特許第6247773号(P6247773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6247773運転支援システム、車両、運転支援端末装置、及び運転支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6247773
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】運転支援システム、車両、運転支援端末装置、及び運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20171204BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20171204BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20171204BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20171204BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G08G1/00 X
   G08G1/16 A
   G08G1/09 V
   G08G1/137
   G05D1/02 P
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-551397(P2016-551397)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2014076147
(87)【国際公開番号】WO2016051524
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 利通
(72)【発明者】
【氏名】濱田 朋之
(72)【発明者】
【氏名】石本 英史
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第98/45765(WO,A1)
【文献】 特開2000−339029(JP,A)
【文献】 特開2013−169956(JP,A)
【文献】 特開平9−231500(JP,A)
【文献】 特開2007−323675(JP,A)
【文献】 特開2001−109519(JP,A)
【文献】 特開2003−141692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 1/16
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが運転する第一種運搬車両に搭載される運転支援端末装置及び前記第一種運搬車両に自律走行機能を搭載した第二種運搬車両の其々と、前記第一種運搬車両及び前記第二種運搬車両の運行管理を行う運行管理サーバとが、無線通信回線を介して通信接続された運転支援システムであって、
前記運行管理サーバは、
前記運転支援端末装置及び前記第二種運搬車両の其々に通信接続をするための制御を行うサーバ側通信制御部と、
前記第二種運搬車両に搭載された走行制御部が自律走行制御に用いる管制指令値、及び当該管制指令値と同種の管制指令値により構成され、前記第一種運搬車両を前記運行管理サーバによる運行管理に従って走行させるための管制指令値を生成する管制指令値生成部を備え、
前記運転支援端末装置は、
前記運行管理サーバに通信接続をするための制御を行う端末側通信制御部と、
前記運行管理サーバに対し、自車両に対する管制指令値を要求するための要求情報を生成する要求情報処理部と、
前記管制指令値、及び当該管制指令値の内容を前記オペレータが認識可能な知覚データを対応付けた変換辞書情報を記憶する変換辞書記憶部と、
前記変換辞書情報を参照して、前記端末側通信制御部が受信した管制指令値を前記知覚データに変換する管制指令値変換部と、
前記変換された知覚データを前記オペレータに提供する通知部と、を備え、
前記サーバ側通信制御部が、前記運転支援端末装置から前記要求情報を受信すると、前記管制指令値生成部は、前記要求情報に応えて前記第一種運搬車両に対する管制指令値を生成する、
ことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
自律走行機能を搭載した第二種運搬車両及びオペレータが運転する第一種運搬車両の運行管理を行う運行管理サーバに、無線通信回線を介して通信接続された第一種運搬車両であって、
自車両の前方障害物を検出する外界センサ装置と、
前記第二種運搬車両に搭載された走行制御部が自律走行制御に用いる管制指令値と同種の管制指令値により構成され、前記第一種運搬車両を前記運行管理サーバによる運行管理に従って走行させるための管制指令値を、前記運行管理サーバから受信する端末側通信制御部と、
前記管制指令値、及び当該管制指令値の内容を前記オペレータが認識可能な知覚データに対応付けた変換辞書情報を記憶する変換辞書記憶部と、
前記変換辞書情報を参照して、前記端末側通信制御部が受信した管制指令値を前記知覚データに変換する管制指令値変換部と、
前記変換された知覚データを前記オペレータに提供する通知部と、
を備えることを特徴とする第一種運搬車両。
【請求項3】
オペレータが運転する第一種運搬車両に搭載される運転支援端末装置であって、
自律走行する第二種運搬車両及び前記第一種運搬車両の運行管理を行う運行管理サーバから、前記第二種運搬車両に搭載された走行制御部が自律走行制御に用いる管制指令値と同種の管制指令値により構成され、前記第一種運搬車両を前記運行管理サーバによる運行管理に従って走行させるための管制指令値を受信する端末側通信制御部と、
前記管制指令値、及び当該管制指令値の内容を前記オペレータが認識可能な知覚データに対応付けた変換辞書情報を記憶する変換辞書記憶部と、
前記変換辞書情報を参照して、前記端末側通信制御部が受信した管制指令値を前記知覚データに変換する管制指令値変換部と、
前記変換された知覚データを前記オペレータに提供する通知部と、
を備えることを特徴とする運転支援端末装置。
【請求項4】
前記管制指令値は、前記第一種運搬車両が走行する走行路のうち、当該第一種運搬車両に対して走行許可が付与された部分区間である走行許可区間、前記第一種運搬車両の停止位置、前記第一種運搬車両の走行速度、前記第一種運搬車両の走行又は発信許可、表示停止、給油時期の少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項3に記載の運転支援端末装置。
【請求項5】
前記管制指令値変換部は、前記管制指令値を、当該管制指令値の内容を示す画像データ、光の点滅、及び前記内容を示す音声の少なくとも一つに変換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の運転支援端末装置。
