特許第6247742号(P6247742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247742
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20171204BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20171204BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20171204BHJP
   B63B 9/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q50/30
   G06Q10/08
   B63B9/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-501922(P2016-501922)
(86)(22)【出願日】2015年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2015059148
(87)【国際公開番号】WO2016151801
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232818
【氏名又は名称】日本郵船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三島 隆志
(72)【発明者】
【氏名】植松 将史
(72)【発明者】
【氏名】柴岡 成洋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】大石 智生
(72)【発明者】
【氏名】小塚 正幸
【審査官】 木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−140446(JP,A)
【文献】 特表2013−504802(JP,A)
【文献】 特開2008−162757(JP,A)
【文献】 特開2004−094293(JP,A)
【文献】 特開2006−193124(JP,A)
【文献】 特開2004−110843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00 ,
B63B 1/00 − 69/00 ,
B63J 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶において行われた点検作業に関する通知を取得する取得手段と、
点検作業に関する規則を記憶する記憶手段と、
前記取得手段により取得された通知に係る点検作業が前記記憶手段に記憶されている規則を順守しているか否かを判定する判定手段と、
各々の点検作業についての前記判定手段による判定結果に基づいて、前記船舶における点検作業を検査する検船を行うか否かを決定するための情報を出力する出力手段と
を備える管理装置。
【請求項2】
前記船舶が将来において寄港する寄港時期を特定し、特定した寄港時期における検船の推奨の有無を判定する特定手段を備え、
前記出力手段は、前記判定結果とともに前記特定手段により特定された寄港時期と判定された推奨の有無とを出力する請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
点検者による点検作業が実施されたことを示す点検報告を取得する点検報告取得手段を備え、
前記判定手段は、前記点検報告取得手段によって取得された点検報告に係る点検作業と前記取得手段により取得された通知に係る点検作業とを比較して、当該点検作業が実施されたか否かを確認する請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、寄港の候補となる寄港地の位置と前記船舶の航路との地理的関係に基づき、当該船舶の寄港地及び前記寄港時期を特定する請求項2記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の点検作業を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の安全基準を満たすため、しかるべきタイミングで実施されるべき点検項目が定められている。遠隔地における点検作業を支援する技術の一例として、例えば特許文献1にはエレベータの点検作業を遠隔で確認するための仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−137658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船舶における点検作業はその航行中に行われることが多く、船員が多忙な場合には後回しになりがちである。しかし、適正な頻度で点検作業を行うようにしないと、船舶の航行に障害が生じる恐れがある。
【0005】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、船舶における点検作業が適正に行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る船舶の管理装置は、船舶において行われた点検作業に関する通知を取得する取得手段と、点検作業に関する規則を記憶する記憶手段と、前記取得手段により取得された通知に係る点検作業が前記記憶手段に記憶されている規則を順守しているか否かを判定する判定手段と、各々の点検作業についての前記判定手段による判定結果に基づいて、前記船舶における点検作業を検査する検船を行うか否かを決定するための情報を出力する出力手段とを備える。
