(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び前記第2MOSトランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第3及び前記第4MOSトランジスタはデプレッション型NMOSトランジスタであり、前記第5及び前記第6MOSトランジスタはNMOSトランジスタである、
請求項1に記載のレベルシフタ。
前記第1及び前記第2抵抗素子は、何れも、前記第1乃至前記第4MOSトランジスタのゲート酸化膜厚より薄いゲート酸化膜厚のPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタにより構成されたトランスファーゲートである、
請求項4に記載のレベルシフタ。
前記第7、前記第9、前記第11及び前記第13MOSトランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第8、前記第10、前記第12及び前記第14MOSトランジスタはNMOSトランジスタである、
請求項7に記載のレベルシフタ。
前記第1抵抗素子は、前記第1乃至前記第4MOSトランジスタのゲート酸化膜厚より薄いゲート酸化膜厚のPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタにより構成されたトランスファーゲートである、
請求項9に記載のレベルシフタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<発明者による検討>
本実施の形態にかかるレベルシフタについて説明する前に、関連する技術について本発明者が検討した内容について説明する。
【0010】
図11は、非特許文献1に開示された関連する技術のレベルシフタの構成を示す図である。
図11に示すレベルシフタは、高耐圧のPMOSトランジスタP1,P2と、高耐圧のデプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2と、低耐圧のNMOSトランジスタN1,N2と、を備える。
【0011】
なお、高耐圧のMOSトランジスタとは、ソース、ドレイン及びゲートのうち2端子間の電圧が高電圧の電源電圧VDDQに達するまで破壊しないMOSトランジスタのことである。低耐圧のMOSトランジスタとは、ソース、ドレイン及びゲートのうち2端子間の電圧が低電圧の電源電圧VDDに達するまで破壊しないMOSトランジスタのことである。高耐圧のMOSトランジスタは、例えば低耐圧のMOSトランジスタに対して、ゲート絶縁膜が厚いなどの特徴を持つ。また、デプレション型MOSトランジスタは、ネイティブMOSトランジスタや0−Vth型MOSトランジスタと呼ばれることもある。なお、デプレション型MOSトランジスタの閾値電圧Vthは、0V〜−0.数V程度である。
【0012】
図11に示すレベルシフタは、低電圧の入力信号INL,INRを受けるトランジスタとして低耐圧のNMOSトランジスタN1,N2を備えている。それにより、電源電圧VDDの電圧レベルが低い場合や電源電圧VDD,VDDQの電位差が大きい場合でも、高速なレベルシフト動作が可能である。また、
図11に示すレベルシフタは、低耐圧のNMOSトランジスタN1,N2と、高電圧の電源電圧VDDQが供給される電源電圧端子と、の間に、それぞれ高耐圧のデプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2を備えている。それにより、ノードINT1,INT2の電圧が低く保たれるため、低耐圧のNMOSトランジスタN1,N2に耐圧を超える電圧が印加されなくなる。それにより、低耐圧のNMOSトランジスタN1,N2の劣化が抑制される。
【0013】
しかしながら、発明者は、
図11に示すレベルシフタの低耐圧NMOSトランジスタN1,N2に耐圧を超える電圧が印加される場合があることを発見した。
【0014】
図12は、関連する技術のレベルシフタの課題を説明するためのタイミングチャートである。例えば、入力信号INがLレベル(基準電圧VSS)からHレベル(電源電圧VDD)に立ち上がると、それに応じて、入力信号の反転信号INRはHレベルからLレベルに立ち下がる。それにより、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のゲート電圧及び低耐圧NMOSトランジスタN2のゲート電圧は、同時にHレベルからLレベルに立ち下がる。
【0015】
