(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細長いケーブルは少なくとも1つのジッパースライダに係合して、前記少なくとも1つのジッパースライダの移動を制限するように操作可能であり、かつ前記少なくとも2つの固定用リセスの第1の固定用リセスは前記ケーブルの自由端を着脱自在に受けるように操作可能である、請求項1に記載の機器。
前記少なくとも1つのジッパースライダは、前記細長いケーブルの一部を貫通させて選択的に受けるように構成された少なくとも1つのジッパー固定要素を含み、前記ジッパー固定要素が少なくとも1つの留め金または開口である、請求項1または2のいずれか一項に記載の機器。
少なくとも1つのジッパー引き手は、少なくとも1つのジッパースライダに連結され、かつ前記少なくとも1つのジッパー引き手は前記細長いケーブルの一部を選択的に貫通させて受けるように構成された開口を含んでいる、請求項1に記載の機器。
前記手荷物ケースは、空洞を画定するスリーブを更に備え、前記スリーブは前記手荷物ケースに連結され、前記ケーブルの少なくとも一部を前記空洞内に縮退可能に受けるように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機器。
前記ケーブルに連結され、前記ケーブルの少なくとも一部を前記空洞から弾性的に延伸させ、かつ前記ケーブルの少なくとも一部を前記空洞内へ縮退させるように操作可能な弾性連結器を更に備える、請求項6に記載の機器。
前記ケーブルの少なくとも一部は弾性的に巻き取られていて、前記ケーブルの少なくとも一部が前記空洞内に選択的に縮退可能であり、かつ前記空洞から選択的に延伸可能である、請求項6または7のいずれか一項に記載の機器。
前記手荷物ケースの前記ポケット収納部の近くに連結され、前記ケーブルの一部を貫通させて着脱自在に受ける定位置固定要素を更に備え、前記定位置固定要素が前記手荷物ケースの前記ポケット収納部への開口の末端付近に取り付けられているD字型のリングを含む、請求項10に記載の機器。
前記第2のジッパー閉鎖機構は少なくとも1つのジッパースライダと少なくとも1つのジッパー引き手を含み、前記第2のジッパー閉鎖機構の前記少なくとも1つのジッパー引き手は少なくとも1つの開口を含み、前記ロック装置は前記第2のジッパー閉鎖機構の前記少なくとも1つの開口を、前記少なくとも2つの固定用リセスの別のリセスに着脱自在に係合する、請求項12に記載の機器。
前記ロック装置は、中央部及び対向する両端部を画定する長さを持つロックハウジングを含み、前記ロック機構は前記ロックハウジングの中央部に沿って配置され、前記固定用リセスは前記ロックハウジングの対向する両端部のそれぞれに配置されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の機器。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では手荷物ケース用の二重ロックを説明する。手荷物ケースにはジッパーで閉じられる2つ以上の収納部があってよい。二重ロックシステムは手荷物ケースに取り付けられるロック装置を含んでもよい。二重ロックシステムには更に2組のジッパー引き手があってもよい。それぞれのジッパー引き手は手荷物ケースの収納部に結合されていてよい。
【0022】
ある実施例では、ジッパー引き手の各組は二重ロックシステムのロック装置に選択的に固定されてもよい。ジッパー引き手の各組に結合されたそれぞれの収納部は、そのジッパー引き手をロック装置へ挿入、取出しをすることで選択的に防護状態と非防護状態とすることができる。
【0023】
他の実施例では、ジッパー引き手の1つの組が二重ロックシステムのロック装置に選択的に固定され、ジッパー引き手の第2の組が、ロック装置に選択的に固定されるケーブルによって選択的に固定されてもよい。ロック装置は1つまたは複数の組合せダイアルや鍵やタンブラー錠などと共に操作可能であってもよく、そして必ずしも全ての場合ではないが場合によっては、1つまたは複数の解放部材が含まれていて、それを選択的に作動させることによって、ジッパー引き手の組、及び/またはケーブルをロック装置から解放してもよい。
【0024】
図1は二重ロックシステム124を持った手荷物ケース100の正面斜視図である。
図1においては、手荷物ケース100は、囲まれた空間107を画定する前側101、後側102、上側103、下側104、右側105、左側106を含んでいる。囲まれた空間107は1つまたは複数の収納部110、111に分割されてもよい。ある実施形態では、その空間が2つの主収納部、すなわち前収納部110と後収納部111、または第1収納部110と第2収納部111とに分割されてもよい。
【0025】
手荷物ケース100の前側101と、上側103、下側104、右側105、左側106の一部とが、前側収納部110の少なくとも一部分を画定する。手荷物ケース100の後側102と、上側103、下側104、右側105、左側106の一部とが、後側収納部111の少なくとも一部分を画定する。
図1に示すように、前側収納部110と後側収納部111の間に中間フレーム116が備えられて、その両者の一部の枠となっていてもよい。通常、中間フレーム116は例えば手荷物ケース100の前側101と後側102と類似の材料でできていてもよいし、あるいは中間フレーム116は異なる種類の材料でできていてもよい。一般的に、前側101、後側102、中間フレーム116などを含む手荷物ケース100は、プラスチック、ナイロン、金属、あるいは異なる材料の組合せを含むその他の好適な材料でできていてよい。
【0026】
前側収納部110を蓋と呼び、後側収納部111を基部と呼んでもよい。この呼び方は、手荷物ケース100の後側102を地面などの支持面上に配置したような場合を特に指している。前側収納部110と後側収納部111は、実施形態によっては異なる種類の品物を格納するのに使用されてもよい。例えば、業務関連のものは前側収納部110に格納し、個人的なものは後方収納部111に格納されてもよい。あるいは、きれいな衣類を前側収納部110に格納し、汚れた衣類を後側収納部111に格納してもよい。
【0027】
手荷物ケース100の前側101と、上側103、下側104、右側105、左側106の一部とがヒンジ117(
図1では見えない)によって中間フレーム116に接合され、これらの手荷物ケースの部分が一緒になって前側収納部110を画定してもよい。同様に、手荷物ケース100の後側102と、上側103、下側104、右側105、左側106の一部とがヒンジ117(これも
図1では見えない)によって中間フレーム116に接合され、これらの手荷物ケースの部分が一緒になって後側収納部111を画定してもよい。ヒンジ117によって、前側収納部110と後側収納部111とが相対的に回動して、ヒンジ117で接合されたままで、異なる構成をとることができる。具体的には、
図1の手荷物ケース100の前側101を中間フレーム116に関して回動させて前側収納部110を開くことで、包囲された空間107へユーザがアクセスすることが可能となる。同様に、後側102を中間フレーム116に関して回動させて手荷物ケース100の後側収納部111を開くことで、包囲された空間107にユーザがアクセスすることが可能となる。
図1に示す実施形態においては、手荷物ケース100のヒンジ117は手荷物ケース100の左側106にある。ただし、他の実施形態では、両方のヒンジ117が手荷物ケース100の(例えば右側105や下側104などの)違う側にあってもよいし、または2つのヒンジ117が手荷物ケース100のそれぞれ異なる側にあってもよい。例えば、後側収納部111は手荷物ケース100の左側106で中間フレーム116にヒンジ接続され、その一方で前側収納部110が手荷物ケース100の下側104で中間フレーム116にヒンジ接続されていてもよい。勿論、手荷物ケース100は3つ以上の収納部110、111に対応して、3つ以上のヒンジ117を持っていてもよい。
【0028】
手荷物ケース100は更に手荷物ケース100に接合された1つまたは複数の車輪(
図1には示さず)を含んでもよい。この車輪は、固定軸車輪や、スピナ車輪などであってもよい。実施形態のあるものでは、1つまたは複数の脚またはほかの支持体が手荷物ケース100に接合されて、
図1に示す手荷物ケース100の配置のように、支持面上に手荷物ケース100を直立位置に配置して維持しやすいようになっていてもよい。
【0029】
手荷物ケース100には更に、1つまたは複数のハンドルがあってもよい。少なくとも1つのハンドルは入れ子式ハンドル118であって、縮退位置と1つまたは複数の展伸位置との間を選択的に移動可能となっていてよい。1つの展伸位置においては、入れ子式ハンドル118は、車輪を利用して手荷物ケース100を支持面に沿って押したり、引いたりできるようにしてよい。
図1では、入れ子式ハンドル118は後側収納部111内に配置されている。
図1の手荷物ケース100の後側収納部111は、剛体または半剛体のパネル構造となっていてもよい。入れ子式ハンドル118を後側収納部111内に配置することで、手荷物ケース100の車輪移動を入れ子式ハンドル118で十分に支持、案内することができる。
【0030】
手荷物ケース100には更に、1つまたは複数の固定ハンドル119が含まれてもよい。
図1には、手荷物ケース100の上側103の中間フレーム116に接合された1つと、手荷物ケース100の右側105の中間フレーム116に接合された1つの、2つの固定ハンドル119が示されている。固定ハンドル119は手荷物ケース100を持ち上げるか搬送するのに使用される。勿論、2つより多いか少ない固定ハンドル119を手荷物ケース100に接合することは可能であり、またハンドル118、119は手荷物ケース100の任意の位置に接合することが可能である。
【0031】
また、ある実施形態においては、手荷物ケース100は前ポケット113を含み(
図1に示すように)、また他の様々な特徴、例えば名札識別領域、横ポケット、後ポケット、バンパーガード、内部仕切とポケット、追加収納部などを含んでもよい。また、ある実施形態においては、手荷物ケース100は、拡張可能であってもよく、これはいくつかの異なる方法で提供され得る。
【0032】
手荷物ケース100には、前側収納部110と後側収納部111のそれぞれにアクセスできる、2つ以上のジッパー閉鎖機構125、135が更に含まれていてもよい。第1のジッパー閉鎖機構125は、第1のジッパートラックまたはテープ126と、1つまたは複数のジッパースライダ127、128と、1つまたは複数のジッパー引き手131、132を含んでよい。第2のジッパー閉鎖機構135も同様の部品を含んでいてよい。
【0033】
図1において、第1のジッパートラックまたはテープ126は、手荷物ケース100の周囲の少なくとも一部に沿って延在して、前側収納部110へのアクセスを提供する。第2のジッパートラックまたはテープ136は、手荷物ケース100の周囲の少なくとも一部に沿って延在して、後側収納部111へのアクセスを提供する。1つまたは複数のジッパースライダ127、128、137、138と対応する引き手131、132、141、142はそれぞれのジッパートラック126、136に操作可能に結合されていてもよい。具体的には、第1のジッパースライダ127、第2のジッパースライダ128、第1のジッパー引き手131、第2のジッパー引き手132は、第1のジッパートラック126に結合されている。第3のジッパースライダ137、第4のジッパースライダ138、第3のジッパー引き手141、第4のジッパー引き手142は、第2のジッパートラック136に結合されている。