【0007】
上記管理装置において、前記船舶が将来において寄港する寄港時期を特定し、特定した寄港時期における検船の推奨の有無を判定する特定手段を備え、前記出力手段は、前記判定結果とともに前記特定手段により特定された寄港時期と判定された推奨の有無とを出力する。
【0008】
さらに、前記特定手段は、特定した寄港時期に検船を行うことを推奨するか否かを判定し、前記出力手段は、前記特定手段により判定された推奨の有無も出力するようにしてもよい。さらに、点検者による点検作業が実施されたことを示す点検報告を取得する点検報告取得手段を備え、前記判定手段は、前記点検報告取得手段によって取得された点検報告に係る点検作業と前記取得手段により取得された通知に係る点検作業とを比較して、当該点検作業が実施されたか否かを確認するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、船舶における点検作業が適正に行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る検船システムの構成を示す模式図。
図2】船舶端末装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図3】管理装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図4】点検項目データベースの一例を示す図。
図5】点検作業に関する情報を各船舶から管理装置が収集して登録するまでの動作を示すシーケンス図。
図6】点検作業進捗データベースの一部の内容を概念的に示す図。
図7】管理装置が各種画面を表示する動作を示すフロー図。
図8】点検作業の最新のステータスを提示する画面の一例を示す図。
図9】航行スケジュールにおいて検船を推奨する時期を提示する画面の一例を示す図。
図10】管理装置の機能構成を示すブロック図。
【発明の実施の形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る検船システム1の構成を模式的に示した図である。検船システム1は、船舶30に搭載されて船舶30の船員により操作される船舶端末装置10と、地上に設置されて管理者により操作される管理装置20とを備えている。船舶端末装置10と管理装置20とは、例えば通信衛星や移動体通信ネットワークなどを介して無線によるデータ通信を行う。
【0012】
この検船システム1では、船舶30において点検作業が実施されると、その点検作業が実施された時期等が船舶端末装置10から管理装置20に通知される。管理装置20では、各点検作業の実施の有無やその実施時期などを閲覧することができる。船舶30における点検作業の実施状況をその船舶に実際に乗り込んで検査する工程を「検船」と言うが、上記のように船舶30の点検作業の進捗状況を遠隔にある管理装置20にて確認することができれば、その船舶30についての検船の要否や検船を行う時期・場所を決定するのに便利である。これにより検船が適切かつスムーズに行われ、結果的に、船舶30における点検作業が適正に行われるようになる。
【0013】
図2に示すように、船舶端末装置10は、プログラムに従い各種処理を行うCPU(Central Processing Unit))やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリからなる制御部11、プログラムなどを記憶するHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部12、管理装置20との間でデータ通信を行う通信部13、表示を行う液晶ディスプレイなどの表示部14、操作を受け付けるキーやスイッチなどの操作部15、及び、船内の各所に配置されたセンサ群16を備えている。センサ群16は、船舶30の状態や環境を検出する手段であり、例えば船舶30の現在位置を計測するGPS(Global Positioning System)システム、船舶30の対水船速を計測する対水船速センサ、風向や風速を計測する風センサ、波高や波向、波周期を計測する波センサ、船舶30の船首の方角を計測する方位センサ、船舶30の燃料消費量を計測する燃料流量センサ、さらには船舶30において各種の点検作業を実施したか否かを判定する機構などを含む。
【0014】
図3に示すように、管理装置20は、プログラムに従い各種データ処理を行うCPUやROM、RAMなどのメモリからなる制御部21、プログラムなどを記憶するHDDなどの記憶部22、船舶端末装置10との間でデータ通信を行う通信部23、表示を行う液晶ディスプレイなどの表示部24、及び、操作を受け付けるキーやスイッチなどの操作部25を備えている。
【0015】
記憶部22は、船舶30における点検作業の時期または結果に関する規則を含む点検項目データベース(図4)や、点検作業の進捗に関する情報を含む点検作業進捗データベース(図6)や、航路毎に準備されている航路データに基づいて生成された船舶の航行スケジュール(図9)などを記憶する。
【0016】