ここで、一般的に、低耐圧のMOSトランジスタの応答速度は、高耐圧のMOSトランジスタの応答速度よりも速い。つまり、低耐圧NMOSトランジスタN2の応答速度は、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2の応答速度よりも速い。そのため、低耐圧NMOSトランジスタN2がオフした時点で高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1のオン抵抗がまだ十分に大きくなっていない可能性がある。その場合、ノードINT2の電圧が高くなるため、低耐圧NMOSトランジスタN2に耐圧を超える電圧が印加されてしまう。例えば、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2の閾値電圧Vthが−0.5V、電源電圧VDDが1.0Vの場合、ノードINT2の電圧はVDD−Vt=1.5Vと高くなるため、低耐圧NMOSトランジスタN2に耐圧を超える電圧が印加されてしまう。それにより、低耐圧NMOSトランジスタN2が劣化してしまう。その結果、レベルシフタの信頼性が低下してしまう。
【0016】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0019】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかるレベルシフタ1の構成例を示す図である。本実施の形態にかかるレベルシフタ1は、低耐圧のNMOSトランジスタ及び高耐圧のデプレション型NMOSトランジスタの導通状態をそれぞれ異なる制御信号により制御することで、低耐圧のNMOSトランジスタに耐圧を超える電圧が印加されないようにしている。それにより、低耐圧のNMOSトランジスタの劣化が抑制される。つまり、本実施の形態にかかるレベルシフタ1は、信頼性を低下させることなく、高速動作を実現することができる。以下、具体的に説明する。
【0020】
図1に示すレベルシフタ1は、レベルシフト部11と、タイミング制御回路(第1タイミング制御回路)12と、タイミング制御回路(第2タイミング制御回路)13と、インバータINV1と、を備える。なお、タイミング制御回路12,13と、インバータINV1と、によりタイミング制御部が構成される。
【0021】
レベルシフト部11は、高耐圧のPMOSトランジスタ(第1PMOSトランジスタ)P1と、高耐圧のPMOSトランジスタ(第2PMOSトランジスタ)P2と、高耐圧のデプレション型NMOSトランジスタ(第1デプレション型NMOSトランジスタ)NA1と、高耐圧のデプレション型NMOSトランジスタ(第2デプレション型NMOSトランジスタ)NA2と、低耐圧のNMOSトランジスタ(第1NMOSトランジスタ)N1と、低耐圧のNMOSトランジスタ(第2NMOSトランジスタ)N2と、を備える。
【0022】
高耐圧PMOSトランジスタP1,P2は、高電圧の電源電圧VDDQが供給される電源電圧端子(第1電源電圧端子;以下、電源電圧端子VDDQと称す)と、基準電圧端子VSSと、の間に並列に設けられ、それぞれのゲートが互いのドレインに接続されている。
【0023】
より具体的には、高耐圧PMOSトランジスタP1では、ソースが電源電圧端子VDDQに接続され、ドレインがノードLSDLに接続され、ゲートがノードLSDRに接続されている。高耐圧PMOSトランジスタP2では、ソースが電源電圧端子VDDQに接続され、ドレインがノードLSDRに接続され、ゲートがノードLSDLに接続されている。
【0024】
高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2は、高耐圧PMOSトランジスタP1,P2と、基準電圧端子VSSと、の間に、それぞれ当該高耐圧PMOSトランジスタP1,P2に直列に設けられている。
【0025】
より具体的には、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1では、ソースがノードINT1に接続され、ドレインがノードLSDLに接続され、ゲートに制御信号(第1制御信号)IN1が供給されている。高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2では、ソースがノードINT2に接続され、ドレインがノードLSDRに接続され、ゲートに制御信号(第2制御信号)IN2が供給されている。
【0026】
低耐圧NMOSトランジスタN1,N2は、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2と、基準電圧端子VSSと、の間に、それぞれ当該高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2に直列に設けられている。