【0034】
手荷物ケース100はロックシステム124を含み、これは二重ロックシステム124であってよい。二重ロックシステム124は、ロック装置145と1つまたは複数のジッパー閉鎖機構とを含み、各ジッパー閉鎖機構が手荷物ケース100のポケットまたは収納部に結合されていてもよい。ロック装置145は手荷物ケース100の部分に取り付けられていてもよい。
図1では、ロック装置145は手荷物ケース100の右側105の上方部分に取り付けられている。ただしロック装置145は、他の場所に取り付けられていてもよい。
【0035】
二重ロックシステム124のロック装置145は、手荷物ケース100(特に中間フレーム116またはロック装置145を取り付けることのできる手荷物ケース100の他の領域)の構成材料、及びロック装置145の構成材料に依存して、任意の好適な方法で手荷物ケース100に取り付けるか接合されてよい。例えば、ロック装置145は、接着剤、縫製、音波溶接、ねじ止めなどを用いて手荷物ケース100に接合されてもよい。一実施例では、例えば中間フレーム116及び/または手荷物ケース100の右側105を形成する織物などの、手荷物ケース100の右側105に2つの穴が開けられる。ロック装置145には受け穴が2つあり、対応するプレート(図示せず)にも2つの穴があってよい。対応プレートが手荷物ケース100の右側105の内壁上に配置され、ロック装置145は手荷物ケース100の右側105の外壁上に配置されて、対応プレートと中間フレーム116とロック装置145にある穴が相互に整列されてよい。2つの、ねじなどのような締め具を整列した穴の中に入れて、ロック装置145を対応プレートへ接合し、それにより中間フレーム116及び/または手荷物ケース100の右側105の織物をロック装置145とプレートとの間に挟み込んでもよい。別の実施例においては、ロック装置145を強力接着剤で手荷物ケース100に接合してもよい。更に他の実施例では、製造時に、例えば射出成形プラスチックプロセスなどにおいて、ロック装置145の少なくともある部分を中間フレーム116と一緒に成形してもよい。
【0036】
ロック装置145にはハウジング146が含まれてもよい。ハウジング146は、プラスチック、金属、強化ナイロン、木などのような任意の好適な材料で作られてよい。更に、ロック装置145のハウジング146の形状及び構成は、広範囲に異なっていてもよい。
図1〜6では、細長い四角形の、内部に空間を持つ箱型の概略形状をしたハウジング146が示されている。ハウジング146は、空間を取り囲む1つまたは複数の側壁148を持っていてもよい。ただし他の実施形態においては、ハウジング146は錐台、楔形、円筒などのような形状であってよい。更には、ハウジング146は表面プレート147、底部プレート、側部プレート、またはその他の任意の装飾用または構造用の部品を含んでもよいし、あるいは装飾が一切なくてもよい。ある実施例においては、ハウジング146の表面プレート147が、主たる平坦面を画定し、またその主たる平坦面からほぼ垂直に延びる、ハウジング146の1つまたは複数の側壁148も画定してよい。ロック装置145のハウジング146は、1つまたは複数の引き手131、132、141、142を受けるようになったチャンバ151、152、153、154を画定してもよい。
図1では、ハウジング146が4つの分離したチャンバ151、152、153、154を画定し、そのそれぞれが以下で説明するように、各引き手131、132、141、142の一部を受けるように構成されていてもよい。
【0037】
ある実施形態において、ロック装置145のハウジング146は中間部分と対向する両端部を画定する長さを有してもよい。中間部と対向する両端部とは、ある実施形態では概ねハウジング146の各1/3であるが、他の実施形態では、対向する両端部の1つまたは中間部が、他の2つの部分の1つか2つよりは一般的に長くなっていてもよい。ある実施形態では、ロック機構148(以下で記述する)がロックハウジングの中央部に沿って配置され、及び/または1つまたは複数のチャンバまたは固定用リセス151、152、153、154がロックハウジングの対向する両端部に配置されてもよい。ロック機構148は、例えば手荷物を扱う際にロック機構が引っかかったり、ぶつかったりする可能性を減らすために、ロックハウジングの中央部に沿って配置されていてもよい。あるいはまた、美的観点からまたはロッキング機構の内部部品を単純化するために(例えばジッパー引き手やジッパースライダと係合する、ロック機構のバーやコネクタの長さを短くするために)、ロッキング機構148をロックハウジングの中央部に沿って配置してもよい。
【0038】
図1Aには二重ロックシステム124の拡大側面図が示されている。
図1Aにおいては、引き手131、132、141、142の両方の組がロック装置145に選択的に固定されていてもよい。ジッパー引き手131、132、141、142は、ジッパー引き手131、132、141、142の自由端の近傍にある留め金133、134、143、144を介して選択的に固定されてもよい。ジッパー引き手131、132、141、142をロック装置145に固定するために、ロック装置145のハウジング146が画定するチャンバすなわち受け穴151、152、153、154の内部に、各ジッパー引き手131、132、141、142に対する留め金133、134、143、144が配置されてよい。より具体的には、各ジッパー引き手131、132、141、142は概ね平坦であり、それぞれの留め金133、134、143、144が引き手131、132、141、142から垂直に突き出ていてよい。ただし後で説明するように、ロック装置145のハウジング146は任意の種類のジッパー引き手131、132、141、142を受けるように設計されていてもよい。ハウジング146内部に含まれる1つまたは複数のシャフトが、各ジッパー引き手131、132、141、142から垂直に突き出ている留め金133、134、143、144と選択的に係合と離脱をして、各ジッパー引き手131、132、141、142を二重ロック装置145へ固定、またはそこから解放してよい。その詳細は
図2に関連して後で説明する。
図1Aには、ロック装置145のハウジング146の下の部分にある2つの受け穴153、154内に受け止められる、第3と第4のジッパー引き手141、142の留め金143、144も示されている。
【0039】
ロック装置145は、ロック装置145のハウジング146内部に配置されたロック機構158を含んでもよい。ロック機構158は、例えば組合せ錠を含んでもよい。組合せ錠は、ハウジング146の表面プレート147の中央に配置された3つの円形組合せダイアル159を含んでもよい。ただし他の実施形態では、組合せダイアル159はハウジング146の1つまたは複数の側部148に配置されてもよい。一般的にダイアル159は二重ロックシステム124の任意の位置に、任意の方向で配置されてもよい。これらの実施形態のあるものでは、ダイアル159の方向は、ダイアル159の面が手荷物ケース100の右側105に垂直である方向(
図1Aに示すように)から、ダイアル159の面が手荷物ケース100の右側105に平行であるように変更してもよい。
【0040】
二重ロックシステム124の組合せダイアル159は、1つまたは複数の解放部材160、161に連結されていて、組合せダイアル159が所定の組合せに従って整列すると、ロック装置145内のロック機構158が開錠して解放部材160、161が動けるようにする。そうして以下で詳細を説明するように、1つまたは複数のジッパー引き手131、132、141、142を解放する。
図1Aには2つの解放部材160、161が示されているが、二重ロックシステム124は実施形態によっては1つの解放部材160しか持たなくて、それを移動させるとハウジング146内に受け止めている全てのジッパー引き手131、132、141、142が解放されるようになっていてもよい。1つまたは複数の解放部材160、161はロック装置145の外側表面上に配置されていて、従ってユーザによって係合可能であってよい。1つまたは複数の解放部材160、161は、組合せダイアル159またはロック装置145内のロック機構158と、シャフトまたはその他の接続機構を介して連結されていてもよい。シャフトまたは他の接続機構は、穴を介して解放部材160、161をロック機構158へ連結してもよく、解放部材160、161が係合されるようにするために、その断面はある実施形態においては、シャフトやその他の接続機構の断面よりも大きくてよい。一般的に、解放部材160、161は、ハウジング146の外部表面に沿って任意の方向に摺動するとか、ハウジング146の中へ押し込まれるとか、というような任意の方法で係合されていてもよい。
【0041】
ジッパートラック126、136に結合された両方のジッパー引き手131、132、141、142がロック装置146に固定されると、対応するジッパースライダ127、128、137、138は、ロック装置145の付近のジッパートラック123、136の部分またはその近辺に強制的に留まらされるために、ジッパートラック126、136に沿う移動が阻止される。各スライダトラック126、136上のスライダ127、128、137、138の移動を止めることにより、ジッパートラック126、136を通しての収納部110、111への不正なアクセスが阻止される。更に、権限のない者が防護された収納部110、111へのアクセスをするために、ジッパートラック126、136の歯を、悪意的に壊そうとする場合、ジッパー引き手131、132、141、142がロック装置145に固定されたままになろうとするために、侵入を隠すことは不可能となる。
【0042】
図2〜4は
図1〜1Aの二重ロックシステム124の操作を示すものである。
図2では、ジッパー引き手の第1のペア131、132がロック装置145から解放され、ジッパー引き手の第2のペア141、142がロック装置145に固定されている状態の二重ロックシステム124が示されている。具体的には組合せダイアル159が所定の組合せに従って整列され、それによってロック機構158の少なくとも一部を開錠することができる。次に、第1の解放部材160が(一例として図示した摺動力Fによって)動かされて、それによって引き手の第1のペア131、132の留め金133、134を固定している1つまたは複数のシャフトが作動される。具体的には1つのシャフトまたは複数のシャフトが摺動して引き手131、132の開口133、134又は留め金から外れ、それによってロック装置145から引き手131、132を外れさせることが可能となる(あるいは場合によっては引き手131、132を強制して又は押して外へ出す)。こうしてユーザは、ジッパースライダ127、128の1つまたは両方を、結合されたジッパー引き手131、132を使ってジッパートラック126に沿って摺動させ、前側収納部110を開いて手荷物ケース100の内部107にアクセスできる。