【請求項6】
前記管制指令値を前記オペレータに提供する優先度を決定する優先度決定部を更に備え、
前記管制指令値変換部は、前記優先度決定部により最優先として決定された前記管制指令値を変換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の運転支援端末装置。
【請求項7】
自律走行機能を有する第二運搬車両の運行管理を行う運行管理サーバの運行管理に従った運転を、オペレータに行わせるための運転支援プログラムであって、
前記第二種運搬車両に搭載された走行制御部が自律走行制御に用いる管制指令値と同種の管制指令値により構成され、前記オペレータが運転する車両を前記運行管理サーバによる運行管理に従って走行させるための管制指令値を、前記運行管理サーバから受信するステップと、
前記管制指令値、及び当該管制指令値の内容を前記オペレータが認識可能な知覚データに対応付けた変換辞書情報を参照して、前記受信した管制指令値を前記知覚データに変換するステップと、
変換された知覚データを前記オペレータに提供するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする運転支援プログラム。
【請求項8】
請求項1に記載の運転支援システムにおいて、
前記運行管理サーバは、
前記第二種運搬車両を固有に識別する車両識別情報に、当該車両識別情報が示す第二種運搬車両に対して付与された無線通信の接続先情報を関連付けた接続先管理情報を記憶する接続先情報記憶部と、
前記車両識別情報を管理する車両識別情報管理部と、
を更に含み、
前記接続先管理情報は、特定の接続先情報に関連付けられていない予備の車両識別情報を含み、
前記運転支援端末装置から前記要求情報を受信すると、前記車両識別情報管理部は、前記予備の車両識別情報の接続先情報を、当該第一種運搬車両に搭載された前記運転支援端末装置の接続先情報に関連付け、前記予備の車両識別情報及び前記要求情報を前記管制指令値生成部に出力し、
前記管制指令値生成部は、前記管制指令値に前記予備の車両識別情報を付加して前記車両識別情報管理部に出力し、
前記車両識別情報管理部は、前記接続先管理情報を参照し、前記予備の車両識別情報に関連付けられた接続先情報を特定し、当該特定された接続先情報及び前記管制指令値を前記サーバ側通信制御部に出力し、
前記サーバ側通信制御部は、前記特定された接続先情報に向けて前記管制指令値を送信する、
ことを特徴とする運転支援システム。
【請求項9】
請求項1に記載の運転支援システムにおいて、
前記運行管理サーバは、
前記第二種運搬車両を固有に識別する車両識別情報に、当該車両識別情報が示す第二種運搬車両に対して付与された無線通信の接続先情報を関連付けた接続先管理情報を記憶する接続先情報記憶部と、
前記車両識別情報を管理する車両識別情報管理部と、
を更に含み、
稼働中の第二種運搬車両に代えて前記第一種運搬車両を稼働させる場合、前記車両識別情報管理部は、交代対象となった前記第二種運搬車両を示す車両識別情報に関連付けられた接続先情報を、交代して稼働させる第一種運搬車両に搭載された前記運転支援端末装置の接続先情報に書き換え、前記交代対象となった第二種運搬車両を示す車両識別情報及び前記運転支援端末装置から受信した要求情報を前記管制指令値生成部に出力し、
前記管制指令値生成部は、前記管制指令値に前記交代対象となった第二種運搬車両の車両識別情報を付加して前記車両識別情報管理部に出力し、
前記車両識別情報管理部は、前記接続先管理情報を参照し、前記交代対象となった第二種運搬車両の車両識別情報に関連付けられた接続先情報を特定し、当該特定された接続先情報及び前記管制指令値を前記サーバ側通信制御部に出力し、
前記サーバ側通信制御部は、前記特定された接続先情報に向けて前記管制指令値を送信する、
ことを特徴とする運転支援システム。
【請求項10】
オペレータの運転で走行する第一種運搬車両に自律走行機能と搭載した第二種運搬車両であって、
自車両の前方障害物を検出する外界センサ装置と、
前記第一種運搬車両及び前記第二種運搬車両の運行管理を行う運行管理サーバから、無線通信回線を介して前記第二種運搬車両に搭載された走行制御部が自律走行制御に用いる管制指令値を受信する端末側通信制御部と、
前記管制指令値に基づく自律走行制御を行う走行制御部と、
前記管制指令値の内容を前記第二種運搬車両に搭乗したオペレータに認識させるための知覚データに変換する運転支援部と、
前記変換された知覚データを前記第二種運搬車両に搭乗したオペレータに提供する通知装置と、
前記管制指令値の出力先を前記走行制御部又は前記運転支援部に切り替える出力先切替部と、を備え、
前記運転支援部は、
前記管制指令値及び前記知覚データを対応付けた変換辞書情報を記憶する変換辞書記憶部と、
前記変換辞書情報を参照して、前記端末側通信制御部が受信した管制指令値を前記知覚データに変換する管制指令値変換部と、を含む、
を備えることを特徴とする第二種運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運転支援システム、車両、運転支援端末装置、及び運転支援プログラムに係り、特に自律走行をする無人車両と、オペレータが搭乗して操作する有人車両とが混在して走行する状況下における運転支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無人車両と有人車両とが混在して走行するための技術として、「(無人車両に搭載する)車両制御装置では、位置計測装置で計測された車両の現在位置および現在速度を示すデータおよび監視局・車両間通信装置で受信された監視局からの停止、減速等の指令を示す指示データおよび車両相互間通信装置で受信された他の車両からの減速等の制御指令を示す制御データと、障害物センサの検出信号と、コースデータ記憶装置に記憶されたコースデータとに基づき、ステアリング角度、ブレーキ、トランスミッション、エンジン回転数が制御される。すなわち、エンジン目標回転数が設定されるとともに、電子制御ガバナに加えられる電気信号に応じて燃料噴射量が制御されエンジンの回転数が変化される。(中略)有人車両には、監視局から送信された車両の目的位置、通過すべきコース(予定走行路)の指示、停止指示、減速指示などの指示データの内容および車両相互間通信装置を介して入力された他の車両からの後述する制御指令データを表示する表示装置が設けられており、通常の場合、オペレータは、この表示装置に表示された内容に従い所要に各種操作子を操作し、ステアリング角度、ブレーキ、トランスミッション、エンジン回転数を手動制御する(明細書抜粋)」構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第98/045765号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、無人車両の車両制御装置は、例えば受信した制御データを用いてエンジン回転数を制御しているが、制御データは電子制御ガバナ等の車両駆動装置を駆動するための信号なので、その信号をみても、オペレータはすぐには分からない。