特許第6247768号(P6247768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247768
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】食品包装材用放射線硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/38 20140101AFI20171204BHJP
   C09D 11/40 20140101ALI20171204BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20171204BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   C09D11/38
   C09D11/40
   B41M5/00 120
   B41M5/00 112
   B41J2/01 501
   B41J2/01 129
【請求項の数】15
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2016-542338(P2016-542338)
(86)(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公表番号】特表2016-537482(P2016-537482A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】EP2014069693
(87)【国際公開番号】WO2015036615
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】13184521.6
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507253473
【氏名又は名称】アグフア・グラフイクス・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ・モント,ロエル
(72)【発明者】
【氏名】ロキユフイエ,ヨハン
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02604663(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0063388(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0046376(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0304149(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0069130(US,A1)
【文献】 特表2013−514904(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/062090(WO,A1)
【文献】 特開2013−166811(JP,A)
【文献】 特開2012−255072(JP,A)
【文献】 特開昭56−139478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D11/00−13/00
B41J 2/01
B41M 5/00
B41M 5/50
B41M 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色の放射線硬化性インクジェットインク、深紅色の放射線硬化性インクジェットインク、黄色の放射線硬化性インクジェットインクおよび黒色の放射線硬化性インクジェットインクを少なくとも含む、放射線硬化性インクジェットインクのセットであって、
それらがそれぞれ、25℃および90s-1のずり速度において50mPa.s以下の粘度をもちそして
青緑色の放射線硬化性インクジェットインク、深紅色の放射線硬化性インクジェットインク、黄色の放射線硬化性インクジェットインクおよび黒色の放射線硬化性インクジェットインクのそれぞれが、
a)放射線硬化性インクジェットインクの総重量に基づいて4.0重量%以下の濃度で存在する、少なくとも一つの非重合性(non−polymerizable)の、非重合体(non−polymeric)のビスアシルホスフィン・オキシド、
b)少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性(polymerizable)の基、を含んでなる、少なくとも一つの単量体、並びに
c)少なくとも一つの重合性のまたは重合体のチオキサントンが第三級アミン基を含まない場合は、放射線硬化性インクジェットインクが更に、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、第三級アミンを含む重合性コイニシエーターおよび第三級アミンを含む重合体のコイニシエーターよりなる群から選択される少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターを含むことを条件とする、少なくとも一つの重合性のまたは重合体のチオキサントン:
を含むことを特徴とする、上記放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項2】
少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシドが、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン・オキシドおよびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン・オキシドよりなる群から選択される、請求項1に従う、放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項3】
少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィンオキシドが、放射線硬化性インクジェットインクの総重量に基づいて1.0〜3.5重量%の量で含まれる、請求項1または2に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項4】
放射線硬化性インクジェットインクが、式(III):
【化1】
[式中、
4は水素またはメチル基を表わし、
Lは置換もしくは未置換アルキレン基、置換もしくは未置換アルケニレン基、置換もしくは未置換アルキニレン基、置換もしくは未置換シクロアルキレン基およびエーテル含有アルキレン基よりなる群から選択される2価の結合基を表わす]
に従う単量体を、すべての重量%が放射線硬化性インクジェットインクの総重量に基づいて少なくとも10重量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項5】
黒色の放射線硬化性インクジェットインクが有色顔料の混合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に従う、放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項6】
少なくとも一つの重合性のまたは重合体のチオキサントンが、式(I):
【化2】
[式中、
kは0または1の値をもつ整数であり、
nおよびmは0または1の値をもつ整数を表わし、但しnおよびmの少なくとも一つは1の値をもたねばならず、
Lはエーテル結合を介してチオキサントン環にAをカプリングする2価の結合基を表わし、そして
Aは1〜6個のフリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合を含んでなる構造部分を表わす]
に従う重合性チオキサントンである、請求項1〜5のいずれか1項に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項7】
第三級アミンを含む少なくとも一つの重合性のまたは重合体のコイニシエーターが、一つ以上の4−ジアルキルアミノベンゾエート基を含む、請求項1〜6のいずれか1項に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項8】
少なくとも一つの重合性のまたは重合体のチオキサントンが、
【化3】
n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、
平均して2〜4に等しいnを伴う
【化4】
および1,000未満の分子量Mwをもつ
【化5】
よりなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項9】
少なくとも一つのビニルエーテル基並びに、一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性基、を含んでなる少なくとも一つの単量体が、
【化6】
よりなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項10】
放射線硬化性インクジェットインクがそれぞれ、
a)25〜100重量%の2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート、
b)0〜55重量%の、一官能価アクリレートおよび二官能価アクリレートよりなる群から選択される一つ以上の重合性化合物A、および
c)0〜55重量%の、三官能価アクリレート、四官能価アクリレート、五官能価アクリレートおよび六官能価アクリレートよりなる群から選択される、一つ以上の重合性化合物Bであって、但し化合物Aの重量百分率>24重量%である場合は、化合物Bの重量百分率>1重量%であり、ここでAおよびBのすべての重量百分率は重合性組成物の総重量に基づく、上記一つ以上の重合性化合物B、
よりなる重合性組成物を含む、請求項9に従う放射線硬化性インクジェットインクのセット。
【請求項11】
その外面上に、請求項1〜10のいずれか1項に従う放射線硬化性インクジェットインクのセットの硬化層を含む包装材。
【請求項12】
緑色の放射線硬化性インクジェットインク、深紅色の放射線硬化性インクジェットインク、黄色の放射線硬化性インクジェットインクおよび黒色の放射線硬化性インクジェットインクを少なくとも含む、放射線硬化性インクジェットインクのセットを調製する方法であって、
a)少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシド、
b)少なくとも一つのビニルエーテル基並びに、一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性の基、を含んでなる少なくとも一つの単量体、並びに
c)少なくとも一つの重合性のまたは重合体のチオキサントンが第三級アミン基を含まない場合は、放射線硬化性インクジェットインクが更に、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、第三級アミンを含む重合性コイニシエーターおよび第三級アミンを含む重合体のコイニシエーターよりなる群から選択される少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターを含むことを条件として、少なくとも一つの重合性のまたは重合体のチオキサントン、
を混合することにより、
青緑色の放射線硬化性インクジェットインク、深紅色の放射線硬化性インクジェットインク、黄色の放射線硬化性インクジェットインクおよび黒色の放射線硬化性インクジェットインクが、それぞれ25℃および90s-1のずり速度において50mPa.s以下の粘度をもち、
ビスアシルホスフィンオキシド・オキシドが放射線硬化性インクジェットインクの総重量に基づき4重量%以下の濃度で含まれる上記方法。
【請求項13】
少なくとも、
a)請求項1〜10のいずれか1項により規定されるような放射線硬化性インクジェットインクのセットを提供し、そして
b)放射線硬化性インクジェットインクのセットを使用して食品包装材上に画像をインクジェット印刷する:
工程を含む、食品包装材を製造する方法。
【請求項14】
食品包装材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエチレンテレフタエート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリラクチド(PLA)のようなポリエステル並びにポリイミドから選択される表面を有する支持体を含む、請求項13に従う方法。
【請求項15】
画像が少なくとも一部は、一つ以上のUV LEDにより硬化される、請求項13に従う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材の印刷用、より具体的には、高速デジタル食品包装材の印刷用の、放射線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オフセットおよびフレキソ印刷のような印刷システムは、使用時における、例えば、包装材上への土壇場の広告の変更を許す、様々なデータ印刷におけるそれらの柔軟性のために、そして、生産ライン中へのそれらの取り込みを許す、それらの高められた信頼性のために、印刷材の適用に対して、工業的インクジェット印刷システムにより益々置き換えられている。プラスチックの包装材のような非吸収性インク受理体上に高品質画像を印刷することができるためには、放射線硬化性インクジェットのインクは、特に好適である。
【0003】
食品包装材上のインクジェット印刷の高い信頼性が、工業的環境における生産性の理由のためのみならずまた、食品の安全性の理由のために要求される。欧州印刷インク協会(EuPIA)は食品包装材の印刷インクに対するGMP誘導指針を提供している。欧州において今日の大部分の注目は、化合物の好適なリストを公布している、スイスの法律(「食品と接触する材料および製品に対する条例」、SR 817.023.21)に向けられようとしている。米国食品医薬品局(FDA)は非移動原理に固執し、従って直接の食品の接触を除いて、インクに対して特定の誘導指針を課していない。インク化合物に対する移動および/または作動の許容レベルにおける重要な数字は、インク化合物に対して10μg/6dm2(6dm2は食品1kg当りの包装材の典型的な表面積である)である。10μg/1kgの食品、のこの割合はまた、10ppbとも表わされ、大部分の条例におけるインク化合物に許容可能な移動限界の大体の目安であるが、この限界は十分な毒物学的データにより実証される時は、より高くなることができる。
【0004】
しばしば低移動性(LM))インクと呼ばれる一次食品包装材の適用に適するUV硬化性インクジェットインクは特許文献1(AGFA)、特許文献2(AGFA)および特許文献3(AGFA)により例示される(特許文献1、2および3参照)。
【0005】
しかし、低移動性UV硬化性インクジェットインク自体は存在しない。一次包装材の外面上の印刷用インク配合物は、安全な食品包装材に貢献できるのみである。更に包装材および印刷工程のすべての条件は、移動試験によりモニターされなければならない。例えば、包装材中のフタレート可塑化剤は、過去に多大の注目を集め、そしてより近年の報告は、再生紙およびボール紙中に含まれる印刷インクからの鉱油による、コーンフレークの汚染を伴った。