図2Aは、
図2の引き手の第1のペア131、132がロック装置145から外れて、対応するジッパースライダ127、128がジッパートラック126に沿って移動させられた結果として、前側収納部110が開放された状態にある手荷物ケース100を示している。
【0043】
図3では、ジッパー引き手の第2のペア141、142がロック装置145から解放され、ジッパー引き手の第1のペア131、132がロック装置145に固定されている状態の二重ロックシステム124が示されている。具体的には組合せダイアル159が所定の組合せに従って整列され、それによってロック機構158の少なくとも一部を開錠することができる。次に、第2の解放部材161が(一例として示された摺動力Fで)係合されて、それによって引き手の第2のペア141、142の留め金または開口143、144を固定している1つまたは複数のシャフトが作動される。上記のように、1つまたは複数のシャフトが摺動して引き手141、142の開口または留め金143、144から外れ、それによってロック装置145から引き手141、141を外れさせることが可能となる(あるいは場合によっては引き手141、142を強制してまたは押して出す)。こうしてユーザは、ジッパースライダ137、138の1つまたは両方を、結合されたジッパー引き手141、142を使ってジッパートラック136に沿って摺動させ、後側収納部111を開いて内部107にアクセス可能となる。
図3Aは、
図3の引き手の第2のペア141、142がロック装置145から外れて、対応するジッパースライダ137、138がジッパートラック136に沿って移動させられた結果として、後側収納部111が開放された状態にある手荷物ケース100を示している。
【0044】
図4では、ジッパー引き手の第1と第2のペア131、132、141、142がロック装置145から解放された状態の二重ロックシステム124が示されている。具体的には組合せダイアル159が所定の組合せに従って整列され、それによってロック機構158の一部または全てを開錠することができる。次に第1と第2の解放部材160、161が係合され、それが引き手131、132、141、142の両方のペアの留め金133、134、143、144を固定する1つまたは複数のシャフトを作動させる。上記のように、1つのシャフトまたは複数のシャフトが摺動して引き手131、132、141、142の開口または留め金133、134、143、144から外れ、それによってロック装置145から引き手131、132、141、142を外れさせることが可能となる(あるいは場合によっては引き手131、132、141、142を強制して又は押して出す)。こうしてユーザは、ジッパースライダ127、128、137、138の1つまたは複数を、結合されたジッパー引き手131、132、141、142を使ってジッパートラック126、136に沿って摺動させ、それによって前側と後側の収納部110、111を開いて内部107にアクセス可能となる。
図4Aは、
図4の全ての引き手131、132、141、142がロック装置145から外れて、対応するジッパースライダ127、128、137、138がジッパートラック126、136に沿って移動させられた結果として、前側と後側の収納部110、111が解放された状態にある手荷物ケース100を示している。
【0045】
図1〜4に示す組合せダイアル159はいくつかの異なる態様で構成されていてもよい。例えば組合せダイアル159は、1つ、2つ、または3つ以上の異なる組合せで構成されていてもよい。第1の組合せは、ロック機構158の一部のみを開錠し、それによってジッパー引き手の第1のペア131、132のみが解放させられる。第2の組合せは、ロック機構158の別の部分を開錠し、それによってジッパー引き手の第2のペア141、142のみが解放させられる。第3の組合せは、ロック機構158の全体を開錠し、それによって全てのジッパー引き手131、132、141、142が解放されるようになっていてもよい。ただしある実施形態では、ただ1つまたは特定の組合せを使って全てのジッパー引き手131、132、141、142が選択的に解放されるようになっていてもよい。
【0046】
図1〜4に示された二重ロックシステム124にはその他の多くの変更と変形が可能である。例えば、
図5A〜5Cは二重ロックシステム124のロック装置145が手荷物ケース100のいくつかの異なる場所に取り付けられ得ることを示している。具体的には
図5Aでは、二重ロックシステム124のロック装置145は手荷物ケース100の右側105の上方部分に取り付けられている。
図5Bでは、二重ロックシステムのロック装置145は手荷物ケース100の右側105の下方部分に取り付けられている。また
図5Cでは、二重ロックシステム124のロック装置145は手荷物ケース100の上側103に取り付けられている。二重ロックシステム124のロック装置145はまた手荷物ケース100の下側104などのような、その他の場所に取り付けられてもよい。
【0047】
図6A〜6Eは、
図1〜5に示す二重ロックシステム124に対するいくつかの追加的な変更を示している。勿論これ以外の変更や変形も可能である。
図6Aでは、解放部材160、161が、
図1〜5のようなロック装置145の表面プレート147上ではなく、その頂壁/底壁148上にある、二重ロックシステム124の一実施形態が示されている。
図6Aまたは本明細書で説明及び/または表示したその他の任意の実施例における解放部材160、161は、押すかまたは何か別の動作によって作動させることができる。解放部材160、161はまた、ハウジング146の左側または右側の壁148の上などの、ロック装置145のその他の部分に配置してもよい。
図6Aはまた、ロック装置145のハウジング146の側壁148上に配置されている、組合せ錠158のダイアル159を示している。
図6Aの実施形態に使用され得るロック機構158の例としては、Suへの米国特許第6,202,455号、及び/またはLingへの米国特許第5,557,954号の公報に記載のもの、あるいは当技術分野で周知のその他のロック機構がある。
【0048】
更には、
図1〜6には示されていないが、ある実施形態においては、二重ロックシステム124のロック装置145は、解放部材を持っていなくてもよい。これらの実施形態においては、組合せダイアル159が適切に配列されて、引き手131、132、141、142の留め金133、134、143、144を固定しているシャフトが解放されると、ユーザが引き手131、132、141、142を手動で取り外すか、または解放部材による動作なしに自動的に飛び出してくるようにして、ロック機構158が開錠されてもよい。
【0049】
図6Bは、
図1〜6Aに示した引き手131、132、141、142とは異なる引き手131、132、141、142と共に使用される二重ロックシステム124の一実施形態である。具体的には、概ね平坦なジッパー引き手131、132から垂直に延びる留め金133、134を持つのではなく、
図6Bに示すジッパー引き手131、132は引き手131、132それ自身のほぼ平坦な表面内に画定されたそれぞれの開口を持っている。従って、
図1〜6Aに示したようにジッパー引き手131、132、141、142が手荷物ケース100の右側105に対して平行に抜き差しされるのではなく、ジッパー引き手131、132、141、142の平坦面が手荷物ケース100の右側105に対して垂直となるように、引き手131、132、141、142がロック装置145に抜き差しされる。
【0050】
図6Cには、組合せダイアル159の代わりに、鍵で操作できるロック機構158を持つ二重ロックシステム124の一実施形態が示されている。例えば、ロック装置145内のロック機構158は、鍵を挿入して鍵受け157を第1の位置へ回転すると開錠し、鍵を挿入して鍵受け157を第2の位置へ回転すると施錠するようになっていてもよい。鍵受け157が第1の位置へ回転された場合にのみ、1つまたは複数の解放部材160、161が作動されて引き手131、132、141、142を解放するようになっていてもよい。
図6Cでは鍵受け157は二重ロックシステム124の表面プレート147の中央に配向されているが、表面プレート147の上部または下部の付近、またはロック装置145の本体の左側、右側、上側、下側などのような他の位置に配置されてもよい。
【0051】
更にある実施形態においては、
図1〜6のロック装置145が、一組の組合せダイアル159と鍵受け157の両方を持っていてもよい。そのような二重ロックシステム124では、鍵を利用するか、または正しい組合せを用いるかしてユーザが引き手131、132、141、142を解放することができる。あるいは引き手131、132、141、142を解放するために鍵と組合せの両方を必要とする場合もある。実施形態のあるものでは、二重ロックシステム124は、(鍵と組合せダイアルのいずれが使用されているか、または両方が使用されているかによって)万能鍵すなわちマスター鍵、及び/またはマスター組合せを用いて開錠されるように構成されていてもよい。例えば、国家安全検査局(government security screening agency)にマスター鍵及び/またはマスター組合せが与えられて、鍵のかかった手荷物ケース100のスクリーニングを支援する場合もある。
【0052】
また、上記の2つ以上の組合せを持つ組合せダイアル159に関する議論と同じように、
図6Cの鍵受け157を持つ二重ロックシステム124は、鍵が異なれば異なる対応をするロック機構158を持っている場合もある。例えば、第1の鍵で第1の組のジッパー引き手131、132を解放して前側収納部110を開くことができ、第2の鍵で第2の組のジッパー引き手141、142を解放して後側収納部111を開くことができ、第3の鍵では全てのジッパー引き手131、132、141、142を解放し、従って全ての収納部110、111を開くことができるようになっていてもよい。また1つの鍵を、2つ以上の位置に回転可能な鍵受け157と共に使用して、第1の位置で第1のペアのジッパー引き手131、132を解放し、第2の位置で第2のペアのジッパー引き手141、142を解放し、第3の位置で全てのジッパー引き手131、132、141、142を解放するようになっていてもよい。ただし実施形態のあるものでは1つの鍵だけが使用されることもある。
【0053】
実施形態のあるものでは、第1の収納部110と第2の収納部に結合された引き手131、132、141、142を固定するのではなく、収納部に結合された引き手の1つのペアと、手荷物ケースの拡張機構(図示せず)に結合された引き手の第2のペアを固定するのに二重ロックシステム124を用いる場合がある。例えば、1つまたは複数の引き手でジッパーを開くことにより手荷物ケース100を拡張する拡張機構を持つ実施形態において、二重ロックシステム124が、主収納部に結合された引き手に加えて、拡張機構に結合された1つまたは複数の引き手を受けるように構成されていてもよい。
【0054】