【0027】
より具体的には、低耐圧NMOSトランジスタN1では、ソースが基準電圧端子VSSに接続され、ドレインがノードINT1に接続され、ゲートに制御信号(第3制御信号)IN3が供給されている。低耐圧NMOSトランジスタN2では、ソースが基準電圧端子VSSに接続され、ドレインがノードINT2に接続され、ゲートに制御信号(第4制御信号)IN4が供給されている。
【0028】
タイミング制御回路12は、電源電圧VDDQより低い低電圧の電源電圧VDDが供給される電源電圧端子(第2電源電圧端子;以下、電源電圧端子VDDと称す)と、基準電圧端子VSSと、の間に設けられ、外部から入力端子INに供給される入力信号(以下、入力信号INと称す)を反転して制御信号IN1,IN3を生成する。つまり、タイミング制御回路12は、入力信号INの反転信号に対応する制御信号IN1,IN3を生成する。ただし、制御信号IN1,IN3は異なる信号である。なお、入力信号INは、電源電圧VDDと基準電圧端子VSSとの間の範囲内の電位を示す。
【0029】
タイミング制御回路13は、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に設けられ、入力信号INの反転信号を反転して制御信号IN2,IN4を生成する。つまり、タイミング制御回路13は、入力信号INの正転信号に対応する制御信号IN2,IN4を生成する。ただし、制御信号IN2,IN4は異なる信号である。
【0030】
即ち、タイミング制御回路12,13及びインバータINV1からなるタイミング制御部は、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に設けられ、入力信号INの反転信号に対応する制御信号IN1及び当該制御信号IN1とは異なる制御信号IN3を生成するとともに、入力信号INの正転信号に対応する制御信号IN2及び当該制御信号IN2とは異なる制御信号IN4を生成する。
【0031】
例えば、タイミング制御部は、制御信号IN3,IN4よりも立ち上がり時のスルーレートが小さい制御信号IN1,IN2を生成し、かつ、制御信号IN1,IN2よりも立ち下がり時のスルーレートが小さい制御信号IN3,IN4を生成する。それにより、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2のオン抵抗を所定値以上に大きくした後に、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2をオフすることができる。また、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2のオン抵抗を所定値以下に小さくする前に、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2をオンすることができる。その結果、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2に耐圧を超える電圧が印加されるのを防ぐことができる。
【0032】
(レベルシフタ1の動作)
続いて、
図2を用いて、本実施の形態にかかるレベルシフタ1の動作について説明する。
図2は、レベルシフタ1の動作を示すタイミングチャートである。なお、
図2において、Vgs(NA2)は、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のゲート−ソース間電圧を表し、Vgs(N2)は、低耐圧NMOSトランジスタN2のゲート−ソース間電圧を表している。
【0033】
まず、入力信号INがHレベル(電源電圧VDD)からLレベル(基準電圧VSS)に立ち下がる。それにより、入力信号INの反転信号INRは、LレベルからHレベルに立ち上がる(時刻t0〜t1)。このとき、タイミング制御回路13は、制御信号IN2をHレベルからLレベルに立ち下げるとともに(時刻t0〜t1)、制御信号IN4を制御信号IN2よりも小さなスルーレートで(緩やかに)HレベルからLレベルに立ち下げる(時刻t0〜t2)。それにより、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のオン抵抗が十分に大きくなった後に、低耐圧NMOSトランジスタN2はオフする。それにより、ノードINT2の電圧が小さく保たれるため、当該低耐圧NMOSトランジスタN2には耐圧を超える電圧は印加されない。それにより、低耐圧NMOSトランジスタN2の劣化が抑制される。
【0034】
