(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247744
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】乗り物用シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
B60N2/07
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-511188(P2016-511188)
(86)(22)【出願日】2014年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2014059472
(87)【国際公開番号】WO2015151163
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】金井 裕也
【審査官】
永安 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−069694(JP,A)
【文献】
実開平04−041417(JP,U)
【文献】
特開平08−188071(JP,A)
【文献】
特開2004−142598(JP,A)
【文献】
特開2011−201471(JP,A)
【文献】
実開平04−079732(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、
前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、
前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、
前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、
前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、
前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラと、
を備え、
前記ブラケットは、前記可動レールに係合可能な係合部を有する乗り物用シートスライド装置。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記可動レールの前記長手方向における両端部の少なくとも一方が前記可動レールの前記短手方向に独立して設けられ、
前記ブラケットは、前記ブラケットの前記一端部にレバーを有する
請求項1記載の乗り物用シートスライド装置。
【請求項3】
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、
前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、
前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、
前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、
前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、
前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラと、
を備え、
前記ブラケットは、前記可動レールの前記長手方向における両端部の少なくとも一方が前記可動レールの前記短手方向に独立して設けられ、
前記ブラケットは、前記ブラケットの前記一端部にレバーを有し、
前記付勢部は、前記レバーをそれぞれ押圧するダンパーである乗り物用シートスライド装置。
【請求項4】
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、
前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、
前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、
前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、
前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、
前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラと、
を備え、
前記ブラケットは、前記可動レールの前記長手方向における両端部の少なくとも一方が前記可動レールの前記短手方向に独立して設けられ、
前記ブラケットは、前記ブラケットの前記一端部にレバーを有し、
前記可動レールの前記長手方向の一端部側に位置する一方の前記レバーのバネ定数は、前記一端部とは反対側の他端部側に位置する他方の前記レバーのバネ定数よりも大きい乗り物用シートスライド装置。
【請求項5】
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、
前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、
前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、
前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、
前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を第1の方向に押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、
前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部の前記第1の方向の押圧による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に前記第1の方向とは逆の第2の方向に常に圧接して転動可能な副ローラと、
を備えた乗り物用シートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が関連する乗り物用シートスライド装置を開示している。この関連する乗り物用シートスライド装置は、ロアレール、アッパレール、主ローラ、副ローラ、コイルバネを備える。ロアレールは、底壁及び底壁に平行な頂壁を有する逆U字状の断面に形成され、左右の開口縁が対向方向内方に屈曲させて形成されている。アッパレールは、長手方向の両端部に底壁上を転動する主ローラが設けられ、ロアレールに摺動自在に係合してロアレールに沿って摺動する。副ローラは、主ローラの近傍に設けられている。コイルバネは、副ローラを上方に付勢して頂壁に当接させ、この時副ローラが受ける反力で主ローラを底壁に当接させる。ロアレールは、車体に支持されている。アッパレールは、座席を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−069694号公報
