(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成においては、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに、駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードに流れてしまい、発光ダイオードの寿命が低下する可能性が考えられて、改良の余地がある。
【0007】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、発光ダイオードの寿命が低下することを抑制可能なライト点灯制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するべく、本発明は、ライトの光源である発光ダイオードの駆動状態を制御する演算処理装置と、昇圧回路と、を備えたライト点灯制御装置において、前記演算処理装置は、前記発光ダイオードをオン及びオフする点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出するスイッチオン検出部
、並びに前記昇圧回路の前記出力電圧値が前記発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くなったことを検出する低電圧検出部を備え、前記点灯スイッチが前記オフ状態から前記オン状態へ切り替わったことを前記スイッチオン検出部が検出することにより、前記昇圧回路の昇圧動作を停止することによって、前記昇圧回路の出力電圧値を前記発光ダイオードの順方向電圧値よりも低く
し、前記低電圧検出部により前記昇圧回路の前記出力電圧値が前記発光ダイオードの前記順方向電圧値よりも低くなったことが検知された後は、前記発光ダイオードに流れる電流値が目標値になるように前記昇圧回路の前記出力電圧値を制御することを第1の局面とする。
【0010】
本発明は、
ライトの光源である発光ダイオードの駆動状態を制御する演算処理装置と、昇圧回路と、を備えたライト点灯制御装置において、前記昇圧回路と前記発光ダイオードの間に第1の端子及び第2の端子が接続されると共に第3の端子に加えられる電圧又は電流で前記第1の端子及び前記第2の端子間に流れる電流が制御されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子の前記第1の端子及び前記第2の端子間に並列に接続された抵抗素子からなる保護バイパス回路
と、を更に備え、
前記演算処理装置は、前記発光ダイオードをオン及びオフする点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出するスイッチオン検出部を備え、前記点灯スイッチが前記オフ状態から前記オン状態へ切り替わったことを前記スイッチオン検出部が検出することにより、前記昇圧回路の昇圧動作を停止することによって、前記昇圧回路の出力電圧値を前記発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであって、前記スイッチオン検出部は、前記昇圧回路の前記出力電圧値に相当する前記保護バイパス回路の上流側の電圧値と前記発光ダイオードの前記順方向電圧値に相当する前記保護バイパス回路の下流側の電圧値との差分値を検出し、前記演算処理装置は、前記点灯スイッチが前記オフ状態から前記オン状態へ切り替わったときに、前記保護バイパス回路の前記上流側の電圧値と前記保護バイパス回路の前記下流側の前記電圧値との前記差分値が所定電圧値以上となったことを検出することに応じて、前記昇圧回路の前記昇圧動作を停止することにより、前記昇圧回路の前記出力電圧値を前記発光ダイオードの前記順方向電圧値よりも低くすることを第
2の局面とする。
【0011】
本発明は、
ライトの光源である発光ダイオードの駆動状態を制御する演算処理装置と、昇圧回路と、を備えたライト点灯制御装置において、前記昇圧回路と前記発光ダイオードの間に第1の端子及び第2の端子が接続されると共に第3の端子に加えられる電圧又は電流で前記第1の端子及び前記第2の端子間に流れる電流が制御されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子の前記第1の端子及び前記第2の端子間に並列に接続された抵抗素子からなる保護バイパス回路
と、を更に備え、
前記演算処理装置は、前記発光ダイオードをオン及びオフする点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出するスイッチオン検出部を備え、前記点灯スイッチが前記オフ状態から前記オン状態へ切り替わったことを前記スイッチオン検出部が検出することにより、前記昇圧回路の昇圧動作を停止することによって、前記昇圧回路の出力電圧値を前記発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであって、前記スイッチオン検出部は、前記保護バイパス回路の下流側の電圧値を検出し、前記演算処理装置は、前記点灯スイッチが前記オフ状態から前記オン状態へ切り替わったときに、前記保護バイパス回路の前記下流側の前記電圧値が所定電圧値以上となったことを検出することに応じて、前記昇圧回路の前記昇圧動作を停止することにより、前記昇圧回路の前記出力電圧値を前記発光ダイオードの前記順方向電圧値よりも低くすることを第