ここで、図4は点検項目データベースの内容を例示する図である。この点検項目データベースには、船舶のタイプ又は船舶の船名ごとに(つまり各船舶の識別情報に対応づけて)、その船舶における各点検作業の識別情報である点検項目(図中のitem)と、その船舶においてその点検作業を実施すべき時期(図中interval)またはその点検結果において守らなければならない点検値(図中setting value)に関する規則情報とが含まれている。
【0017】
図4の例では、船舶のタイプA01で船舶名AAAの船舶においては、Emergency steering training(非常用ステアリング訓練)に関しては3 months(3ヶ月)ごとに点検することが指定されており、Emergency fire pump test(非常用消化ポンプテスト)に関しては1 week(1週間)ごとに点検することが指定されており、Bilge well high level alarm test(かん水だめ高レベルアラームテスト)に関しては1 place/day(1カ所/日)ごとに点検することが指定されており、Low insulation(低絶縁)に関しては1.0MΩを下回ることが指定されており、F.O tank level alarm(F.Oタンクレベルアラーム)に関してはbefore bunkering(燃料補充前)に点検することが指定されており、F.O tank temp(F.Oタンク温度)に関しては55℃を下回ることが指定されており、15ppm alarm test(15ppmアラームテスト)に関しては1 day before entering port(寄港の1日前) に点検することが指定されており、Engineer call alarm test(エンジニアコールアラームテスト)に関しては1 month(1ヶ月)ごとに点検することが指定されている。
【0018】
次に、検船システム1における動作を説明する。図5は、検船システム1において点検作業に関する情報を各船舶30から管理装置20が収集して登録するまでの動作を示すシーケンス図である。まず、それぞれの船舶端末装置10において、センサ群16が点検作業を実施したことを意味する検出値を検出したり(例えばBilge well high level alarm testや15ppm alarm testを実施したことを判定する機構によるその実施が確認された場合)、船員が操作部15を操作して点検作業を実施したことを入力すると、船舶端末装置10の制御部11は点検作業を実施したと判定する(ステップS11)。
【0019】
そして、制御部11は、点検作業が実施されたことを意味する点検作業実施通知を通信部13から管理装置20に対して送信する(ステップS12)。この点検作業実施通知には、船舶30のタイプ、船舶30の船名、点検項目、点検作業が実施された時期(点検作業実施時期という)、船舶30の位置、点検結果が所定の点検値の範囲内であるか否かなどの情報が含まれている。
【0020】
管理装置20の制御部21は通信部23によってこの点検作業実施通知を受信すると、記憶部22の点検作業進捗データベースに登録する(ステップS13)。この点検作業進捗データベースには、船舶30のタイプ、船舶30の船名、点検項目、点検作業実施時期、船舶30の位置、点検結果が所定の点検値の範囲内であるか否かなどの情報が含まれている。ここで、図6は、点検作業進捗データベースの一部の内容を概念的に示した図である。図6の例では、船舶のタイプ及び船舶の船名ごとに、各点検項目について点検作業を行った時期が示されている(図中○印)。横軸の「20」〜「28」は日にちである。
【0021】
次に、図7は、検船システム1において管理装置20が各種画面を表示する動作を示すフロー図である。まず、管理装置20において、操作者が操作部25を操作して、所望する画面の表示を指示する操作を行うと、制御部21はこの操作を受け付ける(ステップS21)。次に、制御部21は、指示された画面を表示するための画面データを生成し(ステップS22)、その画面データに基づく画面を表示部24に表示する(ステップS23)。例えば操作者が図6に例示した点検作業進捗データベースに基づく画面を表示するよう指示すると、制御部21は、点検作業進捗データベースに含まれる船舶30のタイプ、船舶30の船名、点検項目、点検作業実施時期を記憶部22から読み出し、検船者が検船を行うか否かを決定するための情報として図6に例示するような形式で表示部25に表示する。
【0022】
図6の例では、Emergency steering trainingという点検項目については2014/2/25に点検され、Emergency fire pump testという点検項目については2014/2/22に点検され、Bilge well high level alarm testという点検項目については2014/2/25に点検され、15ppm alarm testという点検項目については2014/2/23に点検され、Engineer call alarm testという点検項目については2014/2/21に点検されていることが示されている。また、図6に含まれる時期以前の情報については、例えば画面をスクロールするなどの方法で画面遷移が指示されると、表示されるようになっている。
【0023】