図6Dと6Eはロック装置145の更なる実施形態を示している。
図6Dでは、組合せダイアル159によって制御され、前後にスライドして内部ロック機構158を選択的に解放する1つのアクチュエータ部材160に取り付けられた鍵受け157が、ロック装置145に含まれていてもよい。
図6Eではロック装置145が、ロック装置145のハウジング146の側部に1つのアクチュエータ部材160を含んでいてもよい。
図6Dと6Eの両方に示す実施形態では、組合せダイアル159(したがってロック機構158)がロック装置145の中央部分にあって、アクチュエータ部材160がロック装置の対向する両端部の1つに配置されていてもよい。
図6D、6Eに示すように、固定用リセスもロック装置145の中央部分に配置されてよい。
【0055】
図7は、
図1に関連して説明した二重ロックシステム124といくつかの点で類似した二重ロックシステム724を持つ、手荷物ケース700の正面斜視図である。
図1に示した手荷物ケース100と同様に
図7の手荷物ケース700は、包囲された空間すなわち容積を画定する、前側、後側、上側、下側、右側、左側を含んでいる。
図7に示すように、手荷物ケースの前側は、第1のあるいは外周のジッパー閉鎖機構725、あるいは他の種類の締め具構造によって、上側、下側、左側、右側の前面周囲端部に固定されており、主収納部712を画定している。前側は枢動するように接続されていて、少なくとも前側の一部が開くか、枢動するか、あるいはその他の動き方で、前側外周端から離れることができて、ユーザは囲まれた空間にアクセスして荷物を詰めたり、取出したりすることができる。前側はヒンジ構造によって前面外周端の一部に接続または固定されていてもよい。
【0056】
図1に示した手荷物ケース100と同様に、
図7の手荷物ケース700は、1つまたは複数の車輪、固定ハンドル、入れ子式ハンドルなどを含んでもよい。手荷物ケース700の1つの主収納部は、第1のジッパー閉鎖機構725によって防護されていてもよい。更に
図7では、手荷物ケース700が第2のジッパー閉鎖機構735で防護された前ポケット収納部713を含んでいてもよい。
【0057】
第1と第2のジッパー閉鎖機構725、735のそれぞれは、各ジッパー閉鎖機構725、735で防護された各収納部712、713へのアクセスを提供することができる。ジッパー閉鎖機構725、735は、主収納部712と前ポケット713の周囲の少なくとも一部に延在するジッパーテープまたはジッパートラックをそれぞれ含んでいてもよい。それぞれがジッパースライダ727、728、737、738と対応する引き手731、732、741、742含む1つまたは複数のジッパースライダアセンブリが、各ジッパーテープまたはジッパートラックに操作できるように結合されていてもよい。ある場合には、それぞれが対応する引き手を持っている2つのジッパースライダアセンブリが、第1と第2の各ジッパートラックに結合されている。1つまたは複数のジッパースライダ737、738は、そこに形成された開口739、740を持っていて、その開口739、740は、スライダ727、728を一緒に固定するために、着脱式ロックの掛け金及び/またはケーブル792(詳細は後述)がそこを通って配置されるような寸法と配置になっていてもよい。第2のジッパー閉鎖機構735の一部としてのケーブル792は、ジッパースライダ737、738と共に手荷物ケース700の前ポケット収納部713を選択的に防護する。ある実施例では各ジッパースライダ737、738は1つの開口739、740を含み、別の実施例では各ジッパースライダは2つ以上の開口を含み、それらは典型的には相互に平行に配置されている。図の説明と表示の便宜と明確さのために、各ジッパースライダ737、738に関して2つの開口739、740について表示および説明を行うが、各ジッパースライダ737、738は他の実施例においては1つ、あるいは3つ以上の開口739、740を持つことが意図されている。
【0058】
図7の手荷物ケース700は二重ロックシステム724を含んでいてもよい。二重ロックシステム724は、ロック装置745と、1つまたは複数のジッパースライダ727、728、737、738と、結合された引き手731、732、741、742と、手荷物ケース700に操作可能に固定されたケーブルとを含んでもよい。ロック装置745は手荷物ケース700の部分に取り付けられていてもよい。
図7では、ロック装置745は手荷物ケース700の右側の上方部分に取り付けられてもよい。ただしロック装置745はこれに代わってまたはこれに加えて、手荷物ケース700の他の位置に取り付けられてもよい。
図1を参照して前述したロック装置145と同様に、
図7のロック装置745は、手荷物ケース700を構成する材料に応じて、任意の好適な方法で手荷物ケース700に取り付けられるか接合されてよい。
【0059】
ロック装置745は、表面プレート747、底面プレート、及び/またはロック機構758の種々の部品を囲む1つまたは複数の側壁748を持つ、ハウジング746を備えていてもよい。ある実施形態では、表面プレート747が、そこから延びる1つまたは複数の側壁748を画定してもよい。ハウジング746は、プラスチック、金属、強化ナイロン、木、それらの組合せなどのような任意の好適な材料で作られてよい。更に、ロック装置745のハウジング746の形状及び構成は、広範囲に変化していてもよい。ハウジング746(この特定のケースにおいては表面プレート747)が、スロット、チャンバまたは受け穴の形状をした、1つまたは複数の固定用リセス751、752、753を画定し、そのそれぞれが詳細を後述するように、引き手731、732またはケーブル792の一部のいずれか、またはその両方の少なくとも一部を受けて、着脱自在に固定するように構成されていてもよい。
【0060】
図8A、8Bには、ケーブル792を利用する前ポケット収納部713用のロック装置745の一例が示されている。一般的に、第1のジッパー閉鎖機構725の第1と第2のジッパースライダ727、728に結合された第1のジッパー引き手731と第2のジッパー引き手732は、ロック装置745に選択的に固定されてよい。各ジッパー引き手731、732の留め金または開口733、734のそれぞれを、ハウジング746に画定された対応する受け用のリセス751、752の内部に配置することにより、ジッパー引き手731、732がロック装置745に選択的に固定される。ロック装置745内にある1つまたは複数のシャフトが個々のジッパー引き手731、732の留め金または開口733、734に選択的に係合して、より詳細を以下で説明するように、ジッパー引き手731、732をロック装置745に対して選択的に固定及び解放することが可能である。
【0061】
更に
図8A、8Bにおいて、前ポケット収納部713に結合された第2のジッパー閉鎖機構735の第3と第4のジッパースライダ737、738がケーブル792によって選択的に固定されてもよく、そのケーブルは次にロック装置745によって固定されてもよい。第3と第4のジッパースライダ737、738はロック装置745から離れた手荷物ケース700上の位置にあって、第3と第4のジッパースライダ737、738の引き手741、742がロック装置745に届かないために、ケーブル792が前ポケット収納部713のジッパー閉鎖機構735のロック手段を提供する。
【0062】
前ポケット収納部713のジッパー閉鎖機構735(すなわち第2のジッパー735)の各ジッパースライダ737、738は、ケーブルを通せるようになった留め金または開口739、740を含んでいてもよい。これらの第3と第4のジッパースライダ737、738を一緒に固定して前ポケット713へのアクセスを妨げるために、留め金または開口739、740を整列させて、ジッパースライダ737、738のいずれかまたは両方の留め金または開口739、740にケーブル792を通せるようにしてよい。次にこのケーブルを延ばしてロック装置745に届かせて、そこで、ロック装置745のハウジング746が画定するロック用リセス753(受け穴753など)の内部に、ケーブル792の接続部801が受けられるようにしてよい。捕捉または固定の機構が、以下に説明するようにケーブル792の接続部801と選択的に係合と離脱を行って、ケーブル792をロック装置745に対して選択的に固定や解放を行う。
【0063】
図8Bで、第1と第2のジッパー引き手731、732と、ケーブル792がロック装置745の内部に固定されると、第1と第2のジッパースライダ727、728は第1のジッパートラック上を別々に移動することが妨げられる。前ポケット収納部713のジッパー閉鎖機構735上の第3と第4のジッパースライダ737、738は、ケーブル792が開口739、740を貫通しているために相互に分離することが妨げられる。このようにして、第1と第2のジッパースライダ727、728がロック装置724から離れる移動が防止され、また第3のジッパースライダ737が第4のジッパースライダ738に対して相対移動することが防止されることによって、主収納部と前ポケット収納部713への不正なアクセスが禁じられる。
【0064】
図9A〜9Cを参照して後で詳細を説明するように、ケーブル792が、前ポケット収納部713のジッパー閉鎖機構735の引き手741、742に形成された留め金または開口を介して受け止められて、前ポケット収納部713への無用のアクセスを同様に妨げることができるように考慮されている。それぞれが開口739、740を持っているジッパースライダ727、728、737、738に加えて、あるいはその代わりに、ジッパー引き手731、732、741、742とジッパースライダ727、728、737、738との接続部からの遠位点、またはその自由端の付近に、1つまたは複数のジッパー引き手731、732、741、742が留め金または開口733、734、743、744を含んでもよい。留め金または開口733、734、743、744は、ジッパー引き手731、732、741、742内の、ほぼ円形、正方形、またはその他の形状の開口であってもよいし、あるいは、留め金または開口733、734、743、744は、ジッパー引き手731、732、741、742の側面からの弓形をした突起形状となっていてもよい。ジッパー引き手731、732、741、742の留め金または開口733、734、743、744は、着脱式ロックの掛け金及び/またはケーブル792がそこを貫通して、ジッパー引き手731、732、741、742(及び対応するジッパースライダ727、728、737、738)を定位置に配置できるような寸法と配置であってよい。一般的にジッパー引き手731、732、741、742の留め金または開口733、734、743、744は、上記のジッパースライダの開口739、740と同じ程度の寸法であってよい。例えばケーブル792の直径の約2倍であってよい。ジッパー引き手731、732、741、742がジッパーテープまたはジッパートラック上で互いに近くにある場合には、それぞれの留め金または開口733、734、743、744は少なくとも部分的に重なり合うか相互に近接していて、ケーブル792を貫通して配置することができる。たとえ個々の留め金または開口733、734、743、744が重なっていなくても、ケーブル792を貫通させて配置できるような考慮もされている。