【0006】
技術的観点から、製造ライン中にLED硬化を取り入れることは、古典的水銀UVランプと比較して著しく便利であり、更に全体のエネルギー消費を節減する。広範な、高電力の水銀UVランプから、より小さいUV光出力における狭いバンドで発光するUV LEDへの、UV硬化性インクジェットインクを硬化する進歩は、印刷の信頼性および食品の安全性のために更により重要な、低移動性をもつUV硬化性インクジェット印刷包装材の解決をもたらした。UV LEDのより少量のUV光出力は、硬化工程中に、窒素ブランケットを使用することにより一部代償され得る。しかし、生産ラインにおいては、窒素ブランケットを使用することによる不活性化(inertization)は、デジタル印刷を生産ライン中に実行することが、もはや経済的に実行可能でない程度まで、生産ラインの設計を複雑にする。
【0007】
更に、不適切な保存および運搬条件がまた、UV硬化性LMインクジェットインクの性能を劣化させる可能性がある。インク中の有色顔料の分散安定性に悪い影響を与えるのみならずまた、移動可能物が増加すること可能性があるが、硬化速度が低下する可能性がある。
【0008】
従って、UV LEDにより硬化されることができ、凍結温度と高温の間の、様々な運搬条件下でも影響を受けないで、高い信頼性を伴って印刷されることができる、改善された放射線硬化性インクジェットインクの需要がまだ、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第2053101A(AGFA)号明細書
【特許文献2】欧州特許第2199273A(AGFA)号明細書
【特許文献3】欧州特許第2161290A(AGFA)号明細書
【発明の概要】
【0010】
前記の課題を克服するために、本発明の好適な実施態様は、請求項1により規定されるような放射線硬化性組成物を使用して実現された。
【0011】
驚くべきことには、非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシドは、スイス法令の条例の食品安全性の必要条件をまだ達成しながら、不活性化(inertization)の必要なしに、高いLED感度をもつ工業的食品包装材印刷用の放射線硬化性組成物を提供するために使用することができることが見いだされた。非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシドの濃度を上限まで制御することにより、放射線硬化性組成物の性能に対する様々な保存および運搬条件の影響が最小にされた。その恩恵は、重合性の、または重合体のチオキサントン、第三級アミンを含有する特定のコイニシエーター、およびビニルエーテル(メタ)アクリレート単量体の特定の組み合わせ物を使用してのみ達成することができた。
【0012】
本発明に従う放射線硬化性組成物は好適には、食品包装材上への画像のインクジェット印刷に、より好適には、画像が一つ以上のUV LEDにより少なくとも一部硬化されるインクジェット印刷用に使用される。
【0013】
本発明の更なる目的は以下の説明から明白になると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
用語「アルキル」は、アルキル基中の炭素原子の各数に可能なすべてのバリエーション、例えば、3個の炭素原子に対してはメチル、エチル、4個の炭素原子に対してはn−プロピルおよびイソプロピル、5個の炭素原子に対してはn−ブチル、イソブチルおよび第三級−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピルおよび2−メチル−ブチル、等を意味する。
【0015】
別記されない限り、置換もしくは未置換アルキル基は好適には、C1〜C6−アルキル基である。
【0016】
別記されない限り、置換もしくは未置換アルケニル基は好適には、C1〜C6−アルケニル基である。
【0017】
別記されない限り、置換もしくは未置換アルキニル基は好適にはC1〜C6−アルキニル
基である。
【0018】
別記されない限り、置換もしくは未置換アラル基は好適には1、2、3個またはそれ以上のC1〜C6−アルキル基を含むフェニルまたはナフチル基である。
【0019】
別記されない限り、置換もしくは未置換アルカリール基は好適には、フェニル基またはナフチル基を含むC7〜C20−アルキル基である。
【0020】
別記されない限り、置換もしくは未置換アリール基は好適には、フェニル基またはナフチル基である。
【0021】
別記されない限り、置換もしくは未置換ヘテロアリール基は好適には、1、2または3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子またはそれらの組み合わせ物により置換されていてもよい5−または6−員環である。
【0022】
例えば、置換アルキル基における用語「置換」は、アルキル基がそのような1個の基中に通常存在する原子、すなわち、炭素および水素以外の他の原子により置換されてもよいことを意味する。例えば、置換アルキル基はハロゲン原子またはチオール基を含むことができる。未置換アルキル基は炭素および水素原子のみを含む。
【0023】
別記されない限り、置換アルキル基、未置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アルカリール基、置換アリールおよび置換ヘテロアリール基は好適には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよび第三級ブチル、エステル基、アミド基、エーテル基、チオエーテル基、ケトン基、アルデヒド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホネートエステル基、スルホンアミド基、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−CNおよび−NO2よりなる群から選択される1個以上の成分により置換される。
【0024】
用語「画像(image)」は、本文、数、画像、ロゴ、写真、バーコード、QRコード、等を含む。画像は1または複数の色彩で規定されることができる。
【0025】
放射線硬化性組成物
本発明に従う放射線硬化性組成物は25℃および90s-1のずり速度において50mPa.s以下の粘度をもち、そしてa)放射線硬化性組成物の総重量に基づいて4.0重量%以下の濃度で含まれる、少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシド、b)少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性の基、を含んでなる、少なくとも一つの単量体、並びにc)少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンが第三級アミン基を含まない場合は、放射線硬化性組成物が更に、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、第三級アミンを含む重合性コイニシエーターおよび第三級アミンを含む重合体のコイニシエーターよりなる群から選択される少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターを含むことを条件として、少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントン:を含む。
【0026】
放射線硬化性組成物は好適には、UV光線により硬化性である。
【0027】
放射線硬化性組成物は好適には、インクジェット印刷装置、より好適には、電子ビームの硬化の代わりにUV硬化を使用するインクジェット印刷装置により射出可能である。
【0028】
放射線硬化性組成物は混成UV硬化性、すなわちカチオンおよびフリーラジカル重合に
より硬化性の組成物であることができるが、好適には、放射線硬化性組成物はフリ−ラジカルUV硬化性の組成物である。工業的インクジェット印刷システムにおいて、カチオン硬化性インクジェットインクは、UVストレイライト(stray light)のために射出信頼性の問題を与えた。インクジェット印刷ヘッドのノズル板に当るUVストレイライトは、ノズル中の硬化インクによる詰まりのために、欠陥ノズルをもたらす。ラジカル物質がずっと短い寿命を有するフリーラジカルの硬化性インクと異なり、カチオン硬化性インクは、酸物質がノズル中にUV光線により形成された後に、硬化を継続する。
【0029】
少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシドは好適には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン・オキシドおよびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン・オキシドよりなる群から選択される。
【0030】
適切なビス(アシル)ホスフィン・オキシド光反応開始剤はまた、国際公開第2012/012067号パンフレット(DSM)により開示されている。
【0031】
少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシドは、放射線硬化性組成物の総重量に基づいて4.0重量%以下の濃度で、好適には放射線硬化性組成物の総重量に基づいて1.0〜3.5重量%の量で含まれなければならない。1.0重量%未満の量はUV LEDによる硬化速度には否定的な影響を与える。4.0重量%を超える量は、様々な保存および運搬条件に暴露されると、放射線硬化性組成物の矛盾した性能をもたらす。
【0032】
放射線硬化性組成物は、着色剤を含むことができ、そのような場合には、放射線硬化性組成物はUV硬化性インクジェットインクと呼ばれる。その着色剤は好適には有色顔料である。
【0033】
好適な実施態様において、放射線硬化性組成物はインクジェットインクのセットの一部を形成する。それは無色でもよく、ニスの上塗り(例えば、包装材上の上層)および/または下塗り剤(下部層、例えば移動可能物に対するバリヤー層)として使用されることができる。下塗り剤はまた、包装材中の欠陥を隠ぺいし、その上に印刷される色彩の輝きを高めるための白色をもつことができる。ニスの上塗りはまた、それが包装材の裏面印刷に使用されることができるので、白色をもつことができる。この場合は、透明な支持体が包装材の外層になり、印刷は支持体により保護される。印刷物と食品間の接触は、張り合わせ工程でインク層に内側のフォイルをのり付けすることにより、回避される。放射線硬化性組成物は好適には、放射線硬化性インクジェットインクである。より好適には、インクジェットインクのセットの放射線硬化性インクジェットインクはすべて、本発明に従う組成物を有する。
【0034】
放射線硬化性インクジェットインクは好適には、有色顔料を分散するための分散剤、より好適には、重合体の分散剤を含む。放射線硬化性インクジェットインクはまた、分散性およびインクの安定性を改善するために分散共力剤を含む。分散共力剤の混合物は分散の安定性を更に改善するために使用されることができる。放射線硬化性の射出性組成物、またはインクジェットインクの表面張力は好適には、25℃において20〜50mN/m、より好適には25℃において22〜35mN/mである。それは好適には、第2の放射線硬化性インクジェットインクによる印刷性の観点から20mN/m以上であり、そして、好適には、湿潤性の観点から35mN/m以下である。
【0035】
良好な射出能をもつためには、射出温度における放射線硬化性射出性組成物またはインクジェットインクの粘度は好適には、90s−1のずり速度および10〜70℃の射出温
度において、30mPa.s未満、より好適には15mPa.s未満、そしてもっとも好適には4〜13mPa.sの間である。
【0036】
放射線硬化性組成物またはインクジェットインクの粘度は好適には、25℃および90s−1のずり速度において、35mPa.s未満、好適には28mPa.s未満、そしてもっとも好適には2〜25mPa.sである。放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは更にまた、組成物またはインクジェットインクの熱安定性を改善するために少なくとも一つのインヒビターを含むことができる。
【0037】
放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは更にまた、支持体上に良好な展着性を得るために、少なくとも一つの界面活性剤を含むことができる。
【0038】
放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは好適には、放射線硬化性組成物またはインクジェットインクの総重量に基づいて60〜98重量%の重合性化合物、より好適には70〜90重量%の重合性化合物を含む。
【0039】
インクジェットインクのセット
好適な実施態様において、本発明に従う放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは、放射線硬化性インクジェットインクのセットの一部、より好適には、本発明に従う複数のインクジェットインクを含む放射線硬化性インクジェットインクのセットの一部である。放射線硬化性インクジェットインクのセットは好適には、青緑色の放射線硬化性インクジェットインク、深紅色の放射線硬化性インクジェットインク、黄色の放射線硬化性インクジェットインクおよび黒色の放射線硬化性インクジェットインクを少なくとも含む。
【0040】
硬化性CMYK−インクジェットインクのセットはまた、画像の色域を更に拡大するために赤、緑、青および/または橙のようなその他のインクを使用して拡大される(extended)ことができる。放射線硬化性インクジェットインクのセットはまた、軽密度のインクジェットインクとの高密度インクジェットインクとの組み合わせにより色域拡大されることができる。暗色と淡色インクおよび/または黒色と灰色のインクの組み合わせは、低下された粒状性により、画像の品質を改善する。
【0041】
硬化性インクのセットはまた、一つ以上のスポットカラー、好適には、例えばCocaColaTMの赤色のような、一つ以上のコーポレートカラーを含むことができる。
【0042】
硬化性インクジェットインクのセットはまた、上塗りニスを含むことができる。硬化性インクジェットインクのセットはまた好適には、白色のインクジェットインクを含む。
【0043】
放射線硬化性インクジェットインクのセットは好適には、フリーラジカル硬化性インクジェットインクのセットである。
【0044】
重合性の、および重合体のチオキサントン光重合開始剤
放射線硬化性組成物は、その重量百分率(重量%)が放射線硬化性組成物の総重量に基づく場合、好適には2〜20重量%の量の、より好適には3〜17重量%、そしてもっとも好適には5〜15重量%の量の、少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンを含む。
【0045】
放射線硬化性組成物は好適には、その化学構造内に第三級アミン基をもつ少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンを含む。その場合、第三級アミン基は、少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンの、もう一つの分子に対するコ