これに対し、有人車両に搭載される表示装置に表示される監視局からの指示は、オペレータが視認・理解ができる内容であることが必要なので、制御信号そのものではなく、自然言語で表示される必要がある。従って、特許文献1では、監視局が制御データの送信先が無人車両である場合と有人車両である場合とで、送信する制御データを変更する必要がある(特許文献1の第3図、第4図参照)。そのため、無人車両の中に有人車両を混ぜて有人車両に無人車両と同じ挙動をさせたい場合は、無人車両と有人車両とで制御指令を変える必要があり、無人・有人車両の運行制御を行うサーバの処理が複雑になるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、無人運搬車両と有人運搬車両とを混在させて走行管理させる際に、無人運搬車両に対して送信する制御データと同様の制御データを用いて、有人運搬車両のオペレータに対して運転支援を行える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、オペレータが搭乗することなく自律走行する少なくともの一台の無人車両の運行管理を行う運行管理サーバ、及びオペレータが操作する有人車両に搭載される運転支援端末装置が、無線通信回線を介して通信接続された運転支援システムであって、前記運行管理サーバは、前記運転支援端末装置に通信接続をするための制御を行うサーバ側通信制御部と、前記無人車両を自律走行させるための管制指令値を生成する管制指令値生成部と、前記運転支援端末装置を固有に無線通信の接続先として識別するための接続先情報及び前記有人車両に対する前記管制指令値を生成する際に用いられる管制対象車両識別情報を関連付けて管理する車両識別情報管理部と、を備え、前記運転支援端末装置は、前記運行管理サーバに対する前記管制指令値を要求するための要求情報を生成する要求情報処理部と、前記管制指令値の内容を、知覚可能情報に変換する管制指令値変換部と、前記知覚可能情報を前記オペレータに提供する管制指令値提供部と、前記要求情報に前記運転支援端末装置の接続先情報を付加して、前記運行管理サーバに送信する制御を行う端末側通信制御部と、を備え、前記サーバ側通信制御部は、前記要求情報を受信すると前記車両識別情報管理部に出力し、前記車両識別情報管理部は、前記要求情報に含まれる前記運転支援端末装置の接続先情報を取得して前記管制対象車両識別情報とを関連づけるとともに、当該管制対象車両識別情報と前記要求情報とを前記管制指令値生成部に出力し、前記管制指令値生成部は、前記要求情報に応じた前記管制指令値を生成し、前記管制対象車両識別情報とともに前記管制指令値を前記車両識別情報管理部に出力し、前記車両識別情報管理部は、前記管制対象車両識別情報に関連付けられた前記接続先情報と前記管制指令値とを前記サーバ側通信制御部に出力し、前記サーバ側通信制御部は、前記接続先情報を送信先として前記管制指令値を前記運転支援端末装置に送信する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記運転支援システムにおいて用いられる運転支援端末装置、その運転支援端末装置を搭載した車両、及び運転支援端末装置にて実行される運転支援プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無人運搬車両と有人運搬車両とを混在させて走行管理させる際に、無人運搬車両に対して送信する制御データと同様の制御データを用いて、有人運搬車両のオペレータに対して運転支援を行える技術を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る運転支援システムが用いられた鉱山の概略構成を示す図
図2】運転支援端末装置の外観を示す図であって、(a)は、有人ダンプのキャブ内における運転支援端末装置の設置例を示し、(b)は常設の表示装置を用いた運転支援端末装置の設置例を示し、(c)は、携帯端末装置を用いた運転支援端末装置の設置例を示す。
図3】運転支援端末装置のハードウェア構成図
図4】運行管理サーバ及び走行端末装置で実行されるプログラムの機能ブロック図
図5】運転支援端末装置の機能ブロック図
図6】地図情報を示し、(a)はノード情報を示し、(b)はリンク情報を示す。
図7】運行管理情報を示す図
図8】車両ID情報の遷移を示す図であって、(a)は予備IDを用いた例を示し、(b)は接続先情報の上書き処理を用いた例を示す。
図9】変換辞書の構成を示す図
図10図9内の画像データの表示状態を示し、(a)は画像データ1、(b)は画像データ2、(c)は画像データ3、(d)は画像データ4、(e)は画像データ5、(f)は画像データ6、(g)は画像データ7の表示状態を示す。
図11】ダンプの走行状態を示す図であって、(a)は無人ダンプに有人ダンプを混ぜて走行させている状態を示し、(b)は無人ダンプだけを自律走行させている状態を示す。
図12】運転支援システムの動作の流れ(前半)を示すフローチャート
図13】運転支援システムの動作の流れ(後半:図12の続き)を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。なお、以下の実施の形態において、その構成要素(処理ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。
【0011】
また、以下の実施の形態における各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、後述する各構成、機能、処理部、処理手段等は、コンピュータ上で実行されるプログラムとして実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各構成、機能、処理部、処理手段等を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
まず、図1を参照し、本発明が適用された運転支援システムについて説明する。図1は、本発明に係る運転支援システムが用いられた鉱山の概略構成を示す図である。
【0014】