【0065】
図8A〜8Dを参照して次に二重ロックシステム724の操作を説明する。
図8Aには第1と第2のジッパー引き手731、732がロック装置745から解放され、ケーブル792もロック装置745から解放された状態の二重ロックシステム724が示されている。
図8Bには第1と第2のジッパー引き手731、732がロック装置745内に固定され、ケーブル792もロック装置745内に固定された状態の二重ロックシステム724が示されている。
図8Bに示すように第1と第2のジッパー引き手731、732をロック装置745内に固定するために、第1と第2のジッパー引き手734、732はロック装置745のハウジング746にあるそれぞれのロック用リセス751、752の中に配置される。そうして、ジッパー引き手731、732内に形成された開口733、734にシャフトまたはピンを通して、ジッパー引き手731、732をロック装置745に固定する。
【0066】
図8A、8Bにおいて、続いて前ポケット収納部713を防護するために、第3と第4のジッパースライダ737、738の開口739、740を互いに近接するように配置して、ケーブル792を延ばして第3と第4のジッパースライダ737、738の開口739、740に通す。そうしてロック装置745のハウジング746内に形成されている適切な固定用リセス753の内部にそのケーブル792の接続部801を配置してよい。
【0067】
第1と第2のジッパー引き手731、732をロック装置745から解放し、かつケーブル792をロック装置745から解放するために、組合せダイアル759を所定の条件に従って整列させるか、適切な鍵を鍵受け757に差し込んで、ロック機構758の少なくとも一部を開錠してよい。正しい組合せが設定されるか、鍵が挿入されて回されると、解放部材760が作動されて、第1と第2のジッパー引き手731、732の留め金733、734を固定している各ロック用リセス751、752内の1つまたは複数のシャフトが作動され、またケーブル792の接続部801を固定している固定要素が作動される。第1と第2の引き手731、732の留め金733、734とケーブルは、そうしてロック装置745から外されるか、弾き出されてよい。ケーブル792の接続部801が次に第3と第4のジッパースライダ737、738の留め金739、740から引き抜かれて、第3と第4のジッパースライダ737、738が相互に移動できるようになり、前ポケット収納部713へのアクセスが可能となる。
【0068】
上記と同じようにして、
図9A〜9Cではケーブル792が、ジッパースライダ737、738の開口739、740ではなく、前ポケット収納部713のジッパー閉鎖機構735のジッパー引き手741、742内に形成された留め金または開口743、744を通して受けられて、ポケット収納部713への不要のアクセスを同様に妨げてもよい。場合によっては、ケーブル792はジッパー引き手741、742の1つの留め金または開口743、744を通り、かつジッパースライダ737、738の1つの開口739、749を通って受け止められてもよい。一般に、ケーブル792はジッパー引き手の留め金741、742または開口743、744と、ジッパースライダ737、738の開口739、740との任意の組合せを通して受け止められてもよい。全体的に、
図9A〜9Cのロック装置745の機能、構造及び操作は、
図8A〜8Dのロック装置745と同様であってよい。
【0069】
図10A〜10Cに示すように、ある手荷物ケース700には、前ポケット収納部713に加えて上ポケット収納部714が含まれていてもよい。上ポケット収納部714は手荷物ケース700の前側の上部に沿って配置されていて、例えば高さが4インチで、手荷物ケース700の前側と同じ幅であってもよい。上ポケット収納部は、上ジッパーテープまたはトラックと、上ジッパースライダ781と、上ジッパー引き手782、などを含む上ジッパー閉鎖機構780によって防護されていてもよい。前ポケットジッパー閉鎖機構735と同じように、上ポケットジッパー閉鎖機構もまたケーブル792を備えていてもよい。上ジッパースライダ781にはある実施例では開口があってもよいし、それに加えてまたはその代わりに、
図10Aに示すように上ジッパー引き手782に、上ジッパー引き手の留め金または開口783があってもよい。上ジッパースライダの開口、及び/または上ジッパー引き手の留め金または開口783はケーブル792を受けられる寸法となっていてよい。このケーブルは前述のケーブル792と同じであってよい。例えば、上ジッパースライダの開口、及び/または上ジッパー引き手の留め金または開口783は、ある実施例ではケーブル792の直径の約2倍の開口を持っていてもよい。
【0070】
定位置固定要素784が、
図10Aに例示されているように、上ジッパー閉鎖機構780の一端の近くに配置されていてもよい。例えば、定位置固定要素784は、上ジッパー780を閉鎖したときに上ジッパー780の終端付近に配置されてもよい。定位置固定要素784は、例えばある実施形態においてはD字型のリング785のようなリングであってよく、鋲や縫製などの任意の固定手段によって手荷物ケース700に連結されていてよい。定位置固定要素784は、勿論他の好適な形状をしていてよいし、任意の好適な方法で手荷物ケース700に連結されていてもよい。ある実施例では、定位置固定要素784は上ジッパーテープと手荷物ケース700の蓋のパネルまたは強化パイプ構造との間に連結されていてよい。他の実施例では、定位置固定要素784は、手荷物ケース700の側面パネルや、前側収納部ポケット713や、手荷物ケース700上の別の好適な位置へ連結されていてよい。定位置固定要素784はケーブル792を受けられる寸法となっていてよい。
【0071】
上ジッパー閉鎖機構780を固定するために、ケーブル792をジッパー引き手782の開口783に通し、定位置固定要素784を通して、最後にロック装置745で受け止められるようにしてもよい。こうして、定位置固定要素784と上ジッパースライダ781の開口、及び/または上ジッパー引き手782の留め金または開口783が、ケーブル792との組合せで手荷物ケース700の上ポケット収納部714を選択的に防護し、そこへのアクセスを妨げることができる。
【0072】
操作時には
図10Aに示すように、ケーブル792は最初手荷物ケース800の空洞721(例えば空洞、リセス、ポケットなど)、または空洞721を画定するスリーブ722(後で説明)の中に引き込まれていてもよい。この引き込まれた状態で、前ポケット収納部713と上ポケット収納部714は防護されておらず、ユーザはそれぞれのジッパースライダ737、738、781を各ジッパーテープまたはトラックに沿って摺動させて前ポケット収納部713と上ポケット収納部714に自由にアクセスできる。
図10B、10Cでは、ケーブル792が前ポケット収納部713に結合されたジッパースライダの開口739、740を貫通して配置されてよい。ケーブル792は更に上ジッパースライダの開口、及び/または上ジッパー引き手の留め金783と、定位置固定要素784も貫通して配置されてもよい。そうしてケーブル792の接続部801は、
図8A〜8Cに関して説明したように、ロック装置745の固定用リセスすなわち受け穴753に受け止められてもよい。この構成においては、1本のケーブル792を用いてジッパー閉鎖機構735、780を拘束することにより前ポケット収納部713と上ポケット収納部714との両方を防護してもよいし、あるいはそれに替わって1本のケーブル792で、前ポケット収納部713と上ポケット収納部714の一方または他方を交互に防護してもよい。
【0073】
さらに、ケーブル792は二重ロックシステム724と一緒に用いて、1つのジッパースライダ781と定位置固定要素784とを有する1つの収納部714を防護することも考慮されている。
【0074】
図8A、8Bに戻ると、ケーブル792は手荷物ケース700に形成されて、手荷物ケース700の外側または内側に配置されたスリーブ722によって画定される空洞721から延伸し、またそこへ引き込ませることができる。ある場合には、スリーブ722は手荷物ケース700の前側にあり、前ポケット収納部713の一部の上またはそれに隣接する場所にあってもよい。スリーブ722は使用してない時にケーブル792を格納する。ケーブル792の少なくとも一部は自動縮退機構によって空洞721の内部へ向かって付勢されているか引き込まれていてもよいし、あるいはユーザによって手動でスリーブ722内に引き込まれていてもよい。
【0075】
図11A、11Bに、スリーブ722と空洞721の構造の例が示されている。ここには空洞721を画定する少なくとも2つの側壁789があり、その中へケーブル792の少なくとも一部が引き込まれるかまたは手動で配置されて格納される。ケーブルガイド786は側壁789で形成されてもよいし、あるいは側壁789とは分離した構造であってその間に配置されてもよい。そしてケーブルガイドは比較的滑らかな引き出しと引き込みをできるようにする。ケーブルガイド786は例えば射出成形されたプラスチック構造であってよい。ただし他の実施例では織物、金属、木などであってもよい。ケーブルガイド786は、例えば縫製、接着剤、鋲などによってスリーブ722へ連結されていてもよい。保持構造787はスリーブ722またはケーブルガイド786と操作可能に結合されており、ケーブル792が手荷物ケース700から完全に取り出されないようにしている。一実施例では、例えば
図9A〜9Cに示すように、保持構造787が空洞721の上部に配置されている。ケーブル792は、ケーブルガイド786またはスリーブ722から引き出されるか、またはそこへ引き込まれる際に、保持構造787を通って移動する。ケーブルガイド786と保持構造787の更なる構造と機能についてはこの後説明する。
【0076】
ケーブル792は相対向する両端部とその間の中間部とを含む。ケーブルの一端799は係留部を画定し、反対の端部793は接続構造801を形成する自由端であってよい。ケーブルコネクタ801はロック装置745に着脱自在に係合できる構造であり、一実施例では、終端ヘッド795と、ヘッドに隣接してネック796を形成する環状溝と、ベース縁797とを含む。通常、ネック796はケーブルヘッド795よりも直径が小さく、両者ともに別々の概ね円筒形となっていてもよい。ある実施例では、ケーブルヘッド795は球状(例えば少なくとも部分的に丸いか円弧状の部分を持っている)であってよいが、その一方で別の実施例では、ケーブルヘッド795は球状ではなくむしろ比較的に平坦である。
【0077】
ケーブル792はケーブルガイド786を介して摺動自在に受け止められ、端部799はケーブルガイドに係合するように構成されて、端部799を手荷物ケースに係留し、ケーブルがケーブルガイドを通って全部引き出されて手荷物ケースから取り除かれることを防止する。端部799はケーブル792の直径よりも大きな断面直径を持つ構造として形成されている。