イニシエーター分子として働くことができる。少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンにおける第三級アミン基の位置が適切に選択されると、分子相互間の同時重合反応開始のみならずまた、分子内の同時重合反応開始が可能である。
【0046】
第三級アミン基を含む好適な重合性チオキサントン光反応開始剤は、式(TN−1):
【0047】
【化1】
【0048】
に従う化合物により表わされ、
式中、Aはチオキサントン基を表わし、Lは1〜5位のチオキサントン開始基AおよびCR2R3−基を1〜8位に配置する1〜15個の炭素原子を含む2価の結合基を表わし、ここで1位は、Lがそれに共有結合されているAの芳香族または脂環式環中の第1の原子と定義され、そして5位〜8位は、Lがそれに共有結合されるCR2R3−基の炭素原子と定義され、但しLはアミンを含まないこととする、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基およびヘテロアリール基よりなる群から選択される、場合により置換されていてもよい基を表わし、R2〜R6はそれぞれ、独立して、水素または、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基およびヘテロアリール基よりなる群から選択される、場合により置換されていてもよい基を表わし、但し、R2〜R6の少なくとも一つは水素を表わし、R1〜R6から選択される群のあらゆる2個または3個の基およびLは、5〜8員環を形成するために必要な原子を表わすことができ、そして但し、L、R1〜R6およびAの少なくとも一つはアクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、スチレン基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基、ビニルエステル基、スクシネート基、マレエート基およびマレイミド基よりなる群から選択される少なくとも一つのエチレン不飽和重合性の基で置換されていることとされる。
【0049】
第三級アミン基を含む重合性チオキサントン光重合開始剤の好適な例は、それに対して限定はされずに、以下の表1に与えられる。
【0050】
【表1-1】
【0051】
【表1-2】
【0052】
第三級アミン基を含む好適な重合体のチオキサントン光重合開始剤は、式(TN−2):
【0053】
【化2】
【0054】
[式中、Xは式(TXA):
【0055】
【化3】
【0056】
(ここで、Aはチオキサントン基を表わし、Lは1〜5位のチオキサントン基AおよびCR2R3−基を1〜9位に配置する1〜15個の炭素原子を含む2価の結合基を表わし、ここで、1位は、Lがアミンを含まないと仮定して、Lがそれに共有結合されているAの芳香族または脂環式環中の第1の限定と定義され、そして5〜9位はLがそれに共有結合されているCR2R3−基の炭素原子と定義される、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基およびヘテロアリール基よりなる群から選択される、場合により置換されてもよい基を表わし、R2〜R6はそれぞれ独立して、水素または、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基およびヘテロアリール基よりなる群から選択される、場合によ
り置換されていてもよい基を表わし、但し、R2〜R6の少なくとも1個は水素を表わすこととする、R1〜R6およびLから選択される群のいずれかの2個または3個の基は、5〜8員環を形成するために必要な原子を表わすことができ、そして但し、Lは(メト)アクリレート基で置換されないこととし、そして、R1〜R6のいずれも、エチレン不飽和重合性の基で置換されることとする、Qは最大10000の数平均分子量をもつn−価の結合基を表わし、QはR1〜R6、LおよびAから選択される一つの基に対して、単結合により、部分Xそれぞれに結合されており、そしてnは2〜8の整数を表わす)
に従う構造部分を表わす]
に従う化合物により表わされる。
【0057】
第三級アミン基を含む重合体のチオキサントン光重合開始剤の好適な例は、それらに限定されずに、以下の表2に与えられる。
【0058】
【表2】
【0059】
放射線硬化性組成物は好適には、重合性チオキサントン、より好適には式(I):
【0060】
【化4】
【0061】
[式中、
kは0または1の値をもつ整数であり、
nおよびmは0または1の値をもつ整数を表わし、但し、nおよびmの少なくとも1個は1の値をもたなければならず、
Lはエーテル結合により、チオキサントン環に対して、Aをカプリングする2価の結合基を表わし、そして
Aは1〜6個のフリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合を含んでなる構造部分を表わす]
に従う構造をもつ重合性チオキサントンである。
【0062】
Lは好適には、1〜10個の炭素原子、より好適には、2〜6個の炭素原子を含み、そしてLはもっとも好適には、置換もしくは未置換アルキレン基、好適には、置換もしくは未置換アルケニレン基、置換もしくは未置換アルキニレン基、好適には、エチレン・オキシド、プロピレン・オキシドおよびブチレン・オキシド基よりなる群から選択される1〜4単位を含有するエーテル含有結合基、アミド含有結合基並びにエステル含有結合基よりなる群から選択される。
【0063】
式(I)の重合性チオキサントン中のフリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合は好適には、アクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレエート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、ビニルエステル基およびアリルエステル基よりなる群から選択される。もっとも好適な実施態様において、少なくとも1〜6個のフリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合の少なくとも一つはアクリレート基またはメタクリレート基を表わし、ここで、アクリレートは食品の安全性の理由でもっとも好適である。
【0064】
式(I)の重合性チオキサントンは好適には、2、3または4個のフリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合を含む。フリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合の高すぎる数値は、特にアクリレート基の場合に、硬化層の早期の溶融固化をもたらす可能性がある。2個以上のフリーラジカルの重合性エチレン不飽和結合をもつことは、移動可能物質の量を最少にする。
【0065】
重合性チオキサントンの、より好適な実施態様において、重合性チオキサントンは式(II):
【0066】
【化5】
【0067】
[式中、
kは0または1の値をもつ整数であり、
nおよびmは0または1の値をもつ整数を表わし、但しnおよびmの少なくとも一つは1の値をもたなければならない、
1およびR2は独立して、水素、置換もしくは未置換アルキル基、置換もしくは未置換アルケニル基、置換もしくは未置換アルキニル基、置換もしくは未置換アラルキル基、置換もしくは未置換アルカリール基および置換もしくは未置換アリールもしくはヘテロアリール基よりなる群から選択され、
zは1または2を表わし、
3はアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン基、マレエート、フマレート、イタコネート、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルよりなる群から選択される少なくとも1個のフリーラジカル重合性基を含んでなる部分を表わす]
により表わされる。
【0068】
好適な実施態様において、R3は1〜6個のアクリレート基またはメタクリレート基を含んでなる部分を表わし、そのアクリレート基がもっとも好適である。もっとも好適には、R3は食品の安全性を最大にする理由で2、3または4個のアクリレート基を含んでなる部分を表わす。
【0069】
式(I)または(II)に従う重合性チオキサントンの好適な実施態様において、整数kおよびmは1の値をもち、他方整数nは0の値をもつ。
【0070】
式(I)または(II)に従う重合性チオキサントンのもう一つの好適な実施態様において、整数kおよびmは0の値をもち、他方整数nは1の値をもつ。
【0071】
式(I)または(II)に従う重合性チオキサントン中の置換基R1およびR2は好適には、双方とも水素を表わす。
【0072】
他の好適な重合性チオキサントンは欧州特許第2161264A号明細書(AGFA)の[0021]〜[0031]および表1、国際公開第2010/069758号パンフレット(AGFA)の[0029]〜[0052]および表1並びに国際公開第2012/052288号パンフレット(AGFA)の[0021]〜[0031]および表1中に開示されている。
【0073】
特に好適な重合性チオキサントンは、
【0074】
【化6】
【0075】
n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミドよりなる群から選択される。
【0076】
放射線硬化性組成物が少なくとも一つの重合性チオキサントンを含まない場合は、それは少なくとも一つの重合体のチオキサントンを含む。重合性チオキサントンと重合体のチオキサントンの組み合わせ物もまた、例えば粘度を所望の値に調整するために、放射線硬化性組成物中に好都合に使用されることができる。
【0077】
放射線硬化性インクジェットインクに特に好都合である、放射線硬化性組成物の非常に低粘度を獲得するために、重合体のチオキサントンは末端基として少なくとも一つの反応開始官能基をもつ樹木状の重合体コアを含んでなる。好適な例は、欧州特許第1616921A号明細書(AGFA)の[0064]〜[0080]中に開示された重合体のチオキサントンである。
【0078】
より好適な実施態様において、重合体のチオキサントンは少なくとも一つの反応開始官能基および少なくとも一つの同時反応開始官能基をもつ樹木状重合体コアを含んでなる。好適な例は、欧州特許第1616899A号明細書(AGFA)の.[0061]〜[0104]中に開示された重合体のチオキサントンである。
【0079】
本発明の放射線硬化性組成物のための重合体のチオキサントン中に使用される樹木状重合体のコアは好適には、超分枝重合体コアである。
【0080】
線状重合体のチオキサントンを使用することができ、そして、放射線硬化性組成物をより高い粘度に調整するために、使用することができる。
【0081】
特に好適な重合性チオキサントンは、平均して2〜4個に等しいnをもつ
【0082】
【化7】
【0083】
および1,000より小さい分子量Mwをもつ
【0084】
【化8】
【0085】
よりなる群から選択される。前記の化合物の、適切な市販の重合性チオキサントンは、IGM Resinsから、平均3に等しいnをもつOmnipolTM TX(CASRN515139−51−2)として、またはRAHNからMw=820を伴うGenopolTM TX−1(CASRN1256447−30−9)として市販されている。
【0086】
他の好適な重合体のチオキサントンは、国際公開第2009/060235号パンフレット(LAMBSON)の2〜5ページおよび実施例並びに国際公開第2010/124
950号パンフレット(SIEGWERK)の1ページの最後の段落から20ページの最初の段落までに開示されている。
【0087】
適当な重合体の反応開始剤は近年、Hrdlovic P.[Polymer News,30(6),179−182(2005)およびPolymer News,30(8),248−250(2005))およびCorrales T.(Journal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 159(2003),103−114)]により再検討された。更なる適当な重合体の光反応開始剤はCRIVELLO,J.V.,et al.;Chemistry & technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints.Volume III:Photoinitiators for Free Radical,Cationic & Anionic Photopolymerisation,2nd edition,John Wiley & Sons Ltd、協力SITA Technology Ltd,London,UK,1998、編纂 Dr.G.Bradley;ISBN 0471 978922,ページ208−224に認めることができる。
【0088】
第三級アミンのコイニシエーター
少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンが第三級アミン基を含まない場合は、放射線硬化性組成物は更に、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、第三級アミン含有重合性コイニシエーターおよび第三級アミン含有重合体のコイニシエーターよりなる群から選択される少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターを含む。
【0089】
第三級アミン含有重合性コイニシエーターと第三級アミン含有重合体のコイニシエーターとの組み合わせ物は放射線硬化性組成物の粘度を調整するために好都合に使用されることができる。
【0090】
エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(EHA)は好適には、すべての重量%が放射線硬化性組成物の総重量に基づく場合に、0.5重量%〜5.0重量%の量、より好適には1.0〜4.0重量%の量、そしてもっとも好適には3重量%以下の量で含まれる。
【0091】
少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターは更に、第三級アミン含有重合性コイニシエーター、より好適には、一つ以上の4−ジアルキルアミノベンゾエート基含有重合性コイニシエーター、もっとも好適には、一つ以上の4−ジメチルアミノベンゾエート基含有重合性コイニシエーターであることができる。第三級アミン含有の少なくとも一つの重合性コイニシエーターに対する他の好適な第三級アミン基は、脂肪族第三級アミン基およびピペラジン基を含む。
【0092】
特に好適な実施態様において、第三級アミン含有重合性コイニシエーターは、
【0093】
【化9】
【0094】
よりなる群から選択される。
【0095】
本発明に従う放射線硬化性組成物は好適には、すべての重量%が放射線硬化性組成物の総重量に基づく場合に、1.0〜10.0重量%、より好適には2.0〜7.0重量%、そしてもっとも好適には3.0〜5.0重量%の量の第三級アミン含有重合性コイニシエーターを含む。
【0096】