図1に示すダンプの運転支援システム1は、鉱山などの採石場で、土砂や鉱石の積込作業を行うショベル10と、土砂や鉱石等の積荷を搬送する運搬車両(以下「ダンプ」という)であって、オペレータが搭乗することなく運行管理サーバ31からの指示に従って自律走行する無人ダンプ20と、オペレータが搭乗し、操作する有人ダンプ70と、採石場の近傍若しくは遠隔の管制センタ30に設置され、ダンプ20、70の運行管理を行う運行管理サーバ31と、を無線基地局41−1、41−2、41−3を含む無線回線通信40を介して通信接続して構成される。上記の有人ダンプ70は有人車両の一例であって、有人運搬車両の他、人員を輸送するためのライトビークル81、路面の凹凸を削るモータグレーダ82、及び散水車83等の作業車両であってもよい。
【0015】
無人ダンプ20は、運行管理サーバ31から、自律走行するための管制指令値(指示信号)に従って自律走行するための自律走行端末装置26(以下「走行端末装置」と略記する)を備える。
【0016】
有人ダンプ70は、運行管理サーバ31からの管制指令値を、オペレータに知能可能情報の少なくとも一つを用いて提供する運転支援端末装置76を備える。
【0017】
ダンプ20、70は、鉱山内であらかじめ設定された走行路60に沿って、ショベル10が置かれた積込場61及び放土場62の間を往復し、積荷を搬送する。
【0018】
また、ショベル10及びダンプ20、70は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の少なくとも3つの航法衛星50−1、50−2、50−3から測位電波を受信して自車両の位置を取得するための位置算出装置(図1では図示を省略する)を備える。GNSSとして、例えばGPS(Global Positioning System)、GLONASS、GALILEOを用いてもよい。
【0019】
ショベル10は、超大型の油圧ショベルであって、ショベル10における見通しの良い場所、例えば運転室の上部に、無線通信回線に接続するためのアンテナ18が設置されている。
【0020】
無人ダンプ20及び有人ダンプ70のそれぞれは、本体を形成するフレーム21、71と、前輪22、72及び後輪23、73と、フレーム21、71の後方部分に設けられたヒンジピン(図示せず)を回動中心として上下方向に回動可能な荷台24、74と、この荷台24、74を上下方向に回動させる左右一対のホイストシリンダ(図示せず)と、を含む。また、無人ダンプ20及び有人ダンプ70は、見通しの良い場所、例えば、ダンプ20の上面前方に、無線通信回線40に接続するためのアンテナ25、75が設置される。更に、フレーム21に前方上部には、キャブ27、77を備える。
【0021】
無人ダンプ20は、無線通信回線40を介して運行管理サーバ31から受信した管制指令値に従って自律走行制御を行う走行端末装置26を備える。
【0022】
一方、有人ダンプ70は、無線通信回線40を介して運行管理サーバ31から受信した管制指令値を知覚可能情報に変換して提供する運転支援端末装置76を備える。知覚可能情報には、オペレータが理解容易な自然言語や画像データ、光の点滅などの視覚情報やアラーム音やアナウンスなど聴覚情報がある。本実施形態では、管制指令値を視覚情報に変換して表示する態様を例に挙げて説明するが、警報器や発声器を用いて管制指令値の変換結果をオペレータに提供してもよい。
【0023】
運行管理サーバ31はアンテナ32と接続され、無線通信回線40を介して基地局41−1、41−2、41−3と接続される。そして、基地局41−1、41−2、41−3を介してショベル10、無人ダンプ20、有人ダンプ70の其々と通信する。
【0024】
次に、図2を参照して、有人ダンプ70のキャブ77内の概略構成について説明する。図2は、運転支援端末装置の外観を示す図であって、(a)は、有人ダンプのキャブ内における運転支援端末装置の設置例を示し、(b)は常設の表示装置を用いた運転支援端末装置の設置例を示し、(c)は、携帯端末装置を用いた運転支援端末装置の設置例を示す。
【0025】
図2の(a)に示すように、キャブ77内には、オペレータが着座する座席110が備えられ、これに着座したオペレータの前方にステアリングハンドル111が備えられる。ステアリングハンドル111の根元の右側には、通常ブレーキペダル112、及びアクセルペダル113が配置される。また、ステアリングハンドル111の根元の左側には、緊急ブレーキペダル114が備えられる。
【0026】
ステアリングハンドル111の前方には、計器類や、ダンプトラックの周囲を撮影した画像を表示するカメラモニタなどを含むフロントパネル115が備えられる。フロントパネル115における上部右側には、運転支援端末装置76が設置される。運転支援端末装置76は、液晶パネルや有機ELパネルを含む表示装置76aと、表示装置76aに対する表示制御及び管制指令値の変換処理を行う端末装置本体76bと、を含む。表示装置76aはフロントパネル115上に設置され、端末装置本体76bはフロントパネル115の内部に収容される。
【0027】
表示装置76aは、図2の(b)に示すように、フロントパネル115上に常設されるモニタ76a1でもよいし、図2の(c)に示すように、フロントパネル115上に支持台(クレードル)76a3を常設し、情報携帯端末装置(例えばスマートフォンやタブレット端末)76a2を支持台76a3に載置すると、端末装置本体76bと電気的に接続されるように構成されてもよい。または、情報携帯端末装置76a2に端末装置本体76bの機能を実行するための運転支援プログラムを格納し、情報携帯端末装置76a2単体で運転支援端末装置76を構成してもよい。
【0028】
上記では、有人ダンプ70のキャブ77内を例に挙げて説明したが、無人ダンプ20のキャブ27内に運転支援端末装置76を備え、自律走行ではなくオペレータの操作による走行を実施する際に、無人ダンプ20のオペレータに運行管理サーバ31からの管制指令値に従って走行させるように、情報提供を行ってもよい。
【0029】
図3を参照して、運転支援端末装置76のハードウェア構成について説明する。図3は、運転支援端末装置のハードウェア構成図である。
【0030】
図3に示すように、端末装置本体76bは、CPU(Central Processing Unit)761、ROM(Read Only Memory)762、RAM(Random Access Memory)763、HDD(Hard Disk Drive)764、I/F765がバス766を介して互いに接続されて構成される。I/F765は、表示装置76a、入力装置76c、無線通信装置76dが接続される。入力装置76cは、表示装置76aの画面上に積層されたタッチパネルやボタン等で構成される。無線通信装置76dは、無線通信回線40に通信可能な装置である。
【0031】
CPU761は、ROM763やHDD764に格納された運転支援プログラムをRAM762にロードして実行する。すなわち、運転支援端末装置76を構成するハードウェアと、運転支援プログラム(ソフトウェア)とが協働することにより、運転支援端末装置76の機能が実現する。
【0032】
