特許第6247699号(P6247699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247699
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】熱検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20060101AFI20171204BHJP
   C10J 3/48 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G01K1/14 H
   G01K1/14 K
   C10J3/48
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-545070(P2015-545070)
(86)(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公表番号】特表2016-504575(P2016-504575A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013069465
(87)【国際公開番号】WO2014085071
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年7月24日
【審判番号】不服2017-1612(P2017-1612/J1)
【審判請求日】2017年2月3日
(31)【優先権主張番号】61/731,927
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510089188
【氏名又は名称】ルムス テクノロジー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チチェスター、 スティーブン、 エルマー
(72)【発明者】
【氏名】ヒッキー、 マイケル、 ジェームス
【合議体】
【審判長】 清水 稔
【審判官】 須原 宏光
【審判官】 関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−509995(JP,A)
【文献】 実開昭54−65906(JP,U)
【文献】 実開昭53−113205(JP,U)
【文献】 特表2010−535895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
C10J 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火壁と、
前記耐火壁の完全に内側に存在する、温度検出先端端部を備えた熱センサと、
前記耐火壁の一部として突出耐火煉瓦と
を備え、前記突出耐火煉瓦が端壁を形成するブラインドホールにおいて前記突出耐火煉瓦が前記温度検出先端を取り囲む、ガス化器用の温度測定システム。
【請求項2】
前記突出耐火煉瓦が、前記熱センサの先端端部を完全に取り囲み、前記ガス化器の流体流れ中に存在する、請求項1に記載の温度測定システム。
【請求項3】
前記ガス化器の前記流体流れの中へと面する、突出耐火煉瓦の第1の面をさらに備える、請求項2に記載の温度測定システム。
【請求項4】
前記突出耐火煉瓦の第1の面が、概して、前記流体流れに対し上流に向かって向けられている、請求項3に記載の温度測定システム。
【請求項5】
前記突出耐火煉瓦の第1の面が、概して、前記流体流れの全般的な流路に対し90度ではない角度を向いている、請求項4に記載の温度測定システム。
【請求項6】
前記突出耐火煉瓦が、第一段ガス化器領域の境界を形成する第2の耐火煉瓦に接する、突出耐火煉瓦の第2の面をさらに備える、請求項5に記載の温度測定システム。
【請求項7】
第一段ガス化器領域の境界を形成する第3の耐火煉瓦と接する、突出耐火煉瓦の第3の面をさらに備える、請求項6に記載の温度測定システム。
【請求項8】
前記ガス化器の前記流体流れに概して平行な、突出耐火煉瓦の第4の面をさらに備える、請求項7に記載の温度測定システム。
【請求項9】
前記突出耐火煉瓦の第1の面が、前記第2の耐火煉瓦に接する第1の縁を有し、前記突出耐火煉瓦の第1の面が、前記突出耐火煉瓦の第4の面と第2の縁を共有する、請求項8に記載の温度測定システム。
【請求項10】
第一段ガス化器容積を画定する第一段耐火壁を有する第一段ガス化器と、
第二段ガス化器容積を画定する第二段耐火壁を有する第二段ガス化器と、
前記第一段耐火壁から、前記第一段ガス化器容積の方へ突き出る、突出耐火煉瓦と、