図11Aと11Bに示す実施例では、端部799が球または球状の形をした係留構造を形成する。ケーブル792は1つまたは複数のジッパースライダ開口739、740、及び/または1つまたは複数のジッパー引き手留め金または開口783を貫通して受け止められるような形状と寸法となっていてもよい。例えば、対応するジッパースライダの開口739、740、またはジッパー引き手の留め金または開口783が、直径(あるいはケーブル792が円筒形状でない場合には他の関連する寸法)が約8mmの受け部を含むような寸法であれば、ケーブル792は対応するジッパースライダの開口739、740またはジッパー引き手の留め金または開口783の直径の約半分の直径の寸法であってよい。このように、対応するジッパースライダの開口739、740またはジッパー引き手の留め金または開口783にユーザがケーブルを通そうとする場合、対応するジッパースライダの開口739、740またはジッパー引き手の留め金または開口783に対してケーブル792を正確に整列させたり特定の角度で挿入したりする必要はない。
【0078】
ケーブル792は、ある実施例では1本の金属ワイヤまたは複数の金属ワイヤであって、プラスチックや繊維や他の材料でできた、周りを囲む鞘があってもよい。あるいはまた、ケーブル792はプラスチックや別の好適な材料、あるいはそれらの組合せであってもよい。
【0079】
各ジッパースライダ727、728、737、738、781、または引き手731、732、741、742の開口は、ケーブル792の直径の約2倍の寸法であってよい。例えば、開口はある実施例では直径(あるいは開口が円形でない場合には別の寸法)が約8mmの大きさであってよい。そしてケーブル792は、直径が約4mmのヘッド795と、ケーブル792の中間部分794が(円筒形状のケーブルであると仮定して)約3mmの直径である。任意の2つ以上のスライダ727、728、737、738、781が隣接して、好ましくは相互に接触する場合、それぞれの開口は少なくとも部分的に重なり合って、通常互いに少なくとも部分的に共通の空間を持ち、それによってケーブル792貫通させることが可能となる。
【0080】
ケーブルガイド786(またはそれに代わるスリーブ722)の保持構造787は、
図11A、11Bに示すように、カラー788を備え、これが開口を形成してそこをケーブル792の少なくとも一部が通過するが、係留された端部799は通過できない。これによって、端部799がカラー788内に捕捉されてスリーブ722のケーブルガイド786内にケーブル792が保持されるようになる。一実施例において、カラー788で形成される開口は、ケーブル792の中間部794がスリーブ722及び/またはケーブルガイド786から延伸し、そこへ引き込まれることを可能とするのに十分大きな寸法を有しているが、また、ケーブルコネクタ801のベース縁797がカラー788を通過させることはできないほどに十分小さくなっている。保持構造787は、ケーブルガイド786またはスリーブ722内ではあるが、まだ保持構造787の外側にケーブルコネクタ801の一部を受けるように配置された片寄りした開口を含んでいてもよい。ケーブルコネクタ801の一部はケーブルガイド786またはスリーブ722の頂部を越えて延在し、ユーザがケーブルコネクタ801を掴めるようにしてよい。ただし格納された時のケーブルコネクタ801の高さを低く抑えて、ハンドリング中に他の物体に引っ掛けられるリスクを低減する。
【0081】
ある実施例において、ケーブルの係留端部799の滑らかな外形によって、引き込みや引き出しの際にケーブル係留端部799がケーブルガイド786またはスリーブ722内で動きやすくなっている。ケーブルガイド786は、ケーブル係留端部799とケーブル792をスリーブ722内で繰り返し移動させることによる摩耗に対する耐性を持っていてよい。保持構造787は前述したようにカラー788の形状をしていて、スリーブ722内部に配置されたケーブルガイド786の構造なしで、スリーブ722の頂部に固定されることも考えられる。さらに、ケーブルガイド786は手荷物ケース700の外部に配置されて、スリーブ722の内部にはないようにすることも考えられる。
【0082】
ある実施例において、ケーブル792をスリーブ722内に確保するための保持構造787は、更に端部799に取り付けられた弾性連結器791(
図11A、11Bに破線で示されている)を含んでいてもよい。弾性連結器791は例えば、使用してないときにケーブル792を少なくとも部分的にスリーブ722またはケーブルガイド786の中に向かって自動的に付勢するか縮退させるように支援していてもよい。弾性連結器791には多くの異なる実施形態が可能である。例えば、弾性連結器791は、弾性的に巻き上げられたプラスチックばねや定荷重ばねであってもよい。更には、ケーブル792そのものが、延伸した後、スリーブの中へ、またはケーブルガイドを介して弾性的に縮退するコイル状のケーブルであってもよい。
【0083】
図12A、12Bを参照すると、実施例によってはケーブルガイド786が使用されないことがある。それよりもむしろ、前ポケット713を形成する織物及び/またはスリーブ722がケーブル792を受けるための空洞721を画定してもよい。ケーブル792は、弾性体などの弾性的に伸長可能な弾性連結器791を介して、手荷物ケース700の前ポケット収納部713内部またはその付近の構造物に連結されてよい。弾性連結器791は、スリーブ722の底部の縫目798や、側壁789や、あるいは手荷物ケース700上のどこか適切な場所へ、係留されてもよい。弾性連結器791は、ケーブル792の端部799にも取り付けられてよい。織物と弾性材料との組み合わせで作られた弾性連結器791は、引っ張られて破損することに抗する適切な強度を持つことができる。あるいはまた、弾性連結器791は、ばねなどのコイル状の金属構造、または別の好適な材料であってもよい。前に説明したように、ケーブルガイド786は、弾性連結器791との組み合わせで使用されてもよい。一般的に、本明細書に記載の二重ロックシステム724においては、多くの異なる種類のスリーブ722やケーブル792やケーブルガイド786を使用することができる。
【0084】
本明細書に記載のロック装置745は、主収納部713のジッパースライダ727、728を固定し、及び/または前ポケット収納部713と上ポケット収納部714のいずれかまたは両方のジッパースライダ737、738、781の分離を禁止するように作用する。そうするためには、ロック装置745は第1のジッパー閉鎖機構725から少なくとも2つのジッパースライダ727、728の引き手731、732と、前述のケーブル792の接続部801とを選択的かつ確実に受け取ってもよい。
図13〜15はこの目的のために構成されたロック装置1345の一例を示す。ロック装置1345は、
図7〜10Cを参照して説明した二重ロックシステム724に使用することができる。勿論他のロック装置の例を本明細書で示して説明した二重ロックシステム724のために使用することは可能であり、
図13〜15はそのような実施例の単なる例示に過ぎない。上記のように、ロック装置1345にはハウジング1346が含まれてもよい。ハウジング1346には1つまたは複数の固定用リセスまたは受け穴1351、1352、1353を画定する表面プレート1347が含まれてよい。例えば表面プレート1347は、前述した第1と第2のジッパー引き手731、732を受け止める寸法となった、第1と第2の固定用リセスまたは受け穴1351、1352を画定してもよい。第3の固定用リセスまたは受け穴1353も表面プレート1347に画定されて、ケーブル1392の接続部のヘッド1395を受ける寸法となっていてもよい。第3の固定用リセスまたは受け穴1353は、ケーブル1392の接続部の概ね円形または他の形状をした外縁に合致する、円形または他の形状をしていてもよい。表面プレート1347はまた、タンブラー錠1371と、1つまたは複数の組合せダイアル1359用の開口を画定してもよい。これらのリセスや開口はハウジング1346の他の部品上に形成されてもよい。
【0085】
図13を参照すると、各組合せダイアル1359は連結された関連の切欠きホイール1368を持っていてもよい。各組合せダイアル1359と関連する切欠きホイール1368は、ロック装置1345の中間プレート1366から延びている軸柱1370に回転可能に連結されていてもよい。軸柱1370のそれぞれに軸方向に取り付けられたばね1369が、各切欠きホイール1368に作用して組合せダイアル1359の背面に押し付けるように付勢する。切欠きホイール1368と組合せダイアル1359の係合面の間にある歯によって、切欠きホイール1368と組合せダイアル1359が楔留めされて、軸柱1370の周りを一緒に回転できるようにする。歯の一例は、切欠きホイール1368に形成されたバンプまたは突起と、それに対応して組合せダイアル1359の背面上に形成された戻り止めまたはリセスである。別の例として
図13では、バンプまたは突起が組合せダイアル1359上に形成されて、戻り止めまたはリセスが切欠きホイール1368上に形成される。全ての切欠きホイール1368が1つの組合せスライダ1383と選択的に係合及び離脱をするように構成されていてもよい。
【0086】
組合せスライダ1383が開錠位置にある場合には、カムアクチュエータ1380も回転させられて開錠位置となり、第1と第2のスライダバー1374、1377が作動されるとロック装置1345内を横へ滑ることができるようになっていてもよい。カムアクチュエータ1380は、力が掛けられたときにカムアクチュエータ1380に回転を導入する、1つまたは複数の回し金1381を含んでいてもよい。例えば、カムアクチュエータ1380は組合せスライダ1383により与えられる横方向の力を変換させるように操作可能な1つの回し金1381を含み、カムアクチュエータ1380は、後で詳細を説明するように、タンブラー錠1371の突起1372により与えられる回転力を変換する第2の回し金1381を含んでもよい。
【0087】
図15を参照すると、少なくとも1つの組合せダイアル1359が適切な組み合わせコードに回転されていない場合に、組合せスライダ1383の少なくとも1つの突起1386が関係する切欠きホイール1368に受けられなくて、組合せスライダ1383は施錠位置に留まる。組合せスライダ1383が施錠位置にあると、カムアクチュエータ1380が施錠位置に留まり、それによってカムアクチュエータ1380のハンマ部と第1と第2のスライダバー1374、1377の端部とが係合しているために、ロック装置1345内での第1と第2のスライダバー1374、1377の横方向への摺動が阻止される。
【0088】
全ての切欠きホイール1368に関係する組合せダイアル1359が、適切な組み合わせコードに回転されると、組合せスライダ1383の全ての突起1386が各切欠きホイール1368のそれぞれの切欠き内に受けられて、それによって組合せスライダ1383が開錠位置に移動させられてもよい。ばね1385が組合せスライダ1383を開錠位置へ付勢するが、組合せダイアル1359が適切な組み合わせコードに回転されていない場合には、切欠きホイール1386がその付勢力に勝るようになっていてもよい。組合せスライダ1383に連結されたバネ1385が、カムアクチュエータ1380に連結されたばね1382よりも大きな付勢力を提供して、組合せスライダ1383がばね1382の復元力に勝って、組合せスライダ1383によるカムアクチュエータ回し金1381にかかる力によってカムアクチュエータ1380を回転させることができる。組合せスライダ1383が開錠位置に摺動すると、組合せスライダ1383はカムアクチュエータ1380の回し金1381の1つに係合し、それによってカムアクチュエータ1380を回転させてもよい。これによって次に第1と第2のスライダバー1374、1377が(解放部材1360によって作動された場合に)ロック装置1345内を横へ摺動する。