3の局面とする。
【0012】
本発明は、第1から第
3のいずれかの局面に加えて、前記昇圧回路の昇圧動作が停止したときに前記昇圧回路の出力電圧を放電する放電回路を更に備えることを第
4の局面とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の局面にかかるライト点灯制御装置によれば、演算処理装置が、発光ダイオードをオン及びオフする点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出するスイッチオン検出部を備え、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことをスイッチオン検出部が検出することにより、昇圧回路の昇圧動作を停止することによって、昇圧回路の出力電圧値を発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであるため、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードに流れてしまい、発光ダイオードの寿命が低下することを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第
1の局面にかかるライト点灯制御装置によれば、演算処理装置が、昇圧回路の出力電圧値が発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くなったことを検出する低電圧検出部を更に備え、演算処理装置が、低電圧検出部により昇圧回路の出力電圧値が発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くなったことが検知された後は、発光ダイオードに流れる電流値が目標値になるように昇圧回路の出力電圧値を制御するものであるため、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わった後に、省電力である発光ダイオードを光源とするライトを高寿命で点灯することができる。
【0015】
本発明の第
2の局面にかかるライト点灯制御装置によれば、
演算処理装置が、発光ダイオードをオン及びオフする点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出するスイッチオン検出部を備え、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことをスイッチオン検出部が検出することにより、昇圧回路の昇圧動作を停止することによって、昇圧回路の出力電圧値を発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであるため、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードに流れてしまい、発光ダイオードの寿命が低下することを抑制することができる。また、スイッチオン検出部が、昇圧回路の出力電圧値に相当する保護バイパス回路の上流側の電圧値と発光ダイオードの順方向電圧値に相当する保護バイパス回路の下流側の電圧値との差分値を検出し、演算処理装置が、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに、保護バイパス回路の上流側の電圧値と保護バイパス回路の下流側の電圧値との差分値が所定電圧値以上となったことを検出することに応じて、昇圧回路の昇圧動作を停止することにより、昇圧回路の出力電圧値を発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであるため、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードに流れてしまい、発光ダイオードの寿命が低下することを、簡便な構成で確実に抑制することができる。
【0016】
本発明の第
3の局面にかかるライト点灯制御装置によれば、
演算処理装置が、発光ダイオードをオン及びオフする点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出するスイッチオン検出部を備え、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったことをスイッチオン検出部が検出することにより、昇圧回路の昇圧動作を停止することによって、昇圧回路の出力電圧値を発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであるため、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードに流れてしまい、発光ダイオードの寿命が低下することを抑制することができる。また、スイッチオン検出部が、保護バイパス回路の下流側の電圧値を検出し、演算処理装置が、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに、保護バイパス回路の下流側の電圧値が所定電圧値以上となったことを検出することに応じて、昇圧回路の昇圧動作を停止することにより、昇圧回路の出力電圧値を発光ダイオードの順方向電圧値よりも低くするものであるため、点灯スイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードに流れてしまい、発光ダイオードの寿命が低下することを、より簡便な構成で確実に抑制することができる。