前記突出耐火煉瓦が端壁を形成するブラインドホールにおいて前記突出耐火煉瓦内に存在する温度検出先端を有する温度センサと、を備える、ガス化器用の温度測定システム。
【請求項11】
前記第一段耐火壁をともに形成する複数の煉瓦層をさらに備え、前記温度センサが、前記突出耐火煉瓦以外、前記複数の煉瓦層を完全に通り抜けて存在する、請求項10に記載の温度測定システム。
【請求項12】
前記突出耐火煉瓦が、前記複数の煉瓦層から、前記第一段ガス化器容積の中へと突き出る、請求項11に記載の温度測定システム。
【請求項13】
前記突出耐火煉瓦が、
前記第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し90度でない角度を形成する、突出耐火煉瓦の第1の面をさらに備える、請求項12に記載の温度測定システム。
【請求項14】
前記突出耐火煉瓦の第1の面が、前記第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し約45度の角度を形成する、請求項12に記載の温度測定システム。
【請求項15】
前記突出耐火煉瓦の第1の面が、前記第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し約45度の角度を形成する、請求項14に記載の温度測定システム。
【請求項16】
前記温度検出先端が、前記第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路の中に突き出る、前記突出耐火煉瓦の一部に存在する、請求項15に記載の温度測定システム。
【請求項17】
前記突出耐火煉瓦が、前記温度センサの前記温度検出先端が内部に存在するブラインドホールを画定する、請求項16に記載の温度測定システム。
【請求項18】
第一段ガス化器容積を画定する第一段耐火壁を有する第一段ガス化器と、
第二段ガス化器容積を画定する第二段耐火壁を有する第二段ガス化器と、
温度検出先端を有する温度センサと、
前記第一段耐火壁から前記第一段ガス化器容積の方へ突き出る、突出耐火煉瓦と、を備え、
前記突出耐火煉瓦が、前記突出耐火煉瓦が端壁を形成し前記温度センサの前記温度検出先端が内部に存在するブラインドホールを画定する、ガス化器用の温度測定システム。
【請求項19】
前記温度センサを取り囲む保護金属スリーブをさらに備え、前記温度センサの前記温度検出先端が、前記第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路の中に突き出る前記突出耐火煉瓦の一部に存在する、請求項18に記載の温度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)に従って、2012年11月30日に出願された米国仮出願第61/731,927号に基づく優先権を主張する。本出願は、当該米国仮出願に記載された全ての内容を援用する。
【0002】
開示の分野
本開示は、高温及び腐食環境にさらされる熱センサの物理的保護に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
合成ガス製造施設内のスラッギングガス化器において、温度調節を制御するため、スラッギングガス化器内の第一段位置での温度を測定するのに、熱センサを使用することができる。スラッギングガス化器内の温度を制御することにより、固体供給合成ガス変換を最適化でき、耐火物摩耗率や、スラッギングガス化器に関連するメンテナンスコストを減らすことができる。スラッギングガス化器内の温度測定には現在の熱センサが有効であることが証明されているものの、その使用に制限がない。そこで、必要とされるのは、温度を正確に測定し、スラグを蓄積せず、その周囲との物理的接触に耐え、現在の温度測定装置より耐用年数が長い装置である。
【発明の概要】
【0004】
開示の簡潔な要旨
本開示の教示は、二段式スラッギングガス化器用の温度測定システムを含むことができる。第一段ガス化器領域では、第一段ガス化器容積を第一段ガス化器の耐火壁によって画定することができる。第二段ガス化器は、第二段ガス化器容積を画定する第二段ガス化器耐火壁を有することができる。突出耐火煉瓦は、第一段耐火壁の通常の内側の壁面を越えて突出し、第一段ガス化器容積に向かって中へと突き出てよい。温度検出先端を有する温度センサはこの突出耐火煉瓦の内部にあってよいが、突出耐火煉瓦を完全には通り抜けない。
【0005】