【0089】
ロック装置1345の多くには第2のロック作動機構1371があって、保安当局が安全検査プロセスの一環として手荷物ケース100、700を開けることができるようにする。多くの場合、鍵で作動されるタンブラー錠1371がこの目的に利用される。タンブラー錠1371は、組合せスライダ1383と同様に、鍵を回すことによってカムアクチュエータ1380の回し金1381と係合させて、カムアクチュエータ1380を開錠位置へ回転させるようになっていてよい。タンブラー錠1371は回し金1381に係合するようになった突起1372を含んでいて、それによってカムアクチュエータ1380を回転させてもよい。ある場合には、タンブラー錠1381が、合い鍵やマスター鍵を受け入れるように構成されていてもよいし、または手荷物ケース100、700の所有者またはユーザから提供される鍵を受け入れるように構成されていてもよいし、その両方であってもよい。タンブラー錠1371の突起1372は、組合せダイアル1359上に適切な組み合わせが欠けていてもそれに“優先”して作用してよい。ただし、それにも拘らず、組合せダイアル1359上に正しい組合せがあっても、組合せスライダ1383が開錠位置へ摺動することが阻止されている限りは、カムアクチュエータ1380を回転させることはしない。
【0090】
図13〜15において、タンブラー錠1371の突起1372や組合せスライダ1383のいずれかによって係合されていない限りは、カムアクチュエータ1380はばね1382に連結されて、カムアクチュエータ1380が施錠位置へ付勢されるようになっていてもよい。カムアクチュエータ1380はロック装置1345の中間プレート1366に回転自在に固定されていてもよい。
【0091】
第1と第2のスライダバー1374、1377のそれぞれは、個別にシャフト1375、1378が含まれていて、ジッパー引き手の開口または留め金(例えば上記の留め金733、744)がロック装置1345の各固定用リセスまたは受け穴1351、1352に挿入されると、それに係合するように構成されていてもよい。この構造は、
図13〜15に関連して以下で詳細を説明する。各シャフト1375、1378には上部のカム面が含まれており、ジッパー引き手が挿入されると、ばねで付勢された各シャフト1375、1378を押しやり、その後引き手の開口または留め金を貫通して固定状態に戻るようになっている。また比較的平坦でカムになっていない底部も含まれていて、挿入されたジッパー引き手の開口または留め金を保持するようになっている。
図14〜15では、第1と第2の各バー1374、1377は、それぞれのばね1376、1379によって保持位置に向けて付勢されていてもよい(それによって挿入されたジッパー引き手に開口または留め金があればそれを保持する)。ただし、挿入された任意のジッパー引き手を解放するためにカムアクチュエータ1380によって可能となっている場合には、解放部材1360との係合によって、第1と第2のスライダバー1374、1377がロック装置1345内で横方向に摺動させられる。
【0092】
図13〜15において、第1と第2のスライダバー1374、1377のシャフト1375、1378によって解放されている場合には、バイアスプレート1387が、挿入された任意のジッパー引き手を外方向へ付勢することができる。バイアスプレート1387は平坦部とそこから延びる2つのアーム部分とを含んでいてもよい。平坦部分は中間プレート1366に連結され、アーム部分はジッパー引き手が挿入されている場合にはジッパー引き手に荷重を掛ける。そうして、第1と第2のスライダバー1374、1377のシャフト1375、1378がジッパー引き手から摺動して外れている場合には、アーム部分が第1と第2の固定用リセスまたは受け穴1351、1352の外へジッパー引き手を弾き出すようになっていてもよい。
【0093】
図14において、解放部材1360はロック装置1345の中間プレート1366に連結され、ねじや鋲などの連結部材を介して枢動点1364を中心に枢動することができる。解放部材1360は、ユーザの指に係合するためのリブ部分を含み、第1と第2のスライダバー1374、1377に係合するためのハンマ状の部分1363があってもよい。また
図13、15において、解放部材1360は、捕捉または固定部材1394のフランジ1397に係合するための隆起部1362を含んでいてもよい。隆起部1362は、ハンマ状部分1363の近くにあって、以下でより詳細を説明するように、捕捉または固定部材1394のフランジ1397に摺動して係合するために、ハンマ状部分1363の最も高い面よりも上に延びていてもよい。
【0094】
図13〜15において、ロック装置1345が、組合せダイアル1359と切欠きホイール1368の組合せコードのリセットを支援するように構成された、コードリセットボタン1356も備えていてもよい。組合せダイアル1359を正しい組合せコードに合わせた後、コードリセットボタン1356を押すと(
図15において、コードリセットボタン1356は、組合せダイアル1359が正しい組合せダイアル位置に回転されていないと押せないようになっている)、コードリセットボタン1356が組合せスライダ1383の頂部の出っ張り1384の側部に係合してもよい。これは、ロック装置1345を動作させる新しい組合せを設定するために、組合せダイアル1359を各切欠きホイール1368に対して回転させるときに組合せスライダ1383が動かないようにするためである。
図13からわかるように、そのような相対回転をさせることにより組合せダイアル1359が切欠きホイール1368から(例えばばね1369による付勢力を越えて)離脱し、組合せダイアル1359の底部の突起がそれぞれの切欠きホイール1368にある別の回転留めまたはリセスの中に移動させられ、それによって組合せダイアル1359を再入力することができる。新しい組合せを設定し終わると、ロック装置1345を作動させてよい。これにより第1と第2のスライダバー1374、1377が横方向に摺動する。そうして、コードリセットボタン1356の対応する傾斜面に係合する第1と第2のスライダバー1374、1377の面が傾斜していることによって、コードリセットボタン1356をその非作動位置に戻すようにさせる。
【0095】
ケーブル1392のコネクタ端部を選択的に固定するために、第3の固定用リセスまたは受け穴1353をロック装置1345内に追加すれば、引き手とケーブルコネクタの両方を一緒に、またはいずれか1つを個別にロック装置1345に固定することが可能となる。
図13〜17C及び上記の説明から、ロック機構1345は、ケーブルコネクタのネック1396とヘッド1395をロック機構1345内に受けるように構成された、ばねで付勢された捕捉または固定部材1394を含んでもよい。ばねで付勢された放出部材1388が、捕捉または固定部材1394で固定されていない場合にケーブルコネクタを外方向へ付勢し、ハウジング1393が放出部材1388を保持する。前述のロック装置1345の解放部材1360も、捕捉または固定部材1394をロックまたは固定された位置から選択的に離脱させる隆起部1362を含んでいてもよい。
【0096】
捕捉または固定部材1394はほぼ平坦でJ字型の鉤部1398を持っていてもよい。ケーブルがロック装置1345の第3の固定用リセスまたは受け穴1353内に配置された場合に、鉤部1398はケーブル1392のネック1396を受けられるような形状と寸法となっていてもよい。より具体的には、捕捉または固定部材1394の鉤部1398は、ケーブルのネック1396の直径より大きく、ケーブルヘッド1395の直径より小さい切込み直径を持っていてもよい。このように、J字型の鉤部1398がロック装置1345のリセス1353内にケーブルヘッド1395を保持して、解放されないようにする。
【0097】
捕捉または固定部材1394はまた、捕捉または固定部材1394をロックまたは固定された位置へ付勢するためのばね1399を受けるように構成されたポストも含んでいてよい。それによって、解放部材1360が作動してない場合には、ケーブル1392のネック1396とヘッド1395、または放出部材1388が鉤部1398の内部に保持される。このポストは捕捉または固定部材1394のほぼ平坦部から離れる方向に横に広がっていて、
図15では、ばね1399はロック装置1345の表面プレート1347に向かって付勢されていてもよい。捕捉または固定部材1394はまたフランジ1397を含み、これが捕捉または固定部材1394のほぼ平坦面の下に鉤部1398に対して直角の角度で延びていてもよい。そして解放部材1360の隆起部1362に係合されるような形状と寸法となっていてもよい。
図17A、17Bにおいて、解放部材1360の隆起部1362は捕捉または固定部材1394のフランジ1397と摺動的に係合してもよい。そしてそのようにして、捕捉または固定部材1394をロック装置1345のハウジング1346内を横方向に摺動させて、ケーブル1392のネック1396から離脱させてもよい。こうしてケーブルヘッド1395が解放され、ヘッド1395が放出部材1388によって放出可能となる。例えば、組合せダイアル1359が正しい組合せコードを示すか、タンブラー錠1371が作動されて、解放部材1360がハウジング1346内を枢動する時に、捕捉または固定部材1394のフランジ1397は解放部材1360の隆起部1362で作動させられてよい。
【0098】
図13、16A〜17Cにおいて、ロック装置1345は、底部にフランジ状の縁1390を持った円筒形の本体1389を画定する、放出部材1388を含んでもよい。円筒形本体1389は、ある場合にはケーブル1392のヘッド1395とほぼ同一の直径であってもよい。すべてではないがある場合には、放出部材1388の円筒形本体1389はまた、捕捉または固定部材1394の鉤部1398の切欠き直径とほぼ同じ大きさかまたは少しだけ小さい直径を持っていてもよい。底部のフランジ状の縁1390は放出部材1388のハウジング1393の隙間(後で説明)よりも大きな直径を持っていてもよい。そして捕捉または固定部材1394の鉤部1398の切欠き直径部分よりも大きい直径であってもよい。
【0099】
なおも