運行管理サーバ31及び走行端末装置26も、運転支援端末装置76と同様のハードウェア構成であるので、重複説明を省略する。
【0033】
図4乃至図10を参照して、運行管理サーバ31、走行端末装置26及び運転支援端末装置76のそれぞれで実行されるプログラムの機能構成について説明する。図4は運行管理サーバ及び走行端末装置で実行されるプログラムの機能ブロック図である。図5は運転支援端末装置の機能ブロック図である。図6は、地図情報を示し、(a)はノード情報を示し、(b)はリンク情報を示す。図7は、運行管理情報を示す。図8は、車両ID情報の遷移を示す図であって、(a)は予備IDを用いた例を示し、(b)は接続先情報の上書き処理を用いた例を示す。図9は、変換辞書の構成を示す図である。図10は、図9内の画像データの表示状態を示し、(a)は画像データ1、(b)は画像データ2、(c)は画像データ3、(d)は画像データ4、(e)は画像データ5、(f)は画像データ6、(g)は画像データ7の表示状態を示す。
【0034】
運行管理サーバ31に含まれるサーバ側制御部311は、目的地設定部311a、走行許可区間設定部311b、車両ID管理部311c、サーバ側通信制御部311d、及び走行管制部311eを含む。また、運行管理サーバ31の記憶装置は、鉱山内に配置された搬送路60の地図情報を記憶するマスタ地図情報記憶部312aと、各ダンプの現在位置やそのダンプに設定された走行許可区間を含む運行管理情報を記憶する運行管理情報記憶部312bと、各ダンプを固有に識別するための車両ID情報を記憶する接続先情報記憶部312cと、を含む。
【0035】
目的地設定部311aは、走行端末装置27及び運転支援端末装置76から目的地要求情報を受信すると、マスタ地図情報記憶部312aに記憶された地図情報と目的地要求情報に含まれる無人ダンプ20、及び有人ダンプ70の位置情報を基に目的地(管制指令値に相当)を設定する。無人ダンプ20、及び有人ダンプ70が積込場61にいるときには放土場62を目的地に、放土場62にいるときには積込場61を目的地にする。また不図示の駐機場を目的地に設定する場合もある。
【0036】
走行許可区間設定部311bは、走行端末装置27及び運転支援端末装置76から走行許可要求情報を受信すると、マスタ地図情報記憶部312aに記憶された地図情報、運行管理情報、及び無人ダンプ20、及び有人ダンプ70の位置情報を基に、走行路60の部分区間を当該ダンプの走行を許可する走行許可区間(管制指令値に相当)として設定する。
【0037】
走行管制部311eは、ダンプの停止位置、ダンプの走行速度、ダンプの走行又は発進許可、表示停止、及び給油時期を示す管制指令値を生成する。
【0038】
目的地設定部311a、及び走行許可区間設定部311b、走行管制部311eは、それぞれ管制指令値を生成するので、これらは管制指令値生成部に相当する。管制指令値生成部は、要求情報に応じた管制指令値を生成し、無人車両の識別情報とともに管制指令値を車両識別情報管理部311cに出力する。
【0039】
車両識別情報管理部311cは、各ダンプを固有に識別する車両識別情報を管理するもので、無人ダンプ20が有人ダンプ70に代わった場合、有人ダンプの車両IDを無人ダンプ20の車両IDに関連付ける処理を行う。以下、車両識別情報を車両IDと記載し、車両ID管理部311cと記載する。
【0040】
より具体的には、車両識別情報管理部311cは、有人ダンプIDに関連付けられた無人ダンプIDとともに要求情報を管制指令値生成部に出力する。また、車両ID管理部311cは、無人ダンプIDに関連付けられた有人ダンプIDを特定し、この有人ダンプIDに関連づけられた接続先情報を抽出し、この接続先情報及び管制指令値をサーバ側通信制御部dに出力する。
【0041】
サーバ側通信制御部311dは、運転支援端末装置76に通信接続をするための制御を行う。より具体的には、サーバ側通信制御部311dは、目的地要求情報及び走行許可要求情報を受信すると車両ID管理部311cに出力する。また、サーバ側通信制御部311dは、接続先情報と管制指令値とを車両ID管理部311cから取得すると、その管制指令値を上記接続先情報を用いて送信する。
【0042】
マスタ地図情報記憶部312aに格納される地図情報は、走行路60上の各地点(以下「ノード」という)と、隣接するノードを連結するリンクとにより定義される。地図情報は、鉱山の地形情報や、各ノードの絶対座標(測位電波を基に算出される3次元実座標)を含んでもよい。各ノード、及びリンクには、それらのノード及びリンクを固有に識別する位置識別情報(以下「ノードID」、「リンクID」という)が付与される。地図情報は、図6に示すように、ノードID601とノード座標602とを関連付けたノード情報600(図6の(a)参照)と、リンクID621と、当該リンクの前端部のノード(前方ノードID)622、後端部のノード(後方ノードID)623、リンクの属性情報として、例えば制限速度624、走行路60の曲率625等を関連付けたリンク情報620(図6の(b)参照)とを含む。
【0043】
運行管理情報記憶部312bに格納される運行管理情報700は、図7に示すように、各ダンプを固有に識別する「ダンプID」701に、当該ダンプに対して設定された走行許可区間の「前方境界点」(ノードIDで示す、後方境界点も同様)702、「後方境界点」703、各ダンプに対して現在設定されている最終目的地座標を示す「目的地」704、ダンプの実際の「走行速度」705、ダンプが前方又は後方のどちらに走行しているかを示す「走行向き」706、及び各ダンプから定期的または必要に応じて通知されるそのダンプの「現在位置」707関連付けて記憶する。
【0044】
接続先情報記憶部312cに格納される車両ID情報800は、図8に示すように、各ダンプを固有に識別する「ダンプID」801に、当該ダンプに対して付与された無線通信の「接続先情報」(例えばIPアドレス)802、及び当該ダンプが現在稼働中であるか否かを識別するための「稼働フラグ」803を含む。
【0045】
有人車両は本来的には管制指令値がなくても走行できるが、本発明では有人車両に管制指令値を生成させるために、有人車両に対して管制指令値を生成させるための管制対象車両ID(管制対象車両識別情報)を付与し、これと有人車両に搭載した運転支援端末装置のIPアドレスとを関連付けて管理する。そして、有人車両から要求情報があると、この要求情報と管制対象車両IDとを対応付けて目的設定部311a又は走行許可区間設定部311bに出力し、有人車両に対する管制指令値を生成する。その後、管制指令値と管制対象車両IDとを対応付けて車両ID管理部311cが取得し、サーバ側通信制御部311dが運転支援端末装置のIPアドレスを送信先として管制指令値を送信する。よって、管制対象車両IDは、管制指令値の生成対象がどの車両であるかが判別できればよく、有人車両を固有に識別する有人車両識別情報を用いてもよいが、これに限らず、有人車両に対して付与するために予め用意された予備車両識別情報を用いてもよいし(図8の(a)参照)、稼働していない無人ダンプを固有に識別する無人車両識別情報を有人車両の識別情報として代用してもよい(図8の(b)参照)。以下、管制対象車両識別情報についてより詳しく説明する。