複数の煉瓦層が一緒に、第一段ガス化器容積の周囲境界を提供する第一段耐火壁を形成することができる。温度センサは、複数の煉瓦層を完全に突き抜けて突出耐火煉瓦内へと存在してよいが、この突出耐火煉瓦を完全には通り抜けない。突出耐火煉瓦は、中にブラインドホールを有することができ、このブラインドホールの中に温度センサの温度検出先端が存在する。さらに、温度検出先端は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路の中に突き出る、突出耐火煉瓦の一部に存在することができる。
【0006】
突出耐火煉瓦は、多数の面を有してよく、いくつかは流体流れの全般的な流路に直接さらされ、いくつかは流体流れの全般的な流路にさらされない。突出耐火煉瓦の第1の面は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し、約45度の角度を形成することができ、この第1の面は流体流れにさらされてよい。突出耐火煉瓦の第1の面は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し、90度でない任意の角度を形成することもできるし、90度の角度を形成することもできる。突出耐火煉瓦の第1の面は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し、約45度の角度を形成する。突出耐火煉瓦の第2の面は、隣り合う耐火煉瓦に接してよい。突出耐火煉瓦の第3の面は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に単に平行であってよい。
【0007】
本発明及び本発明による利益は、添付の図を併用した以下の説明を参照することにより、より完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の教示を用いることのできる合成ガス製造施設の図である。
図2図2は、本開示の教示に基づく熱センサ構造物の位置を示すガス化器の拡大図である。
図3図3は、本開示の教示に基づく熱測定装置の側面図である。
図4図4は、本開示の教示に基づく熱測定装置の位置を図示するガス化器壁の断面図である。
図5図5は、本開示の教示に基づくガス化器壁内部に配置される熱測定装置を図示するガス化器壁の拡大側面図である。
図6図6は、本開示の教示に基づくガス化器壁の耐火煉瓦の側面図である。
図7図7は、本開示の教示に基づくガス化器壁の耐火煉瓦の側面図である。
図8図8は、本開示の教示に基づくガス化器壁の耐火煉瓦の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
具体的な説明
図1〜8を参照し、図1から始めると、発明の特徴及び概念が表されている。しかしながら、本発明は図1〜8に記載又は図示される実施形態に限定されない。図1は、二段式ガス化器12を備える合成ガス製造施設10を示す。二段式ガス化器12のための供給調製においては、瀝青炭及び亜瀝青炭等の低コスト原料、又は石油コークスを、粉砕−混合機14で砕いて水と混合し、揚送可能なスラリーを形成する。このスラリーは、スラリー槽18からポンプ16によってくみ上げられ、酸素プラント22からの酸素20とともに、二段式ガス化器12に送り込まれる。二段式ガス化器12内ではガス化が起こり、スラリー26と酸素20が、二段式ガス化器12内の第一段ガス化器領域24内で酸素と容易に反応し、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及びメタンを形成する。ガス化中、二段式ガス化器12内部の第一段ガス化器領域24は、全ての原料の完全な変換を保証するよう、高温(例えば、カ氏2,600〜2,700度)になるまで昇温される。水平な第一段ガス化器領域24からの合成ガスは、最終的には、垂直な第二段ガス化器領域28に入る。第二段ガス化器領域28に入る前に、付加的なスラリー26が、二段式ガス化器12の喉状通路30等において、第一段ガス化器領域24と第二段ガス化器領域28の間を通るガスに加えられる。第二段ガス化器領域28内部で行われるプロセスは、効率を高め、酸素の消費を削減する。石炭から出る無機材料は、粗砂に似たガラス状の母材中に捕捉される。この砂状の材料はスラグと呼ばれ、不活性で、建築業界等で幅広く用いられる。通常は、ガス化プロセスから灰の廃棄物は生じない。
【0010】