少なくとも一つの第三級アミンコイニシエーターはまた、第三級アミン含有重合体のコイニシエーター、より好適には、一つ以上の4−ジアルキルアミノベンゾエート基含有重合体のコイニシエーター、もっとも好適には、一つ以上の4−ジメチルアミノベンゾエート基含有重合体のコイニシエーターであることができる。第三級アミン含有の少なくとも一つの重合体のコイニシエーターに対する他の好適な第三級アミン基は、脂肪族第三級アミン基およびピペラジン基を含む。
【0097】
好適な実施態様において、第三級アミン含有の少なくとも一つの重合体のコイニシエーターはポリエーテル基剤の重合体である。特に好適な重合体のコイニシエーターは、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エトキシル化ネオペンチルグリコール、プロポキシル化ネオペンチルグリコール、エチレン・オキシド、プロピレンオキシド・コポリマー、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、エトキシル化ペンタエリスリトール、プロポキシル化ペンタエリスリトールおよびポリテトラヒドロフランからの誘導体である。
【0098】
更なる好適な実施態様において、第三級アミン含有の少なくとも一つの重合体のコイニシエーターは、1500以下、より好適には1000以下、そしてもっとも好適には750以下の数平均分子量を有する。
【0099】
他の好適な実施態様において、本発明に従う放射線硬化性組成物は、すべての重量%が放射線硬化性組成物の総重量に基づく場合に、1.0〜25.0重量%、より好適には2.0〜10.0重量%、そしてもっとも好適には3.0〜7.0重量%を含む。
【0100】
特に好適な実施態様において、第三級アミン含有重合体のコイニシエーターは、
【0101】
【化10】
【0102】
[式中、化合物が1500以下の数平均分子量を有するか、またはnが1〜4の整数である]
よりなる群か選択される。第三級アミン含有の適当な対応する重合体のコイニシエーターはIGM ResinsからOmnipolTM ASA(CASRN71512−90−8)として、RAHNからGenopolTM AB−1およびAB−2(CASRN1215019−68−3)として、そしてLAMBSONからSpeedcureTM 7040(CASRN1182751−31−0)として市販されている。
【0103】
第三級アミン含有の好適な重合体のコイニシエーターは、樹木状重合体構造、より好適には、超分枝重合体構造を有する重合体のコイニシエーターである。好適な超分枝重合体コイニシエーターは、米国特許第2006014848号明細書(AGFA)に開示されたものである。
【0104】
その他の光反応開始剤およびコイニシエーター
少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシドおよび少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンに加えて、放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは一つ以上の他の光反応開始剤および/またはコイニシエーターを含むことができる。
【0105】
一次食品包装材の適用物として、これらの一つ以上の他の光反応開始剤は好適には、重合性光反応開始剤、重合体の光反応開始剤および多官能価光反応開始剤よりなる群から選択される。多官能価光反応開始剤は2個以上の光反応開始基、例えば2個のベンゾフェノン基および一つのチオキサントン基を有する光反応開始剤である。より好適な実施態様において、一つ以上の他の光反応開始剤は重合性光反応開始剤である。このような光反応開始剤は食品包装材適用物において、健康の危険をまだ最少にしながら、重合体の光反応開始剤より小さい粘度をもたらす。
【0106】
フリーラジカルの放射線硬化性インクジェットインク中の光反応開始剤は、フリーラジカルの開始剤、より具体的にはNorrishタイプIの開始剤またはNorrishタイプIIの開始剤である。フリーラジカルの光反応開始剤は、フリーラジカルの形成により化学放射線に暴露されると、単量体の重合を開始する化合物である。NorrishタイプIの反応開始剤は励起後に分裂して、即座に開始ラジカルを生成する開始剤である。NorrishタイプIIの開始剤は化学放射線により活性化され、実際の開始フリーラジカルになる第2の化合物から水素の除去(abstraction)によりフリーラジカルを形成する光反応開始剤である。この第2の化合物は、重合共力剤またはコイニシエーターと呼ばれる。タイプIおよびタイプIIの光反応開始剤双方が単独でまたは組み合わせて本発明に使用され得る。フリーラジカル放射線硬化性インクジェットインクは好適には、カチオン光反応開始剤を含まない。
【0107】
重合性光反応開始剤は、例えば食品中への移動により、健康に対する危険を惹起しないインクジェットインク中の濃度レベルにおいて、食品包装材の適用物に対して、他のタイプの非重合体の、または非重合性の光反応開始剤と組み合わせることができる。
【0108】
適当な光反応開始剤はCRIVELLO,J,V,.等、Photoinitiators for Free Radical Cationic and Anionic
Photopolymerization(フリーラジカルのカチオンおよびアニオン光重合のための光反応開始剤)、第2版、編纂 BRADLEY,G..London,UK:John Wiley and Sons Ltd,1998.p.287−294中に開示されている。
【0109】
光反応開始剤の特定の例は、それらに限定はされないが、以下の化合物またはそれらの組み合わせ物:ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン(例えば、イソプロピルチオキサントン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,6−ジメチルアミノベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン・オキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン・オキシド、2,4,6−トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィン・オキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンまたは5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、を含むことができる。
【0110】
適当な市販の光反応開始剤は、BASF AGから市販のIrgacureTM 184、IrgacureTM 500、IrgacureTM 369、IrgacureTM 1700、IrgacureTM 651、IrgacureTM 1000、IrgacureTM 1300、IrgacureTM 1870、DarocurTM 1173、DarocurTM 2959、DarocurTM 4265およびDarocurTM ITX、BASF AGから市販のLucerinTM TPO、LAMBERTIから市販のEsacureTM KT046、EsacureTM KIP150、EsacureTM KT37およびEsacureTM EDB、SPECTRA GROUP Ltdから市販のH−NuTM 470およびH−NuTM 470Xを含む。
【0111】
低移動放射線硬化性組成物またはインクジェットインクに対する光反応開始剤は好適には、いわゆる拡散ヒンダード光反応開始剤よりなる。拡散ヒンダード光反応開始剤は、放射線硬化性インクジェットインクの硬化層中で、ベンゾフェノンのような一官能価光反応開始剤よりずっと低い移動性を示す光反応開始剤である。光反応開始剤の移動性を低下するために、幾つかの方法を使用することができる。一つの方法は、拡散速度が低下されるように、光反応開始剤、例えば重合体の光反応開始剤、の分子量を増加すること、である。他の方法は、それが重合ネットワーク中に構築されるように、その反応性を増加すること、例えば多官能価光反応開始剤(2、3またはそれ以上の光反応開始基をもつ)および重合性光反応開始剤、である。
【0112】
拡散ヒンダード光反応開始剤は好適には、非重合体の多官能価光反応開始剤、オリゴマーまたは重合体の光反応開始剤および重合性光反応開始剤よりなる群から選択される。非重合体の二または多官能価光反応開始剤は300〜900ドルトン間の分子量をもつと考えられる。その範囲内の分子量をもつ非重合性一官能価光反応開始剤は拡散ヒンダード光反応開始剤ではない。
【0113】
もっとも好適には、放射線硬化性インクジェットインク中の光反応開始剤は、一つ以上の拡散ヒンダード光反応開始剤、好適には一つ以上の重合性の、または重合体の光反応開始剤、そしてより好適には、重合性の光反応開始剤よりなる。
【0114】
好適な拡散ヒンダード光反応開始剤は、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルホスリンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、α−ハロケトン、α−ハロスルホンおよびフェニルグリオキサレートよりなる群から選択されるNorrishタイプI−光反応開始剤から誘導される一つ以上の光反応開始性官能基を含む。
【0115】
好適な拡散ヒンダード光反応開始剤は、ベンゾフェノン、1,2−ジケトンおよびアントラキノンよりなる群から選択されるNorrishタイプII−反応開始剤から誘導さ
れる一つ以上の光反応開始官能基を含む。
【0116】
適当な拡散ヒンダード光反応開始剤はまた、欧州特許第2065362A号明細書(AGFA)および第2161264A号明細書(AGFA)に開示されたものである。
【0117】
光反応開始系において、光反応開始剤の一つはまた、他の光反応開始剤の反応性を高める増感剤として機能することができる。好適な増感剤は、欧州特許第2053095A号明細書(FUJIFILM)中に開示されているような重合性増感剤である。
【0118】
更に光感度を増加するために、フリーラジカル放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは更に、非重合性の、非重合体のコイニシエーターを含むことができる。これらのコイニシエーターの適当な例は、3つの群:1)第三級脂肪族アミン、例えばメチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンおよびN−メチルモルホリン、(2)芳香族アミン、例えばアミルパラジメチルアミノベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート並びに(3)(メト)アクリル化アミン、例えば、ジアルキルアミノアルキル(メト)アクリレート(例えば、ジエチルアミノエチルアクリレート)またはN−モルホリノアルキル−(メト)アクリレート(例えば、N−モルホリノエチル−アクリレート)、に分類することができる。好適なコイニシエーターはアミノベンゾエートである。これらのコイニシエーターの一つ以上が食品包装材の適用物のために放射線硬化性インクジェットインク中に含まれる場合は、例えば食品中への移動のために健康の危険を惹起しない量が使用される。
【0119】
フリーラジカルの放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは好適には、フリーラジカル放射線硬化性組成物またはインクジェットインクの総重量の0.1〜10.0重量%の量、より好適には0.5〜5.0重量%の量、もっとも好適には1.0〜3.0重量%の量の他のコイニシエーターを含む。
【0120】
放射線硬化性組成物は好適には、2−ヒドロキシ2−メチルプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾ−フェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ 2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)2−モルホリノプロピオフェノン、4−イソプロピル9H−チオキサンテン−9−オン、2−イソプロピル9H−チオキサンテン−9−オンおよび2,4−ジエチル 9H−チオキサンテン−9−オンの群から選択される光反応開始剤を含まない。このような放射線硬化性組成物は疑念のある毒性をもたない。
【0121】
ビニルエーテル基および(メト)アクリレート基を含有する単量体
放射線硬化性組成物は、少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性基を含んでなる少なくとも一つの単量体を含み、この単量体は好適には、式(III):
【0122】
【化11】
【0123】
[式中、
4は水素またはメチル基を表わし、
Lは置換もしくは未置換アルキレン基、置換もしくは未置換アルケニレン基、置換もしくは未置換アルキニレン基、置換もしくは未置換シクロアルキレン基およびエーテル含有アルキレン基よりなる群から選択される2価の結合基を表わす]
により表わされる。
【0124】
更なる好適な実施態様において、一つのアクリレートおよび一つのメタクリレートよりなる群から選択される少なくとも一つの重合性基,および少なくとも一つのビニルエーテルを含んでなる単量体は、式(IV):
【0125】
【化12】
【0126】
[式中、
5は水素またはメチル基を表わし、そして
nは0〜4の整数を表わす]
により表わされる。大部分の好適な実施態様において、R4およびR5は水素を表わす。
【0127】
少なくとも一つのビニルエーテル基および少なくとも一つの(メト)アクリレート基を含んでなる少なくとも一つの単量体は、好適には、
【0128】
【化13】
【0129】
よりなる群から選択される。
【0130】
放射線硬化性組成物のもっとも好適な実施態様において、少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性基を含んでなる,少なくとも一つの単量体は、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートである。
【0131】
その他の適当なビニルエーテル(メト)アクリレートは米国特許第6767980号明
細書(NIPPON SHOKUBAI)の段落3および4に開示されたものである。
【0132】
ビニルエーテルアクリレート類の単一の化合物または混合物を使用することができる。本発明に従う放射線硬化性組成物は、すべての重量%が放射線硬化性組成物の総重量に基づく場合に、少なくとも10重量%、より好適には、少なくとも20重量%、そしてもっとも好適には少なくとも25重量%の、式(III)または(IV)に従う単量体を含む。
【0133】
放射線硬化性組成物の特に好適な実施態様において、それは、本質的にa)25〜100重量%の式(III)または(IV)に従う単量体、好適には2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート、b)0〜55重量%の、一官能価アクリレートおよび二官能価アクリレートよりなる群から選択される一つ以上の重合性化合物A、並びにc)0〜55重量%の、三官能価アクリレート、四官能価アクリレート、五官能価アクリレートおよび六官能価アクリレートよりなる群から選択される一つ以上の重合性化合物B、よりなる重合性組成物を含み、但し、化合物Aの重量百分率>24重量%の場合は、化合物Bの重量百分率>1重量%であり、そしてAおよびBのすべての重量百分率は重合性組成物の総重量に基づくこととする。