なお、ノードINT2の電位は、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のゲート−ソース間電圧Vgs(NA2)からその閾値電圧Vth(NA2)を引いた値で求められる。したがって、低耐圧NMOSトランジスタN2がオフしたときのノードINT2の電位は、0−Vth=|Vth|程度となる。ここで、閾値電圧Vth(NA2)が0V〜−0.数V程度であるため、低耐圧NMOSトランジスタN2には耐圧を超える電圧は印加されない。
【0035】
それに対し、タイミング制御回路12は、図示していないが、制御信号IN3をLレベルからHレベルに立ち上げるとともに(時刻t0〜t1)、制御信号IN1を制御信号IN3よりも小さなスルーレートで(緩やかに)LレベルからHレベルに立ち上げる(時刻t0〜t2)。それにより、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1のオン抵抗が大きな状態のうちに、低耐圧NMOSトランジスタN1はオンする。それにより、ノードINT1の電圧が小さく保たれるため、当該低耐圧NMOSトランジスタN1には耐圧を超える電圧は印加されない。それにより、低耐圧NMOSトランジスタN1の劣化が抑制される。
【0036】
低耐圧NMOSトランジスタN2がオフし、低耐圧NMOSトランジスタN1がオンするため、ノードLSDRの電位は電源電圧VDDQ程度にまで上昇し、ノードLSDLの電位は基準電圧VSS程度にまで低下する。ノードLSDRの電圧が出力端子OUTから外部に出力される。
【0037】
次に、入力信号INがLレベルからHレベルに立ち上がる。それにより、入力信号INの反転信号INRは、HレベルからLレベルに立ち下がる(時刻t3〜t5)。このとき、タイミング制御回路13は、制御信号IN4をLレベルからHレベルに立ち上げるとともに(時刻t3〜t5)、制御信号IN2を制御信号IN4よりも小さなスルーレートで(緩やかに)LレベルからHレベルに立ち上げる(時刻t3〜t6)。それにより、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のオン抵抗が大きな状態のうちに、低耐圧NMOSトランジスタN2はオンする。それにより、ノードINT2の電圧が小さく保たれるため、当該低耐圧NMOSトランジスタN2には耐圧を超える電圧は印加されない。それにより、低耐圧NMOSトランジスタN2の劣化が抑制される。
【0038】
なお、ノードINT2の電位は、上記したように、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のゲート−ソース間電圧Vgs(NA2)からその閾値電圧Vth(NA2)を引いた値で求められる。ここで、低耐圧NMOSトランジスタN2がオフからオンに切り替わった時点での制御信号IN2の電圧レベルはまだHレベル(電源電圧VDD)に達していないため、Vgs(NA2)は電源電圧VDDよりも低い。したがって、ノードINT2の電位もVDDよりも低い。そのため、低耐圧NMOSトランジスタN2には耐圧を超える電圧は印加されない。
【0039】
それに対し、タイミング制御回路12は、図示していないが、制御信号IN1をHレベルからLレベルに立ち下げるとともに(時刻t3〜t5)、制御信号IN3を制御信号IN1よりも小さなスルーレートで(緩やかに)HレベルからLレベルに立ち下げる(時刻t3〜t6)。それにより、高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1のオン抵抗が十分に大きくなった後に、低耐圧NMOSトランジスタN1はオフする。それにより、ノードINT1の電圧が小さく保たれるため、当該低耐圧NMOSトランジスタN1には耐圧を超える電圧は印加されない。それにより、低耐圧NMOSトランジスタN1の劣化が抑制される。
【0040】
低耐圧NMOSトランジスタN1がオフし、低耐圧NMOSトランジスタN2がオンするため、ノードLSDLの電位は電源電圧VDDQ程度にまで上昇し、ノードLSDRの電位は基準電圧VSS程度にまで低下する。ノードLSDRの電圧が出力端子OUTから外部に出力される。
【0041】
より詳細には、タイミング制御回路13は、低耐圧NMOSトランジスタN2のゲート−ソース間電圧が低下して当該低耐圧NMOSトランジスタN2の閾値電圧より低くなった時点(
図2の時刻t1)における高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のゲート−ソース間電圧が、当該高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2の閾値電圧と電源電圧VDDとの和より低くなるように、制御信号IN2,IN4を生成する。さらに、タイミング制御回路13は、低耐圧NMOSトランジスタN2のゲート−ソース間電圧が上昇して当該低耐圧NMOSトランジスタN2の閾値電圧以上になった時点(