また、例えば操作者が点検作業の最新のステータスを表示するよう指示すると、制御部21は、点検項目データベース及び点検作業進捗データベースに含まれる、船舶のタイプ、船舶の船名、点検項目、点検作業実施時期、点検結果、点検項目に対応する規則情報を記憶部22から読み出し、検船者が検船を行うか否かを決定するための情報として、図8に例示するような形式で表示部25に表示する。
【0024】
図8において、例えばEmergency steering trainingという点検項目については最も直近で2014/2/25に点検されている。ここで、前回の点検作業実施時期が2014/2/25以前3か月未満だと仮定すると、この点検項目については3 monthsごとに点検するというinterval(規則情報、図4参照)が順守されている。よって、制御部21は、点検項目データベースと点検作業進捗データベースとの比較結果から、点検作業が適正に実施されていると判定して、ステータスとして「O.K」を表示する。
【0025】
一方、例えば15ppm alarm testという点検項目については2014/2/23に点検されている。これは1 day before entering port(寄港の1日前) に点検することが指定されているが(図4参照)、航行スケジュール(図9参照)においては、点検作業実施時期から最も近い寄港日が2014/2/24であり、点検作業と同日になっているので、その点検を実施すべき時期(interval)を指定する規則情報が順守されていない。よって、制御部21は、点検項目データベース、点検作業進捗データベース及び航行スケジュールの比較結果から、点検作業が適正に実施されていないと判定して、ステータスとして「NG」を表示する。
【0026】
検船を行う者(検船者という)は、管理装置20において図8に示すような画面を閲覧し、NGというステータスになっている点検項目の重要度やその数を考慮して、検船の要否を決定する。具体的には、ステータスがNGになっていると検船を行うよう決められている重要な点検項目がある場合、検船者はその点検項目が1つでもNGのステータスになっていると検船を行うと判断する。また、ステータスがX個以上になっていると検船を行うよう決められている場合、検船者はNGのステータスの個数を数え、その数がX個以上なら検船を行うと判断する。管理装置20は、NGと判定された点検項目の重要度やNGのステータスの個数、さらにはそれらの重要度や個数に基づきその船舶における点検作業に対して所定の評価基準で評価した結果など、上記の判定結果に基づく情報であって検船者が検船を行うか否かを決定するための情報として有用なものであれば、どのようなものを表示してもよい。評価の方法としては、NGと判定された点検項目の重要度が高いほど評価が低く、また、NGのステータスの個数が多いほど評価が低くなるような評価基準をあらかじめ記憶部22記憶しておき、制御部21はその評価基準に沿って、NGというステータスになっている点検項目の重要度やその数に基づく評価を行う。
【0027】
また、管理装置20は、船舶30が寄港する寄港時期を特定し、特定した寄港時期を、点検作業により規則情報が順守されているか否かの判定結果とともに表示してもよい。さらに、管理装置20は、特定した寄港時期に検船を行うことを推奨するか否かを判定し、その推奨の有無を併せて表示してもよい。具体的には、制御部21は、NGというステータスになっている点検項目の重要度やその数に基づき検船の要否を判定し、検船要と判定した場合には、最も近い将来の寄港時期を推奨の検船時期として特定する。そして、制御部21は、図9に示すように、航行スケジュールにおいて推奨検船時期を○印で表現した画面を表示部25に表示する。これにより、検船者は検船を行うタイミングを決定することができる。
【0028】
図10は管理装置20の機能構成を示すブロック図であり、図示している各手段は制御部21及び記憶部22によって実現される。取得手段201は、船舶30において行われた点検作業に関する通知(点検作業を実施したことの通知等、点検作業のステータスに関する通知をいう。)を取得する。記憶手段202は、例えば点検作業の時期または結果に関する規則など、点検作業に関する規則(規則情報)を記憶する。判定手段203は、取得手段201により取得された通知に係る点検作業が記憶手段202に記憶されている規則を順守しているか否かを判定する。出力手段204は、各々の点検作業についての判定手段203による判定結果に基づく情報を、検船者が検船を行うか否かを決定するための情報として表示装置(表示部25)に出力する。特定手段205は、船舶30が将来において寄港する寄港時期を特定する。この場合、出力手段204は、点検作業が記憶手段202に記憶されている規則を順守しているか否かの判定結果とともに特定手段205により特定された寄港時期を、検船者が検船を行うか否かを決定するための情報として、例えば表示装置(表示部25)に出力する。さらに、特定手段205は、特定した寄港時期に検船を行うことを推奨するか否かを判定し、出力手段204は、判定された推奨の有無を、検船者が検船を行うか否かを決定するための情報として、例えば表示装置(表示部25)に出力する。
【0029】
以上の実施形態によれば、検船者は、管理装置20に表示された情報により、船舶30の点検作業の進捗状況を遠隔から確認し、これらの情報に基づき検船の要否や検船を行う時期・場所を決定する。これにより、検船が適切かつスムーズに行われ、結果的に、この検船の影響を受ける船員による点検作業が適正に行われるようになる。
【0030】