【0046】
無人ダンプを有人ダンプに代えて走行させた際の車両ID情報の遷移例として、図8の(a)は、有人ダンプが稼働したときに使う車両IDを呼び予備IDとして用いる場合を示す。すなわち、図8の(a)では、6つのダンプIDと、それに関連付けられた接続先情報、及び稼働フラグが格納されている。実際に鉱山内を走行するダンプが5台であるとし、予備のダンプID(例えばD)を予め車両ID情報800に規定しておく。当初、5台の無人ダンプ20D〜D走行中であるとすると、図8の(a)に示すように「ダンプID」D〜Dの稼働フラグを「1」に設定する。ここで、「ダンプID」Dに該当する無人ダンプを有人ダンプに差し替える、すなわち、5台の無人ダンプ20D〜Dがコンボを形成して稼働中に、「ダンプID」Dに該当する無人ダンプを有人ダンプに入れ替えるとする。この場合、予備の「ダンプID」Dを有人ダンプに割り当てると共に、それに搭載される運転支援端末装置76に「ダンプID」Dの接続先情報IPを割当てる。そして、「ダンプID」Dの稼働フラグを「0」、「ダンプID」Dの稼働フラグを「1」に書き換える。これら車両ID情報の書き換えは、車両ID管理部311cが実行する。以下の説明では、予備IDを用いた場合を例に挙げて動作について説明する。
【0047】
また、無人ダンプを有人ダンプに代えて走行させた際の車両ID情報の遷移についての他例として、図8の(b)は、車両ID管理部311cが車両ID情報810の「ダンプID」Dに関連付けられた接続先情報を、運転支援端末装置76の接続先情報IPに書き換える。この場合、管制指令値生成部は、有人ダンプの車両IDとして、無人ダンプに対して付与されていた「ダンプID」Dを用いて有人ダンプに対する管制指令値生成処理を実行するが、車両ID管理部311cが、管制指令装置を運転支援端末装置76に送信する際に車両ID情報の接続先情報がIPに書き換えられていることにより、管制指令値を運転支援端末装置76に送信することができる。
【0048】
図4に戻り、走行端末装置26について説明する。本実施に係る走行端末装置26は、無人ダンプ20に搭載された走行駆動装置267に対して管制指令値に基づく走行制御を行う機能と、無人ダンプ20にオペレータが搭乗し、オペレータの操作に従った走行を行う際に、運転支援端末装置76と同様の表示を行う機能とを備えるものとして説明する。無人ダンプ20であっても、オペレータが搭乗して操作することがありうる。その場合、無人ダンプ20の挙動が、自律走行時と同様になるよう、オペレータに対して運転支援を行うために走行端末装置26に、本発明に係る運転支援プログラムを格納・及び実行できるように構成される。
【0049】
走行端末装置26は、端末側制御装置261、端末側地図情報記憶部262、I/F263、及び端末側通信装置264を含み、ミリ波レーダやステレオカメラなどの外界センサ装置268及び無人ダンプ20に搭載されたGPSやIMUを含む位置算出装置269に接続される。外界センサ装置268及び位置算出装置269の検出結果は、走行端末装置26における自律走行制御に用いられる。更に、走行端末装置26は、ブレーキやステアリング装置、燃料噴射装置などを含む走行駆動装置267に接続される。
【0050】
走行端末装置26の端末側制御装置261は、走行制御部261a、端末側通信制御部261b、要求情報処理部261c、運行管理サーバ31からの管制指令値の出力先を切り替える出力先切替部261d、及び運転支援部300を備える。
【0051】
走行制御部261aは、位置算出装置269から取得した自車両の現在位置、端末側地図情報DB266の地図情報、及び走行許可応答情報に含まれる走行許可区間に従って、自律走行させるための制御を走行制御装置267に対して行う。
【0052】
また、走行制御部261aは、外界センサ装置268の検知結果に基づいて前方障害物の有無を判定し、障害物との干渉、衝突の回避動作の有無も判定し、必要があれば制動動作のための制御を行う。
【0053】
端末側通信制御部261bは、運行管理サーバ31との間で無線通信を行う制御を行う。
【0054】
要求情報処理部261cは、ダンプ20の現在位置、地図情報を参照して目的地要求情報及び走行許可要求情報を生成し、端末側通信制御部261dに出力する。
【0055】
出力先切替部261dは、自律走行時には管制指令値を走行制御部261a及び/又は運転支援部300に出力し、オペレータによる走行時には運転支援部300のみに出力するよう制御する。なお、自律走行時に運転支援部300に出力すると、例えばオペレータが搭乗して自律走行の挙動を確認する際に、無人ダンプ20の挙動が運行管理サーバ31からの指示に従っているかの動作確認を容易にすることができる。出力先の切替は、自律走行制御を実行するための入力装置(例えばボタン)や、オペレータに対して操作の主導権を移すための動作の入力情報(例えばブレーキペダルの踏込量の検知情報、ハンドル操作による操舵角の検知情報等)に基づいて実行される。
【0056】
運転支援部300は、本発明に係る運転支援プログラムを実行する。運転支援プログラムは、受信した管制指令値の内容を、視覚情報及び聴覚情報の少なくとも一つ変換するステップと、これら視覚情報及び聴覚情報をオペレータに提供するステップと、をコンピュータ(ハードウェア)に実行させるためのプログラムである。本実施形態では、視覚情報に変換するので、運転支援部300はI/F263を介して接続された表示装置270に管制指令値を変換した画像データを表示する。
【0057】
図5に示すように、運転支援端末装置76の端末装置本体76bは、端末側制御装置761及び端末側通信装置762を含み、有人ダンプ70に搭載された外界センサ装置768と表示装置76aとに接続される。
【0058】
端末側制御装置761は、端末側通信制御部761a及び運転支援部300を含む。
【0059】
運転支援部300は、優先度決定部301、管制指令値変換部302、変換辞書記憶部303、端末側地図情報記憶部304、表示制御部305、及び要求情報処理部306を含む。
【0060】
優先度決定部301は、端末側通信装置762及び端末側通信制御部761aを介して運行管理サーバ31から管制指令値の入力を受け付けると共に、外界センサ装置768からの検知信号、位置算出装置769からダンプ位置情報を取得すると、管制指令値のうち、オペレータに対して提供(表示)する情報の優先度を決定する。優先度決定部301は、管制指令値が複数ある場合には、優先度が最も高い管制指令値のみをオペレータに対して提供する信号として決定し、管制指令値変換部302にその管制指令値のみを出力する。優先度の決定に際し、優先度決定部301は、管制指令値の優先度を規定した優先度ルール情報を参照する。本実施形態では、管制指令値をどのような画像データに変換するかを定めた変換ルールと、優先度ルールとを一つの変換辞書にまとめて規定する。この詳細については、図9を参照して後述する。
