、行動状態判定部3と、測定間隔制御部4と、を備える情報処理端末30と、SpO測定部5を備えるセンサユニット20と、により、このシステムを実現することも可能である。
【0052】
なお、情報処理端末30は、行動状態判定部3と、測定間隔制御部4との各機能構成を実現するプログラムを、予めインストールされていてもよいし、インターネット経由でダウンロードしてもよい。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る測定装置及び測定プログラムについて、図7図11を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る測定装置の機能構成を示す概略図である。図7に示すように、この測定装置は、基準値取得部6を更に備える。基準値取得部6の機能構成は、コンピュータ装置100が測定プログラムを実行することにより実現される。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0054】
基準値取得部6は、ユーザのSpOの基準値を取得する。SpOの基準値とは、ユーザの平常時のSpOである。無呼吸や低呼吸を検出する際に利用されるSpOの低下率は、この基準値に対する低下率として算出することができる。
【0055】
基準値取得部6は、基準値取得期間に測定されたSpOを基準値として取得する。基準値取得期間とは、基準値の取得に適した期間として予め設定された期間である。基準値取得期間は、ユーザの行動状態及び特徴量の少なくとも一方に基づいて設定される。
【0056】
基準値取得期間は、例えば、行動状態判定部3によりユーザの行動状態が睡眠と判定された期間である。これは、ユーザの睡眠中は、ユーザの体動が少なく、基準値の取得に適するためである。
【0057】
また、基準値取得期間は、行動状態が睡眠と判定された期間のうち、入眠後の1回目の浅い眠りの期間であるのが好ましい。これは、深い眠りの期間(図8において丸で囲んだ期間)には、SpOが低下しやすいのに対して、入眠後の1回目の浅い眠りの期間(図8の矢印で示した期間)には、SpOが極端に低下することが少ないためである。基準値取得期間を入眠後の1回目の浅い眠りの期間とする場合、行動状態判定部3は、行動状態として、浅い眠りと、深い眠りとをそれぞれ判定するのが好ましい。
【0058】
さらに、基準値取得期間は、行動状態判定部3によりユーザの行動状態が覚醒と判定された期間のうち、体動量が所定値以下の期間であってもよい。これは、ユーザが覚醒中であっても、体動量が小さい期間(図9の矢印で示した期間)であれば、基準値の取得に適するためである。
【0059】
またさらに、基準値取得期間は、行動状態判定部3により判定されたユーザの行動状態が、体動が少ないことが予想される行動状態の期間であってもよい。体動の少ない行動状態には、例えば、歩行、電車・車・バスに乗車、飛行機に搭乗、乗船、食事、飲食、デスクワーク、仰臥、及び着席が含まれるがこれに限られない。
【0060】
次に、本実施形態に係る測定装置の動作について、図10を参照して具体的に説明する。図10は、この測定装置の動作を示すフローチャートである。図10におけるステップS1〜S9は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS8の後、処理はステップS10に進む。
【0061】
ステップS10において、基準値取得部6は、特徴量及び行動状態の少なくとも一方を取得し、現在時刻が基準値取得期間内であるか判定する。現在時刻が基準値取得期間内ではない場合(ステップS10のNO)、処理はステップS9に進む。
【0062】
これに対して、現在時刻が基準値取得期間内である場合(ステップS10のYES)、基準値取得部6は、ステップS8において測定されたSpOをSpO測定部5から取得する。基準値取得部6は、取得したSpOを、基準値として記憶される。その後、処理はステップS9に進む。
【0063】
図11は、測定装置によるSpOの測定結果の一例を示す図である。図11において、測定結果には、測定時刻と、測定時刻における行動状態と、測定されたSpO(SpO値)と、基準値(基準SpO)と、基準値フラグと、が含まれる。基準値フラグは、その時刻に測定されたSpOが基準値であるか否かを示している。測定装置は、このような測定結果を測定時刻ごとに対応づけられて記憶する。