上記実施形態を次のように変形してもよい。
(1)なお、上述した実施形態において、航行スケジュールは、予め航路毎に準備されている航路データにより生成されるが、寄港地の特定方法はこの方法に限られず、航路と寄港の候補となる港との地理的関係等から特定される構成が採用されてもよい。この場合、記憶部22は、様々な寄港地の位置(例えば、緯度、経度)を示す寄港地位置データを記憶する。制御部21は、記憶部22から寄港地位置データを読み出し、この寄港地位置データに基づき、航路から所定距離以内等の予め定められた条件に従い、船舶30が航行中に立ち寄り可能な寄港地を特定する。そして、制御部21は、航路データに基づく航行スケジュールに加え、特定された立ち寄り可能な寄港地を含む航行スケジュールを生成する。なお、この変形例において、寄港の候補となる寄港地は航路から所定距離以内という条件に限られない。例えば、立ち寄る場合に増加する航行距離が所定距離以内、などの航路と寄港地との地理的関係を用いる他の条件が採用されてもよいし、地理的関係を用いる条件に加え、近隣の航路上の寄港地よりも燃料油価格が安価である、などの地理的関係以外のパラメータを用いる条件が寄港地の選択の条件として採用されてもよい。
【0031】
(2)上述した実施形態において、図4,6,8,9において示した情報や画面の種別、内容及び形式はあくまで一例であって、様々な種別、内容及び形式が採用可能である。例えば、図8におけるNGという表記や図9における推奨検船時期を意味する○印を赤字等で強調表示するなど、ユーザに対してより直感的な情報を提供するための表示態様の工夫が加えられてもよい。
【0032】
(3)上述した実施形態で、船舶端末装置10のセンサ群16が点検作業を実施したことを意味する検出値を検出したり、船員が操作部15を操作して点検作業を実施したことを入力すると、船舶端末装置10の制御部11が点検作業を実施したと判定していたが、船員が操作部15を操作して点検作業を実施したことを示す点検報告を入力した場合に、センサ群16が検出した検出値に基づいてその入力が正確であるか否かを確認するようにしてもよい。例えば、船員が操作部15を操作してBilge well high level alarm testや15ppm alarm testを実施したことを示す点検報告を入力した場合、船舶端末装置10の制御部11又は管理装置20の制御部21が、Bilge well high level alarm testや15ppm alarm testを実施したことを判定する機構を用いて、船員からの点検報告と船舶端末装置10のセンサ群16からの検出値とを比較し、その点検作業の実施が本当になされたかどうかを確認する。具体的には、船舶端末装置10の制御部11又は管理装置20の制御部21は、船員からの点検報告と、船舶端末装置10のセンサ群16からの検出値から判断される点検有無の判定結果とを比較し、両者の内容が一致していなければ、アラームを出力するなどして、点検に関する再確認を船員に促すなどの所定のエラー処理を行う。このエラー処理に応じて、船員は、点検作業を実施したか否か、点検作業の入力に誤りがなかったかどうか、又は、センサ群16の動作に異常がないかどうかなどを確認する。一方、両者が一致していれば、船舶端末装置10の制御部11又は管理装置20の制御部21は、点検作業が確実に実施されたと判断する。このようにすれば、点検作業の実施確認がより正確になる。つまり、管理装置20は、点検者による点検作業が実施されたことを示す点検報告を取得する点検報告取得手段(制御部21)を備え、判定手段203(図10)は、上記点検報告取得手段によって取得された点検報告に係る点検作業と、取得手段201(図10)により取得された通知に係る点検作業とを比較して、当該点検作業が実施されたか否かを確認する。
【0033】
(4)上述した実施形態においては、船舶端末装置10や管理装置20はいずれも、一般的なコンピュータにプログラムに従った処理を実行させることにより実現される構成でもよいし、これらの装置の1以上がいわゆる専用装置として構成されてもよい。
【0034】
(5)本発明は、コンピュータを、管理装置20又は船舶端末装置10として機能させるためのプログラム、当該プログラムを持続的に記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体、当該管理装置20又は船舶端末装置10が実行する処理の方法、の各々として把握される。
【0035】
(6)また、規則情報として、点検作業の時期または結果に関する規則を一例として示したが、これに限定されない。例えば、点検作業の点検基準や点検方法など、点検作業においてその点検作業にかかわる者が順守すべき規則として定めておくべき他の情報も含んでもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…検船システム、10…船舶端末装置、11…制御部、12…記憶部、13…通信部、14…表示部、15…操作部、16…センサ群、20…管理装置、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…表示部、25…操作部、201…取得手段、202…記憶手段、203…判定手段、204…出力手段、205…特定手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10