【0017】
本発明の第
4の局面にかかるライト点灯制御装置によれば、昇圧動作が停止したときに昇圧回路の出力電圧を放電する放電回路を更に備えるものであるため、昇圧回路の出力電圧値を発光ダイオードの順方向電圧値よりもより迅速かつ確実に低くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態におけるライト点灯制御装置につき、詳細に説明する。
【0020】
[構成]
まず、
図1を参照して、本実施形態におけるライト点灯制御装置の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態におけるライト点灯制御装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態におけるライト点灯制御装置1は、典型的には自動二輪車等の車両等に搭載されると共に図示を省略した電子制御装置の一部をなすものであって、LED(Light Emitting Diode)ライトLの光源を構成するように直列接続された複数の発光ダイオードDの点灯及び消灯を制御するものである。点灯制御装置1は、昇圧回路2、AND回路3、制御回路4、保護バイパス回路5、マイコン6、及び放電回路7を主な構成要素として備えている。
【0023】
昇圧回路2は、制御回路4からの制御信号に従って図示を省略したバッテリからの電源バッテリ電圧を昇圧する昇圧動作を実行してその昇圧電圧を出力することによって、保護バイパス回路5の一部を構成するFET(Field Eeffect Transistor)素子Q1、抵抗素子R2及び外部スイッチSWを順に介して複数の発光ダイオードDに順方向電流であるLED駆動電流を供給する電気回路である。かかる昇圧回路2は、基本的にはLEDライトLの点灯中に複数の発光ダイオードDへの入力電圧(以下、端子電圧と記す)を順方向電圧以上にするために動作されるものである。なお、バッテリからの電源電圧は、典型的には、昇圧回路2に個別に与えられるものではなく、電子制御装置へ与えられるバッテリからの電源電圧を介して与えられるものである。また、外部スイッチSWは、ライト点灯制御装置1外、典型的には電子制御装置外のインストルメントパネルやハンドル等に取り付けられているものである。
【0024】
AND回路3は、制御回路4及びマイコン6から対応して出力されると共に各々がハイレベル及びローレベルの電圧レベルを有する出力信号FET_OUT1及びFET_OUT2同士を論理積演算して、それに応じた出力電圧をFET素子Q1のゲート端子Gに印加することによって、FET素子Q1をオン/オフ動作させる電気回路である。
【0025】
制御回路4は、マイコン6と協働して、複数の発光ダイオードDへ供給するLED駆動電流を定電流値に一致するようにフィードバック制御する電気回路である。また、制御回路4は、マイコン6からのイネーブル信号ENA_OUTの入力の下で、昇圧回路2に制御信号を出力してその昇圧動作を制御すると共に、AND回路3に出力信号FET_OUT1を出力し、AND回路3を介してFET素子Q1のオン/オフ動作を制御することが可能な電気回路であり、イネーブル信号ENA_OUTが入力されるイネーブル端子4aを有する。また、制御回路4は、抵抗素子R2の上流側及び下流側の電位差からLED駆動電流の値を監視する。かかる制御回路4は、機能的には、マイコン6と共に演算処理装置を構成していると考えてもかまわない。なお、制御回路4は、集積回路化されていてもよい。
【0026】
保護バイパス回路5は、P型のFET素子Q1及び抵抗素子R1からなる電気回路である。保護バイパス回路5においては、FET素子Q1は、昇圧回路2と複数の発光ダイオードDとの間にソース端子S及びドレイン端子D(第1の端子及び第2の端子)が接続されると共に、AND回路3を介して制御回路4からゲート端子G(第3の端子)に加えられる電圧レベルに応じてオン/オフ動作することによって、ソース端子Sとドレイン端子Dとの間に流れるべき電流を制御し、抵抗素子R1は、FET素子Q1のソース端子Sとドレイン端子Dとの間に並列に接続されていると共に、FET素子Q1がオフ状態であるときに発光ダイオードDに過電流が流れない程度の大きさの抵抗値を有するものである。なお、保護バイパス回路5では、P型のFET素子Q1を用いることによってソース端子S及びドレイン端子D間に流れる電流が制御されることとしたが、かかるFET素子以外のバイポーラトランジスタ素子等のスイッチング素子を用いることによって、コレクタ端子及びエミッタ端子間に流れる電流が制御されるものであってもよい。