【0064】
以上説明した通り、本実施形態に係る測定装置は、SpOの基準値を、特徴量や行動状態に基づいて取得することができる。SASを診断する際のSpOの低下率として、この基準値に対するSpOの低下率を用いることにより、個体差のある無呼吸や低呼吸をより正確に判定することができる。このため、本実施形態に係る測定装置を用いることにより、SASの診断精度をさらに向上させることができる。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る測定装置及び測定プログラムについて、図12図14を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る測定装置の機能構成を示す概略図である。図12に示すように、この測定装置は、測定対象選択部7と、脈波測定部8と、を更に備える。脈波測定部7及び測定対象選択部8の機能構成は、コンピュータ装置100が測定プログラムを実行することにより実現される。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0066】
脈波測定部7は、ユーザの脈波を、所定の時間間隔で間欠的に測定する。脈波測定部7の測定間隔は任意に設定可能である。脈波測定部7は、脈波センサを含み、脈波センサの出力信号から脈波を生成する。脈波測定部7は、生成した脈波から、脈拍を算出してもよい。
【0067】
脈波センサは、緑色光(G光)を発するG光源と、受光部と、を備える。G光源は、例えば、LEDであり、測定部分にG光を照射する。受光部は、例えば、光電素子であり、測定部分を透過した、或いは測定部分に反射された光を受光し、その強度に応じた信号を出力する。脈波センサの受光部は、SpOセンサの受光部と共用されてもよい。
【0068】
測定対象選択部8は、特徴量及びユーザの行動状態の少なくとも一方に基づいて、測定装置による測定対象を選択する。本実施形態において、測定対象は、SpO及び脈波の2つである。測定対象選択部8は、測定対象としてSpOを選択した場合、SpO測定部5を動作させ、測定対象として脈波を選択した場合、脈波測定部7を動作させる。したがって、本実施形態に係る測定装置では、測定対象選択部8により選択された測定対象が測定される。
【0069】
測定対象選択部8は、例えば、体動量に基づいて測定対象を選択する。具体的には、測定対象選択部8は、体動量の第1閾値と第2閾値(>第1閾値)と、特徴量算出部2により算出された体動量と、を比較して測定対象を選択する。第1閾値は、SpOを精度よく測定可能な体動量の上限値であり、第2閾値は、脈波を精度よく測定可能な体動量の上限値である。第2閾値が第1閾値より大きいのは、脈波がSpOより体動に対してロバスト、すなわち、体動による測定精度の低下が小さいためである。
【0070】
以下では、体動量が第1閾値以下であることを体動量が小さいと称し、体動量が第1閾値より大きく第2閾値以下であることを体動量が中程度と称し、体動量が第2閾値より大きいことを体動量が大きいと称する。
【0071】
図13に示すように、測定対象選択部8は、特徴量算出部2により算出された体動量が小さい場合に測定対象としてSpOを選択し、中程度の場合に測定対象として脈波を選択し、大きい場合に測定対象を選択しない。
【0072】
測定対象をこのように選択することにより、SpO2の測定精度が低い期間にはSpO2測定部5が動作せず、脈波の測定精度が低い期間には脈波測定部7が動作しない。このため、測定装置の消費電力を低減することができる。
【0073】
なお、測定対象選択部8は、体動量が小さい場合、測定対象としてSpO及び脈波を選択してもよい。これは、体動量が小さい場合、脈波を精度よく測定できるためである。
【0074】
また、測定対象選択部8は、行動状態に基づいて測定対象を選択してもよい。例えば、測定対象選択部8は、体動量が小さい行動状態と、体動量が中程度の行動状態と、体動量が大きい行動状態と、をそれぞれ設定され、設定された行動状態と、行動状態判定部3により判定された行動状態と、を比較することにより、測定対象を選択してもよい。