【0134】
その他の単量体およびオリゴマー
本発明に従う放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは、少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性基を含んでなる少なくとも一つの単量体以外に、一つ以上のその他の単量体および/またはオリゴマーを含むことができる。
【0135】
フリーラジカル重合可能なあらゆる単量体およびオリゴマーが、放射線硬化性組成物またはインクジェットインク中に使用されることができる。単量体およびオリゴマーは異なる度合いの重合性官能価をもつことができ、モノ−、ジ−、トリ−およびそれ以上の重合性の官能価単量体の組み合わせ物を含む混合物を使用することができる。放射線硬化性インクジェットインクの粘度は、単量体間の比率を変更することにより調整することができる。
【0136】
特に食品包装材適用物に対して使用される単量体およびオリゴマーは好適には、全く、またはほとんど全く不純物、より具体的には毒性または発がん性不純物を含まない精製化合物である。不純物は通常、重合性化合物の合成中に得られる誘導化合物である。精製法は単量体およびオリゴマーを製造する当業者に周知である。しかし、時々は、無害な量の何かの化合物、例えば、重合インヒビターまたは安定剤を、純粋な重合性化合物に意図的に添加することができる。
【0137】
特に好適な単量体およびオリゴマーは、欧州特許第1911814A号明細書(AGFA)中の[0106]〜[0115]にリストされたものである。
【0138】
好適な実施態様において、放射線硬化性組成物またはインクジェットインクはN−ビニルカプロラクタム、フェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよび環状トリメチロールプロパンホルマール(formal)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の単量体を含む。
【0139】
高い印刷速度を達成するために、フリーラジカルの放射線硬化性インクジェットインクの低粘度を得ることができるができるように、好適には、低粘度の単量体が使用される。しかし、工業的インクジェット印刷においては、生産ラインにインクジェット印刷システ
ムの取り入れを許す高い信頼度もまた要求される。好適な実施態様において、低粘度の単量体は、開放立方体容器中で40℃で100時間保持されるとその重量の15%未満を喪失する。
【0140】
着色剤
放射線硬化性インクジェットインクは一つの着色剤を含むことができる。硬化性インク中に使用される着色剤は染料、顔料またはそれらの組み合わせ物であることができる。有機および/または無機顔料を使用することができる。
【0141】
着色剤は好適には、顔料または重合体の染料、もっとも好適には、有色顔料である。食品包装材の適用物において、例えば1000ドルトン未満の低分子量の染料はまだ、食品中に移動するか、または食品により抽出されて、食品の望ましくない着色、あるいは固形物または液体の食品を摂取後に、より悪いアレルギー反応すらを与えることができる。
【0142】
顔料は黒色、白色、青緑色、深紅色、黄色、赤色、橙色、スミレ色、青、緑、茶色、それらの混合物、等であることができる。この有色顔料はHERBST,Willy,et
al.Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications.3rd edition.Wiley −VCH,2004.ISBN 3527305769により開示されたものから選択することができる。
【0143】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Yellow 1、3、10、12、13、14、17、55、65、73、74、75、83、93、97、109、111、120、128、138、139、150、151、154、155、175、180、181、185、194および213である。
【0144】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Red 17、22、23、41、48:1、48:2、49:1、49:2、52:1、57:1、88、112、122、144、146、149、170、175、176、184、185、188、202、206、207、210、216、221、248、251、254、255、264、266、270および272である。
【0145】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Violet 19、23、32および37である。
【0146】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Blue 15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、56、61および(架橋)アルミニウム・フタロシアニン顔料である。
【0147】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Orange 5、13、16、34、40、43、59、66、67、69、71および73である。
【0148】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Green 7および36である。
【0149】
特に好適な顔料はC.I.Pigment Brown 6および7である。
【0150】
適切な顔料は、前記の特定の好適な顔料の混合結晶を含む。混合結晶はまた、固溶体とも呼ばれる。例えば、特定の条件下では、異なるキナクリドンは相互に混合されて、化合物の双方の物理的混合物から、そして化合物自体から極めて異なる固溶体を形成する。固溶体においては、成分の分子は、必ずしも常ではないが、通常、成分のうちの一つのもの
と同様な結晶の格子中に侵入する。生成される結晶性固体のx−線回折図はその固体の特徴を示し、同一割合の同一成分の物理的混合物のパターンと明白に区別することができる。このような物理的混合物においては、各成分のx−線図が識別され、そしてこれらの多数の線の消失が固溶体の形成の基準の一つである。市販の例は、BASF AGからのCinquasia Magenta RT−355−Dである。
【0151】
炭素黒は黒色顔料として好適である。適切な黒色顔料は炭素黒、例えばPigment
Black 7(例えば、MITSUBISHI CHEMICALからのCarbon Black MA8(登録商標))、CABOT Co.からのRegal(登録商標) 400R、Mogul(登録商標) L、Elftex(登録商標) 320またはCarbon Black FW18、Special Black 250、Special Black 350、Special Black 550、DEGUSSAからのPrintex(登録商標) 25、Printex(登録商標) 35、Printex(登録商標) 55、Printex(登録商標) 90、Printex(登録商標) 150T、を含む。好適な実施態様において、使用される炭素黒顔料は、欧州会議により発行された1989年9月13日付けの決議案AP(89)のセクションIII、段落5に記載された方法を使用して、0.15%未満のトルエン抽出可能な画分を含む顔料である。
【0152】
顔料の混合物を調製することも可能である。例えば、あるインクジェットインクの適用において、中性の黒色のインクジェットインクが好適であり、例えば、インク中に黒色顔料および青緑色顔料を混合することにより得ることができる。更に、顔料はインクセットの色域を拡大するために組み合わせることができる。インクジェットの適用はまた、一つ以上のスポットカラーを必要とする可能性がある。銀および金はしばしば、製品に独占的な外観を与えることにより、それをより魅力的にさせるために所望される色彩である。
【0153】
更に非有機顔料がインク中に含まれることができる。適切な顔料はC.I.Pigment Metal 1,2および3である。無機顔料の代表的例は、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸鉛、イエロー鉛、亜鉛イエロー、赤色酸化鉄(III)、カドミウム赤、ウルトラマリンブルー、プロシャンブルー、酸化クロムグリーン、コバルトグリーン、こはく色、チタン黒および合成鉄黒を含む。しかし、食品の適用物における重金属の移動および抽出を防止するために注意を払わなければならない。好適な実施態様において、ヒ素、鉛、水銀およびカドミウムよりなる群から選択される重金属を含む顔料は使用されない。より好適な実施態様において、酸化チタンおよび炭酸カルシウムを除き、インクジェットインク中に無機顔料は使用されない。
【0154】
インクジェットインク中の顔料粒子は、特に射出ノズルにおいて、インクジェット印刷装置を通るインクの自由な流れを許すのに十分に小さくなければならない。更に、最大の色彩強度のために小粒子を使用し、そして沈降を遅らせることが望ましい。
【0155】
数平均顔料の粒度は好適には、0.050〜1μm、より好適には0.070〜0.300μmそして特に好適には、0.080〜0.200μmである。もっとも好適には、数平均顔料の粒度は0.150μm以下である。0.050μm未満の平均粒度は、減少された光堅ろう度のために、しかし更に主として、非常に小型の顔料粒子またはそれらの個々の顔料分子が食品包装材適用物中にまだ抽出される可能性があるために、望ましくない。
【0156】
顔料粒子の数平均顔料粒度は動的光散乱の原理に基づき、Brookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを使用してもっとも適切に決定される。次に、インクは0.002重量%の顔料濃度まで、例えば酢酸エ
チルを使用して希釈される。BI90plusの測定設定は、23℃、90°の角度、635nmの波長およびグラフィックス=補正関数において5回の走行、である。
【0157】
白色の放射線硬化性インクの場合は、好適には、1.60を超える、好適には2.00を超える、より好適には2.50を超える、そしてもっとも好適には2.60を超える屈折率をもつ顔料が使用される。白色顔料は単独でまたは組み合わせて使用されることができる。
【0158】
二酸化チタンは好適には、1.60を超える屈折率をもつ顔料に対して使用される。酸化チタンは鋭維石タイプ、金紅石タイプおよび板チタン石タイプの結晶形態で存在する。鋭維石タイプは比較的低い密度をもち、微細粒子に容易に粉砕され、他方、金紅石タイプは比較的高い屈折率をもち、高い被覆力を示す。これらのいずれか一つが本発明に使用可能である。特徴のもっとも可能な使用を実施し、それらの使用に従って選択をすることが好適である。低密度および小型粒度をもつ鋭維石タイプの使用は、優れた分散安定度、インク保存安定度および射出能を達成することができる。少なくとも二つの異なる結晶形態を組み合わせて使用することができる。高い着色力を示す鋭維石タイプおよび金紅石タイプの組み合わせ使用は、酸化チタンの総量を減少させ、インクの改善された保存安定度および射出能をもたらすことができる。
【0159】
酸化チタンの表面処理のために、水処理または気相処理が適用され、アルミナ−シリカ処理剤が通常使用される。未処理−、アルミナ処理−またはアルミナ−シリカ処理−酸化チタンが使用可能である。
【0160】
酸化チタンまたはその他の白色顔料の数平均粒径は好適には、50〜500nm、より好適には150〜400nm、そしてもっとも好適には200〜350nmである。平均粒径が50nm未満である時は十分な隠ぺい力を得ることができず、平均粒径が500nmを超えると、インクの保存能および射出適合性が低下する傾向がある。数平均粒径の決定は最良には、顔料添加インクジェットインクの希釈サンプル上に4mW HeNeレーザーを使用して、633nmの波長において光子相関分光分析により実施される。使用される適切な粒度分析機はGoffin−Meyvisから市販のMalvernTM nano−Sであった。例えば、1.5mLの酢酸エチル含有キュベットに1滴のインクを添加し、均質なサンプルが得られるまで混合することによりサンプルを調製することができる。測定される粒度は6回の20秒走行よりなる3回連続の測定値の平均値である。
【0161】
概して顔料は重合体の分散剤または界面活性剤のような物質を分散することにより分散媒質中に安定化される。しかし顔料の表面は修飾されて、いわゆる「自己分散性」または「自己分散」顔料、すなわち分散剤を伴わずに分散媒質中に分散可能な顔料、を得ることができる。
【0162】
顔料は好適には、顔料分散物の総重量に基づいて、10〜40重量%、より好適には15〜30重量%の量のインクジェットインクを調製するために使用される顔料分散物中に使用される。硬化性インクジェットインク中に、顔料は好適には、インクジェットインクの総重量に基づいて0.1〜20重量%、好適には1〜10重量%の量で含まれる。
【0163】
重合体の分散剤
典型的な重合体の分散剤は二つの単量体の共重合体であるが、3、4、5またはそれ以上の単量体すらを含むことができる。重合体分散剤の性質は単量体の特性および重合体中のそれらの分布の双方に左右される。共重合体の分散剤は好適には、以下の重合体組成物:
・統計的に重合された単量体(例えば、ABBAABABに重合された重合体AおよびB
)、
・交互重合単量体(例えば、ABABABABに重合された単量体AおよびB)、
・勾配(テーパー)重合単量体(例えば、AAABAABBABBBに重合された単量体AおよびB)、
・ブロック共重合体(例えば、AAAAABBBBBBに重合された単量体AおよびB)、ここで、各ブロックのブロック長さ(2、3、4、5またはそれ以上でも)が、重合体の分散剤の分散能に対して重要である、
・グラフト共重合体(グラフト共重合体は主鎖に結合された重合体の側鎖をもつ、重合体主鎖よりなる)、および
・これらの重合体の混合型、例えばブロック状の勾配共重合体、
を有する。
【0164】
適切な重合体分散剤は特別の参照物として本明細書に取り入れられたこととされる、欧州特許第1911814A号明細書(AGFA GRAPHICS)中の「分散剤」に関する項、より具体的には[0064]〜[0070]および[0074]〜[0077]中にリストされている。
【0165】
重合体の分散剤は好適には、500〜30000間、より好適には1500〜10000間の数平均分子量Mnを有する。
【0166】
重合体分散剤は好適には、100,000より小さい、より好適には50,000より小さい、そしてもっとも好適には、30,000より小さい重量平均分子量Mwを有する。
【0167】
重合体分散剤は好適には、2より小さい、より好適には1.75より小さい、そしてもっとも好適には、1.5より小さい多分散性PDを有する。
【0168】
重合体分散剤の市販例は以下である:
・BYK CHEMIE GMBHから市販のDISPERBYKTM分散剤、
・LUBRIZOLから市販のSOLSPERSETM分散剤、
・EVONIKからのTEGOTM DISPERSTM分散剤、
・MUENZING CHEMIEからのEDAPLANTM分散剤
・LYONDELLからのETHACRYLTM分散剤、