【0061】
管制指令値変換部302は、優先度決定部301が取得したある時点(ダンプの挙動、停止距離、制限速度などを基に設定される所定の時間幅を有してもよい)において入力された情報のうち、最も優先度が高いと決定した入力信号に対応する画像を、変換ルールを参照して抽出する。制御指令信号が走行許可応答情報である時は、端末側地図情報記憶部304の地図情報も参照する。
【0062】
表示制御部305は、管制指令値変換部302が抽出した画像を表示装置76aに出力する。また、管制指令値変換部305が走行許可応答情報を変換した画像を表示対象のデータとして出力する場合は、走行路60において自車両の走行許可区間をそれ以外の区間(自車両からみると閉塞区間に相当する)と弁別して表示した地図画像を生成する。その他、この地図画像に例えば停止指示画像を重畳した画像などの生成も行う。従って、表示制御部305は、管制指令値提供部に相当する。
【0063】
要求情報処理部306は、位置算出装置769から取得したダンプ位置情報と端末側地図情報記憶部304に記憶された地図情報とを基に、ダンプの位置に応じて目的地要求情報や走行許可要求情報を生成し、端末側通信制御部761aに出力する。そして、これらの情報が端末側通信装置762から無線通信回線40に送信され、運行管理サーバ31が受信する。また、端末装置本体76aの入力装置から、オペレータがどの無人ダンプに代わって有人ダンプを走行させるかを示す車両ID変更情報を入力すると、車両ID変更情報も運行管理サーバ31に送信される。
【0064】
車両ID変更情報の入力動作は、運行管理サーバ31の不図示の入力装置から行ってもよい。
【0065】
図9を参照して変換辞書記憶部303に記憶される変換辞書について説明する。図9に示すように変換辞書900は、入力信号の種別を示す「管制指令値・入力信号」901、各信号の表示優先度を規定した「優先度」902、管制指令値・入力信号の内容を示す「画像データ」903、及び各画像データが示す内容を説明した「表示内容」904を含む。なお、「表示内容」904は、説明の便宜上、図9では図示したが、実装では「表示内容」904は必須ではない。また、本実施形態では、変換辞書900に「優先度」902の項目を付けて、変換辞書に優先度ルール情報を含めたが、変換ルールと優先度ルールとは別に構成してもよい。
【0066】
「管制指令値・入力信号」901は、運行管理サーバ31からの管制指令値の他、無人ダンプ20又は有人ダンプ70に設置された外界センサ装置、例えばミリ波レーダーからの入力信号が規定される。
【0067】
「優先度」902は、数字が小さいほど優先度が高く、所定の時間内に複数の管制指令値や入力信号があった場合、より優先度が高い画像データを選択的に表示する。例えば、運行管理サーバ31から「トルク増加指令」(優先度2)を受信している状態で、外界センサ装置768から「ミリ波前方障害物検知信号(停止可能距離相当)」(優先度1)を受信すると、「ミリ波前方障害物検知信号(停止可能距離相当)」(優先度1)を優先して表示するように優先度決定部301は判断する。優先度は、管制指令値の内容の緊急性や重要性に応じて定めてもよい。
【0068】
図10の(a)〜(f)に、「画像データ」903に格納された画像データ1〜7を表示装置76aに表示した状態を示す。表示装置76aへの表示内容は、文字情報(図10の(a)、(b)、(e)、(g)参照)でもよいし、図形情報(図10の(c)、(d))でもよい。これらの表示時間は、例えば各画像データに対して予め定められた時間でもよいし、表示制御部305が有人ダンプの走行データを基に、管制指令値や入力信号に示す指示が実行されたかを判断し、表示を停止してもよい。この場合、管制指令値を表示した時点から、表示停止までが表示時間となる。表示を停止させるタイミングは、例えば、車輪速センサからの実際の走行速度を基に速度が0になると停止表示が消えたり(図10(a))、車輪速が所定値(制御指示信号に含まれる速さ)まで低下すると減速表示が消えたり(図10(b))、ステアリング装置の操舵角が前後軸方向に対してθ°から−θ°(前後軸方向に対して0に戻る)に戻ったことを示す検知信号を基に)を受信すると、右方向又は左方向の表示(図10の(c)(d))が消えるように構成してもよい。また、車輪側が制限速度(制限速度は端末側地図記憶装置に記憶された地図情報や制御指示信号に含まれる)に達すると表示が消えるように構成されてもよいし(図10(e))、積込位置入口に待機中に動的パスを受信して車輪側が0から増加すると進行指示(図10(g))が消えるように構成されてもよい。
【0069】
また、走行路上に、自車両に付与された走行許可区間とそれ以外の閉塞区間とを弁別した地図表示(図10(f))は表示装置76aに自車両の位置を重畳して、上記した他の表示内容がない場合には表示し続け、他の表示がある場合にはそれに切替表示してもよい。この場合、上記した他の表示内容が表示停止すると地図表示に戻るように構成されてもよい。
【0070】
次に図11乃至図13を参照して、本実施形態に係る運転支援システムの動作の流れについて説明する。図11は、ダンプの走行状態を示す図であって、(a)は無人ダンプに有人ダンプを混ぜて走行させている状態を示し、(b)は無人ダンプだけを自律走行させている状態を示す。図12は、運転支援システムの動作の流れ(前半)を示すフローチャートである。図13は、運転支援システムの動作の流れ(後半:図12の続き)を示すフローチャートである。
【0071】
以下の例では、複数台、例えば4台の無人ダンプ20−1、20−2、20−3、20−4と1台の有人ダンプ70で集団(コンボ)を形成し、混走させる場合を例に挙げて説明する。運行管理サーバ31は、5台の運行管理を行うが、そのうちの1台が有人ダンプである点に特徴がある。
【0072】
稼働中のダンプが全て無人ダンプであり、各無人ダンプが運行管理サーバ31による管制指令値に従って自律走行する場合(図11の(a))は、運行管理サーバ31の運行管理が実現する。しかし、有人ダンプが混ざっている場合(図11の(b)参照)、オペレータの操作に従って有人ダンプの挙動が決定する。そうすると、オペレータの操作が運行管理サーバ31の管制指令値とは異なる場合、運行管理サーバ31による運行管理が管制指令値に対するオペレータの操作の精度(管制指令値に対する操作の追従度)によっては実現しなくなる。本実施形態に係る運転支援システムは、管制指令値に従った自律走行時の挙動を理想状態とし、有人ダンプが理想状態の挙動をするようにそのオペレータに対して運転支援をするものである。以下、図12図13の各ステップ順に沿って説明する。