合成ガス製造施設10は、特有の煙管合成ガスクーラーを使用して、熱を回収し、蒸気発生器32内に高圧蒸気を生み出す。ガスタービン発電機40からの電力に加えて、蒸気発生器32内に生み出された蒸気が、蒸気パイプ34,36内を蒸気タービン発電機38へと送られ電力を生み出す。合成ガス製造施設10は、キャンドルフィルタ要素42を組み込んで、キャンドルフィルタ要素42に流れ込む合成ガスから全ての微粒子を取り除いてもよい。このシンプルな乾式システムは、湿式洗浄システムより大幅に効率がよく、より多くの微粒子を取り除く。キャンドルフィルタ要素42を通って流れる合成ガスは、再生チャーを生みだし、これを、チャーパイプ44を介して、二段式ガス化器12の第一段ガス化器領域24の中へと向けることができる。
【0011】
酸性の合成ガスは冷やされているので、蒸気をガス流へと注入する。触媒反応が続いて起き、合成ガスの水素含有量を高める。この「シフト」設備の大きさは、二段式ガス化器12の第二段ガス化器領域28で先に前もって起こった変換プロセス反応の結果、プロセスにおいて最小化される。酸性水は、タンク48から酸性水供給管46を通って粉砕−混合機14へと流されてもよい。一連の化学プロセス工程において、塩化物、水銀及び硫黄汚染物質は、タンク48から汚染物質除去領域の容器52へと流れた後、合成ガス流から取り除かれる。水銀54は、認可されたサイトで廃棄用カーボンベッドに捕捉され、合成ガス中の硫黄56は回収され、農業及び他の市場で売ることのできる硫黄元素に変換される。合成ガス製造施設10のプロセスは、未変換の廃ガスを再循環させて、硫黄回収に関して優れた成功を提供する。二酸化炭素(CO2)の捕捉は、従来のボイラー燃焼技術に比べ何分の一かの費用で経済的に達成することができる。というのも、CO2流れ60中の二酸化炭素を合成ガスから分離し、使用の例として、消費者製品中で用いるために乾燥、圧縮する、又は、油回収を改良するために地下に注入されるからである。水素流れ58中のクリーンで水素に富んだ合成ガスを、ガスタービン発電機40内で使用して電力を生み出すことができ、ガスタービン発電機40のクリーンな排ガス61流れから回収した熱を、蒸気タービン発電機38のための付加的な蒸気を生み出すために使用することができる。最適化した固体供給合成ガス変換を確実にし、ガス化器耐火物摩耗率とメンテナンスコストを減らす、強化された第一段ガス化器温度測定及び制御を改良するために、検出装置62を二段式ガス化器12の壁を通して置いてもよい。
【0012】
図2を見ると、二段式ガス化器12の拡大図が示されており、被覆された又は保護された熱検出器62が、第一段ガス化器領域24を画定する耐熱煉瓦の層を完全に通り抜けて配置されている。図4は、第一段ガス化器領域24を画定する耐熱煉瓦の層の拡大図である。図4を用いて続けると、耐熱煉瓦の層は、二段式ガス化器12の第一段ガス化器領域24の、内径又は内壁から外径又は外壁に向かって、第1の熱面煉瓦層(hot face brick layer)64、第2の熱面煉瓦層66、セーフティライナー煉瓦層68、耐火断熱煉瓦層70(I.F.B.層としても知られる)、セラミックファイバペーパー層72、及び六角格子層74を含むことができる。キャスタブル格子層76が、第一段ガス化器領域24を画定する外側の又は外部の壁の一部を形成してもよい。図4には示していないが、図2に示したように、検出器62は、第一段ガス化器領域24を画定する全ての層を通り抜けてよい。
【0013】
図3を見ると、検出器62は、サファイア熱センサ78等の温度測定装置を利用することができ、これをアルミナ管80で閉じこめる又は取り囲むことができる。サファイア熱センサ78内には熱電対があってよく、熱センサが熱電対を保護することができる。サファイア熱センサ78は水素透過に耐える。第一段ガス化器容積25内部からの水素ガスがサファイア熱センサ78を取り囲む耐火煉瓦を通って染み出る恐れがあるため、熱電対のワイヤは、水素ガス及びスラグ腐食から十分に保護される。本明細書で用いられるように、「熱電対」という用語は、熱検出器であって、熱電対センサ及びワイヤ、及び、任意の支持手段、断熱手段、保護手段、又は、熱電対センサ及びワイヤに付随して用いられる取付手段を含んでよい。この場合、アルミナ管80は、セラミックファイバペーパー82内に接触して巻き付けられてもよい。スチール管84は、検出装置62の全長の少なくとも一部に対し、サファイア熱センサ78とセラミックファイバペーパー82にかぶせて置かれてよい。スチール管84は、第1のフランジ86に取り付けることができ、このフランジは第2のフランジ88に取り付けることができる。金属スリーブ90は、第1のフランジ86に当接して取り付けられ、金属スリーブは、円筒形であって、金属スリーブの保護先端端部91以外で、サファイア熱センサ78を完全に取り囲むことができる。保護先端端部91は開いており遮るものなく形成でき、検出装置62を用いて正確な温度を読みとれるようにサファイア熱センサ先端79に自由に空気を流すことができる。スチール管84を取り囲む空間96の体積、より具体的には、スチール管84と金属スリーブ90との間の空間の体積には、セラミックファイバペーパー94を、例えば、工具を用いて押し込んで、及び/又は、手で詰め込んで、取り付けることができる。このようなセラミックファイバペーパー94の工具での押し込み及び/又は手での詰め込みは、金属スリーブ90を第2のフランジ88に取り付ける(例えば溶接する)前に終えることができる。金属スリーブ90を第1のフランジ86と第2のフランジ88に取り付け終わった後、サーマルマネジメント材料を、アルミナ管80の周り、例えば、空間98の体積内のアルミナ管80と金属スリーブ90の間に設置することができる。サーマルマネジメント材料は、SAFFILブランドのファイバであってよく、これは、熱に耐え、又は熱バリアとして働き、金属スリーブ90内でのアルミナ管とサファイア熱センサ78の動きを阻止する構造的支柱を提供することができる。サーマルマネジメント材料は、金属スリーブ90内のサファイア熱センサ78用のセンタリング装置として働いてもよい。金属スリーブ90は、サファイア熱センサ78のための保護シースである。本開示に適用可能な熱センサの他の例としては、超音波熱センサ、熱電対、光学的温度測定及び音響又は音波温度測定が挙げられる。
【0014】
温度応答、つまり、熱電対応答に反映されるべきガス化器温度の変化にかかる時間は、熱電対と、第一段ガス化器容積25のガス化器ゾーン又は容積との間の煉瓦層の厚みに一部依存する。さらに、熱面煉瓦のマイナーな断熱効果が、熱面煉瓦の裏側に取り付けられる熱電対に結果として生じ、実際のガス温度より読み値が低くなる可能性がある。時間遅延及び温度差は、温度又は熱電対センサと第一段ガス化器容積25との間の熱面煉瓦の層厚が増すにともないより著しくなる。従って、熱電対センサと第一段ガス化器容積25との間の熱面煉瓦の層の厚みは、約12インチ(31cm)未満、好ましくは9インチ(23cm)未満、より好ましくは約6インチ(15cm)未満、最も好ましくは約4.5インチ(12cm)未満でなければならない。同時に、熱面煉瓦は、溶融スラグと第一段ガス化器容積の雰囲気に晒され、熱面煉瓦がすり減る恐れがある。この摩耗は、熱電対前方の熱面煉瓦の厚みが減ることによって生じる応力により加速される恐れがある。従って、熱面煉瓦の厚みは、好ましくは2インチ(5cm)より大きい、より好ましくは約3.5インチ(8.9cm)より大きい。より量の多い溶融スラグ、つまり約0.1重量パーセントより多いスラグを生み出す炭化水素系原料の場合、熱面煉瓦の厚みは、好ましくは約3.5インチ(8.9cm)より大きい、より好ましくは約4インチ(10cm)より大きい。アルミナ管80によって包み込む又は取り囲むことができるサファイア熱センサ78を用いることにより、温度応答時間をより短く、又は削除することもできる。
【0015】
図5を見ると、耐火煉瓦壁部分99の拡大図が図示されており、この壁部分を検出装置62が通り抜ける。耐火煉瓦壁部分99は、図4と関連して説明した特徴を有してもよく、検出装置62は、第1の熱面煉瓦層64、第2の熱面煉瓦層66、セーフティライナー煉瓦層68、耐火断熱煉瓦層70、セラミックファイバペーパー層72、六角格子74、及び、外側煉瓦層75を通り抜け、この外側煉瓦層は二段式ガス化器12の最外層であってよい。検出装置62の保護先端端部91は、第一段ガス化器領域24の境界を画定する内側表面104を通り越して突出しても、突出しなくてもよい。検出装置62の保護先端端部91が第一段ガス化器領域24の境界を画定する内側表面104を通り越して突出するかどうかに関係なく、保護先端端部91は、突出耐火煉瓦100の内部に存在する。保護先端端部91は、突出耐火煉瓦100の内部に完全に存在し、突出耐火煉瓦100内部の、くりぬかれるか鋳造されるかした穴102に、検出装置62をさらに侵入させるか挿入させると、まるで先端端部が延び続けて金属スリーブ90を長くするかのように、保護先端端部91を、金属スリーブ90の長手方向端部に隣接する端部壁を画定する内側表面に突き当たらせるだろう。少し別の言い方をすれば、検出装置62の保護先端端部91は穴102に差し込まれ、サファイア熱センサ78とこれを取り囲むアルミナ管80は穴102の壁により完全に取り囲まれる。穴102は円筒形であってよい。穴102はまた、スルーホール又はスルーアンドスルーホールでないため、ブラインドホールとして知られていてもよい。
【0016】
突出耐火煉瓦100は、図5に示されるように、内部又は二段式ガス化器12の第一段ガス化器領域24として知られる容積に向かって面する第1の熱面煉瓦層64の概して整合的な表面又は面110を越えて突出する又は侵食するため、「突出」と見なされ、又は「突出」と呼ぶことができる。突出耐火煉瓦100と、検出装置62の保護先端端部91を収納すること(housing)の利点は、本明細書で表される。
【0017】
続けて図5によると、検出装置62用の穴102(例えばブラインドホール)を備える耐火煉瓦であってよい突出耐火煉瓦100は、内側の第一段ガス化器領域24の境界の一部を形成する耐火煉瓦として内在してよい。図5に示すように、突出耐火煉瓦100は、突出する耐火煉瓦として公知であって、内側の第一段ガス化器領域24の中に突き出し、酸素20とスラリー26の複合又は混合流れの中へと突き出ることができる。酸素20とスラリー26の複合又は混合流れは、突出耐火煉瓦100の面106に接触してよい。突出耐火煉瓦100の面106は、平らであってよく、第一段ガス化器領域24の境界を形成する内面の当接する又は隣接する面110と鈍角を形成してもよい。突出耐火煉瓦100の面106は、第一段ガス化器領域24の境界を形成する内面の当接する又は隣接する面110と90度を超える角度を形成してもよい。酸素20とスラリー26の複合又は混合流れが平らな面106に突き当たるとき、このような複合又は混合流れ20,26は、平らな面106に沿う方向に向けられ、その後、突出耐火煉瓦100から離れて、第一段ガス化器領域24の中央又は中心領域の方に向けられる。複合又は混合流れ20,26が突出耐火煉瓦100に突き当たって、耐火煉瓦は、間違いなく、複合又は混合流れ20,26と一致した又は同等の温度まで温められる。複合又は混合流れ20,26が突出耐火煉瓦100を温めるため、内部に保護先端端部91が存在する空隙112もまた、複合又は混合流れ20,26の温度まで温まる。内部にサファイア熱センサ78が存在する保護先端端部91が温められると、サファイア熱センサ78は、空隙112の温度、よって、空隙112を温める複合又は混合流れ20,26の温度を正確に検知する。
【0018】
図6〜8は、突出耐火煉瓦100をさらに詳細に示した、突出耐火煉瓦100の側面図である。図6は穴102を表し、これはスルーホールでなく下げ止まっており、穴102の円筒形部分を取り囲む煉瓦材料114を有する。穴102は、スルーホールでない、ブラインドホールであってもよい。煉瓦材料はまた、穴102を画定する下げ止まり部分又は端壁118を画定する端壁116を形成する。図6はまた、平らな面106を表し、この面は、第一段ガス化器領域24に取り付けられるとき隣接する又は当接する耐火煉瓦の煉瓦面110と鈍角108(図5)を形成するよう、突出耐火煉瓦100に形成される。図7は、突出耐火煉瓦100の向かい合う両側面にある平らな面に相当する煉瓦面120及び煉瓦面122を表す。平らな面120,122は平行でなく、それらの面が無限平面において延長される場合交差するように向けられる。さらに、面120の縁と面122の縁は、曲面又は凸面128の境界端部を形成し、この面は、中に穴102が作られる面である。突出耐火煉瓦100の、曲面128に向かい合う側には、平らな面130が存在し、平らな面130は、穴102がブラインドホールであるため、面を通り抜けるくりぬかれた穴をもたない。
【0019】
本開示について少し別の言い方をすれば、二段式ガス化器12用の温度測定システムは、耐火煉瓦壁部分99を形成するための耐火煉瓦の層であってもよい耐火壁と、耐火煉瓦壁部分99内に完全に又は部分的に存在する、温度検出先端79を有する端部91を備えた検出装置62(例えば熱センサ)とを使用してもよい。温度測定システムは、耐火煉瓦壁部分99の一部として突出耐火煉瓦100を使用してもよく、この際、突出耐火煉瓦100は温度検出先端79の端部91を取り囲む。突出耐火煉瓦100は第一段ガス化器領域24の流体流れの中に存在する。突出耐火煉瓦100は多数の面を有してよく、突出耐火煉瓦の第1の面106は、第一段ガス化器領域24内部の混合流体流れ20,26の中へ又は流れの方へ向いていてよい。突出耐火煉瓦の第1の面106は、概して、混合流体流れ20,26の流れ方向に対し上流に向かって向けられてよい。別の実施例では、突出耐火煉瓦の第1の面106は、平らであってよく、通常、流体流れ20,26の全般的な流路に対し90度でない角度で置かれる。突出耐火煉瓦100は第2の面119を有してよく、これは平らであってよく、第2の耐火煉瓦109と接し、この第2の耐火煉瓦109は第一段ガス化器領域24の境界を形成し、第一段ガス化器領域24内部の流体流れ20,26のガス流路と接触する。突出耐火煉瓦100は、第3の面130を有し、これは、第一段ガス化器領域24を通る混合流体流れ20,26に概して平行である。突出耐火煉瓦の第1の面106は、突出耐火煉瓦の第3の面130と交差するため、縁を共有してよい。突出耐火煉瓦の第1の面106は、隣接する第2の耐火煉瓦109と接する縁を有してよい。突出耐火煉瓦の第1の面106は、第2の耐火煉瓦109と接する第1の縁を有し、突出耐火煉瓦の第1の面106は、突出耐火煉瓦の第3の面130と第2の縁を共有する。
【0020】
別の実施例では、ガス化器用の温度測定システムが、第一段ガス化器容積25を画定する第一段耐火煉瓦壁98を有する第一段ガス化器領域24と、第二段ガス化器容積を画定する第二段耐火壁29を有する第二段ガス化器領域28とを使用してよい。突出耐火煉瓦100は、第一段耐火煉瓦壁98の内側表面104から、第一段ガス化器容積25の方へ突出する。温度検出先端79と保護先端端部91とを有する温度検出装置62は、突出耐火煉瓦100の内部に存在してよい。第一段ガス化器領域24は、第一段耐火壁98をともに形成する複数の煉瓦層64,66,68,70,75を使用してよい。温度センサ62は、突出耐火煉瓦100を除いて、複数の煉瓦層を完全に通り抜けて存在する。突出耐火煉瓦100は、複数の煉瓦層、特に第一段ガス化器容積25を画定する内側表面104から、第一段ガス化器容積25の中へと突き出る。突出耐火煉瓦の第1の面106は、第一段ガス化器容積25を通る混合流体流れ20,26の全般的な流路に対し90度でない角度を形成してよい。突出耐火煉瓦の第1の面106は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路に対し45度又は約45度の角度を形成してよい。突出耐火煉瓦の第1の面106は、第一段ガス化器容積25を通る混合流体流れ20,26の全般的な流路に対し約45度の角度を形成してよい。突出耐火煉瓦の第1の面106は、第一段ガス化器容積を通る流体流れの全般的な流路と反対して向けられてよい。検出先端79の端部91は、第一段ガス化器容積25を通る混合流体流れ20,26の全般的な流路の中へと突出する、突出耐火煉瓦100の一部分に存在する。突出耐火煉瓦100は、サファイア熱センサ78の温度検出先端79が内部に存在するブラインドホール102を画定する。温度検出先端79は、第一段ガス化器容積25を通って流れる混合流体流れ20,26の全般的な流路の中へと突き出る、突出耐火煉瓦100の一部分に存在してよい。
【0021】
本開示の教示には多くの利点がある。1つの利点は、サファイア熱センサ78の温度検出先端79、又は熱センサが用いられるものは何でも、第一段ガス化器24を通る混合流体流れ20,26との直接接触から保護されることである。突出耐火煉瓦100が被覆又は保護領域を提供し、混合流体流れ20,26と同じ温度になるため、温度検出先端79は混合流体流れ20,26及び混合流体流れ20,26からの熱せられたデブリの残留蓄積から保護されるだけでなく、混合流体流れ20,26に対して正確な温度を得ることができる。そして、混合流体流れ20,26が温度検出先端79の中に直接向けられていないため、サファイア熱センサ78の寿命をのばすことができる。さらに、金属スリーブ90もまた、サファイア熱センサ78の温度検出先端79を含むサファイア熱センサ78の全長を保護する。温度検出先端79は金属スリーブ90の保護先端端部91により保護される。
【0022】
締めくくりに、任意の参考文献について、とりわけ本出願の優先日後に公開された任意の参考文献についての議論は、それが本発明にとっての先行技術であると認めるわけではないことに留意すべきである。同時に、以下の請求項1つ1つは、本発明の付加的な実施形態として、この詳細な明細書に含まれる。
【0023】
本明細書に記載のシステム及びプロセスを詳細に記載したが、以下の請求項により定義される本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え及び修正が可能であると理解されるべきである。当業者であれば、好ましい実施形態を研究し、本明細書の記載と全く同じではない、発明を実施するための他の方法を特定することができるであろう。本発明の変形及び同等のものは請求項の範囲内に入り、一方、明細書、要約及び図は本発明の範囲を限定するために用いられないことが、発明者の意図するところである。本発明は、具体的には、以下の請求項及びそれらと同等のものと同じくらい広範囲であることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8