・ISPからのGANEXTM分散剤、
・BASFからのDISPEXTMおよびEFKATM分散剤、
・DEUCHEMからのDISPONERTM分散剤。
【0169】
特に好適な重合体分散剤はLUBRIZOLからのSolsperseTM分散剤、BASFからのEfkaTM分散剤およびBYK CHEMIE GMBHからのDisperbykTM分散剤を含む。特に好適な分散剤はLUBRIZOLからのSolsperseTM 32000、35000および39000分散剤である。
【0170】
重合体分散剤は好適には、顔料の総重量に基づいて2〜600重量%、より好適には5〜200重量%、もっとも好適には50〜90重量%の量で使用される。
【0171】
分散共力剤(synergists)
分散共力剤は通常、アニオン部分およびカチオン部分よりなる。有色顔料と特定の分子類似性を示す分散共力剤のアニオン部分および分散共力剤のカチオン部分は、分散共力剤のアニオン部分の電荷を補うために、1個以上のプロトンおよび/またはカチオンよりなる。分散共力剤は好適には、一つ以上の重合体分散剤より少量で添加される。重合体の分
散剤/分散共力剤の比率は顔料により左右され、実験的に決定されなければならない。典型的には、重合体分散剤の重量%/分散共力剤の重量%の比率は2:1〜100:1間、好適には2:1〜20:1に選択される。
【0172】
市販されている適切な分散共力剤はLUBRIZOLからのSolsperseTM 5000およびSolsperseTM 22000を含む。
【0173】
使用される深紅色のインクに特に好適な顔料はジケトピロロピロール顔料またはキナクリドン顔料である。適切な分散共力剤は欧州特許第1790698A号明細書(AGFA
GRAPHICS)、第1790696A号明細書(AGFA GRAPHICS)、国際公開第2007/060255号パンフレット(AGFA GRAPHICS)および欧州特許第1790695A号明細書(AGFA GRAPHICS)に開示のものを含む。
【0174】
C.I.Pigment Blue 15:3を分散する際、スルホン化Cu−フタロシアニン分散共力剤、例えば、LUBRIZOLからのSolsperseTM 5000の使用が好適である。黄色のインクジェットインクに適切な分散共力剤は欧州特許第1790697A号明細書(AGFA GRAPHICS)中に開示されたものを含む。
【0175】
重合インヒビター
放射線硬化性インクジェットインクは重合インヒビターを含むことができる。
【0176】
適切な重合インヒビターはフェノールタイプの抗酸化剤、ヒンダードアミンの光安定剤、燐タイプの抗酸化剤、(メト)アクリレート単量体中に一般に使用されるヒドロキノンモノメチルエーテルを含み、そしてヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロールもまた使用されることができる。
【0177】
適切な市販のインヒビターは例えば、Sumitomo Chemical Co.Ltd.により製造されるSumilizerTM GA−80、SumilizerTM GMおよびSumilizerTM GS、Rahn AGからのGenoradTM 16、GenoradTM 18およびGenoradTM 20、BASFからのIrgastabTM UV10およびIrgastabTM UV22、TinuvinTM 460およびCGS20、Kromachem LtdからのFloorstabTM UVシリーズ(UV−1、UV−2、UV−5およびUV−8)、Cytec Surface SpecialtiesからのAdditolTM Sシリーズ(S100、S110、S120およびS130)である。
【0178】
これらの重合インヒビターの過剰添加は、硬化に対するインクの感度を低下させるので、重合を抑制することができる量をブレンドの前に決定することが好適である。重合インヒビターの量は好適には、総(インクジェット)インクの2重量%未満である。
【0179】
好適な実施態様において、重合インヒビターは好適には、良好な反応性を達成するための一つ以上のアクリレート基を含む重合性インヒビターである。
【0180】
界面活性剤
放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは、少なくとも一つの界面活性剤を含むことができる。界面活性剤はアニオン、カチオン、非イオンまたは双性イオンであることができ、そして好適には、インクの総重量の3重量%未満の、そして特にはフリーラジカル硬化性インクジェットインクの総重量の1重量%未満の総量を添加される。
【0181】
好適な界面活性剤はフルオロ界面活性剤(フッ化炭化水素のような)およびシリコーン界面活性剤から選択される。シリコーン界面活性剤は好適にはシロキサンであり、アルコキシル化され、ポリエステル修飾、ポリエーテル修飾、ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能基、アミン修飾、エポキシ修飾およびその他の修飾物またはそれらの組み合わせ物であることができる。好適なシロキサンは重合体の、例えば、ポリジメチルシロキサンである。
【0182】
好適な市販のシリコーン界面活性剤はBYK ChemieからのBYKTM 333およびBYKTM UV3510を含む。
【0183】
好適な実施態様において、界面活性剤は重合性化合物である。
【0184】
好適な重合性シリコーン界面活性剤は(メト)アクリル化シリコーン界面活性剤を含む。アクリレートはメタクリレートより反応性であるために、もっとも好適には、(メト)アクリル化シリコーン界面活性剤はアクリル化シリコーン界面活性剤である。
【0185】
好適な実施態様において、(メト)アクリル化シリコーン界面活性剤は、ポリエーテル修飾(メト)アクリル化ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル修飾(メト)アクリル化ポリジメチルシロキサンである。
【0186】
好適な市販の(メト)アクリル化シリコーン界面活性剤は、Cytecからのシリコーン・ジアクリレートのEbecrylTM 350、すべてBYK Chemieにより製造される、ポリエーテル修飾アクリル化ポリジメチルシロキサンのBYKTM UV3500およびBYKTM UV3530、ポリエステル修飾アクリル化ポリジメチルシロキサンのBYKTM UV3570、EVONIKからのTegoTM Rad 2100、TegoTM Rad 2200N、TegoTM Rad 2250N、TegoTM Rad 2300、TegoTM Rad 2500、TegoTM Rad 2600およびTegoTM Rad 2700、TegoTM RC711、すべてChisso Corporationにより製造されるSilaplaneTM FM7711、SilaplaneTM FM7721、SilaplaneTM FM7731、SilaplaneTM FM0711、SilaplaneTM FM0721、SilaplaneTM FM0725、SilaplaneTM TM0701、SilaplaneTM TM0701T並びにすべてGelest,Inc.により製造されるDMS−R05、DMS−R11、DMS−R18、DMS−R22、DMS−R31、DMS−U21、DBE−U22、SIB1400、RMS−044、RMS−033、RMS−083、UMS−182、UMS−992、UCS−052、RTT−1011およびUTT−1012を含む。
【0187】
放射線硬化性組成物およびインクジェットインクの調製
本発明に従う放射線硬化性組成物を調製する方法は好適には、a)少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシド、b)少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性の基、を含んでなる少なくとも一つの単量体、並びにc)少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンが第三級アミン基を含まない場合は、放射線硬化性組成物が更に、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、第三級アミンを含む重合性コイニシエーターおよび第三級アミンを含む重合体のコイニシエーターよりなる群から選択される少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターを含むことを条件として、少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントン、を混合することにより実施される。
【0188】
顔料添加放射線硬化性インクジェットインクの調製は当業者に周知である。好適な調製法は、国際公開第2011/069943号パンフレット(AGFA)の段落[0076
]〜[0085]中に開示されている。
【0189】
インクジェット印刷法
本発明の好適な実施態様に従うインクジェット印刷法は、(1)a)少なくとも一つの非重合性の、非重合体のビスアシルホスフィン・オキシド、b)少なくとも一つのビニルエーテル基並びに一つのアクリレート基および一つのメタクリレート基よりなる群から選択される少なくとも一つの重合性の基、を含んでなる少なくとも一つの単量体、並びにc)少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントンが第三級アミン基を含まない場合は、放射線硬化性組成物が更に、エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、第三級アミンを含む重合性コイニシエーターおよび第三級アミンを含む重合体のコイニシエーターよりなる群から選択される少なくとも一つの第三級アミンのコイニシエーターを含むことを条件とし、そこで、前記ビスアシルホスフィン・オキシドが前記放射線硬化性組成物の総重量に基づいて4重量%以下の濃度で含まれる、少なくとも一つの重合性の、または重合体のチオキサントン、を含んでなる放射線硬化性インクジェットインクの支持体上にインクのドットを射出し、そして(2)射出されたインクドットを、少なくとも一部硬化させる工程を含む。放射線硬化性インクジェットインクの少なくとも一部の硬化は好適には、一つ以上のUV LEDを使用して実施される。
【0190】
インクジェット印刷装置
放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは、1または複数の印刷ヘッドに対して移動している支持体上にノズルを通して、制御された方法で、小滴を射出する1個以上の印刷ヘッドにより射出されることができる。
【0191】
インクジェット印刷システムに好適な印刷ヘッドは圧電ヘッドである。圧電インクジェット印刷はそれに電圧が適用される時の圧電セラミック変換器の移動に基づく。電圧の適用が印刷ヘッド中の圧電セラミック変換器の形状を変化させて空げきを形成し、次にそれがインクで充填される。電圧が再度切断されると、セラミックはその原型に膨張し、印刷ヘッドからインクの1滴を射出する。しかし、本発明に従うインクジェット印刷法は圧電インクジェット印刷に限定はされない。その他のインクジェット印刷ヘッドを使用することができ、連続タイプのような様々なタイプを含むことができる、
インクジェット印刷ヘッドは通常、移動しているインク受理面を横切って横断方向に往復スキャンする。インクジェット印刷ヘッドはしばしば、その復路には印刷しない。広い面積の処理を得るためには、マルチパス印刷としても知られる双方向性印刷が好適である。その他の好適な印刷法は、ページ全体の幅のインクジェット印刷ヘッドまたは、インク受理面の全幅を網羅する複数の互い違いの(staggered)インクジェット印刷ヘッドを使用することにより実施することができる「1回通過印刷法」による。1回通過印刷法において、インクジェット印刷ヘッドは通常、固定されたままで、支持体の表面はインクジェット印刷ヘッド下を運搬される。
【0192】
硬化装置
本発明に従う放射線硬化性組成物またはインクジェットインクは、化学放射線、好適には紫外線への暴露により硬化されることができる。
【0193】
インクジェット印刷において、硬化手段は、硬化放射線が、射出後,非常に短時間以内に適用されるように、それと一緒に移動しているインクジェット印刷機の印刷ヘッドと組み合わせて配列されることができる。このような急速な硬化は、時々、「ピン硬化」と呼ばれ、ドットサイズを制御することにより画像品質を高めるために使用される。このような硬化手段は好適には、一つ以上のUV LEDよりなる。このような配列においては、印刷ヘッドに連結し、それと一緒に移動するのに十分小さい硬化手段の他のタイプを提供することは困難である可能性がある。従って、静止固定された放射線源、例えば、ファイ
バーオプチックの束または内部で反射する柔軟なチューブのような柔軟な放射線伝導手段により放射線源に接続された硬化UV−光線源を使用することができる。あるいはまた、化学放射線は、印刷ヘッド上の鏡を含む鏡の配列により、固定源から放射線ヘッドに供給されることができる。
【0194】
放射線源はまた、硬化される支持体上を横方向に延伸する細長い放射線源であることができる。それは、印刷ヘッドにより形成される画像のその後の列が、その放射線源の下方を段階的にまたは連続して通過されるように、印刷ヘッドの横方向の経路に隣接することができる。
【0195】
発射光の一部が、光反応開始剤または光反応開始系により、吸収される限り、高圧もしくは低圧水銀ランプ、冷陰極管、紫外線照射装置(black light)、紫外線LED、紫外線レーザーおよびフラッシュライトのような、あらゆる紫外線源を放射線源として使用することができる。これらのうちで、好適な光源は300〜400nmの主要波長をもつ、比較的長波長のUV−分布を示すのである。特に、より効率のよい内部硬化をもたらす、それらによる減少された光散乱のために、UV−A光源が好適である。
【0196】
UV光線は概括的に、以下の通りにUV−A、UV−BおよびUV−Cとして分類される:
・UV−A:400nm〜320nm
・UV−B:320nm〜290nm
・UV−C:290nm〜100nm。
【0197】
好適な実施態様において、インクジェット印刷装置は、360nmより長い波長をもつ一つ以上のUV LED、好適には、380nmより長い波長をもつ一つ以上のUV LED、そしてもっとも好適には、約395nmの波長をもつUV LEDを含む。
【0198】
更に、波長または照度の異なる二つの光源を連続的にまたは同時に使用して、画像を硬化することができる。例えば、第1のUV−光源はUV−C、とりわけ260nm−200nmの範囲に多いように選択することができる。次に第2の光源は、UV−Aの多い、例えばガリウム−ドープランプまたはUV−AおよびUV−B双方の高い、異なるランプであることができる。二つのUV−光源の使用は、利点、例えば急速な硬化速度および高い硬化度をもつことが認められている。
【0199】
硬化を容易にするために、インクジェット印刷装置はしばしば、一つ以上の酸素消耗ユニットを含む。酸素消耗ユニットは、硬化環境中の酸素濃度を低下させるために、調整可能な位置および調整可能な不活性ガス濃度により、窒素または他の比較的不活性ガス(例えば、CO2)のブランケットを配置する。残留酸素レベルは通常、200ppmのように低く維持されるが、一般には200ppm〜1200ppmの範囲内にある。
【0200】