図2の時刻t4)における高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2のゲート−ソース間電圧が、当該高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA2の閾値電圧と電源電圧VDDとの和より低くなるように、制御信号IN2,IN4を生成する。
【0042】
同じく、タイミング制御回路12は、低耐圧NMOSトランジスタN1のゲート−ソース間電圧が低下して当該低耐圧NMOSトランジスタN1の閾値電圧より低くなった時点における高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1のゲート−ソース間電圧が、当該高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1の閾値電圧と電源電圧VDDとの和より低くなるように、制御信号IN1,IN3を生成する。さらに、タイミング制御回路12は、低耐圧NMOSトランジスタN1のゲート−ソース間電圧が上昇して当該低耐圧NMOSトランジスタN1の閾値電圧以上になった時点における高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1のゲート−ソース間電圧が、当該高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1の閾値電圧と電源電圧VDDとの和より低くなるように、制御信号IN1,IN3を生成する。
【0043】
このように、本実施の形態にかかるレベルシフタ1は、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2及び高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2の導通状態をそれぞれ異なる制御信号により制御することで、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2に耐圧を超える電圧が印加されないようにしている。それにより、当該低耐圧NMOSトランジスタN1,N2の劣化が抑制される。つまり、本実施の形態にかかるレベルシフタ1は、信頼性を低下させることなく、高速動作を実現することができる。
【0044】
(レベルシフタ1の第1具体的構成例)
図3は、レベルシフタ1の第1具体的構成例をレベルシフタ1aとして示す図である。
図3において、タイミング制御回路12は、低耐圧PMOSトランジスタ(第3PMOSトランジスタ)P11と、低耐圧NMOSトランジスタ(第3NMOSトランジスタ)N11と、抵抗素子(第1抵抗素子)R1と、を有する。タイミング制御回路13は、低耐圧PMOSトランジスタ(第4PMOSトランジスタ)P13と、低耐圧NMOSトランジスタ(第4NMOSトランジスタ)N13と、抵抗素子(第2抵抗素子)R2と、を有する。
【0045】
タイミング制御回路12において、低耐圧PMOSトランジスタP11と低耐圧NMOSトランジスタN11とは、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられ、それぞれのゲートには入力信号INが供給されている。抵抗素子R1は、低耐圧PMOSトランジスタP11と低耐圧NMOSトランジスタN11との間に設けられている。そして、タイミング制御回路12は、低耐圧PMOSトランジスタP11と抵抗素子R1との間のノードの電圧を制御信号IN3として生成し、低耐圧NMOSトランジスタN11と抵抗素子R1との間のノードの電圧を制御信号IN1として生成する。それにより、タイミング制御回路12は、制御信号IN3よりも立ち上がり時のスルーレートが小さい制御信号IN1を生成するとともに、制御信号IN1よりも立ち下がり時のスルーレートが小さい制御信号IN3を生成することができる。なお、制御信号IN1,IN3のスルーレートは、低耐圧PMOSトランジスタP11のサイズ、低耐圧NMOSトランジスタN11のサイズ、及び、抵抗素子R1の抵抗値を調整することで、調整可能である。
【0046】