【0073】
まず、無人ダンプ20−5の車両ID(D)と、有人ダンプの車両IDとを関連付ける(S1201)。この関連付けは、例えば有人ダンプ70の運転支援端末装置76から、無人ダンプ20−5(車両ID:D)として走行することを示す車両ID変換要求情報を運行管理サーバ31に送信し、車両ID管理部311cが、有人ダンプ70に対して予備車両ID(D)を付与することにより行ってもよい。既述の図8の(a)では、無人ダンプ20−5の車両IDが有効(稼働フラグが「1」の状態)であるが、本ステップの処理後は、車両ID管理部311cは、無人ダンプ20−5の車両IDが無効(稼働フラグが「0」の状態)であるとともに予備車両ID(D)が有効(稼働フラグが「1」の状態)に変更する。
【0074】
また、汎用の無線通信規格(例えばWifi)を用いて、運行管理サーバ31と各ダンプとを無線通信回線40で接続する場合、車両ID変換要求情報には送信元(有人ダンプ70に搭載された運転支援端末装置76)を示すIPアドレス(IP)が含まれる。そこで、車両ID管理部31は、IPアドレス(IP)を読み出して、予備車両ID(D)の接続先情報に登録する。これにより、予備車両ID(D)の接続先情報を設定できる。
【0075】
また、図8の(b)のように、車両ID管理部311cは、車両ID(D)の接続先情報を運転支援端末装置76のIPアドレスに書き換えてもよい。
【0076】
次に有人ダンプ70は、コンボ内の無人ダンプ20−5の位置に加わり、4台の無人ダンプとともに走行開始の準備を行う。走行開始に当たり、有人ダンプ70が目的地要求情報を送信すると(S1202)、車両ID管理部311cは、目的地要求情報内のIPアドレスと図8の車両ID情報とを比較し、予備車両ID(D)からの目的地要求情報であると判断する(S1203)。
【0077】
次に、車両ID管理部311cは、目的地設定部311aに目的地要求情報を出力する(S1204)。
【0078】
目的地設定部311aが目的地応答情報を生成して車両ID管理部311cに出力すると(S1205)、車両ID管理部311cは、図8の(b)の車両ID情報を参照し、予備車両ID(D)に対する目的地応答情報であると判断し(S1206)、予備車両ID(D)の接続先情報IPを車両ID情報から読み出して(S1207)、目的地応答情報と接続先情報IPをサーバ側通信制御部311dに出力する(S1208)。
【0079】
サーバ側通信制御部311dは、接続先情報IPあてに目的地応答情報を送信し(S1209)、有人ダンプ70の運転支援端末装置76が受信する(S1210)。
【0080】
運転支援端末装置76の要求情報処理部261cは、走行許可要求情報を生成して運行管理サーバ31へ送信し(S1211)、車両ID管理部311cが走行許可区間設定部311bに出力する(S1212)。走行許可区間設定部311bは、走行許可応答情報を生成し、車両ID管理部311cがステップS1205、S1206と同様、走行許可応答情報及び接続先情報IPをサーバ側通信制御部311dに出力する(S1213)。
【0081】
サーバ側通信制御部311dは、接続先情報IPあてに走行許可応答情報を送信し(S1214)、有人ダンプ70の運転支援端末装置76が受信する(S1215)。
【0082】
優先度決定部301は、走行許可応答情報を取得すると図9の変換辞書を参照し、優先度を決定する(S1216)。走行許可応答情報よりも優先度が高い管制指令値及び入力信号がなければ(S1217/Yes)、管制指令値変換部302が変換辞書を参照し、走行許可応答情報に対応する画像データが「画像データ6」であると決定する(S1218)。
【0083】
管制指令値変換部302は、表示制御部305に対し「Image6」に対応する地図画像の生成指示を出力し、表示制御部305がダンプ位置情報を基に地図画像に自車両の位置を重畳した画像、(図10の(f))を生成するなどの表示制御を実行し(S1219)、表示装置76aに表示する(S1220)。なお、ここでいう表示は切替表示を含むもので、所定の表示時間の経過後に表示停止も含む。
【0084】
走行許可応答情報よりも優先度が高い管制指令値及び入力信号があれば(S1217/No)、優先度決定部301は、優先度が高い管制指令値及び入力信号を表示対象として決定し、管制指令値変換部302による処理が実行される(S1221)。
【0085】
有人ダンプ70のオペレータによる操作の下、有人ダンプの走行が開始し、要求情報処理部306は走行中に無人ダンプと同じ条件下で要求情報を運行管理サーバ31に送信する。運行管理サーバは無人ダンプとして有人ダンプの自律走行制御を実行する(S1222)。
【0086】
運行管理サーバ31から管制指令値を新たに受信、または外界センサ検知信号が新たに入力されない場合(S1223/No)、地図表示を続行する(S1220)。
【0087】
新たな管制指令値を受信または外界センサ検知信号が入力されると(S1223/Yes)、上記の説明における走行許可応答情報を新たに受信した管制指令値に置き換えて、ステップS1216以下の処理を繰り返す。
【0088】
本実施形態によれば、有人ダンプと無人ダンプとが混在して走行する際に、運行管理サーバが有人ダンプを無人ダンプとして自律走行制御を行いつつ、その有人ダンプに対して送信する管制指令値を、有人ダンプのオペレータに対して画像を表示して伝達できる。その結果、オペレータが伝達された内容通りに操作すると、有人ダンプを無人ダンプの走行状態により近づけて走行させることができる。これにより、有人ダンプと無人ダンプとを混在させた状態で自律走行制御を行うことができる。
【0089】
上記した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明の範囲を上記実施形態に限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、他の様々な態様で本発明を実施することできる。
【0090】
例えば、有人ダンプにドライブレコーダを搭載し、ドライブレコーダでオペレータの運転操作と、運転支援端末装置が提供した管制指令値の変換結果とを同期させて格納する機能を備えてもよい。この場合、有人ダンプにトラブル(事故)が起きた場合に、オペレータの操作ミス、又は管制指令値の変換ミスのどちらに原因があるかの解明が容易にできる。
【符号の説明】
【0091】
1:運転支援システム、10:ショベル、20:無人ダンプ、31:運行管理サーバ、40:無線通信回線、70:有人ダンプ
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