図13、16A〜17Cを参照すると、放出部材のハウジング1393は放出部材1388の少なくとも一部を囲んでよい。放出部材のハウジング1393は、概ね平坦なプレート1393を含み、かつロック装置1345の表面プレート1347の一部も含んでよい。概ね平坦なプレート1393は、ねじなどの1つまたは複数の締め具を介して、ロック装置1345の表面プレート1347に連結されていてもよい。ハウジング1393の概ね平坦なプレートと表面プレート1347が一緒になって、放出部材1388の円筒形本体1389が放出部材のハウジング1393内部で選択的に延伸と縮退をすることが可能となるカラーを画定してもよい。ただし、放出部材1388の底部のフランジ状の縁1390が放出部材のハウジング1393から延伸可能となることは阻止される。放出部材1388の円筒形本体1389は、付勢用のバネ1391によって放出部材のハウジング1393のカラーを通して上方向に付勢されてもよい。適切な組み合わせまたは鍵がロック装置1345に挿入された後、解放部材1360が作動された場合、ケーブルヘッド1395とネック1396がロック装置1345内に固定されていた状態からばね1391によって放出されてもよい。解放部材1360が作動されず、ケーブルヘッド1395とネック1396がロック装置1345内部に受け止められている場合、放出部材1388は放出部材ハウジング1393内部に受け止められて、ばね1391が放出部材1388に荷重を掛ける。そうして解放部材1360が最終的に作動されるときに、ケーブルヘッド1395とネック1396を弾き出せるように備えてもよい。
【0100】
図16A〜17Cを参照して、ケーブル1392の選択的固定に関連するロック装置1345の操作を次に説明する。
図16A、17Aを参照すると、解放部材1360が作動されていない時、ケーブルヘッド1395は、捕捉または固定部材1394の鉤部1398がケーブル1392のネック1396に係合して、ロック装置1345内に固定される。
図16B、17Bにおいて、解放部材1360が作動されると、ケーブルネック1396とケーブルヘッド1395が、ロック装置1345から解放されてよい。より具体的には、例えばユーザが解放部材1360の隆起部分を押して解放部材1360が作動されたとすると、それによって解放部材1360は、そこを中心として解放部材1360がロック装置1345の中間プレート1366及び/または表面プレート1347に連結されている枢動点1364に対して枢動を起こす。解放部材1360が枢動すると、解放部材1360の隆起部1362が解放部材1360の枢動点1364に関して円弧を描いて移動し、そうすることによって捕捉または固定部材1394のフランジ1397と係合する。それによって捕捉または固定部材1394が横方向へ摺動してケーブルネック1396とケーブルヘッド1395から後退して離れる。ケーブルネック1396とケーブルヘッド1395が捕捉または固定部材1394の鉤部1398の少なくとも一部から離れると、ケーブルコネクタのヘッド1395に掛かる、ばねで付勢された放出部材1388の上向きの力によって、ケーブル1392が弾き出されてもよい。
【0101】
図16C、17Cにおいて、ケーブル1392がロック装置1345から解放されて、ユーザが解放部材1360を放すと、捕捉または固定部材1394はばね1399の付勢力によって再度横方向に摺動して、放出部材1388の延伸した円筒形本体1389に係合する。ただし、放出部材1388の円筒形本体1389の直径はケーブルヘッド1395の直径とほぼ同じでかつケーブルネック1396の直径よりは大きいので、捕捉または固定部材1394は
図16A、17Aの位置よりも少し横にずれた位置となる。こうして捕捉または固定部材1394のフランジ1397と解放部材1360の隆起部1362との間に空隙が生じる。この位置で、捕捉または固定部材1394は固定すべきケーブルヘッド1395の挿入に備える。次に
図16A〜17Aに戻ると、ケーブルヘッド1395が再度ロック装置1345の固定用リセスまたは受け穴1353の近くに配置されると、ケーブルヘッド1395が放出部材1388の円筒形本体1389に係合し(この両者はほぼ同じ直径であってよい)、ケーブルヘッド1395を挿入する力が、放出部材1388を放出部材ハウジング1393内に後退させる際に放出部材ばね1391を付勢してもよい。ケーブルネック1396が捕捉または固定部材1394の底部分を通過すると、捕捉または固定部材1394は横方向への摺動を継続して、最終的には
図16A、17Aに示す、ケーブル1392のネック1396をきちんと囲む位置に戻る。放出部材1388の円筒形本体1389が、ケーブルヘッド1395が第3の固定用リセスまたは受け穴1353に挿入されるまで、及びまさに挿入されているその時も、捕捉または固定部材1394を横にずらした状態に保つので、捕捉または固定部材1394の頂部がカムの付いた表面となっていなくてもケーブルヘッド1395をロック装置1345内へ挿入させることができる。
【0102】
次に
図14、15に戻ると、組合せダイアル1359が正しい組合せコードを示し、及び/またはタンブラー錠1371が作動されると、ロック装置1345とロック機構1358は、第1と第2の引き手及びケーブルコネクタをロック装置1345から解放する。ただし他の実施例では、2つ以上の解放部材(図示せず)がケーブルコネクタと引き手を選択的に別々に解放してもよいし、あるいは、1つの解放部材(図示せず)が2つの異なる方法で作動されるかまたは異なる作動水準(例えば第1と第2の移動段階)において、ケーブルコネクタと引き手を別々に選択的に解放してもよい。
【0103】
本明細書に記載の二重ロックシステム124、724は、手荷物ケースの別の1つ以上の収納部のジッパースライダを操作可能に固定するケーブルと関連して、1つのロック装置145、745、1345を手荷物ケースの1つ以上の収納部のジッパー引き手に対して使用できるようにする。こうして、手荷物ケースのユーザは、ジッパースライダや引き手が必ずしも相互に近い位置に配置できない手荷物ケースの場合も含めて、手荷物ケースの2つ以上の異なる収納部へアクセスするのに複数の錠、組合せ、鍵などを持つ必要がなくなる。更に
図13〜17Cでは、一例のロック装置のロック機構において、この単一ロック装置内に固定されたジッパー引き手とケーブルを解除部材の一動作で解放することが可能であり、従ってユーザの操作を容易にできる。ただし前述したように、他の例では一つ又は複数の解除部材が使用される場合があり、また単一の解除部材を2つ以上の異なる様式で作動させる場合もある。
【0104】
ロックシステムに従った装置及び関連の方法が、本発明の原理を説明するための特定の実施形態を参照して記述された。したがって、上記の記述は説明のためのものであって、制限するためのものではない。記述された実施形態の様々な修正及び変更が、本明細書における教示に照らして当業者には明らかであろう。当業者は、例えば本明細書に明示的に表示または記載されてはいないが、本明細書に記述された原理を具現化し、従って本発明の精神と範囲に含まれる様々なシステム、構成及び方法を考案することは可能である。従って、開示された実施形態のそのような変更、変形、修正のすべては、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内にあることが意図されている。
【0105】
図1〜17Cには縦型手荷物ケースの二重ロックシステムが示されているが、同様の二重ロックシステム124、724を、硬質外殻型(射出成形プラスチックなど)、半硬質型(ナイロンなど)、混合型(一部が硬質外殻で一部が軟質側面の)、又は全体が軟質側面の手荷物ケースや、ダッフルバッグやバックパックなどを含むバッグにも使用してもよい。更には、本明細書では様々な収納部やポケット(例えば、前ポケット収納部、上ポケット収納部、主収納部、前側収納部、第1収納部など)を参照したが、これらは単なる例示であって制限するためのものではないことを理解されたい。
【0106】
二重ロックシステム124、724は、機内持ち込み手荷物ケース又は預け入れ手荷物ケースに利用されてよい。本明細書に記載の二重ロックシステム124、724の様々な特徴が、本明細書に記載のその他の特徴と組み合わされてもよい。例えば、
図6Aに示した解除部材は
図6Cに示した鍵受けと組み合わせてもよい。変更の別の例としては、
図7〜10Cではケーブルを前ポケットに使用するように説明したが、このケーブルは、主収納部の防護にも併せて又は代替的に使用してよい。あるいは、ケーブル端部をロック装置に固定する前に、例えば椅子の脚やアームの周りに巻きつけて、柱や動かないものなどの固定物に手荷物ケースを固定するのに利用してもよい。変更の別の例としては、
図13〜17Cに示して説明したロック装置は、ケーブルの接続部を解放するのと同時に第1と第2のジッパー引き手を解放する解除部材を含んだが、ロック装置にはこれに代わって、第1と第2のジッパー引き手を解放する1つの解除部材と、それとは独立してケーブルの接続部を解放する第2の解除部材が含まれてもよい。あるいはまた、これらの機能のために1つの解除部材を使用するが、その解除部材はこれらの異なる機能を果たすために2つの異なる方向に係合されていてもよい。一般的に、多くの異なるタイプのロック装置が、本明細書に記載の二重ロックシステム124、724に使用されてもよい。一般に、
図1〜17Cの教示とそれに伴う説明は、本明細書に記載の任意の実施例に適用されてよい。
【0107】
適切である場合には様々な図面を通じて、共通の構造と方法の特徴に対して共通の参照番号及び用語を用いた。しかし、説明の目的で、類似または同様の構造または方法の要素に対して場合によっては独自の参照番号及び用語を使用した。したがって、類似または同一の構造または方法要素に対して、共通または異なる参照番号又は用語を使用することは、本明細書において説明した以上の類似性または差異を暗示する場合もしない場合もある。
【0108】
本明細書において直接的又は間接的に説明した方法において、様々なステップと操作が1つのあり得る操作順序において記述されているが、当業者であれば、ステップと操作は開示された実施形態の精神と範囲から必ずしも乖離することなしに、再編成、置き換え又は削除されうることが理解されるであろう。
【0109】
すべての相対的かつ方向性を示す参照(例えば、上方、下方、上方向、下方向、左、右、左方向、右方向、上部、底部、側、上、下、前、中間、後、垂直、水平、時計方向、反時計方向)は、本明細書で記述した特定の実施形態を読者が理解する助けとするための例として与えられるものである。これらは、特許請求の範囲に明記されない限りは、特に本発明の位置、方向、又は利用に関する要求または制限として理解されるべきではない。接続に関する参照用語(取り付ける、連結する、接続する、接合する、など)は、広義に理解されるべきであって、要素同士の接続、及び要素同士の相対運動の間に中間的な部材が含まれていてもよい。そのように、接続を表す参照用語は、特許請求の範囲に明記されない限り、必ずしも2つの要素が直接接続されていて相互に固定関係にあることを暗示するものではない。
【0110】
ある例においては、部品は、特定の特性を有するか、及び/又はほかの部分に結合された“端部”という用語で記述される。ただし、当業者であれば、開示された実施形態は、他の部分との接続点を越えると直ちに終端となる部品に限定されないことを理解するであろう。従って、“端部”という用語は、特定の要素、リンク、部品、部分、部材などの末端に、隣接するか、その後方にあるか、前方にあるか、またはそれ以外の近いところにある領域を含むものとして、広範囲に解釈されるべきである。