【発明の概要】
【0004】
車体に支持されているロアレールは、下側とは限定されないので、以下、固定レールと言う。また、アッパレールも上側とは限定されないので、以下、可動レールと言う。上記関連する乗り物用シートスライド装置にあっては、固定レールが車体に支持されているので、車体の寸法精度が設計値通りで無い場合は、固定レールを車体に固定することにより固定レール自体が変形することがある。また、固定レールに係合した可動レール自体及び固定レール自体の寸法精度が設計値通りで無い場合もあり得る。このような場合に、固定レールに係合した可動レールに主ローラ或いは副ローラにより偏った荷重が加わることで、固定レールに対して可動レールがスムーズに摺動出来ないことがある。
【0005】
本発明は、設計通りで無い状態に固定レール及び可動レールが変形しても、この固定レールに係合する可動レールがスムーズに摺動できる乗り物用シートスライド装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明のアスペクトは、底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラと、を備え
、前記ブラケットは、前記可動レールに係合可能な係合部を有する乗り物用シートスライド装置であることを要旨とする。
【0007】
また、前記ブラケットは、前記可動レールの前記長手方向における両端部の少なくとも一方が前記可動レールの前記短手方向に独立して設けられ、前記ブラケットは、前記ブラケットの前記一端部にレバーを有してもよい。
【0008】
また、
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラと、を備え、前記ブラケットは、前記可動レールの前記長手方向における両端部の少なくとも一方が前記可動レールの前記短手方向に独立して設けられ、前記ブラケットは、前記ブラケットの前記一端部にレバーを有し、前記付勢部は、前記レバーをそれぞれ押圧するダンパーである乗り物用シートスライド装置であることを要旨とする。
【0009】
また、
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラと、を備え、前記ブラケットは、前記可動レールの前記長手方向における両端部の少なくとも一方が前記可動レールの前記短手方向に独立して設けられ、前記ブラケットは、前記ブラケットの前記一端部にレバーを有し、前記可動レールの前記長手方向の一端部側に位置する一方の前記レバーのバネ定数は、前記一端部とは反対側の他端部側に位置する他方の前記レバーのバネ定数よりも大きい乗り物用シートスライド装置であることを要旨とする。
【0010】
また、
底壁と、開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて、断面がU字状に形成された固定レールと、前記固定レール内に一部が配置され、前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられ、前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、前記可動レールに取り付けられ、前記ブラケットの一端部を第1の方向に押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置され、前記付勢部の前記第1の方向の押圧による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に前記第1の方向とは逆の第2の方向に常に圧接して転動可能な副ローラと、を備えた乗り物用シートスライド装置であることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、ブラケットが可動レールの短手方向に独立して設けられている。このため、設計通りで無い状態に固定レール及び可動レールが変形しても、固定レールに係合する可動レールがスムーズに摺動できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る乗り物用シートスライド装置の可動レールの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の可動レールと、この可動レールを組み込んだ固定レールなどの拡大断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の可動レールに組み付けられる可動部品類を示す、可動レールを省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
設計通りで無い状態に固定レール及び可動レールが変形しても、この固定レールに係合する可動レールがスムーズに摺動できる乗り物用シートスライド装置を提供する、という目的を、以下の構成により実現した。すなわち、乗り物用シートスライド装置は、底壁と開口を有する前記底壁に平行な頂壁とを備えて断面がU字状に形成された固定レールと、前記固定レール内に一部が配置されて前記固定レールに沿って移動可能な可動レールと、前記可動レールの長手方向の両端部に前記可動レールの短手方向に独立して設けられて前記可動レールの移動により前記固定レールの前記底壁上を転動可能な主ローラと、前記可動レールの前記両端部にピンを介して前記可動レールの前記短手方向に独立して上下回転自在に軸支されたブラケットと、前記可動レールに取り付けられて前記ブラケットの一端部を押圧して前記ピンを中心とした回転付勢力を前記ブラケットに常に付与する付勢部と、前記ピンを挟んで前記ブラケットの前記一端部とは反対側の他端部に配置されて前記付勢部による前記回転付勢力を受けて前記固定レールの前記頂壁に常に圧接して転動可能な副ローラとを備える。
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る乗り物用シートスライド装置1を
図1〜
図6に基づいて説明する。乗り物用シートスライド装置1は、固定レール2と、可動レール3と、主ローラ5、5と、ブラケット7、14と、レバー7cと、副ローラ8と、付勢部11とを備える。
【0015】
固定レール2は、断面略U字状に形成され、底壁6、6、底壁6、6から上方に立設された側壁15、15、及び、側壁15、15の頂部から内方へ屈曲することで底壁6、6に略平行に互いに対向して延設された頂壁4、4を有する。頂壁4、4の自由端には、可動レール3の後述する平板部3dが通過可能な隙間(開口)を画成する開口縁2a、2aが形成されている。
【0016】
可動レール3は、T字を逆さまにした断面を有するT字部3aと、T字部3aと連結されT字部3aの下側に形成された側部3bとに押し出し成形されている。可動レール3のT字部3aのフランジ部3cの左右中央で上側UPに延びる平板部3dに図示しない周知のシートクッションフレームが結合されている。可動レール3の側部3b、フランジ部3c、平板部3dの下側LWRの部分は、固定レール2内に配置されている。平板部3dの下側LWRの部分は、固定レール2の開口縁2a、2a内を固定レール2に沿って前側FR及び後側RRに摺動自在となっている。