【0027】
マイコン6は、図示を省略するメモリから制御プログラムを読み出してそれを実行することによって、制御回路4と協働して、昇圧回路2を介して複数の発光ダイオードDへ供給するLED駆動電流を定電流値に一致するようにフィードバック制御する演算処理装置である。また、マイコン6は、制御プログラムを実行することによって、スイッチオン検出部6a及び低電圧検出部6bとして機能する。
【0028】
スイッチオン検出部6aは、昇圧回路2から出力された昇圧電圧と、複数の発光ダイオードDへの入力電圧(以下、端子電圧と記す)と、の差分値を検知することにより、複数の発光ダイオードDをオン及びオフする外部スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出する。詳しくは、スイッチオン検出部6aは、昇圧回路2から出力された昇圧電圧に相当する保護バイパス回路5の上流側の電圧と、端子電圧に相当する保護バイパス回路5の下流側の電圧と、の差分値が所定差分値以上となったことを検知することにより、外部スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出する。更に、スイッチオン検出部6aは、昇圧回路2から出力された昇圧電圧に相当する保護バイパス回路5の上流側の電圧と、端子電圧に相当する保護バイパス回路5の下流側の電圧と、の差分値が所定差分値未満になったことを検知する。なお、スイッチオン検出部6aは、かかる差分値に代え端子電圧の値自体を検知するものであってもよい。つまり、スイッチオン検出部6aは、端子電圧の値が所定の閾値以上となったことを検知することにより、外部スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったことを検出してもよく、更に、端子電圧の値が所定の閾値未満になったことを検知してもよい。
【0029】
低電圧検出部6bは、昇圧回路2から出力された昇圧電圧が低電圧検知電圧以下となったことを検出する。ここで、低電圧検知電圧は、端子電圧の順方向電圧の値よりも低い所定の電圧値として予め設定されている。
【0030】
マイコン6は、典型的には、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値以上になった場合には、制御回路4に出力するイネーブル信号ENA_OUTの電圧レベルをハイレベルからローレベルに切り替えて制御回路4の出力動作を含む制御動作を停止すると共に、放電回路7にその放電動作の実行を指示するハイレベルの制御信号DC_ONを出力する。また、マイコン6は、典型的には、昇圧回路2から出力された昇圧電圧が低電圧検知電圧以下となった場合には、制御回路4に出力するイネーブル信号ENA_OUTの電圧レベルをローレベルからハイレベルに切り替えて制御回路4の出力動作を含む制御動作を可能とすると共に、制御信号DC_ONの電圧レベルをハイレベルから放電回路7にその放電動作の停止を指示するローレベルに切り替え、AND回路3に出力するFET_OUT2の電圧レベルをローレベルからハイレベルに切り替える。
【0031】
放電回路7は、制御回路4が昇圧回路2の昇圧動作を停止したときに、昇圧回路2から出力された昇圧電圧を放電する電気回路である。具体的には、放電回路7は、マイコン6からハイレベルの制御信号DC_ONが入力されたときに、その放電動作を開始し、マイコン6からローレベルの制御信号DC_ONが入力されたときに、その放電動作を停止する。
【0032】
[装置全体の動作]
次に、
図2を参照して、本実施形態におけるライト点灯制御装置の動作について説明する。
【0033】
図2は、本実施形態におけるライト点灯制御装置1の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0034】
ライト点灯制御装置1では、
図2(a)に示すように、時刻T=T1において、外部スイッチ(点灯スイッチ)SWがオン状態からオフ状態へ切り替わると、LEDライトLに電流が流れなくなるため、
図2(b)に示すように、LED駆動電流(LED電流)の値はゼロとなり、
図2(c)に示すように、それまで順方向電圧レベルであった昇圧電圧が上昇する。
【0035】
次に、時刻T=T2において昇圧電圧が予め設定された過電圧検知電圧以上になったことを制御回路4が検知すると、
図2(f)、(g)及び(h)に示すように、制御回路4は、昇圧回路2を制御することによってその昇圧動作を停止させると共に、AND回路3へ出力する出力信号FET_OUT1をハイレベルからローレベルに切り替え、これに応じて、AND回路3は、ローレベルの電圧を出力してFET素子Q1のゲート端子Gに印加することにより、FET素子Q1をオン状態からオフ状態に切り替える。また、
図2(i)に示すように、時刻T=T3において、マイコン6は、AND回路3へ出力する出力信号FET_OUT2をハイレベルからローレベルに切り替え、AND回路3からの出力電圧をローレベルに維持するため、FET素子Q1はオフ状態に維持される。この際、マイコン6から制御回路4のイネーブル端子4aに入力されるイネーブル信号ENA_OUTはハイ(イネーブル)レベルである。なお、制御回路4が監視する昇圧電圧の値は、昇圧回路2の下流側の電圧の値である。