支持体および包装材
支持体のタイプには実際の制約はない。支持体は、印刷のためのセラミック、金属、木材、紙または重合体の表面をもつことができる。支持体はまた、例えば、白色の下塗り材またはインクにより下塗りされることができる。しかし、本発明の放射線硬化性組成物およびインクジェットの利点は、食品包装材および医薬品のための支持体上に特に好都合に使用することができる。食品包装材は液体および、牛乳、水、コーク、ビール、植物油、等のような飲料の包装材をも含むものと理解される。
【0201】
本発明は好都合には、食品包装材、特に「一次(primary)」食品包装材を提供するために使用される。一次食品包装材は製品(product)を最初に封入し、それ
を保持する物質である。これは通常、分配または使用の最小単位であり、内容物と直接接触する包装材である。もちろん、食品の安全性の理由のために、放射線硬化性組成物およびインクジェットインクはまた二次および三次包装材のために使用されることができる。二次包装材は、恐らく一次包装材料を一緒にまとめるために使用される、一次包装材の外側である。三次包装材は、バルク処理、倉庫保存および運搬輸送のために使用される。三次包装材のもっとも一般的な形態はコンテナー中に密に詰められるパレット単位の積み荷である。
【0202】
支持体は、例えば織物、紙およびダンボール支持体のような多孔質であるか、または例えば、ポリエチレンテレフタレート表面をもつプラスチック支持体のような、実質的に非吸収性支持体であることができる。
【0203】
好適な支持体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリラクチド(PLA)のような]並びにポリイミドを含む。
【0204】
支持体はまた、紙の支持体、例えば、普通紙または樹脂コート紙、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンコート紙、であることができる。紙のタイプには実際の制約はなく、それは新聞紙、雑誌用紙、事務所用紙、壁紙、しかし更に、白色裏面付きボール紙、段ボールおよび梱包用ボールのような、通常、厚紙(board)と呼ばれる、より高い秤量(grammage)をもつ紙を含む。
【0205】
支持体は透明でも、半透明でもまたは不透明でもよい。好適な不透明支持体は、1.10g/cm3以上の密度をもつ不透明なエチレンテレフタレートのシートである、Agfa−GevaertからのSynapsTM等級のような、いわゆる合成紙を含む。
【0206】
支持体の形状には制約はない。それは、普通紙または重合体のフィルムのような平たんなシートであることができ、または例えば、プラスチックのコーヒーカップのような三次元の物体であることができる。三次元の物体はまた、例えば、油、シャンプー、殺虫剤、農薬、溶剤、塗料用シンナーまたは他のタイプの液体を含むためのビンまたはジェリー缶のような容器であることができる。
【0207】
好適な実施態様において、支持体は包装材であり、より好適にはチョコレートバーの包装材のような食品の包装材である。
【実施例】
【0208】
材料
以下の実施例中に使用されるすべての材料は、別記されない限り、Sigma−Aldrich(ベルギー)およびAcros(ベルギー)のような標準的製造元から容易に入手可能であった。使用される水は脱塩水である。
【0209】
PB15:4は、それにSUN CHEMICALからのSun FastTM Blue 15:4が使用されたC.I.Pigment Blue 15:4顔料である。
【0210】
PV19は、それにSUN CHEMICALからのSun QuindoTM Red
19が使用された、C.I.Pigment Violet 19顔料である。
【0211】
PR57はそれにSUN CHEMICALからのSymylerTM Brilliant Carmine 6B350SDが使用されたC.I.Pigment Red 57.1顔料である。
【0212】
PY150はそれにBASFからのCromophtalTM yellow LA2が使用されたC.I.Pigment Yellow 150顔料である。
【0213】
SB550はそれにEVONIK(DEGUSSA)からのSpecial BlackTM 550が使用された炭素黒顔料である。
【0214】
DB162は、それから2−メトキシ−1−メチルエチルアセテート、キシレンおよびn−ブチルアセテートの溶媒混合物が除去されたBYK CHEMIE GMBHから市販の重合体分散剤のDisperbykTM 162に使用される略語である。その重合体分散剤は、13mg KOH/gのアミン値、約4,425のMnおよび約6,270のMwをもつ、カプロラクトンおよびトルエン・ジイソシアネートに基づくポリエステル−ポリウレタン分散剤である。
【0215】
IC819はBASFからIrgacureTM 819として市販されているビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィン・オキシド光重合開始剤である。
【0216】
BHTはALDRICH CHEMICAL CO.からの2,6−ジ−tert.ブチル−4−メチルフェノール(CASRN128−37−0)の略語である。
【0217】
STAB UV10はBASFからIrgastabTM UV 10として市販されている4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ・セバケートである。
【0218】
EHAはRAHNからGenocureTM EHAとして市販の2−エチルヘキシル4−ジメチルアミノベンゾエートである。
【0219】
INHIBは表3に従う組成をもつ重合インヒビターを形成する混合物である。
【0220】
【表3】
【0221】
CupferronTM ALはWAKO CHEMICALS LTD.からのアルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンである。
【0222】
VEEAはNippon Shokubai,Japanから市販の二官能価の単量体の2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートである。
【0223】
DPGDAはSARTOMERからのジプロピレングリコールジアクリレートである。
【0224】
EsacureTM KIP160はLAMBERTIから市販で、化学構造:
【0225】
【化14】
【0226】
をもつ、二官能価のα−ヒドロキシケトンである。
【0227】
KIPVEEAは化学構造:
【0228】
【化15】
【0229】
をもつ重合性NorrishタイプIの重合開始剤であり、以下:
【0230】
【化16】
【0231】
の通りに調製された。
【0232】
119.75g(0.350モル)のEsacureTM KIP160、380.10gのVEEAおよび1.54gのBHTの混合物を85℃に加熱した。9.99gのポリ(ビニルピリジニウム)トシラートを添加し、反応を85℃で10時間放置して継続した。反応混合物を室温に放置冷却し、触媒を瀘去した。溶液を対照および本発明のインクジェット双方中にそのまま使用した。濃度を溶液の1H−NMR分析により決定した。開始剤濃度は51.6重量%であった。
【0233】
AXANTHは式(AX−1):
【0234】
【化17】
【0235】
に従う重合性チオキサントンである。
【0236】
この光重合開始剤は以下:
【0237】
【化18】
【0238】
の通りに合成された。
【0239】
工程1:OmnipolTM TXのアミノ分解
IGMにより供給された、395gのOmnipolTM TXを1850mlのジメチルスルホキシド中に溶解した。反応混合物を60℃に加熱し、363g(3モル)のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび415g(3モル)の炭酸カリウムを添加した。反応を60℃で2時間放置継続させた。反応混合物を放置して室温に冷却した。沈殿した塩を瀘去し、反応混合物を1500mlの水と250mlのアセトンの混合物に添加した。溶媒から沈殿した中間体のチオキサントンを瀘過単離し、乾燥した。粗チオキサントンを1500mlのアセトンで処理し、瀘過単離し、乾燥した。260gのチオキサントンを単離した(TLC−分析:RP−C18(PartisilTM KC18F,Whatmanにより供給),溶離剤MeOH/0.5M NaCl,Rf=0.55)。TLC分析が少量の異性体構造物の存在を示した(Rf=0.60)。以下の構造物が異性体に与えられた:
【0240】
【化19】
【0241】
中間体は更に、主異性体および副異性体の混合物として使用された。
【0242】
工程2:VEEAへの添加:
22g(58ミリモル)のアミド−トリヒドロキシ−チオキサントンを227.8g(1.224モル)のVEEAに添加した。0.13g(86μl、1.16ミリモル)のトリフルオロ酢酸および0.25g(1.16ミリモル)のBHTを添加し、混合物を77℃に加熱した。反応を77℃で16時間放置継続させた。反応を室温に放置冷却し、20gの活性化されたLewatit M600 MBを添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。イオン交換剤を瀘去した。AX−1をVEEA中の溶液として使用した。(TLC−分析:RP−C18(PartisilTM KC18F,Whatmanにより供給)、溶離剤:MeOH/0.5M NaCl 80/20,Rf=0.18)。1H−NMR分析に基づくと、溶液は19重量%のAX−1を含んだ。
【0243】
UV3510はBYK Chemie GmbHにより供給される、ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサンのBykTM UV3510である。
【0244】
BYKTM 333はBYK Chemie GmbHからのポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサンである。
【0245】
PET100はP100C PLAIN/ABASとしてAGFA−GEVAERTから市販されている、主鎖上に帯電防止性を有する粘着防止層をもつ100μmの下塗りされていない(usxubbed)PET支持体である。
【0246】
SR295はSARTOMERからSartomerTM 295として市販のペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0247】
BP−1 V125420は式:
【0248】
【化20】
【0249】
に従う重合性ベンゾフェノンのVEEA中の30重量%溶液である。
【0250】
BP−1は国際公開第2010/069758号パンフレット(AGFA)に従って調製された。INI−7の合成を参照されたい。
【0251】
OmnipolTM BPはIGM Resinsから市販の重合体のベンゾフェノンである。
【0252】
GenopolTM AB−1はRAHNから市販の重合体の第三級アミンである。
【0253】
TN−1bは式:
【0254】
【化21】
【0255】
に従う第三級アミンを含有する重合性チオキサントンである。
【0256】
TN−1bは国際公開第2009/147057号パンフレット(AGFA)に従って調製された。INI−12の合成を参照されたい。
【0257】
EPDはRAHN AGからGenocureTM EPDの商品名で市販のエチル4−ジメチルアミノベンゾエートである。
【0258】
EPDPOLは次の構造:
【0259】
【化22】
【0260】
をもつ重合性コイニシエーターであり、欧州特許第2033949A号明細書(AGFA)の実施例1中に開示されている。
【0261】
測定法
1.粘度
インクジェットインクの粘度はCPE 40スピンドルを使用して毎分12回転(RPM)において、25℃でBrookfield DV−II+粘度計を使用して測定された。これは90s-1ずり速度に相当する。
【0262】
表4に記載の基準に従って評価を実施した。
【0263】
【表4】
【0264】
2.表面張力
放射線硬化性インクの静止表面張力を60秒後に25℃でKRUESS GmbH,GermanyからのKRUESS張力計K9を使用して測定した。
【0265】
3.平均粒度
顔料分散物中の顔料分散物の粒度を、顔料分散物の希釈サンプル上で4mW HeNeレーザーを使用して633nmの波長において光子相関分光分析により測定した。使用された粒度分析機はGoffin−Meyvisから市販のMalvernTM nano−Sであった。
【0266】
サンプルを1.5mLの酢酸エチルを含有するキュベットに1滴の顔料分散物の添加により調製し、均質なサンプルが得られるまで混合した。測定された粒度は、20秒の6回の実験よりなる3回連続測定の平均値である。
【0267】
3.LED硬化速度
放射線硬化性組成物を、バーコーターおよび10μmのワイアバーを使用してPET100支持体上にコートした。コートしたサンプルを、LEDから4.5mmの距離において4Wの出力を使用して30m/分の速度で395nmの出力波長を使用するPhoseonTM Fire Line 125 LED硬化装置下でサンプルを運搬するベルト上に乗せた。硬化速度は、全く認められない視覚的損傷に対しての0から、コーティングを完全に払しょくする損傷に対する5までの評点をもたらす、Q−ティップを使用する時の視覚的損傷に基づき評価された。
【0268】
評価は表5に記載の基準に従って実施された。
【0269】
【表5】
【0270】
4.移行可能物
分析の前に、数枚のサンプルを、印刷材料のロール焼き付けまたは積み上げ時に遭遇され得るような、印刷側から食品側への移動(set−off)を疑似化するために、その上に60kgの重りを使用して、45℃で10日間、重ねて保存した。積み重ねの中間のサンプルを分析に使用した。移行実験には、EN1186−1に適合する抽出セル(セルタイプB)が使用された。印刷サンプルから15cm径をもつ2つの円を切り取った。非コート側が抽出溶媒と接するように、2つの円を、抽出セル中に固定した。セルを閉鎖し、セルに、食品疑似体としてのイソ−オクタンを充填した。セルを20℃で2日間保存した。抽出物を0.2μmのフィルター上で瀘過し、異なるインクの成分の定量のためにHPLCを使用して分析した。
【0271】
クロマトグラフ法はGraceにより供給されたAlltech AlltimaTM C18 5μmカラム(150x3.2mm)を使用した。0.5ml/分の流量を40℃の温度で使用した。ピークの重複によるインク成分の検出量の誤差を回避するために、異なるHPLC勾配の実験を使用した。使用された勾配条件および溶媒は表4表8に要約される。ダイオードアレイ検出を、アクリレートに対しては204nmにおいてそして、異なるインク化合物のそれぞれの特定の吸収最大値において使用した。
【0272】
15μLの抽出物を注入し、異なるインクの成分の濃度は対照サンプルを使用して決定された。対照溶液に対して同様な注入容量が使用された。インク化合物に応じて、1〜10mgのこれらの参照物が、50mlのCH3CN中に溶解され、それから希釈された。検量線は5食品ppb〜100食品ppbまで作成された。検量線が直線状動態を示した時は、10食品ppbの1点補正が使用された。
【0273】
【表6】
【0274】
【表7】
【0275】
【表8】