タイミング制御回路13において、低耐圧PMOSトランジスタP13と低耐圧NMOSトランジスタN13とは、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられ、それぞれのゲートには入力信号INの反転信号が供給されている。抵抗素子R2は、低耐圧PMOSトランジスタP13と低耐圧NMOSトランジスタN13との間に設けられている。そして、タイミング制御回路13は、低耐圧PMOSトランジスタP13と抵抗素子R2との間のノードの電圧を制御信号IN4として生成し、低耐圧NMOSトランジスタN13と抵抗素子R2との間のノードの電圧を制御信号IN2として生成する。それにより、タイミング制御回路13は、制御信号IN4よりも立ち上がり時のスルーレートが小さい制御信号IN2を生成するとともに、制御信号IN2よりも立ち下がり時のスルーレートが小さい制御信号IN4を生成することができる。なお、制御信号IN2,IN4のスルーレートは、低耐圧PMOSトランジスタP13のサイズ、低耐圧NMOSトランジスタN13のサイズ、及び、抵抗素子R2の抵抗値、を調整することで調整可能である。
【0047】
インバータINV1は、低耐圧PMOSトランジスタP15及び低耐圧NMOSトランジスタN15からなる。低耐圧PMOSトランジスタP15及び低耐圧NMOSトランジスタN15は、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられている。そして、インバータINV1は、入力信号INを低耐圧PMOSトランジスタP15及び低耐圧NMOSトランジスタN15のそれぞれのゲートで受けて、低耐圧PMOSトランジスタP15と低耐圧NMOSトランジスタN15との間のノードの電圧を入力信号INの反転信号として出力する。
【0048】
図3に示すレベルシフタ1aのその他の構成については、
図1に示すレベルシフタ1と同様であるため、その説明を省略する。
【0049】
(レベルシフタ1aの第1変形例)
図4は、
図3に示すレベルシフタ1aの第1変形例をレベルシフタ1bとして示す図である。
図4に示すタイミング制御回路12,13は、
図3に示すタイミング制御回路12,13と比較して、抵抗素子R1,R2としてトランスファーゲートT1,T2を備える。
【0050】
トランスファーゲートT1は、低耐圧PMOSトランジスタP12と低耐圧NMOSトランジスタN12とからなる。トランスファーゲートT2は、低耐圧PMOSトランジスタP14と低耐圧NMOSトランジスタN14とからなる。
図4に示すレベルシフタ1bのその他の構成については、
図3に示すレベルシフタ1aと同様であるため、その説明を省略する。
【0051】
(レベルシフタ1aの第2変形例)
図5は、
図3に示すレベルシフタ1aの第2変形例をレベルシフタ1cとして示す図である。
図5に示すレベルシフト部11は、
図3に示すレベルシフト部11と比較して、高耐圧PMOSトランジスタP3,P4をさらに備える。
【0052】
高耐圧PMOSトランジスタP3は、高耐圧PMOSトランジスタP1のドレインとノードLSDLとの間に設けられ、そのゲートには制御信号IN3が供給される。高耐圧PMOSトランジスタP4は、高耐圧PMOSトランジスタP2のドレインとノードLSDRとの間に設けられ、そのゲートには制御信号IN4が供給される。
図5に示すレベルシフタ1cのその他の構成については、
図3に示すレベルシフタ1aと同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
図5に示すレベルシフタ1cは、
図3に示すレベルシフタ1aと同等の効果を奏することができる。
【0054】
(レベルシフタ1の第2具体的構成例)
図6は、レベルシフタ1の第2具体的構成例をレベルシフタ1dとして示す図である。
図6において、タイミング制御回路12は、低耐圧PMOSトランジスタ(第3PMOSトランジスタ)P21と、低耐圧PMOSトランジスタ(第4PMOSトランジスタ)P22と、低耐圧NMOSトランジスタ(第3NMOSトランジスタ)N21と、低耐圧NMOSトランジスタ(第4NMOSトランジスタ)N22と、を有する。タイミング制御回路13は、低耐圧PMOSトランジスタ(第5PMOSトランジスタ)P23と、低耐圧PMOSトランジスタ(第6PMOSトランジスタ)P24と、低耐圧NMOSトランジスタ(第5NMOSトランジスタ)N23と、低耐圧NMOSトランジスタ(第6NMOSトランジスタ)N24と、を有する。
【0055】