【0075】
すなわち、測定対象選択部8は、行動状態判定部3により判定された行動状態が、体動量が小さい行動状態である場合に測定対象としてSpOを選択し、体動量が中程度の行動状態である場合に測定対象として脈波を選択し、体動量が大きい行動状態である場合に測定対象を選択しない。
【0076】
体動量が小さい行動状態には、例えば、睡眠、電車・車・バスに乗車、飛行機に搭乗、乗船、食事、飲食、デスクワーク、仰臥、及び着席が含まれる。体動量が中程度の行動状態には、例えば、歩行、及び自転車を運転が含まれる。体動量が大きい行動状態には、例えば、走行、水泳、テニス、個人競技スポーツ、及び団体競技スポーツが含まれる。なお、行動状態の分け方はこれに限られない。
【0077】
次に、本実施形態に係る測定装置の動作について図14を参照して具体的に説明する。以下では、測定対象選択部8は、体動量に基づいて測定対象を選択するものとする。図14は、本実施形態に係る測定装置の動作を示すフローチャートである。図14におけるステップS1,S2,S9は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS2の後、処理はステップS12に進む。
【0078】
ステップS12において、測定対象選択部8は、特徴量算出部2が算出した体動量の大きさを判定する。測定対象選択部8が、体動量は小さいと判定した場合(体動量小)、処理はステップS13に進み、体動量は中程度と判定した場合(体動量中)、処理はステップS15に進み、体動量は大きいと判定した場合(体動量大)、処理はステップS17に進む。
【0079】
体動量が小さい場合、ステップS13において、測定対象選択部8は、測定対象としてSpOを選択し、SpO測定部5を動作させる。この際、測定対象選択部8は、脈波測定部7を動作させない。
【0080】
その後、ステップS14において、SpOの測定処理が実行される。ステップS14におけるSpOの測定処理は、第1実施形態における、ステップS3〜S8の処理である。SpOの測定処理の終了後、処理はステップS9に進む。
【0081】
体動量が中程度の場合、ステップS15において、測定対象選択部8は、測定対象として脈波を選択し、脈波測定部7を動作させる。この際、測定対象選択部8は、SpO測定部5を動作させない。その後、ステップS16において、脈波測定部7が脈波を測定する。脈波の測定後、処理はステップS9に進む。
【0082】
体動量が大きい場合、ステップS17において、測定対象選択部8は、測定対象を選択しない。この際、測定対象選択部8は、SpO測定部5及び脈波測定部7を動作させない。その後、処理はステップS9に進む。
【0083】
以上説明した通り、本実施形態に係る測定装置によれば、SpOだけでなく、脈波も測定することができる。また、SpO及び脈波の測定精度が低い場合には、SpO測定部5及び脈波測定部7を動作させないため、消費電力を低減することができる。
【0084】
なお、本実施形態に係る測定装置は、脈波測定部7に加えて、或いは、脈波測定部7の代わりに、心拍数や体温などの生体情報を測定する他の生体情報測定部を備える構成も可能である。
【0085】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る測定装置について、図15図17を参照して説明する。本実施形態に係る測定装置は、ユーザの腕や指に装着される単一のウェアラブルデバイスとして構成される。この測定装置が備える機能構成は、第1実施形態と同様である。ここで、図15は、本実施形態に係る測定装置10のハードウェア構成を示す概略図である。図15に示すように、この測定装置10は、バンド部11と、筐体12と、SpOセンサ13と、を備える。
【0086】
バンド部11は、装着部分(ユーザの腕や指など)に測定装置10を装着するための環状部材である。ユーザは、バンド部11に腕や指を通して測定装置10を装着する。このバンド部11は蛇腹部分14を備える。
【0087】
蛇腹部分14は、バンド部11の一部に形成された蛇腹状の部分である。蛇腹部分14は、バンド部11の周方向に伸縮自在であり、バンド部11に少なくとも1つ設けられる。測定装置10をユーザが装着すると、この蛇腹部分14がバンド部11をユーザの装着部分に締め付ける。これにより、バンド部分11がユーザの装着部分に固定される。