【0017】
主ローラ5、5は、可動レール3の長手方向の両端部、即ち、可動レール3の前側FR及び後側RRの端部に回転可能に支持されている。より具体的には、主ローラ5、5は、可動レール3の前側FR及び後側RRの端部に左右両側から組み込まれ、可動レール3の側部3bに形成された貫通孔(図示省略)に圧入したピン5aを介して可動レール3に対して回転可能に軸支されている。主ローラ5、5は、固定レール2に形成された底壁6、6に接しており、可動レール3の移動により底壁6、6上を転動する。
【0018】
ブラケット7、14は、双方とも開口が上側UPを向いた断面U字状に形成されている。
図6に示すように、一方のブラケット7、7は、左右に(可動レール3の短手方向に)独立している。また、
図5に示すように、一方のブラケット7、7の一方の側壁7a、7aが他方の側壁7b、7bよりも上下寸法が大きく形成されている。
図6に示すように、一方の側壁7a、7aは、左右断面の端部側に配され、他方の側壁7b、7bは、左右断面の中央側に配されている。可動レール3の側部3bに形成した貫通孔(図示省略)及びブラケット7の一方の側壁7aと他方の側壁7bとに形成した貫通孔7g、7gには、ピン10が圧入されて、可動レール3の側部3bにブラケット7、7が支持されている。
図3及び
図4に示すように、他方のブラケット14は、可動レール3の側部3bに形成した貫通孔(図示省略)及びブラケット14に形成した貫通孔(図示省略)に、ピン10が圧入されて、可動レール3の側部3bに亘るように形成された(ブラケット7のように左右に独立していないように形成された)ブラケット14が支持されている。このような構成により、双方のブラケット7、7、14が、可動レール3に対して上下回転自在に軸支されている。
【0019】
ブラケット7、14の一端部7d、14dには、上側UPが弓なりの(下側LWRに凹む)レバー7c、14cが延在するように圧接して設けられている。レバー7cは、可動レール3に取り付けたダンパー11(付勢部)により
図5の白抜き矢印Y1に示す下側LWRに常に押圧されている。つまり、ダンパー11は、
図5に示すように、ピン10を中心とした時計方向の回転付勢力をブラケット7、7に常に与えている。レバー14cは、連結部13により、左右のレバー14c、14cが一体化されている。
【0020】
副ローラ8は、ブラケット7、7、14の他端部7e、14eに形成された貫通孔7f、14fに軸支された軸部8a、8aを介してブラケット7、7、14に上下回転自在に軸支され、且つ固定レール2の頂壁4、4に転動可能である。副ローラ8は、ブラケット7、7の一端部7dがダンパー11により時計方向に常に回転付勢されることで
図5に黒字矢印Y2に示すように、頂壁4に常に圧接している。副ローラ8を逃げるように、可動レール3の側部3bに、逃げ部3g、3gが形成されている。ダンパー11は、可動レール3に保持された保持部11aと、ブラケット7、7の一端部7dを上側UPから下側LWRに押圧する本体部11bとを備える。可動レール3の側部3bに形成された凹部3hには、ブラケット7、7のレバー7c、7cに形成した突部7h、7hが係合する。これにより、可動レール3とブラケット7、7とが位置決めされる。
【0021】
スライドロック装置12は、可動レール3に軸支された軸12eと、軸12eに水平方向に支持された操作レバー12aと、操作レバー12aにより固定レール2の図示しないロック孔に係合離脱自在に移動操作されるロック部12cと、ロック部12cを係合方向に付勢するように平板部3dに係合支持したコイルスプリング12bと、ロック部12cに軸支された軸部12dと、軸部12d及び軸12eを連結したレバー12fとを備える。可動レール3の長手方向の一端部側にある一方のレバー7cのバネ定数を、前記一端部とは反対側の他端部側にある他方のレバー14cのバネ定数よりも大きくすることで、可動レール3の上下揺動が少なくなる。また、乗員がシートクッションフレームに支持された座席に着座した状態でも可動レール3はスムーズに前後動でき、座席を構成する図示しない周知のシートバックに乗員がもたれかかることにより発生するシートバックに加わる後倒れ荷重をレバー14cが柔軟にしなることで柔らかく受けることができる。
【0022】
本実施形態によれば、ブラケット7、7が左右に(可動レール3の短手方向に)独立している。このため、図示しない車体の形状が設計通りで無い状態で、その車体に固定することで、固定レール2及び可動レール3が変形しても、また、固定レール2及び可動レール3の形状が設計通りで無い状態であっても、ブラケット7、7はその変形によく追従でき、固定レール2に係合する可動レール3がスムーズに摺動できる。
【0023】
本実施形態によれば、ブラケット7、7は、可動レール3の長手方向の両端部の少なくとも一方が左右に(可動レール3の短手方向に)独立して設けられ、それぞれの一端部7d、7dには、レバー7c、7cが設けられている。このため、副ローラ8を軸支するブラケット7、7が左右独立して自由に位置を移動できるので、固定レール2に係合する可動レール3がスムーズに摺動できる。
【0024】
本実施形態によれば、ブラケット7、7は、レバー7c、7cがダンパー(付勢部)11によりそれぞれ押圧されているので、時計方向に常に回転付勢されている。したがって、ブラケット7、7に軸支された副ローラ8、8が固定レール2の頂壁4に常に圧接している。同時に、可動レール3に取り付けられた主ローラ5、5は、固定レール2の底壁6に接している。このため、副ローラ8、8と固定レール2の頂壁4とに隙間が生ぜず、雑音が発生しにくい状態になっている。よって、乗り物用シートスライド装置1は、乗り物の走行に伴って発生する振動を受けても雑音が発生しない、或いは発生しにくい。
【0025】
本実施形態によれば、可動レール3の側部3bに形成された凹部3hにブラケット7、7のレバー7c、7cに形成した突部7h、7hが係合することで、可動レール3とブラケット7、7とが位置決めされている。
【0026】
本実施形態によれば、レバー7c、14cのうち、可動レール3の長手方向の一端部側の一方のレバー7cのバネ定数が、一端部とは反対側の他端部側の他方のレバー14cのバネ定数よりも大きい。このため、可動レール3の上下揺動が少なくなり、しかも乗員がシートクッションフレームに支持された座席に着座した状態でもスムーズに前後動できる。また、乗り物用シートスライド装置1は、座席を構成する図示しない周知のシートバックに乗員がもたれかかることにより発生するシートバックに加わる後倒れ荷重を柔らかく受けることができる。
【0027】
ブラケット7に副ローラ8があらかじめ組み付けられているので、固定レール2などの組み立てラインでの組み立て工数が少なくて済む。このため、各種部材の組み付け作業行程が単純化する。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。