タイミング制御回路12において、低耐圧PMOSトランジスタP21と低耐圧NMOSトランジスタN21とは、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられ、それぞれのゲートには入力信号INが供給されている。低耐圧PMOSトランジスタP22と低耐圧NMOSトランジスタN22とは、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられ、それぞれのゲートには入力信号INの反転信号が供給されている。そして、タイミング制御回路12は、低耐圧PMOSトランジスタP21と低耐圧NMOSトランジスタN21との間のノードの電圧を制御信号IN1として生成し、低耐圧PMOSトランジスタP22と低耐圧NMOSトランジスタN22との間のノードの電圧を制御信号IN3として生成する。ここで、低耐圧PMOSトランジスタP21の駆動能力は、低耐圧PMOSトランジスタP22の駆動能力より小さい。他方、低耐圧NMOSトランジスタN21の駆動能力は、低耐圧NMOSトランジスタN22の駆動能力より大きい。それにより、タイミング制御回路12は、制御信号IN3よりも立ち上がり時のスルーレートが小さい制御信号IN1を生成するとともに、制御信号IN1よりも立ち下がり時のスルーレートが小さい制御信号IN3を生成することができる。なお、制御信号IN1,IN3のスルーレートは、トランジスタP21,P22,N21,N22の駆動能力を調整することで、調整可能である。
【0056】
タイミング制御回路13において、低耐圧PMOSトランジスタP23と低耐圧NMOSトランジスタN23とは、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられ、それぞれのゲートには入力信号INが供給されている。低耐圧PMOSトランジスタP24と低耐圧NMOSトランジスタN24とは、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に直列に設けられ、それぞれのゲートには入力信号INの反転信号が供給されている。そして、タイミング制御回路13は、低耐圧PMOSトランジスタP23と低耐圧NMOSトランジスタN23との間のノードの電圧を制御信号IN2として生成し、低耐圧PMOSトランジスタP24と低耐圧NMOSトランジスタN24との間のノードの電圧を制御信号IN4として生成する。ここで、低耐圧PMOSトランジスタP23の駆動能力は、低耐圧PMOSトランジスタP24の駆動能力より小さい。他方、低耐圧NMOSトランジスタN23の駆動能力は、低耐圧NMOSトランジスタN24の駆動能力より大きい。それにより、タイミング制御回路13は、制御信号IN4よりも立ち上がり時のスルーレートが小さい制御信号IN2を生成するとともに、制御信号IN2よりも立ち下がり時のスルーレートが小さい制御信号IN4を生成することができる。なお、制御信号IN2,IN4のスルーレートは、トランジスタP23,P24,N23,N24の駆動能力を調整することで、調整可能である。
【0057】
図6に示すレベルシフタ1dのその他の構成については、
図3に示すレベルシフタ1aと同様であるため、その説明を省略する。
【0058】
図6に示すレベルシフタ1dでは、各タイミング制御回路が2つのインバータからそれぞれ異なる2つの制御信号を生成している。それにより、
図6に示すレベルシフタ1dは、制御信号IN1,IN3間のタイミング及び制御信号IN2,IN4間のタイミングを容易に調整することができる。
【0059】
(レベルシフタ1dの変形例)
図7は、
図6に示すレベルシフタ1dの変形例をレベルシフタ1eとして示す図である。
図7に示すレベルシフト部11は、
図6に示すレベルシフト部11と比較して、高耐圧PMOSトランジスタP3,P4をさらに備える。
【0060】
高耐圧PMOSトランジスタP3は、高耐圧PMOSトランジスタP1のドレインとノードLSDLとの間に設けられ、そのゲートには制御信号IN3が供給される。高耐圧PMOSトランジスタP4は、高耐圧PMOSトランジスタP2のドレインとノードLSDRとの間に設けられ、そのゲートには制御信号IN4が供給される。
図7に示すレベルシフタ1eのその他の構成については、
図6に示すレベルシフタ1dと同様であるため、その説明を省略する。
【0061】
図7に示すレベルシフタ1eは、
図6に示すレベルシフタ1dと同等の効果を奏することができる。
【0062】
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2にかかるレベルシフタ1fの構成例を示す図である。
図8に示すレベルシフタ1fは、
図1に示すレベルシフタ1と比較して、タイミング制御回路12,13のうちタイミング制御回路12のみを有し、インバータINV1に代えてインバータINV2,INV3を有する。なお、タイミング制御回路12及びインバータINV2,INV3によりタイミング制御部が構成される。
【0063】