【0088】
筐体12は、バンド部11の一部に固定されており、測定装置10の各部品を収納している。例えば、図示されていないが、筐体12は、測定装置10のバッテリーや、測定装置10の各機能構成を実現するコンピュータ装置100を内蔵している。図15に示すように、コンピュータ装置100の表示装置103は、ユーザが測定装置10を装着した状態で視認可能なように、バンド部11に対して外側に配置されている。
【0089】
また、筐体12には、加速度センサなどの動き情報センサ15が設けられている。動き情報センサ15は、筐体12の内部でコンピュータ装置100と配線により接続されている。動き情報センサ15とコンピュータ装置100とが協働することにより、動き情報測定部1の機能構成が実現される。
【0090】
SpOセンサ13は、反射型のSpOセンサであり、バンド部11の内周側に設けられている。このため、測定装置10をユーザが装着すると、SpOセンサ13は、ユーザの装着部分と近接し、反射光によるSpOの測定が可能になる。
【0091】
ここで、図16は、反射型のSpOセンサの測定結果の一例を示す図である。図16(a)は指の腹側でSpOを測定した測定結果であり、図16(b)は指の甲側でSpOを測定した測定結果である。図16からわかるように、SpOは、指の腹側で測定した方が、指の甲側で測定するよりも、より正確に心拍を捉えることが可能であり、また、R光とIR光の減光度の比を明瞭に把握することができる。これは、腕で測定する場合でも同様である。
【0092】
このため、測定装置10は、SpOセンサ13が指や腕の腹側に位置するように装着されるのが好ましい。また、測定装置10は、表示装置103の視認性が向上するように、筐体11が指や腕の甲側に位置するように装着されるのが好ましい。これらの観点から、図15に示すように、SpOセンサ13は、筐体11に対してバンド部11の反対側に設けられるのが好ましい。これにより、SpOの測定精度と表示装置103の視認性とを同時に向上させることができる。
【0093】
SpOセンサ13をこのように配置した場合、SpOセンサ13は、バンド部11内に設けられた配線により、コンピュータ装置100と接続される。SpOセンサ13とコンピュータ装置100とが協働することにより、SpO測定部5が構成される。
【0094】
ここで、図17は、SpOセンサ13の配線のうち、蛇腹部分14に設けられた配線16を示す部分拡大図である。図17において、矢印は蛇腹部分14の伸縮方向を示している。図17に示すように、配線16は、蛇腹部分14の伸縮方向に対して、傾斜するように設けられる。配線16をこのように設けることにより、配線16を伸縮方向と平行に設けた場合に比べて、蛇腹部分14が伸縮した際に配線16に加わる負荷が低下し、蛇腹部分14の伸縮による配線16の断線を抑制することができる。
【0095】
以上説明した通り、本実施形態に係る測定装置10によれば、蛇腹部分14によって、バンド部11を装着部分に固定することができる。すなわち、SpOセンサ13を、腕や指などの測定部分に固定することができる。このため、従来のパルスオキシメータのように、指先にプローブを装着する必要が無く、装着時にプローブによって指先の動きが制限されない。したがって、本実施形態によれば、測定装置10の装着時の快適性を向上させることができる。
【0096】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1:動き情報測定部、2:特徴量算出部、3:行動状態判定部、4:測定間隔制御部、5:SpO測定部、6:基準値取得部、7:脈波測定部、8:測定対象選択部、10:生体情報測定装置、11:バンド部、12:筐体、13:SpOセンサ、14:蛇腹部分、15:動き情報センサ、16:配線、20:センサユニット、30:情報処理端末、100:コンピュータ装置、101:CPU,102:入力インターフェース、103:表示装置、104:通信装置、105:主記憶装置、106:外部記憶装置、107:バス
図1
図2
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