【0276】
【表9】
【0277】
【表10】
【0278】
表11に記載の基準に従って評価を実施した。
【0279】
【表11】
【0280】
5.運搬安定性
放射線硬化性組成物の二つのサンプルをバーコーターおよび10μmのワイアバーを使用してシール用に5μmのスチレン−ブタジエン−スチレンコーティングを使用して50μm厚さのPETフィルム上にコートした。コートしたサンプルを、Fusion VPS/1600ランプ(D−バルブ)を備えたFusion DRSE−120コンベアを使用してコートした。
【0281】
コーティングおよび硬化の前に、放射線硬化性組成物の一つを最初に60℃で7日間、次に8℃で7日間保存した。この保存は運搬中に起こり得る温度のシミュレーションであった。LED硬化速度および移行可能物の特性を双方のサンプルにつき比較した。
【0282】
表12に記載される基準に従って評価を実施した。
【0283】
【表12】
【0284】
6.臭い
放射線硬化性組成物をバーコーターおよび10μmのワイアバーを使用してPET100支持体上にコートした。コートサンプルを、LEDから4.5mmの距離で12Wの出力を使用して、30m/分の速度で、395nm,の出力波長をもつPhoseonTM Fire Line 125 LED硬化装置下でサンプルを2回運搬するベルト上に乗せた。4.5cmx7cmのサンプルを約1cm2の切片に切断し、室温で2時間密閉ガラスビン中に保持した。18時間後にビンを開け、4人のパネルが表13に記載の基準に従って臭いを評価した。
【0285】
【表13】
【0286】
4人のパネルにより与えられた評価の平均を実施した。
【実施例1】
【0287】
本実施例は本発明に従う放射線硬化性組成物を有する低移行CMYKインクジェットインクのセットを具体的に示す。
【0288】
放射線硬化性インクジェットインクの調製
最初に濃厚顔料分散物CPC−1,CPM−1,CPM−2,CPY−1およびCPK−1を調製した。
【0289】
[濃厚青緑色顔料分散物CPC−1の調製]
VEEA中DB162の30重量%溶液を調製した。DISPERLUXTMディスペンサーを使用して撹拌しながら、16kgのVEEA、25kgのDB162溶液および50gのSTAB UV10の混合物に、7.5kgのPB15:4を添加した。撹拌は30分間継続した。容器を、1.5kgのVEEAを前以て充填され、0.4mmのイットリウムで安定化されたジルコニアビード(TOSOH Co.からの「高摩耗抵抗性ジルコニア粉砕媒体」)で52%だけ充填された、会社Willy A.Bachofen(スイス)社からのDynomillTM KD6ミルに接続した。混合物を、22.5分間の滞留時間の間、1.5 l/分の流量および約16m/sのミル中の回転速度において、ミル上で循環させた。ミル処理後、分散物を排出させ、1μmのWhatmanTMフィルターを通して瀘過した。表14に従う、生成された濃厚顔料分散物CPC−1は、10s-1のずり速度におけるHaakeTM Rotoviscoを使用して25℃で測定されて、88nmの平均粒度および77mPa.sの粘度を示した。
【0290】
【表14】
【0291】
[濃厚深紅色顔料分散物CPM−1の調製]
VEEA中DB162の30重量%溶液を調製した。DISPERLUXTMディスペンサー(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgからの)を使用して撹拌しながら、26.5kgのVEEA、40kgのDB162溶液および800gのINHIBの混合物に、12kg PV19を添加した。撹拌は30分間継続した。容器を、VEEAを前以て充填され、0.4mmのイットリウムで安定化されたジルコニアビード(TOSOH Co.からの「高摩耗抵抗性ジルコニア粉砕媒体」)で42%だけ充填された、Willy A.Bachofen(スイス)社からのDYNOTM−MILL
ECM Pilotミルに接続した。混合物を、35分間の滞留時間の間、8 l/分の流量および約15m/sのミル中の回転速度においてミル上で循環させた。完全なミル処理工程中、ミル中の内容物を40℃未満の温度に冷却、維持した。ミル処理後、分散物を排出させ、1μmのWhatmanTMフィルターを通して瀘過した。表15に従う、生成された濃厚顔料分散物CPM−1は、10s-1のずり速度におけるHaakeTM Rotoviscoを使用して25℃で測定されて、139nmの平均粒度および77mPa.sの粘度を示した。
【0292】
【表15】
【0293】
[濃厚深紅色顔料分散物CPM−2の調製]
VEEA中DB162の30重量%溶液を調製した。DISPERLUXTMディスペンサー(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgからの)を使用して撹拌しながら、26.5kgのVEEA、40kgのDB162溶液および800gのINHIBの混合物に、12kg PR57を添加した。撹拌は30分間継続した。容器を、VEEAを前以て充填され、0.4mmのイットリウムで安定化されたジルコニアビード(TOSOH Co.からの「高摩耗抵抗性ジルコニア粉砕媒体」)で42%だけ充填された、Willy A.Bachofen(スイス)社からのDYNOTM−MILL
ECM Pilotミルに接続した。混合物を、35分間の滞留時間の間、8 l/分の流量および約15m/sのミル中の回転速度においてミル上で循環させた。完全なミル処理工程中、ミル中の内容物を40℃未満の温度に冷却、維持した。ミル処理後、分散物を排出させ、1μmのWhatmanTMフィルターを通して瀘過した。表16に従う、生成された濃厚顔料分散物CPM−2は、10s-1のずり速度におけるHaakeTM Rotoviscoを使用して25℃で測定されて、116nmの平均粒度および171mPa.sの粘度を示した。
【0294】
【表16】
【0295】
[濃厚黄色顔料分散物CP−1の調製]
VEEA中DB162の30重量%溶液を調製した。DISPERLUXTMディスペンサー(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgからの)を使用して撹拌しながら、16kgのVEEA、25kgのDB162溶液および500gのINHIBの混合物に、7.5kgのPY150を添加した。撹拌は30分間継続した。容器を、VEEAを前以て充填され、0.4mmのイットリウムで安定化されたジルコニアビード(TOSOH Co.からの「高摩耗抵抗性ジルコニア粉砕媒体」)で42%だけ充填された、Willy A.Bachofen(スイス)社からのDYNOTM−MILL
ECM Pilotミルに接続した。混合物を、25分間の滞留時間の間、8ml/分の流量および約15m/sのミル中の回転速度においてミル上で循環させた。完全なミル処理工程中、ミル中の内容物を40℃未満の温度に冷却、維持した。ミル処理後、分散物を排出し、1μmのWhatmanTMフィルターを通して瀘過した。表17に従う、生成された濃厚顔料分散物CPY−1は、10s-1のずり速度におけるHaakeTM Rotoviscoを使用して25℃で測定されて、156nmの平均粒度および168mPa.sの粘度を示した。
【0296】
【表17】
【0297】
[濃厚黒色顔料分散物CPK−1の調製]
VEEA中DB162の30重量%溶液を調製した。1wt%のINHIBを添加した。DISPERLUXTMディスペンサー(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgからの)を使用して撹拌しながら、1.95kgのVEEA、2.5kgのDB162溶液および50gのINHIBの混合物に、1.103kgのSB550および0.397kgのPB15:4を添加した。撹拌は30分間継続した。容器を、1.5kgの2−(2´−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートを前以て充填され、0.4mmのイットリウムで安定化されたジルコニアビード(TOSOH Co.からの「高摩耗抵抗性ジルコニア粉砕媒体」)で42%だけ充填された、Willy A.Bachofen(スイス)社からのDYNOTM−MILL ECM Pilotミルに接続した。混合物を、1.5 l/分の流量および約13m/sのミル中の回転速度において3時間55分間ミル上で循環させた。ミル処理工程中、更なる2.5kgのDB162溶液を添加した。完全な粉砕処理中、ミル中の内容物を40℃未満の温度に冷却、維持した。ミル処理後、分散物を排出させ、1μmのWhatmanTMフィルターを通して瀘過した。表18に従う、生成された濃厚顔料分散物CPK−1は、10s-1のずり速度におけるHaakeTM Rotoviscoを使用して25℃で測定されて、105nmの平均粒度および87mPa.sの粘度を示した。
【0298】
【表18】
【0299】
前記に調製された濃厚顔料分散物CPC−1,CPM−1,CPM−2,CPY−1およびCPK−1は放射線硬化性インクジェットインクINK−C,INK−M,INK−YおよびINK−Kを調製するために表19に従うインク成分と組み合わせた。各インク成分の重量百分率(wt%)はインクジェットインクに基づく。
【0300】
【表19】
【0301】
表19のCMYKインクジェットインクのセットのインクを使用して、シールのために5μmのスチレン−ブタジエン−スチレンコーティングを使用して、50μm厚さのPETフィルム上にKyoceraからのKJ4Aタイプの印刷ヘッドを使用する組み込みインクジェット印刷機を使用して有色画像プリント1〜4を印刷した。有色画像は4×4mmの正方形のモザイク模様よりなる移動試験画像であった。正方形の1/3が「黒色」であり、1/3が「灰色」であり、そして残りの正方形が「緑色」である。リッピング(ripping)後のモザイク模様の各正方形に対するインクの荷重は表20により与えられる。
【0302】
【表20】
【0303】
「黒色」の正方形は6.19mL/m2のインク荷重を表わす。総量の平均インク荷重は8.99mL/m2である。
【0304】
インクジェット印刷は表22に示されるように1以上の硬化システムを使用して実施された。
【0305】
395nmで発光するIntegration Technology UV LEDによるピン硬化処理を、3mmの距離で、50m/分の速度で実施した。印刷ヘッドが各インクジェットインクに対して使用された直後にUV LEDを配置した。EIT PowerpuckTM II通し番号#16506を使用して、ピン硬化処理により受理された用量を測定した。受理用量は表21により示される。
【0306】
【表21】
【0307】
DPL(Danish Process Light)の硬化システムには鉄ドープ水銀蒸気D−バルブ(Alpha−Cure AC5548バルブ)が備わっており、50m/分で2回、そして20m/分で2回、鉄ドープ水銀蒸気D−バルブ下のベルト上に印刷物を移動することにより使用された。
【0308】
融解(fusion)硬化は20m/分のベルト速度およびランプの全出力においてFusion VPS/1600ランプ(D−バルブ)を備えたFusion DRSE−120コンベア下に、2回、印刷物を通過させることにより実施された。
【0309】
DPL硬化および/または融解硬化処理を使用して、印刷物により受理された用量はEIT PowerpuckTM通し番号#8651を使用して測定された。
【0310】
【表22】
【0311】
分析の前に、数枚のサンプルを、印刷材料のロール焼き付けまたは積み上げ時に遭遇され得るような、印刷側から食品側への作用(set−off)を疑似化するために、その上に60kgの重りを使用して、45℃で10日間、重ねて、保存した。積み重ねの中間のサンプルを分析に使用した。次に硬化印刷物のプリント1〜プリント4を移動可能物につき評価した。
【0312】
濃厚有色顔料分散物中に使用される成分のどれも、検出できなかった。濃厚有色顔料分散剤がそれと混合された他のインク成分の検出量は表23に示される。食品の限界は移動域に基づき、スイスの法令817.023.2の付属文書6中にリストされている。
【0313】
【表23】
【0314】
表23から、CMYKインクジェットインクのセットで作成されたすべての印刷物が低移動インクに要求される食品移動限界を満たしたことが明白であるにちがいない。
【実施例2】
【0315】
本実施例はインク組成の変動の影響を具体的に示す。
【0316】
放射線硬化性インクジェットインクの調製
濃厚顔料分散物CPC−2は、単量体VEEAがDPGDAにより置き換わったことを除いて、実施例1の濃厚顔料分散物CPC−2と全く同様な方法で調製された。濃厚顔料分散物CPC−2は、10s-1のずり速度におけるHaakeTM Rotoviscoを使用して25℃において測定されて、100nmの平均粒度および250mPa.sの粘度を示した。
【0317】
濃厚顔料分散物CPC−1およびCPC−2は、本発明の放射線硬化性インクジェットインクINV−1〜INV−6および対照の放射線硬化性インクジェットインクCOMP−1〜COMP−6を調製するために表24および表25に従うインク成分と組み合わせた。各インク成分の重量百分率(wt%)はインクジェットインクの総重量に基づく。
【0318】
【表24】
【0319】
【表25】
【0320】
評価および結果
本発明の放射線硬化性インクジェットインクINV−1〜INV−6および対照の放射線硬化性インクジェットインクCOMP−1〜COMP−6すべてが25℃で35mN/
m未満の表面張力を示した。
【0321】
本発明の放射線硬化性インクジェットインクINV−1〜INV−6および対照放射線硬化性インクジェットインクCOMP−1〜COMP−6は、バーコーターおよび10μmワイアバーを使用してシールのために5μmのスチレン−ブタジエン−スチレンコーティングを使用して50μm厚さのPETフィルム上にコートした。移動分析のために、すべてのコートしたサンプルをFusion VPS/1600ランプ(D−バルブ)を備えたFusion DRSE−120コンベアを使用して硬化した。サンプルは20m/分のベルト速度およびランプの全出力において1回ランプの下方を通過させた。
【0322】
コートされたサンプルを、臭い、25℃および45℃における粘度、LED硬化速度、移動可能物および運搬安定性に付き評価した。移動分析の前に、数枚のサンプルを、印刷材料のロール焼き付けまたは積み上げ時に遭遇され得るような、印刷側から食品側への作動(set−off)を疑似化するために、その上に60kgの重りを使用して、45℃で10日間、重ねて保存した。積み重ねの中間のサンプルを分析に使用した。結果は表26に示される。
【0323】
【表26】
【0324】
表26から、本発明の放射線硬化性インクジェットインクINV−1〜INV−6が、移動可能物に対する食品安全性の条件にいまだ適合しながら、UV LEDによる良好な硬化速度を示したことが明白であるにちがいない。更に、本発明の放射線硬化性インクジェットインクINV−1〜INV−6の性能は、対照の放射線硬化性インクジェットインクCOMP−1と異なり、高温および低温の変動下で影響を受けなかった。本発明の放射線硬化性インクジェットインクINV−1〜INV−6は、LED硬化後に許容できる臭いを示し、そこで放射線硬化性インクジェットインクのINV−6は、好適には、別の第三級アミンのコイニシエーターがインクジェットインク中に含まれることを示した。