タイミング制御回路12は、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に設けられ、入力信号INの反転信号に対応する制御信号IN1,IN3を生成する。ただし、制御信号IN1,IN3は異なる信号である。
【0064】
インバータINV2,INV3は、インバータINV1と同一の回路構成であって、それぞれ、制御信号IN1,IN3の反転信号を制御信号IN4,IN2として出力する。なお、制御信号IN1,IN3が異なる信号であるため、制御信号IN2,IN4も異なる信号であるということができる。
【0065】
即ち、タイミング制御回路12及びインバータINV2,INV3からなるタイミング制御部は、電源電圧端子VDDと基準電圧端子VSSとの間に設けられ、入力信号INの反転信号に対応する制御信号IN1及び当該制御信号IN1とは異なる制御信号IN3を生成するとともに、入力信号INの正転信号に対応する制御信号IN2及び当該制御信号IN2とは異なる制御信号IN4を生成する。
【0066】
例えば、タイミング制御部は、制御信号IN3,IN4よりも立ち上がり時のスルーレートが小さい制御信号IN1,IN2を生成し、かつ、制御信号IN1,IN2よりも立ち下がり時のスルーレートが小さい制御信号IN3,IN4を生成する。それにより、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2がオフする前に高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2のオン抵抗を所定値以上にすることができる。また、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2がオンした後に高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2のオン抵抗を所定値以上にすることができる。その結果、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2に耐圧を超える電圧が印加されるのを防ぐことができる。
【0067】
図8に示すレベルシフタ1fの動作については、
図1に示すレベルシフタ1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0068】
本実施の形態にかかるレベルシフタは、実施の形態1にかかるレベルシフタと同等の効果を奏することができる。
【0069】
(レベルシフタ1fの第1具体的構成例)
図9は、レベルシフタ1fの第1具体的構成例をレベルシフタ1gとして示す図である。
図9において、タイミング制御回路12は、低耐圧PMOSトランジスタP11と、低耐圧NMOSトランジスタN11と、抵抗素子R1と、を有する。具体的な接続関係については、
図3に示すタイミング制御回路12の場合と同様である。なお、抵抗素子R1は、トランスファーゲート等であってもよい。
【0070】
(レベルシフタ1fの第2具体的構成例)
図10は、レベルシフタ1fの第2具体的構成例をレベルシフタ1hとして示す図である。
図10において、タイミング制御回路12は、低耐圧PMOSトランジスタP21と、低耐圧PMOSトランジスタP22と、低耐圧NMOSトランジスタN21と、低耐圧NMOSトランジスタN22と、を有する。具体的な接続関係については、
図6に示すタイミング制御回路12の場合と同様である。
【0071】
以上のように、上記実施の形態に係るレベルシフタは、低耐圧のNMOSトランジスタ及び高耐圧のデプレション型NMOSトランジスタの導通状態をそれぞれ異なる制御信号により制御することで、低耐圧のNMOSトランジスタに耐圧を超える電圧が印加されなくないようにしている。それにより、当該低耐圧のNMOSトランジスタの劣化が抑制される。それにより、上記実施の形態にかかるレベルシフタは、信頼性を低下させることなく、高速動作を実現することができる。
このように、本実施の形態にかかるレベルシフタ1は、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2及び高耐圧デプレション型NMOSトランジスタNA1,NA2の導通状態をそれぞれ異なる制御信号により制御することで、低耐圧NMOSトランジスタN1,N2に耐圧を超える電圧が印加されないようにしている。それにより、当該低耐圧NMOSトランジスタN1,N2の劣化が抑制される。つまり、本実施の形態にかかるレベルシフタ1は、信頼性を低下させることなく、高速動作を実現することができる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。