【0036】
これにより、
図2(c)及び(d)に示すように、昇圧電圧は、時間の経過と共に、制御回路4やその他の付属回路を通して放電されることによって徐々に低下し、これに伴い端子電圧も徐々に低下する。
【0037】
次に、時刻T=T4において、昇圧電圧が予め設定された過電圧検知解除電圧を下回ったことを制御回路4が検知すると、
図2(f)、(g)及び(h)に示すように、制御回路4は、昇圧回路2を制御することによって昇圧電圧を上昇させ、この際、FET素子Q1がオフ状態に維持されているため、かかる昇圧電圧による電流は抵抗素子R1を介して下流側に流れる。この際、マイコン6から制御回路4のイネーブル端子4aに入力されるイネーブル信号ENA_OUTはハイ(イネーブル)レベルである。そして、かかる場合に外部スイッチSWがオフ状態のままである場合には、時刻T=T2及び時刻T=T3のときと同様、昇圧電圧が過電圧検知電圧まで上昇するので、時刻T=T2及び時刻T=T3のときの動作(昇圧停止動作、FET素子オフ状態切り替え動作及びFET素子オフ状態維持動作)と、時刻T=T4のときの動作(昇圧動作)と、が繰り返し実行されることになる。
【0038】
次に、時刻T=T5において、
図2(a)に示すように、昇圧停止動作と昇圧動作とが繰り返し実行されている間に外部スイッチSWがオフ状態からオン状態に切り替えられた場合には、
図2(c)及び(d)に示すように、端子電圧が発光ダイオードDの順方向電圧であるVf電圧付近まで低下するのに対して、昇圧電圧は、時間の経過と共に、時刻T=T2から時刻T=T3の間で示されるようななだらかな減小推移を示すため、端子電圧と昇圧電圧との間に差分値が生じる。そこで、
図2(j)及び(k)に示すように、スイッチオン検出部6aが端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値以上になったことを検知した場合には、マイコン6は、制御回路4の出力動作を含む制御動作の停止を指示するローベルのイネーブル信号ENA_OUTを制御回路4のイネーブル端子4aに出力し、これに応じて、制御回路4は、その出力動作を含む制御動作を停止する。また、この際、マイコン6は、放電動作の実行を指示するハイレベル制御信号DC_ONを放電回路7に出力することによって、放電回路7に放電動作を開始させて昇圧回路2によって昇圧された後に電圧降下途中の昇圧電圧を放電させる。なお、スイッチオン検出部6aが差分値に代え端子電圧の値自体を検知するものである場合には、スイッチオン検出部6aは、端子電圧の値が所定の閾値以上となったことを検知すると、マイコン6が制御回路4の出力動作を含む制御動作の停止を指示するローベルのイネーブル信号ENA_OUTを制御回路4のイネーブル端子4aに出力することになる。
【0039】
次に、時刻T=T6において、
図2(c)及び(d)に示すように、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値(図中では、かかる所定差分値をゼロとして示す)未満になると、スイッチオン検出部6aが端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値未満になったことを検知しても、マイコン6は、引き続き制御回路4のイネーブル端子4aに出力動作を含む制御動作の停止を指示するローレベルのイネーブル信号ENA_OUTを出力し、これに応じて、制御回路4は、その出力動作を含む制御動作を停止した状態を維持される。なお、スイッチオン検出部6aが差分値に代え端子電圧の値自体を検知するものである場合には、スイッチオン検出部6aが端子電圧の値が所定の閾値未満になったことを検知しても、マイコン6は、同様に制御回路4のイネーブル端子4aに出力動作を含む制御動作の停止を指示するローレベルのイネーブル信号ENA_OUTを出力し続けることになる。
【0040】
そして、時刻T=T7において、
図2(c)に示すように、昇圧電圧が予め設定した低電圧検知電圧以下となった場合、
図2(l)に示すように、低電圧検出部6bは、昇圧電圧が低電圧検知電圧以下であることを検出し、マイコン6は、出力動作を含む制御動作の実行を指示するハイレベルの制御信号ENA_OUTを制御回路4のイネーブル端子4aに出力すると共に、放電動作の停止を指示するローレベルの制御信号DC_ONを放電回路7に出力する。また、マイコン6は、ハイレベルの出力信号FET_OUT2をAND回路3に出力する。これに応じて、昇圧回路2の昇圧動作が開始されると共に、FET素子Q1がオフ状態からオン状態に切り替えられる。以降、マイコン6は、制御回路4と協働して、昇圧回路2の出力電圧を制御することにより、発光ダイオードDに流れる電流を定電流値である目標電流値にフィードバック制御する通電制御を開始することになる。
【0041】
[マイコンのオン/オフ監視処理]
次に、
図3を参照して、本実施形態におけるライト点灯制御装置1のマイコン6の動作(オン/オフ監視処理)について説明する。
【0042】
図3は、本実施形態におけるライト点灯制御装置1のマイコン6が実行するオン/オフ監視処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すオン/オフ監視処理は、点灯制御装置1が稼働している期間中は所定の制御周期で実行されるものであり、オン/オフ監視処理が開始されたならば、それはまずステップS1の処理に進む。
【0044】
ステップS1の処理では、マイコン6が、昇圧電圧が解除電圧以上であるか否かを判別する。判別の結果、昇圧電圧が解除電圧以上である場合(ステップS1でYesの場合:
図2(c)に示す時刻T=T2)、マイコン6は、オン/オフ監視処理をステップS2の処理に進める。一方、昇圧電圧が解除電圧未満である場合には(ステップS1でNoの場合)、マイコン6は、オン/オフ監視処理にステップS1の処理を繰り返させる。
【0045】
ステップS2の処理では、マイコン6が、AND回路3へ出力する出力信号FET_OUT2の出力電圧レベルをローレベル(オフ)にする(
図2(i)に示す時刻T=T3)。これにより、ステップS2の処理は完了し、オン/オフ監視処理はステップS3の処理に進む。
【0046】
ステップS3の処理では、スイッチオン検出部6aが、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値以上であるか否かを判別する。判別の結果、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値以上である場合(ステップS3でYesの場合:
図2(c)及び(d)に示す時刻T=T5)、マイコン6は、オン/オフ監視処理をステップS4の処理に進める。一方、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値以上である場合には(ステップS3でNoの場合:
図2(c)及び(d)に示す時刻T=T3から時刻T=T5の間の期間)、マイコン6は、オン/オフ監視処理にステップS3の処理を繰り返させる。
【0047】
ステップS4の処理では、マイコン6が、制御回路4のイネーブル端子4aへ出力するイネーブル信号ENA_OUTの出力電圧レベルをローレベル(停止)にして、制御回路4の出力動作を含む制御動作を停止する(
図2(k)に示す時刻T=T5)。これにより、ステップS4の処理は完了し、オン/オフ監視処理はステップS5の処理に進む。
【0048】
ステップS5の処理では、マイコン6が、放電回路7へ出力する放電動作を実行することを指示する制御信号DC_ONの出力電圧レベルをハイレベル(オン:放電)にする(
図2(j)に示す時刻T=T5)。これにより、ステップS5の処理は完了し、オン/オフ監視処理はステップS6の処理に進む。
【0049】
ステップS6の処理では、スイッチオン検出部6aが、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値未満であるか否かを判別する。判別の結果、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値未満である場合(ステップS6でYesの場合:
図2(c)及び(d)に示す時刻T=T6)、マイコン6は、オン/オフ監視処理をステップS7の処理に進める。一方、端子電圧と昇圧電圧との間の差分値が所定差分値以上の場合には(ステップS6でNoの場合)、マイコン6は、オン/オフ監視処理にステップS6の処理を繰り返させる。
【0050】
ステップS7の処理では、低電圧検出部6bが、昇圧電圧が予め定められた低電圧検知電圧以下であるか否かを判別する。判別の結果、昇圧電圧が低電圧検知電圧以下である場合(ステップS7でYesの場合:
図2(c)に示す時刻T=T7)、マイコン6は、オン/オフ監視処理をステップS8の処理に進める。一方、昇圧電圧が低電圧検知電圧より大きい場合には(ステップS7でNoの場合)、マイコン6は、オン/オフ監視処理をステップS6の処理に戻す。なお、突入電流が発光ダイオードDへ流れないように、ステップS6及びステップS7の双方の処理を用いて昇圧電圧が十分に低下しているか否かを判断しているが、必要に応じてオン/オフ監視処理を簡素化するために、これらの内のいずれか一方の処理だけでこのような判断をしてもよい。
【0051】
ステップS8の処理では、マイコン6が、放電回路7へ出力する制御信号DC_ONの出力電圧レベルをローレベル(停止)にすることによって放電回路7による昇圧電圧の放電動作を停止する(
図2(j)に示す時刻T=T7)。これにより、ステップS8の処理は完了し、オン/オフ監視処理はステップS9の処理に進む。
【0052】
ステップS9の処理では、マイコン6が、AND回路3へ出力する出力信号FET_OUT2の出力電圧レベルをハイレベル(オン)にする(
図2(i)に示す時刻T=T7)。これにより、ステップS9の処理は完了し、オン/オフ監視処理はステップS10の処理に進む。
【0053】
ステップS10の処理では、マイコン6が、制御回路4のイネーブル端子4aに出力する制御信号ENA_OUTの出力電圧レベルをハイレベル(動作)にして、制御回路4の出力動作を含む制御動作を許容する(
図2(k)に示す時刻T=T7)。これにより、ステップS10の処理は完了し、オン/オフ監視処理はステップS1の処理に戻る。
【0054】
以上の説明から明らかなように、本実施形態におけるライト点灯制御装置1によれば、マイコン6が、外部スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに、スイッチオン検出部6aが昇圧回路2の出力電圧値と発光ダイオードDの順方向電圧値との差分値が所定電圧値以上となったことを検出することにより、昇圧回路2の昇圧動作を停止することによって、昇圧回路2の出力電圧値を発光ダイオードDの順方向電圧値よりも低くするものであるため、外部スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードDに流れてしまい、発光ダイオードDの寿命が低下することを抑制ですることがきる。併せて、典型的には、発光ダイオードDをオン及びオフする外部スイッチSWがライト点灯制御装置1と複数の発光ダイオードDとの間であってライト点灯制御装置1の外部に設けられているため、かかる場合に、外部スイッチSWは、ライト点灯制御装置1に供給されるバッテリからの電力を断続することができることになり、発光ダイオードD専用の電源線を設ける必要が無くなり、ライトシステム全体の小型化を実現することができる。
【0055】
また、本実施形態におけるライト点灯制御装置1によれば、マイコン6が、昇圧回路2の出力電圧値が発光ダイオードDの順方向電圧値よりも低くなったことを検出する低電圧検出部6bを更に備え、マイコン6が、低電圧検出部6bにより昇圧回路2の出力電圧値が発光ダイオードDの順方向電圧値よりも低くなったことが検知された後は、発光ダイオードDに流れる電流値が目標値になるように昇圧回路2の出力電圧値を制御するものであるため、点灯スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わった後に、発光ダイオードDを光源とするライトLを省電力かつ高寿命で点灯することができる。
【0056】
また、本実施形態におけるライト点灯制御装置1によれば、スイッチオン検出部6aが、昇圧回路2の出力電圧値に相当する保護バイパス回路5の上流側の電圧値と発光ダイオードDの順方向電圧値に相当する保護バイパス回路5の下流側の電圧値との差分値を検出し、マイコン6が、点灯スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに、保護バイパス回路5の上流側の電圧値と保護バイパス回路5の下流側の電圧値との差分値が所定電圧値以上となったことを検出することに応じて、昇圧回路2の昇圧動作を停止することにより、昇圧回路2の出力電圧値を発光ダイオードDの順方向電圧値よりも低くするものであるため、点灯スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードDに流れてしまい、発光ダイオードDの寿命が低下することを、簡便な構成で確実に抑制することができる。
【0057】
ここで、点灯スイッチSWにおけるオフ状態からオン状態への切り替わりの検出は、前述した本実施形態における昇圧回路2の出力電圧値に相当する保護バイパス回路5の上流側の電圧値と発光ダイオードDの順方向電圧値に相当する保護バイパス回路5の下流側の電圧値との差分値に代えて、保護バイパス回路5の下流側の電圧値を用いて、これが所定電圧値以上となったことを検出することにより行ってもよい。これによって、点灯スイッチSWがオフ状態からオン状態へ切り替わったときに駆動電流のフィードバック制御による抑制が入る前に突入電流が発光ダイオードDに流れてしまい、発光ダイオードDの寿命が低下することを、簡便な構成で確実に抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態におけるライト点灯制御装置1によれば、制御回路4が昇圧回路2の昇圧動作を停止したときに昇圧回路2の出力電圧を放電する放電回路7を更に備えるものであるため、昇圧回路2の出力電圧値を発光ダイオードDの順方向電圧値よりもより迅速かつ確実に低くすることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、点灯スイッチをライト点灯制御装置1とLEDライトLとの間に接続された外部スイッチとしているが、それに限定されるものではなく、例えば、ライトの点灯を指示する電気信号をマイコン6に取り込むことで、マイコン6が点灯指示(スイッチオン)の検出を行なう構成のものであってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、制御回路4とマイコン6とが別体の構成になっているが、マイコン6に制御回路4の機能を組み込んで、これらを一体化した演算処理装置としてもよい